カテゴリー: 知識

介護施設やデイサービス等で、明日から使える「高齢者向けレクリエーション」や「トラブルの対処法」などのお役立ち情報をまとめています。福祉美容師や福祉ネイリストなど、介護に関する仕事内容についてもご紹介。毎日の仕事に使える情報やヒントが盛りだくさんです。

  • 高齢者向け歯ブラシのおすすめは?介護職が知っておくべき口腔ケアの基礎知識

    高齢者向け歯ブラシのおすすめは?介護職が知っておくべき口腔ケアの基礎知識

    高齢者の方にとって口腔ケアは、健康維持に欠かせない大切な習慣のひとつです。間違ったケアを続けていると、虫歯や歯周病、誤嚥性肺炎のリスクを高めてしまうことも。介護の現場においても、正しい知識を持って利用者さんの口腔ケアをしてあげたいものです。そこで今回は高齢者向け歯ブラシの選び方を解説。口腔ケアにおすすめのスポンジブラシや義歯用ブラシ、電動歯ブラシについても紹介しています。ぜひ、歯ブラシ選びの参考になさってくださいね。

    高齢者の口腔ケアが欠かせない理由

    口腔ケアの主な目的は、口の中の清潔を保つこと。そして、歯周病や虫歯を予防し、食事や発音といった口腔機能を正常に維持することにあります。

    しかし、年齢を重ねるにつれて自力でのケアが難しくなると、口の中がだんだんと不衛生な状態に。次第に口腔内の機能が低下し、誤嚥性肺炎や感染症を引き起こしやすくなることもあります。
    高齢者の方にとって正しい口腔ケアを継続することは、[btp_line]健康に長生きできる秘訣[/btp_line]ともいえるでしょう。

    高齢者向け歯ブラシでおすすめしたい選び方

    高齢者の方の歯ブラシとしておすすめしたいのは、次のような特徴を備えているもの。購入する際にはぜひチェックしてみましょう。

    毛の硬さが「やわらかめ」のもの

    高齢者向け歯ブラシの毛は「やわらかめ」がおすすめ。年齢を重ねると歯のエナメル質が減退して傷つきやすくなるため、優しく歯磨きできるものを使いましょう。

    ヘッドがコンパクトなもの

    年齢を重ねると口を大きく開けづらくなる方もいます。そのため、高齢者向け歯ブラシではヘッド部分が小さい歯ブラシがおすすめ。ただし、ヘッドが小さいということは一度に磨ける範囲が狭くなりやすいということ。磨き残しのないように、一本一本の歯を裏側まで丁寧に磨いてあげる必要があります。

    柄の形状がストレートなもの

    高齢者の方の歯ブラシには、柄がまっすぐなものがおすすめ。市販の歯ブラシの中には柄がカーブしているものや、指に沿うように突起があるものもありますが、高齢者の方にとってはかえって掴みにくいことも。柄がストレートなものだとしっかりと磨きやすいようです。
    また、握力が弱まっている方でも持ちやすいように柄が太めなものを選びましょう。

    義歯の口腔ケアには「スポンジブラシ」や「義歯用ブラシ」を

    義歯を使っている方の場合には、外した後の口腔ケアも大切。歯茎や舌、頬の内側にはブラシ部分がスポンジ状になっているスポンジブラシが便利です。
    また、高齢者の方は口の中が乾燥しやすく、汚れがこびりついて落ちにくくなることも。そんなときにも歯ブラシではなく、スポンジブラシがおすすめ。スポンジブラシに保湿剤を含ませて優しくなでると、汚れが浮きやすくなるだけでなく[btp_line]口の粘膜を保護[/btp_line]できます。

    そして、外した後の義歯の方も義歯用ブラシでしっかりと汚れを落としましょう。義歯用ブラシは通常の歯ブラシよりも硬い毛で作られており、2ヶ所に植毛されているタイプが一般的です。柄が太いものが多いので、しっかりと力を込めて義歯の汚れを落とせます

    自力でのケアが難しい方には「電動歯ブラシ」がおすすめ

    自力でのケアが難しい高齢者の方には電動歯ブラシもおすすめ。握力が弱まっていても電動歯ブラシの振動がサポートしてくれます。
    パワーの強さやサイズなどたくさんの種類があるため、選ぶ際には歯科医などの専門家に相談してから購入するといいでしょう。

    高齢者向け歯ブラシは口の中を傷つけにくいものがおすすめ

    高齢者の方の歯ブラシを選ぶなら、とにかく口腔内を傷つけにくいことが必須条件。場合によってはスポンジブラシなども使いながら、優しく念入りに磨くことが大切です。また、年齢を重ねると義歯の方も増えてくるので、義歯用ブラシも必須アイテム。一人ひとりの口の状態に合わせて、ぴったりの歯ブラシを選んであげましょう。

  • 高齢者の口腔ケアは欠かせない!手順やおすすめケア用品とは

    高齢者の口腔ケアは欠かせない!手順やおすすめケア用品とは

    口の中で繁殖する細菌は、体全体にも影響をおよぼすことが近年明らかになっています。とくに、年齢により免疫力が低下している高齢者はその影響を受けやすいため、注意が必要です。そこで欠かせないのが、口腔ケア。歯みがきやうがいなどをきちんと行うことは、高齢者が元気に生活するための大切な習慣なのです。この記事では、高齢者の口腔ケアの必要性やメリット、おすすめのケア用品までくわしく解説していきます。

    高齢者の口腔ケアの必要性とは?

    口の中で繁殖する細菌を除去するために必要なのが、歯みがきなどの口腔ケアです。これらの細菌を長時間放置すると、歯周病や虫歯を引き起こす原因となります。さらに、免疫力の低下している高齢者は、口の中の細菌が体内に入り込むことで疾病リスクが高まることも。こうした理由から、高齢者の口腔ケアは、健康を維持するために欠かせない習慣といえます。

    高齢者が口腔ケアを行うメリット

    高齢者が口腔ケアを行うと、次のようなメリットがあります。

    認知症の予防にもつながる

    口内環境が悪いと、認知症の発症リスクが高まるといわれています。これは、歯周病の炎症が脳におよぼす影響や、噛む力が低下していることが要因なのだそう。また、財団法人 8020推進財団が公表する「口腔と全身の健康との関係Ⅱ」によると、歯がほとんど残っていない方は、健康な方よりも脳が萎縮しやすいといいます。こうしたことから、高齢者の口腔ケアを適切に行うことは、認知症の予防にもつながるといえるでしょう。

    栄養状態がよくなることも

    口腔ケアが適切に行われていると、噛む力も維持でき、食事も摂りやすくなります。そのため、栄養状態がよくなることもあるようです。また食事は、家族や仲間とのコミュニケーションの機会でもあります。口腔機能が維持できれば、食べる楽しみを失うこともありません。高齢者の心身の健康を維持するためにも、口腔ケアは欠かせない習慣でしょう。

    誤嚥性肺炎など疾病リスクを軽減できる

    口の中で増えた細菌は、誤嚥性肺炎などの疾病リスクも高めます。これは、増殖した口の中の細菌がだ液とともに気管に入り、肺などへ侵入するため。とくに、介護が必要な高齢者は複数の病気を患っていることが多く、重篤化しやすい傾向にあります。高齢者の口腔ケアは、こうしたリスクを軽減するためにも重要です。

    高齢者の口腔ケアは2種類の目的がある!

    ここでは、高齢者の口腔ケアを行う目的を確認しておきましょう。

    口の中を清潔に保つための「器質的口腔ケア」

    器質的口腔ケアとは、口の中を清潔に保つ目的で行うケアのこと。簡単にいえば、食後の歯みがきや入れ歯の汚れ落としなど、日常的に行っている口腔ケアのことです。高齢者の健康を保つために、欠かせない日常的なケアといえるでしょう。

    口の動きを維持・回復するための「機能的口腔ケア」

    機能的口腔ケアとは、口の中のリハビリを目的としたケアのこと。噛む力や飲み込む力が弱まりやすい高齢者に対し、口腔機能を維持・向上するために行います。口を大きく開けたり閉じたりする口腔体操や、だ液腺のマッサージなども機能的口腔ケアの1つ。介護施設では、食前に時間をとって行うことが多いですが、だ液腺マッサージは歯みがきを兼ねて、食後に実施してもよいでしょう。

    高齢者の口腔ケアの手順

    高齢者の口腔ケアの手順は、次のとおりです。

    1. 口腔ケア用品を準備
    2. うがいをしてもらう
    3. 入れ歯を取り外して洗う
    4. 歯と舌の汚れを落とす
    5. 歯ブラシでマッサージする
    6. うがいをしてもらう
    7. 入れ歯を装着

    介護施設によってマニュアルが異なるかもしれませんが、以上が高齢者の口腔ケアを行う際の大まかな手順です。流れ自体はそこまで難しくありませんが、介助しながら行う際は、利用者さんに十分に説明し、ケアを行うことの同意を得ておくことが必要でしょう。

    口腔ケア用品にはどんなものがある?

    高齢者向けの口腔ケア用品は、さまざまな種類があります。介護施設でこれらの用意をする際は、次のアイテムをチェックしてみましょう。

    歯ブラシ

    歯全体の歯垢を除去するために必要なのが、歯ブラシです。アイテムを選ぶポイントは、利用者さんが使いやすい歯ブラシにすること。手首が動かしにくい方であれば電動歯ブラシを、歯みがき中にだ液が出やすい方は吸引器つきの歯ブラシがおすすめです。また、高齢者は歯ぐきが柔らかいことが多いため、毛先がやわらかいブラシのほうが使いやすいでしょう。

    https://item.rakuten.co.jp/oralcare-dod/10000726/

    スポンジブラシ

    スポンジブラシとは、先端部分がスポンジになっている、使い捨ての口腔ケア用品のこと。歯の汚れをふき取れるため、うがいができない方や、むせやすい方にも適しています。また、口を大きく開けにくい利用者さんにも使いやすいでしょう。

    https://item.rakuten.co.jp/kaigo-hps/2682-00009-1/

    球形ブラシ

    球形ブラシとは、だ液や痰をからめとるブラシのこと。先端部分が綿毛のようにやわらかい毛で作られているため、痛みが出にくいのが特徴です。ブラシを水で濡らし軽く押しあてながら上下左右に動かせば、粘膜のマッサージにも適しています。

    https://item.rakuten.co.jp/cocoshopjunior/fr1514-0200-115/

    義歯用ブラシ

    義歯用ブラシは、入れ歯を洗うために用いるブラシのこと。入れ歯は外してから洗うため、毛先が硬く、持ち手もつかみやすいものが多く販売されています。また、毛の硬さや大きさが違う2種類の毛が使われているものも多いため、細かい部分まで磨きやすいでしょう。

    https://item.rakuten.co.jp/oralcare-dod/10000177/

    歯間ブラシ

    歯間ブラシは、歯と歯、歯と歯ぐきのすき間にある汚れを取り除くブラシのこと。歯間がどれだけ開いているかによって、適切なブラシを選んでいきます。サイズが合わないものだと、歯ぐきを傷つける恐れがあるため、注意が必要です。

    https://item.rakuten.co.jp/kenkocom/e130131h/

    舌用ブラシ

    舌用ブラシとは、舌の上に残る垢を取り除くためのブラシです。毛がついているものもあれば、ついていないタイプのブラシもあります。使用感は個人差があるため、利用者さんに適したサイズと種類のブラシを選びましょう。

    https://item.rakuten.co.jp/okuchi/i00078/

    口腔用ウエットティッシュ

    口腔用ウエットティッシュは、口腔内の汚れをふき取る濡れたティッシュのこと。おもに、口腔内の汚れをふき取る際に使っていきます。よだれが垂れてしまったときなどにも使いやすいため、用意しておくと便利でしょう。

    https://item.rakuten.co.jp/heartpenguin-shop/10007118/

    ガーグルベース

    ガーグルベースとは、寝たままの状態でもうがいができるよう作られた容器のこと。ベッドの上で高齢者の口腔ケアを行う際に、便利なアイテムです。軽い素材で作られているものが多いため、握力が低下している高齢者でも使いやすいでしょう。

    https://item.rakuten.co.jp/wel-sense-shop/10003462/

    口腔用ジェル

    口腔用ジェルとは、高齢者の口腔ケアの際に必要な口の中の水分を補うジェルです。乾燥により汚れがこびりついているときでも、このジェルを使えばふやかして除去できます。使用後は、誤嚥につながらないよう、汚れをしっかりと取り除きましょう。

    https://item.rakuten.co.jp/alllife/a1289/

    高齢者の口腔ケアは健康を保つために欠かせない習慣!

    高齢者の口腔環境が悪化すると、認知症や誤嚥性肺炎などの疾患リスクが高まります。年齢的に免疫力も低下しているため、高齢者の口腔ケアは健康を維持する上でも欠かせない習慣といえるでしょう。また、利用者さんの身体機能に合わせて、口腔ケア用品を選ぶことも大切です。日々の習慣として取り入れてもらえるよう、工夫していきましょう。

  • 【高齢者のおむつかぶれ・あせも】介護職が知っておくべき肌トラブル対策

    【高齢者のおむつかぶれ・あせも】介護職が知っておくべき肌トラブル対策

    高温多湿の汗ばむ季節に多くなる、高齢者の肌トラブル。完全に防ぐことは難しくても、日常生活の中で対策をしておけば、悪化を避けることは可能です。今回は、高齢者のおむつかぶれをはじめとする肌トラブルの基礎知識と注意点を紹介します。また、肌トラブルの予防につながる対策も紹介しますので、介護職として利用者さんにできる対策はどのようなものがあるのか確認しておきましょう。

    高齢者のおむつかぶれ・あせもの主な原因は?

    ここでは、高齢者の肌トラブルに多いおむつかぶれやあせもが起きやすい理由や、その原因を見ていきましょう。

    高齢者に肌トラブルが起きやすい理由

    高齢者に肌トラブルが起きやすいもともとの原因は、加齢による肌のバリア機能の低下です。

    肌の表面は、角質層と呼ばれる細胞の層で覆われています。さらに角質層の外側は皮脂で覆われており、さまざまな外的ダメージから守るバリアのような役割をしているのです。角質層内ではセラミドなどが潤いを保ち、肌表面の皮脂の膜が水分の蒸発を防ぐ働きをしています。

    しかし、加齢にともない角質層の潤いを保つ力が下がり、皮脂の分泌も減ることで肌のバリア機能は低下しがちに。そのため、外部からの刺激でダメージを受けやすい状態になるのです。

    高齢者に多い肌トラブルとその原因

    肌のバリア機能が低下する上、介護が必要な方の場合は[btp_line]肌トラブルが起こります[/btp_line]。入浴回数が減ることにより清潔を保ちにくかったり、長時間布団で過ごすことが多くなり血流が悪くなったりといったことが、肌トラブルの原因になりやすいのです。

    また、おむつを使っている高齢者の場合は、排泄物の汚れや皮膚がふやけることなどがおむつかぶれの原因になります。さらに、おむつ交換の際の拭き取りによる摩擦も、おむつかぶれを引き起こすといわれているのです。

    気温が高くなるにつれ、あせもや日焼けといった肌トラブルも多く見られます。あせもは、肌が重なり合う部分に汗がたまることが原因。太陽光に含まれる紫外線を過度に浴びる日焼けは肌に大きなダメージを与え、バリア機能の低下にもつながります。

    夏場に向けて増加する高齢者に多い肌トラブル

    ここからは、梅雨時期から夏場に向けて多くなる、高齢者の肌トラブルについて見ていきましょう。

    おむつかぶれ

    高齢者の肌トラブルに多く見られる、おむつかぶれ。症状としては、痛みやかゆみをともなう赤みや湿疹などが見られます。

    おむつかぶれの主な原因は、排泄物の汚れや長時間のおむつ使用による皮膚のふやけ、拭き取り時の摩擦ですが、肌自体の性質にも関係があるようです。健康な肌は弱酸性のため、[btp_line]アルカリ性の汚れに弱い[/btp_line]性質があります。

    尿は弱酸性ですが、排泄後は雑菌に分解されて時間の経過とともにアルカリ性に変化。また、便はアルカリ性の消化液を含んでいるため、下痢便は残った消化酵素でpH値が高くなります。さらに、おむつを使用する高齢者は尿のpH値が高い傾向にあり、弱酸性の肌にダメージを与えるのです。

    あせも

    気温が高くなり、汗をかきやすい季節に多いあせも。汗が出る管が詰まって、皮膚内部に汗がたまることで発症します。症状としては、皮膚の炎症やかゆみをともなう湿疹、水疱などです。

    あせもの症状は、汗をかきやすくたまりやすい首回りや背中などに多く見られます。腰が曲がって背中が丸くなっている円背の高齢者は、腹部や胸の下のような肌が重なり合う部分もあせもになりやすいので注意が必要です。

    日焼け(日光角化症)

    太陽光に含まれる紫外線は、肌に大きなダメージを与えます。日焼けをすると肌が炎症を起こして赤みができ、酷い場合は水疱といった火傷のような症状になることも。また、[btp_line]60歳以上に多く見られる「日光角化症」[/btp_line]という疾患があります。紫外線を長年浴び続けたことにより発症し、治療が遅れると皮膚がんに移行することがあるので注意が必要です。

    日光角化症は、頭部や顔面に直径1~2センチほどのかさぶたや紅斑ができます。痛みなどの症状が出ないため気づきにくいですが、疑わしいようであれば早めに医療機関を受診しましょう。

    高齢者の肌トラブルは日頃のケアが大切

    高齢者のおむつかぶれやあせも、日焼けといった肌トラブルは、悪化すると深刻な事態に陥ります。日頃のケアにより肌トラブルは予防できるので、ポイントを押さえておきましょう。

    おむつ交換

    高齢者のおむつかぶれを防ぐには、[btp_line]こまめなおむつ交換が大切[/btp_line]。特に、長時間おむつを着用する夜間の時間帯は注意が必要です。就寝前に交換した後、可能であれば夜間に数回交換しましょう。また、排泄物が長時間肌に触れたままにならないよう、飲食後どれくらいの時間が経ってから排泄しているのか、タイミングを把握しておくこともポイントです。

    洗ったり拭き取ったりするときに、清潔を保とうとしてゴシゴシと擦ってしまうと摩擦で肌がダメージを受けてしまいます。洗浄剤の使用は1日に1回程度に抑え、強く擦らずやさしく触れるようにしましょう。

    汚れを拭き取ったら、[btp_line]肌をしっかり拭く[/btp_line]ことがおむつかぶれの予防につながります。おむつを着ける前にオイルスプレーや保護クリームで保湿・保護しましょう。

    入浴後や汗をかいた際の拭き取り

    あせもの予防には、[btp_line]汗をかいたらすぐに拭き取って清潔を保つ[/btp_line]ことが効果的です。また、入浴後に水分が残ったままになっていると、雑菌が繁殖してあせもの原因になることもあります。

    入浴後の拭き取りの際は、見えている場所だけでなく、肌がシワ状に重なっている部分や、肘や膝の内側など関節部分も丁寧に水気を拭き取ってから肌のケアをしましょう。あせもになりやすい場所は、普段の体勢や体の状態によって異なります。汗がたまりやすい場所や肌が重なっている場所を把握しておくことも大切です。

    日焼け対策

    紫外線が強い日中の外出を控え、肌を露出しない服装にすることが、日焼け対策につながります。また、[btp_line]外出の際は日焼け止めを使用[/btp_line]しましょう。日焼け止めは、肌の弱い高齢者でも使える刺激が弱いタイプがおすすめです。

    紫外線を浴びた肌は、とても乾燥しています。肌のバリア機能が低下している高齢者は大きなダメージを受けていることが考えられるので、しっかりと保湿をしましょう。

    高齢者の肌トラブルが起こった場合は?

    日常生活で対策をしていても、高齢者のおむつかぶれなどの肌トラブルは避けて通れないことが多いものです。症状がみられた場合は、早めに医師に相談してください。適切な処置を早期に行うことで、肌トラブルの悪化を防ぐことができるでしょう。

    おむつかぶれが起こったときの対処法

    おむつかぶれの治療には、一般的に抗炎症作用のある軟膏が処方されます。軟膏にはステロイド外用液と非ステロイド外用液の2種類がありますが、ステロイド=強い薬というイメージから使うことに抵抗を感じる方もいるのではないでしょうか。

    しかし、症状に合わない弱い薬を使い続けることで、症状が改善されなかったり治るまでに時間がかかって跡が残ったりする可能性があります。症状に合わせた薬を医師に処方してもらい、用法用量を守って適切に使用することが大切です。

    おむつかぶれ以外の肌トラブルの可能性も…

    おむつかぶれやあせもの治療薬を使用していても、一向に症状が改善しない場合があります。そのような場合は、おむつかぶれ以外の病気の可能性も考えられるので、医師に相談してみましょう。

    おむつかぶれに似た症状が現れる病気に、[btp_line]「皮膚カンジダ症」[/btp_line]があります。カンジダ菌と呼ばれる、カビの一種が繁殖して炎症が起こる病気です。おむつかぶれやあせもと同じく梅雨時期から夏場にかけて多く発症し、赤ちゃんや高齢者のおむつの中は特に菌が増殖しやすいといわれています。

    症状は似ていますが、おむつかぶれと違いステロイド剤で悪化するので注意が必要です。
    皮膚カンジダ症の治療には抗真菌薬を使用するので、おむつかぶれやあせもの治療薬で効果がない場合や悪化していると感じるときは、医師に相談してみるとよいでしょう。

    また、おむつかぶれは肌の表面に起こる症状ですが、皮膚の内部に損傷が起こっているケースもあります。内部にまで損傷が及んでいる症状は「IAD(Incontinence Associated Dermatitis:失禁関連皮膚炎)」と呼ばれ、肌表面だけのケアでは症状の改善は望めません。おむつかぶれの症状が改善されない場合、IADではないかという視点を持つことも大切です。

    いずれにしても、いつもと違う症状が少しでも見られた場合や、治療をしても改善しない場合は、医師に相談してみましょう。

    高齢者のおむつかぶれやあせもは予防が大切

    介護を必要とする高齢者に起こりやすい肌トラブル。かゆみや痛みをともなう症状は、とても辛く、QOLの低下にもつながります。今回の記事では、高齢者のおむつかぶれなどへの対策を紹介しました。肌トラブルの予防や症状の悪化を防ぐために、できることから日頃のケアを心がけてみてください。症状が改善しない場合は、医師に相談することも大切です。

  • 介護職員等ベースアップ等支援加算とは?給与アップの新制度を解説

    介護職員等ベースアップ等支援加算とは?給与アップの新制度を解説

    2022年10月から施行される「介護職員等ベースアップ等支援加算」。介護職員の給与を月額平均9,000円アップすることを目指す、新たな制度です。介護業界で働く多くの方にとってプラスとなる同制度。この記事では、そんな介護職員等ベースアップ等支援加算の対象者や対象施設、取得するための要件などをくわしく紹介していきます。介護業界で働く方やこれから転職・就職する方の多くにかかわるため、ぜひチェックしてみてくださいね。

    介護職員の処遇改善を目指す!「令和4年度介護報酬改定」

    介護職員の賃金を底上げしていこうとする動きは、以前より活発です。厚生労働省が公表した「令和4年度介護報酬改定」では、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」をふまえ、2022年10月以降に臨時の報酬改定を予定しています。これまでの賃金アップ制度に加え、[btp_line]2022年はもう1つの新制度が介護報酬に加わる年[/btp_line]であることに注目しておきましょう。

    【わかりやすく解説】介護職員等ベースアップ等支援加算とは?

    「介護職員等ベースアップ等支援加算」とは、2022年10月からスタートする介護職員の処遇改善制度のことです。具体的には、[btp_line]月額平均9,000円の賃金アップを目指して導入[/btp_line]されます。すでに2022年2月から「介護職員処遇改善支援補助金」として同様の賃上げがスタートしていますが、同制度は9月で終了。これを引き継ぐ形で、介護職員等ベースアップ等支援加算が開始される予定です。

    <月額平均9,000円賃上げ制度>

    期間2022年2月~9月2022年10月以降
    名称介護職員処遇改善支援補助金介護職員等ベースアップ等支援加算
    財源国費介護報酬
    支払い時期2022年6月~2022年12月~

    この月額平均9,000円の賃金アップを目指す制度は、9月までは国費で賄われるため、一時的な補助金とみなされています。しかし、10月からは介護報酬に組み込まれるため、継続的な制度として確立される予定です。

    介護職員等ベースアップ等支援加算の対象になる人は?

    介護職員等ベースアップ等支援加算の対象は、フルタイム勤務の介護職員だけでなく、パートやアルバイトなどの職員も含まれます。利用者さんの介護を実際に行う職員が、介護職員等ベースアップ等支援加算の対象です。そのため原則としては、同じ事業所内であっても直接介護を行わないケアマネジャーや事務職の方などは対象ではありません。

    ただし同制度は、賃上げに活用するのであれば、事業所の判断によって柔軟に運用が可能というルールもあります。事業所によっては本来賃上げの対象ではない職員でも、給料アップの可能性があるでしょう。

    介護職員等ベースアップ等支援加算の対象となる施設は?

    介護職員等ベースアップ等支援加算は、2012年から運用されている[btp_line]「介護職員処遇改善加算」の(Ⅰ)~(Ⅲ)のいずれかを取得している施設が対象[/btp_line]です。そのため、この加算が適用されない以下の施設は、対象から外れています。

    <介護職員等ベースアップ等支援加算の対象外施設>

    • 居宅介護支援
    • 地域包括支援センター
    • 訪問看護
    • 訪問リハビリテーション
    • 福祉用具貸与サービス など

    なお、厚生労働省老健局老人保健課の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、約94%の介護施設が介護職員処遇改善(Ⅰ)~(Ⅲ)を取得しているとのこと。そのため、ほとんどの介護施設が介護職員等ベースアップ等支援加算の対象となります。ただし一部の介護施設では、介護職員処遇改善加算を取得していないため、就職や転職の際は取得の有無も確認しておくとよいでしょう。

    介護職員等ベースアップ等支援加算で何が変わる?

    ここからは、具体的に介護職員等ベースアップ等支援加算によって何が変わるのか、について見ていきましょう。

    月額平均9,000円給与がアップする

    介護職員等ベースアップ等支援加算が導入されると、月額平均9,000円給与がアップする可能性があります。支給額は、利用者さんの介護にあたる職員の最低人員配置基準をもとに算定。職員の賃金アップ以外では使えないルールもあるため、給与面でのアップを感じる方が多いでしょう。

    ただし、支給額をどのように分配するかは、事業所次第です。そのため、実際にいくら給与がアップするかは、勤務先によっても異なるでしょう。

    介護報酬の加算率が変わる

    2022年10月からは、介護職員等ベースアップ等支援加算が介護報酬制度に組み込まれます。該当の介護報酬加算率も改定されるため、2022年9月までの補助金交付率とは異なる点に注意しましょう。ただし、申請や報告の方法などは、9月までの処遇改善支援補助金と同様です。

    介護職員等ベースアップ等支援加算に要件はある?

    簡単にお伝えしたとおり、介護職員等ベースアップ等支援加算の対象となるには、2つの要件を満たす必要があります。ここでは2つの要件について、より詳しく確認しておきましょう。

    介護職員処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)のいずれかを取得している

    介護職員等ベースアップ等支援加算は、前提として、介護職員処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)のいずれかの取得が必要です。

    そもそも介護職員処遇改善加算とは、介護職員の職場環境を改善する取り組みを行う事業所への支給額を増やそうとする制度のこと。取り組む内容と数によって次のように金額が変わります。

    • 加算(Ⅰ):月額3万7,000円相当
    • 加算(Ⅱ):月額2万7,000円相当
    • 加算(Ⅲ):月額1万5,000円相当

    介護職員等ベースアップ等支援加算は、これらの支給額に上乗せする形で導入される制度です。

    加算額の2/3は介護職員等の基本給などの引き上げに使う

    介護職員等ベースアップ等支援加算は、支給額の2/3を介護職員などの基本給や毎月支払われる手当の引き上げに使うルールが決められています。そのため、これらの使い道以外での使用は、原則としてNGです。

    ただし、1/3は各事業所の裁量にゆだねられているため、いくら支給されるかはそれぞれの勤務先によっても異なるでしょう。

    介護職員等ベースアップ等支援加算の申請方法とは?

    介護職員等ベースアップ等支援加算は、各自治体に申請します。期日までに、職員の賃金改善総額(月額)などを記載した処遇改善計画書を提出し、支給後も実績報告書の提出が必要です。基本的な流れは、2022年9月まで行われる処遇改善支援補助金と同様と報じられています。

    2022年6月時点では、[btp_line]申請受付は8月[/btp_line]からとのこと。10月分の介護報酬から適用されますが、実際の支払いは12月からとされています。詳しい申請方法は、それぞれの自治体に確認してみましょう。

    介護職員等ベースアップ等支援加算など処遇改善に注目を!

    人手不足が指摘される介護業界では、人材確保のための処遇改善が積極的に行われています。今回お伝えした介護職員等ベースアップ等支援加算も、そんな取り組みのうちの1つです。制度利用にはいくつか要件があるため、これから勤務先を選ぶ際は、該当する施設かどうかも確認しておくとよいでしょう。

  • 入浴介助のヒヤリハットエピソード!事故防止のポイントは?

    入浴介助のヒヤリハットエピソード!事故防止のポイントは?

    介護施設において、入浴介助はきついというイメージがあるかもしれませんが、[btp_line]欠かせない重要なケア[/btp_line]のひとつです。高齢者の入浴介助はかなりの重労働であり、ヒヤリハットが発生することも珍しくありません。滑りやすい浴室内での介助は、利用者さん・介護スタッフ双方にとって大きな負担になるため、しっかりした準備と細心の注意が必要です。ここでは、入浴介助でのヒヤリハットエピソードや今までに起こった事故とともに、対策法などを解説します。

    入浴介助のヒヤリハットエピソード、よくある事故とは?

    入浴中に起こりやすい事故はどんなものがあるでしょう。入浴介助時のヒヤリハットエピソードや注意点も一緒に紹介します。

    転倒

    入浴介助中にもっとも起こりやすい事故は、[btp_line]転倒[/btp_line]です。脱衣所、浴室限らず濡れた床は非常に滑りやすく、健康な若い人でも浴室内で転倒しそうになった経験があるでしょう。足腰の弱い高齢者にとっては、移動はもちろん姿勢を維持する際など、一瞬の気のゆるみが転倒につながる可能性があります。転倒すると、捻挫や骨折などのケガだけでなく、後遺症が残ったり打ちどころが悪ければ命に関わったりする危険性もあるため、細心の注意が必要です。

    具体的なヒヤリハットエピソードとして、軽介護度の利用者さんが、浴室へ入る際1人で歩けると介助を拒否して浴室内に入り、床が濡れていたため滑って転倒しそうになったというケースがあります。大丈夫と言われても介護スタッフはいつでも助けられるよう注意し、利用者さんには手すりの利用や転倒防止マットを歩くよう[btp_line]声かけなどが大切[/btp_line]です。

    溺水

    [btp_line]溺水[/btp_line]も、介護施設ではよくある事故のひとつ。若い人なら溺れる心配のないような水位でも、バランスを崩して頭から湯船に入ってしまったり、入浴中に体調を崩して意識を失ったり、高齢者は溺れてしまう可能性があるのです。

    具体的なヒヤリハットエピソードとしては、浴室内で座っていた利用者さんの体勢が崩れ、顔が湯船につかってしまったというケースがあります。認知症や持病のため声を発することが難しい利用者さんの場合、介護スタッフが異変に気付かなければそのまま溺れてしまって命に関わっていた可能性も。溺水は、[btp_line]絶対に目を離さないことで防ぐことが可能[/btp_line]です。また、体勢を維持できるようベルトやタオルなどを使うのもいいでしょう。

    【実際に起こった事故】浴室内で転倒し、足を骨折

    実際に入浴介助中に起こった事故の判例をご紹介します。
    2009年、デイサービス中に入浴介助を受けていた利用者さんが浴室内で転倒し、大腿骨を骨折。利用者さんには後遺症が残り、裁判所は入浴介助時の注意を怠ったとして、介護施設に830万円の賠償を認めました。
    少し目を離したすきに起こった事故ではありますが、予防できる手段はあったはずです。このように、思いもよらぬ事故が起こってしまうこともあるため、入浴介助をする際には、危険予知力も必要です。

    【入浴介助のヒヤリハット】対策法や予防のポイントは?

    ヒヤリハットを防ぐには、しっかりとした準備や対策が重要です。ここでは、安全に入浴介助を行うための対策法や予防のポイントを紹介します。

    利用者さんの健康状態や性格を把握する

    入浴前には、体温や血圧など入浴に適した健康状態かしっかり確認しましょう。バイタルは良好でも本人が入浴を嫌がる場合や、逆に本人は入浴を希望してもバイタルに異常が見られる場合は、入浴は控えます。また、空腹時や食後すぐも避けた方がいいでしょう。

    利用者さんの性格を把握しておくことも重要です。せっかちな方には、入浴介助を早く終わらせるような配慮も必要かもしれません。逆に入浴が好きな方は長時間湯船に浸かりたいと希望されることもあるでしょう。また、介護施設の入浴介助では異性を担当することもありますが、恥ずかしさから異性に担当されることを嫌がるケースもあります。利用者さんの性格や希望を把握しておけば、スムーズに入浴介助を行えるはずです。

    利用者さんから目を離さない

    入浴介助中は、絶対に利用者さんから目を離してはいけません。一瞬のことでも、その間に事故は起こってしまいます。入浴介助は、1人で何人担当するかは介護施設によって異なりますが、理想は1人につき1人のスタッフが介助することです。複数人で大勢の利用者さんの入浴介助を行う際は、浴室担当者、脱衣所担当者、移動担当者など担当を決めたり、マニュアルを作成したり、万が一の事態が起きないような仕組み作りを行いましょう。

    脱衣所や浴室の環境を整える

    床が滑りやすいと転倒の危険性があります。脱衣所や浴室はしっかり清掃する、手すりを設置する、段差をなくすなど、環境を整えることでヒヤリハットの予防につなげることが可能です。環境を整えておけば、利用者さんにも気持ちよく入浴してもらえるでしょう。

    また、脱衣所と浴室の温度差が激しいと、ヒートショックを起こす危険性もあります。冬場は、脱衣所をしっかり温めるなどの環境作りも必要です。

    入浴後はしっかりタオルドライする

    身体が濡れたままだと転倒しやすいだけでなく、身体を冷やしてしまう原因となってしまいます。入浴後は、大きめのバスタオルを使って全身の水滴をしっかりふき取りましょう。皮膚が弱い利用者さんもいるため、力を入れすぎず押さえるようにして水分をふき取るのがポイント。水分補給や保湿など、入浴後のしっかりケアをすることも大切です。

    入浴介助にヒヤリハットはつきもの!しっかりした対策をとることが重要

    入浴介助は、介護において必要不可欠なケアである一方、危険な場面も多くヒヤリハットはつきものです。さらに、入浴介助専門のスタッフになると、数時間浴室にこもりっぱなしになるため、しんどいと感じることも多々あるでしょう。リスクも伴いますが、その分やりがいも大きい仕事です。さまざまなヒヤリハットを想定して対策を講じることで、利用者さんにとっても介護スタッフにとっても快適な入浴介助ができる環境を作りましょう。

  • 高齢者のスキンケア【梅雨・夏編】あせもや床ずれなど皮膚トラブルを予防!

    高齢者のスキンケア【梅雨・夏編】あせもや床ずれなど皮膚トラブルを予防!

    じめじめと不快感が増す梅雨時は、[btp_line]スキンケアが重要[/btp_line]なことをご存じでしょうか。
    特に要介護状態の高齢者の場合、介護者が適切なスキンケアを行わないと、肌のただれやあせも、床ずれなど、皮膚トラブルが起きてしまうことも。また、高齢者は回復力が低下しているため、一度皮膚トラブルが起きると治るまでに時間がかかります。
    この記事では、梅雨時に起こりやすい高齢者の皮膚トラブルやスキンケアについてまとめました。介護施設で働く方や自宅でご家族の介護に携わる方は参考になさってください。

    高齢者に多い梅雨や夏場の皮膚トラブルとは?

    梅雨時や夏場に多い高齢者の皮膚トラブルにはどのような症状があるのでしょうか?

    あせも

    「あせも」とは、汗の通り道である汗腺がふさがり起きる炎症のこと。汗をたくさんかいたまま放置しておくと、首や背中などに湿疹ができ、かゆみを伴う場合も。

    汗をかきやすい乳幼児によくみられる皮膚トラブルですが、実は高齢者でもあせもに悩むケースは多いのです。
    高齢者は若者に比べ発汗量が低下していますが、高温多湿の環境にいればたくさんの汗をかきます。また、ベッドに寝たきりだったり、背もたれのあるイスにずっと座っていたりした場合は、背中にあせもができていないか注意が必要です。

    床ずれ

    「床ずれ」は、長時間圧迫されたことで血行不良になった箇所に摩擦が加わることで起きる皮膚疾患のひとつです。お尻や尾てい骨、肩甲骨やかかとなど、体重がかかりやすい部位に発症しやすく、初期のうちは赤みを帯びるのが特徴。[btp_line]寝たきりの方は特に注意が必要[/btp_line]です。

    梅雨時は、床ずれのリスクが高まる季節。なぜなら、湿気や汗で下着や衣服、シーツ類が湿り、肌との摩擦係数が増すからです。
    また、汗をかいたまま放置するなど、皮膚を不衛生にしておくと、わずかな刺激で床ずれになる場合もあります
    寝たきりの方の場合、梅雨時は普段以上に床ずれへの注意が必要です。

    真菌感染症

    真菌(水虫・カンジダなど)が起こす皮膚トラブルを「真菌感染症」といいます。
    真菌はジメジメして温かいところを好むため、湿度が高くじんわり汗ばむ梅雨時は真菌感染症に気を付けなければいけません。

    特に注意したいのが、脇の下や胸の下など、皮膚が重なり汗の乾きにくい部位。
    手の拘縮(こうしゅく)がある方の場合、手のひらにカンジダ皮膚炎を発症することも。
    おむつ交換の際も、皮膚の状態に異変がないか観察を怠らないようにしましょう。

    梅雨・夏場における高齢者の皮膚トラブル対策

    梅雨時期や夏期に、高齢者の皮膚トラブルを防ぐため、介護者はどのような対策をとればよいのでしょうか。

    高齢者のスキンケア対策1:皮膚も寝具も「しっかり乾かす」

    ジメジメした季節、高齢者の皮膚トラブルを防ぐには「乾燥」が大切です。

    身体の部位

    こまめにふいてタオルやガーゼを挟みましょう。ドライヤーの冷風で、水分を飛ばすのもおすすめです。
    おむつ交換の際、局部を拭いてすぐおむつをあてるのはNG。しっかり乾かしましょう。少しでも濡れたままおむつをしてしまうと、おむつの中が蒸れやすくなります。

    介護用品

    紙おむつや尿取りパットは、新品の場合でも湿気を吸っていることも
    使用前にドライヤーで湿気を飛ばすと、さらっとした手触りがよみがえりますよ。

    梅雨時は、寝具を干せない日が続きます。
    枕カバーや肌掛けのタオルなど、洗いやすいものだけでも、こまめに交換して清潔な状態を保ちましょう。

    かけ布団や敷布団などの大型寝具は、布団乾燥機の使用がおすすめです。
    寝具がカラッと乾いたものに替えると、皮膚トラブルの予防はもちろん、気分も明るくなるでしょう。

    高齢者のスキンケア対策2:処方薬や保湿剤を活用する

    かゆみをともなう皮膚疾患の場合、市販薬をあれこれ試すより、病院で適切な塗り薬や保湿剤を処方してもらいましょう。真菌感染症の場合、放置しておくと、周りの人に感染する可能性もあります。
    しばらく使ってみて症状が改善されなければ、薬や保湿剤の変更も可能です。
    医療機関と連携して、適切なスキンケアを行いたいですね。

    高齢者のスキンケア対策3:かゆみが止まらないときは肌の状態をリセット!

    肌のかゆみが出やすいのは、体があたたまってきたとき。
    布団に入りウトウトしてきたところで、かゆみに襲われてしまい、なかなか寝付けない方もいます。高齢者本人だけでなく、介護者も睡眠不足になってしまうことも。

    かけばかくほどかゆみは広がりやすいので、薬を塗ったらなるべくかかずに我慢するのが大切です。

    かゆみを我慢できないようなら、冷たいタオルでかゆい部位をやさしく拭いてあげましょう。肌がさっぱりすると、かゆみが軽減することがあります。

    かゆみが治まってから、あらためて薬や保湿剤を塗りましょう。

    高齢者のスキンケア4:手浴・足浴ならベッドや室内でも手軽にできる!

    手のひらや足の指は、汗をかきやすく汚れやすいため、できるだけ清潔に保ちたい部位です。

    手足の汚れを洗い流すなら、洗面器を使った手浴と足浴がおすすめです。
    室内やベッドの上でも手軽にでき、気分もさっぱり!洗ったあとは、指の間までしっかり拭き取りましょう。

    洗面器にそのままお湯を張ると、お湯がこぼれやすく後片付けが大変です。
    洗面器にビニール袋を入れ、そのなかで手浴・足浴をするとよいでしょう。

    高齢者のスキンケアは、無理なくポイントを押さえて!

    今回は、高齢者の皮膚トラブルやスキンケアについてご紹介しました。

    要介護の方のスキンケアは「毎日全身くまなく!」を目指すと介護者への負担が大きくなってしまいます。
    高齢者の身体状況によっては、こまめな入浴や全身の清拭が難しい場合もあるでしょう。しかし、[btp_line]実はピンポイントのスキンケアだけでも、肌トラブルの予防につながります。[/btp_line]

    介護者の方は、汗をかきやすい部位や汚れやすい部位を正しく理解し、肌トラブルなしで気分よく梅雨時を乗り切りたいですね。

  • 介護施設職員向け!【夏祭りイベント企画アイデア集】高齢者に喜ばれるゲームや出し物は?

    介護施設職員向け!【夏祭りイベント企画アイデア集】高齢者に喜ばれるゲームや出し物は?

    デイサービスや老人ホームなどの介護施設で行われるレクリエーションは、利用者さんのリフレッシュや機能訓練の一環でもあります。夏のレクとして、夏祭りや納涼祭など、夏ならではの企画書を作っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
    この記事では、介護施設の夏祭りイベントにおすすめのゲームや職員の出し物、屋台メニューをまとめました。これからイベント企画をする方や、内容に悩んでいる施設スタッフの方は、ぜひ参考にしてください。

    介護施設の夏祭り企画!高齢者向けのゲームや出し物おすすめ9選

    夏と言えば夏祭り。介護施設で過ごす利用者さんには、季節感やお祭りの雰囲気を少しでもたくさん味わっていただきたいですよね。

    さっそく、夏祭り企画におすすめのゲームや職員の出し物、屋台のメニューを見ていきましょう。

    介護施設の夏祭り企画におすすめ!①ゲーム

    まずは、利用者さんとスタッフが一緒になって楽しめるおすすめのゲームを3つ紹介します。

    夏祭りの定番!「ヨーヨー釣り」

    ヨーヨー釣りは、夏祭りの気分を味わうのにぴったりのゲームです。娯楽性が高く、遊び感覚で脳を使いながら集中して取り組めるのもポイント。日常生活では味わえない刺激や楽しさを感じてもらえるでしょう。水を張った水槽のほかに、マグネット式のヨーヨー釣りにするなどアレンジしてもよいですね。

    <用意するもの>
    ヨーヨー、水槽、釣り紐や釣り竿

    何が当たるか分からないドキドキ感が楽しい「千本引き」

    紐の先端に景品を取り付けて、心が弾む千本引きを作ってみるのはいかがでしょう。懐かしの駄菓子などを景品にすれば、思い出がよみがえって昔話に花が咲くかもしれませんね。

    紐に付けるものは番号札を書いた紙にして、景品と交換する形にすれば、力が入りにくい高齢者の方でも引っ張りやすくなります。

    <用意するもの>
    紐、景品(お菓子など)

    身体を使って楽しめる「風船ラリー」

    風船はかなり軽い力でタッチしても動かしやすいので、さまざまな介護度の利用者さんに使ってもらいやすいアイテムです。また、風船を叩いてラリーしていく風船ラリーは椅子に座ったまま楽しめるのもポイント。転倒などが起こらないよう、十分注意しながら行いましょう

    こちらの動画では、実際に高齢者の方とゲームをしている様子が分かるので、ぜひ参考にしてみください。

    <用意するもの>
    風船

    介護施設の夏祭り企画におすすめ!②職員の出し物

    職員が出し物を企画して、利用者さんを笑顔にできる時間を設けるのもよいですね。その場にいる全員が楽しめる出し物を、3つピックアップしました。

    夏のイベントの代表!「盆踊り」

    高齢者の方にとってなじみ深いのが盆踊りではないでしょうか。立った状態でも椅子に座ったままでも曲に合わせて踊れば、その場が一体になる特別感を味わえます。職員が、浴衣姿に着替えて夏祭りの雰囲気を盛り上げるのも、楽しみ方の1つです。

    利用者さんが見て楽しめる「お芝居」

    昔話や時代劇など、高齢者の方になじみ深い題目でお芝居をしてみましょう。よく知っているスタッフが演じているというだけで、親近感を持って見ていただけるはず。オーバーなリアクションをしたり、コミカルな演技をしたりとアレンジを加えて楽しんでもらいましょう

    セリフなどを間違えるのもご愛敬。スタッフは自信を持って演技することが大切です。

    参加者全員で大合唱!「歌を歌う」

    利用者さんとスタッフの全員で歌を歌いましょう。歌が歌えなくても、手拍子で参加してもらえばどなたでも楽しむことができます。楽器の演奏が得意なスタッフがいる場合は、演奏と合わせて歌を歌っても利用者さんに楽しんでもらえるでしょう。

    人前で歌うことに慣れていない方でも、全員で行えばそれほど抵抗なくできるためおすすめです。

    介護施設の夏祭り企画におすすめ!③屋台のメニュー

    夏祭りに欠かせないとも言えるのが屋台です。利用者さんにとっても楽しみの1つでしょう。屋台のようにさまざまな食べ物コーナーを作って、夏祭りの雰囲気を盛り上げましょう。

    夏祭りの味と言えばこれ!「チョコバナナ」

    冷たくて美味しい人気のスイーツ、チョコバナナ。丸ごと1本のバナナを使ったものや、一口大に切ったサイズのものを用意するなど、さまざまな利用者さんに食べてもらいやすいよう工夫して作ってみましょう。

    定番の屋台メニュー「たこ焼き」

    ソースの香りが食欲をそそる、屋台料理の定番、たこ焼き。2個入りや4個入りなど量を変えて皿に入れたり、柔らかい食感のものを作ったりしてみなさんに喜んでもらえる工夫をしましょう。

    具材のたこは利用者さんによっては食べにくい方もいらっしゃるため、ウインナーやチーズなど、変わり種を何種類も作ってアレンジするのもおすすめです。

    いろいろな味が楽しめる「ゼリーのデザート」

    冷たくて甘いスイーツは、暑い夏に心を癒してくれる食べ物。介護施設の屋台では、フルーツのゼリーやコーヒーゼリー、プリン、水ようかんなど、バリエーション豊かなゼリー系のデザートがおすすめです。

    ゼリーは飲み込みやすく、飲み込む力が弱くなっている高齢者にとって食べやすい点がポイント。幅広く彩り豊かに味をそろえて、利用者さんに楽しんでもらいましょう。

    介護施設の夏祭りのイベントは工夫を凝らして企画しよう!

    介護施設の夏祭りイベントは、ゲームや出し物に屋台と、利用者さんとスタッフが一緒になって楽しめるものを企画して、夏のひとときを楽しんで過ごしてもらえるよう工夫しましょう。
    利用者さんにとって、昔懐かしい思い出を振り返るきっかけにもなるのではないでしょうか。

  • 【介護施設の夏祭り企画】衛生管理・リスク管理への配慮が成功のカギ!

    【介護施設の夏祭り企画】衛生管理・リスク管理への配慮が成功のカギ!

    介護施設で行う納涼祭などの夏祭りイベント。祭りと言えば屋台のイメージがあるため、手作りの食べ物を提供したいと考える介護スタッフも多いのではないでしょうか。この記事では、介護施設でする夏祭りの企画書を作成する際に押さえておきたい衛生管理とリスク管理について詳しくご紹介しました。どのようなポイントに注意すべきか分かりやすくまとめています。利用者さんに安心・安全に参加してもらえる夏祭りを企画したい介護スタッフの方は、ぜひ参考にしてください。

    介護施設の夏祭り企画は衛生管理とリスク管理が大切

    デイサービスや老人ホームといった介護施設で開催される夏祭り企画は、利用者さんにとって、年に1度の楽しみと言っても過言ではないかもしれません。そんな夏祭りを盛り上げる出し物で欠かせないのがゲームや屋台。とくに食べ物を提供する屋台は、利用者さんをワクワクさせることでしょう。
    しかし、[btp_line]食べ物を提供する屋台は衛生管理が重要[/btp_line]です。夏場に開催されるイベント企画のため、気温による食材の傷みやすさに注意すること。さらに、要介護状態の利用者さんが参加する企画なので、喉に詰まらないよう食べやすさにも配慮する必要があります。では、具体的にどのような対策を取るべきか、次項で確認していきましょう。

    注意点①屋台メニューの衛生管理は徹底的に

    介護施設の夏祭りの屋台で食品を提供するときは、企画段階で基本的な衛生管理が徹底できるようにしましょう。企画時から衛生管理に配慮しておけば、事前準備がしっかりできるので安心です。

    手洗い、消毒は念入りに

    衛生管理の基本となる[btp_line]手洗い、消毒はこまめに行いましょう[/btp_line]。髪の毛や顔は無意識に触れやすいため、とくに注意が必要。手を媒介した食中毒を防ぐためにも、調理前だけでなく、作業中も適宜手洗いや消毒を心掛けることが大切です。
    また、使用する調理器具の消毒も忘れないようにしましょう。

    食品の保管場所に注意する

    夏場に行うイベントのため、食品が傷まないよう保管場所にも注意してください。介護施設で行う夏祭りの場合、企画段階で傷みにくいメニューを考えておくのも良いでしょう。冷蔵保存が必要な食材がある場合は、むやみに常温で保管しないといった配慮が大切です。

    加熱は十分に行う

    多くのウイルスや細菌は加熱することで死滅します。したがって、加熱が必要なメニューはしっかりと火を通しましょう。肉の場合は、中心部を75℃以上で1分間は加熱することを目安に調理してください。

    食べ残しを持ち帰らないように声かけする

    利用者さんの中には、食べ残しを持って帰ろうとする方がいるかもしれませんが、原則禁止しておくと安心です。その場で食べきることを介護スタッフだけでなく、参加者にも事前に説明しておくことをおすすめします。

    注意点②高齢な利用者さんへも配慮する

    中には噛み切る力や飲み込む力が低下している方もいます。介護施設で夏祭りを企画する際は、[btp_line]高齢者でも食べやすいメニュー[/btp_line]を考えて提供しましょう。

    利用者さんが食べやすい大きさ、形状にする

    提供するメニューは、通常のものより小さめ、量も少なめにすると良いでしょう。さらに[btp_line]口運びも簡単な食べやすいメニュー[/btp_line]にすると喜ばれます。小さめに作るベビーカステラやたこ焼きなどがおすすめです。

    誤嚥、嚥下障害に注意する

    高齢者の方は誤嚥や嚥下障害をおこしやすいという特徴があります。提供するメニューは喉を詰まらせないよう、噛みやすいものにアレンジすると良いでしょう。たこ焼きなら、たこはみじん切りにして入れるなど工夫が重要です。

    利用者さんが熱源に触れないよう注意する

    加熱をするメニューの場合、利用者さんが熱源に触れて怪我をしないよう安全面への配慮が大切です。さらに火を使う屋台の場合は、[btp_line]事前に消防署への届け出が必要[/btp_line]となっています。イベント当日は利用者さんの安全面を確保するために介護スタッフ以外の職員にも協力を得るなど、企画段階から万全に準備しておきましょう。

    万全な衛生管理・リスク管理で楽しい夏祭りを!

