カテゴリー: 知識

介護施設やデイサービス等で、明日から使える「高齢者向けレクリエーション」や「トラブルの対処法」などのお役立ち情報をまとめています。福祉美容師や福祉ネイリストなど、介護に関する仕事内容についてもご紹介。毎日の仕事に使える情報やヒントが盛りだくさんです。

  • 介護施設で役立つ3つの転倒事故対策!万一の際の対応も

    介護施設で役立つ3つの転倒事故対策!万一の際の対応も

    高齢者にとって転倒は、その後の生活の質を下げる可能性がある大変危険なものです。ときには、転倒事故が寝たきりの原因になることもあります。そのため介護施設において、利用者さんの転倒事故を防止することは重要です。しかし高齢者は転びやすいため、転倒防止には細心の注意が必要!そこで今回は、高齢者の転倒事故によるリスクや高齢者が転倒しやすい理由、介護現場で有用な転倒事故対策などをご紹介します。

    介護現場での転倒事故は大変危険!

    高齢者の転倒事故は、軽い怪我だけでは済まないケースがあります。例えば、転倒によって骨折したり、頭部外傷を負ったりといった大きな怪我につながる恐れがあるのです。中には、転倒事故が原因で要介護状態になってしまうこともあります。

    内閣府「令和4年版高齢社会白書(全体版)」によると、介護が必要になった主な原因の第4位が「骨折・転落」となっており、その割合は13.0%にのぼります。転倒による骨折が原因で体を動かす機会が減り、身体機能が衰え、ついには寝たきりになってしまうという方も少なくありません。

    また転倒を経験すると、恐怖心により活動意欲がそがれ、結果的に身体機能が低下しまう方もいます。このように高齢者にとって転倒事故は、[btp_line]身体的・精神的ダメージを与える可能性のある大変危険なもの[/btp_line]です。

    高齢者が転倒してしまう理由とは?

    高齢者は若年者に比べて転倒しやすいといわれています。では、なぜ高齢者は転んでしまうのでしょうか?その理由を、内的要因・外的要因の両面から見ていきましょう。

    高齢者自身に転倒の原因がある内的要因

    内的要因による転倒とは、高齢者自身に原因があるもので、加齢による身体的変化や薬の影響、精神的な影響などが挙げられます。具体的には、筋力や視力などの低下、感覚の鈍化、服用薬による立ちくらみやふらつきなどの副作用などが、内的要因による転倒です。また、不安や緊張、焦りなどの精神的な変化によっても転倒は起こります。

    転倒の原因が生活環境などにある外的要因

    外的要因による転倒とは、生活環境や居住空間の中の物理的な原因によって起こるものです。例えば、敷居などの段差や滑りやすい浴室の床、手すりのない玄関や階段、床にある延長コード、高さの合っていない椅子などが外的要因にあたります。身体機能が低下した高齢者にとっては、生活環境の中にあらゆる転倒要因が潜んでいるということです。

    高齢者が転倒しやすい場所とは?

    介護施設における転倒事故対策には、転びやすい場所を知っておくことも大切です。

    段差がある場所

    転落・転倒の恐れのある階段はもちろん、敷居のような小さな段差でもつまずいて転倒してしまうことがあります。ときに、点字ブロックも転倒の原因になるため注意が必要です。

    暗い場所

    加齢により視力が落ち、視野が狭まっている場合、室内・屋外を問わず、暗い場所は転倒のリスクがあります。特に暗い場所では周囲や足元を目で見て確認することが難しくなり、ぶつかったり、つまずいたりして転倒してしまうのです。

    濡れている場所

    高齢になると体のバランスを保つ機能が低下するため、床や地面が濡れていると転倒につながる恐れがあります。浴室やトイレなどの水場は、特に注意が必要です。

    介護施設における3つの転倒事故対策

    介護施設で実施すべき転倒事故対策を3つご紹介します。一つひとつ確実に取り組みましょう。

    介護施設の転倒事故対策1:利用者さんの心身の状態を把握する

    利用者さんの体調や病状はもちろん、心の状態までしっかりと把握することが大切です。つまり、内的要因による転倒をできる限り防ぐことが転倒防止のカギとなります。介護施設における具体的な転倒事故対策は次のとおりです。

    • 急かしたり、不安にさせたりしないよう利用者さんのペースに合わせてサポートする
    • 薬の服用記録をつけ、薬の種類や副作用の有無などを把握する
    • 日々の健康状態や行動を観察し、体調に変化がないかチェックする など

    介護施設の転倒事故対策2:転倒事故が起きにくい環境を整える

    介護施設では、外的要因による転倒事故対策は徹底しなければなりません。なぜなら、入念に対策を行うことで、事故を限りなくゼロに近づけられるためです。具体的な対策は次のとおり。

    • 床や階段に物を放置しない
    • マットや家具が容易に動かないよう、滑り止めグッズや固定器具を活用する
    • 照明を明るくする
    • 段差予防シートやケーブルカバーなどを活用し、段差を排除する など

    整理整頓の徹底や、転倒リスクのある場所を排除する視点を持つことなどが重要です。

    介護施設の転倒事故対策3:利用者さんに転倒予防の運動をしてもらう

    転倒防止には、下肢や体幹を鍛え、立ったり座ったりするための筋力や体のバランスを強化・維持し、転びにくい体を作ることも重要です。これらの身体機能を維持するためには、利用者さん自身に転倒予防の運動をしてもらう必要があります。

    椅子に座った状態でつま先立ちやつま先上げ、もも上げなどの運動が効果的です。利用者さんの体調を考慮し、無理のない範囲で行いましょう。

    介護施設で転倒事故が起きた場合の対応

    いくら転倒事故対策をしていても、事故を100%防ぐことは難しいのが現状です。万が一のために、転倒事故が発生した場合の対応を押さえておきましょう。

    呼びかけて意識と状態の確認

    転倒事故発生後、まずは意識確認のため名前を呼びかけます。耳元で大きな声で呼びかけましょう。反応があった場合は、バイタルサインや意識レベルを確認します。呼びかけに応じない、または呼吸停止などがあれば、迅速に救急要請しましょう。

    外傷や骨折の有無など受傷部位の確認

    外傷の状況や骨折の有無などを確認します。裂傷や腫脹などを確認し、出血が見られる場合は止血を行いましょう。なお、骨折や頭部外傷はその後の生活機能や生命予後に大きく影響する可能性があるため、事前にどのように対応すべきか決定しておくことをおすすめします。

    応援要請や救急要請

    1人で対応することのないよう周囲にいる介護スタッフへ応援要請し、声かけや受傷部位の確認などを分担します。外傷や骨折の有無が判断できない、または受傷部位が明らかな場合は、迅速に救急要請を行いましょう。

    介護施設の転倒防止対策は内的要因と外的要因の排除と転倒防止運動が重要!

    高齢者にとって転倒は、寝たきりの原因になりうる大変危険なものです。そのため介護施設では、日頃から転倒事故対策に力を入れる必要があります。利用者さん自身に原因のある内的要因、そして生活環境に潜む外的要因の両方を排除する対策に加え、転びにくい体づくりのためのサポートを行うことも重要です。

  • 超強化型老健とはどんな施設?特色や働くメリットを知ろう

    超強化型老健とはどんな施設?特色や働くメリットを知ろう

    利用者さんの在宅復帰を目指す介護老人保健施設の中でも、とくに厳しい要件を満たす必要があるのが「超強化型老健」です。リハビリや医療ケアの専門職の方々と連携しながら利用者さんの在宅復帰をサポートしていきます。この記事では、超強化型老健の概要を解説するとともに、同施設で働くメリットについてご紹介。転職や就業を希望するときの留意点なども解説していきます。超強化型老健で働きたい方はぜひご一読ください。

    超強化型老健とは?

    超強化型老健とは、利用者さんの在宅復帰に貢献する度合いがとくに高いと評価される介護老人保健施設(老健)のことです。まずは、超強化型老健に求められる要件とその他の介護サービスとの違いなどについて見ていきましょう。

    超強化型老健は厳しい要件をクリアした施設

    超強化型老健は、利用者さんの在宅復帰を目的とした5種類の介護老人保健施設の中で、最上位に区分される施設です。従来の区分けよりもさらに在宅復帰・在宅療養に向けたサポート体制を整える施設は、2018年度の介護報酬改定以降、こちらに区分されるようになりました。具体的には、超強化型老健となるには、次の厳しい算定要件を満たす必要があります。その他の介護老人保健施設と比較して見てみましょう。

    超強化型在宅強化型加算型基本型その他型
    在宅復帰・在宅療養支援等指標 (最高値90)70以上60以上40以上20以上左記の要件を満たさない
    退所時指導等要件あり要件あり要件あり要件あり
    リハビリテーションマネジメント要件あり要件あり要件あり要件あり
    地域貢献活動要件あり要件あり要件あり要件なし
    充実したリハ要件あり要件あり要件なし要件なし

    出典:厚生労働省「平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項について」

    なお「在宅復帰・在宅療養支援等指標」は、在宅復帰率やベッド回転率など10項目の値を足し、施設ごとに超えるべき基準を示した指標です。超強化型はこの数値が70以上と、他の施設よりも高く設定されています。

    介護老人保健施設とデイサービス、デイケアの違い

    超強化型老健に限らず、介護老人保健施設では、在宅復帰を目指す高齢者の方の機能回復をサポートしていきます。イメージとしては、病院と滞在型の介護施設の中間にあたる施設といえるでしょう。また、どのくらいの期間施設を利用するかで次のように呼び方が変わります。

    • 長期入所療養介護(ロングステイ):1ヶ月以上3ヶ月未満
    • 短期入所療養介護(ショートステイ):1日以上1ヶ月未満
    • 通所リハビリテーション(デイケア):1日単位

    デイケアは名称がデイサービスと似ているため混同しやすいですが、デイケアは機能回復を、デイサービスは入浴介助などの日常生活のサポートを目的としています。1日単位でサービスを提供する点は共通していますが、目的が異なるため、就業を目指す際は注意しましょう。

    超強化型老健の仕事内容

    ここからは、超強化型老健で働く介護職の仕事内容について見ていきましょう。

    在宅復帰を意識した身体介護

    超強化型老健で働く介護職の主な仕事内容は、次のとおりです。

    • 食事介助
    • 排泄介助
    • 移乗介助
    • 入浴介助

    必要に応じて、清掃やリネン交換などの生活支援や緊急時の対応も行います。ここまでは、他の介護施設と大きな違いはありません。ただし、超強化型老健はこれらの業務を、在宅復帰を意識しながら行う必要があります。そのため、長期的な生活を楽しんでもらうようなイベントやレクリエーションを行う機会は少ないでしょう。

    専門職と連携したケア

    超強化型老健では、日常生活をサポートする介護的視点でのケアだけでなく、在宅復帰を目指した医療ケアやリハビリも重視されます。そのため、理学療法士や作業療法士、看護師などの他職種と連携してケアを行うことが多いでしょう。

    交代制で夜勤業務があるところも

    超強化型老健の介護職も、基本的には夜勤業務がある職業です。交代制で夜勤業務に対応しなければなりません。ただし、医師や看護師が常駐するなど医療体制が整っているため、夜間に利用者さんが急変したときの不安感は少ないでしょう。

    超強化型老健で働くメリット

    ここからは、超強化型老健で働くメリットについて見ていきましょう。

    他の老健よりも高い収入が見込める

    厚生労働省が公表する「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、各介護サービスの平均給与は次のとおりです。

    施設名常勤平均給与非常勤平均給与
    介護老人福祉施設(特養)34万5,590円20万2,950円
    介護老人保健施設(老健)33万8,390円28万9,050円
    訪問介護事業所31万4,590円20万1,120円
    通所リハビリテーション事業所29万7,980円21万8,830円
    認知症対応型共同生活介護事業所29万1,460円18万9,600円

    出典:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」

    介護老人保健施設は、特別養護老人ホームなどの介護老人福祉施設の次に平均給与が高いことが分かります。超強化型老健は、そんな介護老人保健施設の中でもより厳しい算定要件があることから報酬水準も高めです。他の介護老人保健施設と比べて、より高い収入が期待できるでしょう。

    リハビリや医療ケアの知識や経験が得られる

    介護老人保健施設の目的は、利用者さんの在宅復帰です。リハビリや医療ケアの専門スタッフと連携して働くことが多いため、介護分野だけではない専門分野の知識や経験が得られるでしょう。とくに、超強化型老健は利用者さんの在宅復帰率が高い施設のため、ベッドの回転率もよく、さまざまなケースに対応できる力が身につきます。こうした点は、介護職として幅広いスキルアップを図りたい方には、大きなメリットといえるでしょう。

    身体的な負担が比較的少ない

    超強化型老健をはじめとした介護老人保健施設では、在宅復帰を目指した身体介護を、介護職がメインとなって行います。しかし、要介護度が高い特別養護老人ホームなどと比べると利用者さんの介護度が低いことが多いため、身体的な負担は少ないといえるでしょう。この点は、介護職への転職を考えている初心者の方や、体力に不安がある方でも働きやすいポイントといえます。

    ただし、長期的なケアをしたい方やレクリエーションなどを定期的に企画したい方などは、超強化型老健だと物足りなさを感じるかもしれません。そのため、自分がどのような介護に携わりたいのかをしっかりとイメージしてから施設を選ぶことをおすすめします。

    在宅復帰に向けたケアを行う!超強化型老健で働こう

    超強化型老健では、リハビリや医療ケアを行う専門職の方々と連携して働くことが多くなります。そのため、リハビリや医療に関する知識も身につきやすく、スキルアップを図ることができるでしょう。また、給与水準も比較的高いことが特徴です。介護職での就業を希望されている方は、超強化型老健で働くことを検討してみてはいかがでしょうか。

  • 傾眠の原因とは?事前に知っておきたい対処法と注意点

    傾眠の原因とは?事前に知っておきたい対処法と注意点

    介護施設の利用者さんの中に、一日中うとうとしている方はいませんか?もしかしたら、傾眠傾向にあるのかもしれません。実は、傾眠の背景に病気が隠れていたり、傾眠のせいで脱水症状が進み、さらに状態を悪化させたりすることもあります。そこで今回は、傾眠とはどんな状態を指すのか、傾眠の原因や予防策・注意点について見ていきましょう。

    傾眠とはどんな状態?

    まずは、傾眠がどんな状態にあることを指すのか、また傾眠の種類や原因について紹介します。

    傾眠とは?

    傾眠とは[btp_line]軽い意識障害のことで、浅く眠っている状態[/btp_line]です。そのため、声をかけたり肩をたたいたりするなど、弱い刺激で意識を取り戻します。

    傾眠傾向を放置すると、脱水症状や隠れていた病気を悪化させることにつながるため、注意しなければなりません。傾眠は高齢者によく見られるため、ただうとうとしているだけなのか、それとも病気の兆候なのかを見極める必要があります。

    意識障害の種類

    意識障害の程度によって「意識清明・傾眠・昏迷・半昏睡・昏睡」の5つに分類されます。以下にて、簡単にまとめました。

    • 意識清明…意識がはっきりしており全く問題がない状態。(起きている状態)
    • 傾眠…うとうとしている状態。軽い刺激で目を覚ます状態。
    • 昏迷…体をゆする・たたくなど強い刺激で意識が戻る状態。
    • 半昏睡…つねるなどの痛みを与えると身体の一部が反応する状態。
    • 昏睡…どんな刺激を与えても起きず、深い眠りについている状態。

    傾眠の原因

    傾眠が起きる原因にはいくつかあります。主な原因は以下のとおりです。

    • 認知症
    • 加齢
    • 脱水症状
    • 内科系疾患
    • 慢性硬膜下血腫
    • 過眠症
    • 低血圧
    • 薬の副作用

    認知症の初期症状に、傾眠傾向が強くなる場合があります。また、認知症によって睡眠リズムが崩れ、睡眠不足から傾眠傾向になるケースも。加齢や体力の低下によって神経伝達機能が低下し、自然と傾眠を引き起こすこともあります。

    高齢者は、のどの渇きを感じにくく体内に水分を蓄えにくくなっています。そのため脱水症状を起こしやすく、脱水症状を起こすと意識が朦朧としたり、幻覚症状を引き起こしたりする場合もあるでしょう。

    発熱や体内の炎症などの内科系疾患によって、傾眠になることも。転倒して頭を打った際に、硬膜と脳の間に血腫ができる慢性硬膜下血腫を原因として、傾眠を引き起こすこともあります。

    その他には、中枢神経系の機能異常が原因で睡眠障害を引き起こして過眠症になっているケースや、食事後の血圧低下、薬の副作用が傾眠の原因となる場合も。傾眠を疑う場合には、さまざまな要因が隠れていることを知っておきましょう。

    傾眠を防ぐ方法

    傾眠が進むと、栄養不足 に陥ったり病気が進行したりする可能性があります。ここからは、傾眠を予防する方法や傾眠の疑いがある場合の対処法について見ていきましょう。

    話しかける

    傾眠では、軽い刺激で目を覚ますため、積極的に話しかけて眠らないように配慮すると良いです。

    こまめな水分補給

    脱水症状を原因とする場合に限らず、こまめな水分補給を促しましょう。定期的に水分補給を促すことで、脱水症状を防げるだけでなく、会話のきっかけにもなります。

    日中の運動

    適度に運動すると、夜眠りやすくなり、生活リズムを整えることができます。また、身体を動かすことで血流が良くなり、脳が活性化することも期待できるでしょう。

    薬の見直し

    薬の成分や副作用によって、眠気が強くなるものがあります。傾眠傾向が強く見られる場合は、薬の変更や量を調整してもらう良いでしょう。

    医師に相談する

    傾眠の疑いがある場合は、まず医師に相談してください。認知症や他の内科系疾患の可能性があるためです。早い段階で原因がわかれば、病気を悪化させずに済むでしょう。

    傾眠における注意点

    傾眠が進むと、転倒のリスク・誤嚥のリスク・せん妄のリスクが高まります。傾眠は軽い意識障害のため、意識が朦朧としている状態で歩くと転倒や転落などの事故を引き起こし、ケガをするかもしれません。

    また、意識がはっきりしていない中で食事を摂ると、誤嚥のリスクが高まります。誤嚥は肺炎の原因にもなるため、注意しなければなりません。傾眠とせん妄の傾向が見られた場合は、認知症の可能性が高いです。すみやかに医師に相談しましょう。

    傾眠は放っておいてはいけない

    利用者さんがうとうとしていると「暖かいからうたた寝しているのかな」や「昨日眠れなかったのかな」と思いがちですが、傾眠の可能性もあります。傾眠の原因にはいくつも種類があり、もしかしたら複合的に組み合わさっているケースも。少しでも「いつもと様子が違う」と思えば、医師に相談するようにしましょう。

  • 介護と介助の違いって?知っておきたい2つの言葉について詳しく解説

    介護と介助の違いって?知っておきたい2つの言葉について詳しく解説

    介護現場で耳にする、“介護”と“介助”の言葉。実はその2つの言葉に大きな違いがあることはご存じでしょうか。似たような言葉とだけ認識していると、介護施設での業務に影響が出る可能性も考えられます。今回は“介護と介助の違い”を詳しく解説!それぞれの特徴を把握すれば、違いがはっきり見えてきます。介護職員として身に付けておきたい知識のひとつ、介護と介助の違いに注目していきましょう。

    介護と介助の違いとは

    [btp_line]“介護”とは、介護職員が利用者さんの生活の自立をサポートする行為全般のこと[/btp_line]です。日常生活の中で手助けが必要な利用者さんに対し、身体的、精神的な面へのサポートを行います。
    一方で、利用者さんの日常生活をサポートする行為自体が“介助”です。食事や排泄、入浴、歩行、更衣など、利用者さんにとっての日常的な行為を介護職員がサポートするので、身体的に密接な支援を意味します。
    介護と介助の違いについては、具体的なサポート内容以外に時間の面でも異なるところが特徴です。介護では、長い期間をかけて利用者さんの自立を図るサポートを提供。介助では、食事や排泄シーンなど短い期間でサポートを提供します。

    身体介護や精神的援助など…介護の種類3つ

    続いて、介護について詳しく掘り下げていきます。介護と介助の違いをきちんと把握するには、それぞれの特徴を知っておくことが大切です。ここでは3つの項目に分けた介護の内容を見ていきましょう。

    身体に触れてサポートする“身体介護”

    身体介護では、介護職員が利用者さんの身体に直接触れてサポートを行います。具体的な内容は、利用者さんの身の回りの動作、起き上がりや歩行など基本動作のサポートです。

    食事食べ物を口に運ぶ
    排泄おむつ交換やトイレの介助
    入浴浴槽に入れる、身体の水分を拭く
    更衣衣服の着替え
    移乗立ち上がり、起き上がり
    歩行見守り、寄り添い

    身体介護の目的は利用者さんの自立支援です。例に挙げた行為を利用者さんが自力で行えるよう、必要な部分のみのサポートに留めることを意識しましょう。

    利用者さんの精神面をサポートする“精神的援助”

    精神的援助では、利用者さんが抱える悩みや不安、ストレスを和らげるためのサポートを行います。
    例えば、他の利用者さんや介護職員と顔を合わせるシーンでは、利用者さんが挨拶や会話を通じてコミュニケーションを取れるようサポート。利用者さんが介護施設で過ごす日々の中で、孤独を感じないようにすることが目的です。

    日常生活をサポートする“生活援助”

    生活援助では、利用者さんの日常生活を介護職員がサポートします。

    炊事買い出し、料理
    掃除掃除機をかける、ゴミ出し
    洗濯衣類を干す・たたむ、アイロンをかける

    他にも、利用者さんの薬の受け取り、ベッドメイク、衣類の整理なども生活援助にあたります。利用者さんの身体に直接触れるわけではない、という点が身体介護との違いです。

    食事や排泄、入浴など…介助の種類6つ

    介助は6種類に分けられます。介護と介助の違いについて理解を深めるために、こちらの内容もチェックしてください。

    食事の前・中・後をサポートする“食事介助”

    食事介助は、自力で食事をするのが難しい利用者さんへのサポートのことです。咀嚼や嚥下機能の低下、身体や顔の筋力、握力の低下など、さまざまな理由が食事の難しさの原因になります。

    食事前うがいで口腔内の雑菌を洗い流す
    食事前口腔・嚥下体操で唾液の分泌を促す
    食事前トイレやおむつ交換をして排泄を済ませる
    食事前手洗い、介助用エプロンの着用、机を清潔にする
    食事中利用者さんと同じ目線で食事をサポートする
    食事後利用者さんの身体状況を見て、横にならないように注意する

    食事介助では、利用者さんごとに見合う食器を提供したり、座る姿勢を調整したりすることも必要です。また、夏場は水分補給の管理にも目を向けましょう。

    排泄をサポートする“排泄介助”

    排泄介助では、自力での排泄が難しい利用者さんをサポートします。
    排泄介助の内容は、利用者さんごとの排泄ペースに合わせてトイレへ誘導する、利用者さんの様子から排泄を読み取って声をかけるなどです。また、下着の汚れやにおいを確認したり、衣類や下着が汚れたときに着替えをサポートしたりすることも排泄介助にあたります。

    入浴の前・中・後をサポートする“入浴介助”

    入浴介助は、自力で入浴するのが難しい利用者さんへのサポートのことです。

    入浴前お湯の温度の確認
    入浴前足元から順にお湯をかける
    入浴中浴槽と同じ高さの台や手すりを使ってゆっくりと移乗する
    入浴後椅子に座った状態で全身の水分を拭き取る
    入浴後更衣介助

    入浴介助の主な目的は、利用者さんの身体を清潔に保つことや感染症予防です。入浴介助を通して利用者さんの全身状態をチェックすれば、傷や内出血などの発見にもつながります。

    身体の状態や場所に合わせて歩行をサポートする“歩行介助”

    歩行介助は、歩く動作が難しいと感じる利用者さんへのサポートのことです。
    例えば、杖を使って歩く利用者さんであれば杖の反対側から見守り歩行するなど、身体の状態に合わせた介助の方法に目を向けましょう。利用者さんの利き手の反対側に立って寄り添い歩行をする、足元の悪い場所では利用者さんの前に立って手引き歩行する、などは歩行介助が必要な利用者さんへの共通サポートになります。

    着替えシーンをサポートする“更衣介助”

    更衣介助では、自力で着替えるのが難しい利用者さんをサポートします。
    利用者さんの着替えをサポートするシーンでは、安全性はもちろん快適性にも目を向けることが大切です。利用者さんに座ってもらってから更衣介助をすれば転倒防止に、室温を適温に保てば快適な更衣につながります。
    更衣介助においては、利用者さんが難しいと感じる手順のみサポートするようにしてみましょう。利用者さんが自力でできる手順は任せる、という見方も大切です。

    起き上がりや体位変換をサポートする“移乗介助”

    移乗介助は、自力での移動が難しい利用者さんをサポートすること。サポートシーンは、起き上がる・座る・体位変換などが必要なときです。
    起き上がりの移乗介助をするときは、利用者さんの身体を横向きの“くの字”にして、二の腕で頭、手で背中を支えながら起こします。利用者さんの身体に負担がかからないよう、スムーズな介助の手順を確認しておきましょう。

    介助は“段階の違い”に注目!過剰な介助には危険性も

    介助には段階の違いがあり、それぞれの段階に合わせて介助の範囲を見極める必要があります。

    自立ある程度のことは自分1人で行動できる
    一部介助基本的には1人でできるものの、一部のことは他の方の援助や見守りが必要
    半介助援助が必要だが、自分で行動もできる
    全介助援助があってもすべてを自力で行うのは困難

    介助シーンでは、利用者さんの身体がどの段階にあるかきちんと把握しておきましょう。行き過ぎた介助は利用者さんの能力ややる気を低下させる危険性もあります。介助において大切なのは、介助を受ける側である利用者さんの主体性を尊重することです。行き過ぎた介助のデメリットを意識したうえでの行動を心がけましょう。

    介護と介助の違いを把握してより質の高いケアを

    介護と介助の違いは、それぞれを詳しく掘り下げていくと明確に把握しやすくなります。介護は自立支援を目的とする行為全般、介助は日常生活を支援する行為自体です。2つの違いを意識しながら日々の業務に向き合い、より質の高いケアのできる介護職員を目指しましょう。

  • 自立支援介護を行うための4つのポイント!注意点もおさらいしよう

    自立支援介護を行うための4つのポイント!注意点もおさらいしよう

    自立支援介護は、近年注目を集めている介護の方法です。介護が必要な方が自立した生活を送れるよう、具体的な目標を掲げ、複合的な視点でサポートを行っていきます。そこでこの記事では、自立支援介護とはどのような方法か、また具体的な事例について見ていきましょう。厚生労働省が推進するケア方法でもあるため、介護職の方はぜひ1度ご覧ください。

    自立支援介護とは?

    自立支援介護とは、介護が必要な方が自立した生活を送れるよう支援するケア方法のことです。これまでの介護との違いは、利用者さんが日常生活を自主的に取り組む機会をできるだけ奪わないようサポートするところにあります。

    自立支援介護が注目され始めたのは、厚生労働省が社会保障費の削減を目指し、保険者機能の抜本強化を公表したためです。介護保険法等の一部を改正し、地域共生社会の実現・維持が図れるよう自立支援介護を推進し始めました。

    また、一般社団法人日本自立支援介護・パワーリハ学会では、自立を「身体的自立」「社会的自立」「精神的自立」の3つから成り立つと考えています。なかでも、高齢者の自立で重視しているのは身体的自立とのこと。身体機能を改善し、日常動作を再び自主的に行えるよう生活を整えていけば、生活の質も向上していくとの考えを示しています。

    自立支援介護を行うための4つのポイント

    自立支援介護を行うと、利用者さんの生活の質が高まったり、介護をする家族の負担が軽減されたりといったメリットがあります。ここからは、一般社団法人日本自立支援介護・パワーリハ学会が提唱する、自立支援介護における4つのポイントを見ていきましょう。

    こまめな水分摂取を促す

    自立支援介護を実現する1つ目のポイントは「水分補給」です。高齢者は若い頃よりも体内の水分量が約10%減っており、身体全体で約50%しかありません 。さらにのどの渇きを感じる機能も低下するため、水分摂取が遅れやすく、脱水症状が引き起こされやすいのです。

    そのため、自立支援介護では水分補給を基本のケアとしています。目安となる水分摂取量は、1日に1500ミリリットル以上です。十分な水分量の摂取が難しい方は、おやつにゼリーを提供するなど工夫を加えてもよいでしょう。

    噛める食事で1日1500カロリー以上の摂取を目指す

    自立支援介護を実現する2つ目のポイントは「食事」です。年齢を重ねると口腔機能は低下し、唾液の分泌量も減ってきます。これらの変化により、食べ物を噛む力が衰え、食欲が減退してしまう方が少なくありません。

    そこで自立支援介護では、噛むことを意識した食事で1日1500カロリーの摂取を目指していきます。加えてタンパク質や食物繊維など、高齢者が不足しやすい栄養を積極的に摂れるようサポートしていきましょう。1回で食べられる量が少ない方は、間食を加えることで食事の量と質を改善していきます。

    適度な運動を促す

    自立支援介護を実現する3つ目のポイントは「運動」です。運動の出発点は離床ですが、車いす生活を送る方などは、ベッドから物理的に離れているだけで、日常的に運動していないことが少なくありません。運動が不足した生活習慣が積み重なると、糖尿病や脳卒中、認知症などのリスクを高める可能性もあるでしょう。

    そのため自立支援介護では、利用者さんに適度な運動を促すことで、全身の筋肉や脳によい刺激を与えることを重視しています。目安としては、休憩を挟みながら1日2キロメートル歩くことを目標にしていくと、運動不足解消につながるでしょう。

    自然な排便リズムを定着させる

    自立支援介護を実現する4つ目のポイントは「排便」です。高齢になると便秘に悩む方が多くなり、下腹部の不快感や腹痛などを訴えることも少なくありません。排便トラブルの要因は、加齢に伴う食事量や日常生活動作の低下などが考えられるでしょう。

    そのため、自立支援介護では3日に1回以上の自然な排便リズムを定着させるようなサポートを重視していきます。ここまで見てきた水分・食事・運動のケアが十分に行われていると排便リズムも整いやすくなるでしょう。

    自立支援型のケアマネジメントの事例

    ここでは、厚生労働省が公表する「高齢者の自立を支援する取り組みについて」をもとに、介護現場で求められる具体的なケアについて見ていきましょう。

    <従来型と自立支援型のケアマネジメントの例>

    利用者さんの状態:要支援2、家にいることが多くなり下肢機能が低下
    利用者さんの課題:入浴ができない(入浴ができる余地はある)
    認定期間:6ヶ月

    従来型のケアマネジメント

    目標清潔の保持に努める
    サービス内容・デイサービスで週2回入浴を行う

    自立支援型のケアマネジメント

    目標6ヶ月後に自分で入浴できる
    サービス内容・歯科医師や管理栄養士など専門家が集まりケア会議
    ・デイサービスで下肢筋力強化と入浴動作訓練の実施を提案
    ・自宅の浴室に入浴補助用具の導入を提案
    ・食生活の見直し
    ・口腔内の状態を確認 ・服薬状況の把握

    出典:厚生労働省「高齢者の自立を支援する取り組みについて」

    従来型のケアマネジメントでは、介護がスタートすればサポートなしでの生活は考慮されず、定期的な介助を前提としてサービスが展開されていました。一方、自立支援型のケアマネジメントでは、具体的に評価できる目標を立て、自立した生活が取り戻せるようなサービスを検討していきます。このように利用者さんによってアプローチ方法を変えることで、介護の重度化を助長せずに改善を図ることもできるでしょう。

    自立支援介護を行うときの注意点

    利用者さんにとってもさまざまなメリットがある自立支援介護ですが、実際に行うときには以下の注意点を考慮しておく必要があるでしょう。

    バランスよくケアを行う

    自立支援介護で重視されやすいのは、運動だといわれています。そのため、介護職の中には「運動を重視することが重要」と偏ったケアを行うケースも少なくありません。しかし、自立支援介護で大切なのは4つのケアをバランスよく行うことです。どれか1つに偏ったケアとならないよう注意しましょう。

    利用者さんの希望を伺う

    自立支援介護では、利用者さんが自立した生活を送り、自分らしく生きることを大切にしています。しかし、この方法がすべての利用者さんに適切であるとは限りません。まずは利用者さんの希望や身体機能などの状態を把握し、適したサポート方法を検討することが大切です。

    利用者さんに合わせたケアプランを行う

    自立支援介護の指針には、1日に必要な食事量や水分量など、数値で提示されている目標があります。しかし、これはあくまでも一般的な目安であり、すべての方にあてはまるとは限りません。そのため、実際にケアを行うときには利用者さんの生活習慣や体格、持病の有無などを考慮しながらプランを立てる必要があるでしょう。

    自立支援介護で利用者さんの自主性を尊重しよう!

    自立支援介護では、利用者さんが自立した生活を送ることを目指し、適切なサポートを行っていきます。これにより要介護度が改善し、介助がいらない生活を取り戻す方も増えるかもしれません。近年の介護ではこうした自立を促す方法が広がり始めているため、改めて理解を深め、業務に活かしてみてはいかがでしょうか。

  • 介護職向いてない人ってどんな人?辞める前にしておきたいこと

    介護職向いてない人ってどんな人?辞める前にしておきたいこと

    介護の現場では、やりがいを感じる瞬間もあれば、落ち込むこともあるでしょう。そのため、新人・ベテランにかかわらず、どんな方にも「介護職向いてないかも…」と感じる時期は訪れるものです。そこで今回は「介護職向いてない人ってどんな人?」という介護職の疑問にお答えし、辞める前にしておきたいことについてまとめました。今まさに介護の仕事をこのまま続けるべきか悩んでいる方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

    介護職に向いていないと感じやすいのはどんなとき?

    介護の現場で心が折れやすいタイミングには、以下のような例があります。

    • 入社して間もないとき
    • 人間関係でトラブルになったとき
    • 仕事で失敗してしまったとき
    • 体力的に疲れが溜まっているとき

    上の例は、介護職が退職や転職について考えるターニングポイントとなりやすい時期です。このタイミングで「介護職辞めたい…」となった方は、一度落ち着いて考えてみるといいでしょう。

    介護職向いてない人に多い特徴は?

    そもそも介護職向いてない人とは、どのような人なのでしょうか。

    コミュニケーションが苦手

    介護の現場では、日常的に利用者さんや同僚と会話することになります。そのため、人と話すのが苦手な方にとってはストレスを感じやすい仕事かもしれません。

    短気でせっかち

    高齢の利用者さんの介護となると、動作に時間がかかったり、会話がうまくできなかったり、スムーズに進まないことのほうが多いでしょう。そのため、短期でせっかちだと介護職向いてない人といえそうです。

    体力がない

    要介護度の高い方を支える場面が多い介護職は、体力がないときつい仕事。夜勤のある施設もあるため、肉体的な負担が大きすぎて退職する方も少なくありません。

    潔癖症

    介護施設では利用者さんの入浴、排泄介助も行うため、潔癖の方にとっては耐えられない場面が多いかもしれません。

    協調性がない

    介護職は、同僚との連携が必要不可欠な仕事です。一人で勝手に行動すると、取り返しのつかない事故につながることもあります。そのため、協調性に欠ける性格は介護職向いてない人の特徴といえるでしょう。

    優しすぎると要注意?悩みやすい人の特徴

    介護職は利用者さんの立場になってサポートできる、思いやりのある方に向いている仕事です。しかし優しすぎるあまり、ちょっとした失敗でも自分を責めてしまい、「介護職向いていないかも…」とすぐに悩んでしまう方も。ときには相手の立場に立つばかりではなく、自分の気持ちに素直になることも大切です。

    介護職を辞める前に試してみてほしいこと

    介護職を辞めたいと悩んだときには、一度冷静になり、次のことを試してみましょう。

    介護職が向いていないと思う理由を書き出す

    まずは、なぜ介護職が向いていないと思うのか、気持ちを整理してみましょう。「介護職向いてない人」の特徴にあてはまるかどうか、自己分析してもいいかもしれません。ネガティブになっているときは視野が狭くなりがち。客観視することが大切です。

    介護職のやりがいについて考える

    今の仕事にやりがいを感じられるか、考えてみてください。将来、介護の現場で活躍している自分の姿を想像してみるのもいいでしょう。もし、やりがいを感じられない、将来の自分の姿がイメージできないときは、初心に立ち返ってみるのもおすすめ。それでも仕事への気持ちが好転しないときは、退職を検討するタイミングかもしれません。

    身近な人に相談してみる

    信頼できる同僚や上司に相談してみるのもおすすめの方法です。自分の今の境遇を分かっていて、かつ同じ仕事をしている者同士、相談できることは多いはず。話すだけで気持ちが軽くなることもあります。

    気分転換して仕事から離れてみる

    介護の仕事に対して一度「辞めたい」と感じてしまったら、以前のように高いモチベーションを持ち続けて働くことは難しいでしょう。そんなときは、一度仕事から離れてみるのも一つの方法です。寝不足が続いている人は、しっかり睡眠をとることから始めてみましょう。

    まずは自分の適性を見つめ直すことが大切!

    今回ご紹介した「介護職向いてない人」の特徴は、おそらく多くの方が持ち合わせている一面にすぎません。そのため、当てはまるからといってすぐに退職を決めるのではなく、自分の中にある「介護職に向いている部分」を探ってみることも大事なこと。そのためにもまずはしっかりと自己分析をし、自分の適性を見つめ直してみましょう。

  • 介護職に向いている人の特徴とは?施設別の適性についても紹介

    介護職に向いている人の特徴とは?施設別の適性についても紹介

    将来介護職に就きたいと考えている方や転職を考えている方の中には、「自分は介護職に向いているのだろうか」と疑問に思う方もいるでしょう。介護職は、介護を必要とする利用者さんの身の回りのお世話をする仕事です。体力が必要だったり細かいことに気を配らなければならなかったりと大変な仕事ですが、やりがいのある仕事ともいえます。そこで今回は、介護職に向いている人の特徴や施設別の適性について見ていきましょう。

    介護職に向いている人の特徴とは

    早速、介護職に向いている人の特徴について紹介していきます。「該当する項目が少ないから」とすぐに諦める必要はありません。介護職に向いている人の特徴を意識しながら行動すれば、少しずつ性格が変わっていくこともあるからです。

    介護職に向いている人の特徴を参考に、介護職への就職について考えてみましょう。

    人と接するのが好きでコミュニケーション能力が高い

    人と接することを苦痛だと思わず、コミュニケーション能力が高い方は、介護職に向いているといえます。介護の現場では、利用者さんや利用者さんの家族との交流や、スタッフ同士の連携が必要です。

    コミュニケーションを取りやすい介護スタッフだと認識されると、利用者さんとの信頼関係も築きやすくなります。何を話したら良いのか分からないと感じる方は、まずは聞き上手になることを意識すると良いでしょう。

    また介護の現場では、同じ施設の職員だけではなく、医師や看護師などと接することもあります。スタッフ間の連携が取れていないことで困るのは利用者さんです。利用者さんに快適に過ごしてもらえるよう、日頃からさまざまな方と交流しておきましょう。

    観察力が高い

    利用者さんの健康管理をするのも介護スタッフの仕事です。利用者さんのちょっとした変化に気づける観察力が必要といえます。些細な変化に気づけると早めに対処でき、悪化すること防げるからです。

    また、利用者さんに合わせて個別に対応した介護ができるようになれば、利用者さんは快適な介護サービスを受けられ、介護スタッフはスムーズな介護サービスを提供できるでしょう。

    明るく元気で、オンオフを分けられる

    介護施設には、病気で気持ちが落ち込んでいる利用者さんもいます。また毎日同じような生活で、張り合いがないと感じている方もいるでしょう。そういった場合に、暗い印象の介護スタッフが介護サービスを行いに来たら、利用者さんはどう感じるでしょうか?

    きっとさらに気持ちが落ち込んだり、嫌な気持ちになったりするはずです。利用者さんの気持ちを晴らすためにも、介護スタッフは常に明るく元気に、そして笑顔で接するように心がけましょう。

    重労働といわれる介護職ですが、仕事と私生活の切り替えをしっかり行い、明るく元気に働くことで、スタッフ間のモチベーションも高くなります。

    健康で体力がある

    介護スタッフには、健康と体力が欠かせません。介護職では、不規則なシフト制だったり夜間勤務があったりするケースも。利用者さんの身体を起こす、移動のサポートをするという動作では体力も必要です。

    また一般的には、免疫力が低下している高齢の利用者さんをサポートするため、介護スタッフ自身の健康管理もしなければなりません。介護スタッフから利用者さんへ風邪をうつすということを防ぐためです。

    思いやりがあり、気配りができる

    介護施設は、さまざまな環境で生活してきた利用者さんが集まった空間です。考え方も習慣も異なります。また介護サービスを受けることに抵抗を感じている方もいるかもしれません。

    人生の先輩であることを意識して利用者さんの自尊心を傷つけないように敬い、思いやりを持って行動できる方が向いています。

    <介護施設別>向いている人の特徴

    介護施設の種類はさまざまです。介護職といっても、各施設によって利用者さんの状態が異なるため、専門分野や向いている人の特徴が違います。ここでは、介護施設別の向いている人の特徴を見ていきましょう。

    デイサービス

    デイサービスは、半日や数時間など日中利用する施設で、基本的には自宅で日常生活を送る方が対象です。デイサービスでは、機能訓練などを実施することもあります。

    デイサービスの介護職に向いている人は、利用者さんを楽しませたりすることが好きな方や、レクリエーションなどの企画力がある方などです。

    訪問介護

    訪問介護では、利用者さんの自宅に訪問して介護サービスを提供します。基本的には1人で訪問するため、利用者さんとマンツーマンになることがほとんどです。そのため、コミュニケーション能力が高い方、観察力が高い方が向いているでしょう。

    特別養護老人ホーム

    要介護状態にある利用者さんが入居している施設で、土日祝日関係なく介護サービスを行います。食事や排泄、入浴などの介護サービスを提供する必要があるため、専門的な知識や技術を要するでしょう。

    さまざまな利用者さんがいるため、明るく元気がありコミュニケーション能力が高い方が向いています。また、不規則なシフトも考えられるため健康や体力に自信がある方にも合うでしょう。

    経験を積むことで介護職に向いている人になれるかも

    少し引っ込み思案だったり、どんな会話をしたら良いのか分からなかったりする方も経験を積むことで変わってくることもあります。「自分は向いていないのかしら…」と悩むのではなく、介護職に向いている人になれるように、スキルアップを目指して資格を取得するなど、今できることが始めてみましょう。

  • デイサービス連絡帳は不要?ご家族と円滑にコミュニケーションするには?

    デイサービス連絡帳は不要?ご家族と円滑にコミュニケーションするには?

    利用者さんの様子を伝えるデイサービス連絡帳。ご家族とのコミュニケーション手段の1つとして使われていますが、最近は「連絡帳は不要だ」と考える方もいます。連絡帳を継続するのであれば、有効に使っていきたいものです。そのためには、どのような点を意識して書けばいいのでしょうか?今回はデイサービス連絡帳を書くときのコツをご紹介します。連絡帳の書き方に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてくださいね。

    デイサービス連絡帳は不要?

    デイサービス連絡帳を書くのは時間と労力が必要ですが、「ときどきしか見ない」というご家族もいます。そのため「連絡帳にかかる手間を利用者さんのために使いたい」と、デイサービス連絡帳を廃止する施設も。

    しかし、[btp_line]連絡帳は利用者さんの普段の様子を伝えるための大切な手段[/btp_line]です。どうしても伝えなければならないことは電話や口頭でお伝えしますが、緊急性を要さない日常の様子を伝えられるのは連絡帳の強みでしょう。日々の記録を読むことを楽しみにしているご家族もいます。大切なのはご家族が目を通したくなる内容にすることです。

    では、次に連絡帳を書くときのコツを解説していきましょう。

    コツ1: 相手意識を持って書く

    まずは連絡帳を読む方を意識することです。利用者さんの奥様、お子様、ヘルパーなど連絡帳を読む方によって内容を調整することをおすすめします。ご家族であれば日常の様子に加え、介護のアドバイスをつけ足しても良いかもしれません。主にヘルパーが見るのであれば、介助時に知っておいたほうがいい点を書いておくと良いでしょう。

    コツ2: 知りたい内容を書く

    デイサービス連絡帳を読む相手が「何を知りたいか」を把握することも大切です。施設での様子をくわしく知りたいのか、ポジティブな情報だけを知りたいのかは、その方によって違います。ご家族の思いについては、面談や送迎時の会話から推察してみるのがおすすめです。

    ただし、くわしく知りたいと思うご家族の方であっても、「家に帰りたいと大声をあげていました」「同じ発言を繰り返していました」など、不安になるような内容は避けましょう。

    コツ3: デイサービス連絡帳のテンプレートを活用する

    連絡帳にどんな内容を書いたらいいか、何から書き始めたら良いかと迷う方もいますよね。最後にデイサービス連絡帳で使えるテンプレートの文例をご紹介します。決まった型を利用すれば時間短縮にもつながり、その分利用者さんと関わる時間を増やせるでしょう。文例を参考に、利用者さんに合った内容に書き換えてみてくださいね。

    季節の挨拶

    「桜も満開になり、のどかな春の季節となりました」
    「連日の猛暑が続いておりますが、お身体に気をつけてお過ごしください」
    「山の木々が色付く秋となりましたね」
    「立春とは名ばかりの寒さが続いております」

    レクリエーション

    「楽しそうに歌を歌われ、周りの方に当時の思い出話をされていました」
    「玉入れでは3球ほど玉をかごに入れられ、大変喜んでおられましたよ」
    「折り紙が得意な利用者さんに教わり、花や鶴などを作っていらっしゃいました」

    入浴

    「腰のあたりが痛いとお聞きしていましたが、入浴後は痛みが和らいだとおっしゃっていました」
    「今日は一段と寒かったので、お風呂に入って体の芯からあたたまったと笑顔で語られていました」
    「入浴後、伸びていた爪をカットさせていただきました。ご自宅で爪切りが難しいときはいつでもご相談ください」

    機能訓練

    「椅子を使った立ち上がり動作の訓練を行いました。繰り返し行うのが難しそうでしたが、最後まで励んでおられました」
    「平行棒での歩行訓練ではしっかりと足を上げたり、スクワットを行ったりしました」
    「持久力アップのためのマシントレーニングを実施しました。いつもより時間がかかりましたが、一生懸命取り組んでおられました」

    デイサービス連絡帳は書き方次第で信頼関係を築く一助となる!

    デイサービス連絡帳は利用者さんの様子をご家族に伝えるための手段の1つです。一人ひとり書き分けるのは手間がかかりますが、うまく活用できればご家族との信頼関係を築く一助となります。テンプレートを活用すれば、「何をどう書けばいいんだろう」と悩む時間も減り、時短にもつながるでしょう。相手意識を持ったデイサービス連絡帳で、利用者さんやご家族との良好な関係を作ってくださいね。

  • 介護技術の研修はベテランにも必要!スタッフの介護観を統一しよう

    介護技術の研修はベテランにも必要!スタッフの介護観を統一しよう

    この記事では、なぜ新人だけでなく、ベテランスタッフにも介護技術の研修が必要なのかを解説します。研修は新人スタッフが受けるもの、と思っている方も多いでしょう。しかし、ベテランスタッフも研修を受けることで、知識や技術向上につながります。また、研修によって事業所内の介護に対する認識や介護レベルの均一化も図れるでしょう。研修に取り入れるべき内容や、スタッフが研修内容をしっかり身につける方法も紹介します。

    介護技術の研修が必要な理由

    まずは、新人だけでなく、ベテランスタッフにも介護技術研修が必要な理由をくわしく紹介しましょう。

    介護技術の向上・スタッフレベルの均一化

    介護技術研修の大きな目的の一つが、[btp_line]スタッフの知識やレベルを均一化[/btp_line]させることです。そのためにはまず「介護」について、全員が正しく理解しておかなければいけません。

    介護用語の意味がわからないから、と勝手な解釈で仕事をしてしまうと、ほかのスタッフや利用者さんとの間で誤解が生まれる恐れがあります。そしてそれが、クレームや事故につながるかもしれません。また、それぞれが自己流の介護を行うと、やり方やレベルがスタッフによってバラバラになってしまいます。OJTやマネジメントが機能しなくなる可能性も出てくるのです。

    このような事態を防ぐために、研修でスタッフ全員の介護観や介護技術を統一させなければいけません。

    新しい知識を得て仕事に活用するため

    研修を受けることで、新しい知識や技術が身についたり、今まで気づかなかったことに気づけたりします。

    特に介護現場では、介護者の知識が利用者さんの生活の質に大きくかかわってくるのです。例えば、知識不足や技術不足を補おうと、力任せの介助をしてしまった場合、利用者さんは介護に痛みや苦痛を感じる可能性もあります。

    また、過剰な介護により利用者さんの機能を使う機会を奪ってしまう…というケースもあるでしょう。これは、利用者さんの身体機能を低下させる原因につながりかねません。

    反対に、新しい知識や技術を習得し現場で実践できれば、利用者さんがより快適な生活を送ることができるのです。新しい知識や技術に触れることで自分自身も成長でき、仕事のモチベーションもあがるでしょう。

    偏ったモノの見方を防ぐため

    「自身が働く事業所」という狭い世界の中だけで情報交換をしていると、いつの間にかモノの見方が偏ってしまう…ということがあります。

    そこでおすすめなのが、外部研修で他事業所のスタッフと交流したり、外部から講師を招いたりすること。事業所外の方からの講習では、新たな情報や新しい視点でモノを見る方法を学ぶことができるでしょう。

    介護技術研修で行うべき内容とは

    続いて、介護技術研修で行うべき内容を具体的に紹介します。

    介護についての基礎知識でスタッフレベルを均一化

    前述した通り、研修の目的の一つは、スタッフの介護観や技術レベルを均一化させることです。そのためには、「介護」についての基本的かつ正しい知識についての研修が必要不可欠でしょう。

    現在、「自立支援」と「自律支援」の違いを明確に答えられない介護スタッフも多い…と聞きます。

    「自立支援」とは、誰の手も借りることなく一人で行うことです。一方「自律支援」とは、他人の手助けの有無は関係なく、自分の意志でコントロールすることを意味します。

    例えば、車いすを介護スタッフに押してもらって移動している利用者さんがいるとしましょう。もしも、「車いすで移動すること」を利用者さんが決めたのであれば、その方は「自律している」といえるのです。つまり、この利用者さんは「自律支援」を受けていることになります。

    このように、言葉の意味の違いをしっかりと理解しておかなければ、利用者さんの心に寄り添った介護はできません。介護の基礎知識をしっかりと学び、定期的に復習することこそ、質の良い介護の第一歩といえるのです。

    OJTで新人スタッフと指導者のスキルを上げる

    新人スタッフに、業務を実際に体験しながら仕事を覚えてもらう「OJT」も欠かせません。OJTを行うことで、現場で必要とされるスキルや知識が身につきます。また、研修内容と実際の業務にズレが生じにくいメリットもあるでしょう。

    OJTは通常1対1で行われるので、個人に合わせたスピードで研修することができます。

    さらに、OJTは指導者側にも大きなメリットがあるのです。OJTの指導担当者は「いかに相手に理解してもらえるか」を考えながら仕事を行うので、指導力や業務への理解度が向上するでしょう。

    マネジメント研修で管理職に必要な知識を学ぶ

    勤続年数の長いスタッフを管理職に抜擢する介護事業所は少なくありません。しかし、管理職に必要な技術や知識が身についていないと、いざ管理業務を行っても「どうすればいいんだろう…」と戸惑ってしまいます。

    そのような事態を避けるために、中間管理職および管理職に必要な知識やスキルを学ぶ「マネジメント研修」を導入することも大切です。

    介護技術の研修内容をしっかり身につける方法

    最後に、研修内容をしっかり身につけ、業務へと活かすにはどうすればいいのかを紹介しましょう。

    変化を恐れず向上心を持つこと

    介護技術に限らず、業務のスキルアップに大切な心構えは、現状に満足せず、常に向上心を持つことです。

    新しい知識や技術、介護方法を学んで実践することは、ときに負担を感じたり、「面倒だな」と思ったりすることもあります。しかし、前向きにチャレンジすることで自分自身が成長していることを感じ、積極的に仕事に取り組めるようになるでしょう。

    介護技術や情報は、常に新しいモノが生み出されています。時代の変化についていくためにも、自分自身をアップデートするように努めましょう。

    広い視野で情報収集する

    介護職で学ぶべきことは、基礎知識から実践的なスキルまで多岐にわたります。それらのすべてを習得するためには、広い視野を持つことが大切です。例えば具体的な介護方法だけでなく、ICT技術に関する知識やレクリエーションに関する知識など、さまざまな情報をインプットすることで、仕事にも幅を持つことができます。

    また、一見介護には関係のないようなことでも、利用者さんとのコミュニケーションに役立つかもしれません。日頃からさまざまな分野に対してアンテナを張り、情報を収集するようにしましょう。

    定期的な介護技術研修でスキルアップしよう

    介護の世界は、時代と共に常に変化を遂げています。変化にしっかり対応するためには、[btp_line]知識や技術の向上[/btp_line]を心がけなければなりません。そこで重要になるのが、介護技術の研修です。研修で新しいことを学び、業務に活かすことで、質の良い介護を実現するだけでなく、スタッフの介護観とスキルの均一化も図れるでしょう。

  • 介護技術の向上を目指す!スキルアップのためにできる8つの方法

    介護技術の向上を目指す!スキルアップのためにできる8つの方法

    介護スタッフとして働く以上、目指すべくは[btp_line]介護技術の向上[/btp_line]です。介護技術の向上により、利用者さんが満足でき、自分の負担を軽減したりキャリアアップできたりと、メリットはたくさん。しかし、どのようにして介護技術を向上させていけばいいのかわからない方も少なくないでしょう。そこで今回は、介護技術の向上のためにできることを詳しく解説していきます。身に付けるべき技術や身に付け方を理解して、スキルアップを目指してみてはいかがでしょうか。

    介護技術の向上の重要性

    体の動かし方や日常支援といった介護技術には、すべて目的と根拠があります。体の力学的原理を活用し、無理なく動作ができるボディメカニクスがいい例です。正しい技術を身に付けることで利用者さんは楽に動くことができ、介護スタッフ自身も、腰をはじめ体への負担を最小限にすることにつながります。

    介護技術は介護スタッフと利用者さんの両方が負担なく過ごすためのものであり、介護技術の向上は介護スタッフとして働くうえでの重要な課題です。ついスピードや効率を重視してしまいがちですが、介護の仕事においては、利用者さんが安全かつ自然に動ける状態をつくるという点に重きをおく必要があるでしょう。

    介護スタッフに必要な知識やスキルとは

    では、介護スタッフに必要な知識やスキルには具体的にどんなものがあるのでしょうか。

    介護技術や実技

    介護スタッフに最も重要なスキルが、介護技術や実技です。食事や移乗、更衣、入浴など、介護にはいろいろな場面があり、それぞれに正しい方法があります。利用者さんの介護生活のクオリティの差は、介護スタッフの介護技術に左右されるといっても過言ではありません。正しい方法で介護をすることで、利用者さんはもちろん、介護スタッフの負担を軽減することにもつながります。

    また、介護技術や実技は、一度身に付けたら終わりというものではありません。いつの間にか自己流になってしまうことを避けるためにも、正しく身に付いているか定期的に確認する必要があるでしょう。

    観察力と判断力

    介護スタッフは、介助をするだけでなく体調や精神状態を観察し、変化が見られるようなら都度対応していくのが役割です。手際よく介助しながらも利用者さんをきちんと観察し、違いを察知できると、介護の質の向上にもつながります。

    観察しどうすべきかを考える、判断する力も大切です。解決方法は利用者さんの数だけあるのが、介護の難しいところでしょう。判断力はすぐにどうにかなるものではありませんが、仕事や先輩スタッフの行動を通して、少しずつ身に付けていく必要があります。

    コミュニケーション力

    対人の仕事である介護職では、コミュニケーション力も必要です。相手を敬い寄り添ったコミュニケーションが求められるという前提を理解しておく必要があるでしょう。

    円滑に介助するためには、コミュニケーション力は欠かせません。利用者さんの表情や言葉から、喜怒哀楽や生活スタイル、性格を把握していきながら、信頼関係を構築していきます。利用者さんの家族とも、情報を共有するためにコミュニケーションをとる場面も少なくありません。

    介護技術の向上のための8つの方法

    介護技術の向上によりスキルアップしたい!そんなときには具体的にどんなことに取り組んでいくのがいいのでしょうか。8つのポイントをご紹介します。

    マニュアルの根拠を考える

    施設には業務のマニュアルが用意されており、基本的にはそれに基づいて業務を行っていきます。まずはその根拠を考えてみることから始めましょう。マニュアルを覚えることはしても、根拠まで考え理解している方はそう多くないはずです。

    「なぜこの支援が必要なの?」と疑問を持ったまま業務にあたるのと、根拠が理解できているのとでは、大きな差があります。当たり前に行っている日常業務の目的と根拠を理解することで、介護技術も高まるでしょう。

    先輩スタッフの技術を見て真似る

    先輩スタッフの介護技術を見て真似るのも、スキルアップの一環です。先輩スタッフが利用者さんのどんなところを見ているのか、どう判断して対応しているかを理解することで、自然と対応力が身に付いていきます。

    利用者さんの観察と合わせて、尊敬できる先輩スタッフの動きを観察するのもいいでしょう。

    勉強会やセミナーに参加する

    勉強会やセミナーに参加することも、スキルアップに役立ちます。勉強会やセミナーは講習型・体験型と、さまざまな形態で行われているのが特徴です。最近ではオンラインセミナーも実施されており、直接足を運べないときでも自宅などから参加できます。

    新たな知識を学ぶだけでなく、これまでの理解の再確認にもつながるでしょう。参加者同士で悩みを共有する、他の施設の情報を得るなどのいい機会にもなります。

    本や動画で学ぶ

    介護の知識や技術についての本や動画を見るのもおすすめです。自分の好きなタイミングで、自由に学ぶことができるでしょう。本や動画を見ることで満足してしまうこともあるかもしれませんが、インプットだけでは知識を理解するにとどまり、身に付きにくいという側面があります。

    インプットのあとは必ずアウトプットすることを心掛け、自分の知識や技術にできるよう実践していくことが大切です。

    介護技術を競う大会に参加する

    最近、介護福祉会などが開催する介護技術を競う大会も多くあります。大会により競う内容はさまざまですが、介護スタッフとしての腕を試すいい機会になるでしょう。大会でいい結果を出したいというモチベーションも、スキルアップの糧になります。

    また、他の施設の介護スタッフと競い合うことも、介護技術の向上につながるいい刺激にもなるはずです。

    利用者さんと積極的にコミュニケーションをとる

    利用者さんとの積極的なコミュニケーションも、スキルアップにつながります。どう接すればいいのかわからないときこそ、挨拶を忘れない・丁寧な言葉遣い・笑顔と前向きな言葉を発するなど、コミュニケーションの基礎を怠らないことが大切です。

    また、常日頃から意識しておきたいのが、利用者さんの立場になって考えるということ。表情や言葉、雰囲気などから利用者さんの気持ちを想像すると、接し方や求めているケアが読み取れるようになります。

    資格取得を目指す

    介護技術の向上の主だった方法のひとつに、資格取得が挙げられます。資格取得に向けた勉強や演習を通し、新たな知識や技術を身に付けることにもなるでしょう。介護に関する資格は複数あるため、自分のレベルに合わせてステップアップしていくのがベストです。

    施設によっては資格取得の費用を補助してくれたり、シフトを調整してくれたりすることもあります。資格手当が支給される施設であれば、仕事のモチベーション向上にもつながるでしょう。資格取得により仕事の幅を広げることもできるかもしれません。

    視野を広げる

    介護は日常に根差しているため、目の前にあることだけでなく、さまざまなことに興味を持って情報収集していくことが大切です。視野を広げることにより、利用者さんと話が弾んだり、レクリエーションに役立ったりと、日常業務につながることもしばしば。

    また、他の業務に興味が広がることもあるでしょう。介護に関係あるなしを問わず、広くアンテナを張っておくよう、意識するのがおすすめです。

    ひとつずつ積み重ねて介護技術の向上を目指そう

    介護技術の向上は、利用者さんと自分の負担を減らすことにもつながります。将来的にキャリアアップしたいと考えているなら、まずは、介護技術の向上から。介護技術の向上のためにできることはたくさんあります。自分にできることから、ひとつずつ取り組んでいくのがいいでしょう。

  • 介護職が身に付けたい介護技術とは?実践で役立つボディメカニクスも解説

    介護職が身に付けたい介護技術とは?実践で役立つボディメカニクスも解説

    介護技術とは、介護職に必要とされる基本的なスキルのひとつです。介護施設においては、正しい介護技術を身に付けることが、利用者さんはもちろん、介護者自身の負担軽減にもつながります。そこで今回は、介護技術の概要や介護現場で求められる具体的な技術をシーン別にご紹介。さらに、介護者自身の身体的負担の軽減につながるボディメカニクスの原理と、実践に役立つ8つの原則についても解説します。

    介護技術とは?最も大切なことは安全!