    介護施設での夏祭りは、多くの利用者さんに喜ばれること間違いなしの企画です。普段行うレクリエーションとは違い規模の大きなイベントのため、上司や施設の責任者と相談しながら企画書を作成すると良いでしょう。ご紹介した衛生管理とリスク管理を踏まえて、安心・安全な夏祭りの企画を目指してくださいね。

  • 【介護施設の夏祭り】企画アイデア4選!童心に帰れるイベントを企画しよう

    【介護施設の夏祭り】企画アイデア4選!童心に帰れるイベントを企画しよう

    デイサービスや特養などの介護施設では、季節に応じてさまざまなイベントやレクリエーションを企画しています。中でも、夏の一大イベントといえば[btp_line]夏祭りや納涼祭[/btp_line]でしょう。屋台・盆踊り・ゲーム・出し物など、いかに利用者さんに楽しんでもらえる夏祭りを企画できるか、介護職員の腕の見せ所です。この記事では、夏祭りのイベント企画のポイントやアイデアを解説します。イベント企画を担当している介護職員の方は参考にしてください。

    高齢者に人気の企画って?キーワードは「懐かしさ」と「童心」

    夏祭りは、昔から各地域で開催され、高齢者の方にとっても親しみのあるイベントです。介護施設で夏祭りを開催する場合には、昔ながらの懐かしい気分に浸り、童心に帰って楽しめるイベントを企画するのがポイント。懐かしい食べ物や童心に帰って楽しめるゲーム、思い出いっぱいの盆踊りなど、夏祭りにはさまざまな催しが揃っています。介護度に関わらず[btp_line]利用者さんが楽しめるような夏祭りを企画することが重要[/btp_line]です。

    夏祭り企画アイデア① 屋台は高齢者の食べられるものをチョイス

    介護施設の夏祭りといえば、[btp_line]屋台[/btp_line]。のれん、すだれ、風船などで飾り付ければ、介護施設ならではの屋台の雰囲気を楽しんでもらえるでしょう。

    屋台のメニューは、介護度に関係なく誰でも楽しめるような食べやすいものを選ぶことがポイント。[btp_line]焼きそばやたこ焼き、ポテト[/btp_line]などは簡単に屋台の味が楽しめるためおすすめです。具材は細かくカットする、熱々ではなく少し冷ましてから提供する、などちょっとした工夫やアレンジで高齢者も食べやすくなりますよ。

    食事メニュー以外にも、かき氷やあんみつ、スイカなど、夏らしいデザートも人気があります。冷えたラムネなども懐かしい気分を味わってもらえるはす。さまざまなメニューを用意すれば、より夏祭りの雰囲気を楽しんでもらえるでしょう。

    夏祭り企画アイデア② ゲームは誰でも楽しめるものがベスト

    ゲームは、座ったままで楽しめて、簡単かつ短時間でできるものがおすすめです。たとえば、輪投げやペットボトルボウリング、紐引き、的当て、お菓子のつかみ取りも童心に戻って楽しめるでしょう。

    夏祭りと言えば、[btp_line]金魚すくいやヨーヨー釣りなどのゲーム[/btp_line]も定番ですよね。しかし、大量の水を使うゲームは介護施設での夏祭りでは準備するのがなかなか難しいところ。そこでおすすめなのが、金魚すくいならぬ金魚釣りゲームです。画用紙で金魚をつくり口部分にクリップを付け、広げたブルーシートの上に散りばめます。丸めた新聞紙の先に糸を取り付け、糸の先端に磁石を括り付けた釣竿を用意すれば準備完了。釣れた結果に合わせて景品をプレゼントしても盛り上がるでしょう。

    コロナ禍で飲食ができない場合でも、さまざまなゲームを用意しておけば、いつもの介護施設での生活とは異なった非日常的なイベントを楽しんでもらえます。

    夏祭り企画アイデア③ 出し物はみんなで盛り上がるものがおすすめ

    ゲームや屋台のほかにも、マジックショーや介護職員によるダンス、カラオケ大会などの出し物を披露しても盛り上がること間違いなし!出し物を企画する際にはみんなで盛り上がれるものを選びましょう。

    マジックショーは、驚きもありつつ分かりやすいものがおすすめ。ネタバレがあってもおもしろいはず。ダンスやカラオケは、季節感のあるものをチョイスするといいでしょう。

    可能なら広場や駐車場を使って[btp_line]花火大会[/btp_line]を企画してもいいですね。安全を確保できれば、メインイベントとして盛り上がるでしょう。

    夏祭り企画アイデア④ 懐かしい気持ちを味わえる盆踊りはマスト

    懐かしい気分を味わってもらうためには、[btp_line]盆踊り[/btp_line]は欠かせません。介護施設の利用者さんは、車いすを利用している方や長時間立っていることがつらい方など、踊りを踊ることが難しい方も多いでしょう。そんな中でも盆踊りの音楽を流せば、自然と身体が動き出すはず。昔のように踊れなくても座ったまま手や身体を動かせば、昔懐かしい盆踊りの気分は味わえるでしょう。うちわやかんたんな衣装、はちまきなどを用意すれば、より盆踊りのムードを演出できます。

    介護施設の夏祭りは懐かしい気分を味わえるものを企画しよう

    夏祭りは、介護施設にとっても一大イベント。さまざまな介護度の利用者さんがいるからこそ、イベント企画時には工夫やアレンジが必要です。童心に帰り懐かしい気分を味わってもらうには、利用者さんに[btp_line]アンケート[/btp_line]をとって企画書を作成するのもひとつの方法です。介護施設ならではの思い出に残る夏祭りを企画しましょう。

  • 【介護施設の夏祭り】上手な企画書の作り方&計画の進め方とは

    【介護施設の夏祭り】上手な企画書の作り方&計画の進め方とは

    介護施設のイベント企画の中でも、準備に時間がかかるのが「夏祭り」ではないでしょうか。「今年はどんなテーマで行おうか…」と、企画書作りに頭を悩ませている介護職員の方も多いようです。そこでこの記事では、介護施設で夏祭りを行う際の企画書の作り方についてご紹介。必要な項目や、計画の進め方についてお伝えしていきます。介護施設の夏祭り企画を担当する方は、ぜひチェックしてみてくださいね。

    企画書作りは早めのスタートが肝心!まずは必要な項目をまとめよう

    介護施設の夏祭り企画は、まず企画書作りから始まります。通常のレクリエーションと比べて、規模が大きいことがほとんどのため、企画書作りは早めにとりかかることが大切です。1~2週間前などではなく、数ヶ月単位で前倒しして、企画書作りを始めましょう。

    企画書作りはまず、次のような必要項目をまとめることからスタートします。

    <介護施設の夏祭り企画の必要項目一覧>

    • テーマ
    • 予定参加人数
    • 目安所要時間
    • 実施予定日時
    • 場所
    • 参加人数(介護度・自立度など)
    • 夏祭りの簡単な内容
    • 目的やねらい
    • 準備物
    • 予算
    • 会場のレイアウトや職員の配置
    • その他(注意事項など)

    毎年夏祭りを開催している介護施設であれば、昨年の企画書を参考にしながら進めてもよいでしょう。以下で、とくに押さえておきたい項目について記載していきます。

    項目1.参加人数と介護度・自立度・年齢層をチェック

    介護施設の夏祭りを企画する上で念頭に置いておきたいのが、参加される方の情報です。「どんな方が参加するのか」「どんな企画であれば取り組んでもらいやすいのか」などをイメージするためにも、まずは参加者を把握しましょう。

    コロナ禍で夏祭りの規模を縮小した介護施設も多いですが、毎年、地域住民の方を招待して行っている事業所も少なくないようです。こうした夏祭りや納涼祭は、より規模が大きくなるため、出し物などにも一層の工夫が必要になるでしょう。

    また、利用者さんを中心に企画するのならば、介護度や自立度、年齢層などを確認しておきます。利用者さんについて把握しておくと、出し物やゲーム、屋台の食事メニューなどもその方たちに合ったものを選べるでしょう。

    項目2.夏祭りの具体的な内容を決める

    参加される方が「どんな夏祭りだと楽しいと感じてもらえるか」イメージを膨らませながら、具体的な内容を決めていきましょう。射的やわなげなどのゲームや、職員が主導となる出し物を行う介護施設も多いようです。

    また、夏祭りのように季節行事のレクリエーションは、具体的な内容と目的をどう絡めるか困ってしまうという声も少なくありません。そんなときには、次の文例を参考にしてみてくださいね。

    <夏祭りの目的文例>

    • 指先を使ったゲーム(射的など)を通じて、楽しみながら身体機能のリハビリを行う
    • 季節に応じた催しから、昔の記憶を呼び起こしてもらう
    • 利用者さん同士の交流のきっかけを作る
    • 利用者さんと介護職員の交流を深めていく
    • 社会や地域とのつながりをもってもらう

    項目3.予算を提案する

    具体的な内容が決まったら、予算についても検討していきます。今の企画を実現するには、どれくらいの予算が必要か概算していきましょう。

    デイサービスを行う介護施設などでは、レクリエーション費として実費で利用者さんに支払ってもらうこともあるかもしれません。そのため、季節行事となる夏祭り企画は、どのような予算で行うのかも確認しておきましょう。

    項目4.必要な備品をリストアップする

    介護施設の夏祭り企画を進めていく上では、さまざまな備品も必要になってきます。たとえば、介護職員が着る揃いの浴衣やハッピ、ゲームの景品などを用意することもあるでしょう。

    ある程度企画が固まってきたら、こうした備品をリストアップしていくことも大切です。参加者が多い場合は、何人かで当日のシミュレーションをしながら、もれがないよう備品をリストアップしておきましょう。

    項目5.職員の役割分担を決める

    夏祭りの企画書では、誰が何を担当するのか、職員の役割分担も明確にしていきましょう。当日の担当はもちろん、準備の段階ではどのように動いてもらうかも記載しておきたいところです。

    また介護施設の夏祭り企画は、通常業務もある中で準備を進めるため、全体の負担が大きくなります。そのため、購入すれば数百円で済むようなものは思い切って購入するなど、省けるところは外注してみましょう。

    介護施設の夏祭りは企画書から始まる!早めのスタートを

    介護施設の夏祭り企画は、企画書作成から準備、当日を迎えるまで多くの時間がかかることがほとんど。そのため、企画書はできるだけ早めに作り始めましょう。また初めは「この情報があれば話し合いが進むだろう」という草案から始めるのも1つの手。ベースがあれば、他の職員も意見が出しやすく、より現実的な企画書が作

  • 高齢者の夏バテの症状とは?兆候を見逃さず早めに対策を

    高齢者の夏バテの症状とは?兆候を見逃さず早めに対策を

    暑い夏は高齢者にとって厳しい季節。「近ごろ、利用者さんの元気がない…」と感じる場合、夏バテの可能性があるかもしれません。この記事では高齢者の夏バテで現れやすい症状を解説し、日頃からできる夏バテ対策をご紹介していきます。また、夏バテを引き起こす条件と熱中症を引き起こす条件には共通点があるため、あわせて警戒していきましょう。

    高齢者の夏バテの兆候や特徴と警戒したい熱中症との関係

    まずは高齢者の夏バテを見逃さないよう、夏バテの兆候と思われる症状や特徴をチェックしていきましょう。夏バテと熱中症との関係もご紹介していきます。

    高齢者の夏バテの症状

    高齢者の夏バテで主に現れるのは以下のような症状です。

    <高齢者の夏バテの症状>

    • 胃腸の不調
    • 食欲の低下
    • 不眠
    • 肩こりや腰痛
    • 体のだるさ、重さを感じる

    暑い日が続くと自律神経が乱れ、胃腸の働きが悪くなり、食欲が低下するといった症状が見られます。さっぱりしたものばかりを食べていると、栄養が偏り、胃腸が冷えてしまう悪循環に陥ることも。自律神経の乱れは不眠や血行不良なども引き起こします。肩こりや腰痛を感じることに加え、体がだるい、重いといった不調を訴えることもあるでしょう。

    高齢者は感覚機能の低下で暑がることが少なく、気づかないうちに夏バテになっていることもあります。高齢者は、ひとたび夏バテの症状が出ると回復に時間がかかり、不調が持病を悪化させてしまう可能性も。介護スタッフは日頃から積極的に利用者さんの健康状態を把握し、サポートしていくことが重要です。

    夏バテと熱中症

    高齢者は熱中症にもなりやすいため、夏バテで体力が低下しているときはあわせて警戒が必要です。高齢者に熱中症が多い理由を確認していきましょう。

    <高齢者に熱中症が多い理由>

    • 感覚機能が低下している
    • 体温調節機能が低下している
    • 体内の水分が不足しがち

    高齢者は、暑さを感じにくい、喉の渇きを感じにくい、体温調節機能が低下して汗をかきにくい、体内の水分量がもともと少ない、といった特徴があります。脱水症状や熱中症は小さな子どもから高校生、働き世代などさまざまな年代で起こりますが、80歳以上は特になりやすい年齢でもあり、注意が必要です。

    日頃から体力が低下している、食欲がない、居室が暑い、など体調や環境が整っていないと[btp_line]夏バテから熱中症になってしまうことも[/btp_line]あります。暑い季節は夏バテや熱中症にならないために、しっかりと対策をとることが重要です。特に独居老人は夏バテや熱中症を引き起こしても気づかれないことが多いため、日頃から周囲がサポートすることが重要でしょう。

    高齢者の夏バテ対策のポイントは【水分・栄養・運動】

    高齢者の夏バテを防ぐには、暮らしの中で以下の3つを意識することが重要です。

    <高齢者の夏バテ対策ポイント3つ>

    • 水分補給
    • 栄養のある食事
    • 適度な運動

    夏バテしないために、日頃からこまめに水分補給をすることが大切です。水分補給の目安は、1日に1,000~1,500ミリリットル。多いように感じますが、200ミリリットルの飲料を1日に6回~7回程度飲む、と考えると実行しやすいでしょう。食事時やおやつの時間にプラスして、起床時や入浴前後、就寝前などのタイミングで飲む習慣を作ることがおすすめです。温かいスープやゼリーなど、水分補給の方法を工夫すれば苦痛に感じないでしょう。

    夏バテ対策には栄養のある食事も重要。冷たいものばかりを食べていては胃腸の働きが弱ってしまうため、[btp_line]適度に温かい食べ物も取り入れてください[/btp_line]。肉、魚、大豆製品などからタンパク質をしっかりと摂取し、野菜も食べ、バランスの良い食生活を心がけましょう。

    適度な運動で体を動かすと血行が促され新陳代謝がアップします。肩こりや腰痛対策としても適度な運動は大切。炎天下を避けて涼しい時間帯に日影をウォーキングしたり、家の中でできる簡単な筋トレやストレッチを取り入れたり、負担にならない程度に体を動かしましょう。椅子に座って両足のひざを伸ばす、といった簡単な運動もおすすめです。

    ご紹介した3つのポイントのほかにも、高齢者の夏バテ対策としてできることがあります。たとえば住居環境の整備。室温28度を目安に、夏はクーラーや扇風機をうまく活用して涼しい環境を整えましょう。

    高齢者の夏バテは放置厳禁!症状を把握してサポートを

    高齢者の夏バテは、持病の悪化や熱中症につながるケースがあるためあなどれません。夏バテは「なんとなく不調だけどいつものこと」と我慢してしまう高齢者が多い特徴があります。介護スタッフは高齢者のちょっとした変化や症状を見落とさないよう注意し、率先してケアやサポートをしていきましょう。

  • 介護施設の夏祭り企画・職員の出し物5選!利用者さんに喜ばれるイベントにしよう

    介護施設の夏祭り企画・職員の出し物5選!利用者さんに喜ばれるイベントにしよう

    暑い時期に介護施設のイベント企画として人気の「夏祭り」。利用者さんが楽しめるよう、企画書を作成している介護施設も多いのではないでしょうか。近年は新型コロナ感染症の影響で、「出し物に悩む」という介護職員の方も…。そこで、この記事では介護施設の夏祭りにおすすめの企画を5つピックアップ!利用者さんと盛り上がれる介護職員の出し物を紹介していきます。介護施設の夏祭り企画に悩んでいる方は、ぜひご覧くださいね。

    夏祭りの雰囲気を盛り上げる「屋台」

    射的や金魚すくいなど、大人になってもワクワクしてしまう「屋台」は、夏祭りの雰囲気を盛り上げるのにぴったり。夏祭りには、次のような屋台を作ってみてはいかがでしょうか?

    <利用者さんが楽しめるゲーム屋台>

    • 射的
    • 金魚すくい
    • ヨーヨー釣り
    • わなげ
    • 千本引き
    • 型抜き
    • 撮影パネルコーナー など

    金魚すくいは、紙で作った魚をさおで釣るという形式でも代用可能。ヒモの先に景品をつけた千本引きは、何が当たるか分からない、ドキドキが体感できます。また、指先を使う型抜きや利用者さん同士で写真を撮る撮影パネルコーナーも夏祭り企画としておすすめです。

    <夏祭りならではの食事メニュー>

    • チョコバナナ
    • かき氷
    • たこ焼き
    • わたあめ
    • お好み焼き など

    夏祭りの日には、いつもの食事やおやつもちょっと一工夫。お祭りの屋台で売られているメニューにしてみるというのも面白いかもしれません。とくに、暑さが厳しい季節には、かき氷が人気です。

    座ったままでもできる「盆踊り」

    夏祭りのメインイベントとしてもおすすめなのが「盆踊り」です。地域に伝わる音頭や懐かしの民謡に合わせて介護職員が踊れば、自然と一体感が生まれるでしょう。可能であれば、浴衣やハッピを着ると、より一層夏祭りの雰囲気も高まります

    また、盆踊りであれば手を使ったフリも多いため、立位が難しい利用者さんも座ったままで楽しむことができるでしょう。手拍子や合いの手を入れるだけでも、気分は高まります。デイサービスや特養など、各介護施設の利用者さん・入居者さんに合った形で、盆踊りを夏祭り企画に加えてみましょう。

    高齢者からの人気が高い「劇・お芝居」

    「劇・お芝居」は、高齢者からの人気が高い出し物の1つです。演目には、桃太郎や浦島太郎などの昔話や、水戸黄門といった時代劇を選ぶと利用者さんもすぐにお芝居を理解してくれるでしょう。

    演じる際のポイントは、[btp_line]できるだけオーバーにリアクションをとること[/btp_line]。セリフは聞こえやすいよう、ゆっくりと話すことも大切です。感染症の対策として、マイクを使ったりセリフを紙に書いたりしてもよいでしょう。

    また、介護施設の職員全員が役を持つと、夏祭りが終わった後に利用者さんから話しかけてもらえるきっかけになります。劇・お芝居は、交流を深めるにもぴったりの企画です。

    利用者さんも一緒に!「箱の中身当てゲーム」

    介護施設内にステージや広場を設置して行うゲームも、夏祭りにおすすめの企画です。さまざまなゲームが考えられますが、見ている方にも楽しんでもらうなら「箱の中身当てゲーム」が面白いかもしれません。

    穴の開いた箱に手を入れ、触った感覚だけで中身を当てるゲームですが、利用者さんは恐る恐る手を入れる介護職員のリアクションが楽しめます。利用者さん側からは中身が見えるようにしておくと、さらに盛り上がるでしょう。

    また、手を入れてもらう役を利用者さんにお願いすれば、参加型で楽しむこともできます。箱に複数の穴を作っておけば、誰が早く中身を当てられるか、競争形式で盛り上げることもできるでしょう。

    脳トレにもなる「ビンゴゲーム」

    全員参加型で楽しめる「ビンゴゲーム」も、介護施設の夏祭りを盛り上げてくれる企画です。順位ごとに景品を用意しておくと、より盛り上がるでしょう。

    また、ちょっとしたアレンジを加えてみるというアイデアも。たとえば、5×5や3×3のマスが書かれた紙を配り、テーマに合わせた言葉を利用者さんに書き込んでもらいます。このときのテーマは、野菜や色、都道府県などを選んでみましょう。

    その後は通常のビンゴと同じです。数字の代わりに、テーマに合った言葉を伝えて、縦・横・斜め、いずれかの列を揃えてもらいます。このアイデアであれば、専用のビンゴゲーム機やカードがなくても楽しめるでしょう。

    介護施設で夏祭りを企画して利用者さんと楽しもう!

    介護施設で行う夏祭りは、利用者さんにも楽しんでもらえる企画の1つです。屋台や盆踊りなど、夏ならではの出し物を行えば、暑さも忘れる納涼祭となることでしょう。ぜひそれぞれの介護施設の利用者さんに合わせた、夏祭りを企画してみてはいかがでしょうか。

  • 高齢者の夏バテ予防にいい食事って?おすすめの食材は?

    高齢者の夏バテ予防にいい食事って?おすすめの食材は?

    高齢者の多い介護施設において、利用者さんの夏バテ予防は、夏場の懸念事項のひとつ。高齢者は、[btp_line]一度体調を崩すと回復まで時間がかかる[/btp_line]ため、夏バテをきっかけに持病が悪化したり、後遺症につながってしまったりもするからです。
    そこで今回は、高齢者の夏バテの原因や、夏バテ予防に適した食材・栄養素について解説。おすすめメニューも紹介します。
    高齢者施設などで高齢者のための食事作りに携わる方は、ぜひ参考になさってください。

    高齢者の夏バテの原因は?高齢者のための食事は栄養バランスが大切!

    そもそも高齢者は、なぜ夏バテしてしまうのでしょうか?
    高齢者の夏バテは、2つの「不足」が原因とされています。

    ◇水分不足

    高齢者になると、暑さやのどの渇きを感じにくくなるため、水分不足には特に注意が必要です。
    冷房設備の整った自宅や介護施設で過ごしていても、1日に汗や尿から排出される水分は実に2リットル以上。
    水分が不足すると、血液の流れが滞り動脈硬化を引き起こすこともあるのだそう。
    介護者は、高齢者が水分不足になっていないか、注意しましょう。

    ◇栄養不足

    食欲が落ちやすい暑い時期は、栄養不足になりがちです。
    肉や魚類を避け、さっぱりした食事ばかりを選ぶと、エネルギー不足に陥ってしまいます。
    高齢者の食事で大切なのは、[btp_line]量より質[/btp_line]。高齢者の食の細さに悩む方は、味付けや調理法を工夫してみましょう。

    高齢者の夏バテ予防のため食事から摂りたい栄養素

    ここでは、高齢者の夏バテ予防に大切な栄養素についてまとめました。
    各栄養素が豊富な食材も合わせて紹介しますので、食事に取り入れてみましょう。

    ◇たんぱく質

    たんぱく質は、血液や筋肉を作るのに欠かせません。運動・認知機能の維持にも関わるため、高齢者も積極的に摂取したい栄養素のひとつです。
    65歳以上の高齢者の場合、一日の摂取エネルギーの15~20パーセントはたんぱく質から摂取することが推奨されています(厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」)。

    <たんぱく質が豊富な食材>

    • 大豆
    • チーズなど

    ◇ビタミン

    骨や筋肉の修復や、疲労回復をサポートする栄養素。
    ビタミンにはストレス緩和作用があるため、暑さによるストレスも和らげてくれるでしょう。
    一方で、ビタミン不足になると、疲労感や食欲減退などの症状が出てきます。

    <ビタミンが豊富な食材>

    • 豚肉
    • レバー
    • ウナギ
    • 玄米
    • 豆腐
    • キノコ類
    • 野菜類(ほうれん草、ニンジン、ジャガイモなど)

    ◇ミネラル

    歯や骨の形成のサポートのほか、集中力や記憶力の向上、肉体の疲労回復にも関わる栄養素。
    ミネラルにはカルシウムや鉄、マグネシウムなどが含まれます。

    <ミネラルが豊富な食材>

    • 豆腐
    • 乳製品
    • 魚(鮭、サバ、イワシなど)
    • 野菜類(玉ねぎ、ブロッコリー、オクラなど)
    • 海藻類など

    ◇クエン酸

    梅干しなどの酸っぱさの主成分でもあるクエン酸には、新陳代謝を活発にし、疲労回復を促す効果があります。

    <クエン酸が豊富な食材>

    • 梅干し
    • 柑橘類
    • キウイフルーツ
    • 黒酢など

    高齢者の献立を考える際は、さまざまな栄養素をまんべんなく取り入れられるよう、配慮したいですね。

    高齢者の夏バテ予防のためおすすめの食事・メニュー

    高齢者の夏バテ予防にぴったりのメニューを紹介します。
    どれも手軽に調理できるものばかりですので、高齢者の夏の食事作りに携わる方は参考になさってください。

    ◇かまぼこのバター醤油焼き

    <おもな食材>
    かまぼこ、キノコ(しめじやエリンギなど)、バター、醤油

    <作り方>

    1. かまぼこは1センチ幅に、キノコは食べやすい大きさにカットします。
    2. 中火に熱したフライパンにバターを溶かし、かまぼことキノコを炒めます。
    3. 焼き色が付いたら、醤油小さじ1を入れ完成です。

    かまぼこはたんぱく質、キノコは食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養が豊富です。
    バター醤油の香ばしい香りが食欲をそそる、暑い夏にぴったりの一品。

    ◇トマトとレタスのスープ

    <おもな食材>
    トマト、レタス、卵

    <作り方>

    1. 湯むきして種を除いたトマトはざく切りに。レタスは一口大にちぎります。
    2. 鍋の水が沸騰したらトマトを加え、中華だしや塩コショウで味を調えます。
    3. 水溶き片栗粉でとろみをつけ、卵を回し入れます。
    4. 煮立ったらレタスを加え、ひと混ぜしたらできあがりです。

    夏野菜と卵から、ビタミン・たんぱく質を摂取できる夏バテ予防にぴったりのスープです。
    片栗粉でとろみをつければ、誤嚥防止にもつながります。

    ◇夏野菜のポン酢マリネ

    <おもな食材>
    きゅうり、だいこん、パプリカ、なす、ポン酢(またはすし酢)

    <作り方>

    1. 野菜を食べやすい大きさにカットします。
    2. 保存用ポリ袋に野菜とポン酢を入れ、冷蔵庫でなじませたら完成です。

    さまざまな夏野菜を一度に食べられる即席マリネ。
    さっぱりとした味わいで食が進むため、高齢者の夏バテ予防の食事に添えるのにぴったりです。

    高齢者の夏バテ予防は十分な水分と栄養バランスの良い食事が大切

    高齢者は、一度体調を崩すと体力の回復に時間がかかります。また、夏バテをきっかけに体調不良が重症化する恐れもあるため、夏バテにならないよう日頃から予防が大切です。
    高齢者の夏バテ予防で大切なのは、十分な水分補給と栄養バランスの整った食事。味付けや調理の仕方をひと工夫すれば、食欲も進みやすくなります。この2つを心がけ、高齢者も介護者も元気に夏を乗り切りましょう!

  • 高齢者におすすめの夏下着【女性編】通気性がよく過ごしやすい肌着の選び方

    高齢者におすすめの夏下着【女性編】通気性がよく過ごしやすい肌着の選び方

    高齢者の介護をする上で、着替えの介助は重要なケアのひとつです。とくに、夏場は汗をかくため下着が汚れやすく、不衛生になりやすい時期。床ずれや肌かぶれを防ぐためには、[btp_line]通気性がよく夏に適した下着の着用が好ましい[/btp_line]です。今回は、高齢者女性におすすめの夏下着や選び方のポイントをご紹介します。ご家族の方から「どんな下着を用意すればいいかわからない」と相談されたとき、適切なアドバイスができるよう参考にしてください。

    【高齢者の下着選び】介護施設で使いやすい下着選びのポイント

    着替えは毎日行うケアなので、高齢者の方にとっても介護スタッフにとっても楽に着替えられるものがおすすめです。インターネット販売で買うことも可能ですし、直接見て選びたいときには、大型ショッピングモールや「しまむら」などの衣料品店でも高齢者の肌着は販売されています。まずは、介護施設での生活に適した高齢者女性用の肌着やショーツなどの選び方のポイントをご紹介しましょう。

    ゆったりしていて伸縮性があるもの

    下着の着替えは、腕を上げたり下ろしたり、足を曲げたり伸ばしたり、全身を使って行います。そのため、高齢者にとっても介護スタッフにとっても大きな負担がかかるケアです。少しでも負担を軽減するには、ゆったりして伸縮性のある着替えやすい下着を選ぶことがポイント。身体にピッタリサイズの下着だと、着替えにくく腕を高く上げるなど体を大きく動かさなければいけないため、ケガにつながる可能性もあります。さらに、着用後も腕や肩が動かしづらくなってしまう場合も。伸縮性のある素材なら、自分でも着脱しやすいため、自立を促すことにもつながります。介護度の高い高齢者の方には、かぶるタイプよりも前開きタイプがおすすめです。

    洗濯機対応可

    入居型の介護施設では、利用者さんの洗濯物を施設側で洗うのが一般的。手洗いではなくまとめて洗濯機で洗い、施設によっては乾燥機を使用するところもあるため、洗濯機・乾燥機対応可能なものがおすすめです。縮みやすい素材やレースをあしらったデザイン、色落ちの可能性がある下着は、なるべく避けたほうがよいでしょう。

    吸水速乾や綿素材

    下着は肌に直接触れるため、肌に合ったものを選びましょう。夏場はとくに汗をかきやすいため、下着は汗を吸収し早く乾く素材が適しています。綿素材のものは吸水性も良く肌に優しいのでおすすめです。

    高齢者女性におすすめの夏下着6選

    夏に適した通気性の良い下着をピックアップしました。

    ブラジャー

    高齢者になると、ブラジャーの締め付けられる感覚が苦手という方も多いはず。そんな方には、ノンワイヤーで着脱部が前についているタイプがおすすめです。カップはついていませんが、タテヨコに伸縮し優しいフィット感でバストをカバーします。幅広ストラップを採用し、くい込みにくく肌着のような感覚でつけられるのが特徴です。

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    バストタイプのブラジャーの着用ができない高齢者には、カップ付きのインナーがおすすめ。ソフトカップ付きで、アンダーバストにはゴムが入っているため、締め付けすぎず適度にフィットします。プラスチックホックが付いた前開きタイプを選べば、着脱も簡単です。いくつになっても女性らしい肌着を着用したい方には、綿素材でありながらシルクのような光沢が特徴なのも嬉しいところ。

    https://item.rakuten.co.jp/hashbaby/k98093/

    肌着

    肌着は、かぶるタイプのものが一般的ですが、介護施設で使用するなら前開きのタイプがおすすめです。高齢者になるとだんだん腕を高く上げることが難しくなってくるため、前開きタイプの肌着なら、高齢者の方も介護スタッフも負担が軽減できます。

    下着メーカーとして有名なグンゼの肌着は、高齢者でも簡単に着脱できる留め外ししやすく外れにくいクリップボタンを採用。腕まわりにゆとりを持たせ、後身頃は長めに設計しているため、寝返りをうっても背中が出にくく冷え防止にも最適です。

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    ボタンが苦手な方には、片手でも留め外しできるワンタッチテープがおすすめ。袖は3分丈で吸水速乾・抗菌防臭機能付きなので、汗をかいてもすぐにサラッと乾き清潔感を保てます。

    https://item.rakuten.co.jp/hashbaby/k0738110/

    ショーツ

    高齢になると、軽い尿漏れを起こすことが多々あります。見た目は通常のショーツですが、吸水機能のついたショーツを選べば、多少の尿漏れがあっても安心です。両脇に縫い目がないタイプなら不快感もなく快適に着用できます。

    https://item.rakuten.co.jp/hashbaby/k0738158/

    尿漏れの頻度が多い方や就寝中に心配のある方、また紙オムツが苦手な方には、吸水量200ccのショーツがおすすめ。5層構造なので漏れる心配もなく夜までゆっくり眠れます。

    https://item.rakuten.co.jp/hashbaby/k38227/

    高齢者の下着は快適に過ごせるものおすすめしよう

    最近では、機能性の優れた下着がたくさんあります。着替えは、高齢者にとっても介護スタッフにとっても負担の大きなケアなので、少しでも負担が軽減できる下着選びがポイントとなります。さらに、下着は肌に直接触れるため、利用者さんご自身が快適に過ごせるものがベスト。暑くなる季節には、とくに慎重な下着選びが必要となります。

  • 高齢者の熱中症対策はどうする?原因とおすすめのグッズ5選

    高齢者の熱中症対策はどうする?原因とおすすめのグッズ5選

    6月から9月くらいにかけての暑い時期に心配なのが、熱中症です。直射日光を浴びる外出時だけではなく室内でも熱中症になる危険性があります。さらに、温度への感覚機能が低下している高齢者は、熱中症になるリスクも高いとされており、特に注意が必要です。今回は、熱中症が起こる原因と予防におすすめの対策グッズをご紹介します。利用者さんに健康で快適に過ごしてもらえるよう、熱中症についてきちんと理解しておきましょう。

    知っておこう!熱中症はなぜ起こる?

    人間の体には、暑いときに汗を出すなどして体温を調整する機能があります。しかし外気が皮膚の温度を超える、湿度が高いなどの理由で、熱を放出できなくなることがあります。これが熱中症です。

    <熱中症の症状と重症度>
    軽度…めまい、立ちくらみ、筋肉痛
    中等度…頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感
    重傷…意識障害、けいれん、高体温

    高齢者は体温調節機能が低下しているため暑さを感じにくい、体の水分量が少ない、のどの渇きを感じにくいといった理由から、若い世代よりも熱中症になりやすい傾向にあります。実際に熱中症で搬送されるのは、半数以上が65歳以上の高齢者です。外出時はもちろん、室内で過ごすとき、お風呂や就寝時といった場面でも、周りの人が注意しておく必要があるでしょう。

    首や頭を冷やす、保冷剤…高齢者の熱中症対策おすすめグッズ5選

    おすすめの暑さ対策グッズの中でも、ランキング上位のものをまとめてご紹介します。

    高齢者の熱中症対策におすすめ1.ネックアイスリング

    熱中症対策には、首を冷やすのが有効です。首には頸動脈という太い血管があるため、この部分の温度を下げることで、体の体温を下げることができます。
    「アイスリング」は、首にかけて使用するクーリングアイテム。冷凍庫で10分もしくは冷水で15分冷やすだけで凍結し、適度な冷たさが持続。首元につけておくだけで体を冷やすことができます。大人用でも85グラムほどと軽量なので、首の負担もほとんどありません。繰り返し使えるのもうれしいポイントです。

    コスミックネックアイスバンド

    高齢者の熱中症対策におすすめ2.冷却スプレー

    頭に熱がこもるときには、後頭部を冷やすグッズで熱中症対策をしましょう。この「頭を冷やすスプレー」がは、-30℃の冷気が出て、一気に頭の熱を冷やすことができます。速乾性があるため、スプレーのあとに頭皮がべたつくこともなく、すっきりとした使用感です。

    アイスノン 頭を冷やすスプレー

    高齢者の熱中症対策におすすめ3.ひんやりブランケット

    高齢者の方は、暑いのに「寒い」と言うこともあるかもしれません。これは加齢で暑さを感じにくくなってくるためです。そんなときは、ひんやりとした素材のブランケットやタオルケットを使うのがいいでしょう。肌に触れるとひんやりと気持ちがいい素材が使われており、冷房や扇風機の風をよけつつも暑さ対策をすることができます。

    タオルケット 夏用 ひんやり

    高齢者の熱中症対策におすすめ4.冷感タオル

    首元を冷やすアイテムには、冷感タオルもあります。冷却タオルやクーリングタオルとも呼ばれ、濡らして絞り、振るだけで、簡単にひんやり感を得ることができるというもの。ひんやりした状態で首に巻いておけば、簡単にクールダウンすることができるでしょう。肌に触れるものなので、つるつるとして肌触りの良いポリエステル素材のものを選ぶのがおすすめです。

    uluhana ひんやり冷却タオル ボトルケース付 90x30cm (オレンジ)

    高齢者の熱中症対策におすすめ5.保冷剤

    体温を下げたい部位には、保冷剤を当てて熱中症対策しましょう。熱を下げやすいのは、額やわきの下、足の付け根、首です。肌に直接当てると低温やけどを起こす可能性があるため、タオルやハンカチに包むようにしましょう。冷凍庫で冷やして使うのが基本ですが、最近は叩くだけで冷たくなるものも販売されています。保冷剤がない場合は、冷却シートで代用するのもいいかもしれません。

    わきの下冷却 わきアイス 大人用2 男女兼用 WIL2-24

    高齢者の熱中症対策はアイテムを賢く活用

    熱中症対策は、高齢者施設での夏の重要課題です。気温や湿度のチェックやこまめな水分補給などにより、スタッフが一丸となり、夏の暑さと付き合っていく必要があるでしょう。最近は熱中症対策ができるアイテムが多数登場しています。賢く活用して、熱中症リスクから高齢者を守りましょう。

  • 入浴介助に役立つ便利グッズ・ウェア7選|介護者も利用者さんも快適に

    入浴介助に役立つ便利グッズ・ウェア7選|介護者も利用者さんも快適に

    入浴は身体を清潔にするだけではなく、癒しやリラックス効果もあり生活の中でも大切な時間です。しかし、高齢者の入浴には転倒やケガなどのリスクが高いのも事実。そこで今回は、高齢者の入浴介助の際に、本人や介助者の負担を軽減し、安心して入浴ができるようにサポートする便利グッズを紹介していきます。介護施設などで高齢者の入浴介助をしている方は、ぜひ参考にしてみてください。

    椅子に座ることで身体を安定させる「介護用シャワーチェア・シャワーキャリ―」

    介護用シャワーチェアとは、いわゆるお風呂椅子のこと。脚力が低下して、洗い場に腰を下ろしたり椅子から立ち上がったりすることが困難になった方、ふらつきがちで転倒しやすい方をサポートするグッズです。シャワーチェアに座ることで、姿勢が安定し身体を洗いやすくなります。

    シャワーキャリ―は、お風呂場などの水回りで使用できる車椅子のこと。自力で歩くことが困難になった利用者さんを、シャワーキャリ―のまま部屋から脱衣所や浴槽へと移動させることが可能なグッズです。シャワーキャリ―に乗ったまま、シャワーを浴びることもできるので、利用者さんを車椅子から移乗する必要がなくなり介護スタッフの入浴介助の負担を軽減できます。

    浴槽の出入りを安全に「浴槽手すり」

    浴槽手すりとはその名の通り浴槽に取り付ける手すりのことで、浴槽での転倒防止に役立ちます。工事不要で浴槽に後付けすることも可能。浴槽をまたいで出入りする際に、手すりで身体を支えながら入ることができる便利グッズです。また、入浴中も掴んでおくことで、溺れるリスクを下げることができるでしょう。

    座ったままで浴槽の出入りを可能にする「バスボード」

    浴槽の端から端に渡し、置いて使う板をバスボードといいます。バスボードは、利用者さんが浴槽をまたいだり自力で立ったりする動作に不安がある場合におすすめのグッズです。座った姿勢のまま浴槽の出入りを可能にするため、手すりでは不安のある方でも安心して入浴できます。

    介護スタッフの負担がかなり軽減する「入浴用リフト」

    利用者さんが、手すりやバスボードを使っても浴槽に出入りすることが困難な場合におすすめなグッズが入浴用リフト。入浴用リフトとは、利用者さんを乗せたまま電動でシートが昇降する機械です。浴槽への出入りを安全に行えることと、介護スタッフの入浴介助の負担を軽減することができます。

    高齢者の転倒防止「滑り止めマット・すのこ」

    洗い場や浴槽は滑りやすいため、滑り止めマットを敷いておくと安心です。また、脱衣所と浴室に段差がある場合は、すのこを敷くのがおすすめ。すのこには高さを調節できる商品もあるので、入浴介助する際の移動もスムーズになるでしょう。

    「入浴介助ベルト」

    入浴介助での利用者さんの起立や移乗などを行う際に、介護スタッフの負担を軽減させることができるグッズです。持ち手のある腰ベルトを利用者さんが装着することで、介護スタッフは力を入れやすくなりより安全に入浴介助することができます。

    介護スタッフも快適に「撥水性のエプロン・ウェア」

    入浴介助をするときは、濡れてもいい服装で行うことが基本ですが、濡れてもいいとはいえ、実際に服が濡れてしまうと介助しにくくなっていまいます。そんなときに、服の上から着用できる撥水性のエプロンを持っておくと服が濡れにくいので便利です。また、エプロンを使わず、撥水性のシャツやパンツなどのウェアを着るのもよいでしょう。忙しくて着替えるタイミングがない方や、訪問介護士の方などにおすすめのグッズです。

    安心安全で負担の少ない入浴介助をしよう

    高齢者の入浴介助におすすめの便利グッズを7つ紹介しました。入浴介助に便利グッズを取り入れるだけで、介護スタッフにかかる負担を減らすことができ、さまざまな危険を回避することができます。利用者さんの身体の状態に合わせて最適な入浴用品を選び、安心快適な入浴ができるような環境を整えましょう。

  • 入浴介助に便利なサンダル5選!滑らない、脱げにくいおすすめを紹介

    入浴介助に便利なサンダル5選!滑らない、脱げにくいおすすめを紹介

    介護施設での仕事の中で、必要不可欠なケアの1つが入浴介助です。入浴には、利用者さんの身体を清潔に保ち感染症などを予防する目的があるほか、リラックス効果もあるなど、重要な役割があります。

    お風呂は足元が滑りやすいため、事故防止のためスタッフは履物を使用することがあるでしょう。そこで今回は、入浴介助におすすめのサンダルを5つピックアップしてご紹介します。「滑らない」「脱げにくい」に注目して選んだので、ぜひ参考になさってください。

    お風呂での入浴介助はサンダル選びに注意!ケガをしないために

    入浴介助では、利用者さんを支えながら浴室内を移動します。浴室や脱衣所は、水や石鹸などで転倒しやすいため、利用者さんもスタッフも滑らないよう一層の注意が必要です。濡れても滑りにくいゴム製の履物を使用して、足元をしっかり支えましょう。

    また、車いすやストレッチャー、椅子などが足に乗ってしまうなどケガをする可能性も。靴やサンダルを履いておけば、足を保護できるといった点でも安心です。

    次からは、入浴介助におすすめのサンダルを5つピックアップしてご紹介します。どんなものを選べばよいか知りたい方や、滑らないサンダルをお探しの方、買い替えを検討されている方などは参考にしてみてください。

    おすすめ1 滑り止め効果が高い特殊ソール「フットマーク ワークサンダル」

    介護用品メーカーのFOOTMARK(フットマーク)の商品、ワークサンダルは、り止め効果の高い特殊なソールのサンダルです。甲やつま先はしっかり覆われたデザインで、左右両サイドに空いた穴から空気や水が抜けやすくなっています。取り外し可能なインソールが付いていて、足にフィットするため疲れにくいなど、室内で使用する際でも快適なつくり。履きやすいサンダル型ですが、深めのかかとなので脱げにくい点も特徴です。

    <商品概要>
    商品名:ワークサンダル
    メーカー:フットマーク株式会社
    価格:3,960円(税込)

    おすすめ2 ヘルパーさんの声を反映「HyperV PitattoⅢ」

    HyperV PitattoⅢ(ハイパーブイ ピタットスリー)は、ヘルパーさんの声を元に開発された入浴介助用サンダルです。EVA素材で作られた軽量サンダルで、底のグリップが強力で滑らないことを目標に開発されたとのこと。スムーズな移動を可能にし、縦横斜めすべての方向で止まりたいときにしっかり止まれる構造です。とくに水や石けん水、油などで濡れた床で効果を発揮します。つま先が覆われたデザインのため、安全性が確保されているのもポイントです。

    <商品概要>
    商品名:Hyper V pitattoⅢ
    メーカー:日進ゴム株式会社
    価格:4,510円(税込)

    おすすめ3 快適さと安全性を重視「クロックス スペシャリスト ベント」

    crocs(クロックス)スペシャリスト ベントは、医療用のワークシューズです。「疲れにくさ」と「安全性」を重視して作られており、水で濡れた床でも摩擦力の高い靴底がしっかりと安定感をサポートしてくれます。ヒール部分に高さがあることで、フィット感とホールド感が高くなり、脱げにくいのもポイント。側面に空いた穴から空気や水が出やすいほか、速乾性のあるクロスライト素材が特徴です。

    <商品概要>
    商品名:SPECIALIST II VENT CLOG(スペシャリスト2.0 ベント クロッグ)
    メーカー:crocs(クロックス)
    価格:4,950円(税込)

    おすすめ4 柔らかさと軽量感で人気!「エバロンサンダルSA-3」

    evaron(エバロン)サンダルSA-3は、足にフィットする柔らかさが特徴のサンダルです。片足90グラム~と超軽量で、エバロンサンダルの中でも定番モデルとして人気が高くなっています。つま先が守られたデザインですが、甲とサイドに空気穴が開いているため、水が抜けやすく通気性抜群なのがポイント。カラーが複数あるので、自分の好みの色を選んで楽しめます。

    <商品概要>
    商品名:evaronサンダル SA-3
    メーカー: ヒカリ技研工業株式会社
    価格:2,420円(税込)

    おすすめ5 入った水が抜けやすい「ナースリー EVAサンダル 2トーンカラー」

    EVAサンダル2トーンカラーは、NURSERY(ナースリー)オリジナルのサンダルです。凸凹したインソールは、足裏に心地よい刺激を与えて歩きやすく、取り外しが可能。インソール取り外し穴からすぐに水が抜けるため、入浴介助でも使いやすいと介護スタッフから好評です。ツートーンカラーでおしゃれが楽しめるデザインもポイントとなっています。

    <商品概要>
    商品名:EVAサンダル 2トーンカラー
    メーカー: NURSERY
    価格:1,639円(税込)

    入浴介助では自分に合ったサンダルを用意して取り組もう!

    入浴介助は、利用者さんに気分よく日常生活を送っていただくため、ケアの1つとして欠かせないもの。滑らない、脱げにくいサンダルは、利用者さんとスタッフをともに安全面で支えてくれる、大切なアイテムです。しっかりとスムーズに介助を行えるよう、自分に合ったサンダルを用意して取り組みたいですね。

  • 入浴介助におすすめ!撥水パンツ8選

    入浴介助におすすめ!撥水パンツ8選

    利用者さんのリラックスタイムになる入浴時間。介護スタッフにとってはお湯に濡れることや浴室の暑さとの闘いでもあります。普段お仕事ではいている長ズボンではびしょ濡れになってしまうため、入浴介助向けの撥水パンツがあるとありがたいですよね。そこで今回は介護スタッフの方におすすすめの撥水パンツを8つご紹介します!各メーカーから撥水機能にこだわったパンツが発売されているので、介護スタッフの方はぜひ参考にしてみてくださいね。

    高いストレッチ機能で動きやすい!制服専科「入浴介助用パンツ」

    スポーツウェアでおなじみのMIZUNOから入浴介助用のパンツが登場。撥水加工に優れた素材を使用し、ストレスなくケアにあたれます。またMIZUNOならではのストレッチ性の高い素材とデザインで、介助時に動きやすいのも魅力です。S~3Lまでサイズ展開しており、男女問わず着用できます。

    詳細はこちら
    https://item.rakuten.co.jp/suzukiseni/chi-mz0198-mz0201/

    短パンの下にサッとはける!ナースリー「入浴介助レギンス」丈の短いものが多い介助用パンツでは

    膝下がむき出しになってしまい、抵抗感を覚える方もおられるでしょう。そのような方におすすめなのが、ナースリーから販売されている「入浴介助レギンス」です。表面は撥水加工がしてあり、肌面は接触冷感で快適に過ごせます。足首まで隠れる10分丈なので、足を見せたくない方にもうれしいデザインですね。

    詳細はこちら
    https://item.rakuten.co.jp/kokohaku/15480/

    撥水性に優れたポリエステル100%!SUNWORK UNIFORM「ホワイセル撥水ハーフパンツ」

    ポリエステル100%で撥水性に優れたメッシュ素材を採用したハーフパンツ。通気性にもすぐれ、汗をかいてもサラサラとした着心地です。またウエストゴムなので動きやすく、快適に過ごせます。SSから4Lまで幅広いサイズ展開で男女共に使用できるのも魅力です。

    詳細はこちら
    https://item.rakuten.co.jp/sunwork-exp/220-wh90256/

    2年かけて開発された撥水パンツ!前後前「入浴介護ハーフパンツ」

    素材や使い勝手にこだわって開発されたこちらの撥水パンツ。両面撥水加工がほどこされており、水をしっかり弾きます。また蒸れにくく、汚れにくい生地なので、暑い浴室内でも快適に動けます。背面にはポケットがあり、介護に必要な便利グッズを収納可能です。

    詳細はこちら
    https://item.rakuten.co.jp/zengozen/u-2447-674057-3456a/

    ショートパンツで動きやすく!esuCa「入浴介助用パンツ」

    何かと濡れてしまう入浴介助時には、ショートパンツが動きやすいと感じる方もいますよね。同商品は股下13~18センチのショート撥水パンツです。ポリエステル90%、綿10%の素材を採用し、静電・撥水機能に優れています。下着が透けにくいネイビーカラーで、男女共に着用できるデザインです。

    詳細はこちら
    https://item.rakuten.co.jp/iwaki-uni/esuca1591/

    長めの膝丈デザインで安心!esuCa「入浴介助パンツ」

    通気性・撥水性にすぐれた同商品は、股下33~38センチと一般的な撥水パンツよりも長めのデザイン。「できるだけ足を出さない撥水パンツがほしい」と思う方から選ばれています。両サイドにポケットがあり、機能性にも優れている商品です。

    詳細はこちら
    https://item.rakuten.co.jp/iwaki-uni/29cr515/

    スポーツにも介護にも!ユニクロ「ドライEXショートパンツ」

    スポーツ時の着用を想定してデザインされた、速乾性に優れたショートパンツです。ストレッチが効いていて、動きやすさが魅力。撥水機能はありませんが、汗をかいてもすぐ乾く通気性の良さも好評で、入浴介助で着用するスタッフもいるようです。

    詳細はこちら
    https://www.uniqlo.com/jp/ja/products/E433055-000/00?colorDisplayCode=69&sizeDisplayCode=004

    耐久・撥水性が魅力!ワークマン「MOVE ACTIVE CYCLE耐久撥水CYCLEミドルパンツ」

    作業服やアウトドアウェアで有名なワークマンが販売するミドルパンツは、耐久・撥水性に特化したデザイン。サイクリングをする人に向けて作られたデザインなので、動きやすさと機能性に優れています。入浴介助用の撥水パンツではありませんが、撥水機能があるので、入浴介助時にも使いやすいでしょう。

    詳細はこちら
    https://workman.jp/shop/g/g2300021427106/

    入浴介助用の撥水パンツでケアが快適に!

    今回は入浴介助におすすめの撥水パンツを8つご紹介しました。入浴介助は「びしょ濡れになって不快」「エプロンは暑いし、着替えが面倒」と感じる方が多くいます。入浴介助用の撥水パンツなら、普段通りに動けるにも関わらず濡れる心配がなく、ケアに集中できますよね。介護施設や訪問介護などで入浴介助をしている方は、撥水パンツを着用してみませんか?

  • 高齢者のパジャマ選び【男性編】夏用パジャマおすすめは?

    高齢者のパジャマ選び【男性編】夏用パジャマおすすめは?

    夏場は部屋の中にいても暑く、寝苦しくて汗をかいてしまうことがありますよね。特に介護度の高い、70代や80代などの高齢男性の中には、パジャマで過ごす時間が長い方もいらっしゃいます。ぜひとも着心地のよいパジャマを着てほしいですよね。
    そこで、今回は高齢男性向けの夏用パジャマを6つご紹介します。夏でも快適に過ごせるパジャマを選ぶときのポイントについても紹介するので、ぜひご一読くださいね。

    高齢者のパジャマ選び【男性編】夏用パジャマ、選び方のポイントは?

    高齢者パジャマで男性向けのものを選ぶときのポイントはなんでしょうか?2つの観点に注目して紹介していきましょう。

    素材

    高齢者の夏のパジャマ選びにおいて、男性・女性ともに大切にしたいのは「素材」です。
    夏は、汗をかいてもすぐに放湿できる[btp_line]ガーゼタイプ[/btp_line]がおすすめ。独特のシャリ感が魅力の麻を使ったパジャマも、夏用パジャマとして人気があります。

    介護のしやすさ

    介護度に応じて、介護用にデザインされたパジャマを選ぶのもよいでしょう。自分で脱ぎ着できる方はボタンタイプの前開きパジャマを、指が上手に動かせない方はテープタイプの前開きパジャマがおすすめです。寝たきりの場合には、着脱しやすいフルオープンタイプや、浴衣・甚平のタイプが向いています。トイレ介助や点滴など、ケアがしやすいかどうかで選ぶと介護者の負担も軽減可能です。

    高齢者におすすめのパジャマ6選【男性編】夏にぴったりの1着は?

    では、高齢者の男性におすすめの夏用パジャマを6つ紹介していきましょう!

    フルオープンで着脱楽々♪ハナサンテラス「フルオープン介護パジャマ」

    見た目は普通のセパレートタイプですが、シャツの前面、腕、ズボンの股、股間に綿ファスナーがついており、寝たきりの高齢者の方でも簡単に着脱できるパジャマです。排泄介助の際にもスムーズに着脱しやすいため、自分でトイレに行けるシニア男性にもうれしい設計になっています。春・夏・秋と長く着られるのもいいですね。

    詳細はこちら
    https://item.rakuten.co.jp/hashbaby/hana031/

    シニア向けルームウェアでも違和感のないメンズパジャマ!笑和生活「紳士用ねまき」

    ガーゼ生地と本体を一体化させ、丈夫さと肌触りを追求したパジャマ。一般的な甚平は背中に縫い目があり、これが床ずれの原因になることもあります。しかし同商品は介護を想定し、背中に縫い目が出ない縫製方法を採用しているので、介護度の高い方向けのパジャマとしてぴったり。男性が春・夏通して着られるすっきりとしたデザインです。

    詳細はこちら
    https://item.rakuten.co.jp/syouwa100/921100/

    認知症のシニアにも!まごころショップ「介護用つなぎ服パジャマ」

    高齢者介護に特化したつなぎタイプのパジャマです。春・夏・秋の季節で心地よく着ることができる綿100%の素材になっています。1人では開けにくいタッチホックタイプのパジャマで、オムツいじりを防止。また床ずれが起きにくい縫製で、寝たきりの方にもおすすめのパジャマです。

    詳細はこちら
    https://item.rakuten.co.jp/ekaigoshop/1480084/

    浴衣タイプで介護も簡単に!サカエ屋3番館「紳士介護用おねまき」

    綿100%で、裏地にガーゼ素材を用いている浴衣タイプの高齢者用パジャマです。白地に紺の柄で、男性の夏用パジャマに最適。袖の下部分がホックで外せるので、注射や点滴が必要なときにも楽に処置できます。左右の合わせ目を紐で結べるようになっているので、帯紐がなく、ウエスト周りも楽に過ごせるデザインです。

    詳細はこちら
    https://item.rakuten.co.jp/sakaeya3bankan/kaigonemaki3p/

    半袖パジャマで快適に!TCマート「前開マジックテープパジャマ」

    ガーゼ100%の高齢者用パジャマで、春・夏に着られるデザイン。着脱しやすいマジックテープを使用した前開きタイプです。介護用パジャマは長袖が多いのですが、同商品は半袖タイプなので、暑がりの男性にも喜ばれるでしょう。足口にはゴムが入っており、転倒防止にも配慮されています。

    詳細はこちら
    https://item.rakuten.co.jp/tc-mart/c0660/

    おしゃれなストライプ♪パジャマ屋「長袖メンズパジャマ」

    モダンなストライプが印象的なデザイン。2重ガーゼを採用しているため、汗をかいてもサッと放湿されます。刺激の少ない縫製で、敏感肌の高齢者の男性も夏中気持ちよく着られます。

    詳細はこちら
    https://item.rakuten.co.jp/pajamaya/20811416/

    高齢者向けパジャマで男性も夏を快適に!

    今回は高齢者の男性向けの夏用パジャマを6つご紹介しました。機能性に優れ、介護もしやすい男性用パジャマはたくさんあります。暑さが厳しい夏は、通気性に優れたパジャマで快適に過ごしてほしいもの。介護度や症状に合わせて、ぴったりの夏用パジャマを選んでみてください。ケアする方もされる方も快適なデザインで、暑い夏を乗り越えましょう!

  • 高齢者のパジャマ選び【女性編】夏用パジャマおすすめは?

    高齢者のパジャマ選び【女性編】夏用パジャマおすすめは?

    夏の暑さに寝苦しさを感じる方は少なくありません。介護を要する高齢者の方にとっては、特にパジャマで過ごす時間は長く、より快適な素材が求められます。快適に過ごしていただくためにも、着心地が良い夏向けの涼しい素材を選びたいですね。そこで、今回は女性高齢者におすすめの夏用パジャマを6つご紹介します。選び方のポイントも紹介していくので、介護者のご家族や介護スタッフの方はぜひチェックしてくださいね。

    高齢者のパジャマ選び【女性編】夏用パジャマ 選び方のポイントは?

    高齢者のパジャマで女性が夏も快適に着られる一着を選ぶには、どのようなことに気を付けたらいいのでしょうか?

    素材

    シニア用のパジャマを選ぶときは素材に注目しましょう。肌触りがよく、着用する方が快適に過ごせる素材を選びます。汗をかきやすい夏は、洗濯・乾燥しても傷みにくく、縮みにくいガーゼ素材のパジャマがおすすめです。
    麻のパジャマも、放湿性に優れていて独特のシャリ感があり、涼しく過ごせます。

    介護のしやすさ

    パジャマを着るご本人だけでなく、[btp_line]介護者の目線でのパジャマ選び[/btp_line]も大切です。自分で脱ぎ着できるときは、ボタンタイプのパジャマがよいでしょう。自分では脱ぎ着が難しい場合、介護者が脱ぎ着させやすいファスナー、テープタイプや、かぶるタイプのパジャマがおすすめです。
    寝たきりの時間が長い方は、浴衣タイプのパジャマが着脱しやすいので、介護する側もされる側も負担が少ないです。

    高齢者のパジャマ選び【女性編】おすすめの夏用パジャマ6選

    ここからは高齢者におすすめの女性夏用パジャマを6つご紹介します!