    介護技術とは、介護者と利用者さんの両者が負担なく過ごすために必要なあらゆるスキルのことです。介護技術においては、効率やスピードではなく、安全を最優先に利用者さんの体の動きに合わせることを重視します。

    また、介護技術とは利用者さんを介助するためだけにあるものではありません。そもそも介護職は、高齢者や要介護者などの身体介護と生活援助を目的としています。つまり、利用者さんの自立を支援するため、できない部分だけ介助することも介護技術の大切なポイントです。

    【シーン別】介護現場に必要な介護技術

    介護現場で主に必要となる具体的な介護技術を、シーン別にご紹介します。

    【食事】誤嚥を起こさないよう介助する

    食事の介助は、介護者が利用者さんの隣に座って行います。食べ物を口へ入れる際には、スプーンを下から運ぶのが鉄則です。食べ物を上から口に入れると誤嚥しやすくなるため注意しながら介助します。食事中は常に声掛けを行い、利用者さんが食べ物を飲み込んだ様子を確認しつつ、ゆっくりと食事を進めるのが基本です。また、咀嚼中に声を掛けると誤嚥を招く危険性があるため、慎重に行う必要があります。

    【更衣】麻痺側から着て、健側から脱ぐのが基本

    更衣の介助は、利用者さんが無理な体勢になっていないか、不快な気持ちにさせていないかなど、状況を確認しながら進めます。片麻痺がある利用者さんの場合、麻痺側から着て、健側(麻痺がない側)から脱ぐのが基本です。

    【入浴・整容】脱衣室と浴室を事前に温めヒートショックを予防

    入浴前に、利用者さんの体温や血圧、体調などに変化がないか確認します。また、急激な温度変化によるヒートショックを起こさないよう、脱衣室と浴室は事前に温めておくなどの工夫も必要です。入浴方法は半身浴が基本。体を洗うときには、心臓に負担がかかりにくい手先・足先から進めます。

    【排泄】プライバシーへの配慮を念頭に

    排泄介助には、トイレ介助や便器・尿器を使用する介助、おむつ交換などがあります。重要なのは、排泄介助に対して羞恥心や嫌悪感を覚える利用者さんが多いということです。そのため安全面はもちろん、利用者さんの自尊心を傷つけないよう、プライバシーに配慮することも必要なスキルといえるでしょう。

    特にトイレ介助の場合は、できるところは利用者さんご自身でやってもらうというスタンス。便器・尿器を使用する介助やおむつ交換の場合は、清潔かつスピーディに行います。

    【移動(歩行・移乗)】重心を移動させながら安全に行う

    移動に関する介助には、歩行や移乗などがあります。

    歩行介助とは転倒防止のための介護技術介護者は利用者さんの利き手と反対側の斜め後ろに立ちます。歩く際は利用者さんが歩行するリズムに合わせ、重心を移動させながら介助するのがポイントです。

    また、介護には移乗の介護技術も欠かせません。移乗とは、ベッドから車椅子へ、車椅子から食事用の椅子へ、便座や浴槽などへ乗り移ることです。片麻痺がある場合は、車椅子を健側に設置し安全に移乗が行えるよう介助します。

    介護者の負担軽減につながるボディメカニクスとは?

    介護技術は、「介護者に身体的な負担がかかる」「大きなパワーが必要」というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。実は、ボディメカニクスという身体機能の力学的原理を活用することで、介護者の負担を大幅に軽減することができます。

    では、介護に役立つボディメカニクス8つの原理をご紹介しましょう。これらの原理を理解し、実践することで、最小限の力でスムーズに介護を行えます。

    原理1:重心を下げる

    膝を曲げて重心を下げることで安定感がアップし、腰にかかる負担を軽減できます。

    原理2:利用者さんと重心を近づける

    利用者さんと介護者の重心が近いほど、移動がしやすくなります。つまり、両者の体を密着させることが大切です。

    原理3:テコの原理を利用する

    小さな力で重いものを動かすことができるテコの原理を利用します。利用者さんの肘や膝、尻を支点にすることで、小さな力で持ち上げる・起こすことが可能に。

    原理4:支持基底面積を広く取る

    支持基底面積とは、体を支えるために必要な床面積のことです。両足を左右・前後に開いて支持基底面積を広く取ることにより、安定感がアップします。

    原理5:移動は水平に

    重力に逆らって上へ持ち上げようとすると、介護者の腰に大きな負担がかかることになります。移動の際は水平に動かすことで、より少ない力で移動させることが可能です。

    原理6:利用者さんの体を小さくまとめてもらう

    利用者さんの腕や足を組み、体を小さくまとめてもらうことで力の分散を防ぐことにより、介護者の負担を軽減することができます。

    原理7:大きな筋肉を使い、体全体を利用してケアを行う

    背中や太もも、腰など大きな筋肉群を意識し、体全体を使うことで、筋肉にかかる負担を分散することが可能です。腕や腰だけなど、1点に負担が集中しないよう注意しましょう。

    原理8:利用者さんを手前に引く

    押すより引く方が力の分散を防ぎ、少しの力で済みます。利用者さんを手前に引くようにすることを意識して介助を行いましょう。

    介護技術を向上させるためのポイント

    介護職にとって介護技術とは、すべての基礎となる重要なものです。また、一度学べば完結するものではなく、常に磨き続ける姿勢が大切です。そこで、介護技術を向上させるためのポイントを3つご紹介しましょう。

    ポイント1:コミュニケーション能力をつける

    利用者さんに寄り添った介助を行うためには、相手の様子や発言から気持ちをくみ取る力が必要です。そのくみ取る力は、普段のコミュニケーションから育まれます。つまり、コミュニケーション能力を養うことは、介護技術の向上に直結するといえるのです。利用者さんと接する際には、不快な思いをさせることのないよう節度を持ったコミュニケーションを心掛けることも忘れずに。

    ポイント2:セミナーや勉強会に参加する

    セミナーや勉強会などに参加して、最新情報を得たり、知識を深めたりすることは、介護技術向上に大いに役立ちます。また、参加している同業者と会話をしたり、悩みを共有したりすることで、日頃から抱えていた問題や不安を解消できることもあるでしょう。

    最近では、オンラインセミナーも多数実施されています。直接会場へ足を運ぶことが難しい方でも参加しやすい環境が整っているため、ぜひ参加してみてください。

    ポイント3:習得した知識や技術を現場で反復する

    セミナーや勉強会などで得た知識や技術も、頭の中やメモ書きに残しておくだけではあまり意味がありません。実際の介護現場でなるべく早く実践し、くり返することを心掛けましょう。

    介護職の基盤となる介護技術の向上を目指そう

    介護技術とは、排泄・食事・移動・更衣など介護現場のあらゆるシーンに必要な技術です。利用者さん・介護者双方の負担軽減のため、介護技術向上を常に心掛けましょう。また、介護者の身体的負担を軽減するためには、身体機能の力学的原理を活用したボディメカニクスの原理を理解し、実践することも大切です。

  • 介護施設の管理職の役割とは?重要なのはマネジメント能力

    介護施設の管理職の役割とは?重要なのはマネジメント能力

    人手不足が続いている介護業界では、離職率が高いこともあり、職務経験年数が3年程度でも管理職に就任するケースがあります。実力が伴わないうちに管理職を任されることになりますが、管理職を早く経験することでキャリアップや報酬アップのチャンスになると前向きに捉え、取り組むのもひとつの方法です。そこで今回は、管理職になった介護施設職員が知っておきたい、現場のマネジメント方法をご紹介します。

    管理職になるための資格は必要?

    施設の種類や形態によって、管理職として任される仕事内容が異なります。管理職になるためには、管理者資格などは必要なのでしょうか?ここでは、管理職になるために必要な要件を確認していきましょう。

    【資格が必要な施設】

    1. 介護老人健康施設…都道府県知事から承認を受けた医師
    2. グループホーム・小規模多機能ホーム…指定施設の従業者および訪問介護員で、認知症に関する介護経験が3年以上。認知症対応型サービス事業管理者研修修了者

    【資格不要の施設】

    1. 特別養護老人ホーム
    2. 有料老人ホーム
    3. サービス付き高齢者向け住宅
    4. デイサービス

    上記で紹介したように、特別な資格を持っていなくても、管理職として働くことは可能です。資格が必要と記載してある施設の場合でも、経験年数や研修を完了していることなどの条件をクリアすれば、管理職に挑戦できる場合もあるでしょう。

    介護施設の管理職の主な仕事内容は?

    介護施設の形態によって異なりますが、主にマネジメント業務を行うことになります。ここからは、管理職の主な仕事内容について見ていきましょう。

    介護スタッフの採用や育成

    管理職にとって重要な仕事のひとつが、介護スタッフの採用や育成です。介護施設でのサービスを充実したものにするためには、スタッフの育成を充実させることや、優秀なスタッフを配置するようにします。

    介護スタッフのシフト作成や勤怠管理

    介護の現場では、日勤だけでなく夜勤も含めた2交代制でシフトを組んでいる場合が多いです。そのため、夜勤明けは2日休むなど、過剰な連続出勤にならないようにシフトを作成し、勤怠管理をするのも管理者の仕事となります。

    労働環境を整える

    介護スタッフが働きやすいよう環境を整えるのも、管理者の仕事です。人手不足によって過重労働などが問題視されている業界なので、残業が発生しすぎていないかなどを含めた労働時間の管理も大切。介護スタッフの現状を把握し、働きやすい環境に整えます。

    施設の運営関連業務

    例えば、介護保険法や厚生労働省の省令などの改正は、施設の運営に直接関わる部分です。管理者は施設の運営を円滑にするためにも、常に最新の情報を把握する必要があります。省令の改正によって書類の提出などが必要な場合は、管理者が対応することが多いです。

    利用者さんからの相談対応やご家族との面談

    利用者さんが入居する際はもちろん、退去する際にもご家族と面談を行い対応します。入居する前であれば、健康状態の確認を行い、利用者さんの状態に合った最適なケアプランであるかなどをチェックしましょう。入所中も、さまざまな利用者さん・ご家族から相談を受けることがあるので、その都度臨機応変に対応する必要があります。

    外部の業者とのやり取り

    介護用品の販売会社や備品の卸業者など、外部の業者が来訪した際には管理者が対応することが多いでしょう。業者と良好な関係を築くことはもちろん、利用者さんが快適に過ごせるように備品などを発注することも大切な仕事です。

    収支管理業務

    利用者さんの契約内容の把握や、経費の管理なども管理者が担当する場合が多いです。介護サービスの収入は、利用者さんの利用料や介護保険の介護報酬などからまかなっています。管理者は無駄な支出がないように日頃から意識しておくことが大切です。

    介護施設の管理職に求められる能力

    介護施設の管理職にはさまざまな能力が求められますが、中でも特に重要視されている能力をピックアップしてご紹介します。

    施設全体をマネジメントする力

    利用者さんが安心して過ごせるよう適切なサポートするためには、管理者が施設全体の状況を把握することが大切です。施設全体の状況に合わせて、介護スタッフを採用し、適切な役割分担で配置を行うことで、利用者さんの満足度も高まるでしょう。

    介護スタッフの育成や指導力

    介護スタッフの育成も管理者の大切な仕事です。介護スタッフのタイプに合わせて、育成マニュアルを作成し定期的に面談などを行うことで、的確な指示が出せ、信頼を得ることができるでしょう。

    リーダーシップや統率力

    介護施設全体をまとめるリーダーシップ力も重要です。全体を把握したうえで明確な目標を設定し、組織を統率する力も求められます。リーダーシップを発揮することで、他の介護スタッフから、「この管理者から学びたい」などと尊敬されるようになるのが理想です。

    介護に関する専門的な知識

    管理者になるには、介護保険や介護サービスなど、介護に関わる専門的な知識が必要です。しっかりと内容を理解しておくことで、介護スタッフなどから出た要望が法令には触れない方法なのだろうか、など自身で確認することが可能になります。

    コミュニケーション力

    介護スタッフが、利用者さんや利用者さんのご家族に対して、円滑なコミュニケーションをとれるようにサポートするのも管理者の役目です。管理者は、指導や指示をするだけでなく、コーチングなども取り入れ、スタッフの能力を引き出すことが大切となります。

    金銭管理の能力

    介護施設に無駄な出費があるかどうかや人件費の見直しが必要かなど、見極める力も管理者には必要です。また、支出が減らせないと判断した場合には、広報活動や営業活動を行って利用者さんを獲得するなども金銭管理能力の一部といえるでしょう。

    介護施設の管理職はやりがいのある仕事!

    介護施設の管理職には、介護のスキルや知識だけでなく、さまざまな能力が求められることがわかりました。マネジメント能力やリーダーシップ力、または金銭管理能力やコミュニケーション力など、身につけておくことで確実にキャリアを積むことができ、自信に繋がるはずです。介護の業界でレベルアップを目指すなら、ぜひチャレンジしてみてください。

  • 介護福祉士落ちた…不合格の原因と学習方法のポイント

    介護福祉士落ちた…不合格の原因と学習方法のポイント

    介護職の国家資格として知られる介護福祉士。受験のために勉強に励んできたものの「介護福祉士落ちた…」とガッカリしている方もいるのではないでしょうか。今回は、介護福祉士国家試験で思うように力を発揮できなかった方へ向けて、不合格となる原因や学習方法のポイントをお伝えします。キャリアやスキルアップのために介護福祉士を目指す方は、ぜひご覧ください。

    介護福祉士は誰でも受かる?合格率をチェック

    厚生労働省の発表によると、2021年度「第34回介護福祉士国家試験」の合格率は72.3%となっています。過去のデータから見ても[btp_line]合格率はおよそ70%前後[/btp_line]であるため、そこまで難易度は高くないと感じるかもしれません。

    しかし、介護福祉士国家試験の受験には実務経験もしくは特定の教育機関の課程を修了することが条件となります。専門知識を身につけた受験者の約30%が不合格となっていることを考えると、誰でも受かる試験とは言い難いでしょう。確実に合格するためには、相応の対策が必要になります。

    なお、第35回介護福祉士国家試験の合格発表日は、2023年3月24日(金)です。

    介護福祉士試験に落ちる理由とは?

    介護福祉士国家試験に落ちてしまうケースには、どのような理由があるのでしょうか。

    勉強時間が足りていない

    介護福祉士国家試験の受験者の中には、介護の現場で働きながら資格取得を目指す方が多くいます。介護福祉士になるためには専門的な知識が広く必要になるため、新たに覚えなくてはならないことも満載です。しかし、働きながらだと十分な勉強時間を確保できず、不合格となるケースもあるようです。

    専門知識をしっかり理解できていない

    介護福祉士国家試験は、マークシート方式で出題されます。しかし、用語や制度についての理解が甘いと、解けない問題が多くなるため注意が必要です。いくつかの選択肢の中から答えを選べるとはいえ、付け焼き刃の知識では太刀打ちできない試験であることを肝に銘じましょう。

    実務経験がない科目にしっかり取り組めていない

    介護福祉士国家試験では、多岐にわたる試験科目が出題されます。介護職に携わる方の場合、自分の業務に関わる科目は理解しやすいものの、実務経験のない分野に戸惑うこともあるのでしょう。筆記試験での合格基準は、試験科目全てに得点があることが条件となります。実務経験がない科目への理解が乏しいと、試験に落ちる可能性が高まるので注意しましょう。

    介護福祉士合格に導くための勉強法とは

    今回落ちた方が次の介護福祉士国家試験をパスするためには、どのような勉強法が有効なのでしょうか。

    勉強時間や環境の見直しを図る

    特に働きながら介護福祉士合格を目指している方は、まとまった勉強時間がなかなか取れない場合があります。そのようなときは、通勤時間や休憩時間などの隙間時間を上手に活用してみましょう。仕事も家庭も日々忙しい方であれば、家族の協力のもと、週末にまとめて勉強時間を作ることも必要です。その際には、勉強しやすい環境についても見直してみると良いでしょう。

    基本となる知識を積み上げる

    出題範囲が多岐にわたる介護福祉士国家試験ですが、それぞれの科目で求められているのは基本的な知識です。専門分野とはいえ、それぞれの基本的な知識をしっかり理解していれば、応用問題でも正解に導くことができるでしょう。まずは、基本となる知識の理解をしっかり深めることが大切です。

    実務経験がない科目や苦手な科目を重点的に勉強する

    同じ介護分野でも普段の業務とは関わりがない専門科目はなかなか覚えにくいもの。しかし、苦手科目で点数を落としてしまうと、総得点で合格基準を満たしても不合格となってしまいます。介護福祉士国家試験の勉強は、実務経験がない科目や苦手な科目に重点を置くことを心がけましょう。

    諦めるのはまだ早い!勉強方法を見直して介護福祉士合格に繋げよう

    これまで勉強してきたものの「介護福祉士落ちたかも…?」と落ち込んでいる方もいるでしょう。不合格となったのには、必ず原因があります。今回落ちたとしても、問題点を見極めて対策を立てることで、次回の合格に繋げることが可能です。ご自身のスキルやキャリアアップのためにも勉強方法を見直して、次回合格を目指しましょう!

  • 面接前に「どんな介護福祉士になりたいか」を明確に!ポイントは?

    面接前に「どんな介護福祉士になりたいか」を明確に!ポイントは?

    介護福祉士として働くことを目指している方が、採用面接でよく聞かれる質問があります。それが「どんな介護福祉士になりたいか」というもの。本記事では、これから就職や転職で介護福祉士として面接を受ける方へ、どんな介護福祉士になりたいか自分なりのビジョンを明確にするためのヒントをお届けします。面接前に確認しておきたい応対テクニックもご紹介するのでぜひご覧ください。

    理想とされる介護福祉士の在り方を知っておこう

    「どんな介護福祉士になりたいか」を考えるときに重要となるのが、介護福祉士の在り方への理解です。介護福祉士に求められる役割を知っておくと、明確なビジョンを描きやすくなります。

    介護福祉士へのニーズは、社会状況や人々の意識の変化、制度の改正などにともない、増えているのが現状。介護福祉士には以下のようなことが求められます。

    <介護福祉士へのニーズ>

    • 尊厳と自立を支えるケアの実践力
    • 柔軟性
    • 思いやり
    • チームマネジメント能力
    • 介護と医療のスムーズな連携の橋渡し
    • 高い倫理感 など

    介護福祉士は、実践力とともに施設利用者さんの心身の状況にあわせて臨機応変に対応する柔軟性が必要とされます。組織のリーダーとして活躍する機会があるため、チームマネジメント力も大切です。

    さらに、介護と医療が連携してサービスを提供するための「橋渡し」といった役割も求められます。思いやりの心や、高い倫理観も不可欠です。

    「どんな介護福祉士になりたいか」自分なりに考えよう

    介護福祉士の在り方をおさらいできたら、どんな介護福祉士になりたいか、自分なりに将来像を描いてみましょう。考える際のヒントを3つお届けします。

    「理想とされる介護福祉士像」と整合性がとれたビジョンを

    「どんな介護福祉士になりたいか」を考える際に大切なポイントとなるのが、「理想とされる介護福祉士像」と「描くビジョン」の整合性がとれていることです。採用時の面接で整合性がとれたビジョンを話すことで、介護福祉士の役割をきちんと理解していることがアピールできます。介護施設が求める人物像も大変重要なため、事前に確認しておきましょう。

    キャリアプランを明確にする

    「どんな介護福祉士になりたいか」を考える際には、キャリアプランを明確にすることもポイント。「何年後までにどのような資格を取得したいか」などを伝えられると、具体性が増します。

    「3年以内に介護予防運動指導員の資格を取得して、施設利用者さんをサポートしたい」「5年後に認定介護福祉士の資格取得を目指して、働きながらスキルアップしていきたい」といった具体的なイメージです。

    自分の経験もふまえて考える

    「どんな介護福祉士になりたいか」を伝える際には、その将来像を描くきっかけとなった実体験や、自分なりに努力していることを盛り込むのもひとつ。自分の経験をふまえて介護福祉士のビジョンを考えることができると、エピソードのオリジナル性が増します。面接官の心も掴みやすいでしょう。

    面接前に確認しておきたいテクニック3つ

    面接で重要なのは、伝わりやすい話し方や印象の良い態度を心がけることです。「どんな介護福祉士になりたいか」をスムーズに話すために、面接前に確認しておくと役に立つテクニックをご紹介していきましょう。

    <面接テクニック3つ>

    • 結論ファーストで具体的な根拠とともに話そう
    • 履歴書と矛盾がないように話そう
    • 前向きな姿勢で臨もう

    面接では、質問の回答となる部分を先に端的に伝える「結論ファースト」の話し方を意識し、あとからきっちり根拠を説明しましょう。「結論ファースト」にすることで考えを的確に伝えることができ、具体的な理由まで述べることで説得力が増します。

    履歴書に記載した志望動機などと矛盾がないように話すことも大切です。さらに、面接は直接やる気を伝える良いチャンス。「こんな介護福祉士といっしょに働きたい」「長く働いてくれそう」といった印象を抱いてもらえるよう、前向きな姿勢で臨みましょう。

    将来像を丁寧に描いて的確に伝える練習を!

    採用面接で多い質問、「どんな介護福祉士になりたいか」に対してスムーズに回答するにはコツがあります。自分なりにどんな介護福祉士になりたいかビジョンを明確にしておくこと、面接テクニックを駆使して上手に伝えること、この2つがカギです。ビジョンを描くには、理想とされる介護福祉士の在り方や施設が求める人材を理解しておくことも重要。自身の経験などもプラスして、独自の将来像を描いてみてください。

  • 介護現場での「自立支援」とは?わかりやすい解説と4つの基本ケア

    介護現場での「自立支援」とは?わかりやすい解説と4つの基本ケア

    介護の現場で、「利用者さんができないことは全て介助してしまう」ということはありませんか?しかし本来は、利用者さんができないことを全て介助するのではなく、自立を促すよう手助けする自立支援介護が必要です。今回は介護現場における自立支援について、わかりやすい解説とともに4つの基本ケアを紹介します。利用者さんの自立に向けてより良い介護ができるよう、ぜひ参考にしてください。

    介護における「自立支援」とは

    病気や加齢によって介護が必要になった方に対して、[btp_line]自立した生活ができるように手助けすることを「自立支援介護」[/btp_line]と呼びます。介護が必要になった利用者さんは、生活における全ての動作ができなくなったわけではありませんよね。できることが少なくなったため、介護を必要としているはず。

    わかりやすい例にたとえると、排泄の介助では「ズボンの上げ下げは利用者さん」「便座に移るのは手すりの位置を誘導しながら介助」などです。介護スタッフが全て介助するのではなく、自分でできる部分は自分でしてもらうことが自立につながります。利用者さんができることまで奪ってしまわないよう、あくまでも一人では難しい部分を介助することが大切です。

    介護における自立は、「身体的自立」「精神的自立」「経済的自立」の3種類。

    • 身体的自立/生活に必要な入浴・食事・排泄などが自分自身で行える
    • 精神的自立/自分自身の生活や寺院性について考えて行動に移したり判断したりできる
    • 経済的自立/生活に必要な費用を本人の収入で賄い、管理ができる

    これら3種類の自立は、どれが欠けてもバランスが悪くなります。

    介護現場では、身体的自立につながる日常生活動作や運動機能に関する自立支援を行うことが多いのではないでしょうか。
    厚生労働省の「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」 にも、「自立支援・重度化防止の取組の推進」という項目が盛り込まれています。ADL(日常生活動作)維持等加算が拡充されるなど、政府としても自立支援を重要視していることがわかりますね。

    自立支援介護における4つの基本ケア

    ここからは、自立支援介護における基本となる4つのケアについて解説します。わかりやすい数値の指標もあるので、目安にすると良いでしょう。

    水分ケア/1日あたり1,500ミリリットルの水分摂取

    自立支援介護では、1日あたり1,500ミリリットルの水分を摂取する必要があるとされています。人間の身体の大部分は水分が占めており、成人の場合は身体の60%以上、高齢者では身体の50%~55%が水分です。水分を摂る量が不足すると脱水症状になるだけでなく、身体の動きや脳の覚醒基準にも影響します。これらは認知症の原因になる可能性があるため、注意が必要です。意識して水分摂取を促すとともに、水を飲むのが苦手な方には好きな飲み物や水分の多いゼリーなど、摂取しやすい工夫をしてみましょう。

    栄養ケア/1日あたり普通食で1,500キロカロリー摂取

    自立支援介護では、普通食で1日あたり1,500キロカロリーの摂取を推奨しています。栄養が不足すると体力がなくなり、身体を動かさないことで筋力が低下し、さらには寝たきりの状態になることも。栄養ケアでは、自分でしっかり噛んで食べ、1日に1,500キロカロリー以上栄養を取ることが目標とされています。噛む力が衰えると、やわらかい食事に頼りがち。噛んだり飲み込んだりするときに使う筋力を低下させないためにも、できるだけ普通食にして、しっかり噛んでもらうようにしましょう。

    運動ケア/1日2キロメートルの歩行

    自立支援介護の運動ケアでは、1日あたり2キロメートルの歩行が必要とされています。毎日の運動は体力や筋力の維持につながり、自立した日常生活を送るには欠かせないことです。しかし、突然「1日に2キロメートル歩きましょう!」と言っても、難しい利用者さんもいるでしょう。利用者さんの意志や状況に合わせて、まずは短い距離から始めて、少しずつ距離を伸ばすことが大切。また、1日の合計が2キロメートルになればよいので、一度に長い距離ではなく細切れで運動する習慣をつけると良いですね。

    排便ケア/3日以内の自然排便

    高齢になり食事量や運動量が減ると、排便の回数も少なくなりがちです。自立支援介護では3日以内に自然排便があることを理想としていますが、腸の動きが悪くなると難しいこともあるでしょう。自然排便には、食事や運動、水分摂取などトータルでのケアが必要です。

    自立支援介護を行うメリットと注意点

    介護現場で自立支援介護を行うと、さまざまなメリットがあります。一方で、自立支援介護を押し付けすぎると、利用者さんとの信頼関係が悪化することも。メリットと注意点をしっかり押さえて、より良い自立支援介護につなげましょう。

    QOL(生活の質)の向上

    自立支援介護を行う大きなメリットは、利用者さんが自分でできることが増えて生活の質が向上することです。自分でできることが増えると、自分の意志で行動できるため、何事にも意欲的に取り組むようになれます。

    介護度の改善

    自立支援介護により自分でできることが増えると、介護度が変化するほどの効果があることも。日常生活を介護スタッフの介助に頼り切っていると介護度は下がる一方かもしれませんが、自立を促す自立支援を続けることで、介護度が改善することもあるのです。

    介護負担の軽減

    本人のQOLの向上や介護度の改善により、介護する側の負担も軽減します。自立支援介護を始めたばかりの頃は、わかりやすい効果は得られないかもしれませんが、毎日習慣として続けていくうちに変化を感じられるでしょう。

    無理なリハビリや運動

    特に運動ケアでは、個人によってできることが異なるので注意が必要です。無理なリハビリや運動をしてしまうと、利用者さんとの信頼関係にひびが入るだけでなく、ケガにもつながりかねません。利用者さんの状況に合わせた、適切な自立支援介護を心がけましょう。

    本人の希望や意思の尊重

    自立支援介護は、長い目で見れば利用者さんのためになることです。しかし、本人にやる気がない場合や、ハードルが高いと感じていることを無理強いするのは禁物。最初に「どれくらいのことなら無理なく続けられるのか」を利用者さんと話し合ってから取り組むようにしましょう。

    自立を促すよう手助けする自立支援介護を

    介護の現場では、利用者さんができるだけ快適に過ごせるように介助をすることが多いかもしれません。決して悪いことではありませんが、利用者さんのためには自立支援介護をすることが大切です。基本ケアではわかりやすい数値の指標もあるので、習慣となるよう心がけてみましょう。

  • 「管理者常駐要件」緩和へ、介護業界でリモート勤務が可能になる?

    「管理者常駐要件」緩和へ、介護業界でリモート勤務が可能になる?

    2022年10月17日に開かれた「社会保障審議会介護保険部会」にて、介護サービスを提供する事業所の管理者常駐・専任要件を緩和する意向が示されました。これにより利用者さんに直接かかわらない介護職の方は、今後テレワークが可能となるかもしれません。そこでこの記事では、管理者常駐・専任要件の緩和がもたらす変化や今後の流れについてくわしく解説していきます。

    2024年度に管理者常駐要件の緩和へ!介護業界はどう変わる?

    まずは、管理者常駐・専任要件の緩和がどういった変化につながる可能性があるのか、具体的に見ていきましょう。

    変化1:利用者さんに直接かかわらない業務のテレワークを検討

    今回議論されている管理者常駐・専任要件とは、次のような概念です。

    【常駐】

    常に事業所や現場にとどまることを物理的に求める規制、テレワークなどの遠隔での関与は不可

    【専任】

    所属する事業所は1人1現場であることを求める規制(例:施設の管理者は1つの施設で別の業務を兼務することできるが、複数の施設で同じ役職を兼務できない)

    介護現場の管理者などは、これまで常駐・専任要件を満たすために制約の中で仕事をしていました。しかし、これらの要件が緩和されると必ずしも現場にいる必要がなくなります。これにより、テレワークができる可能性も高まり、現場を離れなければできない業務も行いやすくなっていくでしょう。

    変化2:生活相談員や栄養士などの常駐も見直しに

    今回の管理者常駐・専任要件の緩和は、介護職に限った話ではありません。特別養護老人ホームに勤務する、生活相談員や栄養士などの常駐・専任要件も見直されることが提言されました。これらの基準が緩和されることで、介護業界の人材不足が解消されることが期待されています。

    デジタル化がカギに!段階的な緩和が検討されている

    今回検討が進められている管理者常駐・専任要件の緩和の背景の1つは、デジタル化です。介護の業務の中でも、インターネットを介すれば物理的にいる必要がなくなる業種があるのでは、すると複数施設の業務を兼務する余地が広がるのでは、と考えられています。デジタル庁が公表する「常任・専任規制の一括的な見直しについて」によると、現在検討されているのは次のような段階的な緩和です。

    PHASE1:常駐・専任規制を課している状態

    PHASE2:デジタル技術などによる見直し

    PHASE3:常駐・専任規制の撤廃へ

    PHASE1はこれまでの常駐・専任要件で規制されている状態、PHASE2が現在の段階、PHASE3が今後目指していく状態です。PHASE3の先行事例としては、サービス付き高齢者向け住宅における配置基準の緩和が挙げられるでしょう。

    【サービス付き高齢者向け住宅における配置基準の緩和】

    現行基準:夜間を除き、有資格者である看護師や介護スタッフなどが施設内もしくは500メートル以内に近接する建物に常駐する

    改正基準:緊急通報装置を居室内に設置、1日1回以上の現地訪問、電話などでの生活相談の提供の条件を満たせば、日中の職員常駐は不要

    サービス付き高齢者向け住宅以外の介護施設でも常駐・専任要件の規制がなくなれば、このような人材配置における変化があるものと見込まれています。

    2040年度に約280万人の介護人材確保を目指す

    管理者常駐・専任要件の緩和が推進されているもう1つの背景には、生産人口の減少があります。とくに団塊の世代が75歳以上になり、高齢者人口が増加する2025年から2040年にかけては、さらに人手不足が深刻になるとのこと。2040年度には約280万人の介護人材が必要だといわれています。今回の管理者常駐・専任要件の緩和が進めば、複数の施設の業務を兼務できる職種の方が増え、介護人材不足が軽減される可能性があるでしょう。

    介護業界のさらなる業務改善が進む可能性大!

    デジタル化が進む中、さまざまな業界でこれまでの規制を緩和する動きが高まっています。介護業界も例外ではなく、管理者常駐・専任要件が緩和されることで、今後はリモートワークができる職種が出てくるかもしれません。2024年度の介護報酬改定に合わせて具体的な検討が進められていくと見込まれているため、ぜひ今後の動きにも注目しておきましょう。

  • 高齢者に「甘酒」がおすすめ!作り方とアレンジレシピ

    高齢者に「甘酒」がおすすめ!作り方とアレンジレシピ

    冬になるとよく見かける甘酒。神社などで振舞われる光景を目にすることもありますよね。甘酒は高齢者にもよいといわれており、積極的に飲みたいものなんです。甘酒は酒粕が使われているのでアルコール分が心配なのでは、という場合も心配ありません。アルコール分が含まれない甘酒は簡単に作れるため、ぜひ手作りに挑戦してみませんか。マンネリ化しない、アレンジレシピもご紹介します。

    甘酒の種類と期待できる効果

    甘酒には2種類あります。[btp_line]「麹甘酒」[/btp_line]と[btp_line]「酒粕甘酒」[/btp_line]で、大きな違いはアルコール分を含むか含まないかです。また、それぞれを飲むことで期待できる効果も異なります。

    麴甘酒は米麹と呼ばれるお米由来の麹が原料であるため、アルコール分を含みません。[btp_line]疲労回復[/btp_line]や[btp_line]腸内環境の改善[/btp_line]が期待できるため、疲れを感じたとき、お通じや胃の調子に悩んでいるときに特におすすめです。
    酒粕甘酒は日本酒造りでできる酒粕を原料とするため、アルコール分を含みます。整腸作用コレステロールを吸着して排泄する効果などが期待できます。酒造りを担う杜氏の手がキレイなように、美肌や美白効果もあるといわれているんですよ。

    麹甘酒の作り方

    高齢者が飲む場合は、アルコール分を含まない麹甘酒がおすすめです。ここでは、炊飯器で作る麹甘酒のレシピをご紹介します。

    <材料>

    • ご飯 200グラム
    • 水 600グラム(沸騰させておく)
    • 米麹 200グラム

    <作り方>

    1. 炊飯器にご飯を入れ、熱湯を加えてよくほぐしてください。
    2. 温度計で温度が60℃まで下がったのを確認し、米麹を加えて混ぜます。
    3. 炊飯器を60℃以下の低温保温機能に設定してください。
    4. 途中でかき混ぜながら8~10時間ほどおいて発酵させたら完成です。

    なお、ご飯と水の量は1:3米麹の量はご飯と同量が基本となっているため、お好みの量に調整して作ってみてください。

    麹甘酒のアレンジレシピ1:甘酒の豆乳割りドリンク

    材料3つで作る、腸内環境の改善に役立つドリンクです。お腹の調子が気になるときには、毎日続けて飲むようにしてください。麹甘酒のパワーに加え、オリゴ糖をたっぷり含む豆乳とはちみつのおかげで便秘の改善にもおすすめです。

    <材料>

    • 麹甘酒 150ミリリットル
    • 豆乳 150ミリリットル
    • はちみつ 大さじ1

    <作り方>

    鍋に材料をすべて入れ、ほんのり温まれば完成です。

    麹甘酒のアレンジレシピ2:甘酒の焼かないスイートポテト

    焼かずに手軽に作れるスイートポテト。簡単にたくさん作れる、おやつにピッタリなレシピです。

    <材料>

    • さつまいも 200グラム
    • 麹甘酒 20グラム
    • ココナッツオイル 大さじ1
    • 黒ゴマ お好みで

    <作り方>

    1. オーブンや炊飯器でさつまいもを蒸します。
    2. スイートポテトの土台に使うため、数個分輪切りにします。残りは皮を剥いてフォークなどで潰してください。
    3. 麹甘酒、ココナッツオイル、潰した2を混ぜ合わせます。
    4. 輪切りにした2の上に3を乗せて形を整えていきます。
    5. お好みで黒ゴマをトッピングし、冷蔵庫で冷やしたら完成です。

    さつまいもの甘さによって甘酒の量は調整してください。さつまいもを蒸すときは、オーブンや炊飯器で焼き芋くらい柔らかくするのがおすすめです。
    なお、施設で振舞う場合はさつまいもで誤嚥などに見舞われないよう、利用者さんの状況に配慮するようにしてください。

    麹甘酒であたたまりながら健康を手に入れよう

    麹甘酒は簡単で一度にたくさん作れるため、施設の利用者さんに振舞いやすいのが特徴です。寒い時期などは、おやつに添えるなどすると、定期的に飲めるので良さそうです。同じものを飲むばかりでは飽きそうになったら、ご紹介したアレンジレシピも活用してみてください。麹甘酒で寒い冬も健康に乗り切りたいですね。

  • 大豆は体にいい栄養素が豊富で認知症予防にも!積極的に摂取しよう

    大豆は体にいい栄養素が豊富で認知症予防にも!積極的に摂取しよう

    2月といえば豆をまいて厄払いをする行事、節分があります。豆まきで使われる大豆は、体にいい栄養がたくさん含まれており、高齢者にも最適です。しかしながら、豆まきに用いる大豆は固く、食べづらい利用者さんも多いでしょう。そこで今回は、嚥下機能の低下した高齢者でも食べやすい大豆レシピをご紹介します。今注目を集めている大豆ミートについても押さえていきましょう。

    大豆はたんぱく質が多い“畑の肉”!

    大豆は必須アミノ酸がバランスよく含まれた良質な植物性たんぱく質が多く含まれています。たんぱく質は体の組織を作る、人間に欠かせない成分です。たんぱく質に加え、脂質、炭水化物、食物繊維、ビタミン、ミネラルと、さまざまな栄養素も。とくに高齢者に注目の栄養素が、大豆に含まれるイソフラボンです。イソフラボンは認知機能低下リスクの低減に効果ありという研究結果も出ており、利用者さんに食事に積極的に取り入れたい食品と言えます。

    大豆メニュー一覧

    具体的な大豆メニューには、以下のような食品が挙げられます。

    • 枝豆
    • 豆腐
    • 湯葉
    • きな粉
    • 豆乳 
    • おから 
    • 納豆 
    • しょうゆ
    • 味噌
    • 油揚げ
    • 厚揚げ

    こうしてみると、大豆食品は多岐にわたることがわかります。複数の大豆食品を組み合わせてひとつのレシピを完成させるのもいいでしょう。

    お肉を大豆ミートにする方法もある

    大豆メニューを効率的に摂取するため、お肉を大豆ミートにする方法もあります。大豆ミートとはその名の通り大豆から作られた、肉の食感が味わえる食品のこと。牛や豚、鶏などの飼育には肥料や水がたくさん必要ですが、大豆は肉と比べエコに栽培することができると注目されています。良質なたんぱく質を摂取でき、肉よりも低脂質、食物繊維やイソフラボンが含まれているなど、高齢者に必要な栄養素が豊富。積極的に食べて欲しい食品です。

    高齢者におすすめの大豆メニュー

    おすすめの大豆メニューを見ていきましょう。

    凍り豆腐入り豆乳スープ

    豆乳と凍り豆腐と、2つの大豆製品を使うのが特徴です。ミックスベジタブルではなく小さくカットした野菜を使うのもいいでしょう。

    <材料>(2人分)

    • 豆乳 100ミリリットル
    • 水 200ミリリットル
    • コンソメ 小さじ1
    • 細切りの凍り豆腐 5グラム
    • ハム 2枚
    • ミックスベジタブル 大さじ4

    <手順>

    1. ハムを小さくカットし、鍋でミックスベジタブルとともに炒める
    2. 水とコンソメを加えたら沸騰させ、凍り豆腐を入れる
    3. 煮立ったら弱火にして豆乳を入れ、沸騰させないよう2~3分煮て完成

    大豆ミートとおからのハンバーグ

    ミンチタイプの大豆ミートは、ハンバーグに最適です。食べ応えもあり利用者さんにも満足してもらえるはず。

    <材料>(2~3人分)

    • ミンチ状の大豆ミート 40グラム
    • 生おから 30~40グラム
    • たまご 1個
    • 玉ねぎ 1/4個
    • 調味料(ニンニク小さじ1/3、片栗粉大さじ2、塩小さじ1/3、みりん大さじ1、ナツメグ・こしょう少々)

    <手順>

    1. 大豆ミートを熱湯に5分ほど浸してふやかす
    2. みじん切りした玉ねぎとたまご、調味料を全て入れたボウルに水気を切った大豆ミートを入れ混ぜる
    3. まとまり具合を見ながらおからを加え、こねるように混ぜる 
    4. 小判型に成形しフライパンに並べふたをして5分ほど焼き、ひっくり返して3分焼く
    5. ケチャップやお好みのハンバーグソースをかけて完成

    茹で大豆のドライカレー

    茹で大豆を使ったドライカレーもおすすめです。野菜もたっぷりでヘルシーなのが大きな特徴。飲み込みが難しい利用者さんには、完成したドライカレーをミキサーでペースト状にして提供するとよいでしょう。

    <材料>

    • 茹で大豆 80グラム
    • 合いびき肉 60グラム
    • たまねぎ 60グラム
    • ニンジン 30グラム
    • トマトの水煮缶 40グラム
    • サラダ油 小さじ2
    • しょうが・ニンニク 少々
    • 小麦粉 小さじ2
    • コンソメスープの素 1/2個
    • 水 200ミリリットル
    • カレールー 1個

    <手順>

    1. たまねぎはみじん切り、ニンジンはすりおろしておく
    2. サラダ油をしいた鍋を熱しみじん切りにしたしょうがとニンニクを炒め、合いびき肉とたまねぎ、ニンジンを炒める
    3. よく炒めたら小麦粉を振り入れてさらに炒め、茹で大豆とトマトの水煮缶、コンソメスープの素、水を加え、汁気が半分になるまで弱火で煮詰める
    4. 火を止めてカレールーを加える。溶けたら火にかけもう少し煮込み完成

    大豆を積極的に取り入れよう

    畑の肉と呼ばれることからも分かるように栄養満点なことに加え、認知症を予防する効果もある大豆は、高齢者に最適な食材です。大豆メニューはたくさんあり、使う材料を変えるだけで変化がつけられるのもうれしいポイント。節分メニューはもちろんのこと、普段の食卓から積極的に大豆メニューを取り入れましょう。

  • 【令和4年度施行】社会福祉連携推進法人制度とは?わかりやすく解説

    【令和4年度施行】社会福祉連携推進法人制度とは?わかりやすく解説

    令和4年4月から施行された「社会福祉連携推進法人制度」。社会福祉法人が連携することを推進する制度で、人材不足や地域が抱える課題を解消することを目的としています。とはいえ、まだ始まったばかりの制度のため「具体的な内容がわからない」といった声も少なくありません。そこでこの記事では、社会福祉連携推進法人制度とはどんな制度なのかわかりやすく紹介していきます。

    社会福祉連携推進法人制度をわかりやすく解説!

    まずは、社会福祉連携推進法人制度とはどういった制度なのかについて見ていきましょう。

    そもそも社会福祉連携推進法人とは?

    社会福祉連携推進法人は、社会福祉事業を行うNPO法人や社会福祉法人が社員となり、相互に連携して事業を行う非営利法人のこと。わかりやすくいうと地域の福祉に貢献するために、介護や保育など社会福祉サービスを行う団体同士が、連携して立ち上げる法人のことです。主に、次の3つの目的で創設されます。

    1. 社員の社会福祉に係る業務の連携を推進
    2. 地域における良質かつ適切な福祉サービスの提供
    3. 社会福祉法人の経営基盤の強化に資すること

    要約すると、社会福祉連携推進法人として連携すると、グループ内の法人間で人材のシェアや資金の貸付ができるようになるということ。そこから、良質でより地域に適した福祉サービスを提供していこうというイメージです。

    この法人間連携が求められる背景にあるのは、生産人口の減少や高齢者人口の増加です。血縁や地縁のようなつながりが弱まっている社会構造の変化に加え、介護や生活困窮、子育てなどの社会福祉ニーズが多様化していることがあります。そのため、社会福祉事業者間で連携を図ることで、こうした地域住民が抱えるさまざまな課題に対応していくことが求められているのです。

    お互いに連携し合う「社会福祉連携推進法人制度」

    社会福祉連携推進法人制度は令和2年6月に公布され、令和4年4月から施行されています。これまでにも合併や事業譲渡など社会福祉法人が連携する仕組みはいくつかありましたが、社会福祉連携推進法人制度もその中の1つと考えるとわかりやすくなるでしょう。

    社会福祉連携推進法人が行う主な業務内容と受けられる支援

    社会福祉連携推進法人になると、次のような業務を行うほか、制度ならではの支援を受けられるでしょう。

    地域福祉支援業務

    地域住民の生活における課題を把握するニーズ調査や、その結果を踏まえた企画の立案、実施に向けたノウハウの提供など

    災害時支援業務

    災害が発生した場合の、被災施設の被害状況調査や応急的な物資の提供、人材の応援派遣など

    経営支援業務

    経営ノウハウなどに関するコンサルティングや財務状況の分析・助言、特定事務に関する事務処理代行など

    貸付業務

    社会福祉連携推進法人内での資金の貸付

    ※貸付には一定の条件がある

    人材確保等業務

    人材採用・募集の共同実施や社員間の人事交流、研修の共同実施など

    物資等供給業務

    マスクや紙おむつなどの必要な物資の一括調達や、ICTを活用したツール・システムの一括調達など

    令和4年4月に施行!各県で連携する動きも

    令和4年4月に施行された社会福祉連携推進法人制度ですが、同年11月11日時点で認定された法人は6つあります。例えば、社会福祉連携推進法人として日本で初めて認定されたのが「社会福祉連携推進法人 リガーレ」。本部がある京都府をはじめ、青森県・千葉県・滋賀県にある5つの社会福祉法人で構成されています。すでに人材募集を共同で行ったり、災害対策について話し合われたりと、法人を越えた取り組みが活発です。

    また、和歌山県では主に保育に関するビジョンを共有する「社会福祉連携推進法人 あたらしい保育イニシアチブ」が認定されました。このように、介護分野に限らず社会福祉サービスを提供する社会福祉法人が連携する動きは、今後も拡大していくと予想されるでしょう。

    社会福祉連携推進法人制度で活躍の幅が広がる!

    ここまで社会福祉連携推進法人制度について、できるだけわかりやすく解説してきました。介護職の方にとっては、働く事業所や施設が社会福祉連携推進法人になった場合、企業を越えて働く可能性もあります。また職種によってはさらに活躍の場が広がる方もいるかもしれません。まだ始まったばかりの制度のため、今後の動向にも注目しておくとよいでしょう。

  • ケアプランはAIが作る時代に!ケアマネ必見の最新介護ソフトとは?

    ケアプランはAIが作る時代に!ケアマネ必見の最新介護ソフトとは?

    ケアマネジャーの業務負担増は、介護業界における深刻な問題です。そのような状況を打開すべく、ケアプラン作成をAI(人工知能)化する動きが出てきています。最新介護ソフトを活用すれば、ケアプラン作成時間の大幅な短縮が期待でき、ケアマネジャーの負担軽減にもつながるでしょう。そこで今回は最新介護ソフトとAI活用の実態、おすすめの介護ソフトについて詳しく解説します。

    そもそもケアプラン作成ってどんな仕事?

    ケアプランとは、利用者さんが介護を必要とする場面や生活する上で抱えている課題、その課題に対する支援内容や介護保険サービスなどをまとめた計画書のこと。介護サービス計画書とも言われ、ケアマネジャーが作成します。

    ケアプラン作成には、ケアマネジャーによる利用者さんや家族へのヒアリングが必要不可欠。地域の状況も加味しながら、どのような介護サービスが提供できるのか、利用者さんの現状と照らし合わせて検討することになります。

    ケアプラン作成にAIを活用するメリット

    未だに多くの事業所では、紙媒体のケアプランが使用されています。ただ、AIにケアプラン作成業務の一部を任せることで、次のようなメリットが見込めるのです。

    ケアマネジャーの負担軽減

    ケアプランは情報量も多い上に専門的な内容も盛り込まれるため、ケアマネジャーでないと作成できません。さらに、利用者さんの状況が変われば再検討も必要となります。そのため、ケアマネジャーが担当するさまざまな業務の中でも、特に時間と手間がかかると言われているのです。

    その点、AI化すれば必要項目を入力するだけでプランの原案を自動作成してもらえます。ケアマネジャーが最終的にチェックして判断する必要はありますが、一から作らなくてもいいのは大きな負担軽減になるでしょう。

    利用者さんに最適なプラン作成ができる

    AIにとって大量の過去データ検索、分析は得意分野のひとつ。ケアマネジャーが過去の履歴を洗い出すよりも、圧倒的にスピーディーかつ正確です。そのため、利用者さんに関わりのありそうな過去データを見逃すこともなくなり、よりマッチしたプラン作成ができるようになるでしょう。

    利用者さんの情報を簡単に分析・資料化できる

    ケアプランは利用者さんやその家族との面談時に資料として使用します。その際に、AIの分析データを提示しながらだと、説得力が増すだけでなく、利用者さんにより寄り添った内容を提案できるようになるでしょう。

    AIによるケアプラン作成支援ソフトのおすすめは?

    AIによるケアプラン作成機能を持つ介護ソフトは、まだそれほど多くありません。ただ、以下に挙げた二つのソフトは、質の高いケアプラン作成機能が実装されています。

    SOIN(そわん)

    株式会社CDIが提供する「SOIN(そわん)」は、AIを活用するケアマネジメント支援サービスです。業界トップシェアの介護・福祉支援ソフト「ほのぼのNEXT」と連携しているため導入しやすいでしょう。ケアプラン作成の根拠が明確になるため、経験の浅い新人ケアマネジャーでも質の高いプラン作成ができます。

    また、予測機能が搭載されており、利用者さんの入力情報に基づいてAIが1年後の状況を予測。今後の継続的な提案をサポートしてくれます。

    ◇SOIN公式サイトはこちら

    ミルモぷらん

    「ミルモぷらん」は、介護福祉プラットフォームの提供で知られる株式会社ウェルモのケアプラン作成支援AIシステム。利用者さんや家族からのヒアリング内容を入力することで、課題や支援内容を自動で提示してくれます。さらに、利用者さんの情報と関連する医療情報を表示してくれる機能も。疾患内容などを調べる手間が省けると同時に、医療知識の習得にも役立つでしょう。また、ウェルモの地域ケア情報データベース「ミルモネット」と連携すれば、利用者さんにマッチする施設検索までスムーズに行えるようになります。

    ◇ミルモぷらん公式サイトはこちら

    いかにAIを活用できるかが今後の課題に

    介護職の業務負担軽減を目指したAI化の波が来ている今、介護業界のデジタル化はどんどん加速していくはず。ただ、最終的に利用者さんに寄り添った判断をするのはAIではなく、ケアマネジャーです。その点を踏まえつつ、上手にAIを活用していけるかが今後の課題となるでしょう。

  • 8050問題とは?わかりやすく知りたい日本の課題をチェック

    8050問題とは?わかりやすく知りたい日本の課題をチェック

    「8050問題」という言葉を聞いたことはありますか?80代の高齢の親が50代のひきこもりの子供の生活を支えることで、生活の基盤をすべて高齢の親が担います。そのため、親に介護が必要になったり、亡くなったりすると社会や支援が届かなくなることもあるそうです。この記事では、8050問題とはどのような社会問題か、また介護職ができるサポートはあるのかなどについてわかりやすく解説していきます。

    8050問題とは?わかりやすく解説!

    8050問題とは、[btp_line]「80代の高齢の親が50代のひきこもりの子供の生活を支える社会問題」のこと[/btp_line]です。まずは、8050問題のどのような点が問題視されているのか、わかりやすく解説していきます。

    40~64歳のひきこもりは推計61.3万人

    8050問題の背景にあるのは、子供のひきこもりです。厚生労働省の「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」によると、ひきこもりは以下のように定義されています。

    <ひきこもりの定義>

    「様々な要因の結果として社会参加(義務教育を含む就学、非常勤職を含む就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)を指す現象概念である。」

    引用元:ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン(一部抜粋)

    内閣府が行った2018年度の「生活状況に関する調査」によれば、40~64歳のひきこもり人口は推計61.3万人いるといわれています。

    ひきこもりの長期高齢化が問題に

    ひきこもりが社会問題として注目され始めたのは1990年代後半ごろ。若い頃のひきこもり問題が解決されずに長期化し、親が高齢化することで8050問題に至っているケースもあるといいます。また、40歳以上のひきこもりの場合は、1度社会に出て何らかの就労経験がある方も多いようです。厳しい労働環境の中で周囲に助けを求められずにいた方が、自分の身を守るために自宅にこもる選択肢をとったとも考えられています。

    いずれのケースであっても、生活の基盤は80代である高齢の親です。そのため収入の柱である親に介護が必要になったり、先に亡くなったりすると、一気に生活が立ち行かなくなってしまう可能性もあります。中には、親の遺体を放置して逮捕される事例や、そのまま子供が死に至るケースも少なくありません。

    社会や支援とつながれないケースも

    一方で、8050問題が顕在化し始めたことで、2021年には「第1回 ひきこもり支援に関する関係府省横断会議」が開催されました。各府省がひきこもり支援に関する取り組みを本格的に議論するようになったのです。厚生労働省では、2021年度予算額に「ひきこもり支援推進事業」として11.5億円の予算が組み込まれました。

    このように、社会として8050問題に取り組む動きが高まっていますが、ひきこもりの当事者である子供がこれらの支援に気がつくのは難しいことです。そのため、親が元気なうちに自治体の窓口に相談したり、万が一の場合に備えて子供に公的機関の連絡先を伝えたりしなければ、支援とつながることが難しいケースも増えるでしょう。

    介護職が8050問題に対して行えるサポートとは

    高齢の利用者さんと関わる機会も多い介護職の方は、8050問題に対して期待されているサポートがあります。厚生労働省が2019年に公表した「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」の資料によると、次のような事例が考えられるでしょう。

    <ひきこもりの相談事例/79歳の父・51歳男性のAさんのケース>

    79歳の父は、ケアマネジャーやヘルパーに自身の介護を依頼しています。業務を続ける中で担当するケアマネジャーは「ひきこもっている息子・Aさんの存在が気がかりなこと」を、ひきこもり支援を行う連携担当職員に相談しました。それをきっかけに、連携担当職員が父と面接。最終的に自立相談支援機関がAさんとつながることができました。Aさんは就労準備支援事業を利用し、生活の立て直しをスタートしています。

    このように、高齢の親の介護を担う介護職の方が、適切なサポートにつながれるようアプローチすることが期待されていることの1つといえるでしょう。

    8050問題に関する相談はどこにしたらいい?

    介護職の方がもし8050問題に直面する家族に出会い、高齢の利用者さんが困っていたときには、次のような窓口への相談を提案することができます。

    支援窓口設置リスト・一覧
    ひきこもり地域支援センター「ひきこもり地域支援センター」の設置状況リスト https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000515493.pdf
    精神保健福祉センター全国精神保健福祉センター一覧 https://www.zmhwc.jp/centerlist.html
    保健所保健所管轄区域案内 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/hokenjo/
    生活困窮者の自立相談支援機関自立相談支援機関 相談窓口一覧 https://www.mhlw.go.jp/content/000707280.pdf
    KHJ全国ひきこもり家族会連合会全国家族会一覧 https://www.khj-h.com/meeting/families-meeting-list/

    このほか、市町村の保健センターに相談してもいいでしょう。

    介護職だからこそできる8050問題への関わり方があることも

    80代の高齢の親が、50代の子供を支える8050問題。この記事では、8050問題とは?介護職はどのような関わり方ができるかについてわかりやすく見てきました。高齢の利用者さんと関わる機会が多い介護職は、8050問題が身近であるといえます。そのため、もし支援が必要な家族に出会ったときには、適切なサポートにつながれるよう備えておくと安心でしょう。

  • 【セルフネグレクト】高齢者は注意!介護職が知っておきたいポイント

    【セルフネグレクト】高齢者は注意!介護職が知っておきたいポイント

    セルフネグレクトという言葉をご存知ですか?子供や高齢者などに対して、保護や養育義務を果たさず放任するネグレクトと似た行為です。ただし、セルフネグレクトは他人からの影響ではなく、自分自身で行います。そのため、周囲の介入がしにくいケースも。今回は、セルフネグレクトとはどういう行為を指すのか、具体的な事例を含めて紹介します。セルフネグレクトに陥っていないかどうかのチェックポイントも説明しますので、参考にしてみてください。

    セルフネグレクトとは?

    セルフネグレクトとは、自分自身に対する身の回りのケアを行わず、自分自身に無関心・放置する状態になることをいいます。1人暮らしの高齢者などに起こりやすく、うつ病や認知症などが影響している場合もあるようです。

    ただし、これといった医学的に問題がない方でもセルフネグレクトの状態になるケースもあります。セルフネグレクトの状態になると、自分から助けを求めることがないために、セルフネグレクトの状況が悪くなるばかりです。

    2011年に内閣府が発表した「セルフネグレクト状態にある高齢者に関する調査-幸福度の視点から」の報告書によると、セルフネグレクトは男性よりも女性に多いことが分かりました。また70代から80代の高齢者に多いという結果も出ています。

    利用者さんと接する場合には、セルフネグレクトの兆候がないかチェックする必要があるでしょう。

    具体的にはどんな例がある?

    セルフネグレクトの状態に陥ると、どのような状態になるのでしょうか?高齢者の方の具体的な例は以下の通りです。

    • 他の方とコミュニケーションを取らなくなる
    • 必要な薬を飲まなくなる
    • 着替えや入浴をしなくなる
    • 食事を摂らなくなる
    • ゴミ屋敷になる
    • 介護サービスを拒否する

    どういった状態になるのかは、人によってさまざまです。ただし、急にセルフネグレクトの状態になるわけではなく、徐々にセルフネグレクトが始まり、状況が悪化していきます。早いうちに対処すれば、状況の改善もしやすいでしょう。

    セルフネグレクトを行う背景

    • 病気や入院などによる身体機能の低下
    • 家族とのトラブル
    • 経済的な問題
    • 身内の死
    • 社会的な孤立
    • 認知機能の低下
    • 原因不明

    気持ちの上では部屋の掃除や衛生管理をしたいものの、身体が思うように動かないために諦め、徐々にセルフネグレクトへ発展してしまった高齢者の方もいます。

    また経済的な問題で、食事を減らす・お風呂の回数を減らす・病院へ行かないなどの生活習慣を怠ったために、セルフネグレクトになってしまった場合もあるようです。この他にも、家族とのトラブルや配偶者の死によって孤独になり、社会との接点も減っていくことでセルフネグレクトが進行することもあるでしょう。

    これといった原因がないままセルフネグレクトになるケースもあり、セルフネグレクトにはまだまだ分かっていない部分がたくさんあります。

    セルフネグレクトのチェックポイント

    セルフネグレクトはプライバシーの問題などにより、なかなか介入が難しい案件です。周りの家族や友人であっても、セルフネグレクトなのか、単に節約しているだけ・こだわりがあるだけなのかが判断しにくいでしょう。

    またセルフネグレクトになる場合、高齢者の方は、家族や友人との関係が疎遠になっている可能性もあるため、発見が遅れる可能性が高いです。ヘルパーやケアマネジャーなどの介護スタッフであれば、定期的に家に出入りしたり介護サービスを提供したりするため、高齢者の方のセルフネグレクトの兆候に気付きやすいでしょう。

    ここでは、セルフネグレクトを早めに見つけるために、セルフネグレクトのチェックポイントを紹介します。主な項目は以下の通りです。

    • 1人暮らしまたは1人の時間が多い
    • 家族や友人がいない
    • 介護サービスが必要なのに利用しない
    • 病院に行かない・治療がそのままになっている
    • 医療関係者や介護スタッフとの接触を拒否する
    • 身の回りの掃除ができていない
    • 身なりを整えていない
    • お金の管理ができていない
    • ゴミ屋敷化している
    • 食事をあまり摂っていない

    利用者さんがチェックポイントに該当する場合は、利用者さんの気持ちを聞いた上で、利用者さんの家族や地域包括支援センターなどに相談すると良いでしょう。

    セルフネグレクトを防ぐには接点を持つことが大切

    セルフネグレクトは1人暮らしの高齢者に起こりやすく、なかなか周りが気づきにくいという側面があります。社会との接点が少なくなり、自分の殻に閉じこもることで悪化するケースもあるため、利用者さんとの交流を積極的に持つことが大切です。利用者さんの気持ちに寄り添った介護サービスを行いながら、セルフネグレクトに陥らないように注意しましょう。

  • 潰れる介護施設には特徴がある!?介護職のためのチェックポイント

    潰れる介護施設には特徴がある!?介護職のためのチェックポイント

    介護施設や福祉施設が倒産するときには前兆があるといわれていることをご存知でしょうか。本記事では、潰れる介護施設にみられる特徴をご紹介し、その前兆に気付いた場合に介護スタッフはどう行動したらいいか解説していきます。「うちは大丈夫」と思っている方も、備えて対応を心得ておくことは無駄にはならないはずです。職場の万が一で慌てないよう、ぜひご確認ください。

    介護施設は潰れるケースがある?!

    東京商工リサーチの集計によると、介護施設や福祉施設の2022年1月~9月の倒産件数が前年と比較して増加しているそうです。

    2022年は過去最多の倒産件数?

    2021年1月~9月の倒産件数51件に対して、2022年の同期間の倒産件数は100件。2000年以降、この期間の倒産件数が100件に達した例はないそうです。ちなみに、2020年の倒産件数は過去最多で118件。2022年はこの件数を超す勢いともいわれています。

    売上不振が大部分を占めている

    介護施設が潰れる理由としては、売上不振が大部分を占めています。大手介護施設との競争激化や介護報酬のマイナス改定で経営が厳しいなか、コロナ禍の影響で負担が増えて倒産するケースも少なくないのが現状です。スタッフ数の不足や高齢化により、存続が難しくなる施設もあります。

    いち早く察知したい!潰れる介護施設の特徴

    ここからは潰れる介護施設の特徴をチェックしていきましょう。ポイントを4つ解説していきます。潰れる前兆が分かれば、前もって対策を講じることも可能です。

    潰れる介護施設の特徴4つ

    • 利用者さんが減る・空室が目立つ
    • 設備の修理や修繕が行われていない
    • 介護職員の賞与などが急になくなる
    • 退職者が目立つ

    利用者さんが減る・空室が目立つ

    潰れる介護施設の特徴のひとつが、利用者さんが減ることです。利用者さんがいるからこそ、介護施設は成り立ちます。利用者さんが激減すると施設の収入も減少し、潰れる可能性が上がると考えられるでしょう。

    入居型の施設の場合、明らかに空室が目立つときは警戒を。空室時でも賃借料や設備の維持費はかかります。稼働率が下がると経費的な負担は大きくなり、資金繰りが厳しくなると考えて良いでしょう。

    設備の修理や修繕が行われていない

    介護施設の修理や修繕が行われず放置されているケースも、潰れる介護施設の特徴といえるでしょう。介護施設に、設備の修理や修繕に費やす資金的な余裕がない可能性が考えられます。ほかにも、度が過ぎるほど経費削減をしている場合は気をつけておきましょう。

    介護職員の賞与などが急になくなる

    介護職員の賞与が急になくなる、報酬が下がるといったケースも、潰れる介護施設の特徴です。運営において採算をとるために賞与を少なくしている可能性や、賞与や報酬が十分に支払えないほど経営が難しくなっている可能性があります。

    退職者が目立つ

    退職者が増え、介護スタッフが不足しているときも注意です。賞与のケースと同様に、採算をとるために人員削減している可能性があります。介護スタッフが不足すると、利用者さんへ満足のいくサービスを提供することが難しくなり、利用者さんが離れてさらに経営が厳しくなる場合もあるでしょう。

    前兆に気づいたらどうする?

    潰れる介護施設の特徴から前兆を察知した場合、どうしたら良いのでしょうか。

    潰れる前兆を察知したらしておきたいこと

    • 失業保険を確認する
    • 転職先を検討しよう

    失業保険を確認する

    介護施設が潰れそうなときは、失業保険の確認を。パートやアルバイトでも失業給付の対象となる場合があります。ハローワークでの手続きが必要となるため、必要書類なども含めて調べておきましょう。

    転職先を検討しよう

    介護施設が潰れるケースを想定して、次の仕事を探すことも重要です。失業給付を受ける場合は、求職活動中であることが条件のひとつ。失業給付を受け取りながら転職先を探すか、失業給付を受け取らずにすぐ就職できるよう転職活動をするか、なども検討しましょう。

    潰れる介護施設の特徴を知って危機回避

    潰れる介護施設には、利用者さんが減少する・空室が目立つ・経費削減が顕著になるといった特徴があります。前兆を察知したら早めに失業保険の確認や転職の見通しを立てておくと、いざというときに動きやすいでしょう。「今は関係ない」という方も、潰れる介護施設の特徴を把握しておくといざというときに役立ちます。備えあれば患いなしです。

  • 勤務先の介護施設が倒産!未払い給与や転職に悩まないための対応策

    勤務先の介護施設が倒産!未払い給与や転職に悩まないための対応策

    2022年、多くの介護施設が経営難に陥り、厳しい状況に置かれています。中には、多くのスタッフや利用者さんを抱えたまま、突然倒産を迎えてしまうケースも。介護職として働く方は、いざ勤務先が倒産しても落ち着いて行動できるよう、知識を身につけておく必要があるでしょう。そこで今回は、介護施設が倒産した場合の流れや未払い給与、転職への対策についてご紹介していきます。

    増え続ける介護施設の倒産、その理由は?

    介護施設の倒産件数が過去最多に

    2022年10月、東京商工リサーチが公開した調査結果によると、老人福祉・介護事業者の倒産件数が9月末までで100件に到達。これまで過去最多だった2020年の118件を更新する可能性が高いと発表されました。これは、2021年同時期の51件と比較すると、約2倍の水準です。

    介護施設の相次ぐ倒産、その理由は?

    介護施設の倒産件数が過去最多で増加している背景には、さまざまな要因があります。

    ひとつは、慢性的な人材不足や介護スタッフの高齢化。一方で、他事業所との競争激化や他業種からの新規参入も増えつつあり、経営不振に陥った施設も多いようです。そして、ここ数年のコロナ禍によって、多くの施設が打撃を受けることに。利用控えが相次ぎ、感染防止費用などの臨時支出もかさんで、倒産する介護施設が急増しました。

    2021年にはコロナ対策支援策や介護報酬のプラス改定など、介護事業者のための救済措置によって倒産件数は激減しています。しかし、2022年に入ると支援策の縮小とともに再び深刻な状態に変化しました。原油価格の高騰や深刻な円安によって運営コストが大幅に増えてしまったことも、介護事業者への負担増へつながったようです。

    勤務先の介護施設が倒産!その後の動きは?

    仮に勤務先の介護施設が倒産してしまったら、どのような状況に立たされるのでしょうか。

    他の介護施設への引継ぎがある場合

    介護施設が倒産した場合、他の施設への引継ぎ(事業譲渡)が行われるケースが一般的です。事業譲渡となっても運営元が変更になるだけで、利用者さんはそのまま利用継続・スタッフも働き続けられる場合がほとんど。ただし、運営元が変わると施設の方針が大きく変更され、業務内容が一新される可能性もゼロではないでしょう。

    他の介護施設への引継ぎがない場合

    倒産した介護施設の中には、残念ながら引継ぎ先が見つからず、そのまま閉鎖に追い込まれるところもあります。

    そうなると、利用者さんは退去を余儀なくされ、介護スタッフも別の勤務先を探さなくてはならなくなるでしょう。ただ、介護の現場は、常に求人であふれている状況にあります。特に時期を気にせず転職活動できる点は介護職のメリットといえそうです。

    勤務先の倒産による突発的な転職活動では、退職日までに次の仕事が決まらないこともあるでしょう。そうなると転職活動中は貯金を切り崩しながら、生活することになるかもしれません。

    ただ、勤務先が倒産したケースでは、失業手当を当面の生活費に充てることが可能です。自主退職の場合、失業手当を受けるには、離職票の提出から受理までに約7日、さらに支給までに4ヶ月程度の待機時間があります。しかし、倒産などの会社都合によって退職となる場合は、待機時間が免除に。退職から約1ヶ月で受給できます。

    倒産したときの未払い給与は戻ってくる?

    勤務先が急に倒産したら、給与が支払われる前に退職となることもあります。そのような場合に備えて、「未払賃金立替払制度」について知っておきましょう。

    未払賃金立替払制度とは、給与が未払いとなっている退職者に対して、本来支払われるはずの賃金の一部を立て替え払いするために、国が定めた制度です。

    この制度の対象となるためには、

    • 勤務先の施設が1年以上、事業活動を行っていた実績がある
    • 労働者の退職日が倒産した日の6ヶ月前~2年の間である
    • 勤務先が法律上の倒産、または事実上の倒産をしている

    といった条件を満たすことが必要。立て替え払いされるのは、定期賃金と退職金のうちの未払い賃金の8割です。ただし、未払い賃金総額が2万円に満たない場合は対象外になります。賞与や年末調整の還付金、解雇予告手当などは含まれないので注意しましょう。

    安定して働ける勤務先選びが重要に!

    今や、どの介護施設も倒産のリスクを抱えている状態。介護の現場で働いている方にとっては、決して他人事ではないでしょう。そのため倒産した際の対処について今のうちから考えておくことはもちろん、倒産の可能性がありそうかどうか勤務先の動向をしっかりと見ておくことも大切です。そしてこれから就職先を探すという方は、安定して働ける職場かどうか慎重に判断するようにしましょう。

  • 介護職の副業におすすめの仕事5つとは!注意点もチェック

    介護職の副業におすすめの仕事5つとは!注意点もチェック

    「今より収入を増やしたい」「時間を有効に使いたい」など、介護職をしながら副業をしたいときは、どのような仕事が向いているのでしょうか。本業である介護の仕事に影響がでにくい職種や、副業をするときの注意点をご紹介します。勢いだけで副業先を決めると、働いているわりに収入が増えない・疲労で辛くなる…といった悪循環に陥ってしまうこともあるため、副業先や勤務時間は計画的に決めていきましょう。

    介護職をしながらの副業はあり?なし?

    副業とは、本業とは別で働き収入を得ることです。介護職とは別にアルバイトやパートとして勤務したり、在宅ワークをしたりすると副業となります。副業のみで年間20万円の所得がある場合、確定申告が必要です。

    介護職を担いながら副業を考えている方は、まずは就業規則を確認します。職場によっては副業を明確に禁止しているケースもありますが、職場が禁止していなければ可能と考えて良いでしょう。「正社員の副業は禁止しているが、パート職員の副業は容認している」など、雇用形態によって就業規則が異なる職場もあります。不安な場合は人事などの担当者へ確認すると確実です。副業先の就業規則もあわせて確認しておきましょう。

    介護スタッフが副業を選ぶときのポイント4つ

    介護職の仕事をしながら副業をするときに意識しておきたいポイントが4つあります。副業を選ぶときはこれらに着目してみましょう。

    副業を選ぶときのポイント4つ

    • 時間給が安すぎる仕事は避ける
    • スキルアップを目指せる仕事がおすすめ
    • 本業が疎かにならないよう気をつける
    • 好きなことを仕事として選ぶ

    時間給が安すぎる仕事は避ける

    できれば時給が安すぎる仕事は避けましょう。時給が低いと、一定の収入を得るために多くの時間を費やさねばなりません。同時に労働時間にも気を配りましょう。時間外勤務が多い仕事などを選んでしまうと、疲労が重なり、本職の介護職に悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。

    スキルアップを目指せる仕事がおすすめ

    スキルアップが目指せる仕事を選ぶと、長い目で見てプラスになります。ノウハウやスキルの習得に応じて評価が上がる仕事を選ぶと、継続するほど、効率良く稼げるようになるでしょう。また、ノウハウやスキルが身につく仕事は、自身の市場価値を上げることにもつながります。

    本業が疎かにならないよう気をつける

    本業が疎かにならないよう気をつけることも大切です。介護職よりも副業に力を入れすぎてしまい、介護のお仕事が適当になってしまっては、職場や施設利用者さんに迷惑をかけてしまいます。

    好きなことを仕事として選ぶ

    介護職を担いながら副業をする目的は、やりがいや自己研鑽、収入アップなど個人によって異なりますが、副業なら思い切って好きなことを仕事にするのがおすすめ。好きなことを副業にできると、楽しく続けることができます。

    介護職の副業としておすすめの仕事5つ

    ここからは介護職の副業としておすすめの仕事をピックアップしてご紹介していきましょう。介護職をしながら副業を考えている方はぜひ参考にしてください。

    介護職の副業におすすめの仕事5つ

    • 在宅ワーク
    • 介護現場などでの夜勤
    • 地域活動支援センタースタッフ
    • スキルシェアサービス
    • 飲食店やコンビニの店員

    在宅ワーク

    在宅ワークは、自身の空き時間を効率良く使うことができます。通勤に費やす時間が必要なく、身体的な負担を軽減できるところも魅力です。データ入力や文字起こし、ハンドメイド品の販売、アンケートモニターなどさまざまな選択肢があり、自身の得意なことや好きなことを副業にできます。

    介護現場などでの夜勤

    介護職の方は、介護現場などの夜勤を副業にするのもおすすめです。夜勤は日勤の仕事よりも時給が高く、効率良く収入を得ることができます。精通している分野の仕事を副業にできると、新たな業務を覚えるときの負担を最小限にできるでしょう。

    地域活動支援センタースタッフ

    地域活動支援センタースタッフも、介護職の知識があれば副業として取り組みやすい仕事です。地域活動支援センターでは、障害がある方の生活や日中の活動の支援を行います。業務内容によっては時短勤務の相談も可能なお仕事です。

    スキルシェアサービス

    介護職の副業としてスキルシェアサービスの仕事もおすすめです。スキルシェアサービスでは、自身のスキルを登録して、依頼された仕事に取り組みます。映像スキルやデザインスキル、ベビーシッターや家事サポートなど、さまざまな分野でスキルシェアサービスの需要があるのが特徴です。

    飲食店やコンビニの店員

    飲食店やコンビニの店員は、シフト制で職場によっては短時間勤務も可能なため、時間を有効活用しやすいのがメリット。介護職で養ったコミュニケーション能力も活かせるため、副業として人気があります。

    介護職の副業は好きなことを本業に影響がない範囲で!

    介護職の副業は、禁止されていなければOK!楽しく継続しやすい仕事を選ぶのがおすすめです。スキルアップが目指せる仕事だと、長く続けることで効率良く収入アップがかなうはず。時間給が安すぎる仕事や、労働時間が長すぎるなど、労働条件が良くない仕事は避けましょう。本業が疎かにならない範囲で力を発揮できる副業が理想です。

  • 介護現場のICT導入事例を紹介!取り入れるときのポイントは?

    介護現場のICT導入事例を紹介!取り入れるときのポイントは?

    近年、介護業界でも「ICT」という言葉を耳にすることが増えました。介護記録をスマートフォンから送れたり、介護職員同士の連絡をチャットでしたりとICT導入を図る施設も増えています。そこでこの記事では、介護現場のICT導入事例を紹介しながら、具体的な活用方法に注目。ICTツールを導入する際のポイントについて解説していきます。ICT化を検討している介護職員の方は、ぜひご覧ください。

    ICTとは?

    ICTとは、日本語で「情報通信技術」を指す言葉で、「Information and Communication Technology」の略称です。具体的には「スマートフォンから同僚にメールやメッセージを送る」といった、[btp_line]インターネットを介して人と人がつながること[/btp_line]を指します。

    日本では、厚生労働省が中心となり介護現場のICT化を推進。記録業務や請求業務などをワンストップで行えるような業務改善を支援しています。次から介護現場の具体的なICT導入事例を見ていきましょう。

    導入事例1:チャットツールを使った業務報告

    1つ目は、業務報告や介護職員からサービス提供責任者(以下サ責)への連絡などに、ビジネス用チャットツールを利用したICT導入事例です。東京都の訪問介護サービスを提供する事業所では、以前より介護職員とサ責の連絡方法が電話であることが課題となっていました。介護職員は電話が集中しやすいサ責と連絡が取りにくく、サ責も業務時間の大半を電話連絡にとられていたのです。

    そこで、複数人に同じ情報を共有できるチャットツールを導入。介護職員からの連絡をインターネット上のメッセージでやり取りできるようにしました。導入当初はICTツールに苦手意識がある介護職員が使えるのかなどの懸念がありましたが、利用してみると70代の方でも使えているとのこと。情報がリアルタイムで正確に伝わりやすくなり、介護職員とサ責が抱えていた課題が解決したといいます。

    導入事例2:見守りセンサーを導入

    2つ目は、介護職員が離れた場所にいながらも、利用者さんの状態を把握できる見守りセンサーを利用したICT導入事例です。静岡県を中心に幅広い介護サービスを行う企業では、かつて訪問介護に伺った先で利用者さんが倒れていたことから、遠隔での見守りを課題としていました。

    そこで、心拍や寝返り、離床のデータが取れる見守りセンサーを導入。介護職員が離れた場所にいても、利用者さんの状態が分かるようにしました。すると、同企業内の介護施設では夜間の見回り回数を減らすことができ、その分の時間を事務作業に充てられたといいます。これにより、夜勤明けの残業を減らすことに成功し、介護職員の夜間業務の不安を軽減することにもつながっているそうです。

    導入事例3:介護ロボットを導入!排泄予測もICT化

    3つ目は、利用者さんの自立歩行を助ける介護ロボットなどのICT導入事例です。導入したのは、介護業界に先例がないことでも積極的に取り組む東京都の企業。スーツ型のロボットを使って利用者さんの自立歩行のサポートや、排泄予測が行える機器などを導入しました。

    その結果、スーツ型の介護ロボットは利用者さんの歩行をサポートするだけでなく、リハビリにも活用できることを発見。排泄予測機器も、失禁リスクのある利用者さんに使用することで、無駄にトイレ誘導をする必要がなくなったといいます。これらの結果は、利用者さんのケア向上や、介護職員のモチベーションアップにもつながっているそうです。

    導入事例4:介護記録や情報共有をICTで一元化

    4つ目は、介護記録や情報共有をインターネット上で行えるようにしたICT導入事例です。岡山県の介護施設では、スケジュールやケアプランの管理はエクセルで、請求業務には別のシステムを利用していたといいます。しかし、この方法では転記に無駄な時間を取られることから、システムをインターネット上で一元化できるシステムを導入しました。

    導入当初は「手書きのほうが楽」「記録を入力しにくい」といった声も聞かれたといいますが、慣れてくると徐々に意見が変化。現場発信で書類を削減する意欲が生まれ、手書きでの記録はかなり削減されたといいます。また、法人内で利用者さんの記録を情報共有するときにも役立っているそうです。

    導入事例5:利用者さんと家族をつなぐICTツールも

    5つ目は、介護施設と利用者さんのご家族をつなぐICTツールの導入事例です。東京都の特別養護老人ホームでは、新型コロナウイルス感染症の流行により、利用者さんの家族と連絡する機会が増えたといいます。「陽性者が発生した」「濃厚接触者が出た」などの連絡を、主に電話で行っていたとのこと。すると、連絡がとれない利用者さんの家族も多く、かなりの時間をその業務に割かなければなりませんでした。

    そこで、介護施設と利用者さんの家族をつなぐ総合コミュニケーションツールを導入。オンラインで連絡や面会、安否確認などを行えるようにしました。これにより、利用者さんの家族に連絡をする介護職員の負担は減り、利用者さん家族との面会のハードルも下がったそうです。

    介護現場にICTを取り入れるポイントは?

    介護現場でのICT導入事例からは、業務効率化や利用者さんへのケアに集中できる環境が整うといったメリットが伺えます。そこでここからは、介護現場にICTを導入するポイントについて見ていきましょう。

    費用対効果で考える

    介護施設や事業所でICTツールを導入する際に、まず考えておきたいのは費用対効果です。導入するシステムや製品によっても初期費用や導入後にかかる費用は変わるため、見積書を出して検討していきましょう。

    ICT導入前に運用方法などを明確にしておく

    ICTの導入は、システムを運用するためのスタート地点です。そのため、導入前に運用ルールや介護職員の研修、活用方法などを明確にしておく必要があります。ICT導入がゴールとならないよう注意しましょう。

    自分たちに合ったサービスを導入する

    介護現場でのICT導入事例を見ても分かるように、ひと口にICTといっても、サービスの種類は多種多様です。そのためICTを導入する際は、介護施設ごとの課題に応じたサービスを導入するようにしましょう。サービス内容はもちろん、各施設の規模や目的に応じて自分たちに合ったものを選ぶことが大切です。

    介護現場のICT導入事例を参考に業務負担軽減を目指そう!

    5つの介護現場のICT導入事例を紹介しましたが、どの施設や事業所でも業務が効率化や介護職員の負担軽減が見られたことが分かりました。導入までに反対意見があったところでも、長く利用することで業務に欠かせないものになったようです。現在ICT化を検討している介護職員の方は、この記事も参考にしながら業務改善を図ってみてはいかがでしょうか。

  • 介護ロボット導入の補助金とは?どれくらい支援が受けられるか解説

    介護ロボット導入の補助金とは?どれくらい支援が受けられるか解説

    介護ロボットやICTを介護の現場に導入するとき、条件を満たしていれば補助金がもらえるケースがあります。この記事では「介護ロボット導入支援事業」と「ICT導入支援事業」について概要を解説。補助金の額や、令和5年度の補助金制度に向けてできる準備などをご紹介していきます。「介護ロボットを導入したい」、「介護ロボット導入の際の費用負担をできるだけ軽くしたい」、そんな介護施設の方はぜひご確認ください。

    介護ロボット導入の補助金とはどんな制度?

    介護ロボットやICTを介護施設に導入するときに補助金がもらえる制度として「介護ロボット導入支援事業」や「ICT導入支援事業」というものがあります。

    介護ロボットやICT導入支援の目的

    「介護ロボット導入支援事業」や「ICT導入支援事業」は地域医療介護総合確保基金による制度。介護ロボットの導入を補助金で支援し、介護施設でのケアの質を維持・向上させる、業務を効率化させる、介護スタッフの負担を軽減する、といったことが事業の目的です。

    主体となる機関

    「介護ロボット導入支援事業」や「ICT導入支援事業」は各都道府県が主体となり実施しています。都道府県ごとに公募があり、終了のタイミングはさまざまです。令和4年度の公募は2022年11月末現在で終了しているところがほとんどですが、令和5年度も補助金の公募があることが予想されます。

    介護ロボットやICTの導入補助金はいくらもらえるの?

    介護ロボットやICT導入補助金の内容を確認していきましょう。

    「介護ロボット導入支援事業」の補助金

    補助額の上限は介護ロボットの種類により異なり、補助率は都道府県により設定されています。

    導入補助金がもらえる介護ロボットとは

    介護ロボット導入補助金の対象となるのは、移乗支援や移動支援、入浴支援、排泄支援、見守りなど、介護をサポートしてくれるロボットです。厳密には、厚生労働省・経済産業省の「ロボット技術の介護利用における重点分野」において定められています。

    特定の介護ロボットは補助金上限100万円

    介護ロボットのなかでも、移乗支援、入浴支援をするロボットは補助金が高額です。1機器あたり上限100万円まで補助金を申請することができます。

    通常の介護ロボットは補助金上限30万円

    移乗支援、入浴支援をするロボット以外の介護ロボットの場合は、1機器あたりの補助金上限は30万円です。

    通信環境整備は補助金上限750万円

    見守りセンサーを導入するためにWi-Fiの工事やインカムを導入するなど、通信環境の整備が必要な場合は上限750万円まで助成されます。

    「ICT導入支援事業」の補助金

    補助額の上限は事業所の規模により異なり、補助率は都道府県により設定されています。

    導入補助金がもらえるICT機器とは

    請求業務や記録、情報共有などができる介護施設業務を支援するソフトウェアや、タブレット・スマホ・インカムなどの機器、Wi-Fiルーターなどの通信環境機器が対象です。

    補助金上限は260万円

    補助額の上限は、職員数で判断される事業所の規模により異なります。

    <補助額の上限>

    • 10人までの介護施設・事業所…上限100万円
    • 11人~20人までの介護施設・事業所…160万円
    • 21人~30人までの介護施設・事業所…200万円
    • 31人以上の介護施設・事業所…上限260万円

    参考:厚生労働省「介護分野におけるICTの活用について」

    令和5年度の補助金制度に向けて準備しておこう

    先述したように、令和4年度の介護ロボット導入やICT導入に関わる補助金の公募は終了している都道府県がほとんどです。しかし、令和5年度にも公募があると予想されます。早めに準備をして備えておくと、申請がスムーズでしょう。

    介護ロボット導入やICT導入に関わる補助金を申請するためには、申請書のほか、導入計画書や検討会議の協議録、見積書、カタログなどの提出が求められます。

    介護ロボットやICT導入の補助金制度で効率化を目指そう

    介護施設でのケアの質の維持・向上、業務の効率化、介護スタッフの負担軽減を目的に介護ロボットやICTの導入には補助金制度が設けられています。補助金の額や公募の〆切は都道府県により異なるのが特徴。介護ロボットやICTの導入を検討している場合は、令和5年度の公募でスムーズに補助金申請ができるよう、情報を定期的にチェックしておきましょう。

  • 介護ロボットとは何か?種類や導入のメリットについて

    介護ロボットとは何か?種類や導入のメリットについて

    介護現場への介護ロボットの導入が推進されていることをご存知でしょうか?少子高齢化に伴い、介護現場の人手不足が懸念されているためです。問題解決のために、政府が掲げた「日本再興戦略」によって、介護ロボットの開発実用化の取り組みが始まりました。では、介護現場に導入される介護ロボットとは、具体的にはどういうものを指すのでしょうか。今回は、介護ロボットとはどういうものか、介護ロボットの種類や導入のメリット、そして課題について紹介します。

    そもそも介護ロボットとは?

    まず、介護ロボットとはどういうものなのか、厚生労働省の定義を見ていきましょう。ロボットの定義は、以下の3つの要素を持っている必要があり、さらに知能化した機械システムでなければなりません。

    • 情報を感知する
    • 判断する
    • 動作する

    これらの技術を応用した上で、利用者さんの自立支援や介護スタッフなど介護者の負担を軽減できる介護機器を「介護ロボット」と呼びます。

    介護ロボット開発にかかわる国からの支援は、介護ロボットを開発する企業だけではありません。介護ロボットを導入する介護施設を対象とした補助金制度を設けるなど、介護現場に対する支援も実施。試作機器を介護現場で実証できるように、実証支援の仲介をすることもあります。

    介護ロボットの種類

    介護ロボットと聞くと、人型のロボットをイメージする方もいるかもしれません。実は介護ロボットには6つの種類があり、種類に合わせて開発と導入を支援しています。手のひらサイズの介護ロボットがあったり、要介護者に機器を装着して作業を楽にしたりするものも。ここでは、介護ロボットの種類について見ていきましょう。

    移乗介助機器

    利用者さんを車椅子に移乗したり、ベッドから起こしたりする際に使う機器のことです。装着タイプと非装着タイプに分かれており、装着タイプは介護スタッフが装着してパワーアシストを行います。非装着タイプは、電動ベッドなどのように備え付けで使える機器のことです。

    移動支援機器

    屋内や屋外への移動をサポートするための機器。屋外・屋内・装着の3タイプに分かれています。屋外用の機器は、荷物を安全に運べるようロボット技術を搭載し、歩行支援を行うものも。

    屋内用の機器は、利用者さんの立ち・座りの動作をサポートしたり、トイレへの移動をサポートしたりします。装着タイプは、利用者さんの足などに装着して、歩行を補助・転倒を予防するための機器です。

    排泄介助機器

    排泄時のサポートをする機器で、排泄物処理・トイレ誘導・動作支援に分かれています。排泄物処理は、設置位置を調整できるロボット技術を使ったトイレのこと。

    トイレ誘導では、ロボット技術を使って排泄のタイミングを予測しトイレへ誘導します。動作支援は、トイレでの衣類の着脱やトイレからの立ち・座りなどをサポートする機器です。

    見守り・コミュニケーション

    利用者さんの様子を見守ったりコミュニケーションをとったりする際に利用する機器のこと。施設・在宅・生活支援に分類されています。施設では、施設内にセンサーなどを設置することで、利用者さんが離床していないかなどの確認が可能に。

    在宅タイプも、施設と同じような機器によって、センサーを設置することで転倒を検知。電気が点くなどの動きが確認でき、検知した内容は介護スタッフや家族のスマホへ自動的に送信されます。

    生活支援では、利用者さんとのコミュニケーションに特化したロボット技術を活用。利用者さんが会話やレクリエーションを楽しむために使われるロボットです。

    入浴支援機器

    利用者さんの入浴を支援する機器のことです。ロボット技術を使って、浴槽への出入りをサポート。浴室での転倒を防いだり、介護スタッフの負担を減らしたりする効果が期待できます。

    介護業務支援

    介護現場で利用したロボット技術の情報を収集・蓄積して、利用者さんに必要なサポートができるように情報をまとめる機器のことです。さまざまな情報を集約し蓄積するにより、利用者さん一人ひとりに最適な介護サービスを提供できるようになります。

    介護ロボットを導入するメリット

    介護ロボットを導入すれば、利用者さんにも介護スタッフにも大きなメリットがあるでしょう。利用者さんは、「介護をしてもらっている」という気持ちを持ちやすく、介護スタッフに対して「申し訳ない」や「恥ずかしい」と感じる場合もあるようです。

    介護スタッフに関してもメリットはあります。利用者さんは高齢者であっても大人と同じ体格。抱きかかえたり、支えたりする作業は重労働となります。

    介護ロボットを使うことで、両者の身体的・精神的負担の軽減できるというわけです。

    介護ロボット導入の課題とは

    介護ロボットは便利ですが、まだ介護現場に普及していません。導入にかかるコストが高い・操作になれるまでに時間がかかる・保管や設置スペースの確保が難しいなど、複数の課題があるためです。

    介護ロボットの普及が皆の幸せにつながる

    介護ロボット導入に関する課題がクリアされれば、介護スタッフの負担が減ります。負担が減れば、空いた時間を資格取得のための勉強時間にあてたり、利用者さんに必要な介護を見直したりするなど、スキルアップや介護の質を良くすることも可能に。介護ロボットとは、利用者さんも介護スタッフも幸せにする機器といえるのではないでしょうか。今後の介護ロボット開発や普及に期待したいものです。

  • 介護ロボットが高齢者のコミュニケーションをサポート!導入事例をご紹介

    介護ロボットが高齢者のコミュニケーションをサポート!導入事例をご紹介

    介護施設で過ごす利用者さんにとって、コミュニケーションの充実度は生活の質に大きく影響する部分です。日々の介護業務の中で介護職員が利用者さんに声かけや対話をしますが、それだけでは補えないケースもあるでしょう。そこで注目したいのが「コミュニケーション型の介護ロボット」です。高齢の利用者さんをサポートしてくれ、問題解決に役立ちます。今回はコミュニケーション型の介護ロボットをメインテーマに、導入事例をご紹介します。

    介護ロボットとは?介護の現場で注目される理由

    介護ロボットは、[btp_line]介護職員の負担の軽減を目的につくられたロボット機器[/btp_line]です。たとえば、利用者さんの入浴や排泄をサポートする「介護支援型」の介護ロボットを導入すると、介護職員の身体的・肉体的負担につながります。他にも、利用者さんの歩行や食事をサポートする「自立支援型」や「コミュニケーション/セキュリティ型」などの種類も。
    介護ロボットが注目を集めるのは、人手不足が深刻化している介護施設での負担軽減が期待できるからです。2013年6月に政府が介護ロボットの開発や導入促進に関して取り組むことを発表して以来、開発メーカーへの支援や導入のための補助金制度などが整備されてきました。介護現場のニーズに合う介護ロボットの開発がさかんに進められています。

    コミュニケーション型介護ロボットについて

    介護施設では、介護スタッフや同じ利用者さん同士など、人との関わりの中で生活することになります。コミュニケーションに関する不安は、利用者さんにとって精神的な負担となる可能性も…。そこでサポート役となるのが、コミュニケーション型の介護ロボットです。
    コミュニケーションロボットは自ら言葉を発するだけでなく、人の動作や言葉に応じたやり取りが可能。中にはレクリエーション機能を備えた介護ロボットもあります。介護施設で日々の生活を送る利用者さんの、不安解消・癒やし・認知症への対策などをサポートしているのです。

    いくつか種類のあるコミュニケーションロボットですが、ここでは2つを例に挙げてご紹介しましょう。

    LOVOT(ラボット)

    LOVOT(ラボット)は、GROOVE X社開発の次世代コミュニケーションロボット。本体は触るとやわらかく、まるで生き物のような体温を感じます。そのため、利用者さんにとってのペットや家族のような存在として導入できるでしょう。
    LOVOTを導入するメリットのひとつは、利用者さんのメンタルケアです。コロナ禍で家族との面会にも制限ができた介護施設も多く、孤独感やさみしさを感じる利用者さんも大勢います。他にも、ペットを飼いたくても介護施設での制限や、アレルギーの問題で飼うことができない利用者さんも。
    LOVOTを導入すれば、触れ合う中で癒やしになり、気持ちが明るくなったり自然と笑顔が増えたりする効果を期待できるでしょう。また、利用者さんのコミュニケーション不足をおぎなう存在という点も、導入するメリットといえます。

    Sota(ソータ)

    Sota(ソータ)は、言葉や動作を使って、自然な対話を実現するコミュニケーションロボット。高度な性能と可愛らしい見た目が特徴です。
    千葉県の観光複合施設では、「店内の販売コーナーにSotaを設置して商品紹介させると訪れた人々が立ち止まってくれた」という導入事例もあります。介護ロボットが心の交流を促す存在として、介護施設で利用者さんとコミュニケーションを取れば、メンタルケアへの効果が期待できるでしょう。また、レクリエーションの進行補助・自動進行も可能なコミュニケーションロボットなので、介護施設で企画するレクリエーションでも活用できます。

    その他、介護施設向けレクリエーションのアプリが豊富な「Pepper(ペッパー)」、アニマルセラピーと同様の効果が期待できる「PARO(パロ)」などのコミュニケーションロボットもあります。

    コミュニケーション型介護ロボットを導入する際の注意点

    コミュニケーション型の介護ロボットを介護施設で導入する場合は、介護ロボットに行程のすべてを任せることがないよう注意しましょう。
    たとえば、Sotaにはレクリエーションの司会進行機能が備わっていますが、介護職員のサポートなしに終了まで進めることはできません。介護ロボットには、気づきや気遣い、臨機応変な対応などの苦手な分野もあります。そのことをふまえたうえで、介護ロボットを導入する際は、介護職員との連携が欠かせないと意識しておきましょう。

    介護ロボットを導入して“介護の質”を上げよう

    コミュニケーション型介護ロボットの導入を検討するには、介護ロボットの特徴や導入事例などの知識を身に付けることが大切です。「介護施設ではどのように活用できるか」とイメージし、介護職員と利用者さん両方にとってメリットのある導入の仕方を考えてみましょう。“介護の質を上げること”を目的に、コミュニケーション型の介護ロボット導入を考えてみませんか?

  • 介護ロボットを導入するデメリットとは?介護施設での導入の参考に!

    介護ロボットを導入するデメリットとは?介護施設での導入の参考に!

    介護施設で活用される“介護ロボット”。日々多くの業務をこなす介護職員をサポートするロボット機器ですが、実際に導入するにはデメリットについても知っておく必要があります。介護ロボットの普及率の低さは、デメリットへの不安要素も原因のひとつです。今回は介護ロボットを導入するデメリットをメインテーマに、介護施設で導入を検討する方の参考になる情報をご紹介しましょう。

    介護ロボットとは?どんな種類がある?

    介護ロボットは、介護支援型・自立支援型・コミュニケーション/セキュリティ型の3種類に分けられます。

    介護支援型の介護ロボット

    利用者さんの移乗や入浴、排泄などのシーンでサポート役となるのが「介護支援型」です。導入することで、介護職員の身体的・精神的負担の軽減が期待できるでしょう。「介助してもらうのが申し訳ない、恥ずかしい」と感じる利用者さんにとって、精神的負担を和らげるという点でも役立ちます。

    自立支援型の介護ロボット

    利用者さんの歩行や食事など、日常的な動作をサポートするのが「自立支援型」です。腰や膝に悩みを抱える利用者さんが、「装着型の介護ロボットを活用したら負担が軽減された」という導入事例も。自立した生活が送れることは利用者さんにとっての自信になり、精神的な負担も和らげることができるでしょう。

    コミュニケーション/セキュリティ型の介護ロボット

    他者とコミュニケーションを取ったり、利用者さんの安全性を高めたりするサポートを行うのが「コミュニケーション/セキュリティ型」。人工知能を搭載したもの、センサーで利用者さんの様子を確認できる仕様のものなどがあります。コミュニケーション型には、レクリエーション要素を含むものも。見守り機能付きのセキュリティ型は、介助の緊急性の判断に役立ちます。

    介護ロボットを導入するデメリットについて

    介護ロボット導入のデメリットは、主に3つあります。それぞれどんなところがデメリットといわれるのか、ひとつずつチェックしましょう。

    コストの高さ

    介護ロボットのデメリットの中でもまず注目したいのが、コストの高さです。現状では介護ロボットの普及率が低く、そのぶん生産量も少ないので、単価が高くなっています。導入する介護ロボットの種類によって単価は変わりますが、価格帯は数万円から数百万円です。「利用者さん一人ひとりに介護ロボットを」となると、多くの利用者さんのいる介護施設ほど導入コストが高くなります。コスト面で導入を断念する介護施設も多いので、デメリットの中では大きな課題といえるでしょう。

    介護ロボットを管理するスペース

    介護ロボットを導入するには管理スペースが必要です。介護ロボットは小型から大型のものまでさまざまな種類があります。規模が小さく管理スペースの確保が難しい介護施設ほど、大きなデメリットといえるでしょう。

    介護ロボットの操作

    介護ロボットの使用シーンでは、安全に使うことが求められます。どんな機能の介護ロボットで、どう使うのか、正しい知識を身に付けておくことが大切です。介護ロボットを安全に使うために知識を身に付けたり操作を練習したりすることは、日々の業務で忙しい介護職員にとって負担となるため、デメリットといえるでしょう。

    介護ロボット導入の今後の課題とは?

    介護ロボットの導入にはさまざまな課題があります。先ほど挙げたデメリットの改善をはじめ、介護現場のニーズに合う実用性の高い介護ロボットの開発も求められるでしょう。
    開発する側は介護現場のニーズを把握すること、使用する側は介護ロボットの正しい知識を身に付けること、といった両者の課題を解決していくことが大切です。

    デメリットもふまえたうえでの導入検討を

    介護ロボットの導入にはご紹介したようなデメリットがありますが、もちろん多くのメリットもあります。今後介護ロボットの活用事例が増えていけば、普及率の拡大も期待され、より質の良い介護サービスを提供できるでしょう。介護ロボットのデメリットもふまえたうえで、介護施設での使用シーンをイメージして、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

  • 【介護ロボット】介護施設での導入事例や活用方法をチェック

    【介護ロボット】介護施設での導入事例や活用方法をチェック

    人手不足が深刻化する介護現場では、一人ひとりの介護職員が日々多くの業務をこなしています。「業務に追われてじゅうぶんな介助ができているか不安…」そんな介護職員の負担軽減をサポートするのが“介護ロボット”です。今回は介護ロボットをメインテーマに、導入事例や活用方法、導入するメリットについてご紹介します。介護施設で介護ロボットを導入することについて、じっくり考えていきましょう。

    介護ロボットはどんなもの?

    介護ロボットは、介護施設での[btp_line]介助業務をサポートするために使われるロボット機器[/btp_line]のこと。介護ロボットを使用するのは介護職員、使用の対象になるのが利用者さんです。日々多くの業務をこなす介護職員にとって、介護ロボットを使うことは日々の業務の負担軽減になります。

    介護ロボットの導入事例と活用方法

    続いて、介護ロボットの導入事例と活用方法をご紹介します。導入事例をチェックして、実際の介護現場でどのように活用できるかイメージしてみましょう。

    【導入事例その1】移乗支援の「マッスルスーツ」

    イノフェス社がリリースしている介護ロボット。利用者さんの移乗支援に活用されます。
    利用者さんのシーツやおむつ交換のシーンだけ機械を装着して使う介護ロボットなので、常に装着する必要はありません。マッスルスーツを装着すれば、利用者さんが身体を動かすときのサポートになります。介護職員が利用者さんの身体を起こしたり、寝かせたりするなど、体力が必要な業務の負担軽減につながるでしょう。

    【導入事例その2】排泄支援の予測デバイス「DFree」

    トリプル・ダブリュー・ジャパン社がリリースしている介護ロボットで、利用者さんの排泄支援に活用されます。
    センサーを膀胱の前に固定して使うと、利用者さんの排尿のタイミングを超音波で検知。端末に通知が届きます。介護職員のトイレ介助の負担軽減、利用者さんの排泄自立の2つを目的に作られた介護ロボットです。

    【導入事例その3】見守り支援の「シルエット見守りセンサ」

    キング通信工業社がリリースしている介護ロボットで、利用者さんの見守り支援に活用されます。
    ベッドでの利用者さんの動作を介護ロボットが検知すると、端末にシルエット画像の通知が届きます。夜間のような介入のタイミングがつかみにくいシーンでも、介護ロボットを活用すれば緊急性のあるものかどうかの判断をしやすくなるでしょう。

    【導入事例その4】入浴支援の「新型ナノミストバスベッドタイプ」

    EINS社がリリースしている介護ロボットで、利用者さんの入浴支援に活用されます。
    利用者さんのベッドまで浴槽を移動することができるので、寝たままの入浴も可能。微細なミストで利用者さんの入浴ケアを行います。浴槽までの移動が不要になること、ミスト仕様により必要な水量がペットボトル1本程度で済むことなどのメリットがあります。

    介護ロボット導入のメリットと今後の課題

    利用者さんの身体を支えたり、抱きかかえたりするのは、介護職員にとって体力的な負担になります。「利用者さんが難しくないように」と介助に気を遣えば、精神的な負担にもなるでしょう。体力面と精神面、2つの負担軽減になるのは、介護ロボットを導入する大きなメリットといえます。
    また、日々の介助シーンで申し訳なさや恥ずかしさを感じる利用者さんも。利用者さん目線でも精神的負担軽減を期待できます。

    介護ロボット導入事例でご紹介したものは、それぞれ数十万円から数百万円の単価です。一般的な普及率が低いので単価が高く、実際に導入するにはコスト面が大きな課題になります。
    たとえば先ほど導入事例でご紹介した「シルエット見守りセンサ」の単価は30万円。多くの利用者さんを抱える介護施設ほど、導入コストは高くなります。他にも、導入事例の少なさによる不安も懸念されています。介護職員や利用者さんが導入に踏み切れない現状が、今後の課題です。

    介護ロボット導入を検討するときの参考に

    介護ロボットの導入は、より質の高い介護サービスを行うためのひとつの方法です。まずはどんな種類の介護ロボットがあり、介護施設でどのように活用できるのか、知識を身につけてから検討するのをおすすめします。介護職員と利用者さんそれぞれのメリットと課題を踏まえたうえで、紹介した導入事例も参考にしつつ、介護ロボットの導入を考えてみましょう。

  • 2024年度介護保険改正でケアプラン有料化が議論される理由とは

    2024年度介護保険改正でケアプラン有料化が議論される理由とは

    ケアプランは、要支援や要介護の状態にある利用者さんが、介護保険サービスを利用するために欠かせないもの。現状では利用者さんの自己負担は0円となっています。介護保険制度の改正は3年に1回のペースで行われていますが、今議論されている案件がケアプランの有料化です。今回は、なぜケアプラン有料化が議論されるのか、ケアプランの有料化のメリットやデメリットなどについて見ていきましょう。

    議論白熱の「ケアプラン有料化」とは?

    冒頭で説明したとおり、現在は、ケアプラン作成にかかる費用は実質無料です。しかし、地域や利用者さんによって異なるものの、利用者さん1人あたり月1万円以上の費用がかかっているのが現状。ケアプラン有料化とは、この費用を利用者さんに負担してもらおうという話です。

    2020年の介護保険制度改正の際にも議論されましたが、ケアプランの有料化は先送りされました。これは、ケアプラン有料化によってさまざまなデメリットが考えられるためです。一般社団法人 日本介護支援専門員協会などが反対の声を挙げています。

    2019年に大阪社会保障推進協議会介護保険対策委員会が公表した「ケアプラン有料化問題 大阪市内居宅介護支援事業所 緊急アンケート結果報告書」でも、ケアプラン有料化に反対する方が9割近くを占めていました。

    こういった経緯から前回の改正では見送られたものの、再び議題に上がっています。では、どうしてケアプランの有料化が必要なのでしょうか。次で見ていきましょう。

    ケアプラン有料化が必要な理由について

    ケアプラン有料化の大きな理由は、社会保障制度の見直しが必要になっているためです。少子化で現役世代が減っているにもかかわらず、高齢化によって高齢者が増加しています。

    つまり、介護保険料の収入は減りつつあるのに、給付としての支出が増えていることを意味しているのです。現役世代の負担を少しでも減らすために、他のサービスと同じように、ケアプラン有料化が必要といわれています。

    また国は、新型コロナウイルス蔓延の影響で莫大なお金を使いました。これにより国の財政が厳しくなったこともケアプラン有料化を必要とする理由に含まれると考えられます。

    ケアプラン有料化のメリット

    ケアプラン有料化によるメリットを見ていきましょう。主なメリットは以下の2つです。

    • 公費の削減
    • サービスの質の向上

    介護保険における居宅介護支援費は、5,000億円ほどです。例えば、ケアプラン有料化によって1割負担をした場合、500億円の公費削減につながります。今後高齢者が増え、介護保険の利用者が増えることが容易に想定できる日本。すべての国民に公平な介護サービスを提供するためにも、また、現役世代の負担を減らすためにも公費を減らす必要があるでしょう。

    サービスの質の向上に関しては、ケアプラン有料化によって、ケアマネジャー間の競争が起きるのではないかと考えられています。ケアプラン有料化によって、利用者さんやそのご家族が「せっかく費用を負担するのであれば、ケアマネジャーを選びたい」と思うケースも出てくる可能性も。ケアマネジャーも選ばれる人材になろうと努力することで、ケアマネジャーの質が向上し、サービスも良い方向に向かうでしょう。

    ケアプラン有料化のデメリット

    ケアプラン有料化のデメリットは主に3つです。

    • 利用控え
    • 権利意識を強くする
    • セルフプランの拡大

    ケアプランがなければ介護保険サービスは利用できません。現状はケアプランの作成が無料のため、気軽に相談できました。しかしケアプラン有料化になると、費用的な負担があることから、介護保険サービスの利用控えが起こる可能性があります。

    利用控えが起きると、本来は介護保険サービスが必要にもかかわらず、サービスを削る方も出てくるでしょう。それによって、要支援の方が要介護になるなど、介護度の重度化が懸念されます。

    また、ケアプラン作成のために費用負担していることが分かれば、「負担に見合ったサービスを提供してほしい」と、利用者される方が権利を主張して、トラブルになるかもしれません。

    ケアプランの作成は、ケアマネジャーに依頼せず自分で作成するセルフプランも可能です。セルフプランは難易度の高い作業です。しかしケアプランの有料化により、ケアプランの作成費用を節約しようと、セルフプランを選択する方が増える可能性があります。

    もし、専門的な知識を持っていない方がセルフプランをした場合、必要な介護を受けられず現場とトラブルになるリスクもあるでしょう。

    2024年ケアプラン有料化は見送りへ

    ケアプラン有料化にはメリットとデメリットがあります。日本の少子高齢化のスピードを考えると、ケアプラン有料化の議論は今後も白熱するでしょう。2024年度のケアプラン有料化は見送り、という見方が濃厚です。今後も介護保険制度の改正時期にはどうなるのかをチェックしていきましょう。

  • 【ケアマネ試験】何回落ちた?合格した方の体験談をチェック

    【ケアマネ試験】何回落ちた?合格した方の体験談をチェック

    介護を必要とする利用者さんのケアプラン作成や、事業所との調整を行うケアマネジャー(介護支援専門員)。ケアマネジャーになるためには「介護支援専門員実務研修受講試験」の合格が必須です。しかし、この試験は難易度が高く「ケアマネ試験に何回も落ちた」という声も…。そこでこの記事では、合格者はケアマネ試験に何回落ちた経験があるのか、また合格を目指す対策方法について紹介していきます。

    合格率は20%前後。難易度が高い「ケアマネ試験」

    厚生労働省が公表する「介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況等」によると、2017年度からの合格率の推移は以下のとおりです。

    開催年度合格率
    第25回(2022年度)19.0%
    第24回(2021年度)23.3%
    第23回(2020年度)17.7%
    第22回(2019年度)19.5%
    第21回(2018年度)10.1%
    第20回(2017年度)21.5%

    出典:厚生労働省「介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況

    例年のデータを見ても、[btp_line]毎年20%ほどしか合格者がいない[/btp_line]ことが分かります。合格率からも、ケアマネ試験の難易度の高さが伺えるでしょう。

    ケアマネ試験に何回落ちた?合格者の体験談をチェック

    難易度の高いケアマネ試験は、合格した方の中でも「何回も落ちた」「やっと受かった」という声が数多く聞かれます。ここからは、合格した方の体験談をチェックしてみましょう。

    4回目の挑戦でつかんだ合格

    介護福祉士の資格取得をきっかけに、ケアマネ試験への挑戦を決めたAさん。介護福祉士に受かった勢いのまま、翌年からケアマネ試験に挑み始めました。しかし、翌年の結果は不合格。問題集を変えたり、試験の攻略法について書かれた本を読んでみたりしますが、合格にはあと1歩届きません。そして迎えた4回目のケアマネ試験で、ついにAさんは合格を手にします。勉強の場所を決めるなど環境と習慣を変え、過去の失敗を活かした勉強法が実を結んだようです。

    勉強法を変えて6回目に合格

    問題集を変えたことが合格につながったという声も。6回目の挑戦で合格を手にしたBさんは、1回目で2点、2回目で1点足りず、不合格となりました。その後は、受験資格の変更や申込み忘れで受験できない年が続き、再び望んだときには5年が過ぎていたそうです。しかし、この年も苦手分野で1点足りず、結果は不合格。そこで6回目は、これまでの勉強法を見直し、より自分に合った問題集を選び直したといいます。理解が深まったことにより、6回目は高得点で合格となったそうです。

    来年の合格を目指す!ケアマネ試験3つの対策

    ケアマネ試験は、約5人に1人しか合格できない難易度が高い試験です。そのため何回も試験に落ちたとしても、決して珍しいことではないでしょう。ここからは、試験に合格できなかったときには、どのような対策をして翌年の合格を目指すべきかについて見ていきます。

    自己採点をして苦手分野を発見する

    まず、来年のケアマネ試験に向けて行っておきたいのは自己採点です。今年の試験を振り返ることで、どの分野が苦手なのか明確にしておきましょう。なおケアマネ試験で出題される問題数は、保健医療福祉サービス分野が35問、介護支援分野が25問です。各分野の正答率が70%を超えていれば合格となります(ただし、正答率は毎年変更がある)。自己採点をすることで把握した苦手分野を繰り返し解き、次の年の点数アップにつなげていきましょう。

    勉強方法を変えてみる

    合格者の体験談からも分かるように、勉強方法を変えてみることも1つの対策です。例えば、これまで独学で学んでいた方は通信講座や模擬試験を取り入れてみてもよいかもしれません。スキマ時間で勉強しやすいように、動画やアプリなどのオンライン教材を利用してみる方法もあるでしょう。今まで使っていた問題集を、別の出版社のものに変えてみるのも手です。より自分に合った勉強方法を模索してみると、翌年のよい結果にもつながりやすいでしょう。

    早めに試験対策を始める

    ケアマネ試験は、早めに試験対策を始めることが大切です。遅くても、半年前には試験勉強を始めておきましょう。この際、1日の勉強時間を無理なく設定することも重要です。半年間1日30分続けることができたら、それだけでも十分勉強時間が確保できます。反対に「1日3時間勉強する」など、高すぎる目標は気持ちを切らしてしまう要因となりやすいようです。直前になって焦ることがないよう、余裕をもって試験対策をしていきましょう。

    ケアマネ試験は何回も落ちた方が多い!諦めずにチャレンジを

    ケアマネ試験の合格率は20%前後であり、難易度は高いといえます。そのため「何回も落ちた」という方も多い試験です。しかし、諦めずにチャレンジを続けた結果、合格を手にしたという声も少なくありません。ぜひ自分に合った勉強法で試験対策をして、ケアマネ試験合格を目指していきましょう。

  • 老人ホームで「ペット可」など動物との関わりが増えている理由

    老人ホームで「ペット可」など動物との関わりが増えている理由

    老人ホームなどにおいて、ペット可の施設が増えていることをご存知ですか?ペットと過ごすことで、利用者さんにさまざまなメリットがあると考えられているためです。それに伴い、動物との関わりを持つアニマルセラピーを導入する施設もあります。そこで今回は、老人ホームで「ペット可」が増えている理由や、ペットとの入居が可能になることで考えられるトラブルなどについて見ていきましょう。

    老人ホームでペット可が増えている?!