    安定のブランド力♪SHIROHATO「シャツパジャマ」

    女性用下着で有名なワコールから、快適な女性夏用パジャマが出ています。「睡眠科学」の3要素である「肌への心地よさ」「動きの心地よさ」「温度の心地よさ」をバランスよく取り入れていた綿混のパジャマです。前開きのボタンタイプで脱ぎ着しやすく、介護度が重くなっても安心して着られます。

    詳細はこちら
    https://item.rakuten.co.jp/shirohato/40ydu350/

    面ファスナーで着脱楽々♪ハナサンテラス「介護パジャマ」

    前開き部分に面ファスナーを用いた高齢者向けの春・夏・秋用パジャマ。伸縮性のある天竺ニットが使用されているので、夏を快適に過ごせます。手先の運動が難しい方でも脱ぎ着しやすく、介護スタッフの負担も軽減できるでしょう。ウエストは調整ゴム付きなので、ぴったりのサイズに調整可能です。

    詳細はこちら
    https://item.rakuten.co.jp/hashbaby/yzenkai-w/?scid=s_kwa_pla_unpaid_302782

    甚平タイプで華やかに♪あいらしか「二重ガーゼお寝巻き」

    甚平タイプの二重ガーゼパジャマが女性向けにデザインされた商品。ピンク、パープル、ブルーの3色から選べ、かわいい花柄が特徴です。夏にぴったりの二重ガーゼで肌触りもよく、涼しさを感じられます。高齢者のパジャマとしてだけでなく、女性の夏用部屋着としてもぴったり。日本で生産されたパジャマです。

    詳細はこちら
    https://item.rakuten.co.jp/komesichi/10014867/?scid=af_pc_etc&sc2id=af_115_1_10000478

    低身長の女性にぴったり♪ココチのくらし雑貨店「小柄な私の花柄パジャマ」

    高齢者の中には小柄な方も多いはず。低身長の方にぴったりのパジャマは意外と少ないものですよね。そこで、低身長の女性向けの小柄なパジャマを紹介します。同商品は146~154センチの方向けに、着丈や身丈が余らないようにしたデザインの春・夏・秋用のパジャマです。パンツの裾はゴムで絞ってあるので、裾を引きずることもなく、転倒のリスクも防げますよ。

    詳細はこちら
    https://item.rakuten.co.jp/r-e-zakkaya/134247012/

    高身長の方にも体型が気になる女性も♪パジャマ屋「長袖レディースパジャマ ノビーゼ」

    肌触りを重視する高齢者の方におすすめしたいのが、ストレッチのきいた二重ガーゼのパジャマ。S・SB・M・MB・L・LB・LTと身長や体型に合わせた7種類のサイズを展開しているのが特徴です。一般的な襟付き、前開きボタンのシンプルなデザインなので、高齢者向けパジャマとして男性・女性ともに夏にも着られるおしゃれな一着となっています。

    詳細はこちら
    https://item.rakuten.co.jp/pajamaya/21051511/

    オールシーズン活躍♪SHIROHATO「今治ガーゼタオルパジャマ」

    80代女性の方には喜寿をお祝いするときに、ガーゼパジャマはいかがでしょうか。今治タオルの技術を集めた心地よいタオルパジャマで、男女問わずオールシーズン着用でき、夏でも冬でも快適な温度を保ちます。ガーゼ特有の放湿・速乾性で、汗を素早く吸い取る機能もある優れものです。

    詳細はこちら
    https://item.rakuten.co.jp/shirohato/c06hl01113/

    高齢者のパジャマ選び!女性向け夏用パジャマは快適な素材を♪

    今回は高齢者のパジャマ選びで、女性向けの夏用パジャマをご紹介しました。特にガーゼのパジャマは肌触りもよく、夏でも涼しさを感じられるおすすめの素材です。パジャマで過ごす時間の長い高齢者の方には、快適な素材のパジャマを選びましょう。また介護者の方は、ケアしやすいデザインにもこだわってみてくださいね。

  • デイサービスの送迎を効率化する方法とは?最適ルート作成のコツもご紹介

    デイサービスの送迎を効率化する方法とは?最適ルート作成のコツもご紹介

    デイサービスやデイケア業務のひとつである送迎。業務の中で多くの時間を費やす送迎を負担を感じている介護スタッフも多いようです。この記事では、デイサービス・デイケアの送迎効率をアップさせるコツをご紹介。最適ルートの作成方法や、注意点、ITを駆使した方法も解説しています。デイサービスでの送迎をもっと効率的にしたい!とお考えの介護スタッフの方は、ぜひ参考にしてみてください。

    デイサービス・デイケア送迎効率化の鍵はルート作成!

    デイサービスやデイケアでの送迎を効率化させるためには、[btp_line]ルート作成が重要[/btp_line]です。利用者さんを安心・安全に送り届けることの次に大切な要素と言えるでしょう。デイサービス・デイケア利用者さんの住む場所だけでなく、要介護状態にも配慮したルートで送迎することがポイントになります。同じ場所を送迎車両で行ったり来たりする、利用者さんのADLに応じて席を変更しなければならない、といった時間ロスの発生が少ないルート作成を目指しましょう。

    距離と時間に配慮した送迎ルートの作成方法と注意点

    では、効率的な送迎ルートの作成はどのような方法で行えばよいでしょうか。注意点も踏まえて確認しておきましょう。

    事業所を中心に移動距離が最も少ないルートを目指す

    ルート作成をする際は、まず事業所から最も遠い利用者さんの自宅を把握するとことろから始めます。そして、一番遠い利用者さん宅から事業所へ戻る道順で、他の利用者さんをお迎えできるようにプランを立てていきましょう。あまりにもルートから離れた場所に利用者さんがいる場合は、他ドライバーのルートに組み込めないか相談することも大切。可能であれば、利用日の変更をお願いすることも視野に入れ、送迎ルートを作成しましょう。広範囲に住む利用者さんを受け入れている場合は、地域ごとに利用者さんを分け、月曜日はA地区、火曜日はB地区など割り振る工夫もおすすめです。

    しかし、利用者さんのADL状況によって、スムーズに乗車させることができないケースも発生します。車いすからの移乗介助が必要な方、車いすごと移動する方は、座る席の位置や車いすを乗せるスペースの確保などへの配慮が必要です。効率良く送迎できるよう、車両の選択や、移動の必要がない席順で座っていただけるよう注意しておきましょう

    ルートが作成できたら送迎表に分かりやすくまとめる

    効率的なルートが決まったら、送迎表にまとめていきます。他の介護スタッフが把握できるよう、分かりやすい送迎表にすることが大切です。とくに注意してまとめるべき項目を下記に記載しました。パッと見て分かる送迎表を目指すために、最低限記載する項目と覚えておくと良いでしょう。

    • デイサービスへの到着時間
    • デイサービスの出発時間
    • 利用者さん宅への到着時間
    • 車いすなどの送迎方法

    余裕を持った時間設定にする

    送迎ルートの時間設定には余裕を持たせておきましょう。基本的に玄関までの送迎がほとんどですが、利用者さんにより、ベッドに横になるまで介助してほしいといった要望がある場合も。どこまで介助するのか、事前に利用者さんと相談しつつ、スケジュールに組み込む必要があります。しかし実際には、思いのほか移乗介助に時間がかかってしまった、道路状況により遅れてしまったなどのアクシデントが発生することも少なくないでしょう。時間に余裕のあるルート作成を行うことで、イレギュラーな出来事にも対応しやすくなるため、ぜひ心がけてみてください

    また、利用者さんの利用中止により隙間時間が出てしまう、新規利用者さんの送迎を追加してほしいなど、急なルート変更を求められるケースもあります。お断りすることがないよう、臨機応変に対応できるスケジュール管理を行いましょう。
    利用者さんには、あらかじめ時間に幅を持たせた到着時間をお知らせすることも工夫のひとつ。「迎えに来ない!到着が遅い!」といった苦情も防ぐこともできます。

    ITの力で送迎ルートを作成する方法もおすすめ

    送迎ルートを作成する手間を効率化させたい!という場合は、送迎システムと呼ばれる専用ソフトがおすすめです。デイサービスやデイケアの送迎ルートを自動で作成してくれるため、大幅に作業を減らすことができます。では送迎システムについて特徴やメリットをご紹介しましょう。

    経験の浅いドライバーも効率的な送迎ができる

    送迎システムは、利用者さんの住所や送迎指定時間、車いすの有無など必要な情報を入力するだけで、[btp_line]効率的な送迎ルートを自動作成[/btp_line]してくれます。利用者さんごとに制約条件が多い場合も、ドライバーの経験が浅い場合も、素早く正確なルートを提示してくれるため非常に便利です。

    リアルタイムの送迎状況を他スタッフと共有できる

    送迎中は運転をしている、もしくは利用者さんの対応をしている場合が多いため、送迎状況を施設にいるスタッフに随時連絡することは困難です。施設に送迎状況の問い合わせがあっても、最新の情報がないのですぐに対応することができません。
    送迎システムでは、送迎状況を施設スタッフとリアルタイムで共有することが可能です。どこを走っているのかなど、自由に施設側も確認することができるので、利用者さんからの問い合わせ対応もスムーズに行うことができるでしょう。

    利用者さんに質の高いケアを提供しやすくなる

    送迎業務が円滑にできれば、職員の負担が軽減します。時間にも余裕が出るため、そのぶん利用者さんへの対応に時間を費やすことができ、質の高いサービス提供につながるでしょう。送迎システムは介護スタッフだけでなく、利用者さんにとってもメリットのある介護ソフトと言えます。

    時間も心も余裕の出るルート作成で円滑に業務をこなそう!

    デイサービスやデイケアの送迎業務を効率的にする方法をご紹介しました。円滑に仕事をする鍵は、最短距離で回ることができる送迎ルートの作成です。送迎ドライバー初挑戦の方も、施設が送迎システムを導入していれば安心して業務につくことができるはず。転職の際は、あらかじめ確認すると心強いでしょう。

  • 【介護施設の食中毒】二次感染を防ぐための嘔吐物の処理方法とは?

    【介護施設の食中毒】二次感染を防ぐための嘔吐物の処理方法とは?

    食中毒は、細菌・ウイルス・自然毒など、さまざまな原因により年間を通して起こります。また高齢者は身体の抵抗力が弱まっており、少量の菌やウイルスなどによっても食中毒になりやすいのが特徴。もし介護施設の利用者さんや入居者さんに嘔吐がみられた場合には、食中毒の可能性もあるため迅速かつ適切に処理をしないと、感染を拡大させてしまいます。そこで今回は、介護施設における嘔吐物の適切な処理方法にスポットを当ててご紹介しましょう。

    突然の嘔吐!嘔吐物にはウイルスが含まれている可能性も

    介護施設の利用者さんや入居者さんに突然の嘔吐がみられ、処理をした経験のある方も多いのではないでしょうか。ここでは、嘔吐の処理についての基本情報をまとめました。

    嘔吐の原因に関わらず迅速な処理が必要

    嘔吐には、腎臓病や薬の影響などで起こる中枢性の嘔吐と、消化器疾患など内臓からの反射により現れる末梢性嘔吐(反射性嘔吐)の2種類があります。嘔吐の原因を知るためには、医師による正確な問診が必要になり、嘔吐が起こった瞬間にその原因を判断することはできません。

    もし嘔吐された方が食中毒を発症していた場合、嘔吐物には食中毒の原因となる菌やウイルスが含まれている可能性があります。そのため嘔吐物の処理が不十分だと、嘔吐物を介して、介護施設の他の利用者さんが食中毒を発症する危険性も…。また、高齢者は免疫機能が低下しており、少しの菌やウイルスが体内に入るだけで、食中毒を引き起こす恐れもあります。つまり嘔吐の原因が不明である以上、嘔吐物は適切かつ迅速に処理し、介護施設内での二次感染を防ぐことが重要なのです。

    集団感染の恐れがあるノロウイルスには要注意!

    特に注意したいのが、嘔吐した方がノロウイルスによる食中毒に感染していた場合。ノロウイルスは嘔吐や下痢などを引き起こす感染性胃腸炎の一種です。ウイルスの感染力が非常に高く、接触感染のリスクもあるため、嘔吐物から集団感染につながる可能性もあるでしょう。

    ノロウイルスをはじめ、その他の食中毒に起因した嘔吐物の処理には、次亜塩素酸ナトリウムという消毒剤が有効です。次亜塩素酸ナトリウムとは、身近なものでいうと塩素系除菌漂白剤の主成分としても使われている成分。希釈率を調整することで、幅広い用途に使える消毒液ですが、介護施設での嘔吐物の処理には有効塩素濃度1000ppm(0.1%)以上の希釈液が推奨されています。

    次亜塩素酸ナトリウムは作り置きNG!

    突然の嘔吐に備え、消毒用の次亜塩素酸ナトリウムの希釈液を作り置きしているという介護施設もあるかもしれません。しかし次亜塩素酸ナトリウム希釈液の効果は、時間が経つと弱まってしまいます。消毒効果が薄れた消毒液を用いると、消毒自体が不十分になるだけでなく、消毒作業によって菌やウイルスを広げてしまう可能性も…。そのため、嘔吐処理が必要になったタイミングですばやく希釈液を作りましょう。

    それでは、嘔吐物処理の詳しい手順を紹介します。

    手順1:介護職員はマスク・ガウン・手袋・シューズカバー・メガネを装着

    介護施設での嘔吐物処理に必要なアイテムは以下のとおりです。

    • 手指洗浄剤
    • 手指消毒剤
    • 次亜塩素酸ナトリウム
    • 防護具:保護メガネ、帽子、マスク、シューズカバー、使い捨て手袋
    • 2枚重ねしたポリ袋をセットしたバケツ、ペーパー
    • ガウン
    • 手指用保湿ローションまたは保湿クリーム(必要に応じて)

    介護施設では、食中毒による突発的な嘔吐への対応が必要になるケースも多いため、これらのアイテムを事前に準備しておくとよいでしょう。またアイテムの保管場所についても、介護職員間でしっかり共有しておくのがおすすめです。

    嘔吐物を処理する際には、まず自身への感染を防ぐため、マスク・ガウン・帽子などの防護具を身につけます。次に、複数枚のペーパーを使って、嘔吐物を覆いましょう。

    手順2:嘔吐物を広げないように拭き取る

    ペーパーの上から、中央に向かうように嘔吐物を集め、拭き取ります。嘔吐物を拭き取ったペーパーは、2枚のポリ袋をセットしたバケツの中に入れましょう。ペーパーを入れ終わったら、内側にある1枚目のポリ袋の持ち手をしばり、手袋をはずして手指消毒をし、新しい手袋を装着します。使用済みの手袋は、しばったポリ袋の上に置いてください。

    手順3:次亜塩素酸ナトリウムで消毒

    再度新しいペーパーを敷き、その上から次亜塩素酸ナトリウムをまきます。このとき嘔吐物があった場所のみにペーパーを敷くのではなく、床や壁などできるかぎり広い範囲を処理しましょう。

    そのまま10~15分放置したら、ペーパーを回収し、残った次亜塩素酸ナトリウムを中央へ向かって拭き取ります。その後、薬液残りを防ぐ(※)ため、流水で洗い流す、またはしっかりと水拭きをしてください。
    ※次亜塩素酸ナトリウムには金属を腐食させる作用があるため、液が残ると介護施設の基材を損傷させる恐れがあります。

    拭き取ったペーパー、手袋の順でポリ袋に捨てます。そして、手指消毒をしたら再度新しい手袋を着用してください。

    手順4:嘔吐物を入れたポリ袋を感染性廃棄物として処理

    嘔吐物の処理が完了したら、防護具を脱ぎます。脱ぐ際は、シューズカバー→ガウン→帽子→メガネ→マスクの順で行いましょう。使用済みの防護具を2枚目のポリ袋に入れ、口をしばります。なお、廃棄物からの汚染が危惧される場合の対応として、廃棄物が十分に浸る量の次亜塩素酸ナトリウムをポリ袋に満たす方法も有効です。ポリ袋は、感染症廃棄物として破棄してください。

    処理後はすみやかに手洗いとうがいを行い、体内への菌やウイルスの侵入を防ぎましょう。嘔吐物の処理では手指の洗浄・消毒を繰り返し行うため、手荒れが気になる方も多いようです。そんな方は、保湿ローションや保湿クリームを使い、手指をケアしてください。

    嘔吐物からの二次感染を防ぐには正確な処理がカギ

    嘔吐物には、食中毒の原因となる菌やウイルスが含まれている可能性が否めません。そのため、介護施設の利用者さんや入居さんに食中毒を疑うような嘔吐がみられた場合は、迅速かつ正確に処理を行う必要があります。処理する際は、しっかりと防護具を身につけ、なるべく広範囲に消毒を施しましょう。また処理に必要なアイテムを事前に用意しておくこともお忘れなく!

  • 【介護施設の食中毒】勉強会を開催して介護スタッフ間で手順を共有しよう

    【介護施設の食中毒】勉強会を開催して介護スタッフ間で手順を共有しよう

    食中毒は一般的に、5月から9月頃増加すると言われていますが、寒い時期に活発に活動するウイルスもいるため1年中注意が必要です。介護施設など高齢者が集まる場所で食中毒が発生すると、瞬く間に感染が広がることも。食中毒が疑われる症状が見られたらすぐに対処しなければなりません。そこで今回は、介護施設で食中毒が発生した場合の手順について紹介します。勉強会を行い、スタッフ全員で情報を共有しておきましょう。

    もしかして食中毒?嘔吐や下痢…こんな症状が出たら注意!

    高齢者は、若い方と比べると免疫力が低下している可能性が高く、食中毒を起こすと重症化する恐れがあります。また、たった1人の食中毒症状が、介護施設内にあっという間に広がってしまう…ということも考えられるでしょう。

    感染拡大を防ぐには食中毒を出さない対策が重要ですが、万一発生した際に早めの対応ができるかどうかもポイントになります。ここでは、食中毒がどのくらいの期間で発症するのか、また、食中毒が疑われる具体的な症状についても見ていきましょう。

    食中毒はどのくらいの期間で発症するの?

    食中毒を引き起こす菌やウイルスの種類はさまざまです。原因となる食べ物を[btp_line]食べてからすぐに症状が出るものや、1週間以上経って症状が出るものも[/btp_line]。症状が出るまでの期間を「潜伏期間」と言います。

    具体的に言うと、黄色ブドウ球菌が作る毒素やきのこなどの自然毒由来の食中毒は、食べてすぐに発症する傾向にありますが、ノロウイルスの潜伏期間は24時間から48時間です。カンピロバクターが原因だと、潜伏期間は2日から7日と言われています。

    どんな症状が出る?

    食中毒の主な症状は、吐き気や嘔吐、腹痛、下痢などです。原因となる菌やウイルスによって、症状もさまざまで、発疹や水様性の下痢・血便・発熱・しびれ・倦怠感などが出るケースもあります。

    よく起こる食中毒の主な症状を以下にまとめました。

    原因となる菌・ウイルス症状
    自然毒嘔吐・しびれ
    化学物質吐き気・嘔吐・発疹
    黄色ブドウ球菌やウエルシュ菌吐き気・嘔吐・下痢
    腸炎ビブリオ腹痛・水様性の下痢・吐き気・嘔吐・発熱
    サルモネラ属菌水様性の下痢・腹痛・発熱
    ノロウイルス吐き気・嘔吐・腹痛・水様性の下痢・発熱
    カンピロバクター水様性の下痢・発熱・吐き気・倦怠感
    腸管出血性大腸菌(O157など)水様性の下痢、・血便・腹痛

    原因となる菌やウイルスによって症状が多様であること、潜伏期間の違いについてもスタッフ間で情報共有しておきましょう。いざというときに「これが原因かも…」と原因を突き止めやすくなるかもしれません。

    手順1.利用者さんの症状や施設全体の把握が優先

    介護施設では高齢者が多数集まるため、食中毒には万全の対策を行っているはずです。多くの介護施設では、厚生労働省が公表している「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」をもとに、食中毒の対応していることでしょう。

    このマニュアルでは、感染対策の基礎知識から高齢者介護施設における、食中毒の感染管理体制・職員研修・衛生管理・感染対策・高齢者の健康管理などがこと細かくまとめられています。介護スタッフとして働く際に理解している方も多いと思いますが、この機会に見直しておきましょう。

    ここからは、介護施設で食中毒が発生した場合の対応について詳しく紹介します。初期の手順は以下の通りです。

    1. 症状が出た利用者さん・他の利用者さんの症状把握
    2. 施設内で状況の共有
    3. 感染拡大の防止

    介護施設に入所している高齢者の1人に、嘔吐や下痢の症状が出たとしましょう。まずは、いつから症状が出ているのか、どんな症状が出ているのかを把握してください。同時に、同じような症状が出ている利用者さんが他にいないか確認しましょう。

    利用者さんだけでなく、介護スタッフなどの職員の健康状態をチェックすることも忘れないでください。施設内の感染対策担当職員が、状況を施設長に適宜報告しながら、施設全体の発生状況把握に努めましょう

    施設長から医師や看護職員に治療の依頼を行い、検体の確保や、診察・医療処置が行われます。処置をしながら、看護職員や介護スタッフによって感染拡大防止の対策を実施。消毒や衛生管理の徹底などを行います。

    手順2.自治体や保健所への報告

    食中毒などの感染症発生時の対応フローとしては、基本的には施設内での対応でOKです。しかし、以下のような場合は、自治体や保健所へ報告しなければなりません。

    • 死亡者や重篤患者が1週間に2人以上
    • 感染症が疑われる者が10人、または入所者の半数以上
    • 通常の発生動向を上回り対応が必要な場合

    報告内容は、人数や症状、対応状況などです。もちろん症状が出た場合には、利用者さんのご家族にも報告する必要があります。

    報告を受けた保健所は原因究明のため調査を行い、今後のために指導を実施。調査報告を真摯に受け止め、再発防止に努めましょう。

    手順3.再発防止対策を再確認

    保健所による調査結果が出たら、調査結果をもとに再発防止対策を検討しましょう。保健所への報告義務がない場合でも、食中毒が発生した際には、原因を突き止め、再発防止を図る必要があります。

    食中毒を予防するためには、[btp_line]①病原体の排除②感染経路の遮断③宿主抵抗力の向上[/btp_line]の、3つの要素が欠かせません

    食中毒の感染者が出た場合、感染者の嘔吐物や排泄物、血液などには、食中毒の原因となる菌やウイルスが含まれている可能性があります。絶対に素手で触らず、手袋を着用しましょう。手袋使用後は手洗い消毒も必要です

    食中毒の感染経路は、主に手指や食品、器具などからの接触感染と言われています。病原体を持ち込まない、持ち出さない、拡げないことがポイントです。介護スタッフは普段から利用者さんに長時間接するため、排泄物の処理などの際は必ず手袋を着用してください。

    利用者さんの家族などの面会者やボランティア、実習生にも食中毒の対策について説明する機会を設けても良いでしょう。

    最後に重要なのが、宿主抵抗力の向上です。高齢者は免疫力が低下している可能性があります。抵抗力向上を目的に、十分な栄養管理や睡眠時間の確保、適度な運動を行いましょう。

    介護施設で食中毒が疑われる症状が出たらすぐに対応を

    介護施設では、食中毒などの感染症に対してすでに万全の体制を取っているはずです。しかし、ちょっとした油断で、食中毒が発生してしまうことも。感染拡大を防ぐには迅速な対応が不可欠です。普段から食中毒が発生した際の施設内マニュアルを作成しておいたり、模擬的な訓練を行ったりすると、いざというときに慌てずスムーズな対応ができるでしょう。

  • 介護施設で起こりやすい食中毒とは?5つの事例を紹介

    介護施設で起こりやすい食中毒とは?5つの事例を紹介

    身体の抵抗力が落ちている高齢者が、ひとたび食中毒を発症すると、重症化や死亡のリスクが高まります。そのため介護施設では、細心の注意を払って食中毒予防に努める必要があります。
    そこで今回は、食中毒事故を発生させないために、介護施設などで実際に起きた食中毒事故を紹介。過去の事例から学び、現場に活かしていきましょう。

    介護施設では食中毒が起きやすい?データで見てみよう

    細菌が活発に活動しやすくなるのは、[btp_line]6月から8月[/btp_line]の湿度と気温が高まる季節です。だからと言って、冬には食中毒が発生しないのかというと、そうではありません。ノロウイルスなどは11月から3月頃に多く発生するため、食中毒は1年中注意が必要です。

    厚生労働省が発表した2021年の「原因施設別食中毒発生状況」を見てみましょう。

    全体家庭事業場学校病院飲食店などその他
    件数(件)71710631105565

    発生状況を見ると、やはり家庭や飲食店などで発生することが多いものの、事業場での発生も多くなっています。事業場の中には保育所や寄宿舎、老人ホームなどの介護施設が含まれており、実はその中でもっとも食中毒の件数が多いのは老人ホームです。

    老人ホームでの食中毒発生割合は、全体から考えると2.4%ほどですが、事業場の件数だけで見ると、31件のうちの55%ほど。老人ホームや介護施設などの高齢者施設では、食中毒が発生しやすいことが分かります。

    さて、ここからは、食中毒の原因となる主な細菌・ウイルスと、その発症事例をご紹介します。

    【O157】夏から秋に発生しやすい食中毒

    腸管出血性大腸菌O157は、病原大腸菌の1種で、毒素を作り出し出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群を引き起こします。井戸水・牛肉・ハンバーグ・サラダ・メロン・日本そばなどから検出されたことも。

    腸管出血性大腸菌O157は、[btp_line]しっかり加熱したり消毒薬を使ったりすることで死滅します[/btp_line]。

    2011年に福岡の老人福祉施設で起きた事例では、給食のきゅうりが原因で、利用者さん6人に下痢や血便の症状が出ました。この事例では、きゅうりからのみO157が検出されています。

    原材料をさかのぼって調査したものの、同じような事例はなかったようです。そのため、老人福祉施設で保管・調理する段階で、他のルートからの二次汚染を受けた可能性が高いという結論にいたりました。

    【ウエルシュ菌】煮込み料理が原因になる?!

    ウエルシュ菌は人間の腸管や土などに生息する細菌で、酸素がなくなったり栄養素が不足したりすると芽胞を作ります。芽胞は熱や乾燥、消毒剤にも強く、厳しい環境でも生き延びることが可能です。生育に適した環境になると、発芽して栄養細胞となり一気に増殖する仕組みになっています。

    料理では、カレーや煮魚、野菜スープなどの煮込み料理が原因になることが多いです。すぐに食べないのであれば、芽胞が発芽しないように速やかに冷却しましょう。食品を冷却しないまま室温で長時間放置するのは危険です。

    2016年、大阪の高齢者福祉施設にて発生した事例では、鶏と根菜の煮物からウエルシュ菌が検出され、利用者さん95人が下痢などの食中毒症状を発症しました。原因は、調理してから喫食までに時間がかかったことです。加熱調理終了から配膳までの1時間50分の間は室温で保管され、その後温冷配膳車内で1時間ほど加温されていました。

    検出された菌数はさほど多くなかったようですが、患者さんが免疫抵抗力の低い高齢者だったため、発生した事例とも言えるでしょう。

    【ノロウイルス】冬に多く二次感染の恐れがある

    ノロウイルスは、秋から冬にかけて発生しやすく、感染力が非常に強いのが特徴。主に、ノロウイルスに汚染された二枚貝などの食品をしっかり加熱しないまま食べたり、井戸水を飲んだりすることで感染します。

    ノロウイルス感染者の手や唾液、嘔吐物などから二次感染するケースも。ノロウイルスの感染を防ぐには、食品の中心部までしっかり加熱することが大切です。また、ノロウイルス感染者の看病を行う場合は、汚物処理後に手洗いや消毒を徹底する必要があります。

    2003年、東京の高齢者福祉施設において発生した事例では、3施設にまたがって感染者が出る事態に。初発患者の感染源は不明なものの、発症者が約250人まで広がった原因が、ヒトからヒトへの接触感染だと結論づけられました。

    【カンピロバクター】6月から9月に多発!

    カンピロバクターは、牛・豚・鶏・犬・猫などの腸の中にいる細菌です。カンピロバクターが付いている肉を生で食べる、加熱が不十分だった場合に食中毒が起こります。基本的には空気に触れると死滅するものの、酸素濃度が低いところや低温でも生き残ることが可能です。

    他の細菌と比べると、菌数が少なくても食中毒を発症するため、注意しましょう。発症後、関節炎や顔面麻痺などの神経系の病気であるギラン・バレー症候群を発症するケースもあるようです。

    カンピロバクターによる食中毒を防ぐには、十分な加熱と、調理器具の管理や消毒、食肉調理後の手洗いが有効的。

    2005年、大阪の小学校にて発生した事例では、鶏肉に付着したカンピロバクターが食中毒の原因に。鶏肉はワンタンスープに使われていたもので、加熱は十分に行われていました。しかし、調理前にじゃがいもやエッグサンドの近くに置かれていたことなどが関係し、じゃがいもやエッグサンドが二次汚染され、食中毒が発生したと結論づけられました。

    【サルモネラ菌】乾燥に強い細菌

    サルモネラ菌もカンピロバクターと同じように、牛・豚・鶏・犬・猫などの腸の中にいる細菌で、乾燥に強いのが特徴です。牛や豚、鶏の肉や卵が原因になることが多く、ペットやねずみから菌が付着するケースもあります。

    サルモネラ菌による食中毒を防ぐためには、十分な加熱が必要です。また、生肉や卵を扱った手や調理器具をしっかり洗い、消毒しましょう。卵を生食する場合は、冷蔵庫で保管し、ひび割れのない、期限表示内のものを食べるようにしてください。

    2005年に宮城の高齢者福祉施設で発生した事例では、サラダのかいわれ大根が原因でした。調査にてかいわれ大根が汚染された理由は分からなかったものの、汚染された種子から発芽した場合、可食部も汚染されることから、この事例では種子の汚染が疑われたようです。

    介護施設の利用者さんを食中毒から守ろう

    高齢者は細菌やウイルスに対する身体の抵抗力が低下している方が多いため、介護施設では食中毒に対してより厳密な取り扱いや管理が求められます。ちょっとした不注意によって、介護施設内の利用者さんに感染が広がってしまうかもしれません。食品などの適切な取り扱いと管理方法を、介護スタッフ間で共有しましょう。

  • 高齢者施設はエアコン設定温度に注意を!夏は何度が適温?【夜間編】

    高齢者施設はエアコン設定温度に注意を!夏は何度が適温?【夜間編】

    気温が高くなる季節に、室内で快適に過ごすためには、エアコンが欠かせません。近年は室内であっても熱中症の危険があるため、夏は上手に活用したいところ。とくに、高齢者の熱中症は夜間に起こりやすいため、介護施設などでは1日を通して注意が必要です。そこでこの記事では、高齢者施設の夜間のエアコン設定温度や、安全に過ごす対策などを解説。暑い季節も、利用者さんが安全で快適に過ごせる方法について紹介していきます。

    高齢者は夏の夜にエアコンが欠かせない!その理由とは

    エアコンの使用が欠かせない、日本の夏。しかし、高齢者の中には「エアコンは苦手だからできるだけつけたくない」という方も少なくありません。ご本人の気持ちを大切にしたいところですが、安易に容認してしまうとかえって危険なこともあります。ここではまず、夏のエアコンの重要性について見ていきましょう。

    高齢者に多い!夜間熱中症の危険性

    熱中症とは、高温多湿な環境に長い時間いたために、体温調整機能が働かなくなり、体に熱がこもった状態のことです。日差しが厳しい夏は、とくに熱中症のリスクが高まります。また、日差しがない夜であってもそのリスクが軽減することはありません。こうした原因には、主に次の2つが関係しています。

    1. 日中に天井や壁にたくわえられた熱が夜に放射熱となり室温が上がる
    2. 寝ている間は水分補給ができず、排泄だけになるため脱水状態に陥りやすい

    日中の熱中症であれば、めまいやだるさなどの、初期症状の時点で気づけることもあります。しかし、寝ている最中はこうした変化があったとしても、なかなか気づけないもの。[btp_line]気づいたときには重症化しているケースも[/btp_line]あるようです。

    このように、夏は夜間であっても熱中症のリスクは高い状態が続きます。高齢者の多い介護施設などでは、エアコンを適切な設定温度で活用し、利用者さんを熱中症から守りましょう。

    暑さを感じにくくなっている高齢者も多い

    人は暑さを感じると、脳や皮膚センサーなどを働かせて、体温を調節します。しかし、高齢者は皮膚センサー機能自体が低下することから、暑さを感じにくくなるのです。そのため、本人がどんなに大丈夫と思っていても、実際にはかなり蒸し暑い部屋で過ごしていることも少なくありません。

    高齢者自身がエアコンを適切な設定温度で活用することが推奨される一方で、身体機能の低下がそれを難しくしているのです。こうしたことから、近年は室温が上がると自動的に冷房運転をスタートさせるような見守り機器なども発売されています。

    室温は26℃以下に!夏の夜を快適に過ごせる環境とは

    夜間熱中症を防ぎ、夏の夜を快適に過ごすためには、次のような環境が推奨されています。

    • 室温:26℃以下
    • 湿度:50%~60%

    環境省が推進するクールビズと混同して「室温は28℃が適切なのでは?」という声も耳にしますが、実はこれは間違い。クールビズとは、室温28℃で快適に過ごせる軽装を推奨している活動を指します。つまり、エアコンの設定温度を28℃にするように、という意味ではないのです。

    さらに、たとえエアコンの設温度を28℃に設定していたとしても、室温が28℃になるとは限りません。そのため介護施設では、高齢者の居室などのエアコン設定温度を26℃以下にすることで、[btp_line]夜間も適温を保つことが大切[/btp_line]です。温度計や湿度計などを設置して、こまめに室温を確認しましょう。

    また、気温と湿度、輻射熱(ふくしゃねつ)をとり入れた「暑さ指数(WBGT)」と呼ばれる指標もあります。この指標は、熱中症の危険性を判断する数値を示す「熱中症計」で測れるものもあるため、こうした機器も上手に活用しましょう。

    暑い夜も高齢者施設で安全に過ごす対策とは

    ここからは、暑い夜であっても高齢者が安全に過ごすための対策について見ていきましょう。

    エアコンの風向きなどにも工夫を

    エアコンの風が、直接体にあたることを嫌がる高齢者は多いもの。そのため、エアコンを調節するときには設定温度だけでなく、風向きにも一工夫を加えましょう。できるだけ風向きを水平に固定すると、高齢者の体に直接風があたらず、室温を下げられます。

    また、扇風機やサーキュレーターなどを使って、高齢者の部屋の空気を循環させるのも工夫の1つ。エアコンの風量を強くすると、設定温度を変えなくても体感温度が下がるといいます。高齢者の「エアコンが苦手」という意識は、設定温度や風向きなどを工夫することで、できるだけ軽減していきましょう。

    起きた後にコップ1杯の水分補給

    寝ている最中は、コップ1杯ほどの汗をかくと言われています。そのため、起きた後には、水分補給をすることが大切です。コップ1杯を目安に、水分をしっかり摂るような習慣を作りましょう。また、枕元にペットボトルなどを用意しておくと、こまめな水分補給が行えます。

    一方で、利用者さんの中には夜間のトイレが気になり、水分をできるだけ控えたい方もいるかもしれません。こうした方は、1日を通して必要な水分量(目安:1.2リットル/日)を摂るようにし、夕方以降は控えめにするなどの調整を行いましょう。

    夜間熱中症の症状がみられたときの対処法とは

    万が一、夜間に熱中症が疑われる症状がみられたときには、まずは[btp_line]意識の有無を確認[/btp_line]します。意識がある場合は、エアコンをつけて部屋の温度を下げましょう。その後、冷たいタオルや氷などを使い、体温を下げていきます。首筋やわきの下、太もものつけ根など、太い静脈が表面近くに通っているところを冷やすと効率的です。水や経口補水液、スポーツドリンクなどを飲ませ、脱水が進行しないようにしましょう。

    一方、意識がない場合や自力で水が飲めないときには、危険な状態です。[btp_line]すぐに救急車を呼び[/btp_line]、医療機関に搬送してもらいましょう。

    高齢者のエアコン設定温度は26℃以下!夜間も注意を

    暑い時期でも高齢者が安全に夜間の時間を過ごすためには、エアコンの上手な活用が欠かせません。設定温度は26℃以下を目安に、過ごしやすい室温を保ちましょう。また、高齢者の中には、エアコンが苦手な方も少なくありません。設定温度の調整や風向きなどに気を配りながら、できるだけ苦手意識を

  • 高齢者施設のエアコン設定温度に注意!夏は何度が最適?【日中編】

    高齢者施設のエアコン設定温度に注意!夏は何度が最適?【日中編】

    日本の夏は、平均気温が30度を超えることが当たり前の時代になりました。そのため熱中症などのリスクを回避し、室内で安心して過ごすためには、エアコンの活用が必須となります。しかし、暑いからといってただやみくもに冷やしすぎると、自律神経のバランスが乱れてしまうことも…。では、高齢者施設でエアコンを使用する場合の設定温度は何度が適温なのでしょうか。今回は、夏場の日中にエアコンを使用するシーンにスポットを当て解説します。

    夏の高齢者施設ではエアコンを活用しよう

    日本の夏は、あたたかく湿った空気を持つ太平洋高気圧の影響により、気温が高いことに加え、湿度も高く蒸し暑いのが特徴。また日本の6~8月の平均気温は、100年で約1.5度上昇しています。さらに近年では、厳しい暑さの指標としてよく用いられる真夏日(日最高気温が30度以上の日)や、猛暑日(日最高気温が35度以上の日)の日数も増加傾向に。盛夏期の暑さがより一層厳しくなっているのが現状です。

    このように厳しい日本の夏で、注意しなければならないのが熱中症です。熱中症とは、高温多湿な環境下に長期間身を置くことで、体内の塩分や水分のバランスが乱れたり、体温の調節機能が破綻したりするなどして発症する障害の総称。屋外だけでなく、室内でも日常生活を送っているときに発症する恐れがあり、場合によっては命の危険にさらされることもあります。

    また、熱中症の患者さんの約半数は65歳以上の高齢者ということをご存知でしょうか?高齢者は暑さに対する感覚機能、体温調節機能が低下しているため、熱中症にかかりやすいのです。そのため高齢者施設では、エアコンを利用して室温を調節し、安全に過ごせる環境を整える必要があります。

    高齢者施設の夏、エアコンの設定温度は26度が適温

    人間は通常、脳が暑いと判断すると、皮ふ血流量や発汗量を増加させて熱放散を促進することで体温を調節します。ところが高齢になると、皮ふ血流量や発汗量の増加が遅れるだけでなく、その後体温が上昇してもうまく熱放散ができなくなるのです。つまり若年者に比べて[btp_line]高齢者は、体に熱がたまりやすく、深部体温がより上昇しやすい[/btp_line]のが特徴。高齢者本人が、暑さやのどの渇きを訴えていなくても、熱中症の危険があります。

    政府が推奨する室温の適温は28度前後

    高齢者施設で利用者さんの熱中症を防ぐためには、温湿度計を設置し、室内温度をこまめにチェックすることが大切です。日中、暑さを感じる日にはエアコンを積極的に使用し、[btp_line]室温を28度前後に保つ[/btp_line]ことを政府が推奨しています。

    ここで重要なのは、室温の目安=エアコンの設定温度とは言い切れないこと。実はエアコンの設定温度を28度にしていても、室温が必ずしも28度になるとは限らないのです。外気温や日差しの入り方、建物の周辺環境のほか、室内にいる人数、出入りの頻度など、さまざまな要因が考えられます。

    高齢者施設のエアコンの設定温度は26度がベスト

    高齢者施設において、レクリエーションなどを行うホールでは、多くの利用者さんやスタッフが同じ空間で一緒に過ごします。利用者さん個人の居室においても、利用者さん自身がレクリエーションに参加したり、入浴室や食堂へ移動したり、介護スタッフが介助に訪れたりと出入りも頻繁にあるもの。そのためエアコンが効きにくい環境とも言えるでしょう。

    そこで夏場の高齢者施設では、エアコンの設定温度を26度にするのがおすすめです。26度に設定することで、大多数の方が快適に過ごせるでしょう。ただし中には、設定温度26度だと寒いと感じる方もいるかもしれません。その場合は、上に1枚羽織っていただくと良いでしょう。エアコン稼働中は温湿度計をこまめにチェックし、室温が28度を越えないよう、反対に必要以上に下がりすぎないように注意することも大切です。

    高齢者施設でエアコンをより効果的に使うには?

    26度というと、エアコンの設定温度としては割と高めだと思う方も多いかもしれません。しかし、外気温が35度を超えるような真夏日には、エアコンもかなりの電力を消費します。そこで、エアコンをより効果的に使うためのツールやポイントを3つご紹介します。

    フィルターをこまめに掃除する

    フィルターにホコリなどの汚れが詰まると、風量が下がり、大きな電力が必要になってしまいます。フィルターを定期的に掃除することで、エアコンの効率をアップさせましょう。

    家庭用エアコンを使用している高齢者施設の場合、フィルター掃除の理想の頻度は2週間に1回。業務用エアコンの場合は、1ヶ月に1回が目安です。ただし、業務用エアコンのセルフメンテナンスは難しいケースもありますよね。その場合には、業務用エアコンクリーニング専門業者に依頼するのもよいでしょう。

    扇風機やサーキュレーターを活用する

    室内の空気を循環させる目的で、扇風機やサーキュレーターを併用することもエアコンの効率アップにつながります。一般的にあたたかい空気は部屋の上層へ、冷たい空気は下層へとたまってしまうもの。部屋全体の温度を均一に下げるためには、下層にたまった冷気を循環させることがポイントです。

    ポイントは、[btp_line]エアコンを背にするように扇風機やサーキュレーターを設置する[/btp_line]こと。すると空気のムラが解消され、部屋全体の温度を効率的に下げることができるでしょう。

    ブラインドやカーテンで日射熱をコントロールする

    夏場、室温を上げる大きな要因のひとつが、外部からの日射熱だと言われています。つまり、日射熱を遮断できれば室温の上昇を抑えられ、さらにはエアコンを効果的に使用できるというわけです。遮熱効果の高いカーテンやブラインドを上手に活用し、部屋に入る日差しを遮蔽しましょう。

    エアコンは設定温度26度で快適・安全な空間づくりを

    夏場の高齢者施設ではエアコンを使って室温を調節し、熱中症などのリスクを回避しなければなりません。エアコンの設定温度は、26度がベスト。ただし、エアコン稼働中も温湿度計など室温をこまめにチェックし、理想の室温と言われる28度付近をキープするよう心掛けてください。エアコン効率を上げるため、遮熱カーテンやサーキュレーターなどの併用もおすすめです。

  • 高齢者が熱中症になりやすい理由とは?知っておきたい対策もチェック

    高齢者が熱中症になりやすい理由とは?知っておきたい対策もチェック

    気温が高くなる時期、特に気をつけたい「熱中症」。どの年代でも起こり得る症状ですが、身体機能の低下などから高齢者は熱中症になりやすいため、とくに注意が必要です。そこでこの記事では、高齢者が熱中症になりやすい原因と、具体的な予防や対策について解説していきます。気温が上がる時期の高齢者のケアについて知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

    高齢者が熱中症になりやすいのはなぜ?

    まずは高齢者が熱中症になりやすい、3つの原因について見ていきましょう。

    原因1.身体機能の衰えから暑さを感じにくい

    本来であれば、人は皮膚が「暑い」と感じると、血流や汗の量を増やして体内の熱を逃がそうとします。さらに、エアコンを使ったり衣服を脱いだり、暑さを和らげる行動を脳が促す機能も備わっているのです。

    しかし、年齢を重ねると熱を感じ取る皮膚センサー自体の機能が弱まるため、暑さに対して鈍感になっていきます。実際に7月~9月の70歳以上の高齢者と若年者の部屋の温度では、高齢者の室温のほうが2℃ほど高く、31℃~32℃に達していたというデータもあるようです。

    このように、高齢者の熱中症は、暑さを感じる機能自体の低下が大きく関係しています。

    原因2.体に熱がたまりやすい

    高齢者は、若年層と比べて体内に熱がたまりやすいことも、熱中症になりやすい原因の1つ。とくに、[btp_line]高齢者は汗をかく機能が低下[/btp_line]しているため、体内から熱が逃げにくくなっています。

    さらに、暑くなると皮膚への血流量が増える一方、心臓に戻る血液は減少。それを補うために心拍数も増え、血管などへの負担は大きくなります。身体機能全体が低下している高齢者にとっては、こうした体の変化も、熱中症が起こりやすくなる一因です。

    原因3.体の中の水分量が少ない

    高齢者は、体液や血液の量が、若年層よりも減少しています。体内の水分量は、小児75%・成人60%に対し、高齢者はわずか50%とのこと。こうした体内の水分不足も、熱中症の引き金となっています。

    さらに、身体機能の低下により、[btp_line]のどの渇きを感じにくい[/btp_line]ことも高齢者の特徴です。もともとの摂取量が少ない上に、歳を重ねるほどたくさんの尿を使って体の老廃物を排出しているため、水分不足はますます加速します。年齢に伴うこうした悪循環も、高齢者に熱中症が多い理由の1つです。

    高齢者の熱中症を予防する6つの対策とは?

    気温が高くなる時期は、次の6つの対策を行い、高齢者の熱中症を防ぎましょう。

    対策1.のどが渇かなくても水分を摂る

    高齢になると、のどの渇きを感じにくくなります。そのため、1日1.2リットルを目安に[btp_line]こまめな水分補給[/btp_line]を心がけましょう。とくに、入浴前と後、起床後はすぐに水分を摂ることが大切です。可能であれば、1時間ごとにコップ1杯の水分を摂るようにしましょう。

    また、高齢者の中にはトイレの回数が増えることを嫌がり、水分摂取を控えたいと思う方もいます。こうした方には、食事にナスやキュウリなど、水分が多い食材を使うことで水分を摂ってもらうのも1つの手です。

    高齢者の水分摂取は、のどが渇いてからでは手遅れのこともあるため、計画的・意識的に水分を摂るよう促していきましょう。

    対策2.こまめに部屋の温度を測る

    高齢者の熱中症は、室内で発生することが多いと言われています。そのため、室温を適切な温度に保つことも大切です。暑い日には、エアコンなどの冷房機器を活用して、[btp_line]室温を28℃前後に保ちましょう[/btp_line]。

    また、風向きなどを調整してエアコンの風が直接体に当たらないようにする工夫も大切です。窓とドアの2ヶ所を開けて、屋外の涼しい空気も入れながら、風通しのよい環境を保ちましょう。

    対策3.1日1回は汗をかくようにする

    一般的に高齢になると体温調節機能が低下しますが、運動習慣があると、こうした機能低下が起こりにくいことが明らかになっています。そのため、無理のない範囲で1日1回、汗をかくことも大切な習慣です。

    最近の研究では、運動後30分以内に、牛乳などの「糖質とたんぱく質を含む食品」を摂ると、熱を逃がす能力が高まると報告されています。このように、日常的に体力づくりをすることは、熱中症を防ぐためにも重要な習慣と言えるでしょう。

    対策4.お風呂や寝るときにも注意を

    入浴中や寝ているときにも体内の水分は失われるため、熱中症になる危険性があります。そのため、入浴前後や就寝前の水分補給も大切です。お風呂に入る前と後に水分を摂り、寝室でも水分補給できるよう枕元に水などを用意しておきましょう。

    季節にかかわらず、熱めのお風呂に長時間浸かると、熱中症のような状態になる高齢者もいます。お湯の温度に注意し、長く浸かりすぎないよう注意しておくことも大切です。

    対策5.周りの方が気にかける

    暑さに気づきにくい、のどが渇きにくいなど、高齢になると自分だけでは体調の変化に気づかないことが増えてきます。「節電をしよう」と、エアコンを使うこと自体を控えたがる方もいるかもしれません。高齢者の熱中症を防ぐには、周囲の方が次のような点を気にかけることも大切です。

    • 体調面:元気や食欲はあるか・熱はないか・口の中やわきの下の乾燥具合
    • 身体面:体重や血圧に変化はないか・心拍数は正常か
    • 環境面:部屋の温度と湿度・部屋の風通しや日当たり など

    高齢者の熱中症を防ぐためには、[btp_line]対策を本人だけに任せない[/btp_line]ことも重要です。できるだけ周りの方が気にかけることで、予防を促していきましょう。

    対策6.外出時は体に十分な配慮を

    暑い時期の外出は、体への負荷が高まります。外出の際は服装を工夫し、水分補給や休憩を十分とるなどの対策が必要です。できるだけ日差しの影響を受けないよう、日傘や帽子を利用してもよいでしょう。

    また、外出先はできるだけ涼しい場所や施設を選ぶことも大切です。合わせて、緊急時の連絡先についても確認しておくと安心でしょう。

    高齢者の熱中症は本人任せにしすぎないことが大切!

    高齢になると、身体機能の低下などから、熱中症が起こりやすくなります。暑さに鈍くなったり、のどが渇きを感じにくくなったりする方も増えるでしょう。そのため、水分補給や室温調整などを、本人の感覚に任せすぎないことが大切です。介護施設では、こまめな水分補給を計画的に組み込むなど、身体機能に応じた熱中症対策を行いましょう。

  • 【高齢者の熱中症】注意すべき症状とすぐできる対処法とは?

    【高齢者の熱中症】注意すべき症状とすぐできる対処法とは?

    気温や湿度が上がってくると、注意したいのが[btp_line]熱中症[/btp_line]です。とくに高齢者は若い方に比べ体内の水分量が減少しており、汗をかきにくかったり、暑さやのどの渇きを感じにくかったりするため、熱中症になりやすい傾向にあります。さらに、高齢者の熱中症は短時間で症状が悪化することもあるため、初期症状に気づくことが重要です。この記事では、熱中症のさまざまな症状とすぐにできる対処法について解説しています。暑い季節には、高齢者のちょっとした変化にも対応できるよう、参考にしてください。

    熱中症の危険信号かも?注意すべき症状とは

    熱中症の症状は重症度によって大きく3つの段階に分けることができます。高齢者の熱中症は急変しやすいため、初期での処置が肝心。熱中症を軽度のうちに処置するためには、どのような症状があるのか知っておくことが必要です。ここでは、熱中症のさまざまな症状について解説します。

    症状1「めまい、立ちくらみ」

    熱中症の初期症状として代表的なものが、めまいや立ちくらみです。
    体温が上昇すると、体内にこもった熱を外へ逃がそうと皮膚の血管が広がります。すると、全身の血液量が減少し血圧も下がり、脳への血流が減少。こうした血圧や血流の変化によって、めまいや立ちくらみといった症状が現れるのです。場合によっては、一時的に気を失って倒れてしまうことも。呼吸回数が増えたり、脈が弱くなったり、唇がしびれたりという症状が見受けられることもあります。

    症状2「こむら返り、筋肉のけいれん」

    汗をかいたとき、水分ばかり補給して塩分がきちんと補給できないと、こむら返りや手足のけいれん、手足のしびれなどが現れることがあります。これらの症状は熱けいれんと言い、熱中症の初期に現れる症状の1つです。筋肉の硬直や筋肉痛、場合によって痛みを伴うこともあります。てんかんのような全身のけいれんとは異なり、部分的に症状が現れるのが特徴です。

    熱けいれんは、塩分の欠乏によって現れる症状です。大量に汗をかくと、体内からは水分とともに塩分も失われます。水分だけを補給していると、血液中の塩分濃度が下がり、手足の筋肉の収縮が起こって熱けいれんが生じるのです。熱けいれんが起こってもほとんどの場合、意識ははっきりしており、必ずしも高体温になるとは限らないことを知っておきましょう。

    症状3「頭痛、吐き気、嘔吐」

    めまいや立ちくらみなどの初期症状が進行すると、頭痛や吐き気、嘔吐などを引き起こすことがあります。これらの症状は、重症度3段階のうち中度に分類されるため、即座に応急処置をし、意識がもうろうとしている場合には救急搬送が必要です。

    上昇した体温を下げるために大量に汗をかくと、体内の水分や塩分が不足している状態に。血流が悪くなると、めまいや立ちくらみなど熱中症の初期症状が現れます。このとき、水分補給や冷却など適切な対処をしなければ、症状が進行し脳や消化管などへの血流が低下。臓器の温度上昇により、頭痛や吐き気という症状が現れるのです。

    症状4「身体がぐったりする、倦怠感」

    身体がぐったりする、倦怠感など、従来、熱疲労や熱疲弊と言われていた状態も熱中症の中度に分類される症状です。身体に力が入らないと感じたり、めまいや立ちくらみなどの初期症状と同時に起こったりすることもあり、ごく軽度の意識障害が見られるケースもあります。

    高齢者は、疲れやすいこともあり、熱中症による倦怠感に気づきにくいことがあるかもしれません。そのまま放っておくと、さらに重症化する可能性もあるため、暑い季節の倦怠感や身体のぐったり感には一層の注意が必要です。

    症状5「高体温」

    身体が熱くなる[btp_line]高体温[/btp_line]は、熱中症の中でも重度に分類され、熱射病とも呼ばれる症状です。

    人の身体は、体温が上昇すると汗をかくなどして平常の体温をキープしています。体温を下げるために大量の汗をかいて体内の水分が失われると、汗をかくことが不可能となり、体温は上昇する一方に。体温調節機能がうまく働いていないため、生命に危険が生じる42℃を超える可能性もあります。高体温になった場合は、すぐに医療機関を受診し、身体を冷却して体温を下げる応急処置が必要です。

    症状6「意識障害」

    呼びかけても反応しない、返答がおかしいという意識障害がある場合は、重度の熱中症です。ほかにも、まっすぐ歩けない、身体がガクガクとひきつけを起こす、上手に水分が補給できない場合も重度に含まれます。すぐに医療機関を受診しましょう。

    屋内にいると、なかなか熱中症と気づかないケースもありますが、高齢者の場合、室内でも熱中症を起こす可能性は十分考えられます。中には、我慢する利用者さんもいらっしゃるかもしれないので、ちょっとした体調の変化も報告してもらえるような関係性を築くことも大切かもしれませんね。

    高齢者の熱中症ですぐできる対処法は?