    動物とふれあうことで、利用者さんの生きる活力が生まれる、身体機能が回復に向かうことがあるとして、老人ホームでペットの同伴入居が可能な施設が増えています。また、ペットと暮らすことに限らず、レクリエーションの一環としてアニマルセラピーを導入する施設も。

    まずは、老人ホームでペット可の施設が増えていることについて見ていきましょう。ある調査では、2020年と2022年を比べた場合、老人ホームでペット可の施設が約6倍に増えていることがわかりました。

    老人ホームのペット可の施設は、東京や大阪など都市圏に多いことが特徴です。この背景には、ペットの飼育頭数自体が多いという点が理由にあげられます。

    「高齢者×ペット」でアニマルセラピー?

    次に、アニマルセラピーについて見ていきましょう。アニマルセラピーとは、動物とふれあうことで精神を落ち着かせ、身体機能を向上させる効果が期待できる療法のことです。

    動物の温もりや鼓動を感じることでリラックスしたり、「動物をお世話しなければ」という責任感によって身体を動かすようになったりするという効果が期待できます。また、アニマルセラピーによって意欲が高まることで、認知症の予防や認知症の進行を抑えるという研究結果があるほどです。

    以上のことから、老人ホームのレクリエーションなどで、アニマルセラピーを導入する施設が増えています。

    ペットにまつわる事前に想定できるトラブルとは?

    アニマルセラピーなどの実施によってさまざまなメリットが考えられますが、トラブルがある場合も。老人ホームがペット可だからといって、ペットを飼っている方のみが入居するわけではありません。ペット可であることを理解しているものの、これまでにペットを飼ったことのない利用者さんもいるはずです。

    すべての利用者さんが安心して快適に過ごせるよう、事前に想定できるトラブルを考えていきましょう。

    におい

    ペットを飼うと、ペット特有のにおいや排泄物のにおいが気になることもあります。特に、ペットを飼っていない利用者さんからすると、においは強烈なものでしょう。

    他の利用者さんや衛生面を考えて、空間除菌脱臭機を導入したり、カーテンや壁の塗料に消臭効果があるものを取り入れたりするなどの工夫が必要です。

    騒音

    特に犬の場合、吠えることがあるため、「うるさい」などと騒音トラブルに発展する可能性があります。しつけをしっかり行ったり、就寝時間にはペットだけ別の部屋に移したりする必要もあるでしょう。

    ケガのリスク

    どんなにしつけをしていても、ペットの本能的に、他の利用者さんを噛みつくことがあるかもしれません。ケガを負わせてしまったきっかけは、他の利用者さんが急にペットにふれたことによってペットが驚いたことが理由の場合もあるでしょう。

    しかし、どんな理由があったとしてもペットが噛んだことに違いはないため、他の利用者さんから苦情が出る可能性があります。また、ペットが横にいることに気付かず、つまずいて転倒してしまうことも考えられるでしょう。

    老人ホームでペット可にする場合は、ペットを飼わない方に対しても、入居前にペットとの交流方法やケガのリスクなどの注意点をしっかり説明する必要があります。

    施設内の環境整備

    犬や猫は部屋の中で走ることがあるため、滑りやすい床はケガの原因になることも。また、コンセントなどがペットの目線にあると、おもちゃかと思って噛んで遊ぶ可能性もあるでしょう。

    犬などのペットにとっても快適な空間になるように、環境整備する必要があります。

    利用者さんにもしものことがあったときは…

    最後に、利用者さんが気になることといえば、「自分にもしものことがあった際に、ペットはどうなるのか」ということです。ペットより先に亡くなることもあれば、長期の入院が必要になることもあるでしょう。

    そういった場合に備えて、老人ホームでペット可にする際には、万一のときには利用者さんのご家族や保証人に引き取ってもらったり、引き続き施設でペットの世話をしたりするなどの規定を設けていることが一般的です。

    契約時に万一の際の説明をしっかりしておくと、利用者さんも安心してペットと暮らせるでしょう。

    ペット可のニーズは今後も高まるはず

    老人ホームのペット可の施設は、今後も増えるでしょう。アニマルセラピーなどによる動物の持つ魅力はもちろんのこと、ずっと一緒にいたペットを手放して、自分だけ施設に入居することを「寂しい」と感じる利用者さんも多いためです。利用者さんやペットが快適に暮らせて、なおかつ同じ施設にいるペットを飼っていない利用者さんも快適に暮らせるような運営が必要でしょう。

  • アニマルセラピーを介護施設に導入するメリットと注意点

    アニマルセラピーを介護施設に導入するメリットと注意点

    動物とふれあうことで人々に癒しを与える「アニマルセラピー」をご存知ですか?近頃は、レクリエーションに取り入れている介護施設もあるほどです。しかし中には、アニマルセラピーの方法やメリット・デメリットについて、詳しく理解できていない方もいるでしょう。また、利用者さんや利用者さんのご家族の中には、アニマルセラピーについて不安に思う点がある方もいるかもしれません。今回は、アニマルセラピーを介護施設に導入する際のメリットや注意点などを見ていきましょう。

    アニマルセラピーとは?

    アニマルセラピーとは日本で生まれた言葉で、[btp_line]「アニマル=動物」、「セラピー=療法」を組み合わせたもの[/btp_line]です。動物とふれあうことで、精神的に落ち着いたり、動物との散歩により身体機能の向上が期待できたりするともいわれています。身も心も満たされることで、生活の質が向上していくというわけです。

    アニマルセラピーの活動は、以下の3つに分類されます。

    • 動物とふれあう「動物介在活動」
    • 医師などが動物を介在させる「動物介在療法」
    • 主に子供を対象とした「動物介在教育」

    介護施設などでは動物介在活動がメインで、一定時間動物とふれあうことによってアニマルセラピーを行います。一部の介護施設では、ペットと一緒に暮らすことでアニマルセラピーを導入しているところも。ただし、ペットと暮らせる介護施設は、まだまだ少ないのが現状です。

    一般的には、アニマルセラピーでは犬を用いますが、犬に限らず猫やうさぎ、モルモットなどを用いる場合もあります。

    介護施設にアニマルセラピーを導入するメリット

    介護施設にアニマルセラピーを導入するメリットについて見ていきましょう。主なメリットは4つです。

    気持ちが安定する

    動物にふれると温もりを感じ、抱っこすると鼓動を感じますよね。温もりや鼓動によって、人間はゆったりとした気持ちになり、孤独感が薄れるとされています。赤ちゃんを抱っこしたときのような幸福感を得られるのです。

    このような幸福感がストレスを解消し、気持ちが安定するといわれています。

    身体的機能の向上

    アニマルセラピーの一環で散歩に行くこともあります。自分のためとなると面倒に感じる利用者さんも、「動物のために散歩しなければ…」という気持ちになり、自然と身体を動かすようになるのです。

    歩けない利用者さんに関しても、動物とボールなどのおもちゃで遊ぶことで、座ったままでも腕や指を使って遊べます。アニマルセラピーによって、運動不足の解消や筋肉の強化が期待できるのです。

    認知症のリスクが低下

    利用者さんは、介護施設ではサポートを受ける立場となり、どうしても受動的になりやすいといえます。しかし動物がいれば、動物の世話のために利用者さんが自ら行動する機会も増えるでしょう。

    お世話を必要とする存在がいることで意欲が高まり、ごはんを与える時間や散歩の時間などを積極的に覚える利用者さんもいます。動物の世話によって単調な毎日に刺激が生まれ、認知症のリスク低下にもつながるでしょう。

    コミュニケーションが増える

    普段無口な方が、動物とふれあい、動物に話しかける様子を見たことはありませんか?動物に対する愛おしさやかわいらしさ、賢さに感心することで、自然と言葉が出て、笑顔になりますよね。

    動物とふれあう中で、動物に話しかけ、動物のしぐさで笑顔が増える利用者さんもいるでしょう。また、動物という共通の話題があることで利用者さん同士の会話も弾み、コミュニケーションが増えるというメリットもあります。

    アニマルセラピーのデメリット

    アニマルセラピーは、メリットだけではありません。やはりデメリットもあるので、確認しておきましょう。主なデメリットは2つです。

    ケガや感染症の危険

    しつけをしている動物や普段は大人しい動物であっても、やはり生き物です。ちょっとした環境の変化やストレスを感じ取り、意図しない行動をする場合があるかもしれません。また、高齢者は抵抗力や免疫力が落ちている場合もあります。人獣共通感染症に感染してしまうリスクは、健康な方よりも高いでしょう。

    アニマルセラピーを行う際は、飼い主や動物を管理する方を近くに配置し、動物の検診や予防接種など衛生管理を事前に行っておく必要があります。動物が利用者さんの口をなめないように注意したり、アニマルセラピーが終わったら利用者さんの手をしっかり洗うように促したりしてください。

    動物が苦手な利用者さんもいる

    アニマルセラピーはすべての方にメリットがあるわけではありません。例えば、動物が苦手な方や動物に対してトラウマがある方にとっては、苦痛となることもあります。利用者さんの気持ちを大切にして、無理強いをしないようにしましょう。

    アニマルセラピーの導入で注意したいこと

    最後に、アニマルセラピー導入の際に注意したいことを紹介します。

    動物との関わりを持ちたいか事前に確認

    アニマルセラピーを定期的に行っている介護施設や、イベントの一環で導入しようと検討している場合は、事前に利用者さんにアンケートをとりましょう。例えば以下のとおりです。

    • 動物を飼っていたことがあるか
    • 動物とふれあいたいか
    • 動物を眺めるだけで良いか など

    このアンケートで動物が苦手な方がいれば、動物が苦手な方を集めて違うイベント企画するなど、他の対策をとるようにしましょう。

    動物アレルギーの確認と体調のチェック

    動物が好きでも動物アレルギーがある方もいます。また、普段はアレルギー症状が出なくても、体調の変化でアレルギーを発症するケースもあるため、注意が必要です。

    利用者さんの当日の体調が芳しくない場合は、アニマルセラピーを延期したり中止したりすることも検討しましょう。

    動物の安全の確保

    利用者さんへの配慮は最優先ですが、動物に対する配慮も忘れてはいけません。アニマルセラピーで癒される方もいますが、中にはパニックになって動物に暴力をふるう方もいます。

    人との関わりが少ない子犬やストレスを感じやすい高齢犬などの場合は、アニマルセラピーへの参加が、身体的・精神的に負担となる場合も。動物の安全や健康にも注意しましょう。

    アニマルセラピーで利用者さんを笑顔に

    アニマルセラピーを介護施設で導入するためには、さまざまな項目をクリアする必要があります。介護スタッフが飼っている犬をそのまま連れてくる、というわけにはいきません。アニマルセラピーへの正しい理解のもと、環境を整え、利用者さんや利用者さんのご家族に理解を得た上で導入しましょう。

  • 尊厳を支える介護とは?実現できていないケースもふまえ方法を考える

    尊厳を支える介護とは?実現できていないケースもふまえ方法を考える

    「尊厳を支える・守る」といった言葉には、名誉や自尊心を傷つけない、個人としての在り方を尊重する、といった意味合いが含まれます。介護保険法には「尊厳を保持」する旨の文言があり、介護の仕事を担ううえで「尊厳を支える介護」は重要な事項です。では、尊厳を支える介護とは具体的にどのような行動・方法を指すのでしょうか。概要や、実現できていない事例などをご紹介し、高齢者の尊厳を支える介護の在り方を考えていきます。

    介護において「尊厳を支える」とはどのようなこと?

    「尊厳を支える介護とはなにか」を考える際に重要となるのが、「尊厳を支える」ことへの理解でしょう。

    尊厳を支えるとは、「個人の名誉や自尊心を傷つけないこと、個人としての在り方を尊重すること」です。「身体面・精神面・社会面において相手に敬意を払うこと」とも考えられます。

    尊厳は、介護が必要な方に対しても保持されるべきものです。尊厳を支える介護とは、高齢者や施設利用者さんが「自分らしく、あるべき姿」でいられるよう配慮しながらケア・サポートしていくことではないでしょうか。

    「尊厳を支える」ができていないケースとは?

    尊厳を支える介護とは、高齢者が自分らしくいられるよう配慮しながら介護をしていくことです。しかし、実現ができていないケースや、無意識に尊厳を無視する結果となってしまっているケースがあります。

    身体的に尊厳が守られていない例

    身体的に尊厳を守れていない例として挙げられるのが、施設利用者さんの怪我の予防や、感染症対策、機能低下を防ぐ対策が十分に行えていないケースなどです。

    たとえ意図的でなくとも、怪我をしやすい環境を放置していたり、感染症や食中毒の予防対策をしていなかったりすると尊厳を傷つけることに値します。長時間の拘束や、排泄を我慢させるなどの行動にも注意しましょう。

    手荒い介護や、利用者さんに思いどおりに行動してもらうために引っ張るといった行動、暴力などはもってのほかです。

    精神的に尊厳が守られていない例

    精神的に尊厳を守れていない例として挙げられるのが、不安や不信感、悲しみや怒りを抱かせてしまうケースなどです。

    施設利用者さんをひとりで放置して不安を抱かせてしまうことや、嘘をついたり騙したりすること、無視や差別、見下すような行為は尊厳を傷つけます。

    社会的に尊厳が守られていない例

    社会的に尊厳を守れていない例として挙げられるのが、権利のはく奪や経済的な損失を与えることです。

    「ご自身では判断できないであろう」と、無意識に高齢者や施設利用者さんの気持ちを無視する結果となっていることはありませんか?「本人はこう言っているけど、合理的ではないから変えよう」などと、介護側の考えだけで要望を却下してしまうことも気をつけたいところです。

    たとえば、「施設利用者さんが買い物に行きたそうだったから、利用者さんのお金で必要そうなものを適当に買ってきておいてあげた」というケースがあったとしましょう。親切な行為のようですが、利用者さんにとってはそうではないかもしれません。「購入するものを自分で選びたかった」「人に頼みたくなかった」「勝手にお金を使われた」など、尊厳が損なわれた気持ちになる場合があります。

    高齢者の尊厳を支える介護とは?方法を考える

    ここからは、介護スタッフ一人ひとりが高齢者や施設利用者さんに対して行える「尊厳を支える介護」を考えていきましょう。高齢者の尊厳を支える介護とはなにか、どのような方法が適しているか、を考える際にポイントとなるのが、前項の「尊厳が守られていない例」です。

    まずは「尊厳を支える介護とは?」「自分にできているか?」などご自身の行動を振り返ってみましょう。尊厳を支える介護を実践していくにあたっては、「相手に敬意を払うこと」と「相手の気持ちを尊重した行動をとること」がカギです。

    相手に敬意を払って介護しよう

    高齢者や施設利用者さんに対して、ひとりの大人として接することが尊厳を支えることにつながります。

    介護スタッフは、高齢者や施設利用者さんと話すときは、ひとりの大人として丁寧に応対することが大切です。「伝えても覚えていないだろう」などと必要な情報を伝えずに流すようなことはせず、都度丁寧に説明します。物事を決めつけずに利用者さんの話を聞き、受け入れる姿勢でいることも重要でしょう。

    このような心がけは施設利用者さんとのコミュニケーションを円滑にして、利用者さんの意思が聞き取りやすい環境をつくることにもつながるでしょう。

    相手の気持ちを尊重して介護をしよう

    介護をする際は、高齢者や施設利用者さんが「ご自身で判断・行動できるようサポートする」ことも大切です。介護スタッフの先入観や合理性を優先して物事を決めたり、流れ作業のように介護したりするのは避けたいところ。

    高齢者や施設利用者さんの意思を確認してから活動に移ったり、ご本人にできることは任せたり、ご自身で判断して行動するチャンスを奪ってしまわないよう配慮しましょう。

    尊厳を支える介護とは、教科書のように正解があるものではありません。利用者さんに合わせて柔軟に対応していきたいですね。

    ときには立ち止まって介護について考える時間を作ろう

    尊厳を支える介護とは高齢者や施設利用者さんが「自分らしく、あるべき姿」でいられるよう配慮しながら介護していくことです。時間に追われ、業務遂行を重視して仕事をしていると、無意識に相手の尊厳を傷つけていることがあるかもしれません。ぜひご自身の仕事の進め方を考え直す機会を設けてみてはいかがでしょうか。

  • 介護職向け「拘縮」の知識|拘縮のある高齢者へのケアとは?

    介護職向け「拘縮」の知識|拘縮のある高齢者へのケアとは?

    寝たきりなどが原因となり引き起こされる拘縮(こうしゅく)。介護施設で働くスタッフの中には、拘縮のある利用者さんへのケアに難しさを感じている方もいるのではないでしょうか?拘縮のある方のケアを行うためには、正しい知識と適切なケア方法を知っておくことが重要です。そこで今回は、介護職が知っておくべき拘縮の基礎知識と高齢者の拘縮ケアのポイントなどをまとめました。

    介護職のための基礎知識|拘縮とは?

    高齢者に起こりやすい拘縮の基本を押さえていきましょう。

    拘縮は関節が動かしづらくなった状態のこと

    拘縮は、関節の動きが制限され、動かしづらくなった状態のことです。体を動かさないことで筋肉の柔軟性が失われたり、麻痺により筋肉が萎縮したりすることにより起こります。拘縮で関節可動域が狭くなった部位を、従来どおりに動かすことは難しく、無理に動かそうとすると苦痛を伴うのが特徴です。

    拘縮の種類と主な原因

    ひと口に拘縮といっても、原因の違いによって大きく5つのタイプにわけられます。

    【筋性拘縮】

    長期間の固定で筋肉の緊張が高まることにより、筋肉が萎縮し、関節が引っぱられて関節の可動域が制限されたものです。病気や衰弱、骨折などで寝たきり状態になった場合に起こりやすいのが特徴で、全身拘縮となる傾向にあります。筋性拘縮は、介護現場の利用者さんに最も多く見られる拘縮です。

    【神経性拘縮】

    中枢神経系や末梢神経系の疾患によって起こる関節の可動域制限です。脳卒中など脳神経系の病気や損傷などにより、筋肉が緊張・麻痺することで起こります。神経性拘縮も高齢者に多く見られるタイプの拘縮です。例えば、脳卒中などの後遺症として片麻痺があり、麻痺している側に拘縮のある場合、神経性拘縮の可能性が高いといえるでしょう。介護施設の利用者さんに比較的多く見られる拘縮のタイプです。

    【皮膚性拘縮】

    火傷や手術などにより皮膚の真皮が傷つき弾性が失われ、傷跡に引きつられて起こる拘縮です。皮膚性拘縮は形成外科や皮膚科などの診療対象となります。

    【結合組織性拘縮】

    皮下軟部組織や腱、靭帯などの結合組織が収縮・癒着することで生じる拘縮です。生活習慣によって発症する場合のほか、外傷や術後の修復過程でも起こることもあります。指を酷使することによって起こる「ばね指」も結合組織性拘縮のひとつです。整形外科の診療治療対象となります。

    【関節性拘縮】

    滑膜・関節包・靭帯などを構成する組織の炎症・損傷によって癒着することが原因となる拘縮です。骨折や脱臼などの治療過程でも発症しやすいのが特徴。こちらも、整形外科の治療対象となります。

    拘縮が起こりやすい部位

    特に拘縮が起こりやすいのは、以下の5つの関節部分です。

    • 手・指
    • 肩・肘

    手指に拘縮があると、手首が内側に曲がり、手指が伸ばしづらくなります。ときに爪が手のひらに食い込み、傷つけてしまうこともあるでしょう。肩や肘の拘縮では腕が上がりづらくなることで、衣類の着脱や食事などがしづらくなる方もいます。股・膝・足首などの下肢の拘縮においては、衣類や紙オムツの着脱のほか、入浴がしにくくなるといった支障が出るでしょう。また下肢の拘縮では、歩行しづらくなるため、転倒のリスクも高まります。

    介護現場で役立つ高齢者への拘縮ケアの3つのポイント

    拘縮のある利用者さんをケアする際に押さえておきたいポイントを3つご紹介します。やってはいけない行為も併せて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

    ポイント1:声かけをしながら、痛みを与えないようゆっくり介助する

    利用者さんの拘縮のある部位に不意に触れたり、強引に動かしたりすることはNGです。拘縮のある部分に触れられることで筋肉が緊張し、苦痛を生じたり、拘縮の悪化や思わぬ怪我に繋がったりすることもあります。拘縮のある方を介助する際には、利用者さんとアイコンタクトを取り、触れる部位と次に行う動作などを伝える声かけをしながら、痛みを与えないようゆっくりと丁寧なケアを行うようにしましょう。

    ポイント2:同じ姿勢が長時間続かないよう体位変換する

    同じ姿勢を長時間続けると、体の同じ部位に負荷がかかり続けます。すると、筋肉が緊張し、むくみや褥瘡(じょくそう)、ひいては拘縮に繋がる可能性も…。そのため、定期的に利用者さんの体位変換をし、長時間同じ姿勢が続くことのないよう努めましょう。

    ポイント3:体圧が分散するよう適切なポジショニングを行う

    部分的に体圧が集中すると、筋肉の緊張状態が続き、拘縮を助長させてしまいかねません。そのため拘縮のある方のケアでは、ポジショニングが重要です。ポジショニングとは、利用者さんが痛みや不安などを感じることなく、リラックスできる適切な姿勢を保つことをいいます。
    ポジショニングは、体圧を分散させるように行うことが重要です。具体的には枕やクッションなどを使い、体とベッドとのすき間を減らし、点ではなく面で支えるようにすることで体圧を分散することができます。

    適切な知識とケア方法で拘縮のある利用者さんをサポートしよう

    介護施設の利用者さんに見られる拘縮は、寝たきり状態になることなどで起こる筋性拘縮と、脳卒中の後遺症などで起こる神経性拘縮のいずれかの場合がほとんどです。拘縮のある部位を不意に動かしたり、強引に動かしたりすることはNG!声かけをしつつ、丁寧な介助を心がけましょう。また、体圧が1点に集中しないよう、適切なポジショニングを行うことも大切です。

  • 介護職が知っておきたい!利用者さんの「昭和語録」

    介護職が知っておきたい!利用者さんの「昭和語録」

    「ご不浄に行きたい」と言われて、あなたはすぐに対応できますか?不意に出てくる昔の言葉に、意味を聞き直した経験が誰しも一度はあるはず。そこで、この記事では70代以上の利用者さんがよく使う「昭和語録」をご紹介します!記事の最後では昭和のギャグも紹介しているので、普段の会話で使ってみるのも良いでしょう。介護現場で働いている方、昭和語録に興味がある方は、ぜひ読んでみてくださいね。

    人を表すときの言葉

    人を表す言葉は次のようなものがあります。

    ① じゃりんこ・じゃり
    やんちゃな子供や子供全般を意味する「じゃりんこ(じゃり)」。「じゃりんこが外で遊んでる」とは、「やんちゃな子供が遊んでいる」という意味です。

    ②アベック
    カップルや夫婦、男女の組み合わせを意味する「アベック」。「あの2人はアベックなんだよ」と言われたら「あの2人はカップルだ」と伝えたいのでしょう。

    ③細君(さいくん)
    「細君」は「自分の妻」や「後輩の妻」を指す言葉です。「あんたのとこの細君はきれいだね」と言われたら、「あなたの奥さんはきれいな人だ」と褒められています。

    ④ハイカラ
    流行を追ったり、新しいものを好んだりする人や、様子を指す言葉です。「ハイカラな着物を着ている」とは「流行のおしゃれな着物(服)を着ている」と指しています。

    ⑤器量(きりょう)よし
    「器量」とは能力や人徳、顔立ちなどを意味する言葉です。「器量よし」は主に顔立ちに対して言う言葉で、「彼女は町一番の器量よし」は「彼女は町一番の美人」であると意味します。

    物の名前を表すときに使う言葉

    物を表すときの昔ながらの言葉は、次のようなものがあります。

    ①ご不浄(ふじょう)
    「ちょっとご不浄に行ってきます」の「ご不浄」とはトイレのこと。雪隠(せっちん)、厠(かわや)、憚り(はばかり)と言うこともあります。

    ②舶来物(はくらいもの)
    海外で購入したものや輸入品を意味する「舶来物」。外国に行ったことのある利用者さんが使うことがあるでしょう。

    ③誂物(あつらえもの)
    頼んでおいた物、注文して作らせた物を意味する言葉です。「誂物の服を着るのが好きじゃった」とは、「注文して作ってもらった服を着るのが好きだった」ことを意味します。

    ④汽車
    「汽車に乗って東京まで行ったのよ」の「汽車」には、JR、電車、蒸気機関車などのさまざまな意味が含まれています。

    ⑤メリケン粉
    料理の場面で耳にする「メリケン粉」とは、小麦粉のこと。「そこのメリケン粉を取って」と言われたら、小麦粉を渡してあげましょう。

    衣類に関する言葉

    衣類に関する言葉は日常会話でよく使いますので、ぜひ理解しておきましょう。

    ①オーバー
    コートを指す言葉で、外套(がいとう)と呼ばれることもあります。

    ②別珍(べっちん)
    綿ビロードの通称。綿やポリエステルが使われた織物で、柔らかい手触りが特徴です。

    ③シミーズ
    胸元から太ももまでを覆う長いキャミソールのような下着。今ではスリップと言うことも。

    ④ももひき
    腰から脚部を覆う男性用の下履き。脚にぴったりとくっついた防寒用のズボン下を意味します。

    ⑤トックリセーター
    とっくりのように長い襟のある服。今で言うタートルネックセーターです。

    昭和のギャグ

    最後に、昭和時代から平成初期に流行ったギャグをご紹介します!

    ① 「あたり前田のクラッカー」
    「当たり前」を意味するジョークの1つ。前田製菓のCMで流行した言葉です。「そんなのあたり前田のクラッカーですよ」と言ってみると、笑いが取れるかもしれませんね。

    ②「冗談はよしこちゃん」
    「冗談はよしこちゃん」とは、「冗談はやめてよ」を意味するギャグ。普段の会話の中に入れてみるのも良いでしょう。

    ③「いくつになっても甘えん坊」
    お笑い芸人・間寛平さんのギャグの1つ。2022年の吉本新喜劇でも使われ、根強い人気を誇るギャグです。

    ④「聞いてないよォ」
    1993年に流行語大賞を受賞したほどの人気ギャグ。ダチョウ倶楽部が生み出したギャグの1つで、「聞いてないよォ」とぼやく姿がお茶の間に笑いを届けていました。

    ⑤「よっこいしょういち」
    利用者さんが立ち上がるときに「よっこいしょういち」と呟いていませんか?実は、残留日本兵・横井庄一さんの名前をきっかけに生まれた言葉。重い物を持ち上げるときに使ってみても良いですね。

    昭和語録を理解して利用者さんの心を掴もう!

    今回は昭和語録の単語やギャグをご紹介しました。衣類や物の名前に関する言葉は、日常生活で使う機会も多いので、ぜひ覚えておきましょう。昭和語録を理解すれば、利用者さんの発言が理解できず困ることも減るはずです。昭和語録を使って、利用者さんと楽しく会話ができると良いですね。

  • 介護職の入職初日の挨拶文ってどんな感じ?文例から注意点までご紹介

    介護職の入職初日の挨拶文ってどんな感じ?文例から注意点までご紹介

    忘れ物はないか、自己紹介もしなきゃ…そんな不安を抱えながら迎える介護職初日。新しい職場に初めて行く日は新人スタッフではなくても緊張する方が多いのではないでしょうか。今回は介護職初日を万全に乗り切れるよう、挨拶の文例や注意点をご紹介します。忘れ物もないよう、準備物品も併せて解説しました。人前で話すのが苦手な方、挨拶文の作成にお悩みの方はぜひ参考にしてください。

    入職初日までに準備しておくべきこと

    介護職初日は、利用者さんと介護スタッフへの挨拶から始まり、施設内の見学、仕事内容の説明、そして研修を受けて終了となるパターンが多いです。本格的に利用者さんと関わりを持つのは早くても2日目以降になると認識しておいてよいでしょう。では、安心して入職初日を迎えられるよう、事前に準備しておくべきものをご紹介します。

    • 筆記用具(ボールペンやメモ帳)
    • 入職日に持ってくるよう指定された書類(資格証明書、年金手帳、雇用保険受給資格者証、源泉徴収票、健康診断書など)
    • 印鑑
    • 自己紹介文
    • 施設内で着用する服やエプロン、靴

    入職日は、必要書類の提出が求められるので指定されたものを準備しておきましょう。施設内で着用する制服、エプロン、靴は各自で準備が必要なケースもあります。事前に確認しておくことが大切です。ここからは、介護職初日の一大イベントである挨拶文作成について解説していきましょう。

    介護職初日に好印象をもってもらえる挨拶文とは?

    介護職初日に適した挨拶文は、以下のポイントを押さえると作成しやすくなります。

    • 趣味や特技
    • 居住地や出身地
    • 前職でしていたこと
    • 名前にまつわるエピソードなど

    挨拶は長くても1分程度にするのが基本です。趣味や特技など、自分に興味を持ってもらえる内容を盛り込むと、話しかけてもらいやすいでしょう。名前を覚えてもらうために、名前にまつわるエピソード(俳優の〇〇さんと同じ名前、名前の由来など)を盛り込むと印象付けやすくなるのでおすすめです。

    タイプ別に文例をご紹介

    実際にどのような挨拶文が好ましいのでしょうか。介護職として初日にする挨拶文の例を、経験者、未経験者、多職種から転職してきた3パターンでご紹介していきましょう。

    未経験の場合

    はじめまして。本日から働かせていただきます〇〇と申します。この4月に〇〇学校を卒業し、ご縁がありこちらの施設に入職させていただきました。出身は●●県で、趣味は□□です。同郷、同じ趣味の方がいらっしゃればぜひお話しましょう。不慣れな点も多く、ご迷惑をおかけする場面もあるかと思いますが、いち早く利用者さんや皆さまのお力になれるよう頑張りますので、ご指導を宜しくお願いいたします。

    他業種から転職してきた場合

    おはようございます。本日からお世話になります〇〇です。前職では〇〇業界で〇〇をしていました。介護の仕事は初めてですが、前職で培ってきた〇〇を活かして頑張っていきたいと思っております。1日でも早く皆さまに貢献できるよう、仕事を覚えていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

    前職も介護職をしていた場合

    おはようございます。本日付けで入職しました〇〇と申します。前職ではデイサービスで〇〇として働いていました。有料老人ホームは初めてで、至らないところもあるかと思いますが、戦力になれるよう頑張りたいと思っております。出身は●●県、名前は俳優の〇〇さんと同じなので、覚えていただけると嬉しいです。こちらの施設でも貢献できるよう邁進しますので、どうぞよろしくお願いいたします。

    介護職入職初日にする挨拶文を読むときのポイント

    好印象を与える挨拶をするためには、身だしなみのチェックが大切です。とくに前髪は目にかかると暗い印象になるため、短く切る、ピンでとめるなどの工夫をしましょう。当日は緊張して顔がこわばりがちですが、表情は明るく笑顔が重要です。声も意識的に大きく、はっきりと発声するよう心がけてみてください。

    印象の良い挨拶をして利用者さん・先輩スタッフに好印象を持ってもらおう!

    介護職として入職する初日に好印象を与える挨拶方法や文例、前日までに準備しておくべきものについて解説しました。働くうえで、第一印象をよく感じてもらうことはとても重要です。今後の信頼関係をスムーズに構築していくためにも、ご紹介した文例などを参考に、準備万端で入職初日を迎えてください。

  • どうする?介護施設利用者さんからの暴言…介護職ができる対処方法は

    どうする?介護施設利用者さんからの暴言…介護職ができる対処方法は

    介護職は、多くの施設利用者さんと接するお仕事。「利用者さんとの関係に悩みを抱えている…」という介護スタッフも、実は少なくないようです。そこで気になるのが、もしものときの対応方法。施設の利用者さんや入居者さん、そのご家族などから、暴言やハラスメントを受けた際は、どう行動したら良いのでしょうか。介護現場における利用者さんからの暴言・暴力の実情や、その対処方法をご紹介していきます。

    施設利用者さんから暴言や暴力を受けるケースがある?!例を紹介

    介護スタッフとして働いていると、さまざまなことを経験します。良いことばかりでなく、暴言や暴力を受けたことがある、といったケースも…。どのような例があるのかご紹介します。

    精神的な暴力

    利用者さんからのハラスメントのひとつが精神的な暴力です。怒鳴られる、奇声を発せられる、批判的なことを言われる、理不尽な要求に応えることを求められる、といった例があります。

    身体的な暴力

    精神的に苦痛を受けるだけでなく、身体的に暴力を受けるケースも。殴る、蹴る、唾を吐く、物を投げられる、衣服を破られる、刃物を向けられる、といった経験をしたケースもあるようです。

    セクハラも問題に

    暴言や暴力だけでなく、セクハラも問題となっています。介護スタッフが手や体を執拗に触られる、わいせつな言葉を投げかけられる、自宅などの個人情報を聞かれる、ストーカー行為をされる、といったケースです。

    どれくらいの介護職が悩んでいるの?

    実際に利用者さんからの精神的・身体的な暴力やセクハラに悩んでいる介護スタッフはどれくらいいるのでしょうか。

    厚生労働省が平成31年に発表した「介護現場におけるハラスメントに関する調査研究報告書」によると、少なくないことが分かりました。「これまでに施設利用者さんからハラスメントを受けた経験がある」と回答した介護スタッフは、[btp_line]最も割合の高い介護老人福祉施設では実に7割以上を占めた[/btp_line]のです。回答は施設形態により異なり、最も少ない割合だったのは、訪問リハビリテーションの約4割でした。

    ▼厚生労働省「介護現場におけるハラスメントに関する調査研究報告書」
    https://www.mhlw.go.jp/content/12305000/000947359.pdf

    暴言や暴力の原因はなに?

    利用者さんから暴言や暴力、セクハラなどがあるのは、なぜでしょうか。介護スタッフが利用者さんを不機嫌にさせるキッカケを作ってしまったケースもありますが、利用者さんご自身に原因があることもあります。

    たとえば、認知症の利用者さんであれば、感情のコントロールが効かないことが原因のひとつ。幻覚などで錯乱し、周囲へ暴力をふるってしまうこともあるようです。体の不調が原因となるケースも。便秘や体が痛いといったストレスが重なり、「なぜ気付いてもらえないのか」「どうにかならないのか」といった感情から攻撃的になってしまうことがあるのです。

    そのほか、思い通りに手先や体を動かせない、介護サービスの内容が不満、などがイライラの原因となってしまうケースもあります。利用者さん自身は、介護スタッフに対して暴言や暴力で苦痛を与えている、という自覚がない場合もあるのです。

    暴言や暴力を受けたらこんな対応をしよう

    介護スタッフは、利用者さんの要求や行動をすべて受け入れないといけないわけではありません。もしも利用者さんから精神的・身体的な暴力やセクハラがあれば、次のように対応しましょう。

    <精神的・身体的な暴力やセクハラへの対処方法>

    • 利用者さんの体調や状況を確認
    • 落ち着いて冷静になる
    • 距離をとる
    • 意思表示する
    • ひとりで対応しないことが大切
    • 自身で解決できない時は相談が正解

    なにかあれば、まずは利用者さんの体調や様子を確認し、不快な状態を作っている原因がないか探ります。話ができるようであれば、理由を聞いてみるのもひとつです。介護スタッフは落ち着くことも大切。怒鳴り返したり怒ったりせず、冷静でいるよう心がけ、物理的に少し距離を取るのも良いでしょう。利用者さんに転倒のなどの恐れがなければ、一旦その場を離れて様子を伺うことも選択肢としてありです。

    また、[btp_line]嫌だと思ったことに対して意思表示するのも重要[/btp_line]。利用者さんが「これくらい平気だろう」と重要視していないケースもありますし、自覚がないケースもあるようです。嫌だと思っている旨を伝えることは、再発防止につながります。ただし、利用者さんへの伝え方や、タイミングよっては相手を激昂させてしまうことも…。上司に相談して同席してもらうなど、[btp_line]ひとりで対応しないこともポイント[/btp_line]です。

    利用者さんからの暴言や暴力、セクハラは、職場全体で対応することが重要です。それでも解決に至らない場合は、総合労働相談コーナーや自治体の相談窓口に頼ることも検討しましょう。

    ひとりで解決しようとせず周囲に相談を

    施設利用者さんとの相性がイマイチ、介助やお世話がうまくいかない、といった経験は少なからずあるものです。しかし、利用者さんからの精神的・身体的な暴力やセクハラは容認してはなりません。その場は冷静な対応を心がけ、必要に応じて上司や職場に相談してください。ひとりで抱え込まず、周囲の協力を得ながら解決を目指しましょう。

  • 「高齢者虐待防止法」について解説!介護職が理解すべき虐待防止の取り組み

    「高齢者虐待防止法」について解説!介護職が理解すべき虐待防止の取り組み

    介護職として働く以上、持っておくべき知識として「高齢者虐待防止法」があります。これは、要介護の高齢者が虐待を受けることのないよう制定された法律。今回は「高齢者虐待防止法」の内容、制定された目的について詳しく解説します。もしかしたら何気ないあなたの行動や、見慣れた同僚の行為も虐待としてみなされる行為かもしれません。知らないうちに取り返しのつかない事態にならないよう、しっかりと理解しておきましょう。

    「高齢者虐待防止法」とは

    「高齢者虐待防止法」は、高齢者への虐待防止の定められた法律です。立場の弱い高齢者の人権を守り、介護者の負担を軽減することを目的として、2006年4月から施行されました。

    「高齢者虐待防止法」が制定された理由

    なぜ「高齢者虐待防止法」が制定されたのかというと、高齢者への虐待が年々増加傾向にあるからです。今や超高齢化社会となった日本において、介護施設や介護人材は全く足りていない状況。余裕のない現場では、利用者さんへの虐待がたびたび問題視されています。そこで、増え続ける虐待の抑止力となるように、高齢者虐待防止法が制定されたのです。

    どんな行動があてはまる?高齢者虐待の実態とは

    高齢者への虐待として代表的なものは以下の5つの行為です。

    身体的な虐待

    暴力行為や痛みを与える行為、威嚇や脅迫がこれに該当します。また、本人の意思を無視した身体拘束も虐待行為の1つです。身体拘束には、紐などを使って身体の自由を奪う「フィジカルロック」、薬によって行動制限する「ドラッグロック」の他、強い口調で叱責することで行動をコントロールする「スピーチロック」があります。

    介護放棄(ネグレクト)

    要介護の高齢者をサポートせず、放置する行為が介護放棄です。意図したものかどうかにかかわらず、高齢者の心身に悪影響を及ぼす状態が続くと、虐待としてみなされます。

    精神的な虐待

    言葉の暴力や脅迫、侮辱がこれにあたります。強い口調であるかどうかという点は関係なく、無視したり、他人に知られたくない情報を言いふらしたりすることも虐待行為です。

    性的な虐待

    高齢者に対するわいせつ行為や、合意のない性的行為などは性的虐待です。入浴介助など裸の状態の高齢者と接することも多い介護施設では、異性スタッフによる性的虐待も報告されています。

    金銭的な虐待

    認知症などで資金管理が難しい高齢者の代わりに、家族が本人に無断でお金を使用する、もしくは生活に必要なお金を渡さないなどの行為がこのケースです。

    もしかしたら虐待?高齢者虐待のグレーゾーン

    虐待行為の中には、明らかなものもあれば、以下に挙げたような判断が難しいケースもあります。

    • 食事のかなり前から食事エプロンをつけて長時間待たせている
    • 利用者さんからの呼びかけがあっても、忙しいことを理由に対応を先延ばしする
    • 時間を要する利用者さんに対して、無理やり食事介助する

    [btp_line]グレーゾーンの行為を見抜くためには、知識を身につけるしかありません[/btp_line]。日常の中にも虐待行為が紛れているかもしれないことを十分に理解しておきましょう。

    なぜ介護施設で虐待が起きるのか?

    介護の現場にはさまざまな仕事があり、専門的な知識、技術が求められます。そのため、スタッフ教育が不十分なことが原因で、意図せず虐待行為になってしまうケースもあります。
    また、介護の現場は慢性的な人手不足であり、すべての利用者さんに対して十分な時間を割くことは難しい状況。ストレスのはけ口がなく、つい利用者さんへきつくあたってしまうスタッフもいます。

    高齢者虐待を防ぐための対処法

    高齢者への虐待を防ぐためには、以下の3つの方法があります。

    スタッフのストレスケア

    まずすべきは、スタッフの心のケア。疲れや不満を溜めないように、日頃から悩みを打ち明けやすい雰囲気にしておくことも大切です。

    職場環境の見直し

    ストレスケアだけでなく、実際の働き方も改善していくことが大事。例えば、休憩や休日をしっかりとれるように配慮したり、定期的に面談を実施したりすることは、スタッフの離職防止としても有効です。

    研修の実施や、虐待防止マニュアルの作成

    知識や技術不足による虐待を防ぐために、スタッフ研修を積極的に行いましょう。さらに、虐待防止のための対策をマニュアル化し、共有しておくことも有効な手段の1つです。

    高齢者虐待を見過ごさない意識を持とう

    虐待と聞くと、普段の業務とはかけ離れた遠い言葉のように感じる方も多いかもしれません。しかし、実はあなたの身近にもグレーゾーンの行為は潜んでいるかも。虐待は「知らなかった」では済まされない行為です。一人でも多くの利用者さんが虐待から救われるように、まずは当事者意識を持つことから始めましょう。

  • ユマニチュードとは?得られる効果や方法などを簡単に解説

    ユマニチュードとは?得られる効果や方法などを簡単に解説

    認知症ケアの1つとして用いられる「ユマニチュード」というケアをご存知ですか?実は本来、認知症ケアを目的に考案されたものではありませんでした。認知症の方だけでなく、介護施設の利用者さんにも該当するものばかり。ユマニチュード哲学を介護の現場に取り入れることで、利用者さんの人間らしさを取り戻すサポートができるでしょう。そこで今回は、ユマニチュードとはどういうものか、得られる効果や方法などを簡単に紹介します。

    認知症ケアのユマニチュードについて

    まずはユマニチュードの基本概念について見ていきましょう。

    ユマニチュードとは?

    フランスの体育学専門家2人(イヴ・ジネスト、ロゼット・マレスコッティ)によって開発された[btp_line]ケア技法[/btp_line]のことです。その当時、フランス文部省から病院職員の腰痛予防プログラム指導者として派遣されたことがきっかけといわれています。

    2人が派遣された現場で目にしたのは、病院職員が利用者さんに対して何でもやってあげている光景でした。この光景を見、利用者さんができることはできる限りやってもらうことで、利用者さんの健康向上が期待でき、病院職員の腰痛予防にもつながると2人は考えたのです。

    さらに、認知機能が低下した利用者さんのケアでは、利用者さんが穏やかにケアを受け入れるときと、別人かのように拒絶するときがあります。この原因を探っていくと、ケアを受け入れる際と拒絶した際には病院職員の対応が違っていることに気付きました。

    その際に編み出された技法が、ユマニチュードにおける「ケアの4つの柱」と「ケアの5つのステップ」です。

    ユマニチュードの目標

    ユマニチュードの目標は、人間らしさを取り戻すことです。介護のプロに必要なことは、心身の回復・身体機能の維持・最期まで寄り添うことの3つと考えられています。

    介護スタッフは、利用者さんをサポートする立場にあるため、どうしても手取り足取りのケアをしてしまいがちです。しかし、寝たきりの状態が続けば、利用者さんの心身の回復が遅れて身体機能も低下していく可能性があります。利用者さん自身でできることは、介護スタッフがサポートしながらも、自分でしてもらうことが大切です。

    少しでも立つことができる利用者さんであれば、寝たまま体を拭くのではなく、立ってもらい、体を拭いても良いでしょう。身体機能に関しても、介護スタッフが介助しながら歩く練習をする、利用者さんが自分で食事をとれるように促酢などの方法があります。利用者さんができることを増やしていくようにしましょう。

    身体機能の維持に努めていたとしても、やがて人生には終わりがやってきます。回復や維持が難しくても人間としての尊厳を大切にし、利用者さんらしい人生が送れるように寄り添うケアも必要といえるでしょう。

    ユマニチュードで得られる効果

    利用者さんにとっては、気持ちが安定しやすくなり、ケアを拒絶することが減る可能性があります。また、介護スタッフや他の利用者さんとの会話が増え、認知症の改善が期待できることもあるようです。

    介護スタッフにとっては、介護の負担が軽減できるため、気持ちに余裕ができ利用者さんとの会話を楽しんだり、専門知識を深めるための時間を設けたりできるでしょう。結果的に、離職率が下がる可能性も考えられます。

    ユマニチュードにおける4つの柱

    ここからは、ユマニチュードで行われる技法「4つの柱」について簡単に紹介します。4つの柱は、[btp_line]「私はあなたを大切に思っています」という気持ちを伝える技術[/btp_line]です。そのため1つでも欠けるとうまく伝わりません。ケアする際には、1つの技術だけを使うのではなく、複数の技術を組み合わせて行うと良いでしょう。

    見る

    見る行為によって、親しい関係であることや、相手に対して正直であることを伝えます。そのため、上から見下ろす・目を合わせないという行為はNG。利用者さんと同じ目線になって見ることがポイントです。

    話しかける

    介護現場では「~してください」と言ってしまうこともあるでしょう。これでは、命令されているように感じ、利用者さんは不快に感じます。利用者さんに話しかける際は、ゆっくり、穏やかに話しましょう。

    また作業に夢中になって、無言になることもあるはずです。無言は「あなたは存在していない」という否定的なメッセージになります。反応がないときでも作業に夢中にならず、実況中継するようにケア方法を説明していきましょう。

    触れる

    利用者さんの着替えをしたり歩行のサポートをしたりする際、どのように触れていますか?無意識のうちに腕をつかんでいるケースがあるかもしれません。腕をつかむという行為は、自由を奪っていることを意味するためNGです。

    触れる前には必ず触れることを説明し、広い面積で触れるようにしましょう。また背中などの鈍感な場所に触れてから、徐々に敏感な場所である手や顔に触れていくのもおすすめです。

    立つ

    人間は直立歩行する動物のため、立つことが基本となっています。つまり、立つことで身体機能が正常に動くようになっているのです。

    1日に合計で20分立つ時間を確保すれば、寝たきり防止に効果的ともいわれています。トイレや食事の際など、機会を見つけて立つ時間を作るようにしましょう。

    ケアの前に始めること

    ユマニチュードでは、ケアを一連の物語と捉えます。これを5つのステップと呼び、出会いから再会の約束までの物語で構成。この5つの構成の中に、前述した4つの柱を組み合わせることで、さらにケアがスムーズになるでしょう。

    出会いの準備

    自分の来訪を告げ、利用者さんの空間に入っても良いかどうかの許可を取る行為です。

    ケアの準備

    今からケアしても良いかの同意を得ましょう。

    知覚の連結

    4つの柱を複数組み合わせながらケアしていきます。

    感情の固定

    ケアしたことで、お互いに良い時間を過ごせたことを共有します。例えば「体を拭いてスッキリしましたね」など。

    再会の約束

    次回のケアを受け入れてもらうために、「また来ますね」などと再会の約束をしましょう。

    ユマニチュードで利用者さんとの関係を築こう

    冒頭で紹介したように、ユマニチュードとは認知症の利用者さんだけでなく他の利用者さんにも使えるケア技法です。今回簡単に紹介したケア内容をぜひ実践してみてください。利用者さんの反応がこれまでとは違ったものになるかもしれません。ケアを受ける側もケアする側もお互いを尊重し、相手を思いやる気持ちが大切なのです。

  • 介護臭って?介護施設でおすすめの消臭・防臭方法5選

    介護臭って?介護施設でおすすめの消臭・防臭方法5選

    介護スタッフを悩ませる問題のひとつに介護臭があります。介護臭とは、介護現場で生じる特有のニオイのことです。強い介護臭にストレスを感じたり、集中がそがれたりした経験がある方も多いのではないでしょうか?また、介護を受けている利用者さん自身も、ニオイを気にされていることが少なくありません。介護臭は適切な方法で消臭・防臭することで、ニオイを抑えることができます。今回は、原因別の介護臭の種類や、介護臭対策におすすめの方法をご紹介しましょう。

    介護臭とは?介護現場で発生するニオイの種類

    「介護臭」とは、介護現場で発生するニオイ全般の通称として用いられている言葉です。介護臭は、ニオイのもとによって大きく3つの種類に分けられます。

    原因1:尿臭や便臭などの排泄物のニオイ

    高齢者がおむつやポータブルトイレを使用している場合は、部屋全体に排泄物のニオイが発生しがちです。トイレで排泄できる方であっても、排泄後にきちんと拭けていない、衣類が排泄物で汚れていることに気付かないといった理由で、部屋にニオイが立ち込める原因となります。

    原因2:口臭・汗臭・加齢臭などの体から発するニオイ

    高齢者の体から発生するニオイ、特に口臭・汗臭・加齢臭の3つは介護臭を代表するものといえます。それぞれのニオイの原因は以下のとおりです。

    口臭…口の中にいる細菌によるものがほとんどです。高齢者は唾液の分泌量が少ないため、口腔内細菌が増えやすいのが特徴。この口腔内細菌の増加によって、口臭が発生してしまいます。腐敗した卵や生ごみのようなニオイです。

    汗臭…皮膚の表面にいる細菌が、汗に含まれるアカや皮脂などをエサにすることが原因で発生します。高齢者は入浴回数の減少や汗をかいたタイミングでの入浴が困難などの理由により、細菌が繁殖し、汗臭が強くなってしまうのです。

    加齢臭…皮脂は皮脂腺から分泌されますが、年齢を重ねると皮脂に含まれる脂肪酸が増加します。それらが空気中の酸素によって酸化し、枯草のような独特なニオイを発生するのです。精神的なストレスによっても、加齢臭が強くなる場合があります。

    原因3:衣類や寝具のニオイ

    衣類や寝具から発生するニオイも介護臭の代表的なものです。衣類の場合、食事の食べこぼしや汗、排泄物などが付着したままの衣類を着用することで、ニオイが発生します。また、横になる時間が多い高齢者の場合、枕やベッドなどの寝具が汗臭や加齢臭を吸収することで、ニオイがすることも。食事や排泄をベッドでする方は、ニオイも強くなりがちです。

    介護臭対策におすすめの5つの方法

    介護臭の消臭・防臭におすすめしたい方法をご紹介します。手軽に実践できるものから試してみましょう。

    方法1:排泄物の処理を迅速かつ丁寧に行う

    おむつを使用している場合、排泄してから時間が経過すればするほどニオイが強くなるため、おむつはこまめに取り替えましょう。また使用済みおむつはできる限り排泄物をトイレに流したのち、まず新聞紙に包み、ビニール袋に入れて封をします。新聞紙に包むことで、ニオイ漏れを防ぐことができるでしょう。ニオイが気になる場合は、おむつ処理専用のビニール袋を用いるのもおすすめです。排泄物用のごみ箱には消臭剤を設置しておきましょう。

    ポータブルトイレの場合は、排泄後すぐに処理をするのが基本。使用しない時間帯には、トイレをしっかり乾燥させることもニオイの軽減に効果的です。

    方法2:介護用消臭剤を活用する

    介護臭には、一般適な消臭剤ではなく、介護用の消臭剤を用いるのがおすすめです。介護用消臭剤の消臭メカニズムはメーカーによって異なりますが、汗臭・加齢臭・排泄物のニオイなどが混じり合った介護現場特有の複合臭に効果的な処方で作られています。「一般社団法人 日本介護協会」が認定している介護用消臭剤もあるので、消臭剤選びの参考にしてみてください。

    方法3:部屋をこまめに換気する

    特に、個室はニオイがこもりやすくなります。そのため部屋をこまめに換気し、介護臭が滞留しないようにすることが大切です。また換気することはニオイの軽減のほか、感染症対策にも有効的なので、時間を決めて定期的に行うようにしましょう。なお、感染対策には1時間に2回以上の換気が必要とされています。

    方法4:こまめな清拭と丁寧な入浴を心掛ける

    体から発生するニオイの軽減には、こまめな清拭と入浴の回数を増やすことが効果的です。しかし利用者さんによっては、毎日の入浴や頻回な清拭が困難なこともあるでしょう。その場合には、ニオイの出やすい胸や背中などの体幹部を中心的に清拭するのも、体臭軽減に効果があります。

    方法5:口腔ケアに力を入れる

    適切な口腔ケアには、口腔内の衛生状態の改善や唾液量の増加などの効果が期待できます。つまり、口腔ケアを行うことにより、口臭の軽減にもつながるのです。特に、口臭の原因となる舌苔(ぜったい・舌の汚れ)を舌ブラシなどで取り除くことが効果的といわれています。
    高齢者の口臭の裏には、歯周病やその他の病気が原因となっている場合も。歯科医師や歯科衛生士などによるプロフェッショナルケアを受ける機会を作ることも重要です。

    介護臭はこまめに対処することで和らげることも可能!

    介護臭は、介護スタッフにとっても、介護を受ける利用者さんにとってもストレスとなります。利用者さんの中には、ご自身のニオイに対する羞恥心が精神的ストレスとなり、介護臭を増幅してしまう方もいるかもしれません。適切な消臭・防臭方法をこまめに実践し、なるべく介護臭を抑えられるよう心がけましょう。

  • 「傾聴」は介護職の必須スキル!共感力を身につけて信頼される職員に

    「傾聴」は介護職の必須スキル!共感力を身につけて信頼される職員に

    介護職において、「傾聴」は施設利用者さんとのコミュニケーションを円滑にするために重要なスキル。傾聴スキルを身につけて話しやすい雰囲気を作れるようになると、介護施設の利用者さんの本音を聞くことができ、利用者さんに安心感を抱いてもらえることにもつながります。さっそく、傾聴の基本をご紹介しましょう。すぐに取り入れられる簡単な傾聴テクニックもご紹介するので、ぜひ最後までご確認ください。

    傾聴ってどういうこと?

    傾聴とは、[btp_line]相手の話に関心を向け、共感しながらじっくりと聴くこと[/btp_line]です。

    ロジャーズの「聴く側の3要素」がポイント

    傾聴には、「共感的理解」「無条件の肯定的関心」「自己一致」という3つの要素があります。アメリカの心理学者カール・ロジャーズ(Carl Rogers)によって提唱された要素です。介護職においても利用者さんの話を聞くときに役立ちます。

    <聴く側の3要素>

    • 共感的理解…相手の立場に立って気持ちに共感し、理解しようとすること
    • 無条件の肯定的関心…相手の話を評価したり否定したりせずに、受け入れる気持ちを持って関心を寄せること
    • 自己一致…分からないことはそのままにせず、相手にも自分にも真摯な態度で真意を確認すること

    参考:【厚生労働省】傾聴とは|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
    https://kokoro.mhlw.go.jp/listen/listen001/

    傾聴とは相手を受け入れて話を聞くこと

    ロジャーズの「聴く側の3要素」を介護職に当てはめて分かりやすくするならば、「施設利用者さんの立場に立って、否定などをせず、共感しながら話を聞き理解しようとすること」といえるのではないでしょうか。

    「きく」という言葉には、相手の話に集中する「聴く」、受け身的に耳に入れる「聞く」、相手を問いただす「訊く」の3つ漢字がありますが、傾聴においては「聴」という感じが使われています。誠心誠意「聴く」ことが傾聴のポイントです。

    介護職で傾聴スキルが重要な理由

    介護職において、傾聴が重要とされる理由は3つあります。

    <介護職において傾聴が重要視される理由>

    • 利用者さんの心の負担が軽くなる
    • 利用者さんが心を開いて話をしてくれるようになる
    • 介護スタッフと利用者さんの間で信頼関係が生まれる

    介護スタッフが傾聴スキルを身につけて利用者さんの話を聞けるようになれば、利用者さんは安心してさまざまなことを介護スタッフへ話せるようになります。話し相手が少ない利用者さんにとっては、何でも話せる介護スタッフの存在が、心の支えや安らぎにつながるケースもあるでしょう。

    隠していた本音や、気を遣って言えなかった要望なども聞けるかもしれません。「この人になら何でも話せる」と、信頼感を持ってもらうキッカケにもなります。

    今日からできる傾聴テクニック5つ

    「聴く側の3要素」など、少し難しい説明もしましたが、傾聴は決してハードルが高いスキルではありません。介護職においてすぐに実践できる5つのテクニックをご紹介しましょう。

    <今日からできる傾聴テクニック5つ>

    • 利用者さんの話を否定せずに聞き、話に共感する
    • うなずく、あいづちを打つといった動作をする
    • 穏やかな表情や声を意識する
    • 会話をさえぎらない
    • 深入りしすぎずに寄り添う

    まずは、[btp_line]利用者さんの話を否定せずに聞きましょう[/btp_line]。話を聞くときは、うなずいたりあいづちを打ったりして、積極的に話を聞いている姿勢や共感している姿勢でいると、安心感を持ってもらえます。穏やかな表情や声を意識して、相手の目を見ながら話を聞くと、利用者さんはより話しやすくなるでしょう。

    話を聞いていると、ついつい自分の意見も言いたくなってしまいますが、共感を表す言葉程度におさめ、[btp_line]最後まで話を聞くことがポイント[/btp_line]です。利用者さんの悩みなどを聞くと、その場で解決したくなるケースもあるでしょう。しかし、傾聴においてはあくまでも「話を聴く」ことに注力し、解決するより寄り添う姿勢でいることが理想です。

    傾聴スキルで親しみやすい介護スタッフを目指す!