    高齢者の方が熱中症を発症したとき、応急処置法を知っておけばすぐに対応できるため安心です。ここでは、症状が出てからすぐできる対処法を紹介するので、介護職員の方はぜひ覚えておきましょう。

    対処法1「涼しい場所へ移動する」

    エアコンの効いた室内や風通しの良い日陰など、安全に休める涼しい場所へ移動しましょう。めまいや立ちくらみなどの症状がある場合は、ふらつきの心配があるため、自分で歩行できる状態でもしっかり支え、転倒しないよう注意が必要です。

    対処法2「楽な姿勢で休ませる」

    横になる、座らせるなど本人の楽な姿勢で休ませることも重要です。横にする場合には、足の下にタオルや座布団を置いて10センチほど高くすると、心臓や脳への血流や血圧が上昇しやすくなります。

    対処法3「衣服をゆるめる・脱がす」

    衣服を数枚着用している場合には脱がしたり、ベルトや下着はゆるめたりして、身体にこもった熱を逃がしましょう。

    対処法4「身体を冷やす」

    皮膚に冷水をかけ、扇風機やうちわで仰ぐことで身体を冷やし体温を下げることができます。氷のうや濡れたタオルなどで、首筋や脇の下、足の付け根など太い血管が通っている部分を冷やすのも効果的です。身体の冷却は、熱中症の対処法として欠かせません。もし救急車を要請した場合でも、到着するまで身体の冷却は続けましょう。

    対処法5「水分や塩分を補給する」

    水分だけでなく塩分の補給も重要な対処法の1つ。0.1~0.2%濃度の食塩水やスポーツドリンク、経口補水液が最適です。また、一度に大量に補給するのではなく、こまめに一口ずつ飲むことがポイント。食塩水が飲みづらいときには、梅干しもおすすめです。ただし、意識障害でうまく飲めない場合や嘔吐がある場合などは、水分が気道に入る危険性もあるため、無理して飲ませる必要はありません。医療機関を受診しましょう。

    介護施設では熱中症の症状や対処法の知識も大切

    熱中症にかからないよう対策をとっていても、環境や体調によって熱中症を起こしてしまう可能性があります。とくに高齢者の方は熱中症になりやすく、急変することもあるため、初期の症状を見逃さないことが重要です。高齢者の方が熱中症を起こしてしまったときのために、症状や対処法についてもきちんと知識を身に付けておきましょう。

  • 高齢者の熱中症対策の要は水分補給!こまめに行うコツ5つ

    高齢者の熱中症対策の要は水分補給!こまめに行うコツ5つ

    熱中症が心配となる季節がやってきました。高齢者の熱中症は室内で起こりやすく、重度になると命に関わることもあるため、しっかりと予防・対策をしていきましょう。そこで今回ご紹介したいのが、高齢者の方々へこまめな水分補給を促すコツです。どのようなタイミングで、どれくらいの量の水分を摂取したら熱中症の対策となるのでしょうか。そして、水分補給を習慣づけるにはどうしたらいいかなど、具体的なポイントをお伝えします。

    高齢者の熱中症対策には定期的な水分補給が大切

    高齢者は脱水症状や熱中症を引き起こしやすい特徴があり、意識的に水分補給することが大切です。まずは脱水症状や熱中症になりやすい理由を解説していきましょう。

    <高齢者の脱水症状や熱中症が多い理由3つ>

    • 日頃から体内の水分が不足しがち
    • 暑さや喉の渇きを感じにくい
    • 体温調節機能の低下

    高齢者は、若い方と比べて体内の水分量が少なく、老廃物を排出するために尿の量は多め。[btp_line]日頃から体内の水分が不足しがち[/btp_line]です。また、感覚機能が年齢とともに低下し、暑さや喉の渇きを感じにくくなっています。このため、高齢者は脱水症状を起こしやすいのが特徴です。さらに、体の調節機能の衰えで汗をかきにくく、体内の熱を体の外に放出しにくい特徴も…。高齢者は、若い方と比較して熱中症のリスクが高いため注意が必要です。

    これらが原因となり、高齢者は、自分では気がつかないうちに脱水症状や熱中症に陥ってしまうことがあります。予防策としては、水分補給が大変重要です。高齢者が暑さで体調を崩さないためには、定期的に必要な水分量を補うことがポイント。次の項では具体的な水分補給の量やタイミングの目安をご紹介していきましょう。

    【高齢者の水分補給】目安の量とタイミング

    高齢者の熱中症対策として必要な水分量と、水分補給のタイミングを解説していきます。

    高齢者が1日に必要な水分量の目安は1リットル~1.5リットル

    脱水症状や熱中症を予防するために重要なポイントは、排出された水分量を効果的に補うこと。体は呼気・汗や排泄で1日に約2.5リットルの水分を排出すると言われています。バランスをとるため、[btp_line]体は1日に約2.5リットルの水分の摂取が必要[/btp_line]です。

    「1日2.5リットルが必要」と聞くと多く感じますが、すべてを飲み物から摂取する必要はありません。食事から摂取できる水分や、体の中で作られる水分もあり、それらを考慮すると、1日に飲み物から摂取が必要な水分量は1リットル~1.5リットルです。汗をかいた日はやや多めを心がけるなど、体調や環境によって調節しましょう。

    水分補給のタイミングは?

    1回で多くの飲料を飲むのは大変です。「喉が渇いた」と感じてからの水分補給はタイミング的に遅いとも言われています。水分補給はこまめにすることがポイント。目安としては1回200ミリリットルの飲み物を[btp_line]1日に6~7回に分けて摂取するイメージ[/btp_line]です。

    タイミングとしては、「起床時・朝食時・昼食時…」など、こまめに飲み物タイムを設定しましょう。庭仕事やリハビリなど、体を動かす予定がある場合は、その前後のタイミングでの水分補給も大切です。

    こまめな水分補給を促すには?5つのコツを紹介

    高齢者にとっては、1日に1リットル~1.5リットルの飲料を飲むこと簡単ではないかもしれません。飲み忘れてしまうことや、負担に感じることもあるでしょう。そこで、高齢者のこまめな水分補給のコツを5つご紹介します。

    コツ1:水分補給の時間をあらかじめ決めてルーティーンにする

    飲み忘れを防いでこまめに水分補給するには、あらかじめ「時間を決めて飲む」ことが大切です。起床時・朝食時・午前のティータイム・昼食時・おやつの時間・夕食時・就寝前…といったように、ルーティーンにしてしまえば忘れにくいでしょう。

    コツ2:水やお茶以外のラインナップで飽きない工夫をする

    「毎回同じ飲料では飽きてしまう…」という高齢者の方もいるかもしれません。そのようなときはお茶やお水だけでなく、好みの味のジュースなども取り入れて、楽しみながら水分補給できるよう工夫しましょう。幅広いラインナップから選べば、飽きることもないはずです。

    ただし、コーヒーや紅茶といった利尿作用がある飲み物は水分補給にはあまり向きません。お茶類であれば麦茶などのノンカフェインのものがおすすめです。また、汗を多くかいたときは、適度に塩分と糖分を含む飲料を飲むことが大切です。脱水に備えて、スポーツドリンクや経口補水液などもうまく活用していきましょう。

    コツ3:スープや味噌汁など体が冷えないものも取り入れる

    「水分補給はお腹が冷えるから嫌…」という方は、お湯や温かいお茶はもちろん、スープや味噌汁などで水分を摂取するのも良いですね。水分補給は毎回冷たい飲み物でなくても構いません。「温かい飲み物」の選択肢を設けて、水分補給の際のストレスを解消していきましょう。

    コツ4:ゼリーなど水分が多いおやつもおすすめ

    「飲む」ことが負担であれば、水分が多い食べ物を代わりにしても良いでしょう。たとえばフルーツゼリーや牛乳寒天をおやつに取り入れるなどです。みずみずしい果物を積極的に食べる、食事のごはんをお粥にするなどでも摂取水分量を増やすことができます。

    暑い日であればかき氷を取り入れるのもおすすめです。季節感のある食べ物だと喜ばれるでしょう。

    コツ5:トイレのストレスを軽減する

    高齢者の中には「自分でトイレに行くのが大変」「介助が必要で申し訳なさがある」といった理由から、飲み物を我慢してしまう方も…。トイレのストレスを減らすことも、こまめな水分補給を促すために重要です。

    ポータブルトイレを身近な場所に準備しておく、家族や介護者がこまめにトイレの声がけとサポートを行う、といった工夫もこまめな水分補給を促すために欠かせません。

    高齢者の熱中症はこまめな水分補給で予防・対策!

    高齢者は脱水症状や熱中症を引き起こしやすいため、日頃から意識して水分補給タイムを作ることが大切です。水分補給をこまめに行い、暑い日も元気に過ごしてもらいましょう。高齢者好みの飲料や、温かい飲み物、デザートなどをうまく取り入れて、暮らしの中で自然に水分補給ができるといいですね。汗をかいた日はスポーツドリンクや経口補水液などもぜひ活用してくださ

  • 梅雨のカビ対策が病気を防ぐ?高齢者ケアで見直したいポイントとは

    梅雨のカビ対策が病気を防ぐ?高齢者ケアで見直したいポイントとは

    湿気が増え、気温も上がる梅雨の時期に発生しやすいのがカビです。人によっては、カビが原因となり、アレルギーや病気が引き起こされることもあります。肺機能や免疫力が低下していると発症しやすいため、高齢者の多い介護施設ではとくに気をつけたいところ。そこでこの記事では、梅雨のカビが原因となる病気やカビ対策について解説していきます。梅雨のカビ対策について理解を深めていきましょう。

    梅雨のカビが原因で起こる病気もある!

    カビは微生物の一種で、きのこや酵母などと同じ「糸状菌」です。栄養や水分を吸収して成熟すると胞子を作って空気中を舞うため、人は1日に1万個のカビ胞子を吸っていると言われています。

    カビは、次の3つの条件が揃うと増えやすくなります。

    • 温度:室温25℃~30℃
    • 湿度:80%以上
    • 栄養:皮脂汚れやほこり、食べこぼしなど

    梅雨の時期は、これらの条件が揃いやすいため、とくに注意が必要です。

    健康な方であれば、体内にカビを取り込んでも撃退する機能があるため、あまり大きな問題にはなりません。しかし、[btp_line]肺機能や免疫力が低下している方だと病気を発症することもあるため注意が必要[/btp_line]です。

    長引く咳の原因はカビかも?「夏型過敏性肺炎」

    夏になると風邪をひきやすい、咳がいつまでも続くなどの症状がある場合には、「夏型過敏性肺炎」を発症している可能性があります。

    夏型過敏性肺炎の原因は、室内に発生するトリコスポロンと呼ばれるカビ。トリコスポロンの胞子を吸い込むと、咳などの症状が起こります。夏風邪との大きな違いは、家や介護施設などを離れると咳が治まること。トリコスポロンは、温度20℃以上・湿度60%以上の環境を好むため、6月~10月はとくに注意しましょう。

    また、トリコスポロンは古くなった畳や木、エアコン内部などに多くみられます。梅雨時期前後のカビ対策としては、カビの除去と繁殖しない環境作りが大切です。可能であれば、古くなった畳や木は取り替えたほうがよいでしょう。エアコンは定期的な掃除を心がけ、すでにカビが生えている場合には専門の清掃会社に依頼すると安心です。

    喫煙歴のある方はとくに注意!「肺アスペルギルス症」

    咳や血痰、ゼーゼーとした呼吸音が聞こえる喘鳴などの症状は、カビが原因の「肺アスペルギルス症」の可能性もあります。

    肺アスペルギルス症の原因は、空気中や水中、土壌などに分布するアスペルギルスと呼ばれるカビの一種です。ごく身近なカビであり、日常生活の中でほとんどの方が吸い込んでいるものなのだそう。健康な方はとくに問題にならない一方で、[btp_line]免疫力が低下している方[/btp_line]、[btp_line]アレルギー体質の方[/btp_line]などは、発症する可能性が高まります。

    また、肺の一部が破壊され袋状の空洞ができる「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」も、肺アスペルギルス症の発症リスクを高める疾患です。COPDは喫煙歴のある方がなりやすい疾患のため、該当する方は注意が必要でしょう。アスペルギルスは梅雨以外でも発生するため、カビ対策には空気清浄機の使用や、エアコンの定期的な清掃・メンテナンスが大切です。

    浴室のバスマットのカビが原因のこともある「水虫」

    足の指の間がジュクジュクと赤くなって皮がむけたり、かゆみが強くなったりといった症状があると「水虫」の可能性が高まります。

    水虫の原因は、白癬菌(はくせんきん)と呼ばれる、カビの一種。この菌が皮膚の角質に寄生することで発症する感染症です。人から人へと広がる疾患で、水虫の方の皮膚から剥がれ落ちた角質を、傷がある素足などで踏むと感染リスクが高まります。白癬菌は温度15℃以上、湿度70%以上の高温多湿の環境を好むため、梅雨の時期には一層のカビ対策が必要です。

    とくに注意したいのは、浴室のバスマットやバスタオルなど、共同で使うもの。水虫の方がいる場合には、別々のものを使ったり靴下を毎日交換したりするなど、対策を試みましょう。白癬菌は、皮膚についたまま24時間以上高温多湿の環境にいたときに発症リスクが高まるため、その前に洗い流すことが大切です。

    梅雨に欠かせない3つのカビ対策

    カビの多くは、高温多湿の環境を好むため、雨が多く気温も上がりやすい梅雨の時期にはカビ対策が欠かせません。ここからは、梅雨の時期のカビ対策の3つのポイントについて見ていきましょう。

    対策1.エアコンや空気清浄機は定期的に手入れする

    エアコンや空気清浄機などの内部は高温多湿になりやすく、カビが繁殖しやすい場所です。そのため、[btp_line]定期的な手入れ[/btp_line]が健康を守ることにつながります。フィルターやフィンなどは、月2回を目安にほこりなどを取り除いておきましょう。また、エアコンは、冷房を使った後に送風運転を30分以上行うと、内部の湿度を下げられます。梅雨の時期は、普段の掃除にこうしたカビ対策を加えてみましょう。

    対策2.水回りや窓枠などを清潔に保つ

    湿気の多い水回りは、カビが好む環境です。梅雨時期はより一層その環境が整うため、とくに次の場所はしっかりカビ対策しましょう。

    <浴室>

    入浴後に浴室全体を[btp_line]温水のシャワーで洗い流し、最後に冷水をかけて室温を下げます[/btp_line]。仕上げに雑巾などで水分をふき取り、換気扇をつけるとカビが防げるでしょう。

    <キッチン>

    使用後は、飛び散った水などをしっかりふき取ることが大切。すでに生えているカビは、カビ取り洗浄剤などで取り、仕上げに消毒用アルコールを吹きつけて予防しましょう。

    <窓枠>

    ほこりや結露がたまりやすい場所です。ほこりはこまめにふき取り、仕上げに消毒用アルコールを吹きかけておくとカビの予防になります。

    対策3.定期的な換気が大切

    梅雨の時期には、定期的な換気もカビ対策に欠かせません。ポイントは、空気中に飛んでいるカビを室内で拡散させずに、外へと排出すること。雨が降っている日などは、換気扇を回すことで、できるだけ空気を滞留させないようにしましょう。また、空気清浄機や扇風機などをつけることも、梅雨の時期のカビ対策に効果的です。

    梅雨のカビ対策は病気を防ぐためにも大切!

    梅雨の時期に発生しやすいカビは、人によっては病気の原因となるため注意が必要です。とくに高齢の利用者さんは、免疫力が低下している方も少なくないため、カビ対策は十分行いたいところ。エアコンや水回りなどを清潔に保ち、換気もしっかり行うことで、カビによる病気のリスクをできるだけ減らしていきましょう。

  • 高齢者の熱中症対策6つ!室内でもなりやすい原因もチェック

    高齢者の熱中症対策6つ!室内でもなりやすい原因もチェック

    梅雨入り以降は、蒸し暑く感じる日が増えてくる時期。高齢者は熱中症になりやすく、介護スタッフや周囲の方は配慮が必要です。熱中症は屋外で起こるイメージを持っている方もいるかもしれませんが、実は室内で起こるケースも少なくありません。高齢者が室内でも熱中症になりやすい原因や、高齢者の熱中症対策をチェックしていきましょう。室内でできる熱中症対策を中心にご紹介していきます。

    室内でも高齢者の熱中症は注意が必要!

    高齢者は[btp_line]室内でも熱中症になりやすい[/btp_line]ため、暑い季節は特に警戒が必要です。

    高齢者は熱中症になりやすい

    高齢者は熱中症になりやすい傾向があります。東京都福祉保健局の集計によると、2021年の夏(6~9月)に東京都23区内で亡くなった熱中症患者のうち、[btp_line]約9割にあたる方が高齢者(65歳以上)[/btp_line]でした。

    高齢者が熱中症になりやすい原因を解説していきましょう。

    <高齢者が熱中症になりやすい原因3つ>

    • 体内の水分が不足しがち
    • 暑さや喉の渇きを感じにくい
    • 体温調節機能が低下している

    高齢者は体内の水分量が若い方と比較して少なく、尿などで排出される量も多いため、日頃から水分が不足しがちです。さらに、年齢を重ねるごとに感覚機能が低下し、「暑い」「喉が渇いた」といったことを感じにくくなっていきます。また、汗をかきにくいため、体の中の熱を放出しにくいという特徴も。これらの原因から、高齢者は熱中症になりやすいのです。

    高齢者の熱中症は室内で起こっている

    高齢者の熱中症は、室内で起こるケースがほとんどだとご存知でしょうか。前項でもご紹介した東京都福祉保健局の集計によると、熱中症で亡くなった高齢者のうちの約9割が室内で熱中症を発症していました。

    こうした事例では、エアコンを使用していなかったケースが多いようです。暑さを体感できなかったり、電気代がもったいないと感じてしまったり、なんらかの理由でエアコンをつけない高齢者が多いことが原因のひとつとして考えられます。

    高齢者の熱中症対策には、室内の温度調節や適したタイミングで水分補給を行うなどが必要です。具体的な対策例をチェックしていきましょう。

    室内での高齢者の熱中症対策6つ

    高齢者の熱中症対策でポイントとなるのは、室温の管理や、水分補給、体温調節に対するケアです。室内でできる具体的な熱中症対策をご紹介していきましょう。

    対策1:エアコンを意識的につける

    室内でできる高齢者の熱中症対策として大きなウエイトを占めるのが、室温の管理です。高齢者の自宅や、介護施設の居室などにクーラーが設置してあれば、迷わず使用しましょう。夏場の室温の目安は28度と言われています。可能であれば室内に温度計を設置して、いつでも室温を目で確認できるようにしておくと良いでしょう。また、直接冷房の風が高齢者に当たらないよう、風向きを調節することもポイントです。

    対策2:風の通り道をつくる

    室温を下げる工夫として、風の通り道をつくる方法も。窓と出入り口のドアを開放するなど、室内の2ヵ所を開けると風が通りやすくなり、屋外の涼しい風を取り入れることができます。扇風機やサーキュレーターをあわせて活用するのも良いですね。クーラーがない部屋や、クーラーが苦手な高齢者に対しては、このようにして室温を調節していく方法がおすすめです。

    対策3:涼しい服装にする

    暑い日は意識的に涼しい服装をすることも大切。いつも同じ服装ではなく、季節や環境に応じた服装で過ごせるよう、サポートしましょう。

    対策4:水分補給をルーティーンにする

    こまめな水分補給も熱中症対策において重要です。「室内にいるからあまり飲まなくても大丈夫では」と感じる方もいるかもしれません。しかし、高齢者は喉の渇きを感じにくく、水分補給のタイミングとしては「喉が渇いた」と感じてからでは遅いとも言われています。

    そのため、高齢者の水分補給は「起床後・朝食時・休憩時・昼食時…」など、ある程度タイミングを決めてルーティーンにしてしまう手段がおすすめです。水分量の目安としては、1日のうちで200ミリリットルの水分補給を7回行えれば十分でしょう。

    水分補給は冷たい飲料である必要はありません。温かいお茶や味噌汁などのスープ類でも良いでしょう。多く汗をかいているときは、脱水を予防するために適度な塩分を含んだ飲料(スポーツドリンクや経口補水液など)も取り入れていきたいですね。

    対策5:ポータブルトイレを設置する

    高齢者の中には、「トイレに行きたくなると困るから水分はあまりとりたくない」という方もいます。「自分でトイレに行くのが大変だから」「誰かに介助してもらわないとトイレに行けないから」と飲み物を我慢してしまうのです。

    トイレに対する心理的なストレスを減らして、しっかりと水分補給ができるよう環境を整えることも、高齢者の熱中症への対策として有効でしょう。そこで活躍するのがポータブルトイレです。持ち運びできる簡易型のトイレを介護ベッドの横や身近な場所に準備しておくなどの工夫で、トイレのストレスを減らすことができます。

    日常的に家族や介護者が近くにいる環境であれば、こまめにトイレの声かけやサポートをすることも心がけたいポイントです。

    対策6:保冷剤など冷却グッズをうまく活用する

    高齢者の熱中症対策で冷却グッズを活用する方法もあります。体温調節が難しい高齢者の体温を少しでも下げる工夫として、保冷剤をスカーフなどに巻いて首の後ろに当てるなどがおすすめです。

    また、近年[btp_line]「手のひら冷却」[/btp_line]も注目されています。スタンフォード大学などで、手のひらを冷やすと体温が下がるという研究結果が出ているそうです。手のひらを冷却する際は15度前後が効果的と言われています。保冷剤を使用する場合は冷たく感じすぎないようタオルやハンカチで巻いて手で持つと良いでしょう。暑くて眠れない就寝時などでも応用できる方法です。

    対策を講じて高齢者の室内での熱中症を防ぎましょう

    高齢者は熱中症になりやすい特徴があります。また、高齢者の熱中症の多くは室内で起こっているため、「炎天下じゃないから大丈夫」と気を緩めず、日頃から警戒が必要です。高齢者の室内での熱中症対策のポイントは、室温管理と水分補給と体温の調節。今回ご紹介した対策方法を、ぜひ室内での熱中症予防のヒントにしてください。

  • 介護施設のレクリエーションにおすすめ!YouTube チャンネル10選

    介護施設のレクリエーションにおすすめ!YouTube チャンネル10選

    老人ホームやデイサービスといった介護施設では、日々さまざまなレクリエーションを行っています。楽しい時間を過ごすことや認知症予防、筋力の維持など、高齢者の方にとってレクリエーションは大きなメリットを生むものです。この記事では、介護施設でレクリエーションを行う際に役立つYouTubeチャンネルを厳選して10個ご紹介します。介護施設で利用者さんに喜んでもらえるイベントを企画したいと考えている方は、ぜひチェックしてみてください。

    おすすめ1 筋力向上やコリ改善エクササイズが豊富「L.S.I. official channel」

    「L.S.I. official channel」では、[btp_line]現役の介護スタッフが介護のコツやポイントについて動画で紹介[/btp_line]しています。レクリエーションにおすすめなのは、脳トレ歌体操や腹筋エクササイズ、痛みや歪み改善の腰回り筋トレなどです。肩や腕まわりのコリ解消など、身体の機能向上のエクササイズやストレッチに関するものも紹介されています。ほかにも、立ち上がりや移乗介助、更衣介助といった介護技術の方法についても動画で分かりやすくまとめられているYouTube チャンネルです。

    [btp_box]L.S.I. official channel[/btp_box]

    おすすめ2 健康体操で身体も心も元気に「ごぼう先生やなせひろし」

    キャッチコピーは「大人ための体操のおにいさん」、ごぼう先生こと簗瀬寛(やなせひろし)さんのYouTubeチャンネルです。介護の「ご」予防の「ぼう」でごぼう先生なのだそう。介護予防を笑顔で伝えることをモットーに健康体操の普及活動をされています。YouTubeでは、[btp_line]椅子に座ったまま体を動かすことができる体操[/btp_line]や、講演会の様子の一部を紹介。指運動の脳トレーニング、3世代で楽しみながら行える「童謡メドレー健康体操」、ごぼう先生の健康体操DVDの研修動画など健康体操を楽しめる動画が満載です。

    [btp_box]ごぼう先生やなせひろし[/btp_box]

    おすすめ3 盛り上がるレクリエーションをしたいなら「てつまるチャンネル【介護予防】」

    シニア専門運動指導者で柔道整復師の資格を持つ、てつまるさんが発信する「てつまるチャンネル【介護予防】」は、[btp_line]盛り上がるレクリエーションを多く発信[/btp_line]するYouTube チャンネルです。てつまるさんは、地域密着の介護予防のための体操教室や出張マッサージ、リハビリなどで300名以上の高齢者の方へ運動指導を実施した実績を持っています。高齢者の方が100歳まで自立した生活が送れるようにという想いを持って、体操動画を発信しているのだとか。手拍子を使った脳トレーニング、新聞紙や洗濯バサミを使ったレクリエーション、机上レクリエーションなど、全240本越えの動画が配信中です。

    [btp_box]てつまるチャンネル【介護予防】[/btp_box]

    おすすめ4 介護職必見!役立つ情報満載「ケアきょう【介護職のためのチャンネル】」

    「ケアきょう【介護職のためのチャンネル】」では、株式会社カイゴメディアが介護職の方に役立つ情報を発信しています。高齢者レクリエーション10選といったまとめ動画があるほか、レクリエーションの目的や心がけるポイントを解説する動画も配信。ホワイトボードゲーム、紙コップや新聞紙を使ったゲーム、ボーリングカゴ入れなど、[btp_line]介護者も利用者さんも一緒になって楽しめる、多種多様なレクリエーション[/btp_line]を紹介するYouTubeチャンネルです。

    [btp_box]ケアきょう【介護職のためのチャンネル】[/btp_box]

    おすすめ5 コロナ禍も楽しめるレクリエーションの提案も「アイデアわくわくリハビリ」

    作業療法士の山口健一さんが、レクリエーションやリハビリ、介護の考え方について発信するYouTubeチャンネル「アイデアわくわくリハビリ」。高齢者の方と介護・医療従事者の両方に、[btp_line]日々の生活において楽しさや生きがいを感じてもらうことをモットーに[/btp_line]、動画を配信されています。脳トレーニングや歌体操、頭痛・肩こり解消に向けた体操などのほか、お正月やひな祭りといった季節に合わせたレクリエーション動画もあります。即日から介護現場で役立つ情報満載です。

    [btp_box]アイデアわくわくリハビリ[/btp_box]

    おすすめ6 流すだけでOK!介護施設で使いやすい「青空体育の介護予防クラブ」

    作業療法士15年目のリハビリ専門員・青空体育さんが、介護予防のための体操や運動のコツを紹介する「青空体育の介護予防クラブ」。脳トレーニング体操や歌体操、レクリエーションなど、画面を見ながら行える動画を多く配信しているYouTubeチャンネルです。「流すだけでOK」シリーズでは、手本を見せながらゆっくりと動画を進めてくれるため、[btp_line]動画を再生するだけで座ったままでもゆるやかな運動をすることが可能[/btp_line]。集団でも個人でも取り組みやすいのが特徴のレクリエーション動画が目白押しです。

    [btp_box]青空体育の介護予防クラブ[/btp_box]

    おすすめ7 介護現場を笑いでいっぱいに!すぐに使えるレクリエーション「介護エンターテイメント脳トレ介護予防研究所」

    「介護エンターテイメント脳トレ介護予防研究所」は、オリジナル体操を365日更新しているチャンネルです。日々の記念日に関する体操を2分程度の短い動画や、月ごと・季節ごとにおすすめのレクリエーションを何種類か選んで紹介する動画などもあります。新聞やティッシュなどの身近な材料を使い、[btp_line]日常生活に必要な動きを取り入れた体操[/btp_line]を考案しているのが特徴。毎日異なる体操を紹介してくれるため、毎日見ても飽きずに取り組めるのが魅力のYouTubeチャンネルです。

    [btp_box]介護エンターテイメント脳トレ介護予防研究所[/btp_box]

    おすすめ8 介護職の経験を活かして介護のノウハウを発信「介護予防3373チャンネル」

    高齢者の方への介護予防のための体操や知識、レクリエーションを紹介する「介護予防3373チャンネル」。3373さんは介護予防指導士として活動中で、特別養護老人ホームやデイサービスなどの[btp_line]介護施設で高齢者の方と関わった経験を活かして、介護のノウハウを発信[/btp_line]しています。レクリエーションの題材だけでなく、展開の仕方などについても紹介。机上で行うペットボトルキャップを使ったレクリエーションは、手先を使うため脳トレーニングにも効果が期待でき、コロナ禍でも行いやすいと人気の動画となっています。

    [btp_box]介護予防3373チャンネル[/btp_box]

    おすすめ9 脳トレクイズが豊富「ふくくる君【高齢者向け介護体操や口腔体操、介護レクに使える動画を専門家がお届け】」

    「ふくくる君【高齢者向け介護体操や口腔体操、介護レクに使える動画を専門家がお届け】」では、介護体操やレクリエーション、介護技術の習得に役立つ動画を配信しています。椅子に座ったままでできる腕・手足・口を動かす運動や、太極拳をベースにした体操など多種多様な動きを動画で紹介。ほかにも、[btp_line]介護予防や認知症予防に有用な「動画クイズ」を豊富に配信[/btp_line]。YouTube動画をテレビやプロジェクターに映し出すだけでそのままレクリエーションに使えます。介護スタッフにとって事前準備の負担軽減にもつながる便利な手段のひとつになるでしょう。

    [btp_box]ふくくる君【高齢者向け介護体操や口腔体操、介護レクに使える動画を専門家がお届け】[/btp_box]

    おすすめ10 流すだけでレクリエーション時間!10分動画「介護レクリエーションch レクシード」

    1日10分の介護負担軽減をテーマに動画配信している「介護レクリエーションch レクシード」。[btp_line]1本が10分程度の動画で、流すだけでレクリエーションを進められる[/btp_line]構成です。介護施設で空いた時間に活用したり、下準備をしなくてもレクリエーションに使えたりと、介護スタッフにとって利便性のよい構成が魅力。レクリエーションの進行が苦手でも進めやすい動画が豊富に揃うYouTubeチャンネルです。認知症予防のための脳トレーニング動画や、身体を動かして行う介護予防の体操動画があります。

    [btp_box]介護レクリエーションch レクシード[/btp_box]

    利用者さんも介護スタッフも一緒に楽しめるレクリエーションを企画しよう!

    介護施設におけるレクリエーションは、高齢者の方が生活を送る上でも重要な役割を果たすイベント。楽しい時間を過ごすことだけでなく、運動機能や認知能力の向上などさまざまな目的を持って行われています。
    介護施設で過ごす利用者さんには、少しでも自立した生活を送っていただきたいもの。今回紹介したYouTubeチャンネルを参考にして、企画者も利用者さんも一緒になって楽しめるレクリエーションを企画してみてくださいね。

  • 認知症の回復で注目されているリコード法とは?概要を簡単にご紹介

    認知症の回復で注目されているリコード法とは?概要を簡単にご紹介

    この記事では、認知症治療の分野で注目されている「リコード法」についてご紹介していきます。リコード法はアルツハイマー型認知症の原因物質と言われるアミロイドβに着目した治療法です。2014年に論文発表された比較的新しい治療法のため聞き慣れない言葉かもしれませんが、介護施設の利用者さんやそのご家族から相談を受けたときにスムーズに話を進められるよう、ぜひ知識として蓄えておきましょう。

    リコード法とは?

    リコード法とは、アメリカのデール・ブレデセン博士によって開発されたアルツハイマー型認知症の治療システムです。2014年に論文が発表され、アメリカで出版された書籍はベストセラーとなりました。日本でもその翻訳本が出版されています。

    リコード法は、英語の「Reversal of Cognitive Decline in Alzheimer’s disease(アルツハイマー病における認知機能低下の回復)」という言葉から「ReCODE protocol」とも記載されます。

    リコード法は、アルツハイマー型認知症の原因物質とされるアミロイドβが増える原因に着目して、患者の検査を実施。一人ひとりに合った生活習慣改善プログラムを提供していくものです。

    現在、アルツハイマー型認知症は、抗認知症薬で進行を遅らせることは可能ですが、根本的な治療薬や治療法が確立していません。リコード法もまた認知症を完全に治療できるプログラムではありませんが、これまでよりもきめの細かい治療法として注目を集めています。

    リコード法による一般的な認知症改善プログラム

    リコード法の内容を少し詳しくご紹介していきましょう。

    ブレデセン博士は、認知症の原因物質と言われるアミロイドβが、脳の神経細胞の防御反応としてできる物質であることを指摘。その防御反応が起こる原因を減らすことで、認知症が改善するのではないかと提唱しています。

    リコード法では、防御反応が起こり、脳にアミロイドβが蓄積する原因を6つに分類しています。

    1. 炎症性
    2. 萎縮性
    3. 毒物性
    4. 糖毒性12
    5. 血管性
    6. 外傷性

    原因は患者さん・利用者さん一人ひとりで異なるため、リコード法を用いた治療ではまず細かな検査を実施。検査内容は認知機能検査をはじめ、アルツハイマー病リスク遺伝子検査、栄養解析、体組成検査などがあります。ほか、自律神経バランス分析・抹消血液循環分析、認知症のリスクでもあるうつ病をチェックするSDS検査などです。

    それらの結果から、オーダーメイドで認知症改善プログラムを組んでいきます。内容としては、「食事」「睡眠」「運動」「ストレスケア」「脳トレ」といった生活習慣の改善がメインです。なかでも大きなウエイトを占めるのが食事の改善で、[btp_line]「ケトフレックス12/3」[/btp_line]という手法がとられます。

    介護施設で取り入れられるプログラムは?

    リコード法を本格的に治療に取り入れるには、専門医師への相談と連携が不可欠です。医師からの指示を得てリコード法を介護施設で取り入れるのならば、前項でご紹介した「ケトフレックス12/3」が代表的でしょう。

    ケトフレックス12/3とは?

    まずはケトフレックス12/3をご紹介していきましょう。
    ケトフレックス12/3の「ケト」とは、ブドウ糖と同様に脳のエネルギー源になるケトン体という物質を、脂肪を利用して作れる状態にすることです。「フレックス」は緩やかな菜食主義を意味します。最後の「12/3」は夕食から朝食まで12時間あける、夕飯は寝る3時間前までにとる、というルールのことです。

    ケトフレックス12/3では、糖質の摂取はできるだけ控えて脂肪から脳のエネルギー源になるケトン体を作ります。ケトン体を作り出せる環境を整えることでエネルギー不足が解消され、脳の認知機能改善が期待できます。

    野菜中心の食生活へシフトしていくことも大切。食物繊維を多くとることで血糖値の急激な上昇を抑えることが可能です。同時に腸内環境も整えることができます。野菜の栄養素によって脳の老化が穏やかになることも期待できるそうです。

    ケトフレックス12/3の食事のポイント

    ケトフレックス12/3では、ケトン体を作り出すために、以下のような食材を積極的に摂取することが大切です。

    • タンパク質が豊富な食材(ナッツ・青魚・卵など)
    • 脂質が含まれる食材(オリーブオイル・亜麻仁油・エゴマ油など)
    • 葉物野菜
    • キノコ類
    • 海藻類

    介護施設でケトフレックス12/3を取り入れる際の注意点

    ケトン体を作りやすくするためには糖質の摂取量を減らすことがポイントとなりますが、高齢者の場合は糖質を制限しすぎると、[btp_line]体重が減ってしまうことがあります[/btp_line]。介護施設などでこの手法を導入する際は、高齢者が痩せすぎないよう定期的に体重を測定し、チェックを欠かさないようにしてください。可能であれば3ヶ月ごとに血液検査で体の状態もチェックしていきましょう。

    まずは甘いおやつを減らすことから実行し、慣れてきたら夕食から、主食であるごはんやパンをなくしていきます。主食を減らすかわりに、タンパク質を含むおかずを1品から2品増やしていきましょう。主食がないかわりにおかずの味つけを控えめにするのがポイントです。

    ケトフレックス12/3では食べる順番も意識します。主食ではなくおかずから食べることで、血糖値の急激な上昇を防ぐことが可能です。また、よく噛んで食べて脳に刺激を送ることも重要。夕食の主食をなくすことができたら、徐々に朝食や昼食の主食もなくす方向へシフトしていきます。

    リコード法は、本人とご家族が医師に相談し、十分な説明を受けメリットやデメリットを確認してから取り組むことが重要です。ご家族や介護者の負担もあるので、双方がきちんと納得してから導入するようにしましょう。

    リコード法を試してみるのもひとつの手段

    リコード法はアルツハイマー型認知症の治療の選択肢のひとつです。効果が保証されているわけではありませんが、リコード法を実践してみて認知症の症状に改善がみられた例もあり、大変注目されています。介護施設として取り組む場合は、家族や医師と連携をとり、本人の体調を観察しながら導入していきましょう。

  • レスパイトケアとは?サービスを活用して介護疲れを解消させよう

    レスパイトケアとは?サービスを活用して介護疲れを解消させよう

    常に要介護者と向き合う生活が続く介護生活。24時間昼夜を問わず介護を必要とするケースもあり、夜も熟睡できない…という介護者が多く存在します。この記事では、介護者の休養を目的とする「レスパイトケア」について解説。保険適用のサービスから、自費利用できる便利なサービスまで詳しくご紹介します。利用者さんのご家族が“介護疲れ”になってしまう前に、レスパイトケアのサービスがあることを伝えられるよう、ぜひ参考にしてください。

    レスパイトケアで得られる効果とは?

    レスパイトケアとは、[btp_line]介護を担うご家族が一時的な休息を得られるようにすること[/btp_line]を指します。公的サービスや家事代行などの民間業者を利用し、ひと時でも介護から離れる時間を作ることを目的とした介護者のためのケアです。

    在宅介護を行っている介護者の中には、日々の介護負担のため、うつ病など精神疾患を患うケースも少なくありません。したがって、レスパイトケアは介護者の身体面・精神面の介護負担軽減だけでなく、介護の質を保つためにも重要と考えられています。

    介護者の中には、「家族の介護を誰かに任せるなんて」「怠慢ではないか」「私だけ自分の時間を楽しむのは気が引ける」「介護を放棄していると思われたらどうしよう」と、レスパイトケア目的のサービスを利用せず、孤独に頑張ってしまう場合も。介護を頑張る方へ、レスパイトケアの大切さを理解してもらい利用を促すことも大切です。

    レスパイトケアは介護者だけにメリットがあるように感じますが、介護を受ける側にとってもリフレッシュになります。日々介護をされることに引け目を感じている方も多いため、利用者さんと、そのご家族どちらにとっても心身ケア効果を得られるでしょう。

    レスパイトケアで受けられる介護保険適用のサービスの種類とは?

    介護保険が適用されるレスパイトケアのサービスは、訪問介護、デイサービス、ショートステイの3種類です。ショートステイは要支援1~要介護5が対象。そのほかのサービスは要介護1~5が対象になっているので、要介護認定を受けていればほとんどの方がサービスを利用できます。介護者のライフスタイルに合わせて、各サービスを活用できるよう内容を把握しておきましょう。

    訪問介護(ホームヘルプ)とは?

    訪問介護は自宅で決められた時間だけ、排泄や入浴介助、掃除や洗濯といったサービスを提供します。おむつ交換や着替え介助、体位交換や車いすへの移乗といった身体介護のほか、調理や洗濯などの生活援助、通院などで必要となる乗車・降車介助など、日々の介護生活で負担になっている場面をピンポイントに支援できるのが訪問介護です。1~2時間と短時間で気分転換をしたい方におすすめできます。

    デイサービス(通所介護)とは?

    主に朝から夕方まで要介護者を預かり、入浴やレクリエーション、リハビリなどを提供するのがデイサービスです。自宅への送迎も行うため、介護者は日中自分の時間を確保できます。宿泊もできる「お泊りデイサービス」を実施している施設もありますが、介護保険の適用とならないため全額自己負担です。施設により受けられるサービスが異なるので、利用者さんに適した施設を選んでもらうとよいでしょう。

    ショートステイ(短期入所)とは?

    ショートステイは最短で1泊から、最長30日間泊まりで利用できるサービスです。日にち単位で介護から解放される期間を設けられるため、介護者の高いリフレッシュ効果が期待できます。旅行に行きたいときや出張時、冠婚葬祭や体調不良など、一定期間介護が困難な場合にも活用できる便利なサービスです。

    介護保険外のレスパイトケアのサービスとは?

    介護保険だけで賄えない場合は、自費で利用できるサービスがあります。医療保険で利用できるレスパイトケアもあるので、ぜひ参考にしてください。

    家事代行サービス

    介護保険内でのサービスでは満足できない方には、民間業者が提供している家事代行サービスがおすすめです。炊事・洗濯・掃除だけでなく、話し相手や犬の世話、庭の手入れなど多岐に渡るサービスを行ってくれます。

    訪問理美容サービス

    要介護者が外出困難だけど、髪が切りたい!という方には、訪問理美容サービスがあります。理美容院から直接自宅へ訪問してくれるので、プロの方に髪を散髪してもらうことが可能。白髪染めやパーマなどさまざまなメニューに対応しているサービスもあるので便利です。

    配食サービス

    配食サービスを利用すれば、日々の食事作りから解放されるでしょう。配食専門の業者や、スーパー・コンビニなど多くの企業がさまざまなサービスを展開しています。トロミ付きや刻み食といった介護食を提供しているサービスもあるので、利用者さんに合わせた食事選びが可能です。

    移送・送迎サービス

    リフト付きの介護タクシーを利用すれば、通院や転院だけでなく、観光や墓参りなど余暇を楽しむための移動も楽に行えます。看護師・ヘルパーの同乗や、緊急時対応可能な場合もあるので、利用者さんに合った移送・送迎サービスを選んでもらいましょう。

    レスパイト入院

    医療保険で利用できるサービスに、レスパイト入院があります。在宅で医療機器を使用している、何らかの医療処置を要する場合など、[btp_line]常時介助を必要とする方が対象[/btp_line]です。入院期間は病院により異なりますが、1~2週間という場合がほとんど。医療依存度が高く施設では対応が難しい方には、レスパイト入院という方法があることを念頭に置いておくとよいでしょう。

    レスパイトケアサービスを活用して介護負担軽減を図ろう!

    介護者だけでなく、介護を受ける側もリフレッシュ効果が図れるレスパイトケアは、在宅での介護生活に必須と言えるサービスです。介護うつといった精神疾患を防ぐためにも、レスパイトケアサービスが利用できることを伝え、適宜利用を促す声かけを行っていきましょう。状況に応じて、利用者さんと、そのご家族に寄り添った提案ができるよう心がけることが大切です。

  • 介護福祉士実務者研修とはどんな資格?無料で受講する方法もチェック

    介護福祉士実務者研修とはどんな資格?無料で受講する方法もチェック

    介護福祉士実務者研修は介護の仕事をするうえで取得を検討する方が多い資格のひとつでしょう。介護の仕事は特別な資格がなくても従事できます。しかし、より専門的な知識を得たい方や、スキルアップやステップアップを望む方は、介護職員初任者研修を経て介護福祉士実務者研修を受講するケースが多いです。この記事では、介護福祉士実務者研修の概要とともに、受講費用の相場や無料で受講する方法をご紹介していきます。

    介護福祉士実務者研修とは?

    介護福祉士実務者研修とは、介護職に従事するうえで必要となる実践的な技術や知識を学べる講座(研修)です。介護の知識・スキルから、社会保障制度の知識、利用者さんとのコミュニケーション技術など、幅広く知識を深めることができる内容となっています。痰吸引や経管栄養といった専門的な医療知識を学べる点もメリットです。

    かつての介護職員基礎研修とホームヘルパー1級の資格は、2013年度からこの介護福祉士実務者研修へ一本化されました。国家資格である「介護福祉士」の受験資格として、介護福祉士実務者研修の修了と実務経験3年間が義務付けられています。自身のキャリアアップや介護職のエキスパートを目指している方は受講がマストです。

    訪問介護事業所でサービス提供責任者を目指す場合も、介護福祉士実務者研修の修了、または介護福祉士の資格取得が必要となっています。

    介護福祉士実務者研修を受ける際にかかる費用の相場は?

    介護福祉士実務者研修は、スクールや通信学習の講座などを通して受講可能です。実務者研修は座学だけでなく、通学して演習に参加することなども必要となります。所定の受験科目の受講が必要ですが、保有している資格によっては免除となる科目もあるので、介護系の資格を持っている方は確認しておきましょう。

    介護系の資格を保有していない方の場合は、450時間の講習受講が必要となります。介護職員初任者研修の資格保有者の場合は免除となる科目があるため、受講時間が短縮されるのが特徴です。

    介護福祉士実務者研修の受講費用についても、ほかの資格の取得状況により異なります。介護系の資格をなにも保有していない場合の相場は10万円から20万円。介護職員初任者研修をすでに修了している方は5万円から15万円、ホームヘルパー1級を取得している場合は5万円から10万円が目安です。

    介護福祉士実務者研修を無料で受ける方法がある

    介護福祉士実務者研修の受講にはまとまった費用が必要です。そこがネックとなり、受講を迷っている方もいるかもしれません。しかし、介護福祉士実務者研修を無料で受講する方法があります。無料で受講するには4つの選択肢があるのでご紹介していきましょう。

    方法1:スクールのキャンペーンを利用する

    介護福祉士実務者研修は、スクールによっては受講費用が無料となるキャンペーンを実施していることがあります

    たとえば、転職サイトを運営している会社が母体のスクールでは、介護福祉士実務者研修受講後に、自社の転職サイトを通して介護施設や医療系企業に就職することを条件に、無料で介護福祉士実務者研修を受けられる場合があります。

    介護施設を運営している会社が母体のスクールでは、介護福祉士実務者研修修了後に自社が運営する介護施設での就労が条件ということもあります。

    スクールのキャンペーンを利用する場合は、スクールが勧める転職サイトを通して就職したり、グループ企業に就職したりする必要があるケースがほとんど。必然的に求職中であることが条件のひとつとなります。

    方法2:自治体などが実施する助成金制度を活用する

    自治体が行っている、介護福祉士実務者研修の受講費用助成制度を活用する方法です。たとえば広島県には「広島県介護福祉士実務者研修受講資金貸付事業」というものがあります。

    この制度は、介護職員として実際に働きながら,介護福祉士実務者研修施設に在学している方が対象です。受講資金について20万円を限度に貸し付けており、実務者研修施設を卒業したのちに介護福祉士の資格を取得し、広島県において返還免除対象業務に2年間以上従事すると全額返還免除となります。

    広島県には「広島市訪問系サービス事業所介護従事者等資格取得支援事業」もあり、上限7万円として、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修の受講費用が補助される制度です。

    こういった制度では、自治体が設定する条件をクリアすることで助成金制度を利用できます。[btp_line]助成金制度を受けるための条件は自治体ごとに異なる[/btp_line]ため、お住まいの地域で確認することが必要です。

    方法3:ハローワークの制度を利用する

    求職中の場合は、ハローワークの制度を利用する方法もあります。雇用保険の受給資格がある場合は公共職業訓練、雇用保険受給資格がない場合は求職者支援制度が適用となるので覚えておくと良いでしょう。

    公共職業訓練の対象となる方は、介護福祉士実務者研修を無料で受講できます。求職者支援制度の対象となる方は、介護福祉士実務者研修を無料で受講することと、一定要件を満たせば訓練期間中に職業訓練受講給付金の支給を受けることが可能です。職業訓練受講給付金は月10万円となっています。

    たとえば、ベネッセスタイルケアの介護福祉士実務者研修(通信形式)は教育訓練給付金支給の対象講座のため、条件を満たせば給付金を受けながら受講が可能です。

    こういった制度の利用についての詳細は、最寄りのハローワークへ問い合わせてご確認ください。

    方法4:自分が働いている施設や法人の補助制度を活用する
    介護施設や事業所によっては、介護福祉士実務者研修が無料で受講できるよう制度を整えているケースもあります。働きながら資格の取得を目指している方は、まずは職場に相談してみると良いでしょう。

    介護福祉士実務者研修で確実にキャリアアップを

    介護福祉士実務者研修は、介護福祉士のキャリアパスにもなっている介護職従事者にとって重要な講座です。受講にはまとまった費用が必要ですが、ほかの資格の取得状況により低いコストで受講できる場合もあります。また、休職中など条件を満たすと無料で受講することも可能です。紹介したケースの対象者に当てはまる方は、ぜひ無料での受講も検討してみてはいかがでしょうか。

  • 介護ロボットについて知りたい!種類や導入するメリットとは

    介護ロボットについて知りたい!種類や導入するメリットとは

    IT化が進み、さまざまなAIやロボットが導入されている現代において、介護業界も例外ではありません。高齢化が加速する日本では、介護ロボットは人材不足の救世主として注目を浴びており、国や自治体をあげた事業として進められています。そもそも介護ロボットとはどんなものなの?という疑問をお持ちの方も多いかもしれません。ここでは、介護ロボットとは?という疑問から、ロボットの種類や導入した場合のメリットやデメリット、さらに介護ロボットの未来について解説します。

    介護ロボットとは?

    介護ロボットとは、利用者さんの自立を支援し、介護をする方の負担軽減を目的に開発が進められている介護機器のことを言います。

    厚生労働省では、「情報を感知し(センサー系)」「判断し(知能・制御系)」「動作する(駆動系)」これら3つの要素技術を有する、知能化した機械システムを『ロボット』と定義しており、ロボット技術が応用され利用者の自立支援や介護者の負担軽減に役立つ介護機器と示しています。

    引用元:厚生労働省
    https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000210895.pdf

    高齢者の人口が増える一方で、働き手である人材不足が課題である介護業界。厚生労働省と経済産業省を中心として開発が進められている介護ロボットですが、現状ではまだ普及が進んでいません。とはいえ、[btp_line]人材不足解消や負担軽減が可能[/btp_line]な介護ロボットには大きな期待が寄せられています。さまざまなデメリットの解消によって将来的に普及していく可能性は大きいと言えるでしょう。

    介護ロボットの種類

    ロボットというと、二足歩行の人型ロボットを思い浮かべる方も多いかもしれません。介護業界で活躍するロボットはさまざまな種類があり、使う目的によって姿、形が異なります。介護ロボットは、大きく分けると3種類に分類可能です。

    介護支援型

    入浴や排泄、移乗などの介護業務を支援するためのロボット。身体的に負担がかかる業務をサポートします。介護者の負担軽減や利用者さんの緊張感・恐怖感を和らげることが可能です。

    自立支援型

    食事や歩行、リハビリなど利用者さんの自立を補助するロボット。たとえば、膝に装着して膝にかかる負担を軽減し、自立歩行や立つ・座るという動作をサポートします。

    コミュニケーション/セキュリティ型

    AIを搭載して、人とコミュニケーションを取ったり、見守りセンサーによって利用者さんの様子をチェックしたりできるロボット。事故や徘徊予防にも有効です。コミュニケーション型は、会話ができるだけでなく、音楽やクイズなどレクリエーション機能がついているタイプや声掛けをするタイプなど、さまざまなタイプがあります。

    厚生労働省と経済産業省では、介護ロボットの開発・導入のために「ロボット技術の介護利用における重点分野」を6項目13分野に定めています。

    移乗支援

    1. 装着
      ロボット技術を利用し、装着して介護者のパワーアシストを行います。
    2. 非装着
      ロボット技術を利用した非装着型機器で、介護者による抱え上げ動作についてパワーアシストを行います。

    移動支援

    1. 屋外
      荷物などを安全に持ち運ぶための歩行支援機器。
    2. 屋内
      屋内移動や立ち座りなどの動作をサポートする歩行支援機器です。特に、トイレ内での姿勢保持などを支援します。
    3. 装着
      膝や腰に装着し、利用者さんの外出をサポートする移動支援機器です。転倒防止や歩行補助などを行います。

    排泄支援

    1. 排泄物処理
      排泄物の処理方法にロボット技術を利用した設置位置が調節できるトイレ。
    2. トイレ誘導
      ロボット技術を利用し、排泄を予測、的確なタイミングでトイレへと誘導します。
    3. 動作支援
      ロボット技術を利用し、トイレ内での衣服の着脱など、排泄に関する一連の動作をサポートする機器です。

    見守り、コミュニケーション

    1. 施設
      介護施設で使用するセンサーや外部通信機能が備わった機器のプラットフォーム。
    2. 在宅
      在宅介護で使用する転倒を検知するセンサーや、外部通信機能が備わった機器のプラットフォームです。
    3. 生活支援
      コミュニケーションなどにロボット技術を利用した生活支援機器。

    入浴支援

    ロボット技術を利用し、浴槽に入浴に関する一連の動作を支援する機器のことです。

    介護業務

    ロボット技術を利用し、見守りや移動支援、排泄支援などの介護業務に関する情報を収集・蓄積し、利用者さんに必要な支援として活用することを可能とする機器。

    介護ロボット導入のメリット・デメリット

    続いて、介護ロボットを導入した場合のメリット・デメリットを見ていきましょう。

    メリット

    介護ロボットの導入による介護者の精神的・身体的負担減少は、大きなメリットのひとつです。介護の仕事は、身体的負担のかかる業務が多々あります。利用者さんの身体を支えたり、立ちっぱなしや中腰での作業が多かったりと、腰や膝の痛みに悩む方も少なくありません。また、介護の度合いが重いほど、夜間の見回りが必要になり、介助にも気を使うなど精神的負担がかかってきます。介護ロボット導入によって、体力が必要な業務や夜間の見回り回数の軽減・減少、利用者さんの体調の変化への対応などがより細かく可能に。介護者の精神的・身体的負担の軽減にもなるでしょう。

    利用者さんの中には、介護をしてもらう際に「恥ずかしさ」や「申し訳なさ」を感じる方もいらっしゃいます。介護ロボットの導入によって、[btp_line]利用者さんの精神的なストレスを軽減[/btp_line]できる点も、メリットのひとつです。

    さらに、介護ロボット導入により現場での業務効率がアップすれば、人手不足の解消や人件費削減にもつなげられます。介護ロボットの導入は、介護者・利用者さん双方にとって、大きなメリットがあるのです。

    デメリット

    介護ロボットの導入は、国をあげて推進されている事業ですが、まだまだ一般的に普及していません。その大きな理由のひとつとして、[btp_line]導入コストがかかる[/btp_line]という点が挙げられます。単価も高く、活用事例がまだ少ないことから、効率的な運用のノウハウが確立されていないのが現状です。不安感から利用したくてもできないという介護施設も多く、普及率が進まない原因となっています。

    介護ロボットを導入しても操作が難しく慣れるまで時間がかかるという点も改善すべきところのひとつ。介護ロボットをうまく扱うには、機能や適切な操作方法について理解する必要があります。操作のためにスタッフの負担が増えると、導入した意味がないと感じることもあるでしょう。

    デメリットも多い介護ロボットですが、利用者さんや介護者にとって多くのメリットがあるのも事実です。デメリットを改善していくことで、介護ロボットの普及率アップにつながるでしょう。

    介護ロボットの未来は?

    少子高齢化が進む現代において、介護ロボットの開発・導入は早期の対応が求められています。介護ロボットの実用化には、ロボットの精度を上げるだけでなく、扱う人材の育成も不可欠です。2019年に創設された[btp_line]「スマート介護士」[/btp_line]は、介護ロボットの操作技術だけでなく、ロボットの効果的な運用により業務効率化と介護の質の向上を目的とした民間資格。このように、介護ロボットの導入に向けた資格の創設は、将来性への期待が伺える事例とい言えるでしょう。

    普及に時間がかかりそうな現状ではありますが、国や自治体による事業推進の動きから、今後補助金や助成金制度も整えられていくことが考えられます。介護業界が抱える人手不足や介護者の負担軽減といった課題を、介護ロボットの導入などによりひとつずつ解決していくことで、将来のビジョンも期待できるはずです。

    介護ロボットは介護業界にとって希望の光

    介護ロボットは、まだまだ開発中の事業なので課題も多いですが、利用者さん・介護者双方に[btp_line]メリットが多いのも事実[/btp_line]です。開発・導入が進むことで、コスト面や操作面においても改善され、介護ロボットの需要は増加するでしょう。介護業界の希望の光として、介護ロボットが活躍する未来もそう遠くはないかもしれませんね。

  • 遠距離介護とは?介護職はどのように対応していくのがベスト?

    遠距離介護とは?介護職はどのように対応していくのがベスト?

    介護が必要な親のサポートを、離れて暮らす子供や親族が行うことを、遠距離介護といいます。核家族が増え、65歳以上の夫婦世帯や1人暮らし世帯が増加傾向にある今、遠距離介護という選択肢を選ぶ方は増えています。この記事では遠距離介護の概要やメリット・デメリットについて解説。介護職はどのように向き合うとよいのかについて、紹介していきます。遠距離介護の利用者さんとそのご家族をサポートする方は、ぜひご覧ください。

    【簡単に解説】遠距離介護とは?

    遠距離介護とは、[btp_line]高齢の親の介護を、離れて暮らす子供や親族が行うこと[/btp_line]です。内閣府の「高齢社会白書」の調査によると、かつては3世代の同居が当たり前だった日本でも、時代の変化とともに核家族が増加。2019年には、65歳以上がいる世帯のうち約3割が夫婦のみの世帯になっています。1人で暮らす65歳以上の世帯も合わせると、約6割が子供と同居していません。このように、それぞれが離れて暮らすことが一般的となりつつある今、遠距離介護を選択する方が増えているのです。

    コロナ禍で帰省の頻度が減少!新たなサービス利用も

    近年は、新型コロナウイルス感染症の流行により、多くの人が思うように帰省できない状況です。それにより、新たなサービスを利用する方も増えてきました。例えば、ビデオ通話を使ったコミュニケーションもその1つ。機械が苦手な方でも直感的に操作しやすいツールが増えており、高齢者でも使いやすい仕様のものが増えてきました。また、高齢者向けの配食サービスや日用品の買い物を代行するサービスなども登場。公的機関が行う介護サービス以外にも、[btp_line]遠距離介護をサポートする仕組みが増えています。[/btp_line]

    遠距離介護のメリットとは?

    ここからは、遠距離介護のメリットについて見ていきましょう。

    お互いの生活スタイルを変えずに介護が行える

    親には親の、子供には子供の暮らしがあります。住み慣れた土地で過ごしたい親と、別の土地で仕事をもつ子供では、どちらかの生活に呼び寄せるのが難しいことも。遠距離介護であれば、それぞれの生活スタイルを変えることなくサポートできます。近づきすぎると「疲れた」と感じたときも、適度な距離感を保つことで相手を思いやる気持ちを維持しやすいでしょう。

    同居だと利用しにくいサービスが使える

    介護サービスの中には、同居する家族がいる場合だと利用しにくいサービスもあります。掃除や洗濯、日用品の買い物などを訪問介護のヘルパーに依頼する「生活援助」もその1つです。1人で暮らす高齢者や、同居する家族が病気で介護できない場合に利用できる制度のため、遠距離介護であれば使えるでしょう。また、入居までに期間がかかりやすい特別養護老人ホームも、遠距離介護だと入りやすくなることもあります

    医療費や介護費用が軽減されることも

    医療費や介護サービスにかかる費用は、世帯所得によって負担額が変わります。そのため、親の年金収入だけの場合と収入のある同居家族がいる場合では、かかる費用が異なるのです。遠距離介護では交通費などがかかるため、必ずしも費用負担が軽減するとは限りませんが、制度上のメリットとして知っておいて損はないでしょう。

    遠距離介護のデメリットとは?

    遠距離介護をする中では、次のようなデメリットも考慮する必要があります。

    緊急時や体調の変化にすぐ対応できない

    親と子供、それぞれ暮らす場所が離れている場合には、緊急時などにすぐに駆けつけることは難しいでしょう。また、認知症の初期症状など、同居していると気がつきやすいちょっとした変化にも気づきにくい可能性があります。遠距離介護を選択した方は、[btp_line]緊急時や日々の変化に対応する準備が必要[/btp_line]です。遠距離介護の利用者さんがいるデイサービスなどでは、緊急時の対応について利用者さんのご家族と相談しておくことも大切でしょう。

    交通費などの費用がかかる

    遠距離介護は、交通費などの経済的な負担が大きくなります。介護にかかる交通費は控除の対象にはならないため、より負担を感じやすいでしょう。一方で、遠距離介護の増加に伴い、交通機関の中には介護の経済的な負担軽減を目的としたサービスを行う企業も増えてきました。

    例えば、航空会社のJALでは「介護帰省割引」が、ANAでは「介護割引」が利用できます。新幹線や特急では割引制度は見られませんが(※)、遠距離介護経験者が交通費の節約方法をまとめているブログなど、参考にできる情報は豊富です。こうした情報にアンテナをたて、必要に応じて遠距離介護を行う利用者さんのご家族にお伝えすると、役立つこともあるでしょう。
    ※2022年2月時点

    介護職は遠距離介護にどのように向き合うとよい?

    遠距離介護を選択する方は、これからも増えていくことが予想されます。ここからは、そうした時代の中で、介護職はどのように向き合っていくとよいのかについて見ていきましょう。

    専門職として適切な情報提供を行う

    介護をきっかけに仕事を辞めてしまう「介護離職」は、社会問題の1つになっています。こうしたケースの中には、「介護に関する情報をもう少し知っていれば、仕事を辞めずに済んだ」という方も少なくありません。介護の専門職として、ご家族が適切に意思決定できるよう、情報提供を行うことが大切でしょう。

    地域の社会資源を活用できるようつないでいく

    自治体ごとに利用できる介護サービスは多様化しています。介護職の多くが知っている場所やサービスでも、利用者さんやそのご家族は知らないこともあるでしょう。地域の豊富な社会資源を把握し、活用できるようにしていくことも介護職ができることの1つです。ケアマネジャーを目指す方は、しっかりと把握しておくと安心でしょう。

    自分だけで対応しようとしすぎない

    遠距離介護では、親の身近にいる介護職員は頼りになる存在です。とくにケアマネジャーは、より多くのサポートを求められるケースがあるかもしれません。一方で、介護職が行える支援には限界があることも事実。例えば、仕事の両立に悩むご家族に対し、職場と交渉することは、介護職にはできないことです。すべてを自分だけで対応しようと思わず、必要に応じて連携できる外部の専門職を頼りましょう。

    遠距離介護には適切な情報提供を!抱え込みすぎないことも大切

    核家族が増えたことで、これからも遠距離介護を選ぶご家族は増えるでしょう。介護離職も社会問題の1つになっています。介護の現場では、利用者さんのご家族がこうした悩みを抱えている可能性も少なくありません。相談されたときには適切な情報提供を行い、ときには必要な機関へとつなげることでサポートしていきましょう。

  • 介護職として働く外国人が増加!受け入れ制度の違いや注意点を知ろう

    介護職として働く外国人が増加!受け入れ制度の違いや注意点を知ろう

    急速に進む高齢化に伴い、介護業界では2025年度までに約32万人の人材が不足すると見込まれています。そこで注目されているのが、外国人の介護職員です。現在日本には、介護現場で外国人労働者を受け入れる制度が4つあり、これらを活用して入国する方も増えています。この記事では、介護現場で働く外国人介護職員の制度や、一緒に働く際の注意点などを解説。これからの介護現場で求められる対応などについても、お伝えしていきます。

    介護現場で働く外国人労働者は増えている

    厚生労働省が2021年7月に公表したデータによると、2023年度に約22万人2025年度には約32万人2040年度には約69万人の介護職員の確保が必要だといいます。つまり、急速な高齢化に伴い、[btp_line]介護業界では人材不足が問題[/btp_line]になっているということです。国内でも、小中高生など若者に向けた福祉・介護職の啓発や介護職員の待遇改善など、さまざまな取り組みが行われています。さらに、2017年頃から力を入れ始めたのが、[btp_line]外国人労働者の採用[/btp_line]です。さまざまな制度を創設し、介護現場で外国人労働者を積極的に採用し始めました。

    参考:「経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れ概要」|厚生労働省

    上記のグラフは、2019年度までに、外国人労働者受け入れ制度の1つを利用して入国した介護福祉士候補者の推移を示しています。2010年度には149人だった介護福祉士候補の外国人労働者も、2019年度には761人にまで増加しました。また、このほかの制度を利用して介護現場で働く外国人労働者の割合は増えており、高齢化が進む今後も増加が見込まれています

    【簡単に解説】介護現場で外国人の受け入れを促進する4つの制度とは?

    介護現場で外国人労働者を積極的に受け入れるため、4つの制度が設けられています。ここからは、それぞれの制度のポイントを簡単に解説していきましょう。

    日本の介護福祉士養成校を卒業した在留資格「介護」

    在留資格「介護」とは、日本の介護福祉士を養成する学校に留学・卒業して介護福祉士の資格をもつ外国人に、永続的に働ける権利を付与する制度です。特徴は、介護福祉士の資格取得後、日本の介護施設などに就職すると[btp_line]「留学ビザ」から「介護ビザ」に変更できる[/btp_line]こと。これにより、本人が望む限り介護福祉士として永続的に日本で働くことができます。ただし、この制度には介護事業所と外国人介護職員をマッチングする機関がないため、自主的な求人活動が必要になるでしょう。

    一定の介護知識と経験をもつ「EPAに基づく外国人介護福祉士候補者」

    「EPA(経済連携協定)に基づく外国人介護福祉士候補者」とは、お互いの国の経済活動を連携強化する目的で外国人労働者を受け入れる制度のことです。日本は、インドネシア・フィリピン・ベトナムの3ヶ国とEPA協定を結んでいます。特徴は、本国にて介護や看護の一定の知識と経験をもつ方が、日本語研修を受けてから日本に入国するということ。入国4年目に介護福祉士の国家資格を受験して、合格すれば永続的な就労も可能です。

    日本から本国へ技術や知識を移転する「外国人技能実習制度」

    「外国人技能実習制度」とは、日本で働きながら技術や知識を習得して本国の経済発展に役立てることを目的に、外国人を一定期間受け入れる制度です。特徴は、[btp_line]日本に滞在できる期間が最長5年[/btp_line]と決まっていること。また、原則として介護職以外へ転職ができない点は、ほかの制度との大きな違いの1つでしょう。ただし、技能実習の期間内で介護福祉士の国家資格を取得できれば在留資格「介護」に変更でき、永続的に働くことが可能です。

    就労を目的とした在留資格「特定技能1号」

    在留資格「特定技能1号」とは、就労を目的として外国人労働者を受け入れる制度です。特徴は、働くために必要な技能水準や日本語能力を、入国前に試験で確認すること。日本での滞在期間は、最長5年と決まっています。就労を目的とした制度のため、技能実習生には制限がある夜勤にも対応可能です。入国後は自分の意思で転職することもでき、介護福祉士の国家資格を取得すれば、在留資格「介護」に変更し永続的に働くこともできます。

    介護現場で外国人労働者を受け入れるときの問題や注意点とは?

    ここからは、介護現場で外国人労働者を受け入れるときの問題や注意点について見ていきましょう。

    雇用のための手続きや法律などの知識が必要

    前述したとおり、利用する制度によって外国人の在留期間や就労目的は異なります。とくに技能実習生の場合は、就労ではなく技能の移転が目的であることをしっかりと理解しておかなければなりません。介護現場で外国人労働者を雇用したいときには、それぞれの制度や手続きについて、しっかりと学んでおく必要があるでしょう。

    宗教や文化の違いに配慮する

    介護現場で働く外国人労働者の中には、日本とは異なる宗教や文化をもつ方もいます。中には食事の制限や、お祈りの時間を要することもあるでしょう。外国人労働者を受け入れる際には、こうした文化的な違いにもきちんと理解を示し、尊重していくことが大切です。

    利用者さんの不安を招かないよう注意する

    日本での介護には、利用者さんと日本語で会話することが欠かせません。しかしながら、言語の習得には時間もかかるもの。介護業界で働く外国人労働者全員が、流ちょうに日本語を話せるとは限りません。利用者さんの不安を招かないために、はじめのうちは周囲がサポートしていくことも大切です。とくに基本的な専門用語や利用者さんの訴えを理解するために必要な言葉などは、積極的に共有していきましょう。

    介護職に就く外国人労働者の研修体制はどうすべき?

    介護現場で行う外国人労働者への研修は、[btp_line]4つのうちどの制度を利用しているかによって体制が異なります[/btp_line]。技能実習生であれば、働きながら業務を覚えるOJTが基本です。技能の移転を目的とするため、原則として[btp_line]指導員が常につきっきりで仕事をこなす[/btp_line]必要があります。そのため、介護職員の負担は大きいと言えるでしょう。技能実習生を採用する場合は、日本人介護職員への事前周知・理解が重要になります。

    一方それ以外の制度を利用する外国人介護職員であれば、仕事を覚えたら指導員は不要で、日本人介護職員と同じように働くことが可能です。ただし、[btp_line]それぞれの制度によって、勤務できる場所や行える仕事には細かな制約があります。[/btp_line]外国人介護職員の採用が決まった段階でどの制度を利用するのかを考慮しながら、研修体制を整えていくとよいでしょう。

    今後、介護現場で外国人労働者と働く際に求められることとは

    急速に進む高齢化の影響を受け、介護現場で働く外国人労働者が増えてきました。2017年頃より、就労するための制度も拡充されています。また、仕事へのモチベーションの高い外国人介護職員によい影響を受けているという事業所もあるようです。一方で今後は、言葉や文化、宗教の違いなどを尊重しながら共に働くことがより大切になります。未来を見据えて、外国人介護職員に対して理解をしっかりと深めていきましょう。

  • リハビリに使えるVR技術6選!歩行訓練や発達障害にも活用を

    リハビリに使えるVR技術6選!歩行訓練や発達障害にも活用を

    近年、さまざまな分野で活用されている「VR(ヴイアール)」技術。専用のゴーグルなどを装着し、視界を360°覆うように映像を映すことで、実際にその場所にいるような感覚が得られる技術です。最近は、映像の中を自由に移動したり、ものを動かしたりと、より没入感が高い体験も可能になってきました。

    介護業界でも活用が進んでおり、リハビリに使えるVRも登場しています。この記事では、そんなリハビリVRのサービスを6個紹介していきましょう。

    リハビリを変える新しい技術「VR」とは?

    「VR(ヴイアール)」とは、「Virtual Reality(バーチャルリアリティ)」の略で、日本語だと[btp_line]「仮想現実」[/btp_line]と訳されます。ゴーグルなどの専用機器を装着し、人の視界を360°見渡せるように映像を映し、まるでその場にいるような感覚が味わえる技術です。

    例えば、テーマパークなどではVRゴーグルを使ってゲームの世界観をその場に映し出す体験型アトラクションが人気を呼んでいます。医療分野ではVR技術を使って、現実世界の手術に近い感覚でトレーニングできるサービスに活用されています。このように、VRはエンターテイメントやビジネス、医療まで幅広いところで活用が進められているのです。

    介護分野でもさまざまな活用が進められており、注目度も高まってきています。ここからは、リハビリに使えるVRについて見ていきましょう。

    各地の名所を巡りながらリハビリ「RehaVR」

    健康を保つためとはいえ、いつも同じ場所の行き来は誰しも飽きるもの。[btp_line]「RehaVR」[/btp_line]は、そんなリハビリの悩みを解消してくれるVRです。

    専用のVRゴーグルをつけると、視界に広がるのは「宮島」や「金沢兼六園」など各地の名所。椅子に座ったままで専用の足こぎペダルを回し始めれば、あたかも観光地を散歩するような感覚でリハビリが行えます。

    利用者さんが見ている映像は、iPadを通してトレーナーにも共有されるため、運動状況もリアルタイムで把握が可能です。大画面につなげば、VR体験者以外も同じ映像を見ることができ、ほかの利用者さんも一緒にVR散歩に出かけた気分が味わえます。

    退屈になりがちなリハビリも、[btp_line]VRを導入すれば、各地を巡りながら楽しんで行える[/btp_line]でしょう。

    歩行に必要な感覚のリハビリに「mediVRカグラ」

    歩くために必要な機能を分析して開発されたのが[btp_line]「mediVRカグラ」[/btp_line]です。脳梗塞後の方や高齢者の方が失いやすい「姿勢バランス」と、同時に2つ以上のことを行う「二重課題型の認知処理能力」を養えるリハビリVRとなっています。

    基本動作は、座った状態で専用のVRゴーグルとコントローラーを手に持ち、仮想空間内の狙った位置に手を伸ばす「リーチング」というもの。「落下ゲーム」や「水戸黄門ゲーム」「果物ゲーム」など、5種類のゲームでリーチングを繰り返し、歩行に必要な感覚を養います。

    今までのリハビリは、「指示や評価を明確に伝えることが難しい」という課題がありましたが、同機器は定量化も実現。「あと30センチ手を伸ばしてみましょう」など、距離や方向を利用者さんにはっきりと伝えられ、評価することが可能です。

    同機器を活用したリハビリに関する論文も多数発表されるなど、エビデンスもあります。経済産業省主催の2018年度「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト」でグランプリも受賞したVRです。

    日常生活の動作のリハビリにも「iADVISOR」

    作業療法の現場から生まれたリハビリVRの[btp_line]「iADVISOR(アイアドバイザー)」[/btp_line]。電話や買い物、調理などの「IADL(手段的日常生活動作)」のリハビリに用いることができます。

    専用ゴーグルをつければ、コントローラーを持つ必要がないことも特徴。自分の手をゴーグル内に搭載されたカメラに写すと、自らの手で作業しているような感覚でリハビリが行えます。

    IADLに必要な8つのリハビリはもちろん、上肢機能や高次脳機能のリハビリにも適したプログラムも搭載。幅広い利用者さんのリハビリに、活用可能です。

    3D空間で立体的なリハビリを「リハまる」

    いつものリハビリ空間に、バーチャルな映像が浮かび上がる[btp_line]「リハまる」[/btp_line]。専用のゴーグルをつけると、見慣れた空間に数字やフルーツなどが浮かび上がります。これらを、順番に並べたりや特定のフルーツを選んだりしながら、リハビリが行えるのです。

    完全にバーチャルな世界に入り込むVRとは少し違う、MR(複合現実)の世界でリハビリを行えることが特徴です。歩行訓練を行う利用者さんには、視界に広がる花道を歩いて特定の色を選ぶ動作や、迷路の中を歩いてゴールするリハビリも行えます。

    脳梗塞後のリハビリにも「MindMotion PRO」

    スイスで開発されたリハビリVRの[btp_line]「MindMotion PRO」[/btp_line]。専用の機器を手や肩に取りつけることで、脳梗塞を発症した経験のある利用者さんなどの上肢リハビリが行えます。

    特徴は、ゴーグルをつけなくてもVR空間でリハビリが行えること。独自の追跡技術やカメラシステムなどによって、仮想空間上に自分の手が映し出されるシステムです。MindMotion PROのほか、在宅療法にも使える同社のVR機器「MindMotion GO」も世界各国で活用されています。

    発達障害支援施設でのリハビリには「emou」

    発達障害をもつ方のリハビリに活用できるのが[btp_line]「emou」[/btp_line]です。発達障害の方が失敗しやすい対人関係や社会におけるさまざまな場面をVRで体験できます。

    学齢期・思春期・就活期・就労期の4つの年代が対象のコンテンツが80個以上搭載され、各年代でつまずきやすいポイントを繰り返しVRで学べます。障害をもつ方が利用する福祉施設や就労移行支援施設などでも利用されているVRです。

    リハビリにVRを導入するメリット・デメリットは?

    どのVRを使うかでも変わりますが、[btp_line]従来の方法では難しかった数値での評価や指導が行いやすい[/btp_line]点はメリットと言えるでしょう。これまでは、指導する側の見方によって変わりやすかった評価を、数値で管理することが可能になったのです。

    また、映像が変わったりゲーム感覚で手を伸ばしたりと、楽しみながらリハビリが行えるところも魅力の1つ。利用者さんのモチベーションを高める効果にもつながります。

    一方で、[btp_line]導入コストが高い[/btp_line]ことはデメリットとして考慮しておくべき点です。ただし、月額費用を払うサブスクリプション方式を採用しているVR機器であれば、初期費用をあまりかけずに導入できるでしょう。

    リハビリへのVR導入について理解を深めておこう!

    さまざまな分野で活用が進められているVR技術。エンターテイメント分野だけでなく、医療や介護でも幅広く活用され始めています。今回ご紹介したリハビリへのVR導入も、徐々に広まりつつある分野です。「どういったものがあるのか」をまずは知ることで、利用者さんの可能性を広げられるかもしれません。ぜひ、介護分野でのVR導入について今後も注目しておきましょう。

  • リハプランとはどういうもの?使い方や口コミをチェックしよう

    リハプランとはどういうもの?使い方や口コミをチェックしよう

    「リハプラン」というソフトをご存知ですか?日本マーケティングリサーチ機構の「リハビリ専門職が推薦する機能訓練ソフト」「使いやすい機能訓練ソフト」など各種ランキングで上位にある現在注目のソフトです。リハプランの導入により、業務の効率化などが期待できます。今回は、リハプランがどういったソフトか、使い方は簡単なのか、実際使用した方の口コミなどを紹介します。

    リハプランとはどういうソフト?

    「リハプラン」とは、[btp_line]デイサービス向けの介護リハビリ支援ソフト[/btp_line]です。リハプランを使えば、デイサービスの加算算定業務を簡単に行えます。それだけでなく、利用者さんの現在の課題を明確にし、課題を解決するために必要な目標と個別機能訓練計画書などの運動プログラムを自動提案することが可能です。

    要介護者が利用するデイサービス事業所は日本に数多くあるものの、ほとんどの事業所でリハビリ専門職が勤務していないという実態があります。看護師をはじめ、他のスタッフが自分の仕事と兼務しながらリハビリを提供し、利用者さんの日々の記録・評価などの事務作業をすることもあるようです。

    スタッフの負担増加が、利用者さんへのサービス低下につながる可能性もあるでしょう。こうした現状を背景に、リハプランはスタッフの作業効率アップと利用者さんへのサービス向上のために作られました。

    リハプランを使うメリットとは?

    リハプランを使うとどんなメリットがあるのでしょうか?主なメリットは以下の4点です。

    利用者さん一人ひとりに最適な目標と運動プログラムを自動提案

    必要な内容を入力すれば、「参加」「活動」「機能」の項目別にバランス良く目標を設定し、2,200種類の運動メニューの中から最適なプログラムを自動で提案してくれます。

    リハプランの導入によって、一人ひとりに最適なプランを提案でき、[btp_line]要介護者の生活自立度スコアが向上したというデータも[/btp_line]あります。

    機能訓練に必要な情報を一元管理

    利用者さんの記録は、さまざまな書類に1枚ずつ記入していかなければなりません。リハプランを使えばそれらを一元管理できるため、転記作業や転記による入力ミスなどを減らせます。

    次にどんな業務が必要なのか視覚的に分かる

    操作方法も簡単で、入力項目の94%がクリックで入力でき、未入力項目があればアラートを表示する仕組みになっています。パソコンやタブレットの操作が苦手な方でも簡単に操作が可能。必要な項目の入力忘れなども防いでくれるため安心して作成できるでしょう。

    リハビリ専門職に相談できる

    リハプランを利用すれば、デイサービスの勤務経験がある理学療法士や作業療法士へ相談することも可能です。電話やテレビ会議・チャットなどを使って、運動するときの注意点や疑問などを何度でも無料で質問できるため、適切な訓練を行えるでしょう。

    LIFEへのデータ提出をサポートする機能を提供開始

    リハプランでは、LIFEへのデータ提出をサポートする機能も搭載しています。LIFEとは、[btp_line]厚生労働省が推進する「科学的介護」を実践するために情報を集約させるシステム[/btp_line]のことです。

    LIFEを使ってPDCA(計画・実行・評価・改善)のサイクルを確立することで、LIFEに多くのデータを集約させます。このデータをベースに、科学的根拠にもとづいた質の高いサービスを事業所にフィードバックすることで、どの事業所でも質の高いサービスを利用者さんに提供できるようにするのが狙いです。

    介護報酬にはLIFEの活用を要件とする加算があるため、利用すれば収益アップにつながりますが、スタッフへの負担は増加することも。そこでリハプランでは、LIFEに関係する以下の加算入力に対応しています。

    • 個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロ
    • 個別機能訓練加算(Ⅱ)
    • 口腔機能向上加算(Ⅰ)
    • 口腔機能向上加算(Ⅱ)
    • 科学的介護推進体制加算
    • ADL維持等加算(Ⅰ)(Ⅱ)
    • 入浴介助加算(Ⅰ)(Ⅱ)
    • 運動器機能向上加算

    この他にも介護記録や業務日誌、LIFEへの情報提出、各種マニュアルなどの機能も用意されています。リハプランを利用することで業務効率の向上が期待できるでしょう。

    料金プランやログイン方法は?

    料金プランやログイン方法について紹介します。

    料金プランは?

    料金プランは、月額プラン・半年プラン・年間プランの3種類です。初期導入にかかる費用やサポート費用・解約費用などはかかりません。詳しい料金プランは以下の通りです。

    月額プラン半年プラン年間プラン
    料金1万4,800円(月/税抜)~8万8,000円(半年/税抜)~15万8,000円(年/税抜)~
    入力代行1,000円/人無料で実施無料で実施

    年間プランにすると、1ヶ月あたりの料金が、月額プランや半年プランよりも安くなるためお得に利用できます。入力代行とは、初期設定に必要な利用者さんの基本情報を、リハプランのスタッフさんが代わりに入力してくれるサービスのことです。

    リハプランを使うにはどうすれば良いの?

    リハプランを使うには、まず契約しなければなりません。契約後、パソコンを用意すればすぐにリハプランを利用できるようになります。契約までの流れは以下の通りです。

    1. 問い合わせ
    2. ヒアリング
    3. サービス実演
    4. 契約

    電話またはお問い合わせフォームより、リハプランへ連絡しましょう。後日、現状を把握し、希望を聞くためのヒアリングが行われます。実際にパソコン画面を通じて、どんな操作を行うのかを実演。その後契約となります。

    リハプランのホームページからメールアドレスとパスワードを入力することで、ログインが可能です。

    運動マニュアルの作成方法

    リハプランでは、機能訓練に関するマニュアルも搭載されており、以下のような運動マニュアルが作成できます。

    • 個別プログラムの運動マニュアル
    • 集団プログラムの運動マニュアル
    • 集団プログラムのグルーピング機能(※介護報酬改定対応のため、一時提供中止)
    • 自主トレーニング用の運動マニュアル

    個別プログラムの運動マニュアルや集団プログラムの運動マニュアルに関しては、画像付きのマニュアルがあるため、初めてでも使いやすいでしょう。

    リハプランを実際に使った口コミでは…

    リハプランを実際に導入した方の口コミを、リハプランのホームページを参考にまとめました。

    • 計画書の自動提案や電話サポートで助けられている
    • 未経験の看護師でも安心して使える
    • リハビリの質の向上
    • 質の高いリハビリを提供できることが強みになる
    • 機能訓練計画書の作成が5分でできる

    リハプランを導入することで、[btp_line]スタッフの業務負担が軽減した[/btp_line]と実感している方が多いようです。電話サポートや計画書の自動提案により、利用者さんへのサービスの質も向上します。

    サービスやリハビリの質が向上すれば事業所の評判も良くなり、「リハビリもできる施設」という強みもできるでしょう。

    業務効率改善とサービス向上にはリハプランがおすすめ

    リハプランを利用すれば、業務効率が向上し、利用者さん一人ひとりに最適のプランを提案できるようになることが分かりました。こういったソフトの導入では初期費用がかさみがちですが、リハプランであれば初期費用は無料です。興味を持った方は、ぜひ一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。

  • 【老人ホーム】7月におすすめのイベントやレクリエーション企画を紹介

    【老人ホーム】7月におすすめのイベントやレクリエーション企画を紹介

    老人ホームなどの介護施設では、毎日何かしらのイベントやレクリエーションを実施しています。季節や行事に合わせたイベントを企画している老人ホームも多いでしょう。この記事では、7月に企画したいイベントやレクリエーションをご紹介します。暑い季節は、家や施設の中で過ごすことも多く、季節を実感できる機会が少ないという利用者さんもいるはず。イベントやレクリエーションを通して、夏を楽しんでもらいましょう。

    行事やレクの企画に役立つ7月の記念日や歳時記

    梅雨が明け、日に日に気温も上がり、いよいよ夏本番となる7月。7月は和名では「文月(ふみづき、ふづき)」といい、由来は諸説あります。たとえば、短冊に文字や歌を書き、書道の上達を願う七夕の行事にちなんで「文披月(ふみひらきづき)」が転じた説。稲の穂が膨らむ月という意味の「穂含月(ほふみづき)」が転じた説などです。そんな7月にはどのような記念日や歳時記があるのでしょうか。老人ホームで行うイベントやレクリエーション企画に役立ちそうな記念日や歳時記をピックアップしました。

    • 7月2日ごろ:半夏生(雑節のひとつ。夏至から11日目にあたる日)
    • 7月3日:ソフトクリームの日
    • 7月7日:七夕
    • 7月14日:ひまわりの日
    • 7月第3月曜日:海の日
    • 7月20日ごろ:夏の土用入り
    • 7月25日:かき氷の日
    • 7月27日:スイカの日

    7月には、[btp_line]七夕をはじめ、海の日や夏の土用入り[/btp_line]など、老人ホームのイベントやレクリエーション企画にぴったりの記念日が多数あります。また、博多祇園山笠や京都の祇園祭、大阪の天神祭など、7月は各地で伝統的なお祭りや花火大会などが開催される時期。夏祭りを企画するのにもおすすめです。

    7月によく行われている行事

    まずは、老人ホームで7月によく企画される行事を紹介しましょう。

    七夕

    7月を代表する行事と言えば、[btp_line]七夕[/btp_line]。みんなで七夕飾りを作る老人ホームも多いでしょう。短冊に願いごとを書いたり、折り紙で笹の葉につける飾りを作ったり…。七夕飾りづくりは手先を使うため脳の活性化につながるだけでなく、利用者さん同士のコミュニケーションにもなります。

    他にも、織姫と彦星、天の川など七夕にちなんだ作品づくりや、七夕に関するクイズやゲームもおすすめ。たとえば、星型に切った折り紙をテーブルに散りばめ、うちわであおいでどれだけたくさんの星を飛ばすことができるかを競うゲームはいかがでしょうか。カードに織姫や彦星など七夕に関するイラストを描いて裏返しにして置き、神経衰弱のようにして遊んだりしても楽しんでもらえるでしょう。

    暑くなってくる季節でもあるので、涼めるように、星型に切ったフルーツが入ったゼリーやフルーツポンチづくりもおすすめです。

    夏祭り

    7月25日のかき氷の日に因んで、[btp_line]夏祭り[/btp_line]を企画するのはいかがでしょう。夏祭りは、季節を感じるのに最適なイベントです。盛り上がるためには、雰囲気づくりが重要なので、思い切り凝った飾りつけにしましょう。

    画用紙で作った金魚にクリップをつけ、マグネットで釣る金魚釣りのほか、輪投げや的当てなど、縁日風にすると利用者さんの気分も盛り上がるはず。

    また、夏祭りといえば[btp_line]盆踊り[/btp_line]です。踊れなくても、音楽などに合わせて楽しみながら体を動かすだけで、十分夏祭りの雰囲気を楽しむことができます。利用者さんのご家族を招待して一緒に参加できるよう企画するのもいいでしょう。

    夏野菜の収穫

    7月は、きゅうりやトマトなど夏野菜の収穫時期に入ります。7月27日はスイカの日なので、[btp_line]夏野菜の収穫[/btp_line]を企画するのもいいでしょう。年中スーパーで見かける野菜も、自分で育て、収穫して食べるとその味わいは格別です。みずみずしく、生命力あふれた植物は、利用者さんに活力を与えてくれるでしょう。

    収穫が難しい場合には、スイカ割りがおすすめ。目隠しをしてスイカの場所を探す従来のルールでは危ない場合も。スイカの目の前で目隠しをし、あとは棒を振り下ろすだけという簡単なルールに変更してもいいでしょう。なかなか割れなくても、大いに盛り上がるはずです。終わったあとは、みんなでスイカを食べるとより一層美味しく感じるのではないでしょうか。

    7月によく行われているレクリエーション

    続いて、7月のレクリエーションにおすすめの企画をご紹介します。

    ソフトクリームレク

    7月3日のソフトクリームの日にちなみ、おやつタイムに[btp_line]ソフトクリームレク[/btp_line]はいかがでしょう。ソフトクリームは、高齢者の方でも食べやすく暑い季節の喉を潤すのにもぴったりです。チョコやウエハースなどのトッピングを用意するとさらに楽しんでもらえるはず。ソフトクリームが難しい場合には、バニラアイスにしてもいいでしょう。抹茶やストロベリーなど、数種類の味を用意すると選ぶ楽しさも加わり、さらに盛り上がるはずです。

    ひまわりの折り紙づくり

    7月14日はひまわりの日なので、[btp_line]折り紙でひまわりを作るレクリエーション[/btp_line]がおすすめです。折り紙は、手先を使って考えながら折っていくため、脳の機能維持・向上にも役立ちます。折り紙が難しい場合は、画用紙にひまわりの絵を描いてもいいでしょう。作ったひまわりを壁面に飾れば、室内にいながらまるでひまわり畑にいるような気分が味わえます。

    花火の壁飾りづくり

    夏の風物詩といえば、花火ですよね。老人ホームではなかなか花火を見る機会も少ないでしょう。そこで、[btp_line]花火の壁飾りを作るレク[/btp_line]を企画してはいかがでしょうか。カラフルな折り紙を雫の形に切り取り、黒の画用紙に円形になるように貼りつけていけば、花火が完成します。1枚ではそこまで大きな花火ではありませんが、みんなが作った花火を壁に飾れば、暗闇に無数の花火が打ちあがっているように見えてキレイですよ。

    うなぎ釣りゲーム

    7月には、夏の土用の丑の日があります。土用とは、年に4回ある季節の変わり目の18日間のこと。この18日間の間の丑の日のことを、土用の丑の日というのです。夏の土用の丑の日には、『う』がつくものを食べることで夏負けしないという言い伝えから、うなぎを食べる風習ができました。

    夏の土用の丑の日には、[btp_line]うなぎ釣りゲーム[/btp_line]がおすすめ。まずは、新聞紙をうなぎに見立て細く切ります。それを箱に入れ、棒を使って箱からすべて出した方の勝ちというゲームです。意外と手先を使うので、リハビリにも役立ちます。

    企画を立てる際のポイント

    老人ホームにいると、外出する機会も少なくなってしまうなど、季節を感じることが難しい場合があります。レクリエーションやイベントに[btp_line]季節感を取り入れる[/btp_line]ことで、刺激のある日々にすることができるのです。これまでにも季節ごとの行事や習慣などを生活の中に取り入れ過ごしてきた利用者さんも多いはず。季節感のあるレクリエーションは、季節の感覚を再認識し、生活に花を添えることにもつながります。7月は、夏本番の明るい季節です。レクリエーションで制作をする際は、色鮮やかな色彩の使用をおすすめしましょう。

    季節を感じられるイベントやレクリエーションを企画しよう

    老人ホームでのイベントやレクリエーションは、ただ行事を楽しむのが目的ではなく、[btp_line]身体や脳の活性化・機能向上も目指しています[/btp_line]。季節感のあるイベントの企画は、利用者さんの生活にメリハリと活力を与えることが可能です。7月は、七夕や夏祭り、花火大会など老人ホームでのイベント企画に最適な記念日がたくさんあります。ぜひ、利用者さんが楽しめる季節感のあるイベントやレクリエーションを企画してください。

  • 老人ホームで導入が進む施設内通貨とは?メリット・デメリットも

    老人ホームで導入が進む施設内通貨とは?メリット・デメリットも

    老人ホームなどの介護施設で、今続々と導入されている「施設内通貨」を知っていますか?文字通り、施設内でのみ利用できる架空の通貨で、利用者さんの自立支援や認知機能の改善などに効果があると言われています。何より、老人ホームの利用者さんにとって、通貨を稼ぐ・貯める・使うといった行為は大きな楽しみにもなるそう。そこで今回は、今注目を集める施設内通貨について詳しくご紹介します。

    導入する介護施設多数!施設内通貨制度とは?

    施設内通貨とは、介護施設や事業所などが作成した、その[btp_line]施設・事業所内でのみ利用することができる架空の通貨[/btp_line]のことです。老人ホームなどの介護施設においては、利用者さんの注意力・理解力・認知力・手指上肢の運動機能の向上などが期待できるとあって、施設内通貨制度の導入が広がっています。

    施設内通貨の単位は「円」を用いることは少なく、地元の名産品や施設名、縁起の良いワードなどにちなんだ、さまざまな名称が付けられているのが特徴です。

    老人ホームでの施設内通貨、その使い道は?

    施設内通貨は、老人ホームをはじめ、デイサービスやグループホームなどさまざまな介護施設で導入されています。施設内通貨制度の詳細は各施設によってさまざまですが、[btp_line]主な使い道は稼ぐ・貯める・使うの3つ[/btp_line]です。つまり、実際の通貨と同じように使うことができます。では、施設内通貨を稼ぐ・貯める・使うとは、具体的にどのような行動によって行えるのでしょうか。具体的な例を見てみましょう。

    老人ホームなどで施設内通貨を「稼ぐ」の例

    施設内での生活や活動のあらゆる行為に対して施設内通貨を稼ぐことができます。

    • 自分で洗濯物を干す
    • 施設の庭掃除や植物の水やりをする
    • 脳トレやリハビリを行う
    • 髪を自分で乾かす
    • 自分でバイタルチェック(血圧測定・検温)を行う など

    老人ホームなどで施設内通貨を「貯める」の例

    「貯める」行為は、実施の通貨と同様に、稼いだ施設内通貨を自ら管理・保管します。施設によっては、利用者さんが施設内通貨を管理できるよう専用の通帳を用意している場合もあるようです。

    老人ホームなどで施設内通貨を「使う」の例

    施設内通貨を使って、利用者さんがさまざまな行為を楽しめるよう工夫されています。

    • 散髪やネイルアートをしてもらう
    • ゲームやパチンコなどの娯楽を行う
    • 野球観戦など特別な場所へ外出に出かける
    • コーヒー・乳酸菌飲料・オレンジジュースなど好きなドリンクをオーダーする
    • 各種コンサートへの参加
    • 施設内でのバザー・お祭りにて商品や食べ物の購入 など

    施設内通貨制度に問題点はある?メリット・デメリット

    施設内通貨制度の導入による、メリットとデメリットをまとめました。

    たくさんの嬉しい効果が期待できる!施設内通貨制度導入のメリット

    施設内通貨には、さまざまなメリットがあると言われています。

    • 利用者さんの自己決定・自己選択によってスケジュールを組み、主体的に1日を過ごすことで、利用者さんが意欲的に楽しみながらリハビリや活動に取り組める
    • 施設内通貨を支払い、対価を得られることで、利用者さんが満足感を得られる
    • 利用者さん同士で通貨を数えたり、支払いをするときに協力しあったりと、利用者さん同士の交流ツールになる
    • 意欲的に稼ぐ・目的をもって貯める・好きなことに使う、といった行為により認知機能の改善や記憶力維持などの効果が期待できる
    • 施設内通貨の額を数えることが手の機能訓練に、金額を計算することが頭の体操になるなど

    問題はある?施設内通貨制度導入のデメリット

    施設内通貨の導入によって、利用者さんが被るデメリットはほぼありません。しかし施設・事業者側にとっては、[btp_line]導入コストがかかる[/btp_line]というデメリットが挙げられます。事業所内で一から作成する場合は、用紙代・印刷代などのほか、用紙を紙幣の形に裁断する手間や利用者さんに対し利用法の説明をする時間コストなども必要です。デザイン会社などに施設内通貨の作成を依頼することも可能ですが、相応の費用を要するでしょう。
    そのほか、施設内紙幣は使用しているうちに破損することも考えられるので、補修・補充のためのランニングコストも必要になります。

    稼ぐ・貯める・使うを楽しめる!老人ホームの施設内通貨

    施設内通貨は、利用者さんの認知機能の改善や記憶力維持、手の機能訓練などに役立つ効果的なツールです。自分で稼いで、貯めて、好きなことに使うという行為は、利用者さんに生活の楽しみや活力を与えることもできます。たくさんのメリットが期待できる施設内通貨、ぜひ導入を検討してみてください。

  • 介護現場で役立つ!高齢者スキンケア(老人性乾皮症など)対策の基礎知識

    介護現場で役立つ!高齢者スキンケア(老人性乾皮症など)対策の基礎知識

    加齢により皮膚のバリア機能が低下することで生じる高齢者の皮膚トラブル。多くの介護施設でも高齢者の皮膚トラブル対策は大きな課題となっています。この記事では、老人性乾皮性といった高齢の方特有のスキントラブルについて詳しく解説。高齢者の皮膚の特徴から、起こりやすい皮膚トラブル、スキンケア方法までご紹介します。介護の現場で、高齢者のスキンケアに力を入れたい方はぜひ参考にしてください。

    老人性乾皮性など、高齢者に生じやすい皮膚トラブルとは

    高齢者が抱えやすいスキントラブルは、皮膚のバリア機能の低下により生じる[btp_line]「老人性乾皮症」[/btp_line]。もうひとつは、オムツの着用により排泄物が長く皮膚に接触することで発生する[btp_line]「IAD(失禁関連皮膚炎)」[/btp_line]が挙げられます。

    高齢者の皮膚の特徴

    高齢者の皮膚は、老化により角質層内の脂質が減少しています。脂質は角質層の保湿の役割をしているため、脂質が減るほど皮膚の水分量が減少。乾燥した皮膚はバリア機能が低下した状態となるため、外部からの刺激を直に受けやすくなり、老人性乾皮症やIADといった皮膚トラブルを招きやすくなります。高齢者の皮膚の特徴を踏まえた上で、介護スタッフとしてスキンケアを行っていくことが大切です。

    介護スタッフが実践すべき高齢者のスキンケアとは

    皮膚の乾燥によりバリア機能が低下している高齢者へ行うべきスキンケアとして挙げられるのが、[btp_line]洗浄・保湿・保護という3点のポイント[/btp_line]です。
    皮膚を清潔に保つために、まずは皮膚への刺激物、感染源を取り除く「洗浄」が必要となります。とくに、排泄物の付着によって生じるIADの予防では、洗浄が必須です。
    続いては「保湿」をしましょう。介護の現場だけでなく、高齢者が療養する病院でも保湿は重要と考えられ、多くの看護研究の課題にもなっているようです。
    さらに有効なスキンケア方法として、「保護」があります。オムツ内は、洗浄・保湿をしても頻繁に排泄物で汚染される場所です。すぐにオムツを交換できれば良いのですが、排泄したことを伝えにくいと感じる利用者さんも多く、多忙な介護現場ではきめ細かな対応が難しいかもしれません。そこで、撥水性のある保護クリームを活用することで、排泄物による皮膚刺激を和らげるスキンケアができます。これらのポイントを念頭に置いて介護現場でスキンケアを実践していきましょう。

    介護でスキンケアが必須となる場面とは?

    介護現場で高齢者のスキンケアをすべきタイミングとはどんな場面でしょうか。効率的に皮膚トラブル対策を行えるよう把握しておきましょう。

    入浴後

    高齢者の皮膚トラブル対策において、入浴後は保湿をする絶好の機会です。洗浄時は弱酸性など低刺激タイプの石けんを使用し、しっかりと泡を立て、強くこすらず優しく洗いましょう。拭くときは、タオルを押し当てて水分を取り除き皮膚への刺激を少なくします。保湿剤の浸透効果を得るために、入浴後10分以内に保湿をすることが望ましいです。

    清拭後

    入浴ができない方は清拭で肌の清潔を保ち、保湿を行います。清拭時は皮膚を刺激しないよう、なるべく優しく身体を拭くことが大切です。皮膚に残った水分が蒸発して乾燥するのを防ぐため、清拭後は乾いたタオルで軽く押さえるのがポイント。全身の水分を拭き取ったら、すぐに保湿しましょう。

    オムツ交換時

    排泄物の付着は皮膚へ強いダメージを与えてしまうため、オムツ交換ごとにぬるま湯のみで洗浄し、すぐに保湿を行います。過度な洗浄は良い菌まで流してしまうため、石けんの使用は1日に1回にとどめておきましょう。オムツ内の皮膚は排泄物の付着を繰り返しやすいので、保湿後は保護を目的に、撥水性のあるクリームを塗布することをおすすめします。

    保湿の重要性は、介護スタッフだけでなくご家族への共有も大切です。市販の乾燥肌用のクリームなどを準備してもらい、全身を保湿していきましょう。クリームは伸びが悪いものもあるため、高齢者用の保湿ローションもおすすめです。ローションタイプなら効率よく全身に塗布することができます。

    介護場面で行なうべきスキンケアを実践し、皮膚トラブルを防ごう!

    介護スタッフとして知っておきたい、高齢者のスキンケア方法をご紹介しました。介護現場だけでなく病院でも、老人性乾皮症など高齢者の皮膚トラブルは大きな課題です。オムツ着用の利用者さんへは皮膚トラブル予防の看護計画立案が必須となっている病院も多くあります。介護施設においても高齢者のスキンケアは重要ととらえ、対策していきましょう。

  • フレイル予防は食事・運動・社会参加が基本!介護現場の対応策を紹介

    フレイル予防は食事・運動・社会参加が基本!介護現場の対応策を紹介

    この記事では、フレイルとはどのような状態なのかを簡単に解説し、その予防策についてご紹介していきます。健康な状態と要介護状態の中間にあたるフレイルは、介護現場での対応によって予防が可能です。また、フレイルの状態の利用者さんも、早期に対策をとることで状態の維持や回復が期待できます。食事、運動、社会参加の側面からフレイル予防のポイントをお伝えしていくので、ぜひ参考にしてください。

    フレイルとはどんな状態?簡単におさらい

    フレイルとは、2014年に日本老年医学会により定められた「Frailty(フレイルティ)」という英語が語源の用語です。

    フレイルとは

    加齢や疾患などにより心身が衰え、社会的なつながりも弱くなり、さまざまなストレスに対して回復力が落ちてしまう状態を指します。フレイルは「健康な状態」と「要介護状態」のはざまに位置し、身体的・心因的・社会的な要因が重なり合って進行するのが特徴です。早期のフレイルはプレフレイル(フレイル予備軍)と呼ばれています。

    フレイルの基準やチェックリスト

    利用者さんがフレイルかどうかを判断するには、基準やチェックリストを参考にすると良いでしょう。フレイルの判定によく用いられる「改訂J-CHS基準」や、厚生労働省の「食べて元気にフレイル予防」というパンフレット内のチェックリストを参考にするのがおすすめです。

    ※改訂J-CHS基準

    項目評価の基準
    体重減少6ヶ月で2キログラム以上の意図しない体重減少
    疲労感わけもなく疲れた感じがする
    筋力低下握力 男性で28キログラム未満、女性で18キログラム未満
    身体活動軽い運動や定期的な運動が週1回以下
    歩行速度通常歩行速度が毎秒1.0メートル未満

    参考:国立研究開発法人国立長寿医療研究センター 改訂J-CHS基準

    (当てはまる項目数が0:健常、1~2:プレフレイル、3以上:フレイルと判定)

    ※厚生労働省パンフレット「食べて元気にフレイル予防

    フレイルについての解説はこちらの記事もぜひご覧ください。

    フレイルは予防が重要!

    フレイルは[btp_line]適切な対策をとることで予防が可能[/btp_line]です。すでにフレイルの状態であっても、早期段階で発見して対応できれば、状態の維持や向上が期待できます。フレイル予防の方法としては食事、運動、社会参加のサポートが挙げられるので、それぞれご紹介していきましょう。

    【その1】食事からできるフレイル予防

    食事面では、食材の偏りがないバランスの良い食事を十分に食べることがポイント。[btp_line]高齢期は肥満よりも「痩せ」に注意が必要[/btp_line]です。3食しっかりと食べることを基本として、さまざまな食品をとること、主食・主菜・副菜がそろった食事を1日2回以上とることが大切とされています。

    加齢とともに筋肉量は減少する傾向にあるため、筋肉のもととなるタンパク質を豊富に含む食材を積極的に食べることも重要です。介護施設内の食事では、トーストをチーズトーストにして提供する、献立に納豆を加えるなど、[btp_line]タンパク質を多く含む食品を積極的に取り入れる工夫[/btp_line]を。介護スタッフとしては、利用者さんが食事を残さず食べられるよう積極的に声かけをするなど心掛けると良いでしょう。

    【その2】運動(体操)からできるフレイル予防

    フレイル予防には運動も大切。高齢者は年齢を重ねるごとに活動量が減りやすいため注意が必要です。活動量が減少すると筋肉量が落ち(サルコペニア)、運動機能が低下して日常生活に支障が出てしまうケース(ロコモティブシンドローム)もあります。

    予防策としては、日々の生活で[btp_line]「しっかり歩く」「しっかり動く」を意識することが重要[/btp_line]。有酸素運動、ストレッチ、筋トレ、バランス訓練といった運動を取り入れると良いと言われています。介護サービスの現場では、ウォーキングや散歩などの有酸素運動や、体操・ストレッチなどのレクリエーションを取り入れていくのがおすすめです。

    【その3】社会参加からできるフレイル予防

    コミュニケーション不足が孤立や活力低下につながり、フレイルが進行してしまうケースもあるので、[btp_line]フレイル予防には積極的な社会参加も欠かせません[/btp_line]。

    社会参加の例としては、就労のほかにボランティア活動に参加したり、地域の幼稚園や小学校などとの交流会に参加したり、趣味の活動で集まったりすることが挙げられます。介護施設の催しで高齢者が気軽に集まれる場を企画してもいいでしょう。

    【その他】フレイル予防で気をつけるべき点とは

    フレイルは、口腔機能の低下で食事を思うようにとれず、栄養状態が悪化して進行するケースもあります。そのため、[btp_line]日頃から口腔ケアに気を配ることも大切[/btp_line]です。また、慢性疾患がある場合は進行させないこともポイント。介護施設では利用者さんの持病を把握しておくことも重要です。

    食事・運動・社会参加でフレイル予防を!

    フレイルとは、加齢により心身が衰えていくことですが、適切な対策をとることで進行を予防することができます。バランスやタンパク質を重視した食事、適度な運動や人と関わりを持てる社会参加がポイントです。介護スタッフとしては、提供する食事メニューやレクリエーション、声かけ方法などを工夫して、利用者さんのフレイル予防をサポートしていきましょう。

  • 介護現場の夜間勤務はどんな仕組み?業務内容やメリット・デメリット

    介護現場の夜間勤務はどんな仕組み?業務内容やメリット・デメリット

    介護職における夜間勤務に興味はありますか?夜間勤務と聞くと「大変そう」「長く続けられないのでは…」と不安に思う方もいるかもしれません。施設によっては24時間体制で介護しなければならないところもあり、介護職に就くのであれば夜間勤務について理解しておく必要があります。そこで今回は、介護職における夜間勤務の仕組みや業務内容、メリットやデメリットについて見ていきましょう。

    介護現場での夜間勤務には8時間と16時間がある!

    介護現場での[btp_line]夜間勤務は、主に8時間と16時間[/btp_line]があり、施設によって異なります。

    8時間の夜間勤務は3交代制のシフトで、早番・遅番・夜間勤務のように分類されているのが一般的です。勤務時間は勤務する施設によって違います。たとえば8時間の夜間勤務となると、21時に出社して、休憩を含めて翌日の朝7時に退勤というのが一般的。

    16時間夜間勤務の場合は、日勤と夜間勤務の2交代制が一般的です。具体例を出すと、16時に出勤して、休憩を含めて翌日朝10時に退勤となります。

    8時間も16時間のケースも、今回紹介した事例は一例です。施設によってシフト体制が異なるため、詳細はそれぞれの施設に問い合わせてください。

    介護職の夜間勤務で行う業務内容

    ここでは、介護職が夜間勤務で行う主な業務内容について見てきましょう。

    就寝や起床の介助

    就寝前や起床後の着替えや歯磨き、ベッドへ寝かせたりベッドから起き上がらせたりなどのサポートをします。

    トイレの介助

    利用者さんからの申し出以外にも、時間によってトイレへ誘導することも。また、利用者さんの介護レベルによっては、おむつ交換をする場合もあります。

    食事の介助

    夕食の配膳や食事の介助・片付け・服薬の確認など。16時間の夜間勤務の場合は、朝食の介助をすることもあります。

    夜間の見回り

    就寝後、夜間の見回りを実施。施設内の見回り頻度は、約1~ 2時間間隔が目安です。体調が悪くなっている方はいないか、トイレに行きたい方はいないかなどを確認しながら、利用者さんを見守ります。

    緊急時の対応

    施設内では、いつ誰が急変するかわかりません。万一の際は、介護スタッフが対応し、医療スタッフを呼んだり救急車を要請したりすることもあるでしょう。

    介護現場の夜間勤務での実態とは?

    介護現場の夜間勤務における、あるある的な悩みを3つ紹介します。

    仮眠できないことも…

    介護職の夜間勤務では基本的には仮眠時間が設けられています。しかし、夜間勤務担当がひとりの場合は、仮眠できないこともあるようです。

    8時間勤務よりも16時間勤務の方が、勤務時間が長い分、休憩時間が長めに確保されている傾向があります。仮眠時間をしっかり確保したい方は16時間勤務を選んだり、事前に確認したりしておくと安心でしょう。

    夜間勤務翌日も仕事…

    介護職の夜間勤務では、[btp_line]夜間働いたからといって翌日休みとは限りません[/btp_line]。特に8時間勤務の場合は、「夜間勤務明けで翌日も出勤」というケースが多々あります。16時間勤務の方が、比較的、夜間勤務明け翌日の出勤は少ないでしょう。

    夜間勤務のメリット・デメリット

    介護現場における夜間勤務のメリットとデメリットについて紹介します。

    メリット

    介護現場における夜間勤務の主なメリットは以下の3つです。

    • 夜勤手当がつく
    • 通勤ラッシュにあわない
    • スキルアップできる

    22時から翌朝5時までの労働に関しては、割増賃金を支払わなければならないと法律で定められているため、夜間勤務すると深夜手当がつきます。地域や施設によって違いますが、3,000円から1万円ほどです。

    また、夜間勤務であれば、朝の通勤ラッシュと帰宅時間・出勤時間がかぶらないため、ゆったり通勤できる点もメリットと言えます。

    そのほか、夜間勤務することでスキルアップできることも魅力。介護現場での夜間勤務は、介護スタッフが少人数であることが多いです。ひとりで効率良く作業を行わなければならないケースも多々あるでしょう。利用者さんの急な体調の変化などイレギュラーな対応をしなければならない場合もあるため、[btp_line]経験を積んで自分のスキルアップを図るにはぴったりの環境[/btp_line]です。

    デメリット

    介護現場における夜間勤務のデメリットは、以下の3つが考えられます。

    • 介護スタッフひとりあたりの負担が増える
    • 生活リズムを崩しやすい
    • 責任が重いと感じやすい

    メリットでも説明しましたが、夜間勤務の場合、介護スタッフは少人数の配置となりやすいです。ひとりあたりの負担は大きくなる傾向にあるでしょう。

    日勤や夜間勤務も行う介護スタッフは、勤務時間が不規則になり生活リズムを崩しやすくなります。体調を崩したり大きなストレスがかかったりすることもあるため、注意してください。

    夜間勤務では、利用者さんの体調が急変することもあり、[btp_line]臨機応変な対応が求められます[/btp_line]。少ないスタッフ数で、利用者さんのちょっとした変化を見逃さないよう各スタッフが注意を払わないといけません。介護スタッフひとりあたりにのしかかる責任が重いと感じる方もいるようです。

    自分に合った働き方を見つけよう!