    施設利用者さんの話に関心を向け、共感しながらじっくりと話を聴くことで、利用者さんに安心感を抱いてもらえます。利用者さんにとって、何でも話せる介護スタッフがいる施設は、きっと居心地の良い場所となるはず。傾聴スキルの習得は、介護スタッフにとっては仕事のしやすさにもつながるでしょう。ご紹介した傾聴テクニックを実践して、あなたも「利用者さんにとって親しみやすい介護スタッフ」を目指してみませんか。

  • 介護スピーチロックって何?知っておきたい言い回しをチェック

    介護スピーチロックって何?知っておきたい言い回しをチェック

    介護の現場では、介護スタッフが入居者さんとのやり取りの中でさまざまな声かけをします。入居者さんの介護シーンや日常会話など、特に気に留めることもなく声かけをしている方も多いでしょう。しかし、いつもの何気ない声かけが、実は介護現場で問題視されている“スピーチロック”になっているかもしれません。今回は介護スピーチロックをテーマに、事例を挙げて注意が必要な理由を考えていきましょう。

    スピーチロックとは

    スピーチロックとは、[btp_line]声かけによって身体的・精神的に行動を抑制すること[/btp_line]。“言葉の拘束”ともいわれるスピーチロックは、介護の現場で起きやすいとされています。

    たとえば人手不足の老人ホームで、入居者さんに対して「ちょっと待って」と声かけをするとしましょう。入居者さんは「どれくらい待てばいいのだろう」とひたすらその場で待つことになります。時には待つ理由がわからず、困惑することもあるかもしれません。このような声かけは入居者さんの行動を抑制することにつながり、“介護現場で起こるスピーチロック”として問題視されています

    介護施設で起こりやすい…スピーチロックの具体事例

    何かと忙しく過ごす介護スタッフの中には、無意識のうちにスピーチロックをしてしまっている方もいるでしょう。ここでは介護施設で起こりやすいスピーチロックの事例と、言い換えをチェックしていきます。

    スピーチロックの例言い換えの例
    ちょっと待って~しているのであと〇分待ってもらえますか
    座って~すると危ないので、座っていてもらえますか
    動かないで一緒に〇〇へ行くので、待っていてもらえますか
    ダメ!やめて!どうしましたか
    どうしてそんなことするの?危ないので、次から一緒に○○しましょう

    スピーチロックを防ぐポイントは、やわらかい言葉と気持ちをていねいに伝えること。入居者さんの気持ちをふまえたうえで、こちらの要望だけを伝える形にならないように気を付けましょう。

    言い換えのポイント!依頼形やクッション言葉を活用

    スピーチロックの言い換えにおいては、否定形ではなく依頼形で伝えることが大切です。依頼する言い方であれば、入居者さんを尊重しながら自身の要望を伝えられるでしょう。
    また、やわらかい表現にするには“クッション言葉”を挟むと効果的です。たとえば、お願いするときは「お手数をおかけしますが」、お願いを断るときは「せっかくですが」など。一言挟むだけでいつもの言い回しの印象が変わります。

    「ちょっと」や「少し」を使う場合は、曖昧さが入居者さんを不安にさせることも。「あと〇分」のように具体的な目安を伝えて、入居者さんの不安を取り除きましょう。

    スピーチロックが入居者さんに与える影響とは

    スピーチロックが入居者さんに与える影響は、[btp_line]行動意欲の低下や要介護度の悪化[/btp_line]などです。
    スピーチロックによってやりたいことを我慢させたり、長時間待たせたりすると、入居者さんに「拒絶された」というネガティブな感情が生まれやすくなります。その結果、入居者さんは意思表示することをやめ、自分から行動する気が失われることも。行動意欲の低下は筋肉を動かす機会の減少につながるので、入居者さんの身体の衰えが加速し、できることが減っていく…そうして要介護度が悪化する、という可能性もあるでしょう。

    また、認知症の入居者さんの場合、短期の記憶能力は低下しているものの、自身の感情は強く残る傾向があります。スピーチロックによって「拒絶された」という感情がストレスになると、症状がエスカレートする可能性もあるので注意が必要です

    スピーチロック回避のカギは思いやり

    介護の現場においては、言葉遣いがコミュニケーションの基本です。どんな言葉をどのような言い回しで入居者さんに伝えるか、思いやりを持って向き合うことがスピーチロックの回避につながります。「〇〇をしてほしいと伝えるにはどんな言い回しがいいか?」「入居者さんは今何を伝えようとしているか?」など、入居者さんと介護スタッフ、両方の立場から考えて、スピーチロックを避けつつ適切な言い回しを探しましょう。

  • 老人ホームでも起こり得る?!恋愛トラブル事例と対処法

    老人ホームでも起こり得る?!恋愛トラブル事例と対処法

    老人ホームなどの介護施設では、多くの利用者さんが共同生活したりコミュニケーションをとったりする機会があります。中には、利用者さん同士で恋愛に発展することも。利用者さん同士の恋愛はそれほど問題ではありませんが、中にはトラブルになるケースもあります。今回は、老人ホームなどの介護施設で実際に起こった恋愛トラブル事例や対処法について見ていきましょう。

    老人ホームで恋愛トラブル!?

    老人ホームではどんな恋愛トラブルが起きているのでしょうか。実際に、老人ホームなどの介護施設で起きた恋愛トラブルについて紹介します。

    三角関係トラブル

    A子さんという女性の利用者がいました。とても穏やかでいつも笑顔を絶やさないA子さんは、他の利用者さんと仲が良く、人気者。そんなA子さんに、B男さんは長年ひそかに恋心を抱いていたようです。

    あるときC夫さんという方が新しく入居してきて、A子さんのことを好きになりました。C夫さんは、B男さんと比べると積極的で、A子さんにどんどん話しかけ、いつも隣にいるように。

    B男さんがなかなか話しかけられず、モヤモヤしているところに事件が起きます。あるレクリエーションをしていた際に、B男さんはA子さんに良いところをみせようと積極的に参加。C夫さんも負けまいと頑張り、勝敗がもつれます。それにより2人で口論になる始末。

    A子さんは2人に対して恋愛感情を抱いていなかったため、なぜここまで白熱しているのかわからないようでした。B男さんとC夫さんはこれを機にお互いに無視を始め、互いに相手の悪口を言い合うように。事情を理解したA子さんは居心地が悪くなり、転居しました。

    会いたい…が募ってストーカーに

    別の事例では、ストーカーになってしまった利用者さんがいました。いつも明るく積極的なD美さんは、真面目で控えめな性格のE太さんが大好き。持ち前の積極性で話しかけますが、E太さんはあまり会話にのってきません。

    そのため、何かあるたびD美さんはE太さんのサポートをしようとお世話しにいきます。それでもE太さんはD美さんに心を開くことはなく、むしろ「構うな」と拒否。

    D美さんはなすすべなく、遠くから眺めるだけになりました。D美さんの気持ちもおさまったと思った矢先に、事件が起きます。D美さんはE太さんが入浴中に、E太さんの部屋に入り込み、部屋の掃除をしていたのです。

    戻ってきたE太さんは、まさか部屋に人がいるとは思っていないためとても驚き、ショックで体調を崩しました。D美さんに事情を聞くと「拒否されたものの、E太さんのことが大好きで近くにいたかった」というのです。

    D美さんの家族に今回の事件を説明すると、他の施設へ転居することになりました。

    別れたために退所したい

    もう1つの事例は、別れたことで起きた事件です。F子さんとG男さんは、老人ホームで出会い意気投合。恋愛関係に発展し、とても仲良く暮らしていました。しかし、F子さんは少しやきもちをやく傾向にあり、G男さんが他の女性の利用者さんと話していると、G男さんにひどく怒ることも。

    それが何度も続いたことで、G男さんは別れたいことを告げます。F子さんはショックを受け、「もう顔も見たくないから退所したい」と言い出す始末。最終的には話し合いによって気持ちの整理ができ、普段通どおりの生活に。しかし、やはりF子さんとG男さんの気まずい雰囲気は続きました。

    高齢者の恋愛はあり?なし?

    さまざまなトラブルが考えられる利用者さんの老人ホーム内の恋愛は、ありなのでしょうか、それともなしなのでしょうか。高齢者の恋愛のメリットとデメリットを見ていきましょう。

    メリット

    高齢者の恋愛のメリットは、恋愛によって気持ちが明るくなったり身なりに気を遣うようになったりすることです。また、恋愛相手と一緒にリハビリを頑張るなど、ポジティブになれるメリットもあります。中には、認知症の症状が改善したという事例もあるようです。

    デメリット

    デメリットは、相思相愛なら良いものの、別れた際も同じ空間にいなければならないことです。また、他の利用者さんと三角関係に発展するなど、トラブルに発展する可能性もあります。

    恋愛トラブルの対処法とは?

    恋愛は、何歳になっても起こり得ることです。恋愛によるメリットもあるため、頭ごなしに利用者さん同士の恋愛を否定してはいけません

    恋愛トラブルに発展してしまった際は、まずは当事者の話をしっかり聞きましょう。話を聞いた上で、トラブルの火種が大きくならないように、応急処置をします。具体的には、三角関係で揉めているのであれば、3人が近づかないように工夫するなどです。揉めている当事者に理由を説明し、理解していただけるよう努めましょう。

    利用者さんの家族にどういった状況なのかを説明するという方法もあります。利用者さんを刺激しないためにも、「恋愛トラブルを否定的に捉えないように」と家族に伝えておきましょう。

    適切に対処すればトラブルは防げるかも

    老人ホームなどで共同生活を送ったりコミュニケーションの機会が増えたりすれば、恋愛に発展する可能性は高まります。利用者さん同士の恋愛は、人生を前向きに過ごすためにも、とても素晴らしいことだといえるでしょう。ただし、相手の気持ちを理解した上での恋愛でなければ、トラブルに発展しやすくなります。恋愛トラブルの火種やトラブルを見つけた際には、当事者の話をしっかり聞き、適切に対処していきましょう。

  • カジノやゲームが高齢者の脳を活性化!?ユニークなデイサービスに注目

    カジノやゲームが高齢者の脳を活性化!?ユニークなデイサービスに注目

    デイサービスのレクリエーションと聞くと、どのような企画を思い浮かべますか?近年、介護施設におけるレクのバリエーションは多岐に渡ります。なんと健康麻雀やパチンコなど、一見「それってレクにOKなの?」と思ってしまうようなコンテンツを取り入れている施設も。そこで、本記事ではユニークなデイサービスの取り組みをご紹介します。広島県内にある施設の例もお届けするので、ぜひ参考にしてください。

    カジノやパチンコで脳が活性化するらしい!?

    ユニークなデイサービスは首都圏を中心に全国にあり、「介護施設が苦手な高齢者も楽しく通える!」と注目されつつあります。そういったユニークなデイサービスで取り入れられているコンテンツの例を見ていきましょう!

    ◎健康麻雀

    ユニークなデイサービスで提供されているコンテンツとして、近年話題となっているのが麻雀です。麻雀は、先読みしたり相手の出方によって瞬時に判断したりしながらプレーするため、脳を使います。また、指を動かす「作業」の要素も含まれていて、認知機能のトレーニングにつながりやすいのもポイント。複数人で交流しながらプレーするので、コミュニケーションの輪を広げる良い機会にもなります。

    ◎パチンコ

    「高齢者施設にパチンコ?」と驚く方もいるかもしれませんが、パチンコもデイサービスのレクリエーションとして人気です。福祉向けに、認知機能トレーニングとなるゲーム機能や、運動機能トレーニングができる自転車型トレーニング器具の機能を取り入れた専用台も製造されています。「昔を思い出す!」と楽しみにしてくれる利用者さんは多いようですよ。

    ◎ブラックジャック

    レクリエーションにブラックジャックを取り入れている、ユニークなデイサービスも増えています。ブラックジャックはカジノでも行われているカードゲーム。介護の現場では実際にお金を賭けるようなことはしませんが、コインの代わりとなるようなものを準備して競うと盛り上がります。勝つための戦略を立てたり、取り分を計算したり、たいへん頭を使うゲームです。

    若い頃を思い出せたり、ゲーム要素があったり、「娯楽」として参加できるレリエーションは高齢者にとって魅力的です。こうしたコンテンツを取り入れたユニークなデイサービスは、「介護施設が楽しくない」「介護されたくない」といった思いを抱える方からも受け入れられやすいでしょう。

    アルコールを飲む・タバコ吸う・賭ける、といった行動はできませんが、レクリエーションの範囲で楽しむ目的ならば、同じ施設の方々との交流や脳の活性化におすすめです。

    広島にもある!ユニークなサービスを提供するデイケア施設

    前項でピックアップしたような娯楽性のあるコンテンツを取り入れているユニークなデイサービスは、広島県内にもあります。簡単に取り組み例をご紹介していきましょう。

    ◎ひうな荘デイケア

    社会福祉法人三篠会が手がける広島市安佐北区にあるデイケア施設「ひうな荘」は、カジノコーナーがあることで話題。ブラックジャックやダーツの設備が整っています。そのほか、シアタールームや最新のリハビリ機器も完備。「行ってみたいな」と思わせる工夫を凝らしています。

    ◎デイサービスセンターぎおん

    広島市安佐南区の医療法人メディカルパーク野村病院に隣接する「デイサービスセンターぎおん」。リハビリ麻雀や音楽療法、アロマを活用したハンドマッサージやフットマッサージなどを取り入れています。トレーニング系の機器や企画も充実していて、変化のある楽しい時間が過ごせることで人気です。

    ◎サンヒルズ広島デイサービスセンター

    社会福祉法人広島常光福祉会が手がける、広島市東区に位置する「サンヒルズ広島デイサービスセンター」では、パチンコやアミューズメントカジノを取り入れて脳の活性化を図っています。リハビリ体操やパワーリハビリテーションなどのメニューも充実。利用者さんが心身ともに機能回復を図れるようサポートしています。

    ユニークなデイサービスをヒントに新たな取り組みをしてみては?

    麻雀、パチンコ、ブラックジャックといったギャンブル性の高いイメージのある娯楽も、取り入れ方によっては高齢者向けのレクリエーションに活かせることが分かりました。脳トレになるとともに、通う楽しさも味わっていただけます。ユニークなデイサービスの事例を参考に、ぜひあなたの施設でも新たなサービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

  • 老人ホームでのボランティア活動。受け入れるメリットと注意点とは

    老人ホームでのボランティア活動。受け入れるメリットと注意点とは

    人手不足が問題視される老人ホームでは、介護スタッフだけだと目や手が行き届きにくいシーンも。その解決策のひとつとして、ボランティア活動を受け入れる方法があります。今回は老人ホームでのボランティア活動をメインテーマに、「活動自体がどんなものなのか」「どんなメリットがあるのか」という疑問にスポットを当てていきましょう。ボランティアを受け入れる際の注意点についても注目です。

    老人ホームでのボランティア活動って何?

    普段老人ホームで生活する方々は、介護スタッフや他の入居者さんなど、いつも変わらない顔ぶれの中で日々を送っています。そんな外部との関わりが少ない生活に変化をもたらすのが、“ボランティア活動の導入”。人との関わりを求める入居者さんにとって、ボランティアスタッフとの交流は、地域コミュニティとのつながりの場といえるのです。

    補助業務や傾聴など。ボランティア活動事例をチェック

    老人ホームでのボランティア活動は、介護スタッフの補助業務がメインです。食事の補助や居室の掃除、敷地内にある花壇の手入れなど、普段介護スタッフが行う業務の一部を補助します。
    ボランティア活動には、一人ひとりの入居者さんに合わせて行う“個別対応”と、複数の方々に対して行う“複数対応”があります。個別対応のボランティア活動は、傾聴や散歩の付き添い、囲碁の相手など。入居者さんに寄り添うことで、気持ちの充足と快適な暮らしをサポートします。複数対応のボランティア活動は、歌やフラワーアレンジメント、工作、書道などです。複数人でひとつの活動を行うことになるので、個別対応よりもレクリエーション要素が強くなります。

    ボランティア活動の狙いは、介護スタッフの日頃の仕事負担を減らすこと、入居者さんの満足度を高めることなどです。入居者さんの生活の質を向上すれば、老人ホームでの暮らしがより充実したものになると期待できます

    ボランティアを受け入れるメリットは?

    老人ホームでボランティアを受け入れると、介護施設側と入居者さん側のそれぞれにメリットがあります。

    介護施設側のメリット

    日々多くの業務をこなす介護スタッフにとって、ボランティアによる補助業務が入ることは負担軽減につながります。

    <介護スタッフの声>

    担当業務をすべてこなそうと思うと、どうしても細かいところまで手や目が行き届かなくなる。ボランティアさんが補助に入ってくれると、一つひとつの業務を確実にこなしながら質も維持できると思う。

    「もっと入居者さんに寄り添った対応ができれば…」「時間に追われて業務が雑になっていないか心配」といった介護スタッフの不安を解消することも、ボランティアを受け入れるメリットのひとつです。

    入居者さんのメリット

    入居者さんへのメリットには、精神的な癒しコミュニケーション能力を維持すること、認知機能の向上などが挙げられます。

    <入居者さんの声>

    ボランティアのお茶会が開かれたとき、初めて見る茶道の作法に興味がわきました。他の方も「抹茶が美味しくて心がほっとする」と言っていたり、ボランティアスタッフと楽しそうに話していたり…新鮮味のあるイベントの開催はいい刺激になったと感じました。

    お茶会のボランティア活動を例に見てみると、抹茶を飲むことで心が癒される、ボランティアスタッフや他の入居者さんとコミュニケーションを取れる、などのメリットがあります。ボランティア活動を機に新たな趣味が見つかれば、認知機能の向上にもつながるでしょう。

    ボランティアを受け入れる際の注意点は?

    老人ホームでボランティア活動を行うには、資格や経験は特に必要なく、年齢も関係ありません。そのため、ボランティア活動を通して何らかのトラブルが起こるケースも考えられます。

    ボランティアスタッフの体調管理

    老人ホームの入居者さんの中には、免疫力が落ちていたり、病気が重症化しやすかったりする方もいます。ボランティアスタッフから入居者さんへ病気がうつることのないように、入居者さん・ボランティアスタッフの体調管理には、じゅうぶんに目を向けておきましょう。

    高齢であることへの配慮

    ボランティアスタッフには、入居者さんが高齢であることをきちんと理解してもらったうえで対応してもらうようにしましょう。理解できていないと、トラブルになる可能性もあります。入居者さんの立場や気持ちを尊重するという心構えの確認が必要です。

    リスク回避に!社会福祉協議会への登録

    老人ホームでのボランティア活動においては、予期せぬ事故の発生も有り得ます。万が一のリスク回避案として、“ボランティア活動保険”への加入を検討するのもおすすめです。

    ボランティア活動保険は、活動中に起こる事故をはじめとするさまざまなリスクに備えるために作られた制度。自身のケガ、他人に損害を与えて損害賠償問題が発生したシーンなどが補償対象です。保険に加入するためには社会福祉協議会への登録が必要になります。補償内容についての詳細、登録方法などを知りたい場合は、最寄りの社会福祉協議会に問い合わせてみましょう。

    ボランティアを受け入れるなら準備を整えてから

    知識や経験のある介護スタッフにとっては当たり前のことでも、ボランティアスタッフだとわからない、というケースもあります。老人ホームでボランティアを受け入れる場合は、ボランティアスタッフに依頼する業務に対しての事前説明や、確認をきちんと行うことが大切です。老人ホーム側と入居者さん両方にとってのメリットを実感できるよう、ボランティアを受け入れる準備を整えることからはじめてみましょう。

  • アンガーマネジメントとは?介護職のための「怒り」のコントロール術

    アンガーマネジメントとは?介護職のための「怒り」のコントロール術

    介護という仕事を通じて、さまざまな人間関係が生まれます。職場の同僚はもちろん、利用者さんやその家族などとのコミュニケーションによってイライラしてしまうこともあるかもしれません。だからといって、感情を爆発させた言動をしていると気まずくなったり仕事が滞ったりすることもあるでしょう。それだけで済めば良いですが、感情にまかせた言動が、高齢者虐待に該当するケースもあります。そこで今回は、アンガーマネジメントと介護の関係について学んでいきましょう。

    アンガーマネジメントとは?

    アンガーマネジメントとは、[btp_line]怒りの感情との折り合いをつけるための心理トレーニング[/btp_line]のことです。1970年代にアメリカで誕生し、犯罪者の矯正プログラムとして用いられてきましたが、現在では幅広い分野で活用されています。

    その背景には、企業がパワハラなどのハラスメント防止を考え始めたことも一因となっているようです。アンガーマネジメントを学び、感情に任せた言動がなくなれば、良好な人間関係を築きやすくなります。また、仕事も円滑に進み、全体のモチベーションアップにもつながるでしょう。

    最近では、教育現場や企業、介護施設などでもアンガーマネジメントの研修を行う機会が増えているようです。

    なぜアンガーマネジメントを学ぶ必要があるの?

    アンガーマネジメントを学ぶ大きな目的は、良好な人間関係を築き、仕事やコミュニケーションを円滑行うことです。しかし、介護現場のアンガーマネジメントには、他にも理由があります。それは、利用者さんとスタッフの関係を改善し、高齢者への虐待防止をはかるためです。

    近年、介護スタッフによる利用者さんへの虐待件数が増加しています。その背景を受け、2006年には「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)」が施行されました。

    介護現場では、人材不足で休養が十分ではないために、イライラしてしまうこともあるでしょう。また、忙しいなかで認知症の利用者さんから暴言を言われてしまうなど、どうしてもイライラすることもあるでしょう。

    人間だからこそ、感情があって手厚い介護ができるものです。しかし、精神的に疲れているときは、気持ちに余裕がなくなってしまうこともあるはず。利用者さんの言動が仕方のないことだと分かっていても、感情が爆発しやすくなり、結果的に高齢者への虐待につながる原因になってしまう可能性も…。他の企業や教育現場でも取り入れられているように、介護現場でもアンガーマネジメントを学ぶ必要があるのです。

    どんなシーンでイライラしやすい?

    介護現場でイライラしてしまいやすいシーンには、どのようなものがあるのでしょうか?具体例を紹介します。

    • 何度も同じ話をされイライラした
    • 時間がないのに、こちらの言葉を聞いてくれず、従ってくれない
    • 利用者さんに他のスタッフと比べられた
    • 認知症なのは理解しているが、暴言を言われた

    利用者さんがどんな状態なのかは、介護スタッフは十分把握しているはず。ですが、介護スタッフも人間。心身の状態が良くないとイライラしてしまうことは当たり前です。利用者さんに感情をぶつけないためにも、アンガーマネジメントに取り組んでみましょう。

    次では、今からできるアンガーマネジメント術について紹介します。

    実践編!今からできるアンガーマネジメント

    アンガーマネジメントで大切なことは、怒りをコントロールすること。怒りをコントロールするには、[btp_line]衝動・思考・行動のコントロールが必要[/btp_line]です。

    衝動のコントロール

    怒りを爆発させたい衝動を止めるために行うもので、一般的には「6秒ルール」といいます。怒りを感じた際に6秒我慢することで理性が働き、怒りの衝動を抑えられるでしょう。

    思考のコントロール

    人間はつい、「~すべき」と考えてしまい、相手に自分の考えを押しつけてしまうケースがあります。人によって価値観が違うことを再認識し、「本当に怒る必要があるのか」について考えましょう

    行動のコントロール

    思考のコントロールをしてもどうしても許せないと感じた場合に行います。怒りが「変えられるのか・変えられないのか」、そして「重要なのか・重要ではないのか」で考えましょう。

    「重要ではなく変えられないこと」であれば、その事象に怒りを感じても意味がありません。「こういったこともあるのか」と受け入れ、怒りの感情を手放す必要があるでしょう。

    「重要かつ変えられること」なのであれば改善できるように取り組み、「重要で変えられないこと」であれば、他の方法を模索します。「重要ではないが変えられること」であれば、時間や余力がある際に、改善に向かうよう取り組みましょう。

    以上のように、客観的に自分の感情と向き合うことで、怒りの感情を上手にコントロールできるようになるのです。

    利用者さんと自分の心を守るために

    アンガーマネジメントは、利用者さんと自分の心を守るためにとても大切なトレーニングです。介護現場ではイライラしてしまうことが頻繁に起こるかもしれませんが、アンガーマネジメントを上手に用いて、感情にまかせた言動とならないように気をつけましょう。また、介護施設でアンガーマネジメントの研修などを行うのもおすすめです。

  • デイサービスの送迎トラブルが不安!介護職ができる対処法とは

    デイサービスの送迎トラブルが不安!介護職ができる対処法とは

    多くのデイサービスでは業務の一環として、利用者さんの自宅と施設を往復する「送迎」を行っているでしょう。この際、専門のドライバーが送迎を行うところもあれば、介護職員が担当する施設もあるようです。そのため、中には「送迎業務が不安」と感じる介護職員も少なくありません。そこでこの記事では、デイサービスで発生しやすい送迎トラブルを紹介。介護職員ができる送迎トラブル対処法について、くわしく解説していきます。

    デイサービスで介護職員が送迎業務を行うことはある?

    デイサービスの中には、介護職員が送迎業務を兼務する施設もあります。使用する送迎車が定員10名までのワゴンなどであれば「普通自動車第一種運転免許」で送迎業務が可能です。つまり、「毎日車で通っている」「車の免許を取得している」という方は、送迎業務の兼務ができます。

    ただし、定員が11名以上のバスなどを使う場合は「中型自動車第一種運転免許」または「大型自動車第一種運転免許」が必要です。この際、職業ドライバーに必須である二種免許まではいりません(※)。こうしたことから、定員10名までの車両を使用しているデイサービスであれば、介護職員が送迎業務を行うことは十分考えられるでしょう。

    (※)送迎サービスを有料で行う場合には、第二種運転免許が必要

    デイサービスの送迎トラブル事例

    車の運転免許をもっている介護職員であれば、デイサービスで送迎業務を担う可能性があるため、トラブルへの理解を深めておくと安心です。ここからは、デイサービスの送迎で発生しやすいトラブル事例について見ていきましょう。

    送迎時のケガや転倒

    デイサービスの送迎で発生しやすいトラブルの1つが、ケガや転倒です。とくに、利用者さんの自宅と送迎車までの移動のときに、発生頻度が高まります。例えば、利用者さんの自宅に到着し、家族に「ここでいいですよ」といわれた地点で手を離したときに転倒。大腿骨を骨折した利用者さんもいたといいます。

    この他、車いすで無理な段差を越えようとしての転倒など、危険な環境での移動介助は送迎トラブルの一因です。送迎業務は単なる輸送ではなく、利用者さんを自宅の安全な場所までサポートする業務である点に注意しましょう。

    到着の遅れ

    「予定時刻に迎えが来ない」というのも、デイサービスの送迎で発生しやすいトラブルです。予定時刻に到着できない理由には、「朝の通勤ラッシュに巻き込まれてしまった」「送迎ルートを間違えてしまった」などさまざまでしょう。

    一方で、到着時間が遅れると「他の用事が行いにくい」「利用者さんの機嫌が悪くなり対応に困る」と感じるご家族も少なくありません。こうした不満を軽減するため、10分前後到着が遅れる場合は連絡をしている施設が多いようです。

    交通事故

    デイサービスの送迎では、交通事故のトラブルも少なくありません。とくに住宅地に多い、道幅の狭い生活道路では送迎車の交通事故が発生しやすいでしょう。実際に、子供が保育園の裏口付近から飛び出してきて車と接触し、急ブレーキをかけたという事例もあるとのこと。このときは、子供がケガをし、急ブレーキによる反動で利用者さんも軽傷を負ったといいます。

    また、バックの操作を行ったときに塀やフェンスに接触するなど、自損事故の発生頻度も高いようです。車を使用する以上は、交通事故のリスクは0ではないため、十分な対策が必要といえるでしょう。

    近隣住民やご家族とのトラブル

    デイサービスの送迎では、利用者さん本人ではなく、近隣住民やご家族とトラブルになるケースもあります。例えば、送迎先近くでの無断駐車や、利用者さんと会話する声の大きさなどが近隣住民からの苦情となることがあるようです。

    また、車体に事業所名などが描かれているため、運転マナーへの厳しい意見も多いといいます。実際に、「スピードを出し過ぎている」「ウインカーを出さずに曲がった」という声が事業所には届くようです。そのため、プライベートのときよりも周囲からの注目を集めやすいことを意識して、安全運転を心がけましょう。

    運転手の身だしなみ

    デイサービスの送迎トラブルの中には、運転自体には直接関わらないものもあります。その1つが、運転手の身だしなみです。「送迎車を運転していたドライバーがだらしない服装や髪型をしていた」と、近隣住民に苦情を受けた施設もあるといいます。

    運転マナーだけでなく、デイサービスの送迎では運転手自身にも注目が集まるため、身だしなみにも十分な注意が必要です。

    介護職員ができるデイサービスの送迎トラブル対処法

    ここからは、介護職員がデイサービスの送迎業務を行うときに、トラブルを発生させない対処法について見ていきましょう。

    時間に余裕をもって運転を行う

    デイサービスで送迎トラブルを防ぐためには、時間に余裕をもって運転をすることが大切です。道路状況などを考慮しながら、できる限りスケジュールどおりに運転できるよう行動しましょう。混雑しやすい場所や事故が起こりやすいところなどは、事前にまとめてマップにしておくと、気持ちに余裕が生まれるため、おすすめです。

    福祉車両の扱いに慣れる

    デイサービスの送迎では、車いすのまま乗車でき、乗り降りシートなどがついている福祉車両を使用することが一般的です。普通自動車にはない操作も必要になるため、福祉車両の扱いには、早めに慣れていきましょう。不安が残る場合は、福祉車両の取り扱い方も学べる「福祉送迎運転者講習会」などの受講を検討するのも1つの手です。

    身だしなみを整える

    送迎時には、身だしなみを整えることも大切です。汚れや破れがある服は避け、清潔感を意識した身だしなみで、利用者さんやご家族が安心できるよう配慮しましょう。また、髪が長い場合には1つに束ね、明るすぎる奇抜なカラーは避けたほうが安心です。

    同乗者を配置してもらうよう依頼する

    デイサービスの中には運転手1人で送迎を行うところもありますが、介護職員がもう1人同乗したほうがより安全です。同乗者がいれば、運転業務により集中することができます。とくに、送迎業務に慣れていないうちは、同乗者を配置してもらえるよう依頼したほうが安心でしょう。

    駐車マナーを守る

    近隣住民や学生の通行を妨げないよう、駐車マナーを守ることもトラブルを回避する行動です。駐車している場所が、周囲の方の邪魔になっていないか、スクールゾーンに該当していないかなどを事前に確認しておきましょう。どうしても駐車できるスペースがないところでは、警察署に連絡し「停車しても問題ないか」を確認しておくと安心です。

    デイサービスの送迎トラブルが不安なときは働き方の見直しもあり!

    デイサービスによっては、介護職員が送迎を行うことがあるため、どのような行動がトラブルにつながるかを知っておくと安心です。送迎を任されたら、事前に道順を確認するなど、利用者さんの安全を守る準備をしておきましょう。なお、どうしても不安な方は、専門のドライバーがいる事業所へ転職することも1つの手です。デイサービスで働く際は、送迎業務の有無にも注目しておきましょう。

  • 老人ホームに多い入居者同士のトラブル!介護職がとるべき対処法とは

    老人ホームに多い入居者同士のトラブル!介護職がとるべき対処法とは

    さまざまな利用者さんが集まる老人ホームにおいて、入居者同士のトラブルはつきもの。ときには、ほんの些細な出来事が大きな事件に発展することもあります。そして当事者同士での解決が難しい場合には、介護スタッフが間に入り、冷静に対処しなければなりません。そこで今回は、そんな入居者間のトラブルについて主な事例と対処方法を解説します。いざトラブルに直面したときに役立つように、今から解決策を学んでおきましょう。

    老人ホームで起こりやすい入居者同士のトラブルとは

    まずは老人ホームで多い入居者同士のトラブルにはどんなものがあるのか、具体例を見ていきましょう。

    騒音によるトラブル

    老人ホームで日常的に起こるのが、[btp_line]テレビやラジオの騒音トラブル[/btp_line]。高齢の利用者さんの中には耳が遠い方も多く、無意識に音量を大きくしすぎてしまうのです。耳が遠いと相手の声はもちろん、自分の声も聞こえにくくなり、自然と大声で話すようになります。そのうち本人の気づかないところで周囲の利用者さんに迷惑がられたり、反感を買ったりするようになるでしょう。その一方で、日常的な騒音に悩まされて強いストレスを抱えてしまう利用者さんも出てきてしまうのです。

    周りの利用者さんやスタッフとの相性によるトラブル

    さまざまな利用者さんが集まる老人ホームには、自分と価値観の合わない相手に対して攻撃的な態度をとる方もいます。具体的には無視したり、陰で悪口を言ったり、意地悪をしたりなどです。中には行為がエスカレートして、口論になってしまうこともあります。

    恋愛感情によるトラブル

    年の近い高齢者が集まるため、入居者同士で恋愛関係になる方もいます。関係が良好な場合には問題ないのですが、悪化するとトラブルに発展することも。中には、相手への強い執着や嫉妬心から、ストーカー行為に走ってしまう方もいます。

    認知症の利用者さんとのトラブル

    老人ホームでは、認知症特有の症状によって入居者同士のトラブルが起こることがあります。もちろん症状には個人差がありますが、周りの利用者さんや介護スタッフに対して暴言や暴力をふるってしまう方も。病気によるものなので仕方ないとはいえ、周りの入居者家族からは「認知症の方とは距離を取ってほしい」と要望が出ることもあります。

    金銭トラブル

    老人ホーム、特に特別養護老人ホームでは、利用者さんの事故防止のために鍵をつけていない施設が多いです。そのため、貴重品が紛失すると別の利用者さんによる盗難を疑う方も少なくありません。しかし実際には、持ち主が認知症を発症していて盗まれたと思い込んでいたり、無意識に他の利用者さんのものを盗んでしまったりというのも、よくある話。お金やモノに執着の強い利用者さんに多いトラブルです。

    老人ホームで入居者同士のトラブルが起こりやすい理由

    老人ホームでさまざまな入居者同士のトラブルが起こりやすい原因としては、高齢者が多く集まる施設であることがまず挙げられるでしょう。

    人は年をとるにつれて頑固になりやすいといわれています。それは、これまでに多くの経験をし、たくさんの知識を得たという自負があるからかもしれません。そしてどんどん価値観が凝り固まってしまうと、「自分の意見こそが正しい」という思考になりやすくなります。

    そんな年齢の人々が多く集まっているとしたら、さまざまなトラブルが起こってしまうのも無理はないでしょう。そのうえ、認知症や加齢性難聴など、身体的な不自由もあいまって、ストレスや不満が生まれやすい状況であるともいえます。

    入居者同士のトラブルが起こったときの対処法は?

    老人ホームで入居者同士のトラブルが起こってしまったとき、スタッフの迅速かつ適切な対応が解決の糸口となります。以下に、主な対処法をご紹介しましょう。

    事実確認をする

    まずは、当事者たちへ聞き込みを行い、トラブルの状況をできるだけ明確化しましょう。その際には、当事者同士が接触することのないよう、スタッフが間に入ってそれぞれから話を聞きます。一方的な決めつけはせず、中立的な立場で聞き込みすることが肝心です。

    施設内でトラブルの報告、ルールの周知を行う

    他のスタッフともトラブル内容を共有し、再発防止に努めます。入居者へ施設内ルールを再度周知することも必要でしょう。

    必要ならご家族にも相談する

    トラブルは大ごとになる前に解決するのが一番ですが、なかなか収束しない場合には、ご家族に協力を求めることもあります。そうなったときのためにも、トラブル内容についてしっかりと調査し、原因や状況を事細かに記録しておくことが大切です。

    居住スペースを分ける

    なかなかトラブルが解決しそうにないときは、当事者の部屋やフロアを離すことも検討しましょう。また、老人ホームの施設内でレクリエーションをするときや、食事の席でも遠ざけるようにして、徹底的に接触の機会を減らすよう配慮します。

    トラブルが解決しないときは住み替えを提案することも

    もしどうしても状況が改善しそうにない場合には、当事者となった方へ住み替えを検討していただくよう提案・対応することも1つの方法です。ただし、住む環境が変わることで認知症の進行が早まったり、強いストレスを感じたりする方もいます。あくまで住み替えは最後の手段です。利用者さんの家族ともしっかりと相談して、慎重に決めるようにしましょう。

    入居者同士のトラブルを未然に防ぐ方法は?

    老人ホームで入居者同士のトラブルをゼロにすることはかなり難しいでしょう。ただ、少しでも軽減できるように普段からできる対策はあります。以下のような方法をぜひ試してみましょう。

    家族とのコミュニケーションをしっかりとってもらう

    利用者さんがトラブルを起こす一番の原因は、孤独感やストレスだといいます。住み慣れた自宅を離れ、他人との共同生活に不安感を募らせる方もいるでしょう。
    そんな気持ちに寄り添い、少しでも安心してもらえるように、普段から家族とコミュニケーションをとるよう促してあげるといいでしょう。また、トラブルが起こりそうと感じたら、すぐにご家族へお伝えすることも大切です。

    利用者さんの性格や好き嫌いはスタッフ間で共有する

    利用者さんの性格や相性などの情報は、スタッフ間でしっかりと共有しておきましょう。そうすれば部屋の配置決め、食事の席決めの際にも配慮できます。

    金品などの貴重品類はなるべく本人以外に管理してもらう

    トラブルの火種となりやすい貴重品類は、できるだけご家族に管理してもらうようにお伝えしましょう。もし本人の希望により施設内に持ち込むことになった場合には、施設側で管理すると安心です。

    入居者同士のトラブル解決には家族の協力が必要!

    老人ホームでは、入居者同士のトラブルは日常茶飯事であることが多いもの。完全に防止することは難しいですが、日頃から家族と密に連携し、利用者さんの心のケアをしてあげることで未然に防げる場合もあります。そのためにも、普段からスタッフ同士で協力しやすい環境となるように心がけておきましょう。

  • 介護施設で起こりやすい苦情事例!知っておきたい対処法とは

    介護施設で起こりやすい苦情事例!知っておきたい対処法とは

    日頃どれだけ丁寧に利用者さんと向き合っている介護施設であっても、ちょっとした誤解などから苦情やクレームが発生する可能性があります。そのため介護職の方は、苦情への対処法を知っておくと安心です。この記事では、介護施設で起こりやすい苦情事例から、発生したときの対処法までくわしく解説します。苦情が発生したときに慌てないよう、事前に対策しておきましょう。

    苦情(クレーム)とは?

    苦情やクレームとは、得られなかった欲求を満たすために起こす言動のことです。介護施設では、「もっと丁寧に接してほしい」「サービスの費用を下げてほしい」などが苦情やクレームの1つといえます。苦情とクレームの違いに明確な定義はありませんが、次のように使われることが多いようです。

    • 苦情:不快な思いを今後しないよう、建設的な改善を求める言動
    • クレーム:返金や賠償などの実質的な補償を求める言動

    苦情とクレームのニュアンスに微妙な違いはあるものの、これらが発生したら、介護施設は何らかの対応が求められる点においては共通しているといえるでしょう。

    介護施設で発生した苦情事例

    ここからは、介護施設で発生しやすい苦情の事例を5つ見ていきましょう。

    事例1:貴重品などの紛失

    共同生活の場所である介護施設には、高価なものや大切なものを持ってこないよう、利用者さんにお願いしていることが多いでしょう。しかし、中にはカバンにこっそりと貴重品を入れてくる方もいます。そのため、これらを介護施設のどこかで紛失したり、置き忘れたりして苦情に発展する事例は少なくありません。利用者さんが自分の非を認めていることもありますが、「責任は施設にある」と決めつけ、ご家族から弁償を求められるケースもあるようです。

    事例2:施設内でのケガや転倒

    利用者さんのケガや転倒には、日頃から十分に配慮している介護施設がほとんど。しかし、どれだけ気をつけていたとしても、ケガや転倒がすべて防げるとは限りません。中には、利用者さん同士のけんかから、お互いに手が出てしまいケガにつながることもあるようです。介護施設ではこうしたとき、医療機関への診察や利用者さんのご家族への謝罪などで苦情に対応する事例が多いでしょう。一方で、ケガに対する苦情だけでなく、「介護負担料を支払わない」とクレームに発展するケースもあるようです。

    事例3:サービスの質

    「介護施設に期待していたサービスが受けられなかった」という苦情も、頻発しやすい事例です。例えば、入浴を希望する方が多いデイサービスやショートステイでは「入浴できなかった」という苦情が多く見られます。一般的に介護における入浴は、血圧や体温などを事前に測定して問題がない場合に行えるもの。しかし、「家族が許可するから入浴させてほしい」「血圧や体温が高いほうだから入浴したい」と言われるケースも多いようです。このように、利用者さんが望んでいるサービスを受けられなかったときは、苦情へとつながる可能性があるでしょう。

    事例4:説明や情報の不足

    介護施設からの説明や情報提供が不足していることが、苦情やクレームへとつながる事例もあります。例えば、施設内で衣類が汚れたことを家族に伝え忘れたケースや、利用者さん本人に知らせない事柄を話してしまうなどの例があるようです。さらに、退所の時期や段取りについて十分な説明を行わず進めたことで、苦情に発展した介護施設も。十分な説明が行われないことはもちろん、守秘義務を果たさない場合も苦情に発展しやすくなるでしょう。

    事例5:介護職員同士の情報共有不足

    介護施設の利用者さんからの要望を、介護職員同士で情報共有していないことが、苦情の原因となる事例もあります。例えば、一部の介護職員で決めた介護方法やご家族への対応方法が共有されておらず、それぞれ違う言動をとったことで苦情となったケース。また、ご家族からの要望に無責任に回答してしまい、結果として要望を果たせなかった例もあるとされます。対利用者さんへの配慮はもちろん、チームワークの有無も苦情の発生には大きな影響を与えているでしょう。

    介護施設で苦情が発生したときの対処法は?

    ここからは、介護施設で苦情が発生したときの対処法について見ていきましょう。

    相手が訴えたいことや興奮度を把握する

    介護施設で苦情が発生した場合には、まず相手の声に耳を傾けましょう。人によっては興奮して大声を出したり、何度も同じ話を繰り返したりすることもありますが、その奥には満たされていない欲求が隠れています。相手の態度に左右されず、「どうしたら満足がいくのか」という点に注目しながら、冷静に対応していきましょう。また、このときすぐに責任者を呼ばず、相手の興奮が治まってから引き継ぐことも重要なテクニックです。

    話はできるだけ遮らず傾聴する

    介護施設で苦情が発生したときの基本姿勢は、話を遮らずに聞く「傾聴」です。話の腰を折ることなく最後まで聞くことで、相手をクールダウンさせる可能性が高まるでしょう。このとき注意したいのは、「でも」「ですから」「だって」など、不用意な一言で相手の怒りに火をつけてしまわないことです。これらの言葉は、反抗的な態度や上から目線の姿勢、逃げ腰な印象などを与えるため、怒りをヒートアップさせる要因となります。ときには相手から侮辱的な発言をされる可能性もありますが、ぐっとこらえて傾聴し、その日は答えを出さずに一旦持ち帰るとよいでしょう。

    お詫びをクッション言葉にする

    苦情やクレームには、すぐにお詫びの言葉を求めるケースが少なくありません。しかし、事実関係がはっきりしない状態で苦情やクレームへの謝罪をしてしまうと、全面的に非を認めたと思われる可能性があります。そのため、苦情の内容そのものへのお詫びを即座にすることは避けたほうが良いでしょう。ただし、「話を伺うことが遅くなった」など、気持ちに沿えなかったことへのお詫びはクッション言葉として有効的です。苦情に発展するまで気持ちの変化に気づけなかったことなどへの謝罪は、すぐに行うと関係性を修復する一助となりやすいでしょう。

    利用者さんなどの立場に共感しつつ現状を説明する

    話を傾聴し、相手の興奮が治まったら、話の内容を整理して現状説明に入ります。答えられる範囲で、自分たちの立場や事情などを説明していきましょう。重要なのは、利用者さんやご家族の要望に理解を示しながら、現状を伝えていくことです。加えて、できるだけ要望に沿う姿勢があることを示していきます。よほど悪意のあるケースでなければ、介護施設側の事情や立場への理解が深まり、相手の方も落とし所を見つけやすくなるでしょう。

    介護施設ごとのマニュアルに沿って情報を共有する

    介護施設によっては、苦情の事例ごとに、最終的に報告する担当者や責任者が異なることもあります。そのため、利用者さんやご家族との話し合いが終わったら、施設ごとのマニュアルに沿って情報共有していくことが大切です。相手の訴えや自分の対応などを的確に伝えることで、今後の運営に活かしていきましょう。

    介護施設の苦情事例から対処法を知っておこう!

    介護施設では、利用者さんやご家族の要求に沿えなかったときに、苦情に発展する事例が少なくありません。そのため適切な対処法を知っておくと、より安心して仕事に望めるでしょう。また苦情には、働いていると気がつかない改善点が隠れていることがあります。前向きに捉えて真摯に対応することで、利用者さんの満足度をより高めていきましょう。

  • 冬は高齢者の「低温やけど」に注意!カイロ・湯たんぽ・ストーブなど

    冬は高齢者の「低温やけど」に注意!カイロ・湯たんぽ・ストーブなど

    冬は高齢者による低温やけどの事故が増えます。低温やけどはカイロやストーブなど、身近なものが原因となって起こるものもあるようです。また低温やけどは痛みが少なく、一見軽そうに見えても、実際には重症になるケースもあります。そこで今回は冬時期に注意すべき高齢者の低温やけどの原因や事例、事故を防ぐためのポイントをまとめました。特にデイサービスや訪問介護など、自宅で過ごす高齢者の介護に携わる方はぜひご一読ください。

    高齢者の低温やけどはなぜ起こる?

    低温やけどとは、皮膚に高温が作用して起こるやけどのうち、約40~50度の比較的低い温度で生じるものを低温やけどといいます。短時間の接触では問題のない温度でも、長時間にわたって接触部分に作用することにより生じるのが特徴です。

    消費者庁によると、65歳以上の高齢者が低温やけどを負った、という事故情報が多数寄せられています。高齢者は若年者に比べて皮膚が薄いこと、そして感覚機能や運動機能が低下していることにより、やけどを負っていることに気付きにくく、重症化しやすいことが原因のひとつです。

    高齢者の低温やけどの原因となる製品には、カイロや湯たんぽ、ストーブ類、電気毛布、あんかなどがあげられます。[btp_line]特にカイロによる低温やけどの事故が多い[/btp_line]ようです。また、低温やけどの症状には通常のやけどとは異なる以下のような特徴がみられる場合があります。

    • 普通のやけどに比べて痛みが少ない
    • 水ぶくれができにくい
    • 患部が乾燥している

    そのため一見軽そうに見えても、深いやけどになっている例も珍しくありません。

    【実例紹介】こたつで寝て指を切断?!高齢者の低温やけどの例

    消費者庁に寄せられた高齢者による低温やけど事故事例を2つご紹介します。

    【事例1】こたつで就寝したら、指を切断するほどの重症に…

    こたつで就寝し朝起きると、足の指から出血しており、やけどに気づいた。左足の親指と人差し指を切断し、中指は皮膚移植を行うほどの重症だった。(70歳代 男性)

    【事例2】カイロを貼り、電気毛布を付けたまま就寝したら、 皮膚の深部まで…

    腰にカイロを貼り、電気毛布のスイッチを付けたまま就寝した。翌朝カイロをはがすと「痛がゆさ」があったので、皮膚科を受診したところ、皮がむけており皮膚の深い部分までやけどをしていると言われた。(70歳代 女性)

    今回の事例は、いずれも70歳代の高齢者の身に起きたもの。こたつ・カイロ・電気毛布と、いずれも大変身近なアイテムが原因で低温やけどが起きてしまっています。では、低温やけどを防ぐにはどうしたらよいのでしょうか?

    高齢者の低温やけどを防ぐための3つのポイント

    高齢者の低温やけどを起こさないためのポイントをまとめました。特に自宅で過ごす高齢者の介護にあたるスタッフはしっかり確認してください。知っておくことで、注意喚起ができるでしょう。

    ポイント1:皮膚を熱源に長時間接触させない

    低温やけどは、あたたかく快適に感じる程度の温度でも、長時間皮膚が接することによって生じます。カイロやこたつ、電気毛布などに長時間皮膚が接触することのないよう注意しましょう。特に就寝前には、カイロは使わない・こたつに入らない・電気毛布は高温で使用しない・湯たんぽは布団から出す、といった工夫が大切です。

    ポイント2:長時間同じ部位を温めない

    長時間同じ部位を温め続けることが低温やけどの原因になります。消費者庁によると、44度で3~4時間、46度で30分~1時間、50度で2~3分で皮膚が損傷を受けるそうです。特に冬場は寒さをしのぐため、同じ場所・同じ姿勢で長時間暖をとる方もいるでしょう。そのため、日中のこたつやストーブの使用の際にも、同じ部位を温め続けてしまわないよう十分注意が必要です。

    ポイント3:異変を感じたら早めに受診

    前述のとおり、低温やけどは痛みが少なく、見た目より症状が重たいことがあります。また、一度負った[btp_line]低温やけどは水で冷やしても症状を緩和する効果はありません[/btp_line]。痛みや痛がゆさ、違和感などがある場合は、すみやかに医療機関を受診してください。

    冬場は低温やけどが多発!熱源に長時間触れないよう注意しよう

    高齢者は低温やけどを負っていても、気付かないケースがあります。だからこそ、低温やけどを起こさないための策を講じることが大切です。そのため利用者さんには、カイロ・こたつ・電気毛布などの身近なアイテムが低温やけどの原因になること、長時間使用しない・同じ部位を温め続けないことを冬が来る前に伝えておきましょう。

  • ネイルやメイクなどはどこまでOK?介護職の身だしなみ事情とは

    ネイルやメイクなどはどこまでOK?介護職の身だしなみ事情とは

    介護職は、利用者さんやその家族など、幅広い年齢層の方と接する仕事です。そのため、安心感を抱いてもらえるような身だしなみを心がけている介護スタッフの方は多いでしょう。とはいえ、「多少はおしゃれを楽しみたい」「髪色を明るくしたい」という声も少なくありません。そこでこの記事では、介護職のネイルやメイクなどはどこまでOKなのかについて解説していきます。身だしなみに迷っている介護職の方は、ぜひご一読ください。

    介護職のネイルはどこまでOK?

    まずは、介護職のネイル事情について見ていきましょう。

    事業所によってNGのところも!ルールは施設ごとに確認を

    ネイルは、サービス形態によって、次のように可否が分かれています。

    【ネイルOKが比較的多いサービス形態】

    • 有料老人ホーム
    • デイサービス
    • グループホーム

    【ネイルNGが多いサービス形態】

    • 訪問介護
    • 病院

    ネイルOKが比較的多いサービス形態でも、ルールは施設ごとに異なるため、不安が残るときには職場の方に確認しましょう

    ネイル可能でもナチュラルカラーが安心

    ネイルをOKとしている施設であっても、利用者さんに触れたときにけがをさせてしまうようなデザインは好ましくありません。長い爪やラインストーンなどのデザインは避け、安全性の高いネイルを施すようにしましょう。

    また、利用者さんの中には、華美なカラーを不快に感じる方もいるかもしれません。そのためカラーは、透明や薄ピンクなど肌色に近いナチュラルなものを選ぶと安心でしょう。

    介護職のメイクのポイントは?

    次に、介護職のメイクのポイントについて見ていきましょう。

    ナチュラルメイクが無難

    介護職は、利用者さんと接するため、接客業といえる面があります。そのため、すっぴんは避け、メイクを行うよう推奨している介護施設がほとんどです。ただし、利用者さんが不快に感じるような濃いメイクは、仕事向きのメイクとはいえません。不自然にならないようなナチュラルメイクを心がけましょう。具体的な注意点は次のとおりです。

    【メイクのポイント・注意点】

    • アイシャドウやチーク、リップは[btp_line]血色に近い色[/btp_line]を選ぶと自然に見えやすい
    • 目の周りを黒く囲むようなアイラインやマスカラは避ける
    • つけまつげなど、目元から落ちたときに[btp_line]誤飲につながるものは装着しない[/btp_line]
    • 青や緑など、黒目に見えないようなカラーコンタクトは避ける

    高齢の利用者さんから見て、安心してもらえるかどうかがメイクの基準といえるでしょう。

    夜勤はすっぴんや薄化粧という声も

    利用者さんと接する日中はナチュラルメイクを施す方でも、夜勤ではすっぴんや薄化粧で行っているという声はあります。夜勤の場合は、就寝中の利用者さんの見回りや事務作業など、限られた方としか接しないためメイクを控えることも多いようです。勤務時間帯によって、他の方がどのようなメイクをしているのかを参考にしてみるとよいでしょう

    介護職の髪型は?

    ここからは、介護職の髪型事情について見ていきましょう。

    ヘアカラーOKの施設は多い

    明るすぎない髪色であれば、ヘアカラーOKとしている介護施設は多い傾向です。そのため、自然な黒や明るすぎない茶色であれば、問題ないところが多いでしょう。ただし、ブリーチをして金髪にしているなど、奇抜に見える色は利用者さんからの信頼感を得にくいといえます。高齢の方から見て、不快に感じない色を選ぶようにするとよいでしょう。

    また、介護施設によってはカラーリングの明るさの目安が示されているところがあります。髪色を変えたいときには、あらかじめ職場のルールを確認しておくと安心でしょう。

    だらしなく見える髪型は避ける

    介護職の身だしなみのポイントは、清潔感です。そのため、就業中はだらしなく見える髪型を避けるようにしましょう。例えば、長い髪は利用者さんに触れないよう、ゴムで1つにまとめるような配慮が必要です。

    また、前髪が長く顔が隠れるような髪型は表情が分かりにくいため、利用者さんに不安を与えてしまう可能性があります。そのため、表情が見えやすいようにカットしたり、ゴムで結んだりすることで顔が隠れないようにしましょう。

    ヘアピンや整髪料にも配慮を

    髪を結んだときの後れ毛などは、ヘアピンでとめたり整髪料で固めたりする方も多いかもしれません。しかし、就業中はこれらの使用にも配慮が必要です。例えば、小さなヘアピンは落としたときに気がつきにくく、誤飲やけがにつながる可能性があります。こうした理由から、施設によってはヘアピンの使用を禁止しているところもあるため、事前に確認が必要でしょう。

    また、香りがきつい整髪料は、香水などの匂いが苦手な利用者さんの体調不良を引き起こす原因になりかねません。こうした点に配慮し、[btp_line]香りが控えめなものや無香料のものを選ぶ[/btp_line]ことが大切です。

    利用者さんに配慮した身だしなみを心がけることが大切!

    介護職員の身だしなみは、「利用者さんから見たときにどのような印象を与えるか」という、客観的な視点で考えることが大切です。また、利用者さんにけがをさせてしまう危険がある装いは避けていきます。すべてを制限する必要はありませんが、介護のプロとして、就業中は利用者さんに配慮した身だしなみを心がけましょう。

  • 七草粥を食べる意味とは?マンネリ化を打破するアレンジレシピ2選

    七草粥を食べる意味とは?マンネリ化を打破するアレンジレシピ2選

    「1月7日と言えば?」の質問では「七草粥を食べる日」と答える方もいるでしょう。では「どうして七草粥を食べるのか」という質問をすると、答えに困る方もいるかもしれません。そこで今回は、七草粥を食べる理由や七草の種類、七草の代用品について紹介します。記事の最後では、七草粥のアレンジレシピを紹介。利用者さんより「いつもの七草粥に飽きた」「他に食べ方はないのか」と言われた際に、ぜひ参考にしてみてください。

    七草粥を食べるのはどんな風習?

    そもそも、なぜ七草粥を食べるようになったのでしょうか?まずは、七草粥を食べるようになった由来や七草の種類について見ていきましょう。

    七草粥を食べるようになった由来とは

    七草粥は五節句に由来しており、五節句とは季節の節目のことです。五節句は以下の通りです。

    1月7日(人日の節句)
    3月3日(上巳の節句)
    5月5日(端午の節句)
    7月7日(七夕の節句)
    9月9日(重陽の節句)

    [btp_line]1月7日は人日の節句(じんじつのせっく)[/btp_line]と呼ばれています。この日は犯罪者を処罰しない日とされていました。また五節句を日本に伝えた中国では、1月7日に七種菜羹(ななしゅさいのかん)という7種類の野菜が入った汁を食べ無病息災を願っていました。

    この風習が日本に伝わり、日本にあった若菜摘みと組み合わさることで七草粥が誕生したと言われています。七草粥を食べる風習は、宮中行事として平安時代からあったようですが、一般人にも広く伝わったのは江戸時代です。

    七草粥を食べる理由は、昔と同じように無病息災や長寿健康。1月など冬の時期は青菜が少ないため、摂取量が減ってしまいます。そのため、意識的に青菜を摂取する意味やお正月の食べ過ぎで疲れた胃腸をいたわるためなどの理由があるようです。

    七草には長寿健康の意味も込められているため、次で七草の種類と意味について見ていきましょう。

    七草の種類

    七草粥に使われる七草は、セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロです。それぞれに意味があるため、1つずつ見ていきましょう。

    • セリ…競り勝つという意味が込められています。胃を丈夫にする、解熱、利尿作用、整腸作用などの効果を期待。
    • ズナ…なでることで汚れを取るという意味が込められています。解毒作用、止血作用、むくみ解消などの効果を期待。
    • ゴギョウ…仏の身体という意味が込められています。咳、のどの痛み解消などの効果を期待。
    • ハコベラ…繁栄がはびこるという意味が込められています。腹痛、胃炎、歯槽膿漏改善などの効果を期待。
    • ホトケノザ…「仏の安座=ゆっくり座る」という意味があり、胃を整える、食欲増進、歯痛改善などの効果を期待。
    • スズナ…神様を呼ぶ鈴を意味しています。胃腸を整える、消化促進などの効果を期待。
    • スズシロ…潔白を意味しています。美容や風邪改善などの効果を期待。

    七草粥は、さまざまな想いを詰め込んだ縁起の良い食べ物だということがお分かりいただけたでしょう。

    七草粥の七草の代用品は?

    最近は、七草セットが販売されており簡単に七草粥を作ることができます。ただ、七草を用意できないケースもあるかもしれません。そういった場合に、七草と同じような効果が期待できる代用品の野菜を紹介します。

    ほうれん草、小松菜、水菜、三つ葉、白菜、春菊、ごぼう、ねぎ、長芋、山芋、キャベツ、ブロッコリー、カブ、にんじん、大根など。

    この中から7種類選んでも良いですし、7種類にこだわらず好きな野菜を全て入れても良いでしょう。

    ちょっと違う七草粥にするためのアレンジレシピ2選

    基本の七草粥は、塩や出汁で味付けするだけのシンプルなものです。そのため「味気ない」とか「毎回同じで飽きた」という利用者さんもいるかもしれません。ここでは、そういった方のために、七草粥のアレンジレシピを紹介します。

    中華風七草粥

    ごま油香る中華風の七草粥レシピです。

    <材料>七草、ご飯、水、酒、中華だし、鶏ガラスープ、塩、しらす、ごま油、卵

    <作り方>
    1.七草の下処理をする。
    2.鍋に水とご飯を入れ、ごま油以外のすべての調味料を入れ煮る。
    3.七草としらすを加え煮込み、卵を溶いて入れる。
    4.最後にごま油を入れて完成。

    生姜入り七草粥

    生姜の力で身体がポカポカ温まる七草粥のレシピです。

    <材料>
    七草、ご飯、水、かつおだし、塩、ゆずの皮、すりおろししょうが

    <作り方>
    1.七草の下処理をする。
    2.鍋に水とかつおだし、ご飯、すりおろししょうがを入れ煮る。
    3.七草を入れて少し煮る。
    4.器に盛り、ゆずの皮をちらしたら完成。

    手軽にしょうがを取り入れたい場合は、ジンジャーパウダーを使うのもおすすめです。

    七草粥を食べて利用者さんの無病息災を願おう

    1月7日の食事には七草粥を取り入れて、利用者さんと介護スタッフみんなの無病息災を願いましょう。ゴマ油やジンジャーパウダーなど、ちょっとしたアイテムを使えば簡単にアレンジもできます。キムチやとろけるチーズをトッピングするのもおすすめです。利用者さんとアレンジレシピを一緒に考え、料理レクリエーションをしても楽しいでしょう。

  • 【しめ縄・門松】利用者さんと作るお正月飾りで空間演出

    【しめ縄・門松】利用者さんと作るお正月飾りで空間演出

    介護スタッフが、空間演出の一環としてお正月飾りを用意することがありますが、利用者さんのレクリエーションにお正月飾り作りを取り入れるのもおすすめです。そこで今回は、お正月飾りの意味や利用者さんと作るメリット、お正月飾りの定番であるしめ縄や門松の作り方について紹介します。どれも利用者さんと一緒に作れる簡単なものばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。

    お正月飾りを利用者さんと作るメリット

    まずは、お正月飾りの意味や利用者さんとお正月飾りを作るメリットについて見ていきましょう。案外、毎年なんとなくお正月飾りを飾っていたという方もいらっしゃるはず。この機会にお正月飾りの理由を把握しておきましょう。

    そもそもお正月飾りとは

    お正月飾りとは、一般的にしめ縄や門松、鏡餅を指します。どうしてお正月飾りをするのかというと、年神様をお迎えするため。年神様は歳徳神やご先祖様、穀物の神など、さまざまな神様の総称で民間信仰の1つです。

    しめ縄は神様が宿る場所であることの証で、災厄をはらってくれる役割があるとされています。また、神聖な場所と区別する境界線の意味もあり、しめ縄がある場所は安全で清らかな場所であることを意味しているのです。

    門松は、年神様が迷うことなく家に訪れるための目印で、玄関先に飾ります。鏡餅は、年神様へのお供え物です。丸い餅は三種の神器である青銅鏡、串に刺した干し柿は剣、橙は勾玉をあらわしています。

    丸い餅を二つ重ねているのは「円満に年を重ねる」という意味が込められているのだとか。そして、鏡開きをしてみんなで鏡餅を食べることで、年神様の力を分けてもらうというわけです。

    お正月飾りは12月13日から12月28日までに飾り、1月7日から1月15日までに片付けると言われています。しかし期間については地域によって異なること、最近はクリスマス飾りをしていることもあるため、クリスマスが終わった12月26日以降にお正月飾りをする方が多いでしょう。

    利用者さんと作るメリット

    利用者さんとこういった季節の飾りものを作るメリットについて紹介します。主なメリットは以下の通りです。

    • 脳が活性化する
    • リハビリにつながる
    • コミュニケーションが広がる
    • 達成感を得られる
    • 季節を感じられる

    指先を使うと脳を刺激することになるため、認知症予防や脳の活性化につながるでしょう。また、指先のリハビリにもなります。利用者さんが集まってみんなでお正月飾りを作れば、自然と他の利用者さんとの会話につながりコミュニケーションが広がるでしょう。

    その他には、作品が完成したことの達成感を得られたり、移りゆく季節を感じられたりするメリットもあります。

    <しめ縄編>クラフト紙などでも作れる!

    ここでは、しめ縄の作り方を見ていきましょう。必要な材料は、クラフト紙や飾りなどです。

    クラフト紙で作るしめ縄

    クラフト紙で作るしめ縄の作り方は以下の通りです。

    1.長方形にしたクラフト紙を、円形にしやすいようくしゃくしゃにします。
    2.縄のようにねじりながら円形にし、両端が重なった部分をひも状にしたクラフト紙で結べば完成です。

    そのままでも良いですし、水引や松竹梅の飾りをつけても良いでしょう。ねじる作業が利用者さんのリハビリにもなります。

    紙ひもで作るしめ縄

    次に、紙ひもで作るしめ縄作りを見ていきましょう。必要な材料は、紙ひも、折り紙、新聞紙などです。

    1.束にした紙ひもを2つに分け、ねじりながら編んでいきます。
    2.編み終わったら円形にして紙ひもで結びましょう。
    3折り紙や新聞紙で橙や扇などを作り、デコレーションして完成。

    デコレーションアイテムは、介護スタッフが事前に作っておいても良いでしょう。利用者さんの身体能力に合わせて調整してください。

    <門松編>ラップの芯で簡単に作れる

    ここでは、門松の作り方を紹介します。必要な材料は、ラップの芯、紙コップ、フェルト、両面テープ、グルーガン、飾りなどです。

    1.門松の形に切ったラップの芯に両面テープを貼り、緑のフェルトを巻きつけます。
    2.1で門松を3本作ったらグルーガンで固定。
    3.紙コップの外側に両面テープを貼り、好きな色のフェルトを巻きつけます。
    4.紙コップに門松を入れグルーガンで固定。
    5.笹に見立てたフェルトや前飾りなどをグルーガンで固定したら完成です。

    ラップの芯を門松の形に切るのは、力がいり危険なため介護スタッフが用意しておきましょう。あとは、基本的には貼りつけていくだけなので、誰でも簡単に作れます。

    日本の風物詩を共有しよう

    介護施設内にいる利用者さんは、どうしても単調な生活になりがちです。レクリエーションを通じて季節に合った作品を作ることで、季節の変化を感じられるでしょう。レクリエーションで指を動かせばリハビリの効果が期待でき、完成した作品を見ることで視覚への刺激になります。利用者さんと共に日本の風物詩を共有しましょう。

  • 認知症予防にカレーが役立つ!高齢者におすすめの理由とは

    認知症予防にカレーが役立つ!高齢者におすすめの理由とは

    1月22日は「カレーの日」ということをご存知ですか?社団法人全国学校栄養士協議会が、1982年に「カレーを学校給食メニューに」と提供を呼びかけたことにちなんで、カレーの日が誕生しました。実は最近、カレーは子供たちのためだけではなく、認知症予防につなげたい高齢者にもおすすめであることが分かってきたのです。そこで今回は、カレーが認知症予防になるという調査結果と、なぜカレーが高齢者におすすめなのかを紹介します。

    そもそも認知症とは?

    認知症とは、認知機能が低下して日常生活に支障が出る状態のことです。認知症の原因は脳の病気や障害などさまざまで、認知症の種類もいくつかあります。

    もっとも多い認知症はアルツハイマー型認知症です。脳の一部が萎縮するために、もの忘れするようになり進行していきます。次に多いのは血管性認知症で、主な原因は脳梗塞や脳出血など。

    どの認知症も65歳未満の方が発症する若年性認知症がありますが、一般的には年をとるほど認知症になりやすいです。厚生労働省によると、2020年時点で65歳以上の認知症の方は約600万人、2025年には約700万人になると予測。これは高齢者の約5人に1人が認知症になることを意味しています。

    ただし認知症は予防することができ、もし認知症を発症したとしても早期発見であれば、認知症の進行を遅らせることも可能です。

    認知症予防にカレーが役立つ?!

    ハウス食品グループ本社株式会社が、2021年11月にカレーと認知機能に関する調査結果を発表しました。日本人の中高齢者がカレーを長期的に、そして頻繁に食べることで良好な認知機能を保てる可能性があるというものです。

    調査では、50歳以上の一般生活者に対して、調査直前1年間の短期と成人以降調査1年前までの長期でカレーを食べる頻度を調査し、認知機能との関係を調査。また、月1回未満・月2~3回・月4回以上(週1回以上)とカレーを食べる頻度でも分類しました。

    結果、長期間カレーを食べる方で、頻度も月4回以上の方がもっとも認知機能が良好であることが分かったのです。短期の場合も、高頻度でカレーを食べる方のほうが、認知機能が良好という結果になりました。

    なぜカレーがおすすめなのか

    高齢者の認知症予防にカレーが有効である可能性が高まっていますが、どうしてカレーがおすすめなのでしょうか?ここでは、カレーがおすすめの理由について紹介します。

    動脈硬化を予防

    ハウス食品グループ本社株式会社では、カレーの健康機能に関する研究を行っています。2014年にはカレーが血管内皮機能を改善する効果があるという結果を発表。これによって、動脈硬化を予防するかもしれないことが分かったのです。

    動脈硬化とは血管が硬くなり血栓が詰まりやすくなる病気で、脳梗塞を引き起こすこともあります。脳梗塞は認知症の原因になることもあるため、動脈硬化が予防できれば認知症の予防にもつながる可能性が高いでしょう。

    PM2.5 による呼吸機能低下を改善

    2019年ハウス食品グループ本社株式会社が発表した研究内容によると、カレー粉に含まれる数種類のスパイスが、PM2.5による炎症反応を抑える効果を確認。カレーを食べる機会が多い方ほど呼吸機能が維持されていることが分かり、抗炎症作用が影響していることも判明しました。

    抗炎症作用は呼吸機能以外の疾患にも作用するため、抗炎症作用があるカレーを食べるほど健康を維持できる可能性が高まるというわけです。

    アルツハイマー型認知症を防ぐ

    カレーには数種類のスパイスが使われており、その中でもターメリックに含まれるクルクミンには、アルツハイマー型認知症を予防する効果が期待されています。

    そもそもアルツハイマー型認知症は、脳内にアミロイドβが蓄積するために発症するといわれています。クルクミンには抗炎症作用があるだけではなく、アミロイドβが脳内に蓄積するのを阻害する役割もあるのです。

    実際に、富山医科薬科大学和漢薬研究所薬効解析センターや、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究チームが、カレーに含まれるスパイスが、アルツハイマー型認知症を予防する可能性があるという内容の論文を発表しています。

    長期間継続することで認知症予防が期待できる

    高齢者の認知症予防にはカレーが有効です。しかし、カレーを食べれば認知症にならないわけではありません。毎日栄養バランスが整った食事を摂り、適度な運動をすることも大切です。認知症予防には、脳を活性化させることもポイント。利用者さんが楽しく脳を活性化できるようなレクリエーションも導入しましょう。

  • 七草粥のわらべ歌を利用者さんといっしょに歌おう!七草の基本情報も

    七草粥のわらべ歌を利用者さんといっしょに歌おう!七草の基本情報も

    七草粥は無病息災を願い、1月7日に食べられる春の七草を使ったお粥のことです。そして、七草粥を作る際には、「七草なずな」や「七草ばやし」と呼ばれるわらべ歌を歌う習わしがあります。介護施設の利用者さんの中には、このわらべ歌を歌いながら七草粥を作った経験がある方も多いようです。そこで今回は七草粥のわらべ歌にスポットを当て、歌詞やその意味などをご紹介します。あわせて、七草や七草粥の概要もまとめました。

    そもそも七草や七草粥ってなに?由来や風習を知ろう!

    七草粥の歌について解説する前に、まずは七草や七草粥について知っておきましょう。

    七草とは?七草粥に使うのは春の七草!

    七草とは、七草粥に入れる7種の若菜のこと。春の七草の一覧は、以下のとおりです。

    • 芹(せり)
    • 薺(なずな)…別名 ぺんぺん草
    • 御形(ごぎょう)…別名 ハハコグサ
    • 繁縷(はこべら)…別名 ハコベ
    • 仏の座(ほとけのざ)…別名 コオニタビラコ
    • 菘(すずな)…別名 かぶ
    • 蘿蔔(すずしろ)…別名 大根

    なお、食用となる「春の七草」に対し、鑑賞目的の「秋の七草」もあります。

    七草粥とは?春の七草を使って作るお粥

    七草粥とは、人日(じんじつ)の節句に食される、春の七草が入ったお粥のことです。日本では古くから、1年のうち最初の節句である人日(1月7日)に、長寿健康・無病息災などの願いを込めて食べられてきました。

    その昔、中国では、人日に七種菜羹(ななしゅさいのかん)といわれる7種類の野菜が入ったお汁を食べ、無病息災を願ったそうです。この風習が日本に伝来し、江戸時代には1月7日に七草粥を食べる文化が確立されたといわれています。

    七草粥を作る際に歌われてきたわらべ歌とは?

    七草粥は、みじん切りにした七草をお粥の中に入れて作ります。この七草をみじん切りにする工程で歌われてきたのが、「七草なずな」や「七草ばやし」と呼ばれるわらべ歌です。

    七草粥の歌「七草なずな」の歌詞を知ろう!

    一般的に知られている七草粥を作る際のわらべ歌、「七草なずな」の歌詞がこちら。

    [btp_box]七草なずな 唐土(とうど)の鳥が 日本の国に 渡らぬ先に ストトン トントン[/btp_box]

    実は、七草粥のわらべ歌は地域によって、さまざまな歌詞が存在することがわかっています。その一例として、鳥取県公式ホームページで紹介されている鳥取市に伝わる歌詞をご紹介しましょう。

    [btp_box]唐土の鳥が 日本の島に渡らぬ先に
    ナズナ 七草そろえて 杓子の上持って スットコテンとはやいて ホーイ ホイ[/btp_box]

    「なずな」や「七草」が登場したり、最後のかけ声が「ホーイ ホイ」だったりと、基本形といくつか違いがありますね。

    耳慣れない言葉の意味を解説

    七草粥のわらべ歌、「七草なずな」に登場する言葉の意味をいくつかご紹介します。

    • 唐土の鳥…唐(とう)の国、つまり中国からやってくる渡り鳥
    • 渡らぬ先に…海を越えて渡ってくる前に
    • ストトン トントン…飛来した鳥を驚かせて追い返すための音(諸説あり)

    昔は中国からの渡り鳥が、疫病や害虫を運んでくると考えられていたそうです。七草粥のわらべ歌には、中国から来た鳥を追い払うように厄病や邪気を退け、無病息災を願うといった意味合いが込められているのではないでしょうか。

    七草粥のわらべ歌をレクリエーションに取り入れるアイデア3選

    七草粥のわらべ歌は、高齢者の知名度が高い・曲が短い・歌詞が覚えやすいといった介護施設でのレクリエーションにぴったりの要素が満載です。

    【合唱】利用者さんといっしょに歌おう!

    ホワイトボードなどに歌詞を書き出し、利用者さんといっしょに歌ってみましょう。前述のとおり、「七草なずな」の歌詞は地域により違いがあるため、利用者さんに歌詞を尋ねてみるのもおすすめです。違うパターンの歌詞が出てきたら、「初めて聞いた!」「出身はどこ?」と利用者さん同士の会話もはずむでしょう。

    【手遊び】リズムに合わせて手をトントントン

    左手をまな板に、右手を包丁に見立て、七草を刻む仕草をする手遊びです。わらべ歌のリズムに合わせて、トントントンと右手を上下させます。職員の歌声や音源に合わせて手遊びをするのはもちろん、利用者さん自身が歌いながら行うのもOK!歌詞が短いので、3回くらいリピートしてもよいかもしれませんね。

    【ダンス】海を渡ってくる鳥を表現した振り付け

    歌詞に登場する唐土の鳥が羽ばたく様子をイメージしたダンスです。まず、両手を真横に広げ、羽ばたくように上下させます。次に、両手を胸の前でクロスさせ、小さく羽ばたくように手首から先を動かす、この2つの振りをリズムに合わせて繰り返しましょう。歩きながら、立った状態、座った状態など、利用者さんが安全に行える姿勢で踊るのがポイントです。

    新年1発目のレクリエーションは七草粥のわらべ歌で決まり!

    七草粥のわらべ歌「七草なずな」は、古くから日本各地で歌われてきたもの。利用者さんの多くはメロディーや歌詞、その意味まで知っているはずです。いっしょに歌ったり、手遊びをしたりして、七草粥のわらべ歌を楽しんでみてはいかがですか?新年1発目のレクリエーションにぜひ取り入れてみてくださいね。

  • お雑煮には何を入れる?【広島編】名物の牡蠣など魚介が決め手

    お雑煮には何を入れる?【広島編】名物の牡蠣など魚介が決め手

    お雑煮といえば、正月料理の定番。新年を迎えると当たり前のように食べるお雑煮ですが、じつはお餅の形や、入れる具材などは地域によって異なります。自分がこれまで食べてきたものが一般的だと思っていたら、じつはよそのお家では違っていた、なんてこともよくある話です。ここではお雑煮の具材に着目し、広島ではお餅の他にどのような具材を入れているのかをご紹介します。同じ広島県内でも異なるお雑煮が出てくるので、楽しみながらご覧ください。

    お雑煮のあれこれ!お正月に食べる理由や具材の意味

    まずはお雑煮の基本情報から確認しておきましょう。
    お雑煮は平安時代頃からすでに食べられており、「ハレの日」に食べる、おめでたい食べ物とされていました。お正月には、年神様を迎えるために前年に収穫したお米で作ったお餅を供え、そのお下がりとしてお雑煮をいただいていたことが始まりだそう。お節料理のように、入れる具材に意味が込められているものが多いのが特徴です。また、地域によってお餅の形や出汁、具材も異なるという面白さもあります。

    例えば、お雑煮によく入れられる次のような具材には縁起の良い意味が込められているそう。

    • 大根:「家庭円満」丸く切って角が立たないようにしていただきます。
    • にんじん:「魔よけの効果・慶び」赤色であることが所以です。
    • 里芋:「子孫繁栄」子芋をたくさんつけることが由来です。

    高齢者に出すお雑煮で注意するポイント

    お雑煮に欠かせないお餅は、高齢者にとっては窒息のリスクが高い食べ物です。介護福祉施設でお雑煮を振る舞う場合は、窒息事故を招くことがないよう、利用者さんの状態にあった工夫をしましょう。例えば、お餅のサイズを小さくする・豆腐餅やご飯餅など、のどに詰まりにくいものに代えるのもおすすめです。お餅と一緒に入れる具材も小さくすると、より食べやすくなりますね。

    【お雑煮の具材紹介1】広島といえばコレ!牡蠣のお雑煮

    広島名物として知られる牡蠣。かき=「賀来」として、[btp_line]「福をかき取る」「福をかき寄せる」[/btp_line]といった意味を込めた縁起物とされます。
    お雑煮には野菜などと一緒に入れて、お正月からちょっと贅沢な一品に。牡蠣の他には、次のような具材を入れるのがおすすめです。

    • 大根
    • にんじん
    • 水菜
    • 紅白かまぼこ
    • ブリ

    【お雑煮の具材紹介2】広島でも尾道や三原では穴子のお雑煮

    広島県内でも、尾道市や三原市ではお雑煮に穴子を入れる習慣があります。穴子の身の長さから、[btp_line]「永続」に通じる[/btp_line]とされているそう。
    お雑煮には牡蠣と一緒に入れると魚介の旨味がたっぷり味わえますよ。ちなみに、穴子は焼き穴子を入れるご家庭が多いようです。他には次のような具材を入れてみるのも良いでしょう。

    • 大根
    • にんじん
    • ほうれん草
    • 里芋
    • 紅白かまぼこ
    • 昆布(出汁用)

    【お雑煮の具材紹介3】広島北部の安芸高田では出汁にこだわり!はまぐりやするめのお雑煮

    広島県安芸高田市では、お雑煮は[btp_line]男性が作る風習[/btp_line]があったそうです。そのため、手間と時間をかけずに作れるのがポイント。はまぐりやするめいか、いりこを合わせて煮込み、出汁を取るのが特徴です。昔は鰹や昆布、調味料は手に入りにくかったため、使いません。するめいかを弱火で煮込んで旨味と味わいを引き出します。
    出汁に使ったするめいかなどは取り出さず、お餅と一緒にいただきましょう。他には次のような具材を入れてみてください。

    • 豆腐
    • 大根
    • にんじん
    • 白菜

    お雑煮に入れる具材で盛り上がろう!他にも広島オリジナル具材があるかも

    お雑煮は、今回ご紹介したように地域性が出る食べ物です。また、家庭によっても異なる場合があります。お正月の時期が近付いたら、お雑煮には何を入れて食べていたかを尋ねてみると、話題として盛り上がるのではないでしょうか。同じ広島でも、隠れたオリジナル具材がまだまだ出てくるかもしれませんね。

  • 高齢者が安全にお餅を食べられる方法とは?3つの工夫術を紹介

    高齢者が安全にお餅を食べられる方法とは?3つの工夫術を紹介

    日本の伝統的な食べ物といえば、お餅を連想する方も多いですよね。特にお正月は、お餅を食べる機会が増えますが、それとともに高齢者さんが詰まらせて緊急搬送されたとのニュースも多く耳にします。
    そういったリスク回避のために、高齢者さんにはお餅を食べさせないのも手ですが、それでは味気ないもの。そこで今回は、高齢者さんでも安全かつ美味しくお餅を食べられる工夫術を紹介します。

    高齢者さんがお餅を詰まらせる原因とは?

    そもそも高齢者さんはなぜ、お餅を詰まらせてしまうのでしょうか?原因を見ていきましょう。

    嚥下機能が低下するため

    高齢になると、咽頭や喉頭の器官の神経や筋肉が衰えてきます。これにより食べ物を口から胃へ運ぶ動作(嚥下反射)が弱くなり、飲み込みにくくなったり、誤嚥が起こりやすくなったりするのです。

    唾液が少ない&咀嚼力が弱くなるため

    高齢になり口の中が乾燥したり噛む力が弱くなったりすると、粘り気の強いお餅が喉に張り付いてしまうことがあります。喉に張り付いたとしても、排出できれば問題はありません。しかし高齢者さんは咳込んで出す力も低下するため、お餅が詰まると危険な状態になりやすいのです。

    高齢者さんでもお餅を楽しめる工夫術3選

    前述したとおり、高齢者さんがお餅を食べるのには確かにリスクがあります。しかし工夫次第では、高齢者さんでも安全に美味しくお餅を楽しめるのです。ここからは高齢者さん向けの餅メニュー工夫術を3つ紹介します。

    高齢者さん向け餅メニューの工夫術1:餅の調理方法や食べ方を変えてみる

    お餅は粘り気が強く、飲み込みにくい食材です。特に大きいサイズのお餅は、詰まりやすくなるため、食べやすいよう小さくカットすると良いでしょう。焼いたものより汁物にするほうが、咀嚼しやすくなります。また大根おろしをまぶして食べると、お餅の表面の粘着性を軽減できるようです。さっぱりとして食べやすくなるので、食欲のない方にも喜んでもらえるかもしれませんね。

    高齢者さん向け餅メニューの工夫術2:もち米以外の食材で代用餅を作る

    一般的なお餅の原材料はもち米です。もち米はお米に比べ粘性が強いので、もち米の代わりに代用食材を使えば、お餅特有の粘り気を抑えられます。おすすめの代用餅の作り方は下記の通りです。

    <豆腐×白玉粉>
    豆腐と白玉粉で作ったお餅は、歯切れが良くやわらかい仕上がりになります。作り方は、白玉粉と絹ごし豆腐を1:1で混ぜてこね、茹でるだけです。茹で時間を長めにしたり、サイズを小さくしたりすれば、より食べやすくなりますよ。

    <豆腐×片栗粉>
    豆腐と片栗粉のお餅は粘り気やコシが出るため、お餅っぽさが強くなります。豆腐×白玉粉のお餅では物足りないと言われる高齢者さんに試してみてもらうと良いですね。

    <じゃがいも×片栗粉>
    じゃがいももお餅の代替えとして利用できる食材です。しかし芋だけだとお餅らしさが出ません。そのため、片栗粉を加えてお餅特有の粘り気を再現しましょう。チーズを入れたりみたらしソースをかけたりとアレンジすれば、いろいろな味のバリエーションを楽しめます。

    <大根×片栗粉>
    噛み切りやすいお餅を作りたいときは、大根おろしを活用しましょう。大根臭さがないのかと不安になりますが、不思議と大根の香りはせず、美味しいお餅になります。介護施設で振る舞うのなら、大根をすりおろす過程を利用者さんたちにも挑戦してもらうと、楽しみながら食べられるでしょう。

    高齢者さん向け餅メニューの工夫術3:介護食のお餅を活用する

    手軽に高齢者さん向けの餅メニューの工夫術を試したい方は、市販の介護食餅を利用しましょう。介護食餅は高齢者さんが食べやすいよう、お餅に工夫をして作られています。商品によって特徴は異なりますが、粘り気を抑えていたりサイズを小さくしたりしているものが多いようです。

    高齢者さんが食べるお餅は、工夫次第で安全餅になる

    嚥下機能や咀嚼力が低下した高齢者さんにとって、お餅は食べたくても食べられない食材になってしまいます。しかし高齢者さんが食べやすいようにお餅を工夫すれば、詰まらせたり誤嚥したりしにくくなり高齢者さんも安心してお餅を食べられるはず。高齢者さんが安全に食べられるお餅料理を作って、楽しく安心できる食事の時間を過ごしてもらいましょう!

  • 介護施設の心付け問題…利用者さんやご家族からもらったらどうする?

    介護施設の心付け問題…利用者さんやご家族からもらったらどうする?

    介護施設で利用者さんに接する中で、距離が縮まり仲良くなれることもあるでしょう。そうなると起こりがちなのが、「心付け」問題です。「いつもお世話になっているから」と、金品を贈ろうとする利用者さんやその家族も少なくありません。思わず受け取ってしまったり、どう断ればいいのか悩んだりする場面もあるでしょう。そこで今回は、介護施設における心付けへの対応方法について詳しく解説していきます。どうすべきか悩んだら、ぜひ参考にしてみてください。

    介護施設への心付けはどうすべき?

    介護施設での心付けは、よくある問題のひとつです。「いつもよくしてくれているから」といった理由はもちろんのこと、お歳暮やお年玉という名目で介護スタッフに金品を渡そうとする利用者さんやご家族は多いでしょう。中には特別扱いを受けたいという下心がある可能性もあるかもしれません。しかしながら、介護は公平性を保つべきサービスであるため、[btp_line]介護施設における心付けは受け取らないのが基本[/btp_line]です。

    介護保険法には金品をもらうことについては具体的に触れられてはおらず、受け取ったからといって法律違反になるわけではありません。しかし、そもそも利用者さんは介護報酬を支払うことにより介護サービスを受けています。当然介護スタッフも仕事として介護に携わっており、給与という対価を受け取って、適切な介護サービスを提供するのはプロとして当然のこと。定められている金額以上の対価を受け取ったと判断されると、場合によっては法律違反となる可能性もあるかもしれません。

    それぞれの施設により対応やルールは異なるものの、「利用者さんや家族からの金品は決して受け取ってはいけない」と、介護施設の心付けについてのルールを徹底しているケースが多いよう。このようなルールが広まったのは、ある事例がきっかけです。

    [btp_box]お菓子や飴玉、ジュースなどをほかの利用者さんや介護スタッフに配っていた利用者さん。これくらいなら…と受け取っていたのですが、近所の方や家族に「品物を渡さないとちゃんと介護してもらえない」といったグチを言いふらしており、家族から施設にクレームが入る事態に発展。事情を説明したものの不信感が残り、その利用者さんはデイサービスの利用を中止されました。[/btp_box]

    この事例がきっかけとなり、介護施設の心付けに関する徹底が業界全体に広まることとなりました。

    介護施設で心付けをお断りする方法

    業界のルールを知らず、心付けを渡そうとする利用者さんやその家族は少なくありません。心付けを断る際は、どのように対応すべきなのでしょうか。

    事業所の方針として伝えつつ気持ちをいただく

    介護施設で心付けが受け取れない旨を「事務所の方針」にすることで、理由が明確になり、断りやすくなります。ただし、日頃の感謝を込めたご厚意の場合、「規則なので受け取れません」と頑なに断ると、気分を害されてしまうこともあるでしょう。心付けを断ることで介護施設と利用者さんとの関係性がこじれてしまうのは避けたいところ。

    お断りする前には、「お気遣いいただきありがとうございます。お気持ちはうれしいです」と、心付けの裏にある感謝の気持ちを受け取る姿勢を示すことが大切です。そのうえで、規則のため断らざるを得ない事実を伝え、冷静に対処しましょう。

    受け取る前に上司に相談する

    一般介護スタッフと責任者では、利用者さんや家族の受け止め方が異なることもあるでしょう。訪問介護などではすぐに対応してもらうのは難しいかもしれませんが、施設など責任者を呼べる状態なのであれば、「上司を呼んでまいりますので少々お待ちください」と伝え、対応を代わってもらうのもいいかもしれません。個人ではなく組織として対応されることで、納得してもらえる可能性もあります。

    心付けを受け取ってしまったときはどうする?

    感謝の気持ちゆえに断りづらいのが、心付けの難しいところです。受け取ってはいけないと分かっていながらも、押しが強くて断り切れなかったり、いただいた手紙の中に入っていたりと、受け取ってしまったケースもあるかもしれません。お菓子や飲み物など少額のものであれば快く受け取る・現金や高額なものであれば受け取らないなど、施設の方針やマニュアルによっても対応方法は異なります。すぐに上司に報告し、最終判断は責任者に委ねましょう。

    介護施設のルールで心付けを受け取らないと決められているため、受け取ってしまったことを内密にする方もいるかもしれませんが、それはNGです。「これくらいいいだろう」と心付けを受け取ったことを隠し、あとから発覚してトラブルに発展するケースもあります。「○○さんは受け取ってくれたよ」などと、利用者さんがほかの介護スタッフなどに話すなどして発覚する可能性もあるでしょう。心付けを受け取ってしまったら、どんなものであっても必ず上司に報告・相談する必要があります

    受け取ってしまった心付けを返す際は

    心付けを受け取った場合、金品にもよっても対応は異なるかもしれませんが、返してくるよう指示されるケースも多いでしょう。心付けを返す場合、利用者さんの気分を害さないよう慎重を期す必要があります。

    規則である事実を添えて丁寧にお断りする

    一度受け取ってしまったものの、施設の規則で受け取れなかったという場合は、その事実を伝えてお返しするのが基本です。心付けを渡そうと思った気持ちがうれしいということを添え、丁寧な対応を心がけましょう。自分だけでは押し切られてしまいそうな場合は、上司・責任者に取り計らってもらうのもいいかもしれません。

    家族に事情を話し受け取ってもらう

    利用者さんに返すとこじれてしまう可能性がある・心付けを渡したことを覚えていないなど、直接お返しするのが難しいケースもあるかもしれません。そんなときは利用者さんの家族に事情を伝え、利用者さんには内密にお返しする方法もあります。会社としてルールに則って対応ができることに加え、利用者さんの気持ちも尊重できるでしょう。

    月末の利用金額に反映させる

    現金を受け取ってしまった場合、利用者さんの気持ちを踏みにじらないよう、利用金額に反映させている介護施設もあるようです。事務の担当者との連携も必要になりますが、利用者さんの家族に伝えたうえで利用金額から差し引きます。施設の方針によっても異なりますが、心付けの対応としてそのようなルールを定めるのもひとつの方法です。

    不要なトラブルを避けるため介護施設では心付けは受け取らない

    介護施設での心付けはたとえ親切心であってもトラブルの原因になりやすいため、基本的には受け取らないようにしておくことが大切です。しかしながら、断ると角が立つ・断っても強引に押し付けられるなど、対応に悩んでしまうようなケースも少なくありません。不用意に受け取り、問題にならないよう、都度責任者に相談して対応を相談し適切に対応していきましょう。

  • もし餅が喉に詰まったら?高齢者を守るための対処法

    もし餅が喉に詰まったら?高齢者を守るための対処法

    お正月に欠かせない食べ物が餅です。皆さんの中にも、「お雑煮を食べないと新年を迎えた気がしない!」という方がいるのではないでしょうか。しかし、餅を食べるときに気を付けたいのが、窒息などの事故です。特にお正月シーズンには、高齢者が餅を喉に詰まらせた、というニュースをよく耳にします。そこで今回は、高齢者が餅を喉に詰まらせやすい理由を解説するとともに、餅が喉に詰まったらどうすればいいのかをご紹介しましょう

    高齢者が餅を喉に詰まらせやすい理由は?

    高齢者が餅を喉に詰まらせやすい主な理由として、以下の3つが挙げられます。原因をしっかりと理解したうえで、詰まらせないための対策を考えましょう。

    唾液が少ない

    高齢になると、唾液を分泌する唾液腺が小さくなると言われています。唾液腺が小さくなると唾液の分泌量が減ってしまうのです。唾液の量が少ないと、食べ物を喉の奥へとスムーズに運ぶことができません。特に餅は粘性が強いので、喉に餅が張りついてしまうことがあるのです。

    噛む力が弱い

    噛む力が弱いことも原因のひとつです。噛む力が弱いと、口の中で食べ物を細かくして、飲み込みやすい状態にすることができなくなります。特に餅は噛み切ることが難しい食品なので、大きなまま飲み込んでしまうと、喉に詰まりやすくなるのです。

    嚥下反射がうまくできない

    飲み込んだ食べ物が間違って気管に行ってしまわないように、反射的に気管にフタをする機能を「嚥下反射」と呼びます。嚥下反射は、口から喉にかけての筋肉による微妙な調整が重要です。しかし、高齢になると筋肉の調整が難しくなり、嚥下反射のタイミングが合わなくなります。そうなると餅などの食べ物を誤嚥してしまい、窒息しやすくなるのです。

    もし餅が喉に詰まったら?対処法を紹介

    餅が喉に詰まったら、慌てずに冷静な対処をすることが重要です。利用者さんに万が一の事態が起きたときにパニックにならないよう、餅が喉に詰まったらどうすればいいか、順を追って解説します。

    まずは119番

    餅が喉に詰まったら、[btp_line]迷わず119番[/btp_line]しましょう。自分たちで餅を吐き出させようとしても、うまくいかないかもしれません。そのため、救急隊員にできるだけ早く来てもらい、適切な処置を行ってもらうことが大切です。利用者さんが餅を喉に詰まらせたときは、手分けして、処置を開始するのと同時に119番に通報するようにしましょう。

    咳込ませて自力で吐かせる

    もし、餅が喉に詰まったら、ついついパニックになってしまいがち。でも、意識がある場合は咳をするように促し、自力で吐き出させるようにしましょう。仮に餅が喉に詰まったとしても、咳ができるということは、完全には詰まっていない状態です。気管に少しでも空気が通る道が開いているので、咳をすることで出てくるケースもあります。利用者さんの中には、恥ずかしいからと、トイレに行ったり、その場を離れたりして咳込もうとする方もいるかもしれません。そのときにも必ず誰かが付いていき、様子を見守ってください。

    頭を下げ、背中を叩く

    咳ができない、今まで咳をしていたのに急にできなくなった、という場合は、完全に餅が喉に詰まった状態です。このように、完全に餅が喉に詰まったら、息ができなくなってしまうので、事態は一刻を争います。[btp_line]背中を強く叩いて吐き出させましょう[/btp_line]。気管の位置を真っ逆さまにするイメージで、頭をぐっと下げて肩甲骨の間を強く5回叩きます。このとき、何人かで協力して、利用者さんを逆さまに近い状態にして処置することが大切です。

    ハイムリッヒ法を試す

    利用者さんが全く咳をせず、弱々しくなった場合は、「ハイムリッヒ法」を試してみましょう。利用者さんの背後から両脇に腕を通し羽交い絞めにして自分の胸を相手の体へとしっかり密着させます。次に片方の手で握りこぶしを作って、親指を相手のみぞおちの中間付近へと押し当てましょう。もう片方の手で握りこぶしをしっかり握り、斜め上へと引き上げてください。5回から10回引き上げたら床に寝かせ、口の中をチェック。餅が見えたら箸などで除去します。また、指を突っ込んで餅を取ろうしてはいけません。むやみに指を突っ込むと、せっかく出てきた餅が再び喉の奥へと押し込まれ、完全に気管を塞いでしまう、というケースもあります。

    心臓マッサージも視野に入れる

    完全に意識を失い、ハイムリッヒ法でも餅が出てこない場合は、心臓マッサージをしてください。うろ覚えでもかまいません、ためらわずに、手で胸の真ん中付近を5センチほどへこませるくらいの力で押します。1秒間に1回以上が目安です。心臓マッサージは、1分間で120回ぐらいのペースで押すと蘇生率が高いといわれています。一生懸命マッサージしましょう。
    映画「崖の上のポニョ」の主題歌が、ちょうど1分間に120回心臓マッサージするのと同じテンポだといわれています。主題歌を心の中で歌いながらマッサージするのもよいかもしれません。

    餅を喉に詰まらせないための対策

    餅が喉に詰まったらどうすればいいのかを覚えておくのと同じくらい、餅を喉に詰まらせない対策を講じることも重要です。具体的にはどうすればいいのかを紹介しましょう。

    あらかじめ小さく切っておく

    餅をあらかじめ小さく切っておきましょう。具体的には、チョコレートひとかけらくらいの大きさが理想だと言われています。料理に使用するときも、小さめサイズだと安心です。

    食べる前に水分をしっかり摂ってもらう

    餅を食べる前に、汁物やお茶を飲んで口の中を湿らせておくと、餅がくっつきにくくなります。餅を食べるときは、こまめにお茶や汁物を飲んでもらうよう促しましょう。

    納豆や大根おろしと一緒に食べさせる

    納豆や大根おろしを餅の表面にまぶしておけば、付着力が弱まり、喉に詰まりにくくなります。お雑煮の場合は、汁に大根おろしを加えてみぞれ汁にするのもよいでしょう。

    食事に集中してもらう

    餅を食べているときに、会話に夢中になったり歩き回ったりすると、噛むことがおろそかになってしまいがち。また、テレビを見ながら食べると、画面に意識が集中してしまい、よく噛まずに飲み込んでしまいます。餅を食べるときは食事に集中するように注意を促しましょう。また、しっかりと見守っておくことも大切です。

    餅を美味しく安全に食べてもらう工夫を

    お正月に欠かせない餅ですが、利用者さんに食べさせるときには細心の注意が必要です。餅を喉に詰まらせて、取り返しのつかない事態が起きないよう、万全の対策を取りましょう。また、万が一餅が喉に詰まったら、慌てず冷静に、記事に書いてある対処法を試してください。安心・安全な状態で、餅を美味しく食べてもらうようにしましょう。

  • 高齢者の餅の窒息事故に注意を!介護施設で提供するときの5つの対策

    高齢者の餅の窒息事故に注意を!介護施設で提供するときの5つの対策

    高齢になると、噛む・飲み込むといった、食べる力が低下します。そのため、食べ物をのどに詰まらせる、窒息事故も少なくありません。中でも、正月などに食べる餅の窒息事故は、介護施設でも十分注意したいところではないでしょうか。そこでこの記事では、高齢者の餅の窒息事故を防ぐ対策について紹介していきます。今後餅を提供する可能性がある介護施設の方は、ぜひこの機会に注意点を確認してみてくださいね。

    高齢者の餅による窒息事故はどのくらい起きている?

    まずは、消費者庁が公開した「年末年始、餅による窒息事故にご注意ください!」という注意喚起の資料をもとに、窒息事故の現状を把握しておきましょう。

    65歳以上の高齢者死亡数は年間3,500人以上!

    厚生労働省の人口動態調査をもとに、消費者庁が作成したデータによると、食べ物の窒息で亡くなる65歳以上の高齢者は年間3,500人以上とのこと。そのうちの[btp_line]2,500人以上は、80歳以上の方[/btp_line]だといいます。この中には、餅による窒息事故も含まれているほか、ミニカップゼリーや飴類、パンなどが原因の事故もあるそうです。こうした窒息事故は、食べ物自体の特性や、食べるときの環境などが関係して発生するといわれています。

    正月は要注意!男性の窒息発生率が高い

    さらに消費者庁では、人口動態調査の調査票情報を分析し、餅による窒息事故の割合を算出しました。そこで分かったのが、餅の窒息事故の43パーセントは、1月に発生しているということ。中でも、縁起物として餅を食べる習慣のある正月三が日の窒息事故発生率が高いといいます。また、窒息事故による死亡率は、女性よりも男性のほうが2.6倍も高い傾向です。こうしたデータからも分かるように、窒息事故によって亡くなる方は毎年一定数いるため、介護施設でも十分に注意しましょう。

    餅の窒息事故が高齢者に起こりやすいのはなぜ?

    高齢者で餅の窒息事故が起こりやすい主な理由には、食べる機能の低下が挙げられます。ここからは、どのような機能が低下しやすいのか、具体的に見ていきましょう。

    噛む・飲み込む力の低下

    人は食べるとき、噛んだり飲み込んだりを繰り返しながら、胃に食べ物を届けます。しかし、高齢になると噛む・飲み込む力が低下しやすいため、窒息事故のリスクが高まるのです。とくに、食事中にむせるようになったり、食べ物を口から頻繁にこぼしたりしている方は、噛む・飲み込む力が低下しているかもしれません。うがいが上手くできなくなったり、口の中に食べ物をためる時間が長くなったりしている方も注意が必要でしょう。

    自分の歯が少ない

    自分の歯が少ないことは、噛む力を低下させます。たとえば、奥歯がなくなったりすると、あごが安定しなくなるため噛めなくなってしまうのです。これは、入れ歯にしたときも変わりません。こうした噛む力の低下が、窒息事故のリスクを高めます。一方で、厚生労働省が運営するe-ヘルスネットの「歯の喪失の実態」によると、後期高齢者の残存歯は平均約16本とのこと。約3割の高齢者が総入れ歯を利用しているため、高齢者の食べ物による窒息が起こりやすいといえるでしょう。

    誤って気管に入ってしまう

    高齢になると、誤って気管に食べ物が入ってしまう「誤嚥(ごえん)」が起こりやすくなります。本来は、口に入れた食べ物を飲み込む際に、気管の入り口は閉じられ、食道の入り口が開くもの。この反応は「嚥下(えんげ)反射」と呼ばれています。しかし、高齢になるとこの反応が鈍くなるため、誤って気管に食べ物が入りやすくなるのです。餅の窒息事故の中には、こうした嚥下反射の低下が関係している可能性もあるでしょう。

    唾液の量が少ない

    高齢になると、唾液の分泌量が減る方も増えてきます。噛む力の低下が主な原因ですが、薬剤やストレスが影響していることも少なくありません。たとえば睡眠薬や鎮静剤などの中には、唾液の分泌を抑える薬があります。また、緊張すると口が乾きやすくなるように、ストレスも唾液の分泌に影響するのです。唾液の量が減ってしまうと、食べ物はスムーズに飲み込みにくくなります。高齢者の窒息事故は、こうした唾液量の変化が影響していることもあるでしょう。

    高齢者の餅の窒息事故を防ぐための5つの対策

    食べる力の低下などが原因となり、高齢者の窒息事故は発生します。ここからは、高齢者の餅による窒息事故を防ぐための5つの対策について見ていきましょう。

    餅の特性を理解しておく

    餅には、いくつかの特性があります。まず、[btp_line]温度が下がると硬くなる[/btp_line]こと。お椀の中では一見柔らかそうな餅でも、口の中に入れてのどを通るころには温度が下がって硬くなるのです。さらに、餅は温度が下がるほど、粘膜などに貼りつきやすくなります。また、日本人にとってなじみ深い食材ではあるものの、米のように普段から食べ慣れているわけではありません。ほとんどの方が久しぶりに食べるため、提供する際には注意が必要です。こうした餅の特性を理解しておくことは、窒息を防ぐ上でも役立つでしょう。

    小さく食べやすい大きさにする

    餅の窒息事故を防ぐには、大きさにも工夫が必要です。切り餅であれば、そのまま提供せず、小さく食べやすい大きさに切って提供すると、リスクが軽減できるでしょう。また、近年は高齢者の窒息リスクを軽減するような餅の代用品も販売されています。利用者さんによっては、こうした食品を利用することが餅の窒息を防ぐ対策にもなるでしょう。

    お茶などを飲んでから食べてもらう

    食べる順番も、餅の窒息事故を防ぐことにつながります。とくに、高齢者は唾液の分泌量が減りやすいため、[btp_line]食べ始めに口やのどを潤すことが大切[/btp_line]です。利用者さんに餅を提供する際は、お茶や汁物から飲んでもらうよう伝えるとよいでしょう。ただし、食べる順番が逆になるときは注意が必要です。口の中に餅を入れ、よく噛んでいない状態でお茶や汁物で流し込むと、窒息する危険性が高まります。こうした食べる順番にも十分注意するよう、利用者さんに呼びかけましょう。

    ゆっくりと噛むよう伝える

    食べ方で利用者さんに伝えておきたいポイントは、ゆっくりと噛むことです。ひと口の量は無理なく食べられる大きさで、よく噛んでから飲み込むことを提案しましょう。たとえ調理の段階で小さく切っていたとしても、利用者さんの中には1度に2~3個を食べようとする方がいるかもしれません。複数個を口に入れると、のどの奥でくっつく可能性があるため、大変危険です。介護職の方は、1つずつゆっくりと噛むよう、声かけを行いましょう。

    食べている様子に注意を払う

    周囲の方が利用者さんの食べている様子に注意を払うことも、対策になります。食べる順番や食べ方など、できるだけ多くの方で見守るようにするとよいでしょう。また、万が一餅を詰まらせたときの[btp_line]応急処置を知っておくと安心[/btp_line]です。介護施設ごとに行える工夫を凝らし、利用者さんに安全に餅を提供しましょう。

    高齢者は餅の窒息率が高い!提供するときは十分な対策をとろう

    食べる力の低下により、高齢者の食べ物による窒息事故は発生します。とくに、口の中に貼りつきやすい餅の窒息事故には十分注意しましょう。介護施設などで提供する際は、小さく切ったり、食べる順番を工夫したりするとリスクが軽減できます。正月などにも適した食材のため、十分な対策をとりながら安全に提供していきましょう。

  • クリスマスにちなんだゲーム8選!高齢者に喜ばれるためのポイントは?

    クリスマスにちなんだゲーム8選!高齢者に喜ばれるためのポイントは?

    利用者さんに楽しんでもらえるレクリエーションを企画することは、介護スタッフの重要な仕事の1つ。季節感を取り入れたレクリエーションなら、より盛り上がること間違いなしです。特にクリスマスは、パーティーやゲームなど普段と違った特別感のあるイベントを企画するのがおすすめ。そこで今回は、介護施設向けのクリスマスにちなんだゲームを8つご紹介します。高齢者に喜ばれるポイントも合わせてお伝えするので、ぜひ参考にしてください。

    伝統的な正月遊びをアレンジ!サンタクロースの福笑い

    福笑いとは、お福面の顔の輪郭だけを描いた紙の上に、目隠しをした状態で顔のパーツ(目・鼻・眉・口)を置いていき、できあがったお福面の表情を見て楽しむ遊び。明治時代から昭和の中ごろまで、一般家庭のお正月遊びとして定着していたものなので、高齢者にとっては馴染みのもの。このような、伝統的な遊びをクリスマスにちなんだゲームにアレンジすることも高齢者に喜んでもらえるポイントです。

    サンタクロースの福笑いは、通常の福笑いで用いられるお福面をサンタクロースの顔に置き換えたもの。準備するパーツは、目・口・鼻・輪郭・あごひげ・口ひげ・ニット帽などです。各パーツは厚紙や折り紙などで作ります。目や鼻は市販の丸シールを用いてもよいでしょう。口ひげパーツを大きめに作り、一般的な福笑いの輪郭パーツの替わりに使用するのがポイントです。

    介護施設やデイサービスでのクリスマス会なら、3~4人の小グループに分かれてやってみては?プレイヤー以外も、作られていくサンタクロースの顔がよく見え、盛り上がるでしょう。「今持っているのは?ひげ?口?」など、クイズの要素を加えてもおもしろいですよ。

    指先の運動や脳トレにも!紙コップでツリービルディング

    スポーツスタッキングという競技を知っていますか?プラスチックのカップをピラミッド型に積み上げたり崩したりするスポーツで、子供から高齢者まで世界中で親しまれているんです。体・心・頭の能力開発においても高い効果が期待できるといわれています。ツリービルディングは、このスポーツスタッキングを参考にしたクリスマスゲームアイデアです。

    ツリーに見立て、紙コップをピラミッド型になるよう積み上げていきます。まずは3個・2段のツリーからはじめ、6個・3段、10個・4段と利用者さんのできる範囲でカップの数を増やしていきましょう。ピラミッドを完成させるまでの速さを競ったり、カップを積み上げるごとにクリスマス関連のワードを答えるルールを加えたりするのもOK。達成感が味わえるので、クリスマスにちなんだゲームやレクリエーションとして高齢者におすすめです。

    全員参加型レクリエーション!白い風船で雪玉バレー

    白い風船を雪玉に見立て、バレーボールのようにトスし合って楽しむクリスマスにちなんだゲームです。高齢者は椅子に座った状態で行います。2チームに分かれて向き合い、本物のバレーボールの試合さながら打ち合ってもよいですし、円形になって風船が床に落ちないようトスをつなげるのもよいでしょう。

    風船の軌道に合わせてトスする動作は、反射神経や運動神経を養えます。また、ゲーム性のあるルールにすれば、脳トレ要素も高められるでしょう。何より、利用者さん全員で楽しめるのが雪玉バレーのよいところです。大変盛り上がるので、クリスマス会のゲームとして行うのもおすすめ!ただし、大人数で1つの風船に触れるため、コロナ対策は念入りに。

    クリスマスプレゼントがもらえる!ビンゴ大会

    ビンゴ大会はレクリエーションとしては定番ですが、ビンゴの景品としてクリスマスらしいプレゼントを用意し、特別感を演出しましょう。クリスマス会のイベントとしてもおすすめです。

    縦横5列の数字が並んだ一般的なビンゴカードは、100均などでも販売されています。しかし数字は99まであり、ビンゴが成立するまで時間を要したり、中には数字の認知が難しかったりする方もいるかもしれません。

    そんな場合には、ビンゴカードのマス目を減らしたり、数字の代わりにイラストを配置したりするのもよいアイデアです。マス目に入れるイラストは、クリスマスや正月関連のもの、野菜・乗り物など身近なものなど、利用者さんにわかりやすく、楽しめるものを考えてみましょう。ビンゴカードのテンプレートはネット上で多数公開されているので、チェックしてみてください。

    また、ビンゴ成立で渡すクリスマスプレゼントは順位をつけず、利用者さん全員に行き渡るように配慮しましょう。

    職員の余興としても◎プレゼントボックスの中身当てゲーム

    段ボールなどに両サイドから手が通る穴を開け、中に入っているアイテムを触って当てるゲームです。ボックスの中は見ることができないため、手から伝わる質感や大きさなどから中身を推理します。想像力や指先の感覚を研ぎ澄ませることで、脳の活性化効果も期待できるでしょう。

    クリスマスにちなんだゲームとして、段ボールをプレゼントボックスのようにデコレーションするのがおすすめです。また、プレイヤー以外からはボックスの中身が見えるように工夫することで、より盛り上げることができます。そのほか、中に入れるアイテムは比較的簡単なものにすることもポイント。答えがわからないより、考えた結果わかるものを準備し、高齢者に喜びや達成感を味わってもらいましょう。

    プレゼントボックスの中身当てゲームは、利用者さんにやってもらうだけでなく、クリスマス会の職員側の余興や出し物としてもおすすめ!職員がボックスの中に手を入れ、中身を当てるようすを利用者さんに楽しんでもらいます。その場合には、難易度の高いものでもOKですよ。

    釣って楽しい、もらって嬉しい!プレゼント釣りゲーム

    高齢者施設でもよく行われているレクリエーションのひとつ、魚釣りゲーム。厚紙などに描いた魚を、釣り竿に見立てた棒で釣り上げるゲームです。狙ったものを釣り上げることで、達成感を味わえます

    「プレゼント釣りゲーム」は、魚釣りゲームをクリスマス仕様にアレンジしたゲームで、釣ったプレゼントがもらえるというルールです。プレゼントを用意する際は、中身が分からないように、封筒に入れたり包装紙で包んだりするのがおすすめ。そうすることで、釣ったときに「何がでるかな」というワクワク感も味わえて、より盛り上がるでしょう

    包装したプレゼントに、紐や画用紙で作った輪っかをテープで取り付けます。そして、割り箸などの棒に、釣り針風にねじって作ったモールを紐で繋げて釣り竿を作りましょう。
    プレゼントの内容を書いた紙が入った封筒にクリップを取り付け、釣り竿のモールを磁石にすることで、ゲームの難易度を下げることもできます。利用者さんたち全員が楽しめる方法で行ってくださいね。

    楽しみながら脳の活性化にもなる!クリスマスクイズ

    クイズは楽しみながら脳のトレーニングができ、活性化にもつながる、人気のレクリエーションです。

    また、利用者さん同士が協力して回答することでコミュニケーションを促進し、協調性を増すことができるでしょう。クリスマスクイズでは、クリスマスにちなんだクイズを出します。

    例えば、前半は「サンタクロースの髭は何色?」「サンタクロースのソリをひく動物は?」「クリスマスツリーはなんの木?」など、答えやすいクイズにするのがおすすめ。後半は「メリークリスマスのメリーにはどんな意味があるでしょう」など、話し合って答えを出してもらうよう難易度を上げてもよいかもしれません。

    また、全員が手軽に参加できる○×クイズにしても楽しいでしょう。

    対戦型レクリエーション!言葉探しゲーム

    言葉探しゲームとは、ひらがなカードを使って絵に合った言葉を探すゲームです。クリスマスのレクリエーションでは、クリスマスにちなんだ言葉を探すようにしましょう。

    クリスマスに関連する絵をいくつか考え、1枚ずつ紙に描きます。そして、その絵の名称をひらがな1文字につき1枚の紙に書いて、ひらがなカードを作ってください。全てのひらがなカードを混ぜてバラバラに置きましょう。準備はこれだけです。

    利用者さんは描かれた絵の名称を、バラバラになったひらがなカードから探し出します。全て探し出すまでのタイムを競い合うため、個人戦で行っても、チーム戦で行っても盛り上がるでしょう。利用者さんが探し出すのに苦労している場合は、職員がヒントを出すなどサポートをしてくださいね。

    クリスマスにちなんだゲームをレクリエーションに取り入れよう

    レクリエーションの内容自体は従来行われてきたものでも、クリスマスの要素を盛り込むだけで、特別感や季節感を演出することができます。高齢者にウケるゲームや出し物、クイズのポイントは、ルールが簡単でわかりやすいこと。今回ご紹介した8つのクリスマスにちなんだゲームのアイデアを参考に、高齢者を楽しませてあげてくださいね。

  • 高齢者は「冬季うつ」になりやすい!?予防のポイントとは

    高齢者は「冬季うつ」になりやすい!?予防のポイントとは

    日が沈む時間が早まり、徐々に寒さが増してくる秋。暗く寒い時間が増えると、どこか気分も落ち込んでしまいがちです。そんな秋から冬にかけて増加傾向にある[btp_line]「冬季うつ」[/btp_line]を知っていますか?とくに高齢者が陥りやすいとも言われている季節性の病気です。この記事では冬季うつについて詳しく解説。高齢者に多い理由や予防するポイントも紹介しました。寒い時期だからこそ気をつけるべき対応方法を知りたい方は、参考にしてください。

    冬季うつとは?原因と症状

    冬季うつとは、秋から冬にかけて症状が出る季節性の病気です。春先になると回復しますが、寒い時期になると再び発症しやすく、知らず知らずのうちに毎年繰り返しているという方が多いことが特徴です。
    冬季うつには、日光に当たることで分泌される、神経伝達物質セロトニンが深く関わっています。セロトニンの分泌が減ると、夜に眠れない、疲れやすい、気分が落ち込む、過食になるといった症状が現れるように。結果、生活が乱れることで冬季うつへと進行してしまいます。冬場は日照時間が短く、寒さによって外出も減ってしまうため、冬季うつになりやすいようです。
    一般的なうつ症状との違いは、過食や眠気といった症状が出やすいこと。寒くなるにつれ、過眠傾向で日中でも寝てしまう、炭水化物や甘いものを欲しがるといった利用者さんがいる場合は注意が必要です。

    高齢者に冬季うつが多い理由

    高齢者に冬季うつが多いといわれる理由は、冬に外出頻度が減ってしまうことが要因となっています。高齢になると、外出すること自体が億劫になる、身体機能の問題で外出ができないという方が少なくありません。とくに冬場は、寒さから外出を控えるという高齢者も多くなります。したがって、必然と日光へ当たる時間が減り、冬季うつに進行しているようです。

    冬季うつを予防するポイント

    では、冬季うつを予防するには、どのようなことが有効なのでしょうか。

    日光を浴びる

    日光を浴びる時間をとにかく増やすことが大切です。寒いから外出したくない、という利用者さんも多いかもしれませんが、日光に当たる機会を増やす関わりを心がけましょう。また、屋内で過ごす場合も日光の当たる窓際で過ごす、部屋の照明を明るくして目から光を取り込むという対策も有効です。

    地域活動に参加する

    地域活動に参加することで、外出の機会が増え、地元の方とコミュニケーションをとることができます。日光に当たる機会が作れるだけでなく、メンタル面にも良い影響を与えることができるので一石二鳥です。

    トリプトファンを多く含む食品を摂る

    セロトニンは必須アミノ酸であるトリプトファンを原料に分泌されます。トリプトファンはタンパク質に含まれるため、肉類や魚類、豆腐やのり、バナナなどを意識的に提供するようにしましょう。また、トリプトファンの吸収を助ける食材として、ビタミンB6を含むまぐろやにんにく、ごま、鮭、ビタミンB12を含むいかやレバーなどもおすすめです。

    リズム運動を行う

    リズム運動は、セロトニンの分泌を促す効果があります。リズム運動以外にもウォーキングや太極拳なども効果的です。リズム運動によるセロトニンの分泌は、運動を開始してから20~30分がピークといわれています。それ以上続けると分泌量は減ってしまうため、長時間は行わないようにしましょう。

    うつのサインを見逃さない

    [btp_line]うつは早期発見が大切[/btp_line]です。早めに対処をすることが、うつ症状を悪化させない鍵になります。この利用者さん大丈夫かな…と思ったら、まずは対策を試みることから始めてみると良いかもしれません。
    利用者さんの状態によっては医療機関を受診するよう促したり、施設の医療スタッフに相談したりするなど、対策を考えておきましょう。

    ポイントを押さえて高齢者の冬季うつを防ごう

    秋から冬にかけて起こりやすい冬季うつ。高齢者の方がかかりやすい病気であることが理解できたでしょうか。寒さが増すにつれて、元気がない、やたらと眠気を訴える、いつも何かを食べているなどの症状が現れた場合は要注意です。日光に当たる時間が鍵となるため、なるべく外出を促す、日中も電気を付けて過ごすなどの予防策を心がけておきましょう。

  • 【高齢者の冬の健康管理】感染症やヒートショックに要注意

    【高齢者の冬の健康管理】感染症やヒートショックに要注意

    介護従事者は日々、介護施設の利用さんの体調に気を配っていることでしょう。本記事では、高齢者の冬の健康管理について解説。皮膚トラブルやヒートショックなど、寒い季節に気を配りたい6つのリスクを挙げ、注意点や対策を分かりやすくご紹介します。

    冬場のリスク1【感染症】

    高齢者の冬場の健康管理でまず気をつけたいのが感染症です。依然として流行が続いている新型コロナウイルスだけでなく、[btp_line]季節性インフルエンザや感染性胃腸炎[/btp_line]への警戒も怠らないようにしましょう。

    感染症の対策として有効な手立ては、石けんを使用した手洗い・うがい・マスク着用の徹底。さらに乾燥する季節は湿度管理もポイントとなります。室内が乾燥しているとウイルスが飛散しやすいため、湿度は40%以上を保つことを意識してください。適度な換気も重要です。

    冬場のリスク2【手足の冷え】

    冬場は手足の冷えにも注意が必要。高齢者は自律神経の衰えにより、一度手足が冷えてしまうとなかなか温まらない特徴があります。「寒い」という感覚は辛いもの。寝不足の原因、ひいては免疫低下のキッカケとなってしまう場合もあるので、気をつけて観察しましょう。

    冷え対策には、室温管理に加え、栄養をたっぷりととることが大切。バランスの良い食事に気を配ると、体がしっかりと熱を生産できるようになります。温かい飲みもの・食事を意識してとるのも良いですね。

    冬場のリスク3【皮膚トラブル】

    皮脂の分泌が少ない高齢者のお肌は、外気が乾燥する冬場はカサカサしたり、かゆみが出たり、皮膚トラブルが多くなります。かゆみを我慢できずかきむしって炎症を起こす、床ずれを起こす、湿疹が出る、といったことも…。さらに、カイロやヒーターの使用による低温やけどにも注意が必要です。

    お肌の乾燥対策には保湿ケアの習慣化が大切。全身のお肌の状態のチェックも怠らないようにしましょう。低温やけどの対策としては、同じ部位にカイロやヒーター、湯たんぽが長時間当たらないよう注意して観察を。

    冬場のリスク4【ヒートショック】

    ヒートショックとは、寒いところから暖かいところへ移動するなど、急激な室温の変化によって血圧変動が一気に起こること。心臓に負担がかかり、脳梗塞・心筋梗塞といった疾患を引き起こすリスクもあります。

    ヒートショックを防ぐには、部屋ごとの温度差を極力なくしましょう。トイレやお風呂といった冷える場所に暖房機器を設置するといった工夫が有効。さらに、お風呂の際は意識的に水分補給する、長湯しない、といったことも大切です。

    冬場のリスク5【脱水や浴室での熱中症】

    冬は乾燥しますが、目に見えて汗をかかないため夏場のようにこまめに水分補給する機会はどうしても減ってしまうもの。そんななかで暖房やヒーターを使用していると、自身では気がつかないうちに脱水状態になってしまうことがあります。浴室で熱中症になってしまうケースも。

    脱水状態や熱中症にならないために、冬場でも定期的な水分補給を意識して対策しましょう。入浴時間を管理し、長時間の入浴に気をつけることも対策となります。

    冬場のリスク6【関節痛】

    冬場の高齢者に多い不調として、関節痛も挙げられます。寒さで体がこわばり血行不良を引き起こすと、組織が痛みのもととなる物質を作り出すためです。腫れや炎症につながるケースもあるため、油断できません。

    対策としては、暖かい服装や温かい食事に気を配る、湯船につかる、といった体を冷やさない工夫が有効です。また、無理のない程度に体を動かすことも大切です。

    番外編【おもちによる窒息にも注意】

    冬場はおもちを食べる機会が増えます。そこで気をつけたいのが、おもちによる窒息事故。高齢者は噛む力や飲み込む力が弱いため、特に注意が必要となります。

    介護施設でおもちを食べる機会があれば、小さく切って提供する、飲み物や汁物も用意しておく、飲み込むまできちんと観察する、など気を配りましょう。

    冬場ならではのポイントをおさえて健康管理を

    気温が低く乾燥する冬場は、ヒートショックや冷え、皮膚トラブルなど、ほかの季節とは異なる健康上のリスクがあります。室温や湿度を管理するなどきちんと対策をとって、施設利用者さんに日々元気に過ごしていただけるよう気を配りましょう。介護従事者一人ひとりの努力や気遣いで、施設利用者さんの冬の暮らしをより快適なものにできるはずです。

  • 介護施設で冬至を楽しもう!由来は?おすすめメニューやイベントも

    介護施設で冬至を楽しもう!由来は?おすすめメニューやイベントも

    冬のイベントといえば、クリスマスが代表的ですが、高齢者の方の多い介護施設では、「冬至(とうじ)」にも注目してみませんか?冬至は、日本に古くから伝わる季節行事のひとつ。単に、季節の節目を意味するだけでなく、「ゆず湯に入る」「かぼちゃを食べる」といった風習があります。
    一方で、なぜそのような風習があるのかまでは知らない介護スタッフの方もいるのではないでしょうか?
    今回は、冬至とは何かをわかりやすく解説!介護施設でおすすめの冬至イベントも紹介します。

    冬至とは?