    介護職における夜間勤務には、8時間や16時間といった労働時間がありますが、それぞれにメリットやデメリットがあります。夜間勤務を希望する場合には、自分に合った勤務時間はどちらなのかをしっかり考えた上で決めるようにしましょう。くれぐれも体調を崩さないように、自分の健康管理に努めることも大切です。

  • 老人ホームの慰問交流会とは?人気の慰問から受け入れ時の注意点まで

    老人ホームの慰問交流会とは?人気の慰問から受け入れ時の注意点まで

    老人ホームで行われる慰問交流会。地域とのつながりや、普段の生活では味わえない刺激を得られるイベントのひとつです。慰問内容はさまざまで、歌や楽器の演奏、ダンスなど、多岐にわたります。楽しいひとときを体験できる慰問交流会は、利用者さんに人気の行事です。この記事では、老人ホームの慰問について詳しく解説。喜ばれる慰問内容から、慰問ボランティアを受け入れる際の注意点までご紹介します。老人ホームにおける慰問について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。

    老人ホームへの慰問とは?

    老人ホームは要介護の方が多く入所されているため、外出頻度が少なく、閉鎖的な空間になりがちです。慰問交流会は、そんな施設で暮らす高齢者の方々を笑顔にしたいと開催されています。趣味で楽器の演奏や歌・ダンスなどをしている地域住民の方が、ボランティア活動として老人ホームなどで慰問を行っている場合がほとんど。施設側が有償で慰問を依頼するケースもありますが、[btp_line]多くは無償[/btp_line]で行われているようです。慰問を通年募集している施設も多くあるので、慰問の問い合わせが直接施設に寄せられる場合もあることを知っておきましょう。

    老人ホームで人気の慰問内容とは?

    利用者さんに人気の慰問内容は、[btp_line]歌や楽器演奏・ダンス・マジック・劇やお芝居など[/btp_line]が挙げられます。また、綾小路きみまろさんのような[btp_line]漫談ショーも人気[/btp_line]です。どの慰問も、施設内の生活では体験できない内容になっています。普段聞きなれない英語の曲などに触れることもあるため、利用者さんの刺激になるようですね。慰問を行う方々も、練習を重ね完成度の高いものを披露してくれるため、非常に盛り上がるイベントとなっています。

    慰問などでボランティアを受け入れる機会が多い

    老人ホームでは慰問やレクリエーションなどで、ボランティアの方を受け入れる機会が多くあります。ボランティアは、歌やダンスを披露するような方々だけではありません。利用者さんの話し相手や、将棋や囲碁の相手散歩の介助など日常的なレクリエーションを支えてくれるなどサポートをしてくれる方もいます。また、お茶入れや食事の配膳施設内の清掃など生活を支えてくれる方など、さまざまです。

    慰問などのボランティアを受け入れる際の注意点

    老人ホームに慰問などでボランティアを受け入れるときは、注意してもらうべきポイントを、事前に伝えておくことが大切になります。

    • 笑顔や挨拶を心がけること
    • 体調管理を行うこと
    • 利用者さんの気持ちを考えた言動をすること
    • 認知症への理解があること
    • 依頼した内容以外はしないこと
    • 個人情報を外部に漏らさないこと
    • ボランティア保険への加入検討

    施設内で利用者さんに関わる以上、[btp_line]ボランティアスタッフにも責任のある行動が求められます。[/btp_line]とくに老人ホームには持病を抱えている方も多いため、ボランティアの方自身の体調は整えておいてもらいましょう。利用者さんの個人情報を外部へ漏らさないようお願いすることも重要です。上記ポイントを踏まえて、質の高いボランティア活動を提供してもらえるよう介護スタッフもフォローしながら関わっていきましょう。

    慰問交流会を取り入れて利用者さんに楽しんでもらおう

    老人ホームにおける慰問について解説しました。利用者さんに楽しいひとときを提供できる慰問交流会は、地域の方々とつながる機会でもあります。ボランティアの方、利用者さんどちらにとっても楽しい時間となることが理想です。思わぬトラブルが発生しないよう、介護スタッフとして慰問時の対応を心得ておきましょう。

  • 介護施設で訪問美容を依頼するには?メリットや注意点をチェック

    介護施設で訪問美容を依頼するには?メリットや注意点をチェック

    介護施設などに出張して美容サービスを行う、訪問美容。外出が難しい寝たきりの利用者さんや車いすの方でも、安心して身だしなみを整えることができます。この記事では、そんな訪問美容のメリットや注意点、利用方法などについてまとめました。自身が働く介護施設で訪問美容を依頼したいと検討している方は、ぜひご覧になってくださいね。

    訪問美容とは?

    訪問美容とは、さまざまな理由により外出が困難な方を対象に、自宅や施設を訪問してヘアカットなどの美容サービスを提供することです。専門スクールで技術を学び、免許を修得した美容師に依頼します。美容師免許をもっている方であれば、訪問美容をするために必要な資格はありません。

    訪問美容では、ヘアカットやカラーリング、パーマのほか、ネイルや髭剃りを行ってくれるところもあります。美容室の中には、老人ホームや介護施設を対象とした訪問美容を専門に、美容師の求人を行っているケースも。ニーズの高まりとともに、サービスの認知度が高まっている分野です。

    訪問美容で散髪などを依頼するときの注意点とは?

    ここからは、訪問美容を依頼する際の注意点について見ていきましょう。

    訪問美容の対象者だけがサービスを受けられる

    美容師は、原則として届け出を出している美容所や理容所で施術を行うことが法律で定められています。ただし、訪問美容の対象者には施術を行うことが可能です。

    対象となるのは、要介護の高齢者や介護者であるご家族、子育て中の方など、理美容所に行くことが困難と考えられる方のみ。時間が空いたからといって、介護職員が訪問した美容師に散髪を頼むのは違法となるため、注意しましょう。

    訪問美容サービスを行っているところに依頼する

    美容師免許があれば、訪問美容を行う上で必要な資格はありません。しかし、訪問美容を行う美容室の中には、「福祉理美容士」や「認知症サポーター」などの資格を取得しているところもあります。

    そのため、訪問美容サービスを展開する訪問美容師に依頼したほうが、デメリットが少なく安心です。こうした店舗であれば、高齢者への接し方にも慣れている可能性が高いでしょう。

    介護施設で訪問美容を依頼するメリットとは?

    介護施設などで訪問美容を依頼すれば、外出が難しい利用者さんでも、[btp_line]施設にいながら身だしなみを整えることができます[/btp_line]。とくに、寝たきりや車いすなど、要介護の入居者が多い施設では活用したいサービスです。

    実際に訪問美容でサービスを受けた利用者さんの中には、身だしなみを整えたことで生活に張り合いが生まれたという方も。訪問美容を利用することで、[btp_line]利用者さんの気分転換や明るい気持ちへとつながりやすい[/btp_line]ことも、メリットの1つでしょう。

    訪問美容の利用方法は?助成金などもチェックを

    ここからは、実際に介護施設で訪問美容を利用する方法や助成金について見ていきましょう。

    提携の訪問美容師がいないか確認!メニューや日時などを相談する

    介護施設で訪問美容を利用したいときには、まず施設と提携している訪問美容師がいるかを確認しましょう。提携先がなければ、インターネットを使い、近くの訪問美容師を探していきます。

    条件に合う訪問美容師が見つかったら、メニューや日時などの細かい打ち合わせを行いましょう。その際、どのような要介護の方が多いのか、どういったサービスを希望するのかなどを、[btp_line]具体的に伝えておくと訪問時もスムーズ[/btp_line]です。

    自治体によっては助成金を給付するところも!

    介護施設などでの訪問美容は、介護保険が適用されないサービスです。しかし、ヘアカット代のほかに出張費も必要なため、通常よりも費用は割高。そのため、[btp_line]自治体によっては独自の助成金を給付するところも[/btp_line]あります。

    たとえば、自己負担額が決まっているケースや、補助券・チケットを発行して、介護施設での訪問美容を支援する事例も。利用する際には、[btp_line]事業所や施設のある自治体の取り組みを確認[/btp_line]しておくと良いでしょう。

    介護施設での訪問美容は利用者さんを明るくすることも!

    外出が難しい方を対象にした訪問美容は、利用する方も増加しており、専門に行う理美容所も増えてきました。身だしなみが整い、気分転換にもなるため、介護施設で訪問美容を依頼すれば喜ぶ利用者さんも多いでしょう。訪問美容の依頼を検討している方は、この記事も参考に、素敵な機会を作ってみてくださいね。

  • レクリエーションにおすすめ!介護施設で取り入れたいトランプゲーム10選

    レクリエーションにおすすめ!介護施設で取り入れたいトランプゲーム10選

    子供から大人まで幅広い世代が楽しめるトランプ。カードさえあれば、少人数でも大人数でもさまざまなゲームが楽しめ、国を越えて世界中で愛されているカードゲームです。トランプには、手先を使う・記憶する・計算する・予想するなどさまざまな要素があり、[btp_line]頭の体操はもちろん、認知症予防に役立てる[/btp_line]こともできます。今回は、介護施設のレクリエーションにおすすめのトランプゲームを10個ピックアップしました。介護スタッフの方はぜひ参考にしてみてください。

    トランプはこんな介護施設におすすめ

    レクリエーションは、脳の活性化や体の健康維持だけでなく、利用者さん同士のコミュニケーションもとれるなど、さまざまな意味や役割を持ちます。レクリエーションに関する資格もあるほど、介護の現場においてレクリエーションは重要な時間です。DVDを使って動画を見たり、高齢者に人気の高い千昌夫さんの「北国の春」を歌ったり、介護施設ごとに工夫してレクリエーションを行っているはず。

    今回紹介するトランプは、椅子やテーブルさえあれば、さまざまなバリエーションのゲームを楽しむことが可能です。最近では高齢者向けに、数字やマークがわかりやすく記載され、カード自体が大きなサイズで作られているものもあります。トランプをレクリエーションに取り入れている介護施設も増加傾向に。[btp_line]デイサービスや地域密着型特養など小規模な介護施設[/btp_line]でのレクリエーションにもおすすめです。

    おすすめ1【神経衰弱】

    神経衰弱は、言わずと知れたトランプの定番ゲーム。高齢者の方にとっても馴染みのあるゲームで、ルールも難しくないため、参加してもらいやすいでしょう。カードの位置をしっかり覚えておかないといけないため、[btp_line]記憶力が重要[/btp_line]となるゲームです。
    52枚すべてのカードを使うと覚えるのが大変な方もいるかもしれません。そのときは枚数を減らし、数字ではなく同じ色が出れば取れるという簡単なルールのレクリエーションにしてもいいでしょう。

    おすすめ2【7並べ】

    7並べも、誰しも一度は遊んだことがあるトランプゲームのひとつでしょう。7のカードを中心に、前後の数字に続くカードを順番に出していくゲームです。自分が出したい数字の前にカードが場に出ていないと、自分のカードを出すことができません。相手にカードを出させないために数字を止めておくなど、心理戦のような要素もあるため、脳の刺激にもぴったり。介護スタッフも一緒に参加すれば、フォローしながら楽しむことができます。

    おすすめ3【ババ抜き】

    ババ抜きも定番中の定番ゲーム。ババを持っていても、いかに持っていないかのように見せられるかどうかが大きなカギとなります。
    人数が少ない場合や覚えるのが苦手な利用者さんと行う場合は、1~10までの数字のみにする・枚数を半分にするなど、ルールを工夫してもいいでしょう。取れる確率が上がり、ゲームもスムーズ進むはずです。

    おすすめ4【ダウト】

    カードを参加者に均等に配り、「A(1)→2→3→…」と数字の順番通りに手札の中からその数字のカードを出していくゲームです。手札に出すべき数字を持っていない場合は、違うカードをこっそり出して、手札がなくなったら勝ち。もし、相手の出したカードが嘘のカードだと思ったら、「ダウト!」と宣言します。
    相手が正解のカードを出しているか推理しながらゲームが進むため、脳トレにおすすめです。

    おすすめ5【豚のしっぽ】

    トランプを裏向きにして、円になるように丸く並べます。1枚だけ表向きにして中央に置いたらゲームスタート。順番にカードをめくって中央のカードの上に重ねていき、続けて同じマークのカードが出たらアウトというゲームです。アウトになったら、中央のカードをすべて自分で引き取り、ゲーム再開。
    引き取ったカードは自分の番で手札として出すこともできるというルールもあるようです。また、そのまま手元に置いておき、最後に引き取った枚数が多い方が負けというルールにしてもいいかもしれませんね。気軽にプレーしやすいため、いろいろな方が楽しめるゲームです。

    おすすめ6【トランプタワーゲーム】

    トランプタワーとは、バランスを保ちながらピラミッドのように高くカードを積み重ねていくゲームです。手先を使うため脳トレにおすすめですが、スムーズにいかないとイライラしてしまう場合も。そんなときは、[btp_line]紙コップを使うのがおすすめ[/btp_line]です。ルールはシンプルで、紙コップとカードを交互に重ねていくだけ。高齢者の方も理解しやすく、倒れたときも危なくないため、ハラハラドキドキした気持ちを味わいながら、簡単に高いタワーを作ることができます。

    おすすめ7【カードの色当てゲーム】

    カードの色当てゲームとは、自分がめくるカードが黒か赤かを予想して当てるゲームです。トランプの束からカードを1枚引く前に、そのカードが黒か赤か予想して色を宣言します。自分の予想が当たれば、カードを手元に置き、手元のカードの枚数が多い方の勝ちです。単純なようですが、予想することで頭の体操につながり、脳トレの要素も含んでいます。

    おすすめ8【数字を合計して10にしよう】

    こちらは、その名の通りカードの数字を足して、合計で10にするゲームです。使うカードは、A(1)~5までの20枚。すべて裏返しに並べ、1枚ずつめくり、合計がぴったり10になったら、めくった2枚のカードが取れるというシンプルなルールです。10を超えた場合は元に戻し、次の方に順番が回ります。
    ルールはシンプルですが、めくる・計算する・記憶するなどの行為を繰り返し行うことで、脳が活性化する、脳トレの要素が詰まっているゲームです。

    おすすめ9【一番大きな数字は誰?】

    みんなで一斉にカードをめくり、一番大きな数字のカードを引いた方が勝ちという運だめしの要素もあるゲームです。まずはカードの束を、裏を上にした状態で中央に置きます。そこからひとり1枚ずつカードを引いて、みんなが引き終わったら、掛け声とともに一斉にめくり、数字が一番大きなカードを持っている方が勝ち。数字の大小がわかれば誰でも参加可能で、大いに盛り上がるゲームです。

    おすすめ10【マジック】

    トランプマジックは、数多くの種類があります。本やYouTubeなどでも種明かし付きのマジック解説や動画がたくさん紹介されており、簡単なものでも、テクニック次第であっと驚くマジックに仕上がるはず。介護スタッフの方が利用者さんに披露するのもいいですが、[btp_line]利用者さん自身がマジックに挑戦[/btp_line]して披露する側に回るのもおすすめ。万が一失敗したとしても、盛り上がること間違いなしでしょう。

    トランプを使ったレクリエーションで脳を活性化させよう

    トランプは、定番ゲームからルールがシンプルで遊びやすいゲームまで、幅広い遊び方ができるカードゲームです。一見シンプルなものでも、考えることは脳を活性化させ、認知症予防にも効果が期待できます。[btp_line]利用者さんに合わせてルールを変えて遊べる[/btp_line]のもトランプのメリットのひとつ。ぜひ、介護施設においてもレクリエーションとして活用してみてください。

  • インテークとは?アセスメントとの違いやコツを紹介

    インテークとは?アセスメントとの違いやコツを紹介

    介護現場におけるインテークとは、主にケアマネジャー(介護支援専門員)が行う初回面接のこと。ケアマネジャーは、介護を必要としている方が介護保険サービスを利用できるように、ケアプランや各種サービス業者との調整を担っている職業です。

    そんなケアマネジャーが行っているインテークについて、くわしく知らないという方もいるでしょう。そこで今回は、介護現場でのインテークの意味や、同じような意味で混同しがちなアセスメントとの違いについて紹介します。インテークの際に気をつけるポイントやコツについても見ていきましょう。

    【簡単に解説】インテークとはどういう意味?

    「インテーク」とは、ケアマネジャーが介護を必要としている方やそのご家族と初めて行う面接のことを言います。一般的には、40分から50分ほどの時間を要しますが、場合によってはそれ以上の時間がかかるケースもあるでしょう。インテークという言葉は精神科など医療の分野でも使われています。
    インテークを行う主な目的は、介護を必要としている方やそのご家族の現状を把握することです。[btp_line]どのようなケアプランを作成することが相談者さんのためになるのか[/btp_line]、考えながら情報収集します。

    多くの場合、相談者さんは、初対面のケアマネジャーに自分や家族の悩みを話さなければなりません。不安や緊張の中で悩みを相談してもらうには、インテークによって信頼関係を築く必要もあります。

    混同しがちなアセスメントとの違いは?

    インテークと同じような意味をもつ、アセスメントという言葉があります。インテークは初回面談のことですが、アセスメントは利用者さんがサービスを利用している期間中に、繰り返し行われる面談のことです。アセスメントは、実施中のケアプランを評価・ブラッシュアップすることを目的に、利用者さんの身体の状態や環境の変化などに応じて何度も行われます。

    インテークの際に気をつけるべきポイントとは?

    インテークは、介護現場においてさまざまな情報を得る第一段階です。介護を必要としている方やそのご家族が、ケアマネジャーを信頼してさまざまな問題が話せるような環境作りをしなければなりません。ここでは、インテークの際に気をつけたいポイントを見ていきましょう。

    身だしなみのチェック

    社会人として当たり前のことですが、まずは、[btp_line]清潔感のある服装や髪型かどうか[/btp_line]をチェックしてください。あまりにラフな格好でインテークに参加すると、相談に来られた方が「この人に相談しても大丈夫だろうか…」と不安になってしまうかもしれません。

    初対面の方にいろいろと踏み込んだ相談をしなければならないのに、信頼できるケアマネジャーかどうか疑問を持ってしまうと、必要な相談が受けられなくなってしまう可能性も。

    自己紹介と役割について話す

    こちらも基本的なことですが、インテークに入る前に、しっかり[btp_line]自己紹介[/btp_line]をしておきましょう。自己紹介の際は名前や施設名だけでなく、ケアマネジャーがどんなことをする仕事なのかも合わせて説明してください。

    相談者さんの中には、ケアマネジャーがどのような仕事をするのか知らない方も多いです。どんな役割があって、相談者さんのためにどんなことをするのかを明確にしてあげましょう。

    電話応対

    インテークは、面前で行う場合もあれば電話で行うケースもあります。電話で行う際は、お互いの表情がわからないため、[btp_line]面前で行うインテークよりもさらに丁寧に行う必要がある[/btp_line]でしょう。

    専門用語を使わない

    どんな職業でも言えることですが、自分が普段使っている用語は専門用語で、一般の方は知らないケースがほとんどです。どんな方でも理解できるように、[btp_line]専門用語やわかりづらい言葉は使わない[/btp_line]ように心がけましょう。

    インテークを成功させるコツは?

    最後に、インテークを成功させるコツについて解説します。

    事前準備をする

    相談者さんの話を聞いていくと、相談者さんが話すばかりになって、結局聞きたいことが聞けなかったということも。そういったことを防ぐために、[btp_line]必ず確認しておきたい項目を決めておく[/btp_line]など、事前準備をしておきましょう。

    情報を正確に把握する

    ケアマネジャーがインテークを行う目的は、利用者さんに最適な支援を行うために、情報収集しケアプランを立てることです。そのためには、介護を必要としている方やそのご家族が抱える[btp_line]問題、内容の緊急性などを正確に把握する[/btp_line]必要があります。

    相談者さんの声にしっかり耳を傾け、聞きもらさないようにメモを取るようにしましょう。また、相談者さんを急かしたりしないようにしてください。急かしたつもりがなくても、「話をしっかり聞いてもらえなかった」と相談者さんが感じてしまうと、今後重要なことを話してもらえなくなる可能性があります。

    そうすると適切なケアプラン作成ができないばかりか、相談者さんに迷惑をかけてしまうことになるでしょう。どんなに忙しくても、インテークの際は丁寧に話を聞くことが鉄則です。

    インテークの所要時間をある程度決める

    丁寧に話を聞くことは大切ですが、[btp_line]最初に所要時間をある程度決め、それを相手に伝えておくことも必要[/btp_line]でしょう。悩みの相談に夢中になって、時間ばかりが過ぎていくこともあります。インテークの時間は悩み相談の時間ではあるものの、ケアプラン作成のために行う情報収集の時間であることも忘れてはいけません。

    ある程度時間が決められていると、相談者さんもできるだけ脱線しないように話そうと心がけるはずです。いろいろ話してくれることはありがたいことですが、注意しましょう。

    共感しつつほど良い距離感を保つ

    一般的に、人は相談相手に共感してもらいたいものです。共感して自分を受け入れてくれる人にはいろいろと話そうとしてくれるため、相談者さんが困っていることや不安に思っていることなどをスムーズに聞き出すことができます。

    ただし、感情移入してしまうと冷静な判断ができなくなるため、[btp_line]寄り添いつつも客観的な立場で話を聞く[/btp_line]ようにしましょう。

    隠れているニーズはないかチェック

    インテークでどんなに良好な関係を築けたとしても、相談者さんがすべての悩みを打ち明けているとは限りません。また、介護を必要としている方のご家族の中には、現状に慣れてしまい、自分たちが困難な状況に陥っていることに気づいていない方もいます。

    相談者さんの雰囲気や表情、家の様子などさまざまなことに目を配り、[btp_line]隠れている問題やニーズがないかをケアマネジャー自らが考える[/btp_line]ようにしてください。

    インテークはケアプラン作成に欠かせない重要な作業

    インテークは、ケアプランを作るためにとても重要な役割を持っています。改めてインテークの意味や大切さを理解し、インテークで注意したいポイントを振り返っていきましょう。インテークを成功させるコツを参考に、信頼されるケアマネジャーを目指してください。

  • ノーリフティングケアとは?取り組むべきメリットや活用事例

    ノーリフティングケアとは?取り組むべきメリットや活用事例

    身体的な負担が大きいことから、これまでは「介護職に腰痛がつきもの」という考えがありました。しかし、今こうした考え方が根本から見直されはじめています。キーワードは「ノーリフティングケア」。利用者さんを持ち上げずに介護することで、双方の安全を守るケア方法として注目されています。この記事では、そんなノーリフティングケアについて解説。2021年4月に介護報酬の加算に加えられたことや具体例も交えながら、くわしく見ていきます。

    【簡単に解説】ノーリフティングケアとは?

    「ノーリフティングケア」とは、利用者さんを持ち上げたり抱きかかえたりせずに行うケア方法のことです。これまでのように人の力に頼った移乗を行わず、利用者さんの自立度に合わせて福祉用具などを活用していきます。

    ノーリフティングケアの考え方は、1998年にオーストラリアで確立したものです。日本でも2013年に厚生労働省が公表した「職場における腰痛予防対策指針」の改定で、「原則として人力による人の抱き上げは行わせない」と明示されました。

    この指針で示される通り、人力での人の抱き上げは原則として禁止されているのです。これにより、ノーリフティングケアに取り組む施設は増え始めました。

    介護職の腰痛を予防するノーリフティングケア

    ノーリフティングケアが求められる背景には、[btp_line]医療や介護従事者の深刻な腰痛問題[/btp_line]があります。

    厚生労働省が2020年に公表した「業務上疾病発生状況」によると、保健衛生業の負傷に起因する疾病は2,090件。そのうち、1,944件は腰痛が原因だったといいます。この数字は、製造業や建設業など20以上ある業種の中で最も高い数値です。中には、腰痛によって離職せざる負えないケースも。

    こうした背景により、医療や介護従事者の負担を軽減するため、厚生労働省が主導となりノーリフティングケアの取り組みが推進され続けています。

    2021年4月から介護報酬の加算対象に

    ノーリフティングケアは、2021年4月の介護報酬改定にて、加算対象に加えられたことでも注目されています。該当するのは[btp_line]「特定処遇改善加算」[/btp_line]。この加算では、以下の6区分で各1つ以上の取り組みを行うことが求められています。

    • 入職促進に向けた取組
    • 資質の向上やキャリアアップに向けた支援
    • 両立支援・多様な働き方の推進
    • 腰痛を含む心身の健康管理
    • 生産性向上のための業務改善の取組
    • やりがい・働き外の醸成

    1区分に4つの具体的な内容が示されており、「それぞれの区分で1つ以上取り組めば加算対象になる」というものです。このうちノーリフティングケアは、「腰痛を含む心身の健康管理」の区分に加えられました。

    なお、2021年3月までの特定処遇改善加算は3区分。「資質の向上」と「労働環境・処遇の改善」、「その他」だったため、今回の改定では[btp_line]より取り組むべき内容が明確になった[/btp_line]ことがわかります。こうした変化から、今後はノーリフティングケアに取り組む施設の増加が期待できるでしょう。

    ノーリフティングケアのメリットとは?

    ここからは、ノーリフティングケアのメリットについて見ていきましょう。

    介護職の身体的な負担が軽くなり長く働ける

    ノーリフティングケアを介護に取り入れると、腰痛をはじめとした介護職の身体的な負担が軽減します。電動ベッドやリフトなどの福祉用具をうまく活用した介護を行うことで、介護者の負担を軽減しながら質の高いケアを行うことが可能です。

    また、1人の利用者さんに必要な介助人数を減らすことにもつながるため、余裕も生まれやすいといいます。ノーリフティングケアが定着すれば、腰痛などの身体的な理由から離職することなく、長く働くことができるでしょう。

    利用者さんの負担も軽減される

    人の力を使った抱え上げは、利用者さんにとっても負担が大きいものです。持ち上げられる恐怖や痛みを感じる方もいます。中には緊張で体がこわばり、筋肉や関節が固まってしまうケースも。ノーリフティングケアを介護で取り入れることは、利用者さんの負担軽減や精神的な安定にもつながります

    また、利用者さん自身が自力で動かせる機能を適切に活用することで、自立を妨げないことにもつながるでしょう。

    どんな活用法がある?ノーリフティングケアの事例

    ここからは、ノーリフティングケアの事例を見ていきましょう。

    電動ベッドの機能を活用した事例

    ノーリフティングケアを行っている施設では、腰痛に対する意識が大きく変わったという事例も見られます。

    たとえば、利用者さんの起き上がりをサポートする際、ベッドがフラットな状態だと、介護スタッフの腰に大きな負担がかかるものです。そこで電動ベッドを使い、介助しやすい角度まで利用者さんの体を起こすことで負担を軽減。介護スタッフの腰痛予防へとつなげていきます。

    機器を使う手間を感じていた介護スタッフでも、利便性や効果を感じたことで気持ちが変化。利用者さんに合わせた福祉用具を適切に使用する意識に変わったといいます。

    ボードやリフトを活用した事例

    スライディングボードや介護リフトが、利用者さんの自立を促した事例もあります。これらの機器を活用する施設では、無理な抱え上げがなくなったことで、利用者さんの筋肉の緊張やこわばりが軽減。以前よりも四肢の可動域が広くなり、[btp_line]筋力が改善した利用者さんもいる[/btp_line]といいます。

    スライディングボードの活用により、利用者さん自身での車いすからの移乗が楽になったというケースもありました。

    スタンディングリフトを活用した事例

    立ち上がりをサポートする、スタンディングリフトの活用により、トイレでの排泄が可能になったという事例もあります。スタンディングリフトは安定しているため、2~3人で行っていた[btp_line]トイレ介助を1人で行えるようになった[/btp_line]という声も。

    機器があれば介護スタッフも離れられるため、ゆっくり排泄できる利用者さんも増えたといいます。

    ノーリフティングケアは双方の負担を軽減する!

    人力での無理な持ち上げや抱え上げを行わない、ノーリフティングケアは、日本でも注目されている取り組みです。2021年4月の介護報酬改定では加算項目にも加えられたため、今後導入する施設がより増えていくでしょう。介護職の方の身体的負担を軽減することはもちろん、利用者さんの不安感や恐怖心を和らげる効果も期待できます。ぜひこの機会に、ノーリフティングケアについて理解を深めてみてはいかがでしょうか。

  • 科学的介護情報システムのLIFEとは?メリットや活用方法を紹介

    科学的介護情報システムのLIFEとは?メリットや活用方法を紹介

    2021年4月1日から介護現場で運用されているLIFEについてご存知ですか?すでに利用している施設もあれば、まだ検討している施設もあるかもしれません。介護現場でLIFEを導入することで、利用者さんへのサービスが向上するなど、さまざまなメリットが考えられます。今回は、介護現場で導入が進むLIFEについて解説。メリットや利用方法、不具合があった際の対処法なども合わせてくわしく見ていきましょう。

    【簡単に解説】「LIFE」とはどういうもの?

    「LIFE(ライフ)」とは、英語で「Long-term care Information system For Evidence」と表記し、その頭文字を取った言葉です。日本語では「科学的介護情報システム」と訳されます。
    もともと医療分野で活用されてきた「エビデンスに基づく医療」を参考に、介護現場でも同様のことができないかと厚生労働省にて検討会が開催されていました。そこで、介護関連のデータベースから情報収集や分析を行い現場へフィードバックすることで、科学的裏付けをした介護の普及や実践をはかる目的で誕生したのです。

    実はこれまでにも「CHASE」というシステムがありました。CHASEは2020年5月より運用されており、「Care Health Status & Events」の頭文字を取った言葉です。
    そして、2017年から運用されている「VISIT」というシステムもあります。「monitoring& eValuation for rehabIlitation ServIces for long-Term care」の略称で、通所や訪問リハビリテーションなどからの情報を収集して分析しているシステムです。

    今回のLIFEは、このCHASEとVISITを統合して運用するために構築されました。これまでの経験や実績による介護ではなく、科学的に効果が裏付けされた介護を目指しています。[btp_line]効果を最短で出すことができるため、利用者さんへ支援の質が向上することがメリット[/btp_line]です。

    LIFEを導入するメリットとは?

    次に、LIFEを導入するメリットについて考えていきましょう。主なメリットは以下の通りです。

    • どの施設でも質の高い介護サービスが行える
    • 施設のICT化が進む
    • LIFE活用に伴う介護保険報酬の加算がある

    LIFE導入前は、施設や介護スタッフによって、提供する介護サービスの質にはばらつきがありました。しかしLIFEは日本全国で同一のシステムが利用されるため、介護に関するさまざまな情報が共有でき、[btp_line]ケア向上のための分析が可能[/btp_line]になります。

    またLIFEによるフィードバックによって、より良いプランに変更できるようになり、どの施設でもより質の高いサービスを提供できるようになるでしょう。

    なお、紙での報告書ではなく、インターネットを活用して情報共有する仕組みのため、LIFE導入には介護現場のICT化が必須です。ICT化には補助金制度があり、LIFE導入を考えている介護施設側にとってはメリットとなるはず。ICT化によって、業務の効率化が期待できるため、[btp_line]介護スタッフの負担軽減や人材育成の時間を作ることも可能になる[/btp_line]と言われています。

    LIFEを活用することによる介護保険報酬加算もメリットと言えるでしょう。こちらの加算については、次の項目でわかりやすく紹介します。

    LIFE活用での加算で注意することとは?

    LIFEの活用が要件となっている加算内容は以下の通りです。施設によって含まれる加算が異なります。加算算定要件も違うため注意してください。

    • 科学的介護推進加算(Ⅰ、Ⅱ)
    • 個別機能訓練加算(Ⅱ)
    • ADL維持等加算(Ⅰ、Ⅱ)
    • リハビリテーションマネジメント計画書情報加算
    • 理学療法、作業療法および言語聴覚療養に係る加算
    • 褥瘡マネジメント加算(Ⅰ、Ⅱ)
    • 褥瘡対策支援指導管理(Ⅱ)
    • 排せつ支援加算(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)
    • 自立支援促進加算
    • かかりつけ医連携薬剤調整加算
    • 薬剤管理指導
    • 栄養マネジメント強化加算
    • 口腔衛生管理加算(Ⅱ)
    • リハビリテーションマネジメント加算(Aロ、Bロ)
    • 栄養アセスメント加算
    • 口腔機能向上加算(Ⅱ)

    LIFEでは、PDCA(Plan=計画、Do=実行、Check=評価、Action=改善)のサイクルを一つのパッケージと考えています。たくさんの加算要件がありますが、[btp_line]PDCAすべてを実施して初めて、加算が算定できる[/btp_line]と覚えておきましょう。

    LIFEを利用するためにはどうしたら良い?不具合の対処法

    最後に、LIFEを利用するためにはどうしたら良いのか簡単に使い方を紹介します。

    LIFEの利用方法

    LIFE利用方法の簡単な流れは以下の通りです。

    1. 1 申請
    2. ログイン
    3. ユーザー・利用者さんの登録
    4. ケア内容を入力
    5. フィードバック

    LIFEを利用するためには、LIFEの公式ホームページから利用申請を行わなければなりません。申し込み後、IDやパスワードが書かれたハガキが届くため、ログインしユーザーや利用者さんを登録しましょう。

    利用者さんへのケア内容を様式に従って入力。LIFE活用が要件となる加算算定の場合は、算定対象月の翌月10日までにLIFEの入力が必要です。国保連の介護報酬請求システム上で、簡単な入力(チェック)を行います。

    システム側では、LIFEに入力したデータをもとに分析や評価が行われ、LIFEのサイトにて、その結果がフィードバックされる仕組みです。

    ちなみにLIFEへの提出頻度については、データ処理は先ほど紹介したように翌月10日となりますが、毎日入力することも可能です。また、加算算定における入力頻度は加算ごとに異なります。基本的には、「科学的介護推進体制加算・ADL維持等加算」は6ヶ月に1回、その他の加算は3ヶ月に1回です。利用者さんによって入力する頻度が変わる場合があるため、注意しましょう。

    不具合があった際はどうする?

    LIFEにデータを入力したにも関わらず、データが消えたり崩れたりするケースがあります。入力途中でも「保存」処理をしてサイト側のサーバーにデータを保存しておくと良いでしょう。

    この他にLIFEの操作で不明な点や不具合が生じた場合には、LIFEの公式ホームページに記載されているヘルプデスクへ問い合わせてください。加算要件や様式に関することは、市町村に問い合わせを。介護ソフトの操作方法やエラーに関しては、利用している介護記録ソフトの会社へ問い合わせるようにしましょう。

    介護現場でLIFEを使いこなしてより良いサービスを提供しよう

    LIFEを使いこなせば、介護ケアの質の向上が期待でき、科学的に証明されたケアを利用者さんに提供できるようになります。効率良くケアできるため、利用者さんからの評価もアップするはずです。その他にもメリットが多いシステムなので、積極的に導入するよう検討していきましょう。

  • 廃用症候群とは?リハビリのポイントや提供サービスについて知ろう

    廃用症候群とは?リハビリのポイントや提供サービスについて知ろう

    病気や骨折などによって、長期間寝たきりの状態になることで引き起こされる症状が、「廃用症候群」です。元疾患に関わらず誰にでも起こり得るもので、サルコペニアと間違われやすい症状でもありますが、明確な違いがあります。そこで今回は、廃用症候群とはどういうものかという基礎知識と、サルコペニアとの違いや廃用症候群のリハビリのポイントなどについて見ていきましょう。

    廃用症候群とは?サルコペニアとの違いを理解しよう

    まずは、廃用症候群とはどういうものなのか、サルコペニアとの違いについて紹介します。

    廃用症候群とは?

    病気や骨折などによって長期間安静にする必要があり、身体を動かさないために生じる体の障害のことです。リハビリや治療により改善すると言われていますが、重度の廃用症候群になってしまうと元の状態まで回復しないこともあるため、注意しなければなりません。

    病気などによって安静にしなければならない場合は別ですが、廃用症候群に陥らないために[btp_line]早い段階からリハビリを始めることが重要[/btp_line]です。

    サルコペニアとの違いは?

    廃用症候群と似ている症状として、「サルコペニア」があります。サルコペニアとは、加齢によって引き起こされるもので、筋肉量が低下することです。人間は40歳頃をピークに筋力が低下していくため、65歳以上の高齢者の約15%がサルコペニアに該当するという見解も。サルコペニアの症状が悪化すると、歩いたり立ち上がったりなどの基本動作がしにくくなり、転倒することも増えます。
    サルコペニアの対象が筋肉だけであるのに対し、廃用症候群は筋肉のほか骨や神経、内臓、精神機能など、体全体を対象にしている点が違いと言えるでしょう。

    廃用症候群の症状は多岐にわたる

    これまで見てきたように、廃用症候群は、筋肉量の低下だけでなく骨や内臓、精神面などすべてに影響を及ぼします。ここでは、どういった症状があるのか見ていきましょう。

    • 筋萎縮…筋肉がやせること。
    • 関節拘縮…関節が硬くなり関節の動きが悪くなること。
    • 起立性低血圧…急に起きたり立ち上がったりすることで血圧が低下すること。めまいや吐き気、意がなくなることも。
    • 誤嚥性肺炎…唾液や食べ物が気道に入り、口の中の細菌が肺に入ることで引き起こされる肺炎のこと。睡眠中でも起こり得ます。
    • 褥瘡…いわゆる床ずれと言われるもの。同じ体勢が続くことによって、局所的に圧迫された部分の血流が悪くなり皮膚がただれたり傷になったりします。
    • うつ状態…気持ちが落ち込み、不眠や食欲不振・疲れなどの症状があらわれること。
    • 見当識障害…時間や場所・人・周囲の状況などが判断できなくなること。
    • せん妄…意識がもうろうとしたり、幻覚や幻聴が出たりすること。普段とは違う言葉遣いや行動をすることもあります。
    • 骨萎縮…骨量が減少すること。全身で起こると骨粗鬆症に該当します。
    • 心機能低下…心臓の働きが低下すること。
    • 血栓塞栓症…血栓によって血管がつまり、循環不全により臓器障害を起こすこと。
    • 圧迫性末梢神経障害…同じ体勢が続くことによって、神経が局所的に圧迫されて麻痺が起きること。
    • 逆流性食道炎…胃の内容物が逆流し、食道に炎症を起こすこと。
    • 尿路結石…腎臓や膀胱・尿道に結石ができること。
    • 尿路感染症…尿路内に細菌が入り、膀胱や腎盂などに炎症を引き起こすこと。

    このうち一つだけ症状が出る場合もあれば、複数の症状を発症するケースもあります。

    介護施設で求められる廃用症候群への提供サービスとは?

    介護施設で行える廃用症候群に対する提供サービスは、[btp_line]主にリハビリテーション[/btp_line]です。病院でのリハビリテーション料は診療報酬のガイドラインに沿って、実施期間は入院や外来に関係なく定められています

    廃用症候群リハビリテーションの[btp_line]標準的算定日数は、診断がついた日から120日[/btp_line]です。病名によって決められており、この期限を超える場合には病院でのリハビリテーションで行えなくなります。介護保険を利用できる方は、介護保険でのリハビリに移行する場合も。

    次に、介護施設で求められる廃用症候群への提供サービスについて見ていきましょう。

    運動やリハビリの機会を作る

    安静が必要なときは、無理な運動やリハビリテーションは控えなければなりません。しかし、医師の判断のもと回復期に該当する時期には、積極的に運動やリハビリテーションの機会を作ることをおすすめします。

    自力でできることを増やす

    少しでも身体を動かす習慣を身につけるためにも、自分でできることは自分でしてもらうというのも良いでしょう。無理をさせる必要はありませんが、ある程度は利用者さん本人に動いてもらい、周りでサポートするという体制をとってください。

    医師に相談する

    重度の廃用症候群となると、薬物治療をした方が良いケースもあります。早めに医師に相談し診察を受け、適切な処置を行いましょう。重症化させないためにも、日頃から予防しておくことが重要です。

    廃用症候群のリハビリを成功させるポイントとは?

    廃用症候群のリハビリテーションは、利用者さんにとっては苦痛を感じる場合も。介護スタッフが心がけたい廃用症候群のリハビリテーションを成功させるためのポイントを紹介します。

    精神面のサポート

    終わりが見えないリハビリテーションは、利用者さんにとって辛いものです。いつまでも終わりが見えないことによって心が折れてしまい、リハビリテーションに前向きに取り組めない利用者さんもいるかもしれません。リハビリテーションを行ったとしても、時間が過ぎるだけで、成果があらわれにくいということもあるでしょう。

    こんなときは、リハビリテーションを行う目的を説明したり、ちょっとした変化などを伝えたりすると良いかもしれません。[btp_line]利用者さんのモチベーションがアップするように心がけましょう[/btp_line]。

    体調管理や環境を整えることに努める

    リハビリテーションには体力を使います。寝たきりで体力が落ちているため、食事や睡眠時間・体調の変化などをしっかり確認しましょう。リハビリテーションできる状態かを確認することも大切です。体調が良くない日は無理をせず、リハビリテーションを休むように提案しましょう

    利用者さんが身近なことを自分でできるようにすることも検討してみると良いかもしれません。あると便利なところに手すりを設けたり、寝返りをしやすいように寝具を変えたりなど環境を整えてみましょう。

    日頃から利用者さんの様子を確認し会話を増やそう

    介護スタッフは廃用症候群を予防する観点から、利用者さんの様子や変化を確認することが特に重要と言えるでしょう。
    廃用症候群にならないように、医師に確認をとってから早期にリハビリテーションを始めることをおすすめします。また、会話を増やすことも大切です。身体は動かせなくとも会話によって脳が刺激され、精神面の安定も期待できるでしょう。

  • フレイルとは?原因や症状を簡単に解説&介護現場でできる対策を紹介

    フレイルとは?原因や症状を簡単に解説&介護現場でできる対策を紹介

    この記事では、「フレイル」とはどのような状態なのか、原因とともに症状について簡単に解説していきます。介護の仕事をしていると、利用者さんの心や体の変化に気付くこともあるでしょう。「最近元気がないな…」「積極的に歩いたり、レクに参加したりする機会が減ったな…」などと感じたときは、フレイルの可能性も視野に入れて接してみるといいかもしれません。フレイルに対して介護の現場でできることも考えていきましょう。

    【フレイルとは?】簡単に概要を解説!

    介護や老年看護の現場で耳にする機会が多い「フレイル」。厚生労働省で「高齢者のフレイル予防事業」が立ち上げられているほど、[btp_line]早めに気付き、対策をとることが大切[/btp_line]とされています。フレイルとはどのような状態なのか、より簡単にご紹介していきましょう。

    フレイルの語源は英語の「Frailty(フレイルティ)」

    フレイルとは、「Frailty(フレイルティ)」という英語が語源で、日本老年医学会により2014年に定められました。Frailtyには「老衰」や「虚弱」などといった意味があります。フレイルとは、加齢や疾患とともに心身が衰え、社会的なつながりも弱くなることで、さまざまなストレスに対する回復力が落ちてしまう状態のこと。「健康な状態」と「要介護状態」の中間に位置していることが特徴です。

    フレイルは早期に気付けば進行を防ぐことが可能!

    フレイルは早期に気付いて適切な対策をとることで進行を防ぎ、状態の維持、向上が可能であることが大きなポイント。早期のフレイルは「プレフレイル」とも呼ばれています。フレイルは「年齢のせい」などと放置していると要介護状態へつながる可能性をはらんでいるため危険です。小さな変化も軽視せず、周囲の方が早めに気が付けるよう努めましょう。

    フレイルの基準とは

    フレイルの診断基準には諸説あり、世界的に統一された明確な定義はまだありません。日本では高齢者がフレイルかどうかを判断する際、「改定J-CHS基準」がよく用いられています。

    改定J-CHS基準(2020年)

    項目評価の基準
    体重減少6ヶ月で2キログラム以上の意図しない体重減少
    疲労感わけもなく疲れた感じがする
    筋力低下握力 男性で28キログラム未満、女性で18キログラム未満
    身体活動軽い運動や定期的な運動が週1回以下
    歩行速度通常歩行速度が毎秒1.0メートル未満

    参考:国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 改訂J-CHS基準

    https://www.ncgg.go.jp/ri/news/documents/chojutext_2020.pdf

    上記の項目のいずれも該当しない場合は「健常」、1つまたは2つに該当する場合は「フレイル予備軍」、3つ以上に該当する場合は「フレイル」と判定されます。

    ほかにも、厚生労働省が高齢者のフレイル予防事業で公開している「食べて元気にフレイル予防」というパンフレット内にフレイルのチェックリストが掲載されています。そちらもぜひご確認ください。

    ※厚生労働省パンフレット「食べて元気にフレイル予防」
    https://www.mhlw.go.jp/content/000620854.pdf

    【フレイルの原因とは?】3つの要因をチェック

    フレイルは、身体的・心因的・社会的要因それぞれが重なり合い進行するといわれています。それぞれをチェックしていきましょう。

    身体的要因

    高齢者は年齢を重ねるごとに活動量が減りやすくなるのが特徴です。活動量が減少すると筋肉量も落ちやすく、運動機能が低下して日常生活に支障の出るケースがあります。

    けがや病気で思うように体を動かせなくなってしまうことも要因と言えるでしょう。また、口腔機能が低下することで食事を思うようにとれず栄養状態が低下し、フレイルが進行するケースも珍しくありません。

    心因的要因

    軽度認知症(MCI)や認知症・うつといった病気が原因で心理的に衰弱してしまうことも要因のひとつです。

    社会的要因

    社会的なつながりを持てずに家にこもりっぱなし、入院生活でほかの方と接する機会が減ってしまう、などで活力を失ってしまうこともあります。コミュニケーションの不足が孤立につながり、フレイルが進行してしまうケースもあるのです。

    【フレイルで引き起こる症状とは?】リスクを確認

    フレイルとは、どのような症状を引き起こすものなのでしょうか。ポイントを2つチェックしていきましょう。

    フレイルになると回復力が低下する

    高齢者がフレイルになると免疫力が低下し、普段はかからない病気に罹患しやすくなったり、重症化しやすくなったりします。大きなけがをしやすくなるという側面も。風邪が治りにくく肺炎になってしまう、軽く転倒しただけで骨折してしまう、などが例です。

    入院生活でさらに筋力が低下してしまったり、ストレスで心の調子を崩したり、社会性が低下したり…といった悪循環に陥ってしまうこともあります。

    死亡率が上昇する

    身体機能や認知機能が低下することで、罹患した病気や負ったけがにより、死亡率が上昇するケースもあるため注意が必要です。フレイルの兆候が見られたら、早めに対策をとっていくことが大切です。

    【介護現場でのフレイル対応策】予防と早期発見が重要

    介護現場でフレイルの対策をとることは大変重要となります。ポイントは、日頃からフレイルの予防に取り組むことと、早期に発見することです。

    フレイルの予防

    フレイルを予防するという観点で、介護現場でできる対応策としては[btp_line]運動・食事・社会参加のサポート[/btp_line]が挙げられます。必要に応じて医師や看護師と連携して慢性疾患を悪化させないようコントロールすることも大切です。

    運動の例としては、散歩を通してウォーキングを日常的に取り入れることもひとつ。リハビリテーションで日常動作をサポートしたり、レクリエーションで運動プログラムを取り入れたりしても良いですね。

    食事面では、食材の偏りがないバランスの良い食事を十分に食べることがポイント。介護スタッフが、食事をしっかりと食べられるよう積極的に声かけをするなどの工夫も必要でしょう。不都合なく食事ができるよう、日頃から口腔ケアに気を配ることも大切です。

    社会参加としては、地域活動やボランティア活動に積極的に参加できるようサポートしたり、趣味で集まれる場を提供したりといった方法などがあります。

    フレイルの早期発見

    フレイルは、自分がそうであると気付きにくいものです。介護の現場では、利用者さんの状態を細かく観察し、早期にフレイルを発見することも重要と言えます。フレイルの兆候に気付いたら、ご紹介した運動、食事、社会参加などの対応策を実践しながら、改善できるようサポートしていきましょう。

    フレイルは対応によっては改善も可能

    フレイルとは、健康な状態と要介護状態の中間にあたる状況で、加齢とともに心身が衰え、社会的なつながりも弱くなることで進行していくものです。しかし、フレイルは早期に気付き適切な対策をとることで進行を防ぎ、状態の維持や改善も期待できます。介護現場では運動・食事・社会参加において利用者さんをサポートし、フレイル対策を進めていきましょう。

  • 老人性円背についてくわしく解説!原因やリハビリ方法とは?

    老人性円背についてくわしく解説!原因やリハビリ方法とは?

    年齢を重ねると、背中や腰が大きく曲がった状態になってしまうことがありますが、高齢者によく見られるこの状態を[btp_line]「老人性円背(ろうじんせいえんぱい)」[/btp_line]と言います。女性に多い症状で、痛みはほとんどないと言われていますが、進行すると日常生活に支障をきたす可能性も。ここでは、老人性円背の原因やリハビリ方法、使えるアイテムなど、介護スタッフなら知っておきたい基礎知識をご紹介します。正しい知識を身に付け、ぜひ介護の現場で活かしてみてください。

    老人性円背とは?腰や背中が曲がる原因は?

    老人性円背とは、背中や腰が大きく曲がったまま固まってしまっている状態のこと。普段の生活で痛みを感じることはほとんどなく、気づいたら老人性円背になっていたというケースも少なくありません。

    老人性円背の原因はいろいろありますが、猫背の進行による場合や、筋力の低下骨粗しょう症の影響などが挙げられます。また、骨密度の低下による圧迫骨折も原因のひとつです。

    骨密度は加齢とともに低下し、骨と骨の間の軟骨も弱くなっていきます。この軟骨が、圧迫に耐えられなくなると、少しの力が加わるだけで骨がつぶれてしまうことも。このような圧迫骨折が重なることで、腰が大きく曲がったままの状態で固まってしまうのです。骨密度の低下率は、男性より女性の方が大きいとされているため、老人性円背は女性に多く見られると言われています。

    進行すると、仰向けの状態になれなかったり、前が見えづらく視界が狭まったり、尻もちをつきやすくなったりすることも。痛みがなくても、これ以上進行させず、改善するようなケアを行うことが重要です。

    改善方法やリハビリ法は?

    一度曲がってしまった腰や背中を、まっすぐの状態に治すのはなかなか困難です。病院での治療のほか、改善方法やリハビリを行い、進行させないようにしましょう。

    骨粗しょう症や骨密度の低下が原因である場合には、カルシウムなどの栄養素を意識的に摂取することが有効です。牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品はカルシウムの吸収率が良く、食べやすいのでおすすめ。ビタミンDマグネシウムは、カルシウムの吸収を良くする働きがあるため一緒に摂取するとよいでしょう。

    体を動かせる方は、無理のない範囲で適度な運動やストレッチを取り入れてみては。上半身の筋肉や骨格をほぐすように胸を張ったり、背中を伸ばしたりする運動を、ゆっくり時間をかけながら行いましょう。徐々に可動域を広げていくのがポイントです。

    高齢者は、簡単なストレッチや運動などでも、予期せぬケガをする可能性があります。リハビリを行う際には、介護スタッフがしっかり見守っている状態で行うよう注意しましょう。

    介護現場でも使えるアイテムは?

    老人性円背は、ほとんど痛みはないとされていますが、背中が曲がることで首・腰回りに負担が生じる場合もあります。介護を行う際には、注意しながらゆっくり行うことが大切です。介護現場にあるアイテムも、老人性円背の方を介護する際に役立つ場合があるので、紹介しましょう。

    椅子

    椅子が大きすぎると、老人性円背の方が座った場合、背中と背もたれの間に大きなすき間ができます。腰の部分に支えがない状態になり、背中が丸まりやすくなってしまうのです。さらに、このすき間を埋めるために深く腰掛けると、今度は頭の重さで背中が丸まってしまう可能性も。老人性円背の方が負担なく椅子に座るためには、腰と背もたれの間にクッションや丸めたタオルを置くのがポイントです。足の裏を床にしっかり固定し、頭がなるべく垂直になるようにゆっくり腰掛けるようサポートしましょう。

    クッション

    クッションは、椅子に座る際や横になった際に、とても役立つサポートアイテムです。前述したように、椅子の背もたれの腰部分に設置してすき間を埋めることで、痛みや筋肉への負担を軽減することができます。

    サポーター、コルセット

    正しい姿勢を保つには、サポーターやコルセットも有効です。背中や骨盤をしっかり支えてくれるため、自然と背筋がまっすぐになり、正しい姿勢を楽にキープできます。ただし、巻き方は正しいか、きつく巻きすぎていないかなどを介護スタッフは常に確認しましょう。体調が優れないときには使用を止めるなど、無理をせず続けることが大切です。

    老人性円背の方が杖を使用するときには、高さに注意が必要です。高さを決める基準はいくつかありますが、杖を持ったときに肘の屈曲が30度くらいになる高さがベストとされています。杖で床をついたとき、肘関節の安定性がもっとも高まると言われている角度だからです。角度が30度以上になると安定性が下がり、円背が進行する可能性も。杖の高さの確認なども行いながら使うようサポートしましょう。

    介護現場での老人性円背への対応方法

    老人性円背は、ほとんど痛みはないと言われています。しかし、背中が曲がっている方を介護する際はいくつかの配慮が必要です。負荷をかけてしまうと、痛みが出たり、円背が進行したりする可能性もあるため、介護の際には注意して対応しましょう。

    通常、寝返り介助の際は、仰向けの状態を経て寝返りを行いますが、老人性円背の方は仰向けの体勢が困難です。そこで[btp_line]仰向けの代わりに、長座位を利用[/btp_line]すると、スムーズに寝返り介助が行えるでしょう。

    立ち上がり介助の場合は、重心移動がポイントとなります。老人性円背の方は、腰が曲がり前傾姿勢のような体勢なので、他の方に比べて立ち上がりにくいことも。立ち上がる際には、バランスを崩さないようサポートすることが重要です。
    まず、椅子やベッドに浅く腰掛けてもらい、両足を後ろに引いて、上体を少し倒してもらいます。このとき、足元がぐらついていないか、しっかり踏ん張ることができているかも確認しましょう。介護スタッフは、利用者さんの脇の下に一方の手を入れ、もう一方の手で腰を支えて立ち上がり介助を行います。

    老人性円背の方も快適に過ごせるようサポートすることが重要

    老人性円背は、痛みがほとんどないとはいえ、動きづらさや進行すると日常生活にも支障をきたす可能性があります。介護スタッフは、円背をなるべく進行させず、そして改善できるように、正しい知識を身に付けてできる限りのサポートを行うことが大切です。老人性円背の原因は人それぞれなので、その原因も踏まえた上で、まわりの介護スタッフと協力しながらサポートしていきましょう。

  • 認知症と軽度認知障害はどう違う?介護現場での対応策もチェック

    認知症と軽度認知障害はどう違う?介護現場での対応策もチェック

    この記事では、高齢者の軽度認知障害について、認知症との違いを例に挙げながら分かりやすく解説していきます。軽度認知障害は早期に対策をとることで、回復または進行を遅らせることが可能です。介護現場で「利用者さんの様子がいつもと違うな」と早い段階で気が付き、適切な対応がとれるようにしましょう。軽度認知障害の初期症状や、介護現場で求められる対応・介護サービスについてご紹介していきます。

    軽度認知障害とは?