    冬至とは、日本古来の暦「二十四節気(にじゅうしせっき)」のひとつで、[btp_line]1年でもっとも昼の時間が短い日[/btp_line]のこと。年によって前後する場合もありますが、12月21日〜22日頃になることが多いです(2022年の冬至は12月22日)。
    冬至を境に日がのびることから、冬至のことを「一陽来復(いちようらいふく)」とも呼びます。冬至の日に縁起を担ぐことで、幸運や春の訪れを願うのです。

    介護施設で冬至の気分を満喫!おすすめのメニューやイベント

    ここからは、介護施設でも取り入れやすい冬至の風習を紹介します。

    ゆず湯

    冬至といえば「ゆず湯」。
    もともとは「ゆず→融通(ゆうずう)がきくように」「湯治(とうじ)→冬至」といった語呂合わせが由来とされています。
    「冬至にゆず湯に入ると風邪を引きにくくなる」「ゆず湯で邪気を払う」などの言い伝えを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
    ゆずの皮や果汁には、ビタミンCが豊富に含まれているため、ゆず湯は肌をしっとり保つ効果が期待できるのだそう。また、ゆずの香りにはリラックス効果があり、ゆったり安らぎのひとときが過ごせます。

    ゆず茶

    ゆず湯に加えて、湯上りやおやつの時間に「ゆず茶」を提供するのもおすすめです。
    お風呂上がりは、水分補給が大切。さらに、温かいゆず湯を飲めば、体の内側から温まってもらえますよ。
    市販品をお湯で溶かして提供するのもよし、ゆずが手に入りそうなら調理レクリエーションの一環として「ゆず茶作り」を行うのもよいですね。

    カボチャの煮物

    「カボチャの煮物」は、冬至の日の献立の定番。しかし、夏野菜であるカボチャがなぜ冬至に食べられるようになったのでしょうか?
    冷蔵保存ができなかった江戸時代、常温で長期保存が可能なカボチャは、冬に食べられる貴重な野菜でした。
    また、冬至には運を引き寄せるため「ん」のつく食べ物を食べるとよい、とされています。カボチャの別名は「南瓜(なんきん)」。カボチャは栄養価が高いうえに、縁起も良いため、冬至にぴったりの食材なんです。

    けんちんうどん

    「けんちんうどん」も、冬至に人気のメニューの一つ。
    冬至には「ん」がつく食べ物を食べると縁起が良いとご説明しましたが、けんちんうどんは、具材も「うどん」「ニンジン」「カボチャ(なんきん)」「ダイコン」と「ん」だらけ!
    野菜たっぷりの温かいうどんを食べれば、身体が芯から温まって元気いっぱいになれそうですね。

    小豆粥

    冬至の風習は、ゆず湯に入ったり、カボチャを食べたりするだけではありません。地域によっては、冬至に「小豆粥」を食べることも。
    日本では、古くから赤い色に魔除けの力があるとされています。赤い色をした小豆も、厄を払い、運気を呼び込むとされているため、冬至に小豆粥を食べるとよいとされているのです。
    小豆粥のほかにも、小豆とカボチャを一緒に炊いた「いとこ煮」を食べる場合もあります。

    介護施設でも冬至の風習を取り入れて風邪知らず!

    冬至は、「寒い冬に身体をしっかり温め、栄養たっぷりのものを食べて、元気に冬を乗り切ろう!」という先人の知恵が詰まった行事です。風習の由来を理解しておけば、利用者さんとのコミュニケーションのきっかけにもなりますよ。
    介護施設でも冬至の風習を取り入れ、利用者さんに季節の移り変わりを楽しんでいただきましょう。

  • 介護施設で利用できる便利な「出張販売・出張サービス」いろいろ

    介護施設で利用できる便利な「出張販売・出張サービス」いろいろ

    直接お店に出向くのが難しい、そんなときに便利なのが、出張販売や出張サービスです。いろいろな出張販売・サービスを取り入れている介護施設もたくさんあります。必要なものを買う・サービスを受けるというのが大きな目的ですが、生活に彩りを添えてくれる効果も期待できるでしょう。利用者さんに喜ばれる出張販売や出張サービスにはどんなものがあるのか、詳しく解説していきます。

    介護施設で出張販売やサービスが重宝される理由

    出張販売や出張サービスとは、お店などに施設まで来てもらい、店舗と同じように商品を手に取って検討したり、サービスを受けたりするものです。介護施設に入所・入居されている利用者さんは、移動するのもひと苦労。出張販売やサービスにより、利用者さんへの負担を最小限にできます。利用者さんの生活の質を高めるため、定期的に出張販売やサービスを取り入れる介護施設も多いよう。

    例えば、出張販売が唯一の「買い物できる場所」になることもあるでしょう。自分で選んで買うこと、元気な方にとっては当たり前でも、自分で外出するのが難しい利用者さんにとっては特別なこと。ワクワクしながら買い物ができる時間が、生活のハリにもつながります。サービスを受けることで元気になったりきれいになったりすることも、同様でしょう。また、出張販売のスタッフさんなど、普段接しないようなさまざまな方とふれあういい機会にもなります。

    介護施設の出張販売

    介護施設の出張販売には、どのようなものがあるのでしょうか。

    メガネ・補聴器の出張販売や修理

    メガネや補聴器を愛用している利用者さんも多いはず。メガネや補聴器の出張販売なら、施設内で視力・聴力測定を行い、販売なども対応してくれます。アフターメンテナンスも出張対応してくれるケースもあるため、安心です。

    出張ブティック

    洋服に特化した出張ブティックもあります。いつもの施設内がまるでデパートになったかのように洋服が並ぶ様子に、ワクワクする利用者さんも多いよう。鏡の前で合わせたり試着をしたりと、楽しい時間を過ごせます。季節の変わり目など、定期的に来てもらうのもいいかもしれません。

    移動コンビニ・スーパー

    コンビニやスーパーに来てもらう出張サービスもあります。さまざまな商品の前で、どれがいいかな?と悩むのも楽しい時間です。自分の好きなものを購入しみんなで分け合って食べたり、子供や孫のために購入したりと、思い思いの方法で買い物を楽しむことができるでしょう。

    パンの移動販売

    パンの移動販売も利用者さんに人気です。パン屋さんに行ったときの高揚感を、介護施設でも味わえます。パンの匂いに思わず購入してしまう利用者さんやスタッフもたくさん。買ったパンとコーヒーで幸せなひとときを過ごすのもいいでしょう。

    介護施設の出張サービス

    介護施設の出張サービスで代表的なものを見ていきましょう。

    出張カット

    利用者さんから「散髪してほしい」と頼まれることもあるかもしれませんが、介護スタッフが対応することはできない決まりになっています。そんなときに頼りになるのが、訪問理美容師。定期的にカットしてもらうことで、利用者さんの清潔感を保つだけでなく、洗髪の負担を減らすことにもつながります

    出張美容

    ネイルやマッサージなど、最近は出張の美容サービスのバリエーションも広がりました。例えば爪にネイルを施すことで常に目に入り、自然に気分が上がる利用者さんも多いはず。生活の質を高めるのに一役買ってくれます。また、訪問マッサージは、あん摩マッサージ指圧師が訪問して施術してくれるサービス。医師の同意書が必要で介護保険は適用外ですが、医療保険を適用できます。リラックスを求める利用者さんにもいいかもしれません。

    出張フットケア

    巻き爪やタコ、ウオノメなど、足元のトラブルを抱える利用者さんも多いでしょう。ひどいときには歩くのも痛いといったケースもあります。出張フットケアを導入することで、リラックスできる時間になったり、足が楽になったり歩きやすくなったりする効果も期待できるかもしれません。

    生活の質を高めるサポート役!

    移動が難しい利用者さんが気軽に利用できる、便利な移動販売や移動サービス。最近はたくさんの出張サービスが展開されています。介護施設において、利用者さんの生活の質を高めるためにも一役買ってくれる役割も期待できるでしょう。利用者さんに元気を届けるため、紹介したような移動販売や移動サービスを取り入れてみてはいかがでしょうか。

  • 高齢者の冬の皮膚トラブル!乾燥・かゆみ・あかぎれ・しもやけの対処法

    高齢者の冬の皮膚トラブル!乾燥・かゆみ・あかぎれ・しもやけの対処法

    秋から冬にかけては、皮膚トラブルが起きやすい季節です。利用者さんの肌の状態が気になる介護スタッフの方も多いのではないでしょうか?そこで今回は、冬場、高齢者に起こりやすい皮膚トラブルの種類を解説!日常生活で取り入れられるスキンケアの方法についてもご紹介します。利用者さんの皮膚トラブルを悪化させないためにも、介護スタッフとして正しい知識を身につけましょう。

    冬、高齢者に皮膚トラブルが起きやすいのはなぜ?

    [btp_line]皮膚のバリア機能は、年齢を重ねるほど低下[/btp_line]します。
    さらに冬場は、気温が低く空気が乾燥するため、皮膚トラブルが起きやすくなるのです。気温が低くなると血液の巡りが滞り、血行障害を引き起こし、しもやけなどになります。

    また、寒い時期に屋外で皮膚が冷たい風にさらされると、脂腺や汗腺などのはたらきが低下。その結果、皮膚が乾燥し、かさつき・かゆみ・あかぎれなどが起きやすくなります。

    冬はこんな皮膚トラブルに要注意!

    冬場、高齢者に多い皮膚疾患は、以下のとおりです。

    しもやけ

    代表的な冬の皮膚疾患です。原因は、寒さによる血行障害。おもに手や指、足などの四肢の末端にできます。また、一見するとしもやけのようでも、膠原病(こうげんびょう)など、ほかの疾患が隠れている場合も。対策をしても改善が見られないようなら、医療機関に早めに相談しましょう。

    あかぎれ

    乾燥によるひび割れが重症化した状態です。深い亀裂が入り、赤く腫れ、何もしていなくても強い痛みを感じます。

    皮脂欠乏性湿疹

    皮膚のバリア機能の低下により起こる疾患です。乾燥した肌の角質がはがれ、皮膚がガサつき、粉をふいた状態に。進行すると、かゆみや痛みを伴うこともあります。

    こんな生活習慣の方は皮膚トラブルに要注意!

    日頃の何気ない習慣が、皮膚トラブルを引き起こす場合があります。注意すべき生活習慣とその理由・対策を以下にまとめました。

    お湯で手を洗う/熱いお風呂や長風呂が好き

    熱いお湯は、皮膚の表面を覆う油脂をはがし、皮膚のバリア機能を低下させる原因となります。高齢者の方の中には熱めのお風呂を好む方もいますが、特に寒い時期は、皮膚トラブル予防のためにも、熱すぎるお風呂を避けましょう

    食器を洗うとき、お湯を使う/食器を素手で洗う

    食器洗いで使うお湯や洗剤も、皮膚トラブルの一因になります。熱いお湯が皮脂を失う原因となるのは、前述のとおりです。また、洗剤が手につくと、皮脂が失われてしまいます。食器を洗う際は、手袋を使用するようにしましょう。

    手先や足先が冷えやすい

    身体が冷えやすい方・冷え性の方は、皮膚トラブルが起きやすくなります。血行が滞ると、皮膚に栄養が十分に行き渡らないためです。特に冬場は、身体を冷やさない・身体を動かす・マッサージをするなど、手先の血流を促すよう意識しましょう。

    ストレスが多い/食事が不規則/睡眠不足

    ストレスフルな生活や、食事・睡眠が乱れた生活は、身体の抵抗力を弱めます。皮膚の回復力が弱まるほか、そのほかの病気を引き起こすことも。利用者さんには、バランスの取れた食事や十分な睡眠をとってもらい、ストレスの少ない生活を心がけてもらうようにしましょう。

    冬場の皮膚トラブルを防ぐには?

    高齢者の方を冬場の皮膚トラブルから守るために、以下の4つのポイントを意識しましょう。

    こまめに保湿する

    手を洗ったあとや入浴後は、皮脂が落ち、肌が乾燥しやすくなります。保湿剤で皮膚の乾燥を防ぎましょう。入浴時、保湿効果のある入浴剤を使うのもおすすめです。

    お風呂で身体を洗うときはやさしくていねいに

    ナイロンタオルなどでゴシゴシ身体を洗うのはNGです。皮膚を守り炎症を防ぐには、固形石鹸をしっかり泡立て、やわらかいタオルや素手でなでるように洗いましょう

    加湿を忘れずに

    冬は、エアコンの温風で室内が乾燥しやすくなります。加湿器を使って、皮膚が乾燥するのを防ぎましょう。部屋の湿度を上げると、風邪・インフルエンザなど感染症予防にもつながりますよ。

    肌着は綿100パーセントがおすすめ!

    肌着類は、刺激の少ない綿100パーセントのものがおすすめです。ポリエステルやナイロンといった化学繊維の肌着は、丈夫で保温効果が高い一方、長時間着ると摩擦で皮膚が傷ついてしまうことも。皮膚トラブルに悩んでいる利用者さんやご家族にもお伝えし、品質表示を確認していただくなどの対応をしてもよいでしょう。

    寒い冬、高齢者を皮膚トラブルから守るには日頃のスキンケアが大切!

    寒さと感想が厳しい季節、高齢者の方の皮膚を守るためには、こまめな保湿や屋内の加湿、肌着の選び方など、日頃の生活でできることがたくさんあります。しっかりと予防策を行いましょう。また、利用者さんの皮膚に気になる症状があれば、早めに医療機関に相談するなど、適切に対応してくださいね。

  • 冬は老人性乾皮症に注意!予防のためのスキンケアは?

    冬は老人性乾皮症に注意!予防のためのスキンケアは?

    秋から冬にかけて、高齢者の方に多い悩みのひとつが「老人性乾皮症(かんぴしょう)」。
    「肌の乾燥が気になる」「肌がかゆくてたまらない…」と利用者さんから相談されたとき、介護スタッフとしてはどのように対応すればよいでしょうか?
    今回は、老人性乾皮症とはどのような症状なのかと、治療法を解説します。老人性乾皮症を防ぐのに効果的なスキンケアも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

    老人性乾皮症とは?

    「老人性乾皮症」とは、[btp_line]加齢が原因で起きる皮膚疾患のひとつ[/btp_line]です。空気が乾燥しがちな冬場に起こりやすく、皮膚に浅い亀裂ができたり、皮膚が粉をふいたような状態になったりします。

    老人性乾皮症はかゆみを伴うことが多く、かきすぎると「皮脂欠乏性湿疹」に悪化することも。腰の周辺や太もも、脛(すね)などに見られることが多いです。

    老人性乾皮症の原因は?

    老人性乾皮症のおもな原因は、「皮脂の欠乏」です。
    皮脂には、皮膚の潤いを保つはたらきがあります。加齢に伴い皮脂が減少すると、皮膚が乾燥し、わずかな刺激にも反応しやすくなってしまうのです。

    また冬場は暖房を使うため、室内が乾燥しやすくなります。入浴時の身体を洗いすぎると、必要な皮脂まで落としてしまうことも。このような生活環境も、老人性乾皮症の一因とされています。

    老人性乾皮症の治療法

    老人性乾皮症になった場合、肌の状態に合わせた保湿剤を塗布します。保湿剤によって、役割が異なることを知っておきましょう。

    • 白色ワセリン…皮膚膜に代わって、表皮から水分が蒸発するのを防ぐ。
    • 尿素軟こう・ヘパリン類似物質・ヒアルロン酸…肌のアミノ酸と水分の結合を促し、肌に水分を保つ。
    • セラミド…角質細胞間脂質を補う。

    保湿剤は、こってりとした軟こうタイプのものもあれば、サラッとしたつけ心地のローションタイプのものもあり、つけ心地の好みが分かれることもあるでしょう。しかし、「ベタつきが気になる」「うまく塗りにくい」などの理由で、勝手に使用を中止するのはNG!
    医師は肌の状態に合わせて保湿剤を処方しますので、使用感が気になる場合は自己判断で使用をやめず、まずは相談しましょう。

    保湿剤を塗るタイミングとして最適なのは、お風呂上がりです。お風呂から上がったら時間をあけず、やさしく皮膚をなでるように塗りましょう。

    湿疹が生じている場合は、老人性乾皮症から「皮脂欠乏性湿疹」に進行している可能性があります。湿疹やかき傷の部分に保湿剤を塗ると、かゆみが増してしまうことも。
    皮脂欠乏性湿疹の場合、ステロイド入りの塗り薬でまずは患部の炎症を抑え、その後保湿剤で皮膚の乾燥を防ぎます。
    ステロイド薬には強さのレベルがあるため、肌の状態などを観察した上で、医師に相談するようにしましょう。

    日頃の生活でできる老人性乾皮症の予防策は?

    日常生活で老人性乾皮症を防ぐには、「入浴方法の見直し」「部屋の湿度管理」「衣類・食生活の見直し」の3つが大切です。

    入浴方法の見直し

    入浴時、ナイロンタオルでゴシゴシ身体をこすらないようにしてください。皮膚にダメージを与え、乾燥を進めてしまいます。また、洗浄力の強い石鹸・ボディソープを使うと、必要な皮脂を失ってしまううえに、肌を刺激して湿疹の原因になることも。
    身体を洗うときは、低刺激の石鹸・ボディソープを選び、やわらかいタオルや手でやさしく洗うとよいです。
    高齢者の方の中には熱いお風呂を好まれる方もいますが、熱すぎるお風呂に浸かると、皮脂が余分に落ち、乾燥肌の原因になります。肌のことを考えると、39℃くらいの温度がおすすめです。

    部屋の湿度管理

    秋から冬は、空気が乾燥しやすい季節です。さらにエアコンやコタツ、電気毛布などの暖房機器を使うと、皮膚は乾燥する一方。加湿器を使って部屋の湿度を保つように心がけましょう。適切な湿度は、40~60%とされています。

    衣類・食生活の見直し

    肌着などの皮膚に直接ふれる衣類は、コットンやシルクといった刺激の少ない素材を選びましょう。
    また、アルコールや辛いものを摂りすぎると、体温が上がってかゆみがひどくなることがあります。
    皮膚トラブルを抑えるためには、利用者さんが普段身につけている肌着や、食事の内容に問題がないかも見直しましょう。

    老人性乾皮症の予防には日頃のスキンケアが大切!

    老人性乾皮症を防ぐには、適切な入浴や部屋の保湿、衣類・食生活の見直しが大切です。かゆみがおさまらない様子が見られるようであれば、医師に相談しましょう。ご家族や利用者さんから保湿剤の塗布を頼まれた場合は、ただ塗るだけでなく、塗るタイミングや塗り方も意識したいですね。正しいスキンケアを行い、利用者さんを皮膚トラブルから守りましょう!

  • 冬の脱水症状に要注意!高齢者がなりやすい理由と対策

    冬の脱水症状に要注意!高齢者がなりやすい理由と対策

    脱水症状と聞くと、夏場に気を付けなければならないことと思っていませんか?実は、冬の脱水症状にも注意する必要があります。また、高齢者は脱水症状を引き起こしやすいです。そこで今回は、冬の脱水症状とはどういったものなのか、また高齢者が脱水症状を引き起こす理由、対処法などを見ていきましょう。利用者さんの異変をすぐに察知できるように、脱水症の症状を介護スタッフ間で共有しておくことがおすすめです。

    脱水症とはどんな病気?

    まずは、脱水症について見ていきましょう。脱水症の定義やどんな症状が出るのかを紹介します。

    脱水症とは?

    そもそも人間の身体は体液で満たされており、大人は体重の60パーセント、高齢者は50パーセントを占めています。体液とは、血液・リンパ液・汗・消化液などのこと。脱水症は体液が失われて、体内の水分量が正常以下になった状態・生命維持活動に支障が出た状態です。

    脱水症になると、生命維持活動に必要な栄養素や酸素を身体の中に取り込めなくなり、不要になった老廃物を体外に出すことができず、体温のコントロールができなくなることもあります。脱水症の症状が出た際に適切な治療ができないと、命に関わってくるでしょう。

    どんな症状が出るの?

    脱水症の主な症状としては、めまい・立ちくらみ・手足のしびれ・頭痛・吐き気などです。

    中には、脳や心臓の血管に血栓が詰まって[btp_line]脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こすことも[/btp_line]あります。なぜ血栓ができるのかというと、体内の水分が減少して血液の濃度が上がり、血液が固まりやすくなるためです。

    冬の脱水症について

    夏に発生しやすい脱水症状ですが、冬にも注意喚起されます。どういったメカニズムで冬の脱水症状が引き起こされるのか見ていきましょう。主な原因は以下のとおりです。

    • 空気の乾燥
    • 水分補給量の低下
    • こたつなどの暖房機器の使用

    冬は気温の低下にともなって、湿度も低下します。実は湿度が低下すると、人間の水分量も低下していくのです。その反面、冬は夏に比べて汗をかきにくく、体内の水分が減っている実感がわかないもの。

    また、飲み物を飲むことで身体を冷やしたくないという思いから、水分補給を控える方もいるでしょう。

    そして冬は、寒さをやわらげるために暖房機器を使用します。こたつや電気カーペット、電気毛布などの暖房機器を長時間使っていると、体温調整がしづらくなり、体内の水分も減って脱水症状を引き起こすことがあるのです。

    例えば、こたつで昼寝をして起きた際に、のどが渇いたという経験はありませんか?これはまさに、体内の水分が減っていることを意味します。冬の脱水症状は気付かないうちに起こりやすいといえるでしょう。

    高齢者が脱水症を引き起こす理由

    次に、高齢者が脱水症状を引き起こしやすい理由について紹介します。主な理由は4つです。

    感覚機能の低下

    高齢になると、感覚機能が低下します。感覚機能が低下すると、のどが渇いたと気付きにくくなることもあるでしょう。

    また認知症の方の場合は、のどが渇いたことに気付かないばかりか、飲み物を飲んだかどうかや、そもそも飲み物という存在を忘れている可能性があるのです。

    内臓機能の低下

    高齢になると内臓機能も低下します。内臓が正しく機能すれば、体内の水分量をコントロールしたり、体内の塩分濃度を調整したりしますが、内臓機能の低下が起きると調整ができなくなることも。

    つまり高齢者は、体内の水分バランスが崩れることで、脱水症状を引き起こしやすくなるのです。また、食べ物や飲み物を飲み込む機能である嚥下機能の低下によって、水分摂取量が減るケースもあります。

    その他には、筋力の低下によって水分を蓄えられる筋肉量が減ることも、高齢者が脱水症状を引き起こす原因だと考えられています。

    薬の影響

    人間は年齢が上がるにつれて血圧が高くなる傾向にあり、高齢者の多くが降圧薬を飲んでいる可能性が高いです。降圧薬の中には、利尿作用を促すものを含んでいるものもあります。

    健康のために飲んでいる降圧薬によって、体内に必要な塩分や水分を排出してしまい、脱水症状を引き起こすというわけです。

    トイレの回数を減らすために飲むのを減らす

    老化による機能低下や薬による影響以外に、意図的に水分を控えるという問題も隠れています。高齢になると、たとえ部屋の中でも移動が面倒になり、できるだけ座っていたり横になったりしたいもの。

    ケガをしていたり、足腰に慢性痛があったりすると、さらに動きたくないと感じる高齢者の方も多いようです。「できるだけ移動を減らす→トイレの回数を減らす→水分補給を控える」というように、わざと飲む量を減らしている可能性もあります。

    脱水症を引き起こさないための対処法

    それでは、どうすれば冬の脱水症状を防げるのでしょうか?ここでは対処法を紹介します。

    定期的に水分補給

    基本は[btp_line]定期的に水分補給[/btp_line]することです。先ほども説明したように、冬はのどの渇きを感じにくく、高齢者は感覚が鈍くなっています。介護施設などで脱水症状の予防を行うのであれば、定期的に飲み物を飲む時間を設けたり声かけしたりすると良いでしょう。

    1日に必要な水分摂取量は1リットルや1.5リットルと言われ、飲み物以外に果物やゼリーなどからも摂取できます。ただし、カフェインが多い緑茶・コーヒー・アルコール・糖質が多いジュースなどは避けたほうが良いでしょう。

    部屋の温度や湿度調整

    湿度の低下によって体内の水分が減るため、部屋の温度や湿度の管理が必要です。温湿度計で室内の環境を整え、乾燥しているようであれば加湿器を使ったり、濡れたタオルを干したりしましょう。

    冬は乾燥しやすいので、湿度管理をしっかり行えば、インフルエンザなどのウイルス対策にもなります。

    衣類の調整

    衣類の調整も脱水症状を防ぐ対策の1つです。暖房機器がついた部屋にいるにもかかわらず「寒いから」と着込んでいると、汗をかいて身体の水分が出ていきます。着脱しやすい衣類を用いて、体温をコントロールしましょう。

    万一、汗をかいている場合は、着替えて水分補給するように促してください。

    脱水症状が見られたら…対処法を知っておこう

    最後に、万一脱水症状を起こした利用者さんがいた場合の対処法を紹介します。いざということに慌てないために、しっかり理解しておきましょう。

    軽度の場合

    軽度の脱水症状では、めまい・立ちくらみ・手足のしびれ・発汗などが表れます。意識があり発熱もないようであれば、涼しい場所に移動し、安静にさせましょう。できれば水分や塩分補給をしてください。

    中度の場合

    脱水症状の中度になると、頭痛・嘔吐・倦怠感・発熱・判断力の低下などが見られます。この場合も軽度の脱水症状と同じように、涼しい場所で安静にし、水分や塩分補給させましょう。

    症状が改善しない場合や水分などを自力で摂れない状態であれば、すぐに医師に相談してください。

    重度の場合

    脱水症状が重度になると、意識障害・けいれん・発熱・体温が高いのに汗が出ないなどの症状が出ます。

    この場合は、救急車を呼ぶ・病院を受診して、判断を仰ぎましょう。

    冬の脱水症状は気付かないうちにやってくる

    冬の脱水症状は、気付かないうちに起こります。気付いたときには、脱水症状中度や重度になっているかもしれません。利用者さんが脱水症状を起こさないように、こまめな水分補給や室温管理、体温調整をしっかり行ってください。万一脱水症状が見られた場合は、迅速に適切な対応ができるように、フローチャートなどを作っておくと良いでしょう。

  • ヒートショックとは?高齢者が気を付けたい場所や対処法

    ヒートショックとは?高齢者が気を付けたい場所や対処法

    冬になると頻発するヒートショック。主に高齢者に対して注意喚起されますが、そもそもヒートショックとはどういった状態を指すのでしょうか?また、ヒートショックが発生しやすい場所として浴室がよく挙がりますが、実は他にもあります。そこで今回は、ヒートショックとはどういうことか、また発生しやすい場所や、万一ヒートショックになってしまった場合の対処法についても見ていきましょう。

    ヒートショックってどんなこと?

    ヒートショックとは、急激な温度の変化で血圧が変動し、気を失ったり血管の病気などを引き起こしたりすることです。入浴中の死亡者数は年間に1万9,000人いると推計されています。

    そして警察庁が発表している2021年中の交通事故による死者数は2,636人。これらのデータでわかるように、ヒートショックによる死亡事例は、交通事故よりも身近で起きやすく、ごく一部の方がなるものではないということです。

    また消費者庁の発表によると、高齢者の家や居住施設の浴室での死亡者数は、不慮の溺死事故の約7割を占めており、高齢になるほど死亡者数が増加。死亡者数は、男性の方が女性よりも多く、高齢になるとその差はさらに広がります。

    ヒートショックが疑われる事例は、[btp_line]11月から4月の冬~春の時期に多発し、ピークは1月です。[/btp_line]

    浴室だけではない!ヒートショックが発生しやすい場所

    ヒートショックが発生しやすい場所は浴室だけだと勘違いしている方もいます。しかし、ヒートショックの原因は、暖かい所から寒い所に行くなどの急激な温度変化です。つまり、浴室に限ったことではありません。

    ここでは、ヒートショックが発生しやすい場所について紹介します。

    脱衣所

    暖かい部屋から出てきた方が寒い脱衣所で服を脱ぐと、急激な温度差が生じます。この段階でヒートショックになる方も。

    また、脱衣所や浴室ではつねに血圧が変動しています。脱衣所で服を脱ぐと血圧が上昇、次に浴槽に入ることで血圧が低下。洗い場で身体を洗うことで血圧が上昇、再び浴槽に入ることで血圧が低下、脱衣所で着替えることで血圧が上昇…といった具合です。

    血圧の乱高下によって、体調を崩したり弱った血管に負担がかかり、血管の病気を誘発したりする危険が高まります。

    浴室

    次に浴室ですが、脱衣所のケースと同じように、血圧の乱高下を引き起こします。

    特に、寒い脱衣所で血圧が上昇し、次に浴室も寒いことからさらに血圧が上昇。この状態で冷えた身体をしっかり温めようと熱めのお湯に浸かることで、急激な血圧低下が発生します。これによって身体に大きな負担がかかってしまうのです。

    トイレ

    トイレに暖房機器が設置されていない、もしくは環境が整っていないと、冬はとても寒い空間。また高齢者は早寝早起き、頻繁にトイレに行くなどの理由から、深夜や早朝にトイレに行く方は多いです。深夜や早朝は気温がさらに低下して、トイレが冷えています。

    トイレに行き寒くて血圧上昇、トイレで排尿や排便することで腹圧がかかり、さらに血圧が上昇して体調を崩す場合も。特に男性の場合、立ったまま排尿すると腹圧がかかり、血圧が急上昇することもあります。

    一般的に、排便後は血圧が急降下すると言われているため、トイレも血圧の変化が起きやすく危険なのです。

    廊下

    廊下でもヒートショックになりやすいと考えられます。暖かい部屋から冷えた廊下に出ることで、血圧が上昇。この温度差が身体の負担になることがあるのです。

    どんな方がヒートショックになりやすい?

    ヒートショックは[btp_line]65歳以上の高齢者がなりやすい[/btp_line]といわれています。しかし、実は若い方も注意しなければなりません。どんな方がヒートショックになりやすいのか見ていきましょう。

    以下のような方は、ヒートショックに注意してください。

    • 65歳以上の方
    • 生活習慣病の方(高血圧、糖尿病、動脈硬化)
    • 睡眠時無呼吸症候群や不整脈がある方
    • 肥満の方
    • 1番風呂が好きな方
    • 熱いお風呂が好きな方
    • 飲酒後に入浴する方
    • 30分以上の長湯が好きな方

    この他にも、浴室に暖房機器がない方も気を付けましょう。

    ヒートショックを起こさないためにできること

    次に、ヒートショックを起こさないためにできることを紹介します。ヒートショックの主な原因は、気温の変化です。これを意識するだけで、簡単に対策できるでしょう。主な対策は以下のとおりです。

    • 家の中で大きな温度差を作らない
    • 脱衣所や浴室を暖める
    • 入浴時間は10分~15分
    • お風呂の温度を38度~40度以下にする
    • お風呂から出る際はゆっくりと
    • 飲酒後の入浴はしない

    寒いと部屋のドアを閉めて暖房をつけますが、定期的にドアを開けて廊下に暖気がいくようにすると、家全体を暖めることができるでしょう。また、脱衣所や浴室に暖房機器がない場合、シャワーを出して浴室を暖め、その暖気を脱衣所にも行かせてから服を脱ぐと良いです。

    他に若い家族がいる方であれば、家族が入浴して、暖かくなっている状態のときに入浴するものおすすめです。入浴時間が長すぎると体温が高くなりすぎたり、血圧が低下したりします。長湯せず10分~15分ほどでお風呂から出ましょう。

    お風呂から出る際は、ゆっくり立ち上がることがポイントです。急に立ち上がると血圧が急降下します。血圧の低下によってめまいを起こし倒れてしまう危険があるため、手すりなどを使いながらゆっくり立ち上がることが大切です。

    家族や利用者さんが入浴やトイレに行った際は、倒れていないか意識的にチェックすることも必要でしょう。

    ヒートショックになってしまった!対処法は?

    最後に、ヒートショックになってしまった場合の対処法を紹介します。

    ヒートショックになったと感じた方は、ゆっくりその場に座るか横になりましょう。立ち上がると、めまいや立ちくらみによって転倒する危険があります。家族を呼べそうなら呼んでください。座ったり横になったりしても症状が改善しなければ、すぐに救急車を呼びましょう。

    万一、利用者さんがヒートショックを起こした場合には、[btp_line]すぐに救急車を呼んでください[/btp_line]。入浴中であれば、浴槽のお湯を抜いておきます。

    消防に通報する際に、ヒートショックの可能性があることを伝えると、対処法を指示されることがあるため、その指示にしたがって対応してください。

    ヒートショックは工夫すれば防げる可能性が高い!

    冬になるとヒートショックによる事故が急増するため、高齢者は特に注意しなければなりません。介護施設などでは、ヒートショックを未然に防ぐための対策を行っているケースもありますが、在宅介護の場合、あらゆるところに危険が潜んでいることも。寒くなる前に、利用者さんにヒートショックの危険や対処法について説明しておきましょう。

  • 「デイサービスに行きたがらない」…ご家族からの相談にどう答える?

    「デイサービスに行きたがらない」…ご家族からの相談にどう答える?

    高齢者がいるご家庭から、「高齢の家族がデイサービスに行きたがらない」「レクが苦手」…そんな相談を受けたら、あなたはどうアドバイスしますか? 高齢者がデイサービスやレクリエーションを避けるケースには、なにかしらの理由があるはずです。介護従事者としてご家族の方にできるアドバイスや、高齢者にとって通いやすい施設にするためにできることを考えていきましょう。

    まずは整理!高齢者がデイサービスやレクを避ける理由とは?

    高齢者がデイサービスやレクリエーションに行きたがらないときは、ご本人が不安や不満を感じているケースが大半です。あくまでも例ですが、次のような心情であることが考えられます。

    <デイサービスやレクを避けるときの高齢者の心情の例>

    • 外出が不安
    • 家族以外の方に会うのが億劫
    • 介護されることに抵抗がある

    高齢者がデイサービスに行きたがらないときにまず考えられるのが、外出に対する不安を抱えているケースです。「介護スタッフと意思疎通がうまくいかなかったらどうしよう」「トイレに行きたくなったら嫌だな」「時間どおりに行けるだろうか」「周りと同じように行動できるだろうか」…。このように、さまざまな不安を感じて、デイサービスやレクに行きたがらないようです。認知症や記憶障害がネックとなるケースもあります。

    家族以外の他人に会うのが億劫、というケースも。人とコミュニケーションをとることが苦手な方は、デイサービスやレク対してストレスを感じたり、憂鬱な気分となったり、ハードルが高く感じてしまうことがあるようです。

    さらに、高齢者のなかには介護されることに抵抗を持っている方もいます。自分が介護される側であることを認めたくない、という理由があることも。他人に排泄やお風呂を手伝ってもらうことに抵抗がある・自尊心を傷つけられるような気持になる…そんな理由で行きたがらないケースもあるようです。

    ご家族からの相談への回答例

    高齢者のご家族からデイサービスに行きたがらない、レクリエーションに参加したがらない、といった相談を受けるケースは、介護に関わる仕事をしていると多いもの。そんなときは、前項の内容をふまえてこのようなアドバイスをしてみてはいかがでしょうか。

    デイサービスやレクを避ける理由を明確にしてもらう

    まずは、「なぜ行きたがらないのかご本人に聞いてみてください」といった言葉をかけて、高齢者がデイサービスやレクリエーションに苦手意識を持っている理由を明確にしてもらいましょう。理由が分かれば、ご家族とともに解決に向けて取り組むことができます。

    デイサービスやレクに一緒に来てもらえるようご提案

    「ご家族も一緒に施設まで来てもらうことはできますか」といった言葉をかけて、高齢者とご家族がともに施設に足を運ぶことをご提案してみるのもおすすめです。高齢者が抱える「施設がどのような場所か分からない」「一人で参加して場に馴染めるだろうか」といった不安を緩和することもつながるでしょう。ご家族とともに施設やプログラムに出向き徐々に慣れていただくことで、初めは行きたがらない場合でも、抵抗なく行けるようになるかもしれません。

    無理強いはしないようご提案

    高齢者がデイサービスやレクへの参加を長い期間にわたって拒否し続けていると、ご家族が焦ってしまうケースがあります。そんなときは、「本人の意志を尊重することも大切です」といった言葉がけもしてみましょう。

    デイサービスやレクへの参加はご本人の意思ありき。施設の利用は無理強いするものではなく、高齢者ご本人に、施設に来たいと思ってもらうことが大切です。家族から過度にプレッシャーかけられると、余計に行きたくなくなってしまうこともあります。無理強いしないことで信頼関係が生まれるケースがあることも伝えましょう。

    高齢者のご家族が相談できる先を伝えよう

    高齢者のご家族が複合的に悩みを抱えている場合は、専門家への相談で解決が期待できる場合も。あらゆる相談に対応できる窓口のご紹介は、ご家族にとって助けとなるでしょう。

    相談窓口の選択肢としては、地域包括支援センターや高齢者総合相談センター・地域の福祉事務所・居宅介護支援事業所・保健所や保健センターなどがあります。連絡先をあらかじめ控えておくと、必要なときにお伝えしやすいですよ。

    デイサービスやレクリエーションに来てもらうためにできること

    最後に、高齢者の方が少しでも不安なく施設を利用できるよう、介護施設側として準備できることを考えていきましょう。「来たくない」「不安だ」と感じている高齢者の存在を意識し、気持ちを楽に利用していただけるよう工夫することが大切です。

    デイサービスのパンフレットやホームページを整える

    初めて施設を利用する高齢者の方がどのような場所かイメージしやすいよう、施設のパンフレットやホームページを整えてみてはいかがでしょうか。画像で施設内の様子を載せて目で見てイメージできるようにしたり、職員の自己紹介ページを作ったり、実際の利用者さんの声を紹介したり…。少しの工夫が、初めての利用者さんの不安を取り除く助けとなります。

    レクリエーションの内容を見直す

    レクリエーションの内容を工夫してみるのも有効です。「子供っぽいレクをやりたくない」ことが行きたがらない理由であれば、将棋や囲碁といったレクを取り入れるのもひとつ。ほかの利用者さんとのコミュニ―ケーションを楽しめるのがレクの特長ですが、たまには自分の世界に没頭できる工作系のレクを取り入れてみても良いかもしれません。内容にメリハリをつけて、できるだけ利用者さんの希望に沿ったレクを取り入れる努力をしてみてはいかがでしょうか。

    寄り添う気持ちを忘れない

    施設に足を運んでもらえた場合は、勇気を出して一歩を踏み出してくれた高齢者の方を尊重し、気遣う気持ちを忘れないようにしましょう。

    興奮している・話しかけると嫌がられてしまう、といった場合は、時間をおいてから再び声をかけるなどの工夫を。ご本人の気持ちを受け入れて寄り添い、気持ちが落ち着いたころに話しかけると、スムーズにコミュニケーションが取れる場合もありますよ。

    高齢者とご家族に寄り添ったアドバイスを

    高齢の方が一日中家にいると、足腰が弱ってしまう・認知機能が衰えてしまうなどの理由で、より外に出たがらなくなってしまうことも。デイサービスやレクリエーションの参加などで、適度に外出を促すことも大切です。家を出て、家族以外の人物と接することは、身だしなみに気を配るキッカケにもなります。デイサービスに行きたがらない高齢者のご家庭へは、高齢のご家族の気持ちに寄り添いながら徐々に参加へ促せるよう、アドバイスができたらいいですね。

  • 介護施設でできる医療行為とは?職種別でできることを一覧でご紹介

    介護施設でできる医療行為とは?職種別でできることを一覧でご紹介

    介護施設で行われる医療行為。介護スタッフとして何ができるか把握できていますか?この記事では、介護施設で行う医療行為を一覧で紹介します。医師しかできないもの、看護師が行うもの、介護スタッフができるものをそれぞれピックアップしました。看護師にお願いされたけど、このケアは介護職がしてもいいの?そんな疑問や不安を抱えた経験をした方も多いはず。では、介護施設でできる医療行為を確認していきましょう。

    そもそも医療行為とは?

    医療行為とは、医師や看護師など専門的な資格を持つスタッフが、医療の知識や技術をもって行う行為のことです。医療的ケアと呼ばれる、生活に必要な医療的援助(血圧測定や服薬管理など)も含まれています。

    介護施設で行う医療行為は大きく分けて3つ

    介護施設で行われる医療行為は、医師によるもの・看護師によるもの・介護職によるものの3つに分けられます。基本的に介護職には禁止されている医療行為ですが、例外として一部認められているものがあるので確認していきましょう。

    介護施設で介護職ができる医療行為の一覧

    介護職ができる医療行為は、主に8種類あります。日常[btp_line]日常生活に密接した処置やケアが多いことが特徴[/btp_line]です。

    • 体温、血圧測定(自動血圧測定器を使用)
    • 軟膏を塗る(床ずれ治療目的のものは除く)
    • 湿布を貼る
    • 軽い傷の処置(絆創膏を貼って対応できる程度のもの)
    • 内服管理・介助(一包化したもの)
    • 目薬を入れる
    • 座薬を入れる
    • 鼻腔内に噴射して使用する薬の介助

    爪切りは医療行為に入らないの?と疑問に思う方もいるかもしれませんが、爪自体や爪周囲の皮膚の異常、糖尿病などの既往歴がなければ、医療行為に入りません。日常生活のケアとして認識しておくと良いでしょう。ただし、上記条件に当てはまらない場合は、爪切りも看護師や医師に委ねる必要があるので注意が必要です。

    また、介護職で提供できるサービスの質を強化させるために、「認定特定行為業務従事者」という認定制度が2012年に設けられました。この制度の認定を受けることによってできるようになった医療行為は2つあります。

    • 喀痰の吸引
    • 経管栄養(胃ろう、腸ろうなど)

    どちらの医療行為も、必要としている利用者さんは多いですよね。この認定を受ければ、すぐ吸引したいのに看護師の手が空かない!といった場面に遭遇したときも自分で対処をすることができます。介護職におけるステップアップとして、認定特定行為業務従業者の認定を目指すのも良いでしょう。

    介護施設で看護師ができる医療行為の一覧

    介護施設で看護師が行う医療行為は、主に以下のものです。

    • インスリン注射…血糖値を下げるホルモン・インスリンを注射する行為。糖尿病の方に行う治療方法のひとつ
    • 中心静脈栄養…心臓に近い静脈に挿入されたカテーテルに点滴で栄養を注入する行為
    • 経管栄養
    • 喀痰の吸引
    • 人工呼吸器の管理…自力での呼吸が困難な方に使用する機械の管理
    • 床ずれの処置…褥瘡(じょくそう)と診断された部位の管理(軟膏処置など)
    • 在宅酸素療法の管理…自力で酸素を取り込めない方が、鼻などに装着したチューブから酸素を取り込む治療の管理
    • ストーマ装具の貼り替え…人工肛門に使用する排泄物を受ける装具を、必要時交換する行為
    • 導尿やバルーンカテーテルの管理…自力で排泄できない方に対し、膀胱に溜まった尿を排出できるよう入れたチューブの管理

    介護職より、医療的知識が求められる行為が多いことが特徴です。夜間に看護師が常駐していれば、上記のような処置やケアが必要な利用者さんが入所できる施設ということになります。施設に常駐するスタッフで提供できる医療行為に幅があることを認識しておきましょう。

    介護施設で医師ができる医療行為の一覧

    最後に、介護施設で医師にしかできない医療行為の一覧です。

    • 経過の観察および診察
    • 注射、点滴
    • 人工透析
    • 処方箋の発行
    • 応急処置

    介護施設では、医師がいても医療施設よりできる行為が少ないことが分かります。病院のように設備や機器がそろっているわけはないため、医師がいるから何でもできるわけではないことを念頭に置いておきましょう。

    医療の充実度は施設の人員配置により異なる

    介護施設の医療の充実度は、専門スタッフの配置数により異なります。では、スタッフの配置定数は、介護施設ごとでどのように違うのでしょうか。
    専門スタッフの数は、入所する利用者さんの数により配置定数が定められています。例えば5:1以上なら、利用者さん5人に対し、専門スタッフが1人以上必要という意味です。では、公的施設、民間施設それぞれどのような配置基準になっているのかチェックしていきましょう。

    公的施設

    介護施設の種類特別養護老人ホーム介護老人保健施設介護医療院(Ⅰ型)介護医療院(Ⅱ型)
    医師の配置義務健康管理及び療養上の指導のための必要な数100:1(常勤1名以上)48:1(3名以上)100:1
    看護職員の配置義務3:1以上3:1(看護職員を2/7程度を標準)6:13:1(看護職員を2/7程度を標準)
    介護職員の割合3:1以上3:1(看護職員を2/7程度を標準)6:13:1(看護職員を2/7程度を標準)

    公的施設では、医師の配置が義務付けられていることが特徴です。入居者に対する看護師の配置基準も高いので、民間施設より手厚い医療を提供できる施設であることが分かります。したがって、入居する利用者さんも、必然と医療への依存度が高い方が多くなる傾向にあることを理解しておきましょう。

    民間施設

    介護施設の種類介護付き有料老人ホームその他の有料老人ホーム
    医師の配置義務なし(任意)なし(任意)
    看護職員の割合3:1(看護職員の配置義務あり)必要な数
    介護職員の割合3:1(看護職員の配置義務あり)必要な数

    民間施設では医師の配置義務がないため、基本的に医療面のサポートが少ないことが特徴です。しかし、介護付き有料老人ホームでは医療機関との連携が義務付けられているので、医師の配置がなくても診察を受けることが可能。さらに、緊急入院や往診可能な医療機関と連携している施設、独自サービスで医師を配置する施設なども増加傾向にあります。民間施設は、それぞれが提供するサービス内容により、医療の充実度に大きな差があることを知っておくと良いでしょう。

    介護職でできる医療行為を把握しておこう

    介護施設で介護職が提供できる医療行為を一覧でご紹介しました。高齢の方が利用する介護施設だからこそ、必然と必要になる医療行為ばかりであることが理解できたでしょうか。利用者さんに快適に過ごしてもらうためにも、自分がやって良いこと、悪いことを知っておくことはとても大切です。不安になりながら利用者さんと向き合うことがないよう他スタッフと連携し、安心・安全な介護を提供してくださいね。

  • 介護職の爪切りは医療行為?利用者さんの爪の手入れ方法

    介護職の爪切りは医療行為?利用者さんの爪の手入れ方法

    介護施設で働いていると、利用者さんの爪が伸びているのを発見することってありますよね。「介護スタッフの私が爪切りしてもいいのかな、医療行為になると聞いたことがあるような…」そんな疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。今回は、介護職による爪切りについて詳しく解説。医療行為になる爪切りとの違いや、爪の手入れ方法、爪切りの種類までご紹介します。利用者さんの爪切りに不安のある方は、ぜひ参考にしてみてください。

    介護職による利用者さんの爪切りは医療行為?

    利用者さんの爪切りは[btp_line]医療行為になる場合も[/btp_line]ありますが、次項で紹介する条件を満たせば介護職が爪切りを行っても問題はありません。爪を切るときは、介護職で切っても良い状態かを必ず確認しましょう。爪だけでなく、利用者さん本人の容体が安定しているかも確認することが大切です。

    介護職が爪切りを行うための条件

    介護職が爪切りをしても良い条件は以下の通りです。

    • 爪に異常がない
    • 爪周囲の皮膚に異常がない(化膿や炎症など)
    • 糖尿病などの疾患による専門的な管理が必要でない

    高齢の方は、爪に問題を抱えているケースが少なくありません。爪が割れやすい、剥がれやすい状態の利用者さんが多いことも高齢者の特徴といえます。「この爪は、爪切りをしてもいいのかな?」と判断に悩むときは、先輩スタッフへ相談するようにしましょう。また、高齢者が抱えやすい爪のトラブルについて学んでおくと、介護職による爪切りが可能かの判断がつきやすくなるのでおすすめです。

    爪切りの実践:準備編

    爪切りに必要な物品は以下の通りです。利用者さんの爪に合わせた物品選びができるよう、爪切りの種類も押さえておきましょう。

    【準備物品】

    • 爪切り
    • やすり
    • 切った爪を受ける膿盆・トレーやビニール袋など(あれば)

    爪切りの種類

    爪切りの種類は大きく分けて3つあります。それぞれ、どのような爪に向いているのか確認していきましょう。

    グリップ型

    よく見る一般的なV字型の爪切りです。閉じるとI字型になるので、コンパクトに保管できるうえ、さまざまなサイズがあることが特徴。てこの原理を利用した構造になっているので、軽い力でスパッと切ることができます。馴染みのあるタイプの爪切りなので、使い慣れている方も多いですが、爪の開きが狭く分厚い爪には不向きです。主に手の爪に適した種類と覚えておくと良いでしょう。

    ニッパー型

    工具のニッパーのような形をした爪切り。刃先が鋭利なので、分厚い爪や固い爪、分厚い爪などに適しています。グリップ型と比較すると爪への負担が少なく、切る圧力で爪が割れてしまったり、剥がれたりなどが起きにくいことが特徴です。しかし、普段使いしている方が少ない爪切りのため、使い慣れるまでは扱いにくいと感じることも。切った爪を受けるカバーがないため、使用する際は爪が飛び散ることも留意しておきましょう。

    はさみ型

    赤ちゃん用の爪切りとして流通していることが多いはさみ型。薄い爪を切るのに適しています。刃先が丸く安全な構造になっているので、弱い爪の方への使用におすすめです。

    爪切りの実践:姿勢編

    安全に利用者さんの爪を切るためには、介護スタッフの姿勢も重要です。

    手の場合

    爪を切りたい手側の隣に、利用者さんと並ぶようにして座ります。隣に座ったら、爪を切る側の腕を自分の両腕で挟み、利用者さんの腕が動かないように固定。利用者さんの手が、自分の爪を切るときのような位置関係になることがポイントです。爪切り中、安定した姿勢をキープできるよう、利用者さんには背もたれのあるイスや、ベッドに座ってもらうようにしましょう。

    足の場合

    足の爪を切る場合は、爪を切りたい足の隣に片膝をついてしゃがむ、もしくは低いイスなどを準備して座ります。安定して座ることができたら、介護スタッフの脚の上に利用者さんの膝から下を乗せましょう。手の場合と同様に、自分の足の爪を切るときのような位置関係にすることがポイントです。そして、膝に乗せた足に片方の腕を回し、脇と脚で挟み込むようにして固定させ、爪を切っていきます。利用者さんの中には膝を伸ばせない方もいるので、膝は曲げたまま持ち上げていきましょう。

    こんな姿勢はNG

    コミュニケーションがしやすい、利用者さんの表情が見やすいからと、介護スタッフと対面での爪切りは避けましょう。普段自分の爪を切る視点と異なる角度からの爪切りは予想以上に難しいです。死角が多く、爪以外の場所を切ってしまう原因になりやすいので注意しましょう。

    また、利用者さんは背もたれのあるイスやベッドに座ってもらい、転倒や転落しないようにすることも大切です。とくに足の場合は、足先だけを持ち上げると利用者さんの上体が後ろに倒れやすくなるので気を付けましょう。車椅子でフットレストに足を乗せたまま、爪切りをするのもおすすめできません。作業中は、利用者さんも足元を見ようと前のめりになりがちです。車椅子ごと前へ転倒しないよう、足はフットレストから降ろし、地面に足がしっかりと着く姿勢にしておきましょう。

    爪切りの実践:切り方編

    体勢が整ったら、爪を切る作業に入ります。では、爪の切り方をご紹介していきましょう。

    正しい手順

    1:利用者さんに爪切りをすることを説明し、同意を得る
    2:爪を切りやすい姿勢になるよう介護スタッフのポジションを決める
    3:利用者さんの腕や下腿をしっかりと固定する
    4:爪と皮膚の間に隙間ができるよう、爪の裏側の皮膚を手前に引きながら、爪切りの刃先を入れ込む
    5:白い部分を1~2ミリ残して切る
    6:巻き爪を防止するため、爪の両端を軽く切り落とした四角い形(スクエア型)に切る
    7:ある程度まで切れたら、爪やすりで整える

    爪切りをする際のポイント

    高齢者の爪は、固く、もろい状態となっているケースが多いので、足浴後や入浴後がおすすめ。爪に水分が含まれているので、爪がやわらかく切りやすいです。また、巻き爪になりやすいという特徴もあるので、対策としてスクエア型に切っておくと良いでしょう。

    正しい爪切りで安心安全なケアを提供しよう

    トラブルを抱えやすい高齢者の爪。深刻な事態にならないよう、日常的なケアがとても大切です。介護スタッフとして安心・安全な爪切りができるよう、ポイントを押さえて実践していきましょう。また、利用者さんの爪の状態を知っておくことは非常に重要です。トラブルになる前にケアができるよう、日々の観察から心がけておきましょう。

  • 加齢黄斑変性とはどんな病気?予防策や治療方法も

    加齢黄斑変性とはどんな病気?予防策や治療方法も

    毎年10月10日は、「目の愛護デー」。豊かな生活を送るためには、目の健康が欠かせません。その一方で、白内障や緑内障など、目の病気に悩む高齢者の方も多くいらっしゃいます。なかでも、「加齢黄斑変性」は、近年増加する高齢者の失明原因のひとつ。介護スタッフの方も、耳にしたことがあるのではないでしょうか?そこで今回は、「加齢黄斑変性」とはどのような病気か、治療法や予防策も解説します。

    加齢黄斑変性とは

    加齢黄斑変性は、文字通り「目の中の黄斑という組織が、加齢とともにダメージを受け起きる疾患」のこと。
    加齢黄斑変性は高齢者に多いのが特徴で、「緑内障」や「糖尿病網膜症」とともに、高齢者の失明原因として注意が必要です。

    加齢黄斑変性の症状は?