    軽度認知障害とは、日常生活に大きな支障がない程度で記憶や判断などの能力が低下することです。軽度認知障害は、英語のMild Cognitive Impairmentの頭文字をとって、「MCI」とも呼ばれます。

    加齢にともない「物忘れ」などは増えていくものですが、軽度認知障害はその範囲を超えて認知能力が低下してきている状態です。軽度認知障害は認知症と健常な状態の中間、または認知症の前段階とも呼ばれます。厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会(第78回)の資料によると、2012年の時点で高齢者の約4人に1人は軽度認知障害または認知症であることが判明しました。

    軽度認知障害の種類はひとつではありません。アルツハイマー病によるMCIや血管性疾患によるMCI、うつ病によるMCIなど、脳の病気や障害など原因によってさまざまな種類があります。

    軽度認知障害と認知症の違いとは?

    軽度認知障害と認知症の違いを分かりやすく解説していきましょう。

    軽度認知障害

    • 食事や入浴など基本的な日常生活動作(基本的ADL)には支障がない
    • 買い物や家事など、複雑な日常生活動作(手段的ADL)には支障がある
    • 対応によっては正常なレベルに回復することもある
    • 認知症に移行する場合がある

    認知症

    • 日常生活に支障がある(基本的ADL、手段的ADLともに)
    • 高齢者に多いアルツハイマー型に関しては進行を遅らせることができても完治は難しい

    ここでおさえておきたいポイントは、[btp_line]軽度認知障害は回復するケースもあれば認知症に移行するケースもある[/btp_line]ということ。早期に気付いて対策をとることが重要です。

    軽度認知障害の初期症状とは?

    ここからは軽度認知障害を早期段階で発見するため、初期症状について簡単にご紹介します。

    軽度認知障害では以下のようなサインが表れます。

    <軽度認知障害のサイン>

    • 体験したことは覚えているが、詳しく思い出せない
    • 同じ話や同じ質問を繰り返す
    • 物を置き忘れる、しまい忘れる
    • 家事がスムーズにできなくなる
    • 趣味や外出することに消極的になる

    加齢による物忘れと軽度認知障害の違いを見極めることは簡単ではありません。「いつもと違う」、[btp_line]「加齢による物忘れにしては程度が重い」[/btp_line]と感じたら、軽度認知障害を疑いましょう。受診するかどうか迷ったら、広くインターネットなどで公開されている認知症のチェックリストなどに加え、上記の軽度認知障害の初期症状のサインもぜひ参考にしてください。

    ちなみに、認知症と軽度認知障害の症状の大きな違いは本人に自覚があるかないかです。認知症では、本人に物忘れの自覚がないケースがほとんど、という特徴があります。

    介護現場での軽度認知障害の対応は?

    軽度認知障害は正常な状態に回復するケースと、認知症へ移行するケースがあることを前項でご紹介しました。厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会(第78回)の資料によると、軽度認知障害がある方のうち年間10~30%が認知症へ移行しているそうです。しかし、対応によっては認知症への進行を遅らせることも期待できます。介護の現場では、軽度認知障害は「早期に発見して対応することが回復または認知症への移行を防ぐポイント」となることをおさえておきましょう。

    オレンジドクターへの受診をサポート

    軽度認知障害には明確な診断基準はありませんが、医師による認知機能検査や身体検査、MRI検査やCT検査などを経て判断されます。認知症の早期発見や診断体制は、国を挙げて整備が進められている最中です。

    広島県では、物忘れや認知症に関する相談を受け付けている医師を[btp_line]「オレンジドクター(もの忘れ・認知症相談医)」[/btp_line]として認定しています。地域のオレンジドクターが在籍する病院を日頃から把握しておくと、軽度認知障害の傾向がみられる利用者さんやそのご家族にオレンジドクターがいる病院がすぐ紹介でき、役に立つでしょう。

    オレンジドクターのリストは、広島県のホームページからダウンロード可能です。
    ※広島県ホームページ 認知症対策 もの忘れ・認知症相談医(オレンジドクター)
    https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/ninntisyoutaisaku/1183708415424.html#daunnro-do

    運動・食事・認知トレーニングでアプローチ

    介護現場でできる軽度認知障害予防のための具体的なアプローチ方法としては、運動・食事・認知トレーニングのサポートが挙げられます。

    <運動>

    軽く息が上がる強度で長い時間行える有酸素運動は、体内に酸素を持続的に取り入れて脳の血流を増加させ、脳を若く保つことが分かっています。物忘れの防止にもつながるそうです。運動の例としては、散歩などのウォーキングや、ジョギング・ヨガ・エアロビクス・水泳などがあります。

    さらに効果を高める方法として、ふたつの動作を同時に行うデュアルタスクをご紹介しましょう。ふたつの動作を同時に行うと脳の血流量がアップし、より認知症へのプラスの効果が期待できるそうです。レクリエーションのひとつとして、しりとりをしながらウォーキングする計算をしながらヨガをする、といった運動を取り入れてみてはいかがでしょうか。

    <食事>

    食生活の基本とされるバランスのとれた食事は、認知症予防の観点からも重要です。介護施設で食事を提供するシーンがあれば、さまざまな食品を取り入れたメニューを提供する、利用者さんが残さず食べられるよう声掛けする、といった工夫を。利用者さんとの会話の中で、偏った食生活とならないよう助言することもプラスとなるでしょう。

    意識して摂取したい食品としては、DHAやEPAを豊富に含む魚や、ビタミンが豊富な野菜・果物類が挙げられます。アーモンドやくるみといったナッツ類も適度に取り入れると良いでしょう。

    <認知トレーニング>

    脳の記憶力や集中力を鍛えることも大切です。「認知トレーニング」と表現すると難しい印象となりますが、カードゲームや楽器の演奏、会話なども立派なトレーニングとなります。オセロ大会や将棋大会など遊び感覚で参加できる脳トレ系のレクリエーションを企画したり、利用者さん同士が気軽に趣味などを通じて交流できる場を整えたりしても良いですね。

    認知症や軽度認知障害は介護現場でもサポートを

    軽度認知障害は、医療の介入と食事や運動といった生活習慣の改善で回復や進行を遅らせることが期待できます。早期に発見することが重要となるので、介護施設では利用者さんの物忘れなどの変化に気を配り、思い当たることがあればご家族へご報告できると良いでしょう。認知症も軽度認知障害も、できる範囲でサポートしていきたいですね。

  • 介護現場のICT化とは?具体的な事例や導入率をチェックしよう

    介護現場のICT化とは?具体的な事例や導入率をチェックしよう

    近年、介護現場でも「ICTの導入」が積極的に行われています。ICTとは、「インターネットなどのIT技術を使って、人々の暮らしを豊かにしていく活用方法」のこと。身近なところでは、ネット通販やメールを使ったコミュニケーションなどもICT活用事例の1つです。この記事では、介護現場ではICTがどのように活用されているのか、導入による加算の有無や今後の課題などについて紹介していきます。介護業界で働く方は、ぜひご一読くださいね。

    介護現場におけるICTとは?

    介護職の方の中には、「介護記録をタブレット端末に入力して報告するようになった」という方もいるのではないでしょうか?「介護記録とシフト機能などが同じ端末上で確認でき、職員間での情報共有がしやすくなった」という方もいるかもしれません。身近なところでは、こうした変化も[btp_line]介護現場におけるICT化[/btp_line]です。

    このほかにも、「見守りシステム」の導入を行う施設もあります。介護現場では、1人の職員が複数の利用者さんの様子をチェックすることも少なくありません。別の業務を行いながら、利用者さんの在室状況を把握するのは大変です。見守りシステムを導入すれば、利用者さんの在室状況を、センサーを通して知ることができます。

    このほかにも、排泄のタイミングを予測して通知を送る「排泄予知器具」、職員へ同時に一斉通話が行える「インカム機器」なども、ICT活用の事例です。これまでは[btp_line]細部まで気を配らなければならなかった業務を、テクノロジーの力で補っています[/btp_line]。

    このようにICT化が介護現場で推進される目的は、働く方の負担軽減や、介護サービスの生産性向上とされています。

    介護現場でのICT導入率

    介護現場のICT化は、[btp_line]厚生労働省が主導して行っている取り組み[/btp_line]です。2016年度には厚生労働省委託事業にて「居宅サービス事業におけるICT機器・ソフトウェア導入に関する手引き」も作成され、取り組みの周知もスタートしました。以降、介護現場でのICT導入率は次のように変化しています。

    ICT導入事業所は大幅に増加!自治体の支援事業も全国へ拡充予定

    出典:厚生労働省「介護現場におけるICTの利用促進」

    上記の図でもわかるように、ICT導入の条件を満たした介護事業所や企業に助成金を支給する「ICT導入支援事業」を行う自治体が増えています。2019年度には15県だったものが、2020年度には40都道府県に増え、[btp_line]2021年度には47都道府県すべてで実施予定[/btp_line]です。

    ICT導入支援事業の助成を受けた介護事業所は、2020年度までに全国で2,569事業所に増えました。前年度は195事業所だったことを見ると、大幅に増加していることがわかるでしょう。今後も介護現場でのICT導入は、さらに進むことが予測されます。

    介護現場でのICT導入と加算について

    ここからは、ICTを導入した場合の介護報酬の加算について見ていきましょう。

    「夜勤職員配置加算」などICT導入で緩和される仕組みも

    ICTの導入は、介護報酬でも評価され始めている取り組みです。2021年度に改定された介護報酬制度では、特別養護老人ホームなどで見守りシステムを導入した場合、「夜勤職員配置加算」の要件が次のように見直されています。

    改定前特養および短期入所生活介護の利用者さんへの見守りセンサー導入割合15%以上の場合、夜勤職員は最低基準+「0.9人」の人員を配置
    改定後特養および短期入所生活介護の利用者さんへの見守りセンサー導入割合10%以上の場合、夜勤職員の最低基準+「0.6人」の人員を配置

    すべての入居者さんに対し見守りシステムを導入するなどの要件を満たしている施設には、夜間の人員配置基準を緩和する措置もとられました。

    ICT導入により人員配置の緩和が行われている

    夜勤職員配置加算のほかにも、特養の「日常生活継続支援加算」や、介護つき有料老人ホームなどへの「入居継続支援加算」も、ICT導入により人員配置基準が変化しました。見守りシステムやインカムなど、ICT化に伴う複数の機器を活用した場合、これまでは6対1以上だった[btp_line]介護福祉士の配置要件が7対1以上に緩和[/btp_line]されています。

    介護現場でのICT活用は、働く方の負担軽減はもちろん、人材不足に悩む事業所にとっても有益な取り組みとなっていることが見てとれるでしょう。

    ICTを導入する運用ルールは厳しい?導入の課題とは?

    介護現場にICTを導入するメリットは大きなものですが、運用ルールの厳しさから新たな課題なども見えてきています。ここからは、ICT導入の運用ルールと課題について見ていきましょう。

    全居室設置・全介護職員の使用が条件となる機器も

    ICT導入による介護報酬の加算を目指す場合、「見守り機器」「インカム」「記録ソフト等」の3つの導入が欠かせません。このうち、見守り機器はすべての居室に設置、インカムも全職員が使用することが条件となります。利用者さんに正しいケアが行われているかの評価や人員体制の見直しを、継続して行うことも必要です。

    また、ICT機器を導入して3ヶ月以上経ったら、実際のケアにあたる他職種の職員が参画して「見守り機器等活用委員会」を開催。ケアの質や安全体制が適切であるか、職員の負担が軽減されているかなどの確認を行い、届出を行う必要があります。介護報酬の加算を目指したい事業所の中には、こうした運用ルールを厳しいと感じるところもあるかもしれません。

    導入コストやセキュリティ対策などが課題に

    介護現場でのICT活用の課題には、[btp_line]導入コストの高さ[/btp_line]が挙げられます。初期費用の高さを導入のデメリットとする事業所も少なくありません。また、介護職の中には、パソコンやタブレット端末などのデジタル機器に苦手意識がある方もいます。こうした方への研修やサポートも、ICT導入には欠かせません。

    一方で、「実際に使ってみるまでは苦手意識があったけれど、慣れてしまうと手放せなくなった」という声もあります。スマートフォンのように、感覚的に使える機器も増えているため、介護職の方にとってはICT化がポジティブに働くほうが多いといえそうです。

    ただし、紙での記録と比べて情報漏洩のリスクは高いため、ICTを導入した場合にはセキュリティの意識をもつことも大切。課題点を意識しながらうまくICTを活用することができれば、業務効率を高めていくことができるでしょう。

    介護現場のICT化によって働き手の負担は軽減する

    IT機器などを使って、人々の暮らしを豊かにする活用方法がICTです。人材不足が課題とされる介護現場でもICTを活用することで、働き手の負担を軽減する取り組みが活発に行われています。少子高齢化は今後も進行するため、さらにICTを導入する事業所は増えていくでしょう。介護業界で働く方は、ぜひICT化にも注目してみてはいかがでしょうか。

  • 日常生活動作とは?評価方法や介護現場での考え方をチェック

    日常生活動作とは?評価方法や介護現場での考え方をチェック

    生活する上で最低限必要な動作である、食事や入浴。こうした動作は「日常生活動作」と呼ばれており、介護現場では高齢者の自立度を測る尺度として用いられています。また近年は、長く自立した生活が送れるよう、要介護度の維持・軽度化を図る「介護予防」の視点も重要です。そこでこの記事では、日常生活動作とは何か、自立度を測る評価方法などについて紹介していきます。あらためて理解を深め、業務に活かしてみてくださいね。

    日常生活動作の定義とは?

    日常生活動作とは、生活をする上で最低限必要とされる動作のことです。介護現場では、高齢者の自立度や心身機能レベルを測る指標としても用いられています。英語表記の「ADL:Activities of Daily Living」で覚えている方も多いかもしれませんね。日常生活動作(ADL)は、次の2種類に分けられます。

    基本的日常生活動作(BADL:Basic ADL)

    基本的日常生活動作(BADL)とは、[btp_line]日常生活の基本となる動作[/btp_line]のことです。
    ベッド上での移動や寝返りなどの起居動作、トイレや車いすなどへの移乗動作、歩いて場所を移る移動動作などを指します。このほか、食事・入浴・排泄・着替え・整容といった行為が基本的日常生活動作(BADL)です。

    手段的日常生活動作(IADL:Instrumental ADL)

    手段的日常生活動作(IADL)は、基本的日常生活動作(BADL)の次の段階となる、[btp_line]より複雑な日常生活動作[/btp_line]のことです。
    スケジュール調整や金銭管理、交通機関を利用するなどの動作が含まれています。掃除や料理といった家事や、電話でのコミュニケーション、食事後の片付け、季節に合った服を選ぶことなども、手段的日常生活動作(IADL)です。

    日常生活動作を評価する5つの方法

    高齢者のリハビリや介護保険制度を用いる際には、日常生活動作(ADL)をどれだけ行えるか、どの程度介護を要するかを評価することが必要です。これらの評価を行う方法には、いくつかの種類があります。ここからは、介護現場でよく用いられる5つの評価方法を一覧で見ていきましょう。

    バーセルインデックス(BI:Barthel Index)

    食事や着替えなど、[btp_line]10項目の基本的日常生活動作(BADL)を評価する方法[/btp_line]です。評価項目には、入浴や歩行、排尿なども含まれています。自立度を2~4段階に分けて評価し、100点満点中点数が高いほど自立していると見なす評価方法です。2021年度の介護報酬改定でも活用されるなど、日本でも広く使われています。

    カッツインデックス(Katz Index)

    入浴や着替え、食事など[btp_line]6項目で基本的日常生活動作(BADL)を評価する方法[/btp_line]です。それぞれの動作を、「自立」か「介助」かに分けて、A~Gの7段階で評価します。動作を行える能力があった場合でも、本人が嫌がったときには自立と認められない点が特徴です。

    ダスク21(DASC-21)

    ダスク21は、地域包括ケアシステムにおける、[btp_line]認知症の評価表[/btp_line]として用いられている[btp_line]日本で開発された方法[/btp_line]です。厚生労働省主導の、医療や介護、生活支援などを一体的に支援する地域包括ケアシステムの実現に向け活用されています。地域包括ケアに関わる多くの職種の方が使用でき、短時間で生活機能と認知機能の自立度が評価できることも特徴です。

    21項目のうち、6項目は手段的日常生活動作(IADL)の評価で、点数が高いほど自立度は低いと判断されます。各項目は1~4点で区分され、合計が31点以上の場合は認知症の可能性があります。

    ロートン(Lawton)の尺度

    電話の使用や買い物、金銭管理など、[btp_line]手段的日常生活動作(IADL)を評価する方法[/btp_line]です。社会生活を送る中で必要な動作を、8項目で評価します。女性はすべての項目が評価対象ですが、男性は8つのうち5つの項目に絞られて評価されることが特徴です。3~5段階評価で、点数が高いほど自立していると判断されます。

    老研式活動能力指標

    請求書の支払いや健康についての関心、バスや電車の利用などの[btp_line]13項目の手段的日常生活動作(IADL)を評価する方法[/btp_line]です。友人の家を訪問する・相談にのる・若い人に話しかけるなどの項目もあります。「はい」が1点、「いいえ」が0点で、点数が高いほど自立度が高いと見なされる評価方法です。

    日常生活動作(ADL)で自立度を評価|要支援と要介護度にも影響

    「日常生活動作(ADL)がどれだけ無理なく行えるか」は、[btp_line]自立度を測る指標[/btp_line]です。日常生活動作(ADL)の評価によって、利用者さんが利用できる介護保険サービスも変わっていきます。

    また、高齢者の自立度によって変化するのが「要介護度」です。たとえば、要支援1であればほぼ自立した生活を送れている状態ですが、要支援2から要介護1へ、要介護2へ…と、要介護度が進むにつれて自立度は低下していきます。こうした要介護度を判定する際に用いられている基準が、厚生労働省が定める「要介護認定等基準時間」です。これは、介護にどれくらいの時間(手間)がかかるかを表すもので、要介護認定を行う際の指標の1つとなっています。

    介護現場での日常生活動作(ADL)の考え方とは?

    介護現場では、利用者さんの現状を踏まえた適切な対応が求められます。日常生活動作を無理なく行えるなど比較的健康な方には、その[btp_line]状態が維持できるようなサポート[/btp_line]が大切です。できるところは自力で行ってもらいながら、必要な場面で手助けを行いましょう。

    要介護状態の利用者さんであれば、状態の悪化を遅らせるような対応が求められます。手足を無理なく動かせるレクリエーションの企画や、利用者さん同士の交流にも目を向けながら、心身ともに充実するようなサポートが大切です。

    日常生活動作(ADL)の評価にもとづいたサポートには、理学療法士や作業療法士、看護師とそれぞれに専門領域があります。それぞれの専門職が担うリハビリ計画や看護計画を共有しながら、利用者さんをサポートしていきましょう。

    日常生活動作(ADL)は利用者さんの自立度を測る大切な指標!

    日常生活動作(ADL)は、食事や着替えなどの基本的な動作と、金銭管理や電話応対などの社会的な動作の2種類に分けられます。それぞれの動作がどの程度問題なく行えるかは、利用者さんの自立度を測るための指標の1つです。日常生活動作(ADL)について理解を深めることで、利用者さんの状態に適した対応を心がけていきましょう。

  • 介護記録の電子化とは?メリットやデメリットをチェック

    介護記録の電子化とは?メリットやデメリットをチェック

    近年介護の現場でも、インターネットなどを活用した、デジタル化への動きが活発です。介護記録を電子化したり、介護ロボットの実用化が検討されたりと、さまざまな取り組みが行われています。とはいえ、「電子化するってどんなこと?」「なんだか難しそう」と感じている方もいるのでは?そこでこの記事では、介護現場で働く方にも身近な「介護記録の電子化」を中心に、そのメリットやデメリットなどについて解説していきます。

    介護記録は手書きから電子化へ

    利用者さんの体調やその日の様子、行った介護サービスなどを記載する介護記録は、ケアを行う上で欠かせないものです。これまでの介護記録には、次のような問題点が見られました。

    業務負担が大きい!手書きの介護記録

    これまでの介護記録は、手書きで行うことがほとんど。「利用者さんのケアを終えてから記入している」と業務外で時間を設けて対応している介護職員の声も多く耳にします。

    紙への記入は手軽さがある反面、できあがった書類を事業所に届けるなど移動コストもかかるもの。毎日のこととなれば、やはり業務負担は大きくなります。

    これらの働き手の負担に加え、今後さらに少子高齢化が進むことに鑑み、問題点を解消するために、国を挙げて介護記録の電子化が推進され始めました。

    介護記録は電子化で効率的に

    介護記録の電子化など、介護現場でのデジタル化(ICT化)は、厚生労働省主導で行われています。すでに2018年には「2040年を展望し、誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現に向けて」が公表され、ロボットやAI、ICTを使った取り組みの推進がスタート。

    こうした取り組みには、電子化することで書類作成時間を減らし、働く方の負担を軽減する動きも含まれています。このように、介護記録の電子化は、国を挙げて行われている取り組みなのです。

    介護記録を電子化するメリットとは

    ここからは、介護記録を電子化するメリットについて見ていきましょう。

    業務が効率化される

    介護記録を電子化すると、[btp_line]業務効率がUP[/btp_line]します。たとえば、インターネット回線につながったタブレット端末などを用いれば、記録と同時に事業所への報告を終えることも可能です。紙の介護記録のように、提出のためだけに事業所に足を運ぶ必要もなくなります。入浴など手が離せないケアの最中にメモ書きした記録を後から清書する必要もないため、これまでよりも時間を有効活用できるでしょう。

    事業所内外での情報共有がしやすくなる

    介護記録が電子化されると、それぞれの利用者さんのデータが記録ソフト上で1つにまとまります。そのため、[btp_line]事業所内外での情報共有が行いやすくなる[/btp_line]でしょう。たとえば、利用者さんの体調や状況などを、事業所内にいながら知ることも可能です。シフト機能が搭載されているものであれば、スタッフの勤務状況などさまざまなデータ共有も簡単に行えるでしょう。

    利用者さんにかける時間を増やせる

    介護記録を電子化すると、書類作成にかける時間が大幅に減ります。時間に余裕が生まれるため、[btp_line]利用者さんにかける時間を増やすことも可能[/btp_line]です。働く方の負担が軽減することで、介護の質を向上することに尽力できれば、利用者さんにとっても大きなメリットとなるでしょう。

    介護記録を電子化するデメリットとは

    ここからは、介護記録を電子化するデメリットについても見ておきましょう。

    IT機器の操作を覚える必要がある

    介護記録を電子化するためには、導入したIT機器の操作を覚えなければなりません。IT機器に苦手意識がある方は、操作を覚えることに負担を感じる可能性があるでしょう。一方で、こうした方向けに操作の研修を行ったり、紙と電子端末を一緒に使ったりといった対応をしている企業もあります。IT機器が苦手と感じる方でも安心して働ける可能性が高いでしょう。

    機器の導入など初期費用がかかりやすい

    介護記録を電子化する際には、専用の機器を導入するなど、初期費用がかかりやすいものです。導入を検討している事業所にとっては、この点がデメリットでしょう。最近は、月単位で一定額の費用を支払うクラウド型の介護記録サービスも登場しています。こうしたサービスを利用すれば、[btp_line]導入コストを抑えることができる[/btp_line]でしょう。

    セキュリティ対策やデータ消失などのリスク

    介護記録を電子化する場合には、個人情報を取り扱うためのセキュリティ対策や誤操作によるデータ消失などの[btp_line]リスクに備えることも大切[/btp_line]です。他社が提供する既存のシステムを利用する場合には、これらのリスクに対するサポート体制の有無などをチェックしておくとよいでしょう。

    介護記録を電子化するために必要なもの

    介護記録を電子化するためには、[btp_line]介護記録ソフトや専用のIT機器の導入が必要[/btp_line]です。ただし最近は、特別な端末を用意しなくとも、それぞれのスマホにアプリをダウンロードするだけで電子化できるサービスも登場しています。初期費用が気になる事業所は、こうしたサービスを検討してみるとよいでしょう。

    介護記録を電子化したときの監査はどうする?保管方法や保存期間はどのくらい?

    ここからは、介護記録を電子化したときの監査や保管方法、保存期間について見ていきましょう。

    原則的には「紙で印刷しなくてもよい」

    介護事業所を運営していく中では、指定期間内に1回、自治体担当者による実地指導が行われます。この際、介護記録が電子化されている場合は、必要なデータを自治体担当者に画面上で閲覧してもらうという対応でも間違いではありません。ペーパーレスに理解のある担当者であれば、こうした対応ができることもあるでしょう。

    一方で、自治体担当者から必要なデータを紙で抽出するよう要求される可能性もあります。このあたりは、[btp_line]各自治体担当者の意向によって変化しやすい[/btp_line]でしょう。

    データでの保管も可能に!保存期間は2年

    介護記録は、「介護保険の文書」に該当する書類で、[btp_line]作成から2年間は保存[/btp_line]しておく必要があります。紙の介護記録であればファイリングなどを行い、規定の期間、保管していた事業所も多いでしょう。

    しかし、2021年1月13日に行われた社会保障審議会にて、電磁的つまりは[btp_line]データでの保管を認めることが決定[/btp_line]しました。今後は、電子署名で同意を得ている書類などは、データのまま保存することができます。物理的な場所もいらなくなり、記録をファイリングする手間なども軽減できるでしょう。

    介護記録の電子化は働き手の負担も軽減する!

    業務効率の向上や情報共有がしやすくなるなど、介護記録の電子化は働く方の負担を軽減してくれます。導入コストの高さやセキュリティ対策など、留意しておくべき点もありますが、少子高齢化が進む中では今後も積極的に導入が進められていくでしょう。この記事も参考に、ぜひ介護記録の電子化について理解を深めてみてくださいね。

  • ケアラーとは?抱える問題や地方自治体での支援策を紹介

    ケアラーとは?抱える問題や地方自治体での支援策を紹介

    ケアラーやヤングケアラーという言葉をご存知ですか?2020年12月から2021年1月にかけて厚生労働省と文部科学省が行った調査によると、[btp_line]中学生の約17人に1人がヤングケアラー[/btp_line]であることがわかりました。介護現場やごく一部の方だけの問題ではなく、今や日本全体に関わる問題となっています。
    そこで今回は、ケアラーの定義やケアラーが抱える問題について解説し、地方自治体が行っている支援策や条例について紹介していきましょう。

    ケアラーやヤングケアラーとは?どういう意味?

    高齢者や身体上、または精神上の障害や病気を抱える方の中には、日常生活を送る上で介護や支援が必要な方がいます。ケアラーとは、そういった方を[btp_line]無償でサポートしている親族や友人など[/btp_line]のことを指す言葉です。

    英語では「carer」と表記します。ケアラーのうち、18歳未満のケアラーをヤングケアラーと呼びますが、特に法令上の定義はありません。ケアラーが行う主なサポートは、以下の通りです。

    • 要介護者・要支援者の看病や介護
    • 買い物や洗濯、掃除などの家事
    • 他の家族の世話
    • 金銭面でのサポート など

    このようにさまざまなことを、ケアラーが担っている場合が多いです。

    今ケアラーやヤングケアラーが抱える問題とは?

    ケアラーやヤングケアラーが抱える問題について考えていきましょう。

    ケアラーやヤングケアラーに共通する問題

    大人のケアラーとヤングケアラーに共通する問題は、主に2つあります。1つ目は、社会的な孤立です。身近に介護や支援を必要とする方がいるために、なかなか定職に就けず、ケアラー自身の社会的なつながりが絶たれてしまうケースがあります。それによって、相談する仲間や手段を見つけられず、精神的に追い込まれてしまう場合も。

    2つ目は金銭的な問題です。先ほどの社会的な孤立を要因として、収入や貯蓄の減少など経済的な負担がケアラーにのしかかりやすくなることに。金銭的な問題は他人には相談しにくいと感じる方もいるため、さらに内にこもりやすくなってしまいます。これにより、地方自治体や支援団体などが現状を把握しづらくなることが原因で、いつの間にか問題が大きくなってしまうのです。

    この2つが統合し引き起こされる問題が、いわゆる「[btp_line]介護疲れ[/btp_line]」。ケアラー自身が孤独を感じ精神的に追い込まれてしまい、要介護者・要支援者に危害を加えるなどの問題や事件が発生することもあります。

    ヤングケアラーが抱える問題

    ここでは、ヤングケアラーが抱える問題について見てきましょう。厚生労働省の「令和2年度 子ども・子育て支援推進調査研究事業」の中で、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2021年3月に発表した「ヤングケアラーの実態に関する調査研究報告書(案)」をもとに紹介します。

    この調査では、ヤングケアラーという概念を認識している方は、2019年では74.7%に対して、2020年には93.3%と認知度はアップ。しかし、実態把握に関しては、把握していると答えた割合が2019年で30.1%、2020年で30.6%とほとんど変化がありませんでした。
    これらのデータからわかるのは、[btp_line]ヤングケアラーは表面化しづらい[/btp_line]ということです。子供の頃から日常的に介護や支援を行っており、その対象が家族などの近親者のため、「自分が介護を行うのが当たり前」と思っている背景もあります。

    こういったことから、ヤングケアラーが抱える問題は主に4つと考えられるでしょう。

    • 相談先がない・わからない
    • 学業への影響
    • 友人との交流が減る
    • 健康や精神面への影響

    ヤングケアラー自身が問題と認識しておらず相談の必要がないと思っていることや、相談しようと思ってもどこに相談したら良いのかわからないという問題があります。

    また、要介護者・要支援者に日常的な介護が必要な場合は、ケアラー自身が家を離れることができないケースも多いようです。学校などに通えなくなり、勉強に遅れが生じて希望の進学が難しくなることもあるでしょう。

    介護や支援に時間を取られることで、友人との交流なども減る可能性があります。友人関係から孤立する、コミュニケーション能力の低下が顕著になるかもしれません。

    さまざまな問題が影響して、ヤングケアラー自身の健康や精神面が悪化していく可能性があるでしょう。

    日本の地方自治体におけるケアラーの支援とは?条例などを紹介

    さまざまな調査が行われてきたことにより、ケアラーの問題点が浮き彫りになり、日本でもケアラーへの支援が急ピッチで検討され始めました。最後に、地方自治体におけるケアラー支援についてその代表例を紹介します。

    埼玉県

    埼玉県では、2020年3月に「埼玉県ケアラー支援条例」を制定。「全てのケアラーが個人として尊重され健康で文化的な生活を営むことができる」を基本理念としています。県民や市町村など多様な主体が連携を取って、ケアラーが孤立しないようサポートしていくことを表明。

    具体的には、ケアラーやヤングケアラーの認知度を上げるために、啓発リーフレットを配布し、ケアラーを支援する人材を育成しています。

    ヤングケアラーと関わる教育に関する業務を行う関係機関では、ヤングケアラーの相談に対応。適切な支援機関への案内や取り次ぎなどを行い、支援するようにと条例で定めました。

    神奈川県

    神奈川県は、2021年3月に「ケアラー支援庁内連絡会議」を立ち上げました。課題の整理や支援の充実・各団体との連携などを行い、ケアラーやヤングケアラーを支援しています。

    ケアラーやヤングケアラーの実態把握に努め、各種調査を行っています。「かながわケアラー支援ポータルサイト」では、ケアラーが利用できる支援一覧がまとめられていますので、どんな支援があるのか目を通してみるのも良いでしょう。

    ヤングケアラー専用のページも立ち上げ、ヤングケアラーの周辺にいる大人や関係機関にあてたメッセージも掲載。ヤングケアラーが相談しやすいように、相談窓口や相談機関を掲載し、チャットツールなどでも簡単に相談できます。

    北海道

    北海道では、ケアラーの早期発見や適切な支援をするための具体的な方法を考えるなど、ケアラー支援に積極的に取り組むことを表明。「北海道ケアラー支援条例(仮称)」を制定するために、道民から意見を募集しています。

    現在は、北海道ケアラー支援有識者会議やケアラーの実態調査などを行い、現状把握に努めているようです。また啓発活動にも力を入れており、オンラインセミナーを開催したり啓発リーフレットを作成したりしています。

    表面化しているケアラーの問題は氷山の一角

    ケアラーやヤングケアラーは、家庭内で生じている問題のため、表面化しにくいことが最大の課題です。ケアラーが行うのは目に見えてわかるような家族の介護だけではありません。家計を支えるためのアルバイトやきょうだいの世話、アルコールや薬物・ギャンブルなどの問題を抱えるご家族の対応など、幅広い問題が背景にあります。
    もし身近なところで、ケアラーやヤングケアラーの存在を知ることや、相談を受けることがあれば、支援機関や相談窓口を紹介するようにしましょう。

  • 老人ホームで提供される食事形態とは?一覧にしてくわしく解説

    老人ホームで提供される食事形態とは?一覧にしてくわしく解説

    高齢になると体のさまざまな機能が低下し、噛む・飲み込む・消化するなど、食事に関わる機能も衰えていきます。高齢者に食事提供をする場合には、加齢によって起こる体の変化に対応した食事形態が重要です。ここでは、老人ホームなどで提供する高齢者への食事形態について解説していきます。普通食が食べられない方も楽しんで食事がとれるよう、介護食についての基本的な知識を身に付けておくと、さらに寄り添った介護ができるでしょう。

    高齢者食と介護食の違いとは?

    老人ホームなど、多くの方が食事をともにする場所では、それぞれの利用者さんに合わせた食事形態での食事提供がされます。まずは、[btp_line]高齢者食と介護食の違い[/btp_line]について解説しましょう。

    高齢者食

    高齢者食とは、年齢を重ねることで起こる体の変化に対応した食事のこと。

    一口大に切ったり、隠し包丁を入れたりすると、咀嚼力が低下した方でも食べやすくなります。食欲が低下しがちな方には、彩りや盛りつけ、形状など見た目に配慮したり、香りで嗅覚を刺激したりするなど、五感に働きかけて食べる意欲を引き出すのもいいでしょう。

    このように、高齢者食とは、特別な食事を用意するのではなく、ちょっとした工夫で高齢者でも食べやすい内容にした食事のことを指します。

    介護食

    食事機能が低下した方でも安全に食事ができるよう、調理方法を工夫した食事のこと。

    噛む力や飲み込む力に合わせ、やわらかさを調整したり、とろみをつけたりして、利用者さんの状態に合わせることが重要です。介護食の調理方法は、咀嚼力や嚥下力を考慮し、きざみ食・ソフト食・ミキサー食などいくつかの種類に区分されます。

    このように、弱った機能を補うような工夫を施し、高齢者食よりさらに食べやすくした食事が介護食です。

    介護食に向いている食材とは?

    介護食に使う食材は、以下のようなものが向いています。

    [btp_box]魚の場合:マグロやカレイ
    肉の場合:やや脂身がある薄切り肉
    野菜の場合:かぼちゃや長芋、なすび、冬瓜 など[/btp_box]

    ごぼうや野菜の茎部分など繊維が硬い食材は、なるべく先のほうのやわらかい部分を活用しましょう。こんにゃくやイカなど弾力のある食材は、切り方や調理方法を工夫すれば食べやすくなります。

    ひき肉やパン、焼き魚などまとまりがないものやパサつきやすいものは、とろみをつけたり、つなぎを利用したりして、口の中でまとめやすくする工夫が有効的です。

    調理担当のスタッフではない場合でも、老人ホームで介護食を提供する際には注意が必要。食材の特性を知り、どのようにすれば食べやすくなるのかという知識を持っておくことは大切でしょう。

    利用者さん一人ひとりの口腔状態を知ろう

    加齢や病状などに伴って、高齢者の口腔状態は一定ではなく、常に変化していきます。多くの方が入居する老人ホームでは、[btp_line]利用者さん一人ひとりの口腔状態をきちんと把握[/btp_line]し、適切な食事形態で提供することが重要です。ここでは、歯や口、喉がどのような状態であるかを見極めるポイントを解説します。

    歯の状態

    噛み合わせや咀嚼力、噛み切る力はあるかを中心にチェックしましょう。歯の残り本数や、入れ歯・義歯の有無によっても咀嚼力や噛み合わせは変わってきます。噛めていなければ、食事形態を変更する必要があるため、こまめな確認が重要です。

    口の状態

    口を閉じて咀嚼できるか、喉の奥に食材を送りこめているか、などをチェックしましょう。口の状態を確認する際には、唇や舌の動きをしっかり見るのがポイント。いつまでも食材が口に残っているときには、うまく咀嚼できない、口の中で食材をまとめられないという可能性もあります。

    喉の状態

    食材をスムーズに飲み込めているかどうかチェックしましょう。利用者さんの状態に合わない食事形態だと、なかなか食事が進みません。食事時間やペースも気にかけながら確認しましょう。

    食事形態一覧

    ここでは、老人ホームで提供される食事形態を一覧にして、くわしく解説します。

    普通食

    口腔状態が良好で、特別な制限なく、[btp_line]健康な方と同じ内容の食事[/btp_line]。普通食を食べられる利用者さんが、いつまでも普通食を続けられるような努力が大切です。

    対象入居者特別な制限なく、健康な方と同じ内容の食事がとれる方
    特徴バランスの良い食事がとれる
    代表的なレシピ魚料理、肉料理など一般的な食事
    メリットバランス良く、さまざまな食材を食べられる
    デメリットなし

    きざみ食

    口に入れた際に、噛みやすいよう[btp_line]細かくきざんだ食事[/btp_line]のこと。少し咀嚼力は低下しているけれど、口や喉の状態はあまり問題ない方向けの食事形態です。

    対象入居者咀嚼力が低下している方、口を大きく開けづらい方
    特徴通常の食事や軟飯を噛みやすいようきざんでいる
    代表的なレシピ親子丼、うどん、おひたし
    メリット噛み砕く負担が軽い
    デメリットばらけて食べにくい、誤嚥につながる可能性がある

    ソフト食

    舌でつぶせるくらいまで[btp_line]やわらかく調理した食事[/btp_line]。食材の形状は残し、煮込んだり、ミキサーにかけて固めたりして調理します。

    対象入居者咀嚼力・嚥下力が弱っているものの、舌や歯茎を使って食材をつぶす力のある方、消化不良を起こしやすい方
    特徴食材の形状を残し、歯を使わず舌や歯茎でつぶせる
    代表的なレシピ肉じゃが、豆腐ハンバーグ、お好み焼き
    メリット咀嚼時の負担が軽い
    デメリット見た目に工夫が必要な場合がある

    ミキサー食

    食材をミキサーにかけて、[btp_line]液体状にした食事[/btp_line]。誤嚥しないために、とろみをつけることもあります。

    対象入居者咀嚼力がほとんどなく、嚥下力も低下している方
    特徴食材をミキサーにかけて、ポタージュのような液体状にする やわらかい粒状を含んだり、とろみを加えて飲み込みやすくしたりする
    代表的なレシピポタージュ
    メリット噛む必要がなく、飲み込みやすい
    デメリット水分を含むため、誤嚥に注意が必要

    ピューレ、ペースト食

    ミキサー食よりさらに飲み込みやすくするために、[btp_line]食材をペースト状またはゼリー状にした食事[/btp_line]。

    対象入居者嚥下力が低下しているが、飲み込むことができる方
    特徴粒が少なく、なめらかな状態 水分は少なめでさらさらしすぎず、まとまりやすい状態にしてある
    代表的なレシピポタージュ
    メリット噛む必要がなく飲み込みやすい
    デメリット見た目に工夫が必要

    ムース、ゼリー食

    咀嚼力や嚥下力がほとんどない方でも食べることができ、[btp_line]消化のしやすさに考慮した食事[/btp_line]。

    対象入居者咀嚼力がほとんどなく、嚥下機能もほとんど機能していない方
    特徴粒がなく、飲み込みやすいようゼリー状になっている
    代表的なレシピゼリー、プリン
    メリット咀嚼力や嚥下力がなくても食事がとれる
    デメリット見た目に工夫が必要

    食事形態の変更基準、タイミングは?

    加齢により体の機能が低下するのは仕方ないことですが、体の機能は使わなければおのずと衰えていきます。言い換えると、積極的に使うことで機能の低下を予防することも可能なのです。

    食事提供の場合でも、咀嚼力や嚥下力が衰えてきたからといって、すぐに食事形態を変更するのは、利用者さんにとって必ずしも良いとは限りません。老人ホームなど多くの方が過ごす場所では、食事は憩いのひとときでもあります。食事の時間を楽しむためには、自らの機能を積極的に使い、適度に口や喉を使って機能回復を目指すことも大切です。そのため、食事形態の変更基準は明確なものがあるわけではありません。利用者さんの状態をしっかりと確認しながら、必要に応じて段階的に行うことが重要です。

    食事形態は利用者さんの状態に合わせた適切な判断が必要

    老人ホームでの食事は、利用者さんそれぞれに合わせた食事形態の介護食が提供されます。利用者さんの状態に合わせた食事提供は大切ですが、きざんだりやわらかくしたりすることは、かえって機能を低下させてしまう可能性も。身近にいる介護スタッフが、利用者さんの状態を適切にチェックすることで、安全に美味しい食事をとることにもつながるのです。

  • 介護記録で気をつけたい用語を確認!NG表現を避けた書き方もご紹介

    介護記録で気をつけたい用語を確認!NG表現を避けた書き方もご紹介

    介護記録を書く際の注意として、専門用語や略語をできるだけ使用しないというポイントがあります。また、利用者さんの様子を表現する際にも言葉遣いに気を配ることが必要です。どのような用語が不適切で、どのような表現なら大丈夫なのか、判断に迷ってしまうケースもあるでしょう。この記事では介護記録でのNG用語やNG表現をピックアップし、それらを避けた書き方をご紹介していきます。

    介護記録とは介護サービスの内容を残す重要な書類

    介護記録とは、介護保険法によって記入と保管が義務付けられている重要な書類です。日々の介護サービスの内容や利用者さんの健康状態、様子などを記します。

    介護記録は介護事業所の監査時にチェックされ、正当な介護報酬を得る際や、万が一の事故の際に状況の証明にもなる書類です。事務的な目的以外にも、スタッフ同士や利用者さんやそのご家族との情報共有のために活用されたり、ケアプランの見直しの際などに活用されたりします。

    介護記録の目的についてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

    簡略化のためによく使われる略語をご紹介

    介護記録を書く際の注意として、専門用語や略語はなるべく使用しない、というポイントがあります。耳にしたことがある方も多いでしょう。しかし、「すべての専門用語や略語が不可なのか?」というと、そうではありません。介護記録は利用者さんのご家族など、介護・医療従事者以外の方も目にする機会がある書類のため、[btp_line]分かりやすさが重要[/btp_line]です。略語を使用することで表現が簡略化されて分かりやすくなるケースもあるため、使用可とされている略語も多々あります。まずは、使用OKな略語をご紹介していきましょう。

    介護記録で略語にすることで分かりやすくなる用語

    略語簡略化前の用語
    バイタル体温・血圧・脈拍数(心拍数)・呼吸数
    ケアマネケアマネジャー
    BTBody Temperature 体温
    BPBlood Pressure 血圧
    PRPulse Rate 脈拍数
    HRHeart Rate 心拍数
    Dr.Doctor 医師
    Ns.Nurse 看護師
    PEGPercutaneous Endoscopic Gastrostomy 胃ろう
    IVHIntravenous Hyperalimentation 中心静脈栄養
    訪室職員が利用者さんの居室を訪れること
    自走車椅子を自力で動かすこと

    これらの用語は一般的に介護記録で使用可能とされています。略語を使用すれば介護記録が分かりやすくなるだけでなく、記入の際も時短となるので、使用可能な略語は積極的に取り入れると良いでしょう。

    使用を避けたい専門用語をご紹介

    ここからは使用を避けたい専門用語をご紹介していきます。使用することで分かりにくくなってしまう専門用語と、言い換える際の例を表にまとめました。

    介護記録で使用を避けたい専門用語と言い換え例

    専門用語言い換え例
    PTポータブルトイレ
    ADL低下歩行が難しく車椅子を使用した
    排泄介助トイレでズボンの上げ下ろしをお手伝いした
    傾眠ソファで〇〇分ほどウトウトされていた…など
    服用した、塗布した(薬を)飲んだ、塗った
    全身清拭した身体全体を拭いた
    レクに参加した〇〇のレクリエーションに参加した
    介護拒否意思表示をされた

    これらの専門用語は介護記録を書く際にできるだけ避けたい用語です。PTはポータブルトイレ(Portable Toilet)とも理学療法士(Physical Therapist)ともとれる用語で間違えやすく、ADL低下という用語は読み手によっては理解が難しいと感じるケースがあるでしょう。傾眠なども専門用語です。

    また、「医学的用語」の使用にも注意しましょう。利用者さんの体調の変化を記す際に、状態を表す「腹痛」「頭痛」といった言葉を使用することは可能です。しかし、「胃炎」「肺炎」「打撲」など職員では判断できない病名を表すような用語は避けます。医師の診断があるまでは医学的用語や、医師の判断が必要な病名などは使用せず、状況や様子を書くのみにとどめることがポイントです。

    状態や様子の表現するときに使用を抑えたい用語

    介護記録を記入する際は、読み手に誤解を招くような表現や不快感を与えるような表現は避ける必要があります。特に気を配りたいのが、上下関係を連想させる「~させた」といった指示語の使用や、「ボケ症状」「勝手に~した」といった侮辱表現の使用です。利用者さんの人格を否定するような表現や、差別を連想させる用語を無意識に使用していないか気を配りましょう。

    介護記録で使用を避けたい表現と言い換え例

    避けたい表現言い換え例
    しつこい〇〇分間隔で△△回…といった表現を使用
    勝手にスタッフへの声かけなく、援助なしに自発的に
    促したお勧めした
    ~させた〇〇したらどうかと声かけした…など
    不穏落ち着かない様子
    ボケ症状数分間○○を見つめたまま穏やかな表情でいた…など
    徘徊〇〇から〇〇までの間を15分ほど往復されていた ひとり歩きされていた…など

    介護記録には事実を記しますが、表現によっては読み手に不快な思いをさせてしまう場合もあります。利用者さんのご家族も読む機会があることを心に留め、[btp_line]思いやりのある書き方で記載しましょう[/btp_line]。

    利用者さんの様子については、やわらかい表現を心がけることがポイントです。館内を徘徊していたケースなどでは、「〇〇から〇〇までの間を15分ほど往復されていた」、「施設内を散歩されていた」といった書き方にするとご家族の方が読んでも不快に思われません。

    また、介護記録では事実が歪まないよう、主観は入れずに書くことが大切です。仮に利用者さんが介護職員を引っかいたとしましょう。この事実を記す際は、「利用者さんが怒って暴力をふるってきた」といった表現はせずに、「レクリエーションの時間に利用者〇〇さんが指先で介護職員の手の甲を跡が残る程度の力加減で掻いた」というように事実のみを記載します。

    介護記録は使用する用語や書き方に気を配りましょう

    介護記録は利用者さんのご家族も読むことがある大切な書類です。簡略化のために適度に略語を使用することは構いませんが、難しい専門用語の使用は避け、理解しやすい文章に仕上げることが大切です。記入する際は上下関係を連想させる指示語や、侮辱表現は使用しないよう気をつけましょう。ご紹介した言い換え例が参考になりますように。

  • 介護記録の書き方のコツをチェック!テンプレートの作成例もご紹介

    介護記録の書き方のコツをチェック!テンプレートの作成例もご紹介

    介護記録とは、介護保険法により義務付けられている介護サービスの記録です。重要な書類ですが、「日々書くのは大変」「時間がかかり苦戦している」という方もいるかもしれません。この記事では介護記録の概要や、介護記録の基本の書き方とともに効率良く書くためのコツをご紹介していきます。テンプレートを用意しておく方法もご紹介していきます。介護記録の基本をおさらいしたい方はぜひご覧ください。

    介護記録とは法律でも義務付けられている重要な書類

    まずは介護記録とはどのようなものなのか確認していきましょう。

    介護記録とは

    介護記録とは、[btp_line]介護サービスの内容、利用者さんの様子や健康状態などの記録[/btp_line]です。介護記録の作成と保存は介護保険法により義務付けられていて、保管期間は2年または5年となっています。近年では介護記録の電子化が進み、テンプレートに沿って必要事項を記入していく方法で記録を残している事業所もあれば、紙ベースで介護記録を作成し保管している事業所もあるでしょう。

    介護記録の目的

    介護記録の記入には、「法律で義務付けられているから」という理由を超えた目的があります。以下の7つが代表的な例です。

    1. 提供サービスの報告
    2. 利用者さんの様子や変化の観察
    3. スタッフ間での情報共有
    4. 万一の際に利用者さんと介護スタッフを守るため
    5. 利用者さんやその家族との情報交換に利用するため
    6. ケアプランを活用し最適なサービスを提供するため
    7. 正当な介護報酬を得るため

    介護記録は介護事業所の定期的な監査の際にチェックされます。また、利用者さんの日々の健康状態や変化を知り、スタッフ間で情報を適切に共有してサービス内容を統一、安定したものにするためにも必要です。利用者さんのご家族との情報共有にも役立ちますし、ケアプランの内容を見直す際にも活躍するでしょう。

    介護記録を効率良く書くためのコツ2つ

    介護記録が重要な書類であることは理解していても、書くのに時間がかかるから苦手…という方もいるかもしれません。そこで、介護記録を効率良く書くためのコツをご紹介していきましょう。

    普段からメモをとるクセをつける

    利用者さんの食事のお世話や介助、レクリエーションの補助…と1日のなかでさまざまな業務に関わることもあるでしょう。忙しくしていると、いざ介護記録を記入するときに、内容を思い出せず時間がかかってしまうことがあります。[btp_line]常に小さなメモ帳などを用意しておき[/btp_line]、利用者さんに変化があったときやケアをおこなったとき、申し送り事項があったときに記録しておくクセをつけましょう。こまめに記録しておくと、時短になるだけでなく、漏れなく介護記録をつけることができるので安心です。

    テンプレートを作成しておく

    あらかじめ介護記録のテンプレートを用意しておくのも効率良く介護記録を残すコツのひとつ。毎回必ず記入するような内容は、テンプレートにしてコメントを加えるだけで完了するようにしておくとスムーズに介護記録を残すことができます。「食事」「入浴」など項目ごとに、介護サービスの内容、会話内容や利用者さんの反応を記入できるよう準備しておくと良いでしょう。

    ただし、利用者さんや状況によって記入すべき内容は異なるので、テンプレートを埋めることにとらわれすぎないよう気をつけてください

    介護記録の書き方の基本をおさらい

    ここからは、介護記録の書き方の基本をおさらいしていきましょう。5つにポイントを絞ってご紹介していきます。もし、手書きで介護記録を書く際は、内容を改ざんできないよう、消えないタイプのペン(ボールペンなど)で記入することが前提です。

    内容は簡潔に!常体で記入

    介護記録は読みやすさが重要です。長い文章を書けば良い、というわけではありません。[btp_line]事実をシンプルに記入するよう心がけましょう[/btp_line]。また、常体で記録するのがポイントです。「~しました」「~でした」といった書き方ではなく「~だ」「~だった」という記載方法にします。

    5W1Hを意識した内容で

    介護記録を記入する際は、[btp_line]5W1Hを意識[/btp_line]することで具体的な記録を残すことができます。5W1Hの5Wとは、When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)のこと。1Hとは、How(どうしたか)を表します。

    推測や感情を加えるのはNG!客観的事実を

    記録は作文とは異なります。推測の事柄を記載したり、感情を加えると事実が歪んでしまったり、内容がブレてしまうので[btp_line]客観的に判断できる事実のみを記載[/btp_line]しましょう。

    たとえば、利用者さんが介護スタッフの手を叩いたとしましょう。この事実を記す際は、「利用者さんが怒って暴力を振るった」といった表現しないようにします。「昼食の時間に利用者〇〇さんが介護スタッフ□□の手の甲を2回平手で叩いた」というように、事実のみを記載しましょう。

    専門用語や略語はなるべく使用しない

    介護記録は介護従事者や医療スタッフだけでなく、利用者さんのご家族なども目にする機会があるため、[btp_line]誰が見てもわかりやすいように記入[/btp_line]することが大切です。専門用語や略語はできるだけ使わず、理解しやすい内容で正確に記録しましょう。また、利用者さんに対する侮蔑的な表現などの禁止用語にも気を配ることが必要です。

    介護記録は4つの項目の流れを意識して書く

    介護記録は、フォーカスチャーティングという4つの項目を整理しながら書く方法で記載すると分かりやすい内容となます。4つの項目とは以下です。

    <4つの項目>

    1. フォーカス:利用者さんの言動や発生したことなど
    2. データ:利用者さんの心身の状態
    3. アクション:スタッフの対応(根拠と共に)
    4. レスポンス:結果(利用者さんの反応)

    スタッフの対応内容については、なぜそのような対応をしたのか根拠も記載しておくことで、後ほど自分自身で振り返る際やスタッフと情報を共有する際に役立ちます。

    介護記録の書き方の具体例をご紹介

    最後に、介護記録の書き方の具体例をご紹介します。

    介護記録の悪い例と良い例

    [btp_box]<介護記録の悪い記入例>

    利用者Aさんが食事のみかんを残した。嫌いなのかもしれないと思い、無理に勧めないようにしました。

    例文では内容が抽象的で、記入者の主観も含まれています。この文章をフォーカスチャーティングの4つの項目を意識し、5W1Hを交えて、主観を除いて改善してみましょう。[/btp_box]

    <4つの項目の整理>

    まずはそのときの状況を整理していきます。

    1. フォーカス:Aさんが昼食のデザートのみかんを残していた
    2. データ:特に表情に変化はない
    3. アクション:『お腹がいっぱいですか?』とスタッフFが聞いた
    4. レスポンス:Aさんは首を振った。特になにも言わなかった

    このような流れを汲んで、5W1Hを交えて例文を書き直すと以下のようになります。

    [btp_box]<介護記録の改善例>

    昼食時にAさんはデザートのみかんを残していた。Aさんの表情にはとくに変化がないご様子。食事はいつも通り召し上がっていた。隣にいた介護スタッフFが『お腹いっぱいですか?』と聞くとAさんは何も答えず首を振って反応された。それ以上みかんを勧めないようにした。食事は20分で終えた。[/btp_box]

    テンプレートの作成例

    介護記録のコツで解説したように、食事や入浴など、項目ごとにテンプレートを作成しておくと日々の介護記録記入のスピードをアップさせることができます。例をご紹介しましょう。

    [btp_box]食事のテンプレートの例

    「○○を△△(量)、□□を△△(量)召し上がる。□□を残していたため、『●●』と声をかけたところ『▲▲』とお答えになった。食事は■■分で終えた。」[/btp_box]

    このように、利用者さんの言動やスタッフからの声かけ、それに対する利用者さんの反応などを記載しやすいよう、介護記録のテンプレートを作成しておきましょう。日々の介護記録の記入がスムーズになりますよ。

    介護記録はテンプレートを使用して効率良く記入を

    介護記録は利用者さんの日々の健康状態や様子をスタッフや利用者さんのご家族と共有し、より質の良い介護サービスを提供するために大切な書類です。記入時間を短縮するコツは、こまめにメモをとっておくことや、テンプレートを活用すること。簡潔で分かりやすい介護記録を効率良く書けるよう、工夫していきましょう。

  • ケアマネジャー廃止論の噂は本当?真相について詳しく解説

    ケアマネジャー廃止論の噂は本当?真相について詳しく解説

    ケアマネジャーが廃止されるのではないか?そんな噂をご存知でしょうか。ケアマネジャーは介護を提供する事業所と利用者さん、その家族をつなぐ重要な役割を担います。しかし、ケアマネジャーの仕事が正しく理解されないために、廃止・不要論が浮上しているようです。では、本当にケアマネジャーは廃止される可能性があるのか、噂の真相を詳しく解説していきましょう。ケアマネジャーとしての将来に不安のある方、キャリアアップしてケアマネジャーを目指したい方は、ぜひ参考にしてください。

    ケアマネジャー不要論、廃止論の噂とは?

    ケアマネジャーが不要である、または廃止されるのではないか、と噂される背景にはいくつかの理由があります。

    ケアマネジャー試験の受験者数の激減

    2018年にケアマネジャー試験の受験資格が厳格化されたことにより、[btp_line]受験者数が減少[/btp_line]しているという実態があります。改正前である2017年の受験者数は約13万人でしたが、改正後の2018年は約5万人に激減し、合格率は10%ほどと狭き門になりました。ケアマネジャーの質を高めるために行われた改正でしたが、“なり手”を抑制する結果になっています。

    また、ケアマネジャーは1人で担う仕事が膨大になりやすいことも特徴です。居宅のケアマネジャーは1人で35人まで、施設に所属する場合は100人まで受け持てるという基準があります。高い能力が求められる割に、給与が現場の介護職とさほど変わらなくなっていることも影響しているようです。従来はケアマネジャーの給与が高かったため、現場で働く介護スタッフがキャリアアップとして目指す人が多くいました。しかし、処遇改善加算により実際に介護を担う介護職員の給与が上昇。給与差がなくなってしまったことで、あえてケアマネジャーを目指す魅力が減っていることも、受験者数減少の一因となっています。

    これらの要因によって、ケアマネジャー受験者数は大幅に減少し、廃止論を助長させる原因となっているようです。

    AIの導入

    AI(人工知能)を導入すればケアマネジャーの仕事は不要になると考えられていることも、廃止論を強めている要因と言えるでしょう。確かに、利用者さんに適したサービスの選択・提示、事業所と利用者さんをつなぐマッチング業務などAIにできることは多くあります。しかし、利用者さんの状態は一人ひとり異なるうえに、性格まで配慮したサービス選びをすることはAIにはできません。実際には、AIが提示したものをケマネジャーが参考にして案を練り、利用者さんに適したプランを完成させます。AIはいわばケアマネジャーの優秀な助手というポジションです。AIは業務効率の向上、質の平準化といった効果が期待される便利ツールであるという認識を持っておくといいでしょう。人の気持ちに寄り添うことが難しいAIには、ケアマネジャーの代替はできません。よって、[btp_line]AI導入によるケアマネジャーの廃止はない[/btp_line]と考えられます。

    法改定により管理者が主任ケアマネジャーに限定

    介護保険法の改定により、2021年から居宅介護支援事業所の管理者が主任ケアマネジャーに限定されました。主任ケアマネジャーは、ケマネジャーとして通算5年以上従事、かつ主任介護支援専門員研修過程を修了することで資格が取得できます。法改定されても、中にはすぐに対応できない事業所も多く、廃業になってしまうのではないかと不安の声が高まりました。しかし、経過措置期間を設ける見直し案が発令。2021年3月31日時点で主任ケアマネジャー以外が管理者である事業所は、経過措置期間が2027年3月31日まで延長されました。事業所が閉鎖されるかもしれないという危機感から、ケアマネジャー廃止・不要論が助長されていたようですが、その心配も当面はなくなったようです。

    2021年の法改定による処遇改善とは?

    2019年に厚生労働省が出した「介護保険制度の見直しに関する意見」によると、「適切なケアマネジメントを実現するため、ケアマネジャーの処遇の改善等を通じた質の高いケアマネジャーの安定的な確保や、事務負担軽減等を通じたケアマネジャーが力を発揮できる環境の整備を図ることが必要である。ケアマネジャーを取り巻く環境や業務の変化を踏まえ、ケアマネジャーに求められる役割を明確化していくことも重要である(資料より一部抜粋して引用)」と、ケアマネジャーの処遇改善、環境の整備を求める意見があることを発表。そして2021年の介護報酬改定では、ICT(情報通信技術)を導入した居宅介護支援事業所はより多くの利用者さんを担当できるという内容が盛り込まれました。ICT導入が進めばケアマネジャーの事務負担軽減につながるため、処遇改善を推進できる改定と言えます。

    また、2019年より介護報酬改定の基礎資料となる厚生労働省の「介護従事者処遇状況等調査」では居宅ケアマネジャーが対象外となっていました。しかし、反対意見が相次ぎ今年度より再び調査対象へ含まれることに。[btp_line]今後も必要とされる役割だからこそ、処遇改善が求められている[/btp_line]と考えられます。処遇改善が進めば、ケアマネジャーを目指す方が増えるため、廃止論を弱める結果となるでしょう。

    求められるケアマネジャーになるには?

    今後は、コミュニケーション力や専門知識、事務処理など従来必要とされてきた能力以外に、[btp_line]AIではまかなえない部分に対応する能力が必要[/btp_line]と考えられます。AIでは判断が難しい、利用者さんの非言語的な部分をどれだけ汲み取れるかが大切です。また、居宅介護支援事業所の管理者が主任ケアマネジャーに限定されたこともポイントとなるでしょう。管理者として主任ケアマネジャーになってほしいと求められる可能性があります。利用者さん一人ひとりとそのご家族だけでなく、地域のケアマネジャー、地域の方や医療機関と連携する能力が管理者には必要です。時代に合ったケアマネジャーになることが求められるポイントとなるため、今後の法改定にも注目しておきましょう。

    廃止論の噂を恐れずにケアマネジャーを目指そう

    ケアマネジャーが廃止されるのではないかという噂の真相について理解できたでしょうか?なり手が減り、ケアマネジャー自体の高齢化が進んでいる現代では、新たな担い手となるケアマネジャーが求められています。今後処遇改善の対象となっていく可能性の高いケアマネジャーは、キャリアアップとして目指すには魅力的な職業です。不要論、廃止論を恐れず、今後も必要とされるケアマネジャーをぜひ目指してみてはいかがでしょうか。

  • 【老人ホーム】4月におすすめのイベント、レクリエーション企画10選

    【老人ホーム】4月におすすめのイベント、レクリエーション企画10選

    季節や月ごとに行われる老人ホームのイベント。どのような企画にすれば利用者さんに楽しんでもらえるか、悩みどころですよね。この記事では[btp_line]4月におすすめの行事・レクリエーション企画を10個[/btp_line]ご紹介します。寒い冬が終わり、暖かな日差しが嬉しい4月。春を感じることで、心も明るくなる季節です。利用者さんに喜んでもらえる行事を企画できるよう、ぜひこの記事を参考にしてください。

    イベント企画に役立つ4月の記念日や歳時記とは?

    4月の和名「卯月(うづき)」は、「卯の花」であるウツギの花が咲く季節に由来していると言われています。入学式や入社式など、新生活が始まる節目の月です。冬から春へと季節も移り変わり、桜などの花々や木々が美しいことも特徴。4月4日頃からは清明(せいめい)と呼ばれ、若葉が出て花が咲き誇り、全てのものが清らかに生き生きとする頃とされています。4月の主な記念日にはどのようなものがあるか、見ていきましょう。

    • 4月1日…エイプリルフール、新年度・新会計年度、新入学・新学期の日
    • 4月8日…花祭り
    • 4月18日…よい歯の日
    • 4月23日…世界本の日
    • 4月26日…よい風呂の日
    • 4月28日…シニアの日
    • 4月29日…昭和の日

    4月の老人ホームイベントで企画しやすそうな記念日をピックアップしてみました。意外と知られていない日も多くあるので、イベント企画に活かしてみてください。

    【老人ホームイベント】4月企画のおすすめ行事

    それでは、おすすめの行事・イベントを紹介します。

    おすすめ1:お花見

    桜が咲く風景は何歳になっても見たいもの。[btp_line]高齢者の方に大変喜ばれるイベント[/btp_line]です。外出可能な方は実際に桜を見に、外出が難しい方には、室内で桜を取り入れたレクリエーションを行い、季節を感じてもらいましょう。桜だけでなく、芝桜やチューリップ、ネモフィラなども咲く季節のため、いろいろな花を見るお花見企画が楽しめます。

    おすすめ2:花まつり

    お釈迦様の誕生を祝う日である花まつり。古くから行われている行事のため、高齢の方のほうが馴染みのある行事と言えるでしょう。老人ホームによっては、この日にお寺参りをするところもあるので、外出イベントとして取り入れてみてはいかがでしょうか。

    おすすめ3:世界本の日

    4月23日は世界本の日。本に触れる行事を企画してはいかがでしょう。こども読書の日でもあるため、利用者さんが幼少期に触れた、もしくは自分の子供に読み聞かせた絵本に触れる企画をするのもおすすめ。春の情景が出てくる絵本を選べば、季節感を出すことができ、4月の老人ホームイベントらしい演出が可能です。

    おすすめ4:よい風呂の日

    4月26日は語呂合わせで426(よいふろ)の日とされています。桜色になる入浴剤を使用したお風呂や、気候のいい季節のため老人ホームの外で足湯を楽しむなど、[btp_line]特別なお風呂が体験できるイベントもおすすめ[/btp_line]です。

    おすすめ5:昭和の日

    以前は昭和天皇の誕生日として祝日制定されていた昭和の日。高齢の方もよく知っている祝日のひとつです。現在は昭和の日に変わっているため、[btp_line]昭和を振り返るイベント[/btp_line]を行ってみるのもいいかもしれません。

    【老人ホームイベント】4月企画のおすすめレクリエーション

    次に、4月におすすめのレクリエーションを紹介します。

    おすすめ1:みんなで作る桜の木

    外出が難しい利用者さんにも春を感じてもらえるよう、貼り絵で大きな桜の木を作ってみてはいかがでしょうか。下書きをした桜の木にちぎった色紙を貼っていくだけなので、作業は簡単。大きな模造紙で作れば、インパクトのある桜の木を作ることができます。完成後は桜の木をバックに記念写真を撮ると、より良い思い出に。季節ごとに花から葉っぱへ、紅葉、雪景色へと木を変化させるのも面白いので、ぜひ取り入れてみてください。

    おすすめ2:春の歌カラオケ

    歌うことが好きな高齢の方も多いため、春の歌を題材としたカラオケもおすすめです。「さくらさくら」「春の小川」「花」「春が来た」など、高齢者にも馴染みのある曲を選びましょう。どの曲も春の風景が思い浮かぶ歌なので、あたたかい気持ちになれそうです。

    おすすめ3:3色団子作り

    3色団子づくりも春らしさを感じられるレクリエーションです。利用者さんの中には、花より団子!という方もおられるはず。[btp_line]団子を作るところから春を楽しんでもらいましょう[/btp_line]。飲み込みに不安のある利用者さんに対しては、ご飯で団子を作ってみては?レシピはインターネット上に多数掲載されているので、参考にしてみてください。

    おすすめ4:昭和クイズ

    昭和の日のおすすめのレクリエーションが昭和クイズです。「昭和40年頃の理髪店の料金は?」「コーラ飲料の瓶をお店に返すと貰えたものは?」など、昭和の生活に馴染みのあるクイズを出題。答え方は簡単にできる○×形式がおすすめ。3択形式にするとヒントになって思い出しやすいため、参加しやすいクイズゲームになります。

    おすすめ5:映画鑑賞

    一般的には知られていませんが、4月16日はチャップリンの誕生日。チャップリンの作品はもちろん、[btp_line]懐かしい映画を鑑賞するという粋なレクリエーション[/btp_line]もあります。60~90分程度の短編映画を選べば、集中力の持続が難しい高齢の方も安心。日本映画であれば、「男はつらいよ」シリーズや、美空ひばりさん主演の「伊豆の踊子」、石原裕次郎さん主演の「夜霧よ今夜も有難う」などがおすすめです。

    【老人ホームイベント】4月分の企画を立てる際のポイント

    4月は春というおでかけしやすい季節です。外出できる利用者さんは、お花見など外で過ごす行事がメインになるでしょう。[btp_line]自然と触れ合うレクリエーションは五感を刺激し、高齢の方の脳を活性化させる効果も[/btp_line]。春だからこそ味わえる気候の良さを活かした企画がポイントになります。しかし、外出困難な方もおられるため、室内で春を感じられるレクリエーションの企画も大切です。老人ホーム内でも季節の移り変わりが体感できるイベントを考えていきましょう。

    春を感じられる4月の老人ホームイベントを企画しよう

    4月におすすめの老人ホームイベント行事、レクリエーションを10個ご紹介しました。老人ホーム内で行われるイベントは、利用者さんにとって大きな楽しみのひとつと言えるでしょう。複数の方が集まる老人ホームだからこそ楽しめるイベントも多くあります。施設という特徴も活かしながら、高齢の方が楽しめる企画を目指してみてください。

  • 老人ホームにおすすめのイベントを紹介!3月にできるレク・企画は?

    老人ホームにおすすめのイベントを紹介!3月にできるレク・企画は?

    多くの老人ホームでは、毎月その季節に合わせたさまざまなイベントやレクリエーションを企画しています。利用者さん同士が交流でき、季節を感じられるイベントを楽しみにしている高齢者の方も多いはず。利用者さんの期待にそえるようなイベントを企画したいと思っている介護スタッフも多いでしょう。ここでは、[btp_line]3月におすすめのイベントやレクリエーション[/btp_line]をご紹介します。

    イベントやレクリエーションの企画に役立つ3月の記念日

    花々が咲きはじめ、草木も徐々に芽吹き、春の訪れを感じることができる3月。冬の寒さから目覚めた動物や植物とともに、なんだか心が弾む季節です。3月は、和名では「弥生(やよい)」といい、いよいよ草木が生い茂る月という意味があります。3月には、どのような記念日や行事があるのか見ていきましょう。

    • 3月3日…ひな祭り(桃の節句)
    • 3月6日頃…啓蟄(けいちつ)
    • 3月14日…ホワイトデー
    • 3月18日頃…彼岸の入り
    • 3月21日頃…春分の日
    • 3月24日頃…彼岸明け
    • 3月27日…さくらの日

    3月には、[btp_line]ひな祭りをはじめ、お彼岸やさくらの日などイベント企画にぴったり[/btp_line]の記念日がたくさんあります。
    3月6日頃の啓蟄とは、寒さが緩み、土の中にいた生き物たちが目を覚ます季節のこと。二十四節気のひとつで、春の訪れを表す言葉です。
    3月27日のさくらの日は、3×9(さくら)=27という語呂合わせと、七十二候のひとつ「桜始開(さくらはじめてひらく)」の時期が重なることから、公益財団法人日本さくらの会が制定した記念日。桜の開花は地域によって異なります。3月27日頃は関東より西では多くの地域で桜が開花するため、お花見を企画するのもおすすめです。

    老人ホームで企画したい3月におすすめのイベント

    まずは、3月におすすめのイベントを紹介します。

    おすすめ1【ひな祭り】

    3月の代表的なイベントと言えば[btp_line]ひな祭り[/btp_line]。女の子の健康と成長を祝う行事で、現在のように、ひな人形を飾ってお祝いするようになったのは江戸時代からだと言われています。
    ひな人形を飾り、桃や菜の花といった春の花で彩り、ちらし寿司やはまぐりのお吸い物などの祝い膳を囲むのがひな祭りの定番。ひなあられやひし餅なども、ひな祭りを象徴するお菓子です。
    老人ホームでひな祭りのイベントを行う際には、甘酒と和菓子で茶和会を催したり、を歌ったりするといいでしょう。ひな祭り仕様にアレンジした絵合わせカードを楽しむなど、さまざまなイベントが企画できます。

    おすすめ2【春分の日】

    自然をたたえ、生物を慈しむことを目的として、国が定めた国民の祝日のひとつ。また、太陽が真東から昇り真西に沈むため、昼の時間と夜の時間がほぼ同じくらいになる、季節の節目の日でもあります。春分を境に、夜の長い冬が終わり、しだいに明るい昼の時間が長くなって、春の訪れをすぐそこに感じられる日です。
    春分の日を中日とし、前後3日を合わせた7日間が[btp_line]春彼岸[/btp_line]です。彼岸には祖先を敬い、お墓参りをする習慣があり、ぼたもちや赤飯をお供えします。
    春分の日のイベントでは、ぼたもちや赤飯を作ったり、祝日なので利用者さんのご家族も参加できるお祭りを企画したりするのがおすすめ。老人ホームで生活していると、介護スタッフや他の利用者さん以外の方と交流する機会が減ってしまう場合も。老人ホームで行う春分の日のイベントは、ご家族や地域の方との交流の場としても活用できるでしょう。

    おすすめ3【お花見】

    桜が咲きはじめたら、[btp_line]お花見[/btp_line]がおすすめです。年を重ねると、なかなか大人数で桜の下に集まって花を愛でる…という機会も少なくなるでしょう。そこで、老人ホームという場所だからこそできる、大人数でも楽しめるイベントの企画をしてみてはいかがでしょうか。
    外出を伴うイベントは、トイレの有無や送迎ルートの確認など入念な計画が必要です。その分、成功したときの達成感も味わうことができるはず。
    中には、外出が難しい場合もあるでしょう。そんなときは、老人ホームの敷地内の庭などで、みんなでお花見弁当を食べるだけでも、お花見の気分が味わえるでしょう。

    老人ホームで企画したい3月におすすめのレクリエーション

    ここでは、3月におすすめのレクリエーションを紹介します。

    おすすめ1【ひな人形を作ってみよう】

    3月のイベントと言えば、ひな祭りは欠かせません。折り紙や紙コップ、紙皿など身近な材料を使ってひな人形を作るレクリエーションはいかがでしょうか。
    紙コップに折り紙を貼り付け、顔を書くだけでもかわいいひな人形が完成します。利用者さんの作ったひな人形を施設の中に飾り付けるだけで、一気に春の雰囲気を感じられますよ。

    おすすめ2【春の空気を感じに散歩に出よう】

    寒さも和らぐ3月は、啓蟄やさくらの日にちなみ、お散歩のレクリエーションもおすすめ。利用者さんにとって散歩は、何よりもいい運動になりますし、車いすの方にとっても脳の活性化に有効です。
    3月には、たんぽぽやつくしが芽を出しはじめます。桜の蕾も膨らみ開花しているところもあるかもしれませんね。施設外に出ることが難しい場合は、施設内の建物の周りや中庭などを一周するだけでも気分が変わるはずです。

    おすすめ3【折り紙で梅や桜の花を作ろう】

    折り紙は手先を使って考えながら楽しめるので、脳の活性化にも役立つレクリエーションのひとつ。3月には、梅や桜など季節を代表する花を折り紙で作るレクリエーションを企画してみてはいかがでしょうか。
    利用者さんの作った折り紙を壁面飾りにすれば、大きな桜や梅の木を室内に咲かせることができ、室内にいながらお花見の気分を味わえます。

    企画を立てる際のポイント

    寒くて室内にこもりきりになってしまいがちな冬。なんとなく暗いイメージがありますが、3月になり暖かくなると、春を感じて気分も明るくなってくるという方も多いのではないでしょうか。3月のイベントは、そんな[btp_line]春の明るい雰囲気を取り入れるのがポイント[/btp_line]。壁面飾りをピンクや黄色など春の花をイメージした仕様にすると、室内でも春を身近に感じることができます。春を代表する音楽も多数あるため、レクリエーションの時間に春の歌を流しても、季節を感じられるでしょう。

    3月は、菜の花・桜・梅・チューリップなど一気にカラフルな花が開花する季節でもあります。気温もだんだん上がり、暖かくなってくるため、天気がいい日にはお散歩やお外でのおやつなどのレクリエーションを企画するのもおすすめです。

    3月は老人ホームで企画したいイベントが盛りだくさん

    老人ホームでのイベントは、ただ行事を楽しむだけでなく、身体能力の維持向上や脳の活性化を促すという意味も持っています。また、季節感のあるイベントを企画することで、単調になりがちな日々に刺激を与えることも可能です。3月は春のはじまりという季節柄、イベント企画にぴったりの行事や記念日がたくさんあります。ぜひ、利用者さんが楽しめるイベントを企画してみてください。

  • 介護レクリエーションの注意点とは?楽しいレクを行うためのポイント

    介護レクリエーションの注意点とは?楽しいレクを行うためのポイント

    デイサービスや老人ホームなどの介護施設で、利用者さんが日々の生活に楽しみや生きがいを持てるよう実施されているレクリエーション。レクリエーションは、娯楽としてだけでなく、心身機能の維持や向上、脳の活性化、利用者さん同士の交流などさまざまな目的を持って行われます。企画するときには、ただ楽しめる内容にするのではなく、さまざまな点に配慮することが大切です。この記事では、レクリエーションを行う上での注意点をご紹介します。

    体操など体を使ったレクの注意点

    体操やダンスなど体を使ったレクリエーションは、運動不足解消になるため、身体機能の維持・向上を目的に実施する介護施設も多いでしょう。体操というと立ち上がって全身を使って行うイメージがありますが、介護レクリエーションでは、車いすの方も楽しめるように、座ったままできる体操も多数あります。たくさんの方が参加できるよう、誰でも取り組めるような無理のないプログラムを組むことが重要です。

    体を使ったレクリエーションの注意点は、[btp_line]安全面への配慮を第一に考えて実施すること[/btp_line]。レクリエーションを行う上でもっとも大切なことは、安全な環境かどうかということです。ケガや体調の悪化があっては、安心してレクリエーションに参加できなくなってしまうため、安全への配慮は第一に考えなければいけません。特に体を使ったレクリエーションは注意が必要で、利用者さんに負担はないか、ケガにつながる可能性はないかなどを細かくチェックする必要があります。

    また、体調不良や体の状態が悪いときに無理は禁物。体を使ったレクを行う際は、健康状態や身体状況によって参加できるかどうか変わってきます。利用者さんの健康状態を確認した上で実施することが大切です。

    集団で行うレクリエーションの注意点は?

    集団でゲームをしたり、みんなで同じものを作成したり、集団で楽しめるレクリエーションも人気があります。クイズや連想ゲームをする際にも、グループ分けすることで集団レクとして成立させることが可能です。集団で行うレクリエーションにグループで参加することはコミュニケーションのきっかけとなり、仲間づくり・社会参加も目的となります。

    集団で行うレクの注意点は、[btp_line]参加を無理強いしない[/btp_line]こと。利用者さん同士のコミュニケーションは重要ですが、中には集団行動が苦手な利用者さんもいらっしゃいます。得意なことや趣味など好きなことは人それぞれ。無理にレクリエーションに参加させては、利用者さんにとってストレスとなってしまう可能性もあります。レクリエーションには、心身機能の向上とともにストレス解消という目的もあるため、利用者さんの意思を大切にし、余計なストレスとならないよう配慮することが大切です。

    集団が苦手な利用者さんには、個別で楽しめるパズルやトランプなどがおすすめ。介護スタッフがつくことで、コミュニケーションも取ることができます。また、集団に入れなくても、同じ空間にいるだけでもみんなと同じ雰囲気を楽しむことができるため、無理強いしない範囲でそれぞれの利用者さんに合わせた楽しみ方を模索すると良いでしょう。

    アイテムを使用したレクの注意点

    アイテムを使用したレクリエーションには、ペットボトルを使ったボウリング、新聞紙を丸めてカゴに入れる玉入れ、風船を使った風船バレーなどさまざまな種類があります。みんなで盛り上がることができ、座ったまま楽しめるため、実施している介護施設も多いでしょう。アイテムを用いたレクリエーションは、体や手先を使うため、認知機能や脳機能の向上やリハビリ目的で行われます。

    アイテムを使用したレクリエーションの注意点は、[btp_line]難しいルールにしないこと[/btp_line]。ゲームにルールは必要であり、クリアして達成感を得ることで、利用者さんのやる気につなげることも可能です。
    しかし、レクリエーション本来の目的は、達成感や難問のクリアではありません。レクリエーションを通し心身の健康を維持するためには、難しいルールを設定せず誰でも楽しめる内容にすることが重要です。

    歌を歌うなど、音楽に関するレクの注意点とは

    歌を歌ったり、音楽を聞いたり、リズムに合わせたゲームを楽しんだり、音楽に関するレクリエーションも人気があります。音楽に関するレクリエーションは、気持ちのリフレッシュになり、不安や緊張感を解消し、ストレスの軽減に効果的です。利用者さんの中には、思うように体が動かせないことや、介護してもらうことにストレスを感じている方も少なくありません。音楽レクリエーションを通して気持ちのリフレッシュをすることで、ストレスを解消し、心身の健康を目指すこともできるでしょう。歌を歌う・聞くことは脳への刺激にもなるため、脳の活性化にもつながります。

    音楽に関するレクリエーションの注意点は、[btp_line]選曲の際に多くの方が知っている音楽を選ぶこと[/btp_line]。偏った選曲をすると、楽しめる方とそうでない方が出てきしてしまいます。多数の方が知っている曲を複数選ぶと良いでしょう。アンケートを取って、選曲をするのもひとつの方法として良いかもしれませんね。

    外で活動するレクにおける注意点は?

    気候が良いときには、介護施設の庭に出たり、可能なら施設外へ散歩に行ったりするレクリエーションを企画することもあるでしょう。介護施設から一歩出て外の空気を吸うだけでもリフレッシュになりますし、肌で季節を感じることはQOLの向上にもつながります

    外で活動するレクリエーションの注意点は、[btp_line]利用者さんから目を離さず安全に最大の配慮をすること[/btp_line]。シミュレーションを重ね、プログラムに不備などがないか細かくチェックすることが重要です。介護施設の外で行うレクリエーションは、開放的な気持ちになり、中には気分が高揚してしまう利用者さんもいらっしゃるかもしれません。介護施設内で行う以上の気配りと安全管理を徹底した上での実施が不可欠です。

    外での活動を行う際には、いつどこでどんな目的でレクリエーションを実施するのか、ご家族に向けて案内文などを出しておくと安心です。

    注意点に配慮し、楽しめるレクリエーションを企画しよう

    介護施設で行うレクリエーションは、利用者さんが楽しめるだけでなく、心身機能の向上や脳の活性化などさまざまな目的のために実施されています。そのためには、さまざまな注意点に気をつけながらレクリエーションを企画しなければいけません。企画するのは大変ですが、利用者さんに喜んでもらえ、レクリエーションが成功したときには大きな喜びを得られるはずです。

  • 【レクリエーション企画集】介護現場におすすめのホワイトボードレク

    【レクリエーション企画集】介護現場におすすめのホワイトボードレク

    介護施設で行うレクリエーションは、利用者さんがただ楽しめるだけでなく、認知機能や身体機能の維持・向上など一定の効果が期待できるものを企画したいですよね。また利用者さんが飽きることなく取り組めるよう、バリエーションを豊富にしたいところ。そこで今回は、介護施設でおすすめのホワイトボードを使ったレクリエーションのアイデアをご紹介。国語系・算数系・クイズ系など、さまざまなタイプを厳選しました。

    ホワイトボードを使ったレクリエーションはどんな介護施設でおすすめ?

    ホワイトボードを使ったレクリエーションがおすすめの施設の特徴を以下にまとめました。

    • 手間や予算をかけずに楽しめるレクリエーションを知りたい介護施設
    • ホールなどに集まって複数人で取り組めるレクリエーションがしたい介護施設
    • 認知機能が高まるレクリエーションを実施したい介護施設
    • 利用者さん同士のコミュニケーションを活性化したい介護施設 など

    ホワイトボードは多くの介護施設に常備されているため、レクリエーションのためにわざわざ道具を用意する必要がなく、低予算で実施できることが大きなメリットです。また、ホワイトボードは大きく、見やすいため、利用者さんの注目を集めやすいこともうれしいポイントと言えます。

    ホワイトボードを使ったレクリエーションは、複数の利用者さんに対して実施するのが一般的。そのため、ホワイトボードを見ながら利用者さん同士が顔を認識し合ったり、会話をしたり、チームで協力し合ったりなど、コミュニケーションを図ることができます。ひらがなや漢字、数字などを使ったクイズなどもできるので、認知機能の維持や向上も期待できるでしょう。

    それでは、ホワイトボードを使用したおすすめのレクリエーションを紹介します。

    利用者さん同士の会話も弾む!連想ゲーム

    連想ゲームは、「赤いものといえば、りんご」「りんごといえば、果物」というように、前の方が言った言葉から連想される言葉をつないでいくレクリエーションです。同じ言葉を使うのはNGというルールを設けると、より脳トレの効果がアップします。介護スタッフは、登場した言葉をホワイトボードに書いて、ゲームのサポートをしましょう。

    利用者さんにホワイトボードが見える位置で円になってもらいます。1つ目のお題は、利用者さんが答えやすい言葉を介護スタッフが選び、始めるのがおすすめです。また、ゲームの途中で、会話のネタになりそうな言葉が出てきたらゲームを中断してもOK。例えば、「夏といえば、そうめん」という回答が出たとき。「〇〇さんはそうめんが好きなんですか?今度みなさんといっしょに流しそうめんでもしたいですね!」のような声かけを行うことで、利用者さん同士の会話も弾むでしょう。

    思考力・ひらめき力アップ!ある・なしクイズ

    ホワイトボードを使ったある・なしクイズは、介護施設で行うレクリエーションの定番ですよね。ある・なしクイズは、難易度の調整も簡単にできるうえ、ひとりでも複数人でも楽しめるのがおすすめポイントです。

    クイズを行う際は、ホワイトボードの中央に縦線を引き、左側を「ある」の枠・右側を「なし」の枠とし、ある・なしそれぞれの法則に従った言葉を5つずつ書きます。そして、利用者さんには「ある」のほうにあって、「なし」のほうにない共通点を見つけてもらうというクイズです。難易度は、利用者さんの認知機能の状態などから判断しましょう。

    難易度の判断は難しいですが、介護施設向けの簡単なものを1例ご紹介します。

    あるの言葉なしの言葉
    ピーチりんご
    コーヒー緑茶
    ライターマッチ
    トーストあんぱん
    ノートメモ用紙

    答えは、「ある」には「ー(長音符)」が入っている、でした。小学校低学年の子供が答えられるくらいの難易度のものからはじめてみるのがおすすめです。考える力やひらめき力を鍛える効果があるので、ぜひ取り入れてみてください。

    具材から答えを導き出そう!料理のメニュー当てクイズ

    ホワイトボードを使って料理のメニュー当てクイズをするのもおすすめ。連想ゲームの一種で、記憶力や想像力を要する脳トレにぴったりのレクリエーションです。介護スタッフは、ある料理を作る際に必要な具材の名前を1つずつホワイトボードに書いていきます。利用者さんは、その具材から料理名を当てるというクイズです。

    [btp_box]【例題】
    具材名:鶏肉・長ネギ・卵・だし汁・みりん・しょうゆ・砂糖・三つ葉・ごはん
    料理名(答え):親子丼[/btp_box]

    利用者さんが回答する際には、他の利用者さんに答えが聞こえないよう手をあげてもらい、メガホンなどを使って耳打ちで教えてもらうのがおすすめです。こうすることで、他の利用者さんの思考を中断させずに済みます。介護施設で提供される昼食のメニューを問題にしても盛り上がるでしょう。

    いくつ思い付く?「口」に2画足して漢字を作る頭体操

    「口」に2画足して漢字を作る頭体操とは、文字どおり「口」という漢字に2画足して、別の漢字を作って行くレクリエーション。ホワイトボードを使えば、漢字を使った脳トレも、利用者さんみんなで取り組むことができます。

    2画足すという単純なルールですが、正解の漢字は思った以上にたくさんあります。例えば、占・由・田などの簡単な漢字から、司・叱・号などひらめきが必要な漢字まで。ただし、考えても正解を導き出せない利用者さんもいるかもしれません。そのため3分程度の制限時間を設けたほうが飽きずに楽しく取り組めるでしょう。相当頭を使うので、認知機能の維持・向上にはもってこいの体操です。

    難易度さまざま!虫食い計算で数字遊び

    マグネットシートで作った数字のカードを準備して、ホワイトボードで数字遊びのレクリエーションするのもおすすめ。今回紹介する虫食い計算は、計算式の一部を伏せて、当てはまる数字を答えるゲームです。

    [btp_box]問題:1+?=3
    答え:2[/btp_box]

    とても簡単そうに見えますが、高齢者の中には苦手な方も多いようです。そのためスムーズに答えられない場合は、指で数を表すなどのヒントを出すのもおすすめ。中には、間違った答えを他の方に聞かれたくない、恥ずかしいという利用者さんもいます。その場合には、耳打ちするなど回答方法も工夫してみてください。

    高齢になると認知機能が低下しますが、とりわけ計算力においては比較的早い段階から衰えると言われています。計算力は時間を配分したり、買い物の計算をしたりといった日常生活にも欠かせない能力です。レクリエーションでしっかり計算力を鍛えていきましょう。

    ホワイトボードなら準備の手間なく、さまざまなレクが可能

    ホワイトボード1つあれば、利用者さんみんなで楽しめるレクリエーションが可能です。ひらめき力や記憶力を問われるレクリエーションが可能なので、認知機能の維持や向上が期待できるでしょう。また、体を動かすことが難しい利用者さんにも喜ばれます。介護施設でのレクリエーションに、ぜひホワイトボードを活用してみてください。

  • 【高齢者レクリエーションアイデア】介護現場におすすめのお手玉遊び5選

    【高齢者レクリエーションアイデア】介護現場におすすめのお手玉遊び5選

    利用者さんが楽しく、安全に取り組めるレクリエーションを企画することも介護スタッフの重要な仕事のひとつ。レクリエーションのアイデアが欲しい介護スタッフのために、今回はお手玉を使ったレクリエーションを5つご紹介します。昔遊びの代表格、お手玉を使ったレクリエーションは、親しみやすいと利用者さんにも人気です。投げる・バランスを取る・滑らせるなど、さまざまな動作で楽しむおすすめのレクリエーションを厳選しました。

    お手玉を使ったレクリエーションはどんな施設におすすめ?

    お手玉とは、小さな布製の袋にあずきや数珠玉などの実を入れ、複数個を1組にして縫い合わせた昔ながらのおもちゃです。現在では、中の実がポリエチレン製のものが主流になっています。

    お手玉を使った介護レクリエーションの特徴を挙げてみましょう。

    • 高齢者が親しみを感じやすい
    • 当たっても怪我の心配がほぼなく安心!
    • 握る・投げる・運ぶ・滑らせる・落とす・当てるなど、さまざまな動作が可能
    • 1人向けから複数人向けまで、工夫次第でさまざまな人数で楽しめる
    • 身体機能および脳機能の活性化が期待できる
    • コミュニケーションの活性化が期待できる

    お手玉のような昔ながらのおもちゃは、親しみを感じられると利用者さんも喜ばれます。また、手先を使ったり、腕や肩までダイナミックに動かしたりと体のさまざまな部分を運動させることができるのもメリット。単独でも複数人でも楽しめるうえ、レクリエーションの難易度も柔軟に調整可能です。

    そのためお手玉を使ったレクリエーションは、デイサービスや在宅介護、住宅型有料老人ホームなどすべての介護施設におすすめと言えるでしょう。

    それでは、おすすめのお手玉レクリエーションを紹介していきます。

    運動会みたいに大盛り上がり!お手玉玉入れ

    お手玉玉入れは、段ボール箱の上部にあけた穴を目がけてお手玉を投げ入れるレクリエーションです。期待できる効果は、腕・手指の運動や集中力・認知力・思考力の向上など。複数のチームを作り、対戦形式にすると、運動会のように盛り上がるでしょう。1人あたり10個程度のお手玉を持ち、1分間の制限時間内でより多くの玉を入れたチームが勝ちというルールです。

    複数人で行う場合は、段ボール箱を中心とし、少し離れた場所で円を描くようにプレイヤーを配置すると玉入れ感がアップ!椅子に座った状態でも行えるため、上腕が動かせる方なら片麻痺があっても十分楽しむことができます。段ボール箱からのプレイヤーまでの距離や、段ボールにあける穴の大きさによって難易度の調整も可能。

    段ボールとお手玉さえあればプレイできるので、準備の手間がかからないこともメリットです。大人数でプレイする場合は、介護施設内にあるホールなど比較的広い空間で実施すると良いでしょう。

    集中力と筋力を養える!お手玉グラグラ棒

    お手玉グラグラ棒は、トイレットペーパーの芯の上に置いたお手玉を落とさないようにゴールまで運ぶレクリエーションです。バランス感覚や集中力の向上をはじめ、手指・上腕の筋肉トレーニングも叶います。

    まず、トイレットペーパーの芯の上にお手玉をセットしたグラグラ棒を6本用意します。そしてプレイヤーが座った状態で動かせる範囲にトレーなどを設置し、グラグラ棒を運び入れるゴールを設置。適当なトレーがなければ、色紙や段ボールの板などでゴールを作っても構いません。

    お手玉を落とさずに、すべてのグラグラ棒をゴールまで運び入れることができたら終了。お手玉が落ちたら、机の上にグラグラ棒をセットした状態から再チャレンジします。このレクリエーションは1人でも複数人でも行えるため、さまざまな介護施設に対応。複数人で行う場合は、制限時間を設けて対戦形式にするのもおすすめです。

    利用者さん同士の一体感が生まれる!お手玉リレー

    お手玉リレーは、複数人で輪になって椅子に座り、1人1個のお手玉を持った状態からスタートします。音楽のリズムに合わせて隣の方へつぎつぎにお手玉を渡し、音楽が止まったときにすべての方が1人1個のお手玉を持っていたら成功というレクリエーションです。

    歌いながら行うため、口周りの筋肉を鍛え誤嚥防止になるほか、口を動かすことで唾液の分泌が促進され口腔環境が整うなどの効果も期待できます。対戦形式ではなく、参加者みんなでいっしょに楽しむタイプのレクリエーションなので、自然と連帯感が生まれますよ。利用者さん同士のコミュニケーションが活性化することもおすすめポイントです。

    お手玉リレー用の音楽はバラードではなく、テンポの良い歌謡曲などを選ぶと良いでしょう。利用者さん全員が口ずさめるような曲がベスト。8~10人の大人数で行うと、なかなか成功せず、大いに盛り上がります。大人数で行えるレクリエーションを探している介護施設は、ぜひ参考にしてください。

    指先のトレーニングにおすすめ!トングでお手玉運び

    トングでお手玉運びは、お手玉が10個程度入る容器を2つ用意し、片方の容器にすべてのお手玉を入れた状態でスタート。トングを使って、もう一方の容器にすべてのお手玉を運べたら成功というルールで行うレクリエーションです。トングは、先端がとがっていないため安全に使えておすすめ。より安全面を考慮するなら、全体が金属製のトングではなく、シリコン製のものや先端に樹脂加工が施されているものを選んでも良いでしょう。

    このレクリエーションは、指先の筋力トレーニングにおすすめです。箸やスプーンを持つのが難しくなってきた利用者さんのレクリエーションにもぴったり。反対に、比較的手指の力があり、上手に操作ができる利用者さんであれば、箸を使ってお手玉運びを行ってもOKです。

    得点計算で認知力向上も目指せる!お手玉トンネルくぐり

    お手玉トンネルくぐりは、机の上に設置されたトンネル目がけてお手玉を滑らせ、トンネルごとに決められた得点の合計得点で競い合うレクリエーションです。まず、厚紙や牛乳パックでお手玉が通過できる程度(約10~15センチ)のトンネルを10個作ります。各トンネルに5点・10点・30点など得点を記載し、机の上にテープなどで固定してください。マイナス得点になってしまうトンネルを混ぜると盛り上がります

    1人の手持ちは10個。10個投げ終わった合計得点で競い合っても良いですし、トンネルを見事通過したお手玉は、再度投げることができるなどのルールを作るのもおすすめです。このレクリエーションは、上半身の運動や集中力を高めて脳を活性化させることなどを目的としています。また得点を計算することで、認知機能の向上も期待できるでしょう。

    お手玉は介護施設のレクリエーションにぴったり!

    お手玉は親しみを感じられるだけでなく、サイズ感や重量感においても高齢者のレクリエーション用に適したアイテムと言えます。また、握る・運ぶ・投げる・滑らせる・落とすなどさまざまな遊び方ができ、幅広いレクリエーションに対応できるのもお手玉の良いところ。今回ご紹介したアイデアを参考に、介護施設の利用者さんが楽しめるお手玉レクリエーションを考えてみてください。

  • 12月の企画に役立つ!行事やレクのアイディア

    12月の企画に役立つ!行事やレクのアイディア

    老人ホームでは、1年を通してさまざまな行事やイベントを行なっています。今回は、12月のイベント企画やレクリエーション計画の際に役立つ歳時記や記念日を紹介。老人ホームで人気の12月の行事や、レクリエーションについてまとめました。12月のイベントを企画するときのポイントも解説します。1年のしめくくりを[btp_line]利用者さんに笑顔で過ごしてもらいたい[/btp_line]介護スタッフの方は、要チェックですよ!

    老人ホームの行事やレクの企画に役立つ12月の記念日や歳時期

    まずは、老人ホームのイベントを企画する際に役立つ、12月の記念日や歳時記をご紹介しましょう。12月といえば、クリスマスと大晦日のイメージが強いですが、ほかにもさまざまな記念日があります。イベントやレクリエーションの企画担当の方は参考にしてみてください。

    12月1日映画の日
    12月3日カレンダーの日、妻の日
    12月6日音の日、麦の日
    12月7日頃大雪(二十四節気)
    12月8日針供養
    12月10日アロエヨーグルトの日
    12月11日胃腸の日
    12月12日漢字の日
    12月13日正月事始め、ビタミンの日
    12月14日麺の日、赤穂義士祭
    12月16日電話の日、紙の記念日
    12月20日鰤(ぶり)の日
    12月21日クロスワードパズルの日
    12月22日頃冬至(二十四節気)、かぼちゃの日
    12月24日クリスマスイブ
    12月25日クリスマス、昭和改元の日
    12月26日プロ野球誕生の日、ボクシングデー
    12月27日松迎え、しめ飾り
    12月31日大晦日

    老人ホームで12月によく行われている行事

    ここからは、老人ホームのイベントの中から、12月の行事にまつわる企画をご紹介します。12月の行事には、1年を締めくくるものや、新年を気持ちよく迎えるためのものもありますので、おろそかにしないようにしましょう。

    正月事始め

    12月13日は、新年を迎える準備を始める、正月事始めの日。大掃除や松迎え(松飾りの準備)を行うことで、空間だけでなく、心も新年を迎える準備をしていくのです。長寿のシンボルである松や、「難転(なんてん)=災いを転じる」に通じる南天(なんてん)など、お正月にふさわしい縁起のよい植物を用意して、「お正月用の生け花教室」もおすすめ。せわしない師走だからこそ、植物と向きあう時間に[btp_line]利用者さんも安らぎを感じてくださるでしょう。[/btp_line]

    クリスマス

    12月25日はクリスマス。サンタに扮したスタッフが、プレゼントを配ったり、利用者さんみんなで壁面制作やクリスマスツリーの飾りを手作りしたり、童心に返って、華やかな雰囲気を楽しんでもらいましょう。調理系のレクリエーションとして、「クリスマスケーキ作り」もおすすめです。[btp_line]ホットケーキならスポンジケーキより手軽[/btp_line]に挑戦できますよ。

    大晦日

    12月31日の大晦日は、1年のしめくくり。居住型の老人ホームでは、施設で年越しをされる方もいらっしゃいます。大晦日の定番である年越しそばにちなんだ[btp_line]「そば打ち体験」[/btp_line]は、人気のイベントのひとつです。ご自身でのそば打ちが体力的に大変な場合は、そば打ち名人を招いて、その技を見学するのもよいでしょう。「そばつゆ作り」なら、市販のそばつゆとは違ったオリジナルの豊かな風味を味わえます。

    老人ホームで12月によく行われるレクリエーション

    老人ホームのイベントの中から、12月におすすめのレクリエーション企画をご紹介します。

    映画イベント

    12月1日の映画の日にちなみ、「映画上映会」や懐かしの映画スターにまつわる「クイズ大会」はいかがでしょうか。昭和の大スターの顔写真から名前を当ててもらうクイズ大会なら、思い出そうと記憶をたどる行為や、答えが分かってスッキリすることで、[btp_line]脳が刺激されます。[/btp_line]利用者さん同士のコミュニケーションのきっかけにもなるでしょう。

    年賀状制作

    習字は、手を動かしリハビリの要素もあるため、多くの老人ホームで取り入れられているレクリエーションのひとつ。年の瀬ならではのイベントとして、「年賀状制作」に発展させてみましょう。ご本人はもちろん、[btp_line]ご家族にも喜んでいただけます。[/btp_line]年賀状制作は、12月の定番企画としておすすめですよ。

    漢字の日イベント

    12月12日は漢字の日。記念日自体は知らなくても、毎年、京都の清水寺で行なわれる、その年の象徴となる漢字を発表する催しは、ご存知の方も多いのでは。老人ホームの利用者さんにも、一年を振り返り、漢字一文字を書道でしたためていただきましょう。[btp_line]1年の締めくくりである12月にぴったりの企画[/btp_line]です。漢字にちなんだイベントには、ほかにも四字熟語や難読漢字といった、「漢字クイズ大会」もありますよ。

    クロスワードパズル

    12月21日は、クロスワードパズルの日です。[btp_line]手軽に挑戦できて、脳の活性化にも繋がる[/btp_line]ため、老人ホームの利用者さんにもぜひ楽しんでいただきたいレクリエーションのひとつ。イベントとして大勢で盛り上がるより、それぞれの利用者さんが自分のペースで進められるレクリエーションです。12月は1年でも寒さが厳しいため、なかなか外出系のレクリエーションが難しい時期です。企画を検討する際は、屋内で気軽に楽しめるという観点も、大切にしたいですね。

    12月の企画を立てる際のポイント

    老人ホームのイベント企画担当者であれば、誰しも利用者さんに笑顔で楽しんでいただきたいですよね。12月の企画を成功させるためのポイントをご紹介します。

    「12月=クリスマス」に縛られない柔軟な発想を!

    12月といえば、クリスマスのイメージが強いですが、高齢者の方の中には、クリスマスには馴染みがない方もいらっしゃいます。日本庭園の松の雪吊りや、雪の積もった合掌造り、たわわに実ったりんご畑(りんごは冬に旬を迎えます)など、昔ながらの日本の冬の情景に親しみを覚え、美しさを感じる方も。[btp_line]「12月=クリスマス」という固定観念に縛られないよう[/btp_line]にしましょう。

    利用者さんもスタッフも体調管理に注意!

    年末年始は、休診の病院が多いため、転倒などの怪我がないよう、[btp_line]通常以上に利用者さんの安全管理に注意が必要[/btp_line]です。

    また、12月は大掃除や年末年始に伴うスタッフの休暇など、老人ホームのスタッフも忙しい時期。餅つき大会やクリスマスツリーの準備といった力仕事を行う際は、企画担当のスタッフも怪我に気を付けましょう。

    1年の締めくくりを笑顔で過ごしてもらおう!

    老人ホームでおすすめの12月の行事やレクリエーションについてご紹介しました。12月は、通常業務に加えて施設の大掃除もあり、介護スタッフの方も忙しい季節ですが、イベントやレクリエーションを通じて、利用者さんに笑顔になっていただけるといいですね。イベントを企画する際は今回の内容を参考に、介護スタッフの皆さんも利用者さんも、心和やかに年の瀬を過ごしていただけたら幸いです

  • 老人ホームでのイベント・年間行事まとめ!レクリエーションとの違いも

    老人ホームでのイベント・年間行事まとめ!レクリエーションとの違いも

    老人ホームでは、日常生活や機能訓練だけでなく、さまざまなイベント・年間行事を開催しています。食事や景品、出し物の準備など、職員総出で準備に取り組む施設が多い一方で、実際に勤務している方でも、なぜたくさんのイベントを行うのか、ご存知ない方もいるのではないでしょうか?この記事を読めば、[btp_line]老人ホームでイベント・年間行事を行う目的や、イベントとレクリエーションの違い[/btp_line]を理解できますよ。老人ホームのイベント・年間行事をはじめて任された方や、イベントについての理解を深めたい方はぜひチェックしてみてくださいね。

    老人ホームのイベント・年間行事とレクレーションの違いは?

    まずは、イベントとレクリエーションの違いについて知っていきましょう。

    イベントとはおもに、ひな祭りや夏祭り、クリスマスなど、季節ごとの行事のこと。自宅ではなかなか体験できない年間行事を楽しめるのは、老人ホームに入居するメリットのひとつです。楽しみながら利用者さんに季節の移り変わりを感じてもらえます。

    一方、レクリエーションは、ストレス発散や身体機能・認知機能の維持・向上を目的とした活動のこと。イベント・年間行事とは異なり、日常的に行なうのが特徴です。

    老人ホームでイベント・年間行事を企画する目的とは?

    老人ホームで、イベント・年間行事を行う目的は、大きく分けて以下の5つです。

    • 身体機能を維持・向上させる
    • コミュニケーションの機会が増える
    • 脳を活性化させる
    • リラックスできる
    • 役割を担うことで、自尊心が高まる

    それぞれの目的について、詳しく解説しましょう。

    身体機能を維持・向上させる

    老人ホームでのイベント・年間行事は、自然と無理なく身体を動かすきっかけになります。年を重ねるごとに、身体能力は徐々に低下していきますが、イベント・年間行事に参加すると、[btp_line]楽しみながら身体機能の低下を予防[/btp_line]できるのです。

    コミュニケーションの機会が増える

    老人ホームに入居すると、住み慣れた自宅や家族と、離れて暮らすことになるため、孤独感を感じる利用者さんも。しかし、イベント・年間行事を通して、入居者同士の交流の場が増えれば、寂しさがやわらぎ、[btp_line]老人ホームでの暮らしに張り合いが出てくる[/btp_line]方もいらっしゃいます。

    脳を活性化させる

    老人ホームでイベント・年間行事に参加すると、日常にはない刺激を得て、脳を活性化できるのもメリットのひとつ。また季節の飾りの製作など、手先や頭を使う作業も、脳の活性化に繋がり[btp_line]認知症予防に効果が期待できる[/btp_line]とされています。

    リラックスできる

    和やかな雰囲気で行う老人ホームのイベント・年間行事は、認知症の方も含め、利用者さんに[btp_line]リラックス効果や安心感[/btp_line]をもたらします。中には音楽療法を兼ねて音楽会を行う施設も。イベントを企画する際は、利用者さんがリラックスできる内容かどうかも重視したいですね。

    役割を担うことで、自尊心が高まる

    人から頼りにされるのは、誰しもうれしいものです。イベントの準備に利用者さんも参加してもらうと、自分の役目を与えられたことで、満足感や達成感を感じる利用者さんもいます。

    続いて、老人ホームで行なわれるイベントにはどのような種類があるのか、通年で行なわれるもの、月別で行なわれるものにわけてご紹介しましょう。

    老人ホームで年間を通して行なうイベント・出し物まとめ

    老人ホームで行なうイベントは、季節の行事ばかりではありません。

    年間を通して行われる行事には、以下のようなものがあります。

    利用者さんの誕生日会

    いくつになっても誕生日を祝われるのはうれしいものです。サプライズをする場合は、内容がマンネリ化しないように、ときどき内容を見直しましょう。

    演芸会

    スタッフたちによる出し物を行う場合と、外部からアーティストや芸人を招く場合があります。職員だけで、長年イベントの企画を続けていると、マンネリ化してしまうこともあるでしょう。そんなとき、便利なのが老人ホーム専門のイベント企画会社です。マジシャンや歌手の派遣など、各老人ホームの規模・特徴に合わせたイベントをコーディネートしてもらえますよ。

    外出イベント

    外出イベントは、老人ホームの利用者さんが、お買い物や外食を楽しむ貴重な機会です。自立可能な方にとっては、身体を動かす機会にもなります。暑い季節や寒い時期は、外気温をチェック!利用者さんが体調を崩してしまわないよう気を付けましょう。

    地域の人々・近隣の子供たちとの交流

    普段会うことがない、地域の方は近隣の子供たちとのコミュニケーションは、利用者さんにとってよい刺激になります。多くの方と交流することで、社会的なつながりを感じ、生きがいを見出すきっかけにも。外部の方をお招きする際は、新型コロナウイルスやインフルエンザなど、感染症対策をしっかり行いましょう。

    老人ホームで人気のイベント・年間行事、月別まとめ

    続いて、老人ホームで人気の季節ごとのイベントについてご紹介しましょう。

    年間行事を月別で下記の表にまとめました。

    行事
    1月お正月(新年会・初詣)、七草がゆ
    2月節分、バレンタインデー
    3月ひな祭り、ホワイトデー、お彼岸
    4月お花見
    5月端午の節句、母の日
    6月父の日
    7月七夕
    8月夏祭り
    9月十五夜、敬老の日
    10月運動会、ハロウィン
    11月紅葉狩り
    12月冬至、クリスマス、大晦日

    お正月のおせちや七草がゆ、ひな祭りのちらしずしといった、行事ならではの食事は、五感を通じて季節を感じられるため、利用者さんにも人気です。

    老人ホームによっては、自立可能な方が多い施設もあれば、寝たきりの方が多い施設もあります。また、シャイな方、積極的な方など、利用者さんによって性格もさまざまです。

    イベントを企画する際は、ご自身の老人ホームの入居者さんに合った内容になるよう工夫しましょう。

    老人ホームのイベント・年間行事はさまざま!食事や出し物のひと工夫で利用者さんの満足度アップ

    老人ホームで行なうイベント・年間行事の目的や内容をご紹介しました。

    老人ホームの利用者さんにとって、イベント・年間行事は、[btp_line]日々の暮らしを彩る大切な楽しみ[/btp_line]のひとつ。ご自身の勤務される老人ホームでイベントや年間行事を企画する際は、今回ご紹介した5つの目的をぜひ意識してみてくださいね。きっと利用者さんの笑顔に繋がりますよ!