    黄斑は、人が物を見るのに極めて重要な部位です。そのため、加齢黄斑変性になると、以下のような症状が現れます。

    • 物がゆがんで見える
    • 視野の中心が暗くなる
    • 視野が欠ける
    • 視力が低下する

    視野の中心部が見えにくくなるのは、黄斑が網膜の中心部にあるためです。患部に大きな出血が起きれば、さらに広い範囲が見えにくくなってしまいます。

    加齢黄斑変性の原因は?

    加齢黄斑変性は、大きく分けて2種類あり、種類によって原因が異なります。
    加齢が原因で黄斑が縮んでしまう[btp_line]「萎縮型(いしゅくがた)」[/btp_line]と、本来ないはずの血管(新生血管)ができて、黄斑にダメージを与える[btp_line]「滲出型(しんしゅつがた)」[/btp_line]です。

    • 加齢による目の老廃物処理機能の衰え
    • 紫外線
    • 喫煙
    • 遺伝
    • 食生活の乱れ

    これらの要素も、加齢黄斑変性の一因ではないかと考えられています。

    加齢黄斑変性を予防するには?

    加齢黄斑変性の予防には、眼科での定期検診がおすすめです。
    加齢黄斑変性は、初期は自覚症状が少なく、気づいたときには症状が進んでいることも…。自覚症状がなくても、定期的に眼科で検査を受けるようにしましょう。

    • 高齢である
    • 喫煙習慣がある
    • 身内に加齢黄斑変性の方がいる

    以上の項目に当てはまる方は、特に注意が必要です。
    また、日々の生活のなかでできる予防策としては、以下のような取り組みも挙げられます。

    禁煙

    喫煙は、加齢黄斑変性の前兆とされる「網膜への老廃物の蓄積」や「網膜細胞の色素異常」を促すとされています。早めの禁煙を心がけましょう。

    紫外線対策

    太陽光に含まれる紫外線も、加齢黄斑変性の要因のひとつとされています。帽子やサングラス、日傘などを身につけ、紫外線から目を守りましょう。

    肥満解消

    欧米では、加齢黄斑変性と肥満の関連性が重視されています。肥満になると動脈硬化が起きやすくなり、黄斑のある網膜の血流が悪くなってしまうからです。肥満気味の方は、バランスのよい食生活を心がけ、定期的に運動しましょう。

    食生活の見直し

    加齢黄斑変性を予防するには、目によいとされる栄養素を積極的に取り入れましょう。
    ビタミンCやビタミンE、亜鉛などの栄養素は、活性酸素の影響から網膜を守ってくれます。ルテインやゼアキサンチンは、黄斑のはたらきを補う効果も。
    これらの栄養素は、ほうれん草やにんじん、かぼちゃなどの緑黄色野菜に豊富に含まれています。ときには、サプリメントも活用しながら、目にやさしい食生活を心がけましょう。

    加齢黄斑変性の治療方法は?

    加齢黄斑変性の治療方法は、「萎縮型」と「滲出型」でそれぞれ異なります。

    「萎縮型加齢黄斑変性」の治療

    萎縮型加齢黄斑変性は今のところ有効な治療法がないため、サプリメントの服用や生活習慣の改善を行います。萎縮型から滲出型に移行する可能性もあるため、定期的な検診が必要です。

    「滲出型加齢黄斑変性」の治療

    滲出型加齢黄斑変性の治療法は、大きく分けて3種類あります。

    • 抗血管新生療法…薬剤を眼球に注射して新生血管を沈静化する方法です。「抗VEGF療法」とも呼ばれます。麻酔をするため、痛みはほとんどありません。入院せず外来でできる治療です。
    • 光線力学的療法…光に反応する薬剤を体内に注射し、薬剤が新生血管に到達したら、微弱なレーザーを照射して、新生血管を破壊します。
    • レーザー光凝固術…新生血管を直接レーザーで破壊し、黄斑へのダメージを緩和する方法です。

    加齢黄斑変性の予防は周囲の協力も大切!目の健康を守ろう

    加齢黄斑変性は、失明につながることもある重大な目の病気です。しかし、研究に伴い有効な治療法や予防策も開発されています。
    加齢黄斑変性を予防するには、定期的な通院や生活習慣の改善など、周囲の人々の協力が大切です。介護スタッフの方は予防策を理解し、利用者さんの目の健康を守りましょう。

  • 高齢者の食欲不振の原因は?介護スタッフができる対策も

    高齢者の食欲不振の原因は?介護スタッフができる対策も

    高齢者の方のなかには、「お腹がすかない」「これ以上食べられない」と、食欲不振を訴える方もいらっしゃいます。加齢が進めば食欲が落ちやすくなるとはいえ、食欲不振が続くと健康に悪影響を及ぼすことも。そこで今回は、高齢者の方の食欲不振の原因について解説。介護スタッフがとるべき適切な対策を紹介します。利用者さんの食欲不振に悩む介護スタッフの方は、ぜひ参考にしてください。

    高齢者の食欲不振の原因は?

    高齢者の方が食欲不振になる原因は、肉体的なものから精神的なものまでさまざまです。
    大きく分けて以下の5つの原因が考えられます。

    • 身体の老化によるもの
    • 口腔状態によるもの
    • 生活習慣によるもの
    • 病気によるもの(※薬の副作用含む)
    • ストレスによるもの

    それぞれの原因について理解していきましょう。

    身体の老化によるもの

    高齢者になると、消化・吸収機能が低下し、便秘にもなりやすくなります。
    また、膝や腰の痛みがきっかけで運動不足になると、消費エネルギーも少なくなるため、空腹を感じにくくなってしまうのです。

    口腔状態によるもの

    口腔状態が悪化すると、嚥下や咀嚼がうまくできず、食欲不振を招くことがあります。
    入れ歯や差し歯の状態が悪いと、食べること自体がストレスになってしまうことも。高齢者の方が食欲不振を訴えた際は、口腔状態に問題がないかチェックしましょう。

    生活習慣によるもの

    睡眠不足や運動不足など、生活習慣が不規則になると、自律神経が乱れて食欲がわきにくくなります。早寝早起きであっても睡眠が浅く、実は睡眠不足…というケースもあるのです。

    病気によるもの

    風邪や胃炎、心不全などの病気が原因で、食欲不振に陥るケースもあります。身体的な病気に限らず、老人性うつなどの精神的な病がきっかけで食欲が低下することも。また、服用する薬の種類によっては、副作用で味覚が変わったり、食事中、眠気に襲われてしまったりすることもあります。

    ストレスによるもの

    家族や友人との別れ、介護施設への入居などの環境の変化がストレスとなり、食欲不振を招くことがあります。「一人暮らしになり食事がつまらない…」「介護スタッフに食事の好みや要望をうまく伝えられない…」といったストレスを軽減するには、[btp_line]周囲の理解と協力が必要[/btp_line]です。

    高齢者の食欲不振を放置するとどうなる?

    長期的に食欲不振が続くと[btp_line]「低栄養」[/btp_line]になってしまいます。
    低栄養とは、健康を維持するのに必要な栄養素が足りない状態のこと。特に75歳以上の後期高齢者の方に多く、低栄養状態が続くと以下のような症状が現れます。

    • 体重の急激な低下
    • 皮膚の炎症
    • 骨粗しょう症
    • 免疫力の低下
    • 低血糖による意識障害

    ほかにも、低栄養はさまざまな症状を引き起こします。最悪の場合、命の危険に繋がることも。
    低栄養にならないためには、食欲不振の予防・改善が大切なのです。

    高齢者が食欲不振になったときの注意点は?

    高齢者の方が食欲不振になった場合、家族や介護スタッフはどのような点に気をつければよいのでしょうか?

    無理に食べさせない

    食欲不振が心配だからといって、もっと食べるようプレッシャーを与えたり、焦って怒ったりするのはやめましょう。「食べなければいけない」と思い詰めると、さらに食が進まなくなってしまいます。

    水分補給を心がける

    高齢者の方が食欲不振になった際は水分不足に注意が必要です。本来、食事から摂取するはずの水分が足りなくなり、脱水症状を引き起こしてしまうことも。水やお茶、スポーツドリンクなどの水分をこまめに摂取してもらいましょう。

    改善が見られない場合は医療機関などに相談を

    「どうしても食欲不振の原因がわからない」「何をしても改善が見られない」このような場合は、医師や管理栄養士などに相談しましょう。専門家に相談することで、食欲不振の根本的な原因が見つかるかもしれません。

    高齢者の食欲不振を改善する方法は?

    高齢者の方が食欲不振になった際、家族や介護スタッフができる具体的な対策を紹介します。

    食べやすいようメニューや調理法を工夫する

    食欲がないときは、小さめのおにぎりやサンドイッチなどの手軽につまめる料理や、雑炊やうどん、茶碗蒸しといった喉越しのよい料理がおすすめです。
    また、たくさんの料理が目の前にずらりと並んでいると、プレッシャーを感じやすくなります。はじめは少なめに盛りつけ、食べられそうなら追加するとよいでしょう。

    食事の環境を変えてみる

    一人きりで食事をすると、不安感や孤独感を抱きやすくなります。他の人と食卓を囲めば、会話が弾み、安心感が生まれ、食欲がわきやすくなるでしょう。
    また、食事中テレビをつけると、気が散ってしまい、食事に集中できなくなる場合も。無音を避けるなら、リラックスできる音楽などがおすすめです。

    高齢者の食欲不振対策に焦りは禁物!

    介護施設の利用者さんが食欲不振になると、どうしたらよいか不安になってしまう介護スタッフの方も多いでしょう。
    高齢者の方の食欲不振の原因はさまざま。施設内で解決できる場合もあれば、医療機関への受診が必要な場合もあります。
    まずは適切な対応策を知り、せっかくの食事の時間が利用者さんのストレスになってしまわないよう気をつけたいですね。

  • 介護施設で運動会!おすすめレクリエーションや企画のポイントは?

    介護施設で運動会!おすすめレクリエーションや企画のポイントは?

    10月の第二月曜日は「スポーツの日」。健康な社会の実現を願い定められた、国民の祝日のひとつです。スポーツの日にちなんで、運動会の開催を予定している介護施設も多いのではないでしょうか?
    一方で、介護施設の利用者さんは、身体状態がさまざま。安全にみんなで楽しめる企画を考えるのは、なかなか難しいですよね。
    そこで今回は、介護施設で運動会を行う際のレクリエーション企画のポイントについて解説します。運動会の企画を任された介護スタッフの方は必見です!

    介護施設で運動会を行う目的は?

    介護施設で運動会を行う目的は、「身体機能の維持向上」「コミュニケーションの促進」などさまざまです。また、身体を動かしたり、声を出して応援したりすることで、「ストレス解消効果」も期待できます。

    介護施設で運動会を企画するときのポイント

    介護施設で運動会を企画する際は、以下の3つのポイントに気をつけましょう。

    安全面の配慮

    まず大切なのが安全対策です。運動会では利用者さんが競技に熱中するあまり、転倒してしまうおそれも。
    「ケガのリスクが低い競技を選ぶ」「なにかあればすぐに手を差し伸ばせるよう、スタッフを配置する」など工夫し、利用者さんが安心・安全に運動会を楽しめるようにしましょう。
    また、コロナ禍においては、感染症予防対策も重要です。換気の徹底のほかにも、物の共有を避け、利用者さん同士が密にならないよう心がけましょう。

    利用者さん全員が楽しめる企画を

    介護施設によっては、耳の遠い方や車椅子の方もいらっしゃるでしょう。
    「車椅子の方も参加できる競技を取り入れる」「耳の遠い方の近くには介護スタッフを配置しサポートする」などの心配りが大切です。

    計画書は綿密に

    利用者さんに運動会を楽しんでもらいたいと張り切るあまり、体力的にハードな内容にならないよう気をつけましょう。
    「利用者さん自身が参加する競技」と「見て楽しむ競技」をバランスよく配分すると、高齢者の方も無理なく運動会を楽しめますよ。

    介護施設で行う運動会!おすすめプログラムは?

    ここからは、介護施設の運動会でオススメのプログラムを紹介します。
    車椅子のまま参加できる種目もありますので、ぜひ参考にしてください。

    開会式&選手宣誓

    運動会気分を盛り上げるのにおすすめなのが、「開会式」や「選手宣誓」です。利用者さんと介護スタッフを紅白の組に分ければ、同じチームの仲間を応援したり、相手チームの健闘をたたえたりと、心の交流に繋がります。さらにおそろいの紅白帽やハチマキを身につけると、やる気が高まること間違いなし!
    開会式では、準備体操も忘れず行いましょう。運動前に身体をほぐすのに加え、リラックス効果も期待できますよ。

    借り物競争

    お題に合うアイテムを会場内から借りてゴールを目指す「借り物競争」は、運動会の定番種目。借り物競争のメリットは、施設みんなが一体となり楽しめることです。ハンカチや杖などの品物以外に「昔、○○だった人」「介護スタッフで一番○○な人」のように、人をお題にするのも盛り上がります。借り物競争は運動量が多いため、転倒に気をつけましょう。介護スタッフが選手を務め、利用者さんには貸し出す側や応援を楽しんでもらうのもおすすめです。また、借りた品物は紛失しないよう、すぐに返却しましょう。

    玉入れ

    グループの輪の中心に置いたカゴに玉を投げ、入った数を競います。
    ポイントは、誰もが玉がカゴに入った喜びを味わえるよう、カゴの位置や大きさを工夫すること。全員が座ったまま行えば、車椅子の方も平等に楽しめます。座って行う場合、転倒を防ぐため、落ちたボールを拾うのは、職員が担当しましょう。
    また、投げたボールが当たっても痛くないよう、お手玉や柔らかいボールを使うのがおすすめです。

    リレー

    リレー競技の中には、ボールリレー(大玉送り)やスプーンリレー、豆つかみリレーなど車椅子の方も楽しめるものもあります。
    これらのリレーを普段のレクリエーションの時間に行っている施設も多いでしょう。ルールに慣れ親しんだ競技なら、利用者さんもすんなりと楽しめます。

    綱引き

    介護施設向けにアレンジすれば、綱引きも楽しめます。綱の代わりに、紙紐や和紙を使ったミニ綱引きはいかがでしょうか。団体戦ではなく、1対1で引っぱり合い、紐がちぎれてしまったほうが負けです。これなら座ったままでも楽しめますし、転倒の心配もありません

    介護施設の利用者さん全員が楽しめる運動会を企画しよう!

    介護施設で運動会を企画する際は、耳の遠い方や車椅子の方も楽しめるようプログラム内容や介護スタッフの配置を工夫しましょう。
    運動会は、種目に参加する側だけでなく、応援する側も楽しめるイベントです。
    事故やケガがないよう、安全対策にも十分配慮し、利用者さんみんなが笑顔になれる運動会を目指してくださいね。

  • 介護施設におすすめ秋の外出レク!企画のポイントは?

    介護施設におすすめ秋の外出レク!企画のポイントは?

    暑い夏が過ぎると、過ごしやすい秋の到来です。そこで積極的に企画したいのは外出レク。施設の中にこもりきりでは、季節感もなく生活に張りがなくなってしまいます。暑さが厳しい季節は難しいですが、暑さが和らいでくる秋には、定期的に外出の機会を作るのがおすすめです。今回は、外出レクが利用者さんに与える効果や気を付けるべきポイントをご紹介します。外出に最適なスポットも紹介するため、秋のレクリエーション企画の参考にしてみてください。

    外出レクが利用者さんに与えるいい効果は?

    外出レクは、高齢者にいい効果を与えるとされています。どんな効果があるのか、具体的に確認していきましょう。

    引きこもりの防止や介護予防になる

    普段施設の中で多くの時間を過ごしていると、外出することが億劫になることも考えられます。部屋でいろいろなことを考える時間が増えると、ネガティブな気持ちになってしまい、最悪の場合うつ病などの発症につながることもあるでしょう。外に出て季節の移り変わりを感じることで五感が刺激され気持ちも前向きになり、引きこもりの防止にもなります。

    認知症の予防になる

    外出は認知症の予防にも効果があるとされています。外に出ることでいつもとは違う風景を目にすることになり、施設外の人とコミュニケーションをとる機会もできるでしょう。それが脳への刺激となり、認知機能の低下を防止。また、認知症を発症している場合でも、「1週間のうち3日以上外出する方は1年後も同じくらいの自立度であった」というユニ・チャーム株式会社の調査結果もあり、外出することで認知症の進行を遅らせる効果があることもわかっています。

    体力の向上につながる

    定期的に体を動かすことで、運動不足を解消することにもなります。活動量が多いことにより、骨粗しょう症や糖尿病、心疾患、高血圧といった高齢者によく見られる病気が発症しにくくなるそう。体の元気は心の元気にもなり、毎日を生き生きと過ごすことにもつながります。足腰を鍛えることで、健康が維持・増進でき、結果的に介護予防にもなるでしょう。

    孤独感を軽減できる

    行動範囲が狭まると、関わる人も限定されてしまい、孤独を感じる高齢者も少なくありません。そうなると引きこもりやすくもなり、悪循環を招きます。定期的に外出することで社会とのつながりを感じられたり人とのコミュニケーションが取れたりと、孤独感を軽減することにもなるでしょう。

    外出レクで気を付けるポイントは?

    外出レクの際には、利用者さんが気持ちよく過ごせるよう、気を付けるべきポイントがあります。詳しく見ていきましょう。

    秋もまだまだ暑い!熱中症対策は万全に

    最近は残暑も厳しく、秋になり日差しは和らいだとはいえ、まだまだ暑い可能性があります。夏と同様、熱中症対策は欠かせません。具体的には、[btp_line]こまめな水分補給と塩分補給[/btp_line]です。日なたは暑くて外にいるだけで疲れてしまうため、歩く道はできるだけ日陰を選びましょう。できれば日傘をつかったり帽子をかぶったりしておくことも大切です。環境省が公開している「熱中症予防情報サイト」をチェックし、暑さ指数により外出を決行するかどうかの指標にするのもいいかもしれません。

    トイレや休める場所は事前にチェック

    利用者さんが外出を億劫に感じるのは、転倒や失禁の心配といった心理的要因もあります。排尿の間隔が短い利用者さんもいるはずです。失禁で落ち込んでしまう利用者さんも少なくないため、トイレの場所は必ず事前に確認しておきましょう。車椅子用のトイレがあるかどうか、場所はどこかという点を確認しておき、こまめにトイレに行けるようにしておきましょう。また、疲れると思うように体が動かなかったり、転倒してしまったりするリスクもあります。定期的に休憩時間を設けるほか、休める場所もきちんと確認しておきましょう。

    億劫にならないよう外出レクの目的を作る

    理由がない外出を面倒に感じる利用者さんも少なくないでしょう。紅葉を見に行く、秋の花を見に行く、美味しいごはんを食べに行く、お祭りに行くといったように、外出レクの目的づくりは欠かせません。目的が明確になることにより外出への意欲になり、心の元気にもつながります

    秋の外出レクにおすすめのスポット

    秋の外出レクは、季節の移ろいが感じられる場所を選ぶのがおすすめです。

    コスモスやダリアの景色に癒される|秋の花畑

    秋はコスモスやダリア、コキアなど、秋の花々で季節を感じるのもいいでしょう。植物公園などの花畑に訪れる外出レクもおすすめです。辺り一面に広がる花畑は、目でも香りでも楽しませてくれるため、さまざまな刺激になるでしょう。開放的な空間で過ごす時間は、気持ちをリフレッシュさせてくれるかもしれません。

    秋を実感できる|紅葉狩り

    秋と言えば紅葉は欠かせません。赤や黄色が織りなす色鮮やかな景色は、見ごたえも十分。紅葉の見頃はエリアや気温によっても違うため、ベストなタイミングを狙って外出レクの予定を立てましょう。

    残暑厳しい時期にも安心|水族館

    水族館であれば涼しい館内でのんびり楽しむことができるため、残暑厳しい時期にもおすすめです。非日常的な空間の中、きれいな魚たちの姿を真剣に見る利用者さんの姿が見られるはず。館内はバリアフリーかどうか、事前に確認しておきましょう。

    にぎやかな雰囲気で楽しめる|秋祭り

    近隣の行事で秋祭りを開催しているのであれば、その日に外出レクを企画するのもいいでしょう。にぎやかな雰囲気を味わうだけで、たくさんの刺激を受けることができるはず。神楽や太鼓など利用者さんの好みそうなプログラムがあるなら、その時間を狙って外出してみるのもおすすめです。

    外出レクはいい効果がたくさん!

    今回は介護施設の外出レクについてご紹介しました。外出レクには利用者さんの心と体の健康をサポートするさまざまな効果があります。暑い夏は施設内で過ごす時間が多い分、秋には積極的に外出レクを企画して、いい刺激を与えられるといいでしょう。楽しいレクリエーションで、利用者さんが元気に過ごすサポートをしてあげてください。

  • 【介護職の転職】転職エージェントおすすめ5選!

    【介護職の転職】転職エージェントおすすめ5選!

    転職には、転職サイトを使う方法と転職エージェントを使う方法があります。転職サイトは求人探しから応募までを自分で行いますが、それに対して転職エージェントは、転職にかかるすべての工程をサポートしてくれるのが特徴です。希望に沿った求人を提案してくれるため、理想通りの仕事を見つけやすくなるでしょう。企業とのやりとりや応募書類の添削、模擬面接など手厚いサポートも!介護職向けの転職エージェントを見ていきましょう。

    全国に支社を持つ「介護ワーカー」

    出典:公式サイト

    介護ワーカーの特徴

    「介護ワーカー」は、介護職求人に特化した転職エージェントです。全国に支社があり、どのエリアの転勤にも対応しています。正社員だけでなく、パートやアルバイトといった働き方の求人も見つけること可能。対応してくれるのは、介護職専門のアドバイザーです。条件がよく転職サイトに載せると求人が殺到するような条件の良い非公開求人も多数保有。職場の雰囲気や実際に働く方の声といった情報も教えてもらえるため、働く姿をイメージしやすくなるでしょう。

    サービス名介護ワーカー
    対応エリア全国
    公開求人数90,343件(2022年7月現在)
    相談方法対面・電話・Web
    受付時間情報なし
    サイトURLhttps://kaigoworker.jp/

    転職ノウハウと安心感を提供「マイナビ介護職」

    出典:公式サイト

    マイナビ介護職の特徴

    人材関連ビジネスを展開する株式会社マイナビの介護職に特化した転職エージェントが、「マイナビ介護職」です。サポートを担当してくれるのは、介護・福祉専門のキャリアアドバイザー。1対1でサポートしてくれるため、気軽に相談することができます。役職別・休日・出張など、さまざまな形で相談会を実施しているのも特徴です。全国21会場にて転職相談会も実施しており、悩みを相談することもできます。面接の日時調整なども代行してくれるため、仕事をしながらの転職活動も進めやすいでしょう。

    サービス名マイナビ介護職
    対応エリア全国
    公開求人数70,024件(2022年7月現在)
    相談方法対面・Web・電話・メール
    受付時間平日9:30~17:00(電話の場合)
    サイトURLhttps://kaigoshoku.mynavi.jp/

    無資格・未経験の転職を応援「かいご畑」

    出典:公式サイト

    かいご畑の特徴
    「かいご畑」は、無資格・未経験から介護職への転職を考えている方をサポートする転職エージェントです。厚生労働大臣認可の就職支援となっており、安心して利用することができるでしょう。無資格・未経験でも応募できる求人が多数掲載されているため、希望に沿った仕事を見つけることができます。働きながら、費用をかけずに介護資格が取得できるキャリアアップ応援制度もあり、未経験からキャリアアップしていきたい方にも最適です。公式サイトには介護についての知識を学べるコラムも多数掲載されています。

    サービス名かいご畑
    対応エリア全国
    公開求人数9,751件(2022年7月現在)
    相談方法対面・電話
    受付時間9:30~21:00
    サイトURLhttps://kaigobatake.jp/

    派遣の仕事も見つけられる「ミラクス介護」

    出典:公式サイト

    ミラクス介護の特徴

    「ミラクス介護」は、介護職・介護スタッフの求人に特化した転職エージェントです。登録すると人材コンサルタントが担当につき、最適な求人を提案してくれます。正社員の求人はもちろんのこと、派遣・紹介予定派遣などの働き方の仕事も見つけることができるでしょう。職場環境や人間関係など、職場の良いところや悪いところまでしっかり紹介してくれるため、入職後のミスマッチを防ぐことにもつながります。

    サービス名ミラクス介護
    対応エリア全国
    公開求人数124,333件(2022年7月現在)
    相談方法対面・電話・問い合わせフォーム
    受付時間情報なし
    サイトURLhttps://kaigo.miraxs.co.jp/

    会員登録後のスカウト経由で内定率アップ「リジョブケア」

    出典:公式サイト

    リジョブケアの特徴

    「リジョブケア」は、介護やリハビリ・看護・ソーシャルワーカーなどといった仕事に特化した転職エージェントです。会員登録をすると求職者の経歴を見た企業からスカウトがくることもあります。スカウト経由であれば、内定率が1.4倍になるそう。無資格・未経験OKの求人や非公開求人もあります。リジョブケアから応募して採用されると、お祝い金がもらえるという嬉しいサービスがあるのも特徴です。

    サービス名リジョブケア
    対応エリア全国
    公開求人数17,627件(2022年7月現在)
    相談方法マイページやフォームなどから問い合わせ
    受付時間情報なし
    サイトURLhttps://relax-job.com/kaigo

    転職エージェントで希望通りの仕事場を見つける

    今回は、介護職に特化したサポートを展開する転職エージェントをご紹介しました。転職エージェントを上手に利用し、希望に沿った求人を見つけましょう。転職サイトに掲載されていない介護の非公開求人を紹介してもらえる点も、転職エージェントならではのメリットです。今回ご紹介したどのサービスも無料で利用可能となっています。転職を考えているなら気軽に活用してみましょう。

  • 介護の転職サイト&求人サイトおすすめ5選を紹介!

    介護の転職サイト&求人サイトおすすめ5選を紹介!

    転職を考えるときに転職サイトを参考にする方は多いですよね。介護業界にもさまざまな転職サイトがあり、サイトによって対象エリアや求人数、サポートなどに特色があるため、ご自身に合った転職サイトを利用することが大切です。この記事では介護の転職サイトおすすめ5選をご紹介!会員登録なしでもすぐに求人情報を閲覧できるサイトをまとめていますので、ぜひ参考にしてくださいね。

    専門アドバイザーの手厚いサポートが魅力「介護ワーカー」

    出典:公式サイト

    介護ワーカーの特徴

    「介護ワーカー」は全国の介護職に特化した求人を掲載する転職サイト。2022年8月時点で[btp_line]90,000件以上の求人[/btp_line]が公開されています。全国に支社・事業所があり、介護職専門アドバイザーの転職サポートを受けられるのが魅力です。同転職サイトでは、登録せずに求人を閲覧できますが、無料登録をすれば非公開求人も見ることができます。好条件の求人が見つかる可能性も高まるので、登録してみるのもおすすめ。2022年8月時点で、中四国の求人数は7,000件以上!希望職種のほか、路線・駅からも選べるので、働きたいエリアの求人も探しやすいですよ。

    サービス名介護ワーカー
    対応エリア全国
    公開求人数(2022年8月9日時点)90,467件
    募集している雇用形態正社員・パート・派遣
    サイトURLhttps://kaigoworker.jp/

    無料で介護資格が取れる「かいご畑」

    出典:公式サイト

    かいご畑の特徴

    全国各地の介護職の求人を掲載する「かいご畑」。地域密着型のネットワークを活かし、幅広い求人を掲載する転職サイトです。介護資格を保持するスタッフが転職活動に寄り添い、希望に合った転職先が見つかるようにサポートしています。

    同転職サイトの大きな特徴は、無料で介護資格が取れるキャリアアップ応援制度です。通常約1万円かかる介護福祉士や、約10万円かかる実務者研修といった講座を0円で受講可能。無資格・未経験で介護業界に転職したいと考えている方にはうれしいサービスですね。

    サービス名かいご畑
    対応エリア全国
    公開求人数(2022年7月時点)9,751件
    募集している雇用形態正社員・パート・派遣
    サイトURLhttps://kaigobatake.jp/

    介護職おすすめの転職サイト1位「ミラクス介護」

    出典:公式サイト

    ミラクス介護の特徴

    2020年の日本トレンドサーチ「介護職がおすすめする求人サイト」で1位を獲得した「ミラクス介護」。介護職や看護助手だけでなく、栄養士などさまざまな職種の求人を検索できる転職サイトです。全てのサービスが無料で紹介を受けられ、登録料や利用料がかかることはありません。

    応募内容で不安なことがあれば、担当者に相談でき、施設の面接・見学の調整を依頼できます。同サービスを利用して転職した方の中には、年収が約80万円上がった方もおり、好条件での介護求人が探しやすい転職サイトだといえるでしょう。

    サービス名ミラクス介護
    対応エリア全国
    公開求人数(2022年8月現在)124,456件(総求人数) 91,466件(非公開求人数)
    募集している雇用形態正社員・パート・派遣
    サイトURLhttps://kaigo.miraxs.co.jp/

    会員数100万人以上を誇る「ジョブメドレー」

    出典:公式サイト

    ジョブメドレーの特徴

    医療介護従事経験者が運営する転職サイト「ジョブメドレー」。医療・介護分野の求人が閲覧でき、会員数は100万人以上にのぼります。これまでにメディア掲載実績も多数あり、条件に合う求人が探せると好評です。同転職サイトでは、応募後に直接事業所とやり取りできます。サイトを介さないで済むため、スピーディーなやり取りができるのがメリットです。スカウトや求人情報がメール・LINEで届く機能もあり、手間なく転職先が探せるのも魅力。また同転職サイトで応募し、60日以上勤務した方は勤続支援金を受け取れるのもうれしいですね。

    サービス名ジョブメドレー
    対応エリア全国
    公開求人数(2022年8月現在)362,689件
    募集している雇用形態正社員・パート・派遣
    サイトURLhttps://job-medley.com/

    地図から求人が探せる「e介護転職」

    出典:公式サイト

    e介護転職の特徴

    「e介護転職」は介護・福祉業界に特化した転職サイト。持っている資格から検索することができるので、資格保持者に有利な求人を見つけられる可能性があります。

    現在地や地図から検索できる機能があり、応募したいエリアの求人が一目で分かるのが魅力です。同転職サイトはスマートフォン専用アプリもリリースされており、5万件以上の求人情報を閲覧できます。忙しい合間にスマートフォンで介護の求人を探したい方におすすめの転職サイトです。スカウトメール機能もあるため、事業所からスカウトが来ることもありますよ。

    サービス名e介護転職
    対応エリア全国
    公開求人数(22年8月9日時点)82,846件
    募集している雇用形態正社員・パート・派遣
    サイトURLhttps://www.ekaigotenshoku.com/

    介護の転職サイトをうまく活用しよう!

    介護の転職サイトを5つご紹介しました。会員登録すると未公開求人が見られる転職サイトもあり、選択肢の幅を広げられることがあります。初めての転職で不安な方はサポートの手厚い転職サイトに登録してみるのもおすすめです。今回ご紹介した転職サイトをうまく活用し、希望に合った転職先が見つけてくださいね。
    ※2022年8月の情報です。

  • 介護業界は残業が多い少ない?本当のところを徹底リサーチ!

    介護業界は残業が多い少ない?本当のところを徹底リサーチ!

    介護業界で働きたいと思ったときに、勤務形態は気になるところ。「できれば、残業が少ないほうがよい」「実際はどのくらい働くの?」と、要望や疑問が膨らんでいる方もいるのではないでしょうか?そこで、この記事では介護業界の残業事情を徹底リサーチ。職種別の残業時間や他業種との比較、具体的な残業内容についてまとめました。これから介護職として働きたい方、介護業界の残業事情を知りたい方はぜひご覧ください。

    介護職の残業時間はどのくらい?

    まずは、公益財団法人 介護労働安定センターが行った「令和2年度介護労働実態調査」の「介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」をもとに、介護職の残業時間数について見ていきましょう。

    訪問介護員の残業時間

    訪問介護員は、訪問介護を行う専門職のこと。ホームヘルパーと呼ばれることもあります。訪問介護員の1週間の残業時間数は、以下のとおりです。

    <訪問介護員の1週間の残業時間数>

    無期雇用社員有期雇用社員
    残業なし68.6%71.2%
    5時間未満13.8%11.9%
    5時間以上10時間未満6.5%4.6%
    10時間以上15時間未満2.1%1.1%
    15時間以上20時間未満0.5%0.4%
    20時間以上0.4%0.4%
    無回答8.1%10.4%

    なお、今回参考にしたデータでは、契約期間に期限がない「無期雇用社員」と期限がある「有期雇用社員」で分けて調査が行われました。簡単にいうと、無期雇用社員が正社員の方、有期雇用職員が契約社員の方で、データが分けられています。

    このデータによると、無期雇用社員の訪問介護員の平均残業時間は1.1時間。有期雇用社員の訪問介護員では平均0.8時間と[btp_line]残業がほとんどない[/btp_line]ことが分かります。

    サービス提供責任者の残業時間

    サービス提供責任者は、訪問介護事業所を運営する上で要となる役職です。略称で「サ責」とも呼ばれます。サービス提供責任者の1週間の残業時間数は、以下のとおりです。

    <サービス提供責任者の1週間の残業時間数>

    無期雇用社員有期雇用社員
    残業なし51.0%46.5%
    5時間未満22.2%27.2%
    5時間以上10時間未満13.1%12.4%
    10時間以上15時間未満5.5%5.7%
    15時間以上20時間未満0.9%0.5%
    20時間以上0.8%0.7%
    無回答6.6%6.9%

    先ほどの訪問介護員よりも残業する割合は高いものの、ほぼ半数は残業がないと回答しています。無期雇用社員のサービス提供責任者の平均残業時間は2.3時間。有機雇用社員のサービス提供責任者の平均残業時間も2.3時間です。

    介護職員の残業時間

    介護職員は、利用者さんに直接介護サービスを提供する役職のこと。介護職員の1週間の残業時間数は、以下のとおりです。

    <介護職員の1週間の残業時間数>

    無期雇用社員有期雇用社員
    残業なし59.7%72.1%
    5時間未満24.0%16.5%
    5時間以上10時間未満8.0%4.0%
    10時間以上15時間未満1.9%1.0%
    15時間以上20時間未満0.3%0.2%
    20時間以上0.3%0.2%
    無回答5.7%5.9%

    残業なしの割合が半数以上で、とくに有期雇用社員のほうがその傾向が高いことが分かります。無期雇用社員の介護職員の平均残業時間は1.3時間。有期雇用社員の介護職員の平均残業時間は0.8時間です。

    介護支援専門員の残業時間

    介護支援専門員は、利用者さんのケアプランなどを作成するケアマネジャーのこと。介護支援専門員の1週間の残業時間は、以下のとおりです。

    <介護支援専門員の1週間の残業時間>

    無期雇用社員有期雇用社員
    残業なし63.6%63.9%
    5時間未満16.9%19.7%
    5時間以上10時間未満10.4%6.9%
    10時間以上15時間未満3.0%2.4%
    15時間以上20時間未満0.4%0.3%
    20時間以上0.5%0.2%
    無回答5.2%6.6%

    介護職員同様、半数以上が残業なしであり、雇用条件によってもあまり差がないことが分かります。無期雇用社員の介護支援専門員の平均残業時間は1.6時間。有期雇用社員の介護支援専門員の平均残業時間は1.3時間です。

    介護業界は残業が多い?それとも少ない?

    ここまで見てきて分かるように、介護業界のすべての職種で、「残業なし」である割合が高くなっています。全職種の1週間の平均残業時間数は1.5時間です。この数値を見る限り、介護業界は残業が少ない職種ではあることが分かるでしょう。さらに、厚生労働省が公表する「毎月勤労統計調査 令和4年5月分結果確報」にて、他の業界とも比較してみます。

    産業名所定外労働時間(時間)
    調査産業計9.7
    鉱業、採石業等15.6
    建設業12.0
    製造業12.9
    電気・ガス業13.7
    情報通信業14.7
    運輸業、郵便業21.2
    卸売業、小売業7.3
    金融業、保険業12.1
    不動産・物品賃貸業10.6
    学術研究等12.8
    飲食サービス業等5.1
    生活関連サービス等6.1
    教育、学習支援業10.7
    医療、福祉4.9
    複合サービス事業8.9
    その他のサービス業10.2

    この表は、17産業の1ヶ月の残業時間数を調査したデータをもとに作成しています。介護職は「医療、福祉」に該当し、全産業の中でも[btp_line]残業時間数が1番少ない[/btp_line]結果となりました。この結果からも、介護業界は残業の少ない職種といえるでしょう。

    介護職に多い残業内容とは?

    全産業と比べて残業時間が少ない介護業界ですが、時間外勤務を行う場合にはどんな仕事をしていることが多いのでしょうか。全国労働組合総連合が公表した「介護労働実態調査 報告書」をもとに、残業内容について見ていきましょう。

    介護記録や介護計画などの作成

    介護職は、利用者さんのケアを行うことが主な業務ですが、介護記録や介護計画などの書類を作成する仕事も日々発生します。利用者さんのケアで手いっぱいになると、こうした書類仕事を時間内に終わらせることは非常に困難です。そのため、勤務時間外に作業を行う方が多いといいます。また、終業後ではなく、早めに出勤してこうした業務を終わらせている方もいるようです。

    利用者さんのケア

    利用者さんの体調や不測の事態が発生するなど、日々のケアも毎日同じとは限りません。そのため、日によっては利用者さんのケアが長引き、勤務時間外に対応している方も。また、訪問介護の場合は、勤務時間外にご家族への対応を行うこともあるようです。

    ケアの事前準備や片付け

    勤務時間内で効率的にケアを行うため、ケアの事前準備や片付けを、始業前や就業後に対応することもあります。とくに、終業後よりも、始業前に事前準備を行う割合が高い傾向です。終業後だけでなく、始業前の時間外勤務が想定されることも、介護職の特徴といえるでしょう。

    研修や会議など

    全国労働組合総連合の調査に回答した介護職の3人に1人は、施設内で行われる会議や資格取得のための研修などで残業をすると答えています。人手不足などから、こうした業務を勤務時間内に組み込むことが難しいようです。

    介護職は残業が少ない職種!勤務時間外対応を減らす取り組みも

    さまざまな機関が行った調査により、介護職は残業が少ない職種であることが分かりました。とはいえ、介護記録の作成やケアの事前準備など、勤務時間外に取り組んでいる業務もあるようです。こうした業務が効率化されているかも、残業の有無を分けるでしょう。介護職での就業を考えている方は、こうした基準を施設選びの際に確認してみてはいかがでしょうか。

  • 高齢者介護で大切なこととは?介護スタッフとして心がけたいポイント5つ

    高齢者介護で大切なこととは?介護スタッフとして心がけたいポイント5つ

    高齢化の進む日本において、高齢者介護の仕事は必要不可欠なもの。そのため介護業界は常に売り手市場となっており、特別養護老人ホームやデイサービス、介護老人保健施設などさまざまな職場で活躍できることが介護職のメリットです。ただし、どの職場で働くことになろうと、介護に対する姿勢や求められていることに違いはありません。そこで今回は、高齢者介護を行ううえで心がけたい大切なことを5つご紹介します。

    高齢者介護に求められる姿勢とは?

    高齢者介護の目的は、高齢者の尊厳を守ること、そして介護を受ける方の能力に応じて自立した日常の生活をサポートすることです。つまり介護職は、介護施設の利用者さんのサポートをする仕事ですが、ただやみくもに介助すればよいわけではありません。

    利用者さんの自立支援を目的とするため、まずは個々の身体能力や認知能力の現状を把握します。そして、それらを維持・向上させるためには、どのようなサポートが必要なのかを考える姿勢が求められるのです。

    また、利用者さんの尊厳を守るという観点では、利用者さん自身の希望を叶えることも大切なことです。利用者さんができるようになりたいこと、人の手を借りずにやりたいことなどを聞き、それを実現させるための配慮も高齢者介護には必要とされます。

    ポイント1:利用者さんへの思いやりの心を持つ

    高齢者介護で大切なことは、利用者さんへの思いやりの心を持つこと。具体的には、以下の点を心がけることで、利用者さんに思いやりの心が伝わるはずです。

    丁寧な会話を心がけ、利用者さんに寄り添う

    高齢者介護では、利用者さん一人ひとりの状況や体調、思いをくみ取り、丁寧に会話をすることが大切です。忙しい場面でも、機械的な対応にならないよう寄り添う姿勢を心がけましょう。

    利用者さんの尊厳を守り、対等な関係を築く

    利用者さんの希望を尊重し、サポートのやり方や声のかけ方に配慮することも大切です。利用者さんは誰しも好んで介護を受けているわけではありません。更衣や入浴などの介助を受けることに羞恥心を抱く方も多く、介護スタッフに対して本音を言い出せないというケースもあります。そのため利用者さんが気兼ねなく話ができるよう、対等な関係を築くことが重要です。

    共感する態度で接し、利用者さんを安心させる

    高齢になると、年を重ねるにつれて、これまでできていたことができなくなったり、できることが少なくなったりするのは当然のこと。しかし当事者である利用者さんは、大きな不安や恐怖を感じている場合があります。利用者さんを安心させるために大切なことは、相手の意見をむやみに否定せず、共感することです。聞き上手になり、思いやりの心を持ちましょう。

    ポイント2:前向きな姿勢で取り組む

    高齢者介護において大切なことの2つ目は、前向きな姿勢で取り組むことです。前向きに仕事へ取り組むための具体的な方法をご紹介します。

    仕事ができる人のスキルを参考にする

    介護職は経験やスキルがものをいう職業といっても過言ではありません。そのため仕事ができる同僚のスキルを参考にしたり、効率のよい方法を教えてもらったりするのがおすすめです。介護経験の浅い方の場合は、ベテランの真似をするだけでも変わってくるはず。自分の経験やスキルに自信がつけば、仕事にも前向きに取り組めるようになるでしょう。

    完璧主義になりすぎないようにする

    介護の現場では想定外のハプニングがしばしば発生し、それに応じてスケジュールや考え方などを変えながら業務にあたる柔軟性が必要になります。もちろん丁寧に仕事に取り組むことは素晴らしいですが、あまりに完璧主義に固執しすぎると業務をスムーズに進められないこともあるでしょう。場面に応じたケアができれば利用者さんの満足につながり、仕事にも前向きに取り組めるようになるはずです。

    ささいなことでもOK!成功体験を増やす

    高齢者介護の仕事において自身のスキルに自信をつけ、前向きになるためには、成功体験を積み重ねるのも大切なことです。成功体験に大小はなく、ささいなことでも構いません。例えば、利用者さんが声かけに笑顔で返してくれた、利用者さんのご家族から感謝の言葉をもらったなど。このような成功体験を増やすことで、仕事へのモチベーションがアップするでしょう。

    ポイント3:周囲に気を配り事故防止に努める

    高齢者介護の仕事は、利用者さんの命を預かる仕事でもあります。そのため、常に周囲に気を配り、事故防止に努めるのも大切なことです。特に介護現場で注意が必要なのが、転倒事故・異食事故・誤嚥事故。これらを起こさない環境が整っているかを、常にチェックしましょう。

    • 転倒が起きないよう適切に家具を配置しているか、転倒の原因になるようなものが床に落ちていないか
    • 異食や誤薬の可能性があるものを利用者さんの手の届くところに置いていないか
    • 嚥下しやすい姿勢で食事ができるよう、サポートしているか など

    できるだけ複数人のスタッフで確認し、事故を未然に防ぐ環境づくりをすることが重要です。

    ポイント4:常に情報をアップデートする

    介護業界の情報や技術は日進月歩で進化しています。そのため、高齢者介護に携わるスタッフも常に新しい情報を入手し、学ぶことを心がけましょう。

    介護スタッフ向け情報発信サイトなどを閲覧する

    介護に関する最新情報は、インターネットから入手するのもおすすめです。その際に大切なことは、厚生労働省・医学関連学会・介護関連協会のホームページなど、エビデンスの確かなサイトから情報を入手すること。そのほか、当サイト「中四国介護看護」などの介護スタッフ向けの情報発信サイトの情報も参考になるでしょう。

    研修会や勉強会に積極的に参加する

    高齢者介護の仕事は忙しく、自身の努力だけで情報を入手し、アップデートすることは難しいと感じる方も多いでしょう。施設内外を問わず、研修会や勉強会に参加し、情報を更新することがおすすめです。参加した際には、質疑応答タイムがあれば有効活用し、双方向での情報交換ができるよう努めましょう。

    新たな資格取得を目指し、学習の中で情報を更新する

    情報をアップデートする目的で、新たな資格取得を目指すのもおすすめです。当然のことながら、資格試験の内容は最新の情報に基づいて作成されます。そのため、試験勉強=情報のアップデートにほかなりません。また新たな資格取得は、キャリアアップや転職にも役立つでしょう。

    ポイント5:仕事の価値観が合う介護施設を選ぶ

    介護施設によって、運営方針や介護に対する考え方もさまざまです。だからこそ就職や転職をする際に大切なことは、まず施設の理念や方針を理解し、自身の考え方と照らし合わせてみること。価値観が合う施設を選ぶことで、トラブルや不満のない充実した介護スタッフ生活を送ることができるでしょう。

    高齢者介護において大切なことを知り、実践することが成功のカギ

    高齢者介護を行う介護スタッフとして、心がけたいポイントをご紹介しました。これらのポイントは現役介護スタッフの転職にはもちろん、これから介護職を目指す方の就職にもきっと役立つはずです。そして大切なことは、まず現時点でできていること、できていないことを整理すること。もしできていないことがあれば、ひとつずつ実践してみることをおすすめします。

  • 介護職としての心得って?活躍する・求められる人材になるには?

    介護職としての心得って?活躍する・求められる人材になるには?

    高齢者介護を行う介護職としての心得には、どのようなことがあるのでしょうか?利用者さんの要望に応える優しい介護スタッフも必要ですが、利用者さんのためにならないケースも。利用者さんができることは、やってもらうように促す介護スタッフのほうが、利用者さんのためになるのではないでしょうか。今回は、介護職を目指す方や現在介護職に就いている方に向け、介護職としての心得や、活躍できる・求められる人材になるために必要なことを紹介します。

    介護職で忘れてはいけないこと

    そもそも介護とは、高齢者や介護を必要とする方の食事や入浴などの介助をしたり、自立を支援したりすることを指します。こういった介護のサポートをする方々を介護職員と呼び、介護福祉士やケアマネジャーなどもその一種です。

    ここで忘れてはいけないことは、[btp_line]介護は高齢者の希望や夢を叶える仕事[/btp_line]だということ。介護では、利用者さんの選択によって、保健医療サービスや福祉サービスが受けられることが特徴です。どんなサービスを受けるのかは、利用者さん本人とその家族が介護・看護の専門家と話し合って決定します。

    ケガをして介護を必要としている利用者さんの場合、ケガの療養を行いながら寝たきりにならないようにリハビリプランを考えるのが一般的です。介護職としての心得の基本として、利用者さんへの思いやりの気持ちを持って、利用者さんの希望に合わせた介護をしていきましょう。

    現場で活躍する・求められる人材になるために

    介護職の現場で活躍する・求められる人材になるためには、どういったことを意識したら良いのでしょうか?

    「報告・連絡・相談」を確実に

    介護職はチームワークが重要で「報告・連絡・相談」が欠かせません。自分がどの業務をどこまで終えたのかを正しく引き継ぐことで、他の介護スタッフがスムーズに介護にあたることができます。

    介護現場では利用者さんのちょっとした変化を記録することで、いざというときに適切な対応を迅速に行うことが大切です。「このくらいのことなら、他の介護スタッフに相談しなくても大丈夫かな…」など、自分一人で判断しないようにしましょう。

    その気づきが、利用者さんの命を守ることにつながるかもしれません。些細な変化でも、気付いたら他の介護スタッフに相談・質問しましょう。

    社会人としてのマナーを忘れない

    社会人としての基本的なビジネスマナーを忘れてはいけません。例えば、あいさつをすることや、時間を守ることのほか、整理整頓・スタッフ間の円滑なコミュニケーションなどが挙げられます。

    仕事に限らず、人と人とのコミュニケーションの始まりはあいさつです。明るくハキハキとあいさつをしましょう。
    仕事中には会議が行われることも。時間厳守で、無断欠席をしないように注意しましょう。利用者さんに関わることをしていて時間に間に合わないようであれば、遅刻することと理由を、他の介護スタッフに連絡してください。
    職場はさまざまなスタッフが利用する場所です。誰が利用しても良いように、整理整頓しておきましょう。スタッフ間のコミュニケーションも大切です。会話の中で仕事に関するヒントが見つかることもあるでしょう。

    体調管理を万全に

    介護職は力仕事でもあります。心身ともに疲れがたまっていると、利用者さんに対するサービスの質低下が懸念されるでしょう。

    また、利用者さんは高齢の方が大半を占めるため、免疫力が低下している方も多いです。介護スタッフの体調不良が利用者さんに影響してしまうかもしれません。休日は回復に努め、趣味を楽しむなどリフレッシュする時間を確保するのもおすすめです。

    チームケアを意識する

    介護の現場では、医療分野と介護分野が連携して治療や介護にあたるチームケアを行います。相互に情報提供を行い、利用者さんを見守ることで、いざというときに最適なケアを迅速に行えるでしょう。

    各分野の専門性を理解して、チーム内の情報共有を徹底するのがおすすめです。

    常に向上心を持つ

    どんな仕事にもいえますが、常に向上心を持つことを忘れてはいけません。介護現場でも新しいケア方法や新制度など、日々進化して新しい情報が出てきます。利用者さんや自分自身のためにも、新しい情報を吸収してどんどんアップデートしていきましょう。

    自分なりの目標を掲げて、目標に向けて努力するのもおすすめです。

    これらは、介護職に限らずどの現場でも当てはまることも含まれます。近い将来に社会人となる方も、ぜひ参考にしてくださいね。

    利用者さん目線で考える求められる人材とは

    次に、利用者さん目線で考える「求められる人材」について考えていきましょう。

    接遇マナーを身につけている

    接遇マナーとは、おもてなしの心を持って相手に接するマナーのことです。利用者さんと介護スタッフの距離は近く、お互いに気持ち良く円滑に介護するには欠かせないマナーといえるでしょう。

    まずは明るく接しやすい表情で、あいさつから始めてください。そして会話をする際は、自分よりも年長者であることが多いため、どんなに仲良くなったとしても、敬語で話しましょう。また難しい内容をダラダラと説明するのではなく、簡潔にわかりやすく説明するように心がけてください。

    身だしなみを整える・横柄な態度をとらないなどの基本的なマナーも忘れてはいけません。

    介護に関する知識が豊富

    介護では、身の回りのサポートだけでなく、入浴介助や車椅子による移動介助・寝返りのサポートなど幅広い業務があります。さまざまな福祉用具を使うこともあるため、関連した知識も必要です。

    利用者さんに快適な生活を送ってもらえるようにするのはもちろん、効率的に作業する際にも欠かせないのが介護に関する専門的な知識。日頃から勉強を欠かさず、仕事に活かすようにしてください

    コミュニケーション能力の高さ

    介護ではコミュニケーションが欠かせません。会話を通じて、利用者さんの体調の変化を察知することも。利用者さんと信頼関係を築く上でも必要です。

    利用者さんが話しているのを妨げたり、話しにくい雰囲気を出したりしないように気を付けましょう。

    目の前のことだけでなく全体が見えている

    目の前の利用者さんに集中することはとても大切なことです。しかし、介護現場では目の前の利用者さんだけのケアをするのではありません。他にもたくさんの利用者さんがいます。

    目の前の利用者さんのケアをしながら、他の利用者さんの様子をチェックするといったように、全体を見ながらケアを行いましょう。

    「利用者さんに好かれる=何でも言うことを聞く」ではない

    利用者さんに好かれたいと、利用者さんの希望に何でも応えようとする介護スタッフがいます。これは本当に良いことなのでしょうか?

    利用者さんの言うことを何でも聞いていては、ただの御用聞きです。介護スタッフは介護の知識を持った専門職。利用者さんの自立を促し、日常生活を送れるように導くのが仕事です。

    利用者さんとコミュニケーションを取って信頼関係を築くことは大切。しかし、利用者さんの要望が単なるわがままの場合は、毅然とした態度で断り、正しい方向へと導くのが介護スタッフの仕事といえるでしょう。

    介護職としての心得を理解して仕事に励もう

    今回述べたポイントは、さまざまな仕事に共通する点が数多くありますが、介護職が特に気を付けるべき心得もあります。複数の専門家が関わる職場だからこそ、チームワークが重要です。また、利用者さんの症状もさまざま。症状に合わせた最適なケアができるように勉強が欠かせません。紹介した介護職としての心得を、一例として取り入れてみてくださいね。

  • 【防災の日】介護施設の防災マニュアルとは?命を守る正しい対応を学ぼう

    【防災の日】介護施設の防災マニュアルとは?命を守る正しい対応を学ぼう

    毎年9月1日は「防災の日」。この時期には、介護施設で利用者さんも含めた避難訓練や防災グッズの見直しをすることも多いのではないでしょうか。ただ、どんなに備えていても不測の事態が起こりうるのが自然災害の恐ろしさ。今回は、介護施設で発生しやすいリスクとともに、知っておきたい防災知識を詳しく解説します。いざというときに利用者さんや自分自身の命を守れるように、正しい防災マニュアルについて学んでおきましょう。

    高まる介護施設の防災意識

    毎年のように被害をもたらす豪雨災害や突然の大地震。目を覆いたくなるような被災地の状況に、自然と防災意識が高まる方も多いのではないでしょうか。

    自然災害の恐ろしさは、あっという間に被害が拡大してしまうところ。1分1秒逃げ遅れただけで、生死を分けてしまうこともあります。

    介護施設の利用者さんは、その多くが避難に支援が必要な方です。介護スタッフは避難のサポートをしつつ、自分の身も守らなくてはなりません。そのため、より一層高い防災意識を持ち、日頃から備えておく必要があります。

    2024年からは、度重なる大災害を受けて、介護施設でのBCP(業務継続計画)策定が義務化されることが決まりました。(厚生労働省、2021年4月施行「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」より )

    BCPとは、突然の災害など不測の事態が発生した際に、利用者さんの安全を確保し、必要なサービスを提供し続けるための方針やその手順をまとめた計画書のこと。このような省令が施行されたことからも、介護業界での防災意識が高まっていることが分かるでしょう。

    もし災害が発生したら?介護施設で起こりやすいリスク

    日常生活にサポートが必要な高齢者の方が多く利用する介護施設。災害時には、次のような問題が発生しやすくなります。

    情報収集が難しく、孤立する

    災害発生時には、被害状況や避難場所など正確かつスピーディに情報収集する必要があります。しかし、介護施設の利用者さんの中には情報を集める手段が分からなかったり、家族の安否が確認できなかったりして、強い不安を感じる方も少なくありません。

    自力での避難が難しく、逃げ遅れる

    介護施設には歩行が困難な方や身体が動かしづらい方、耳が聞こえにくい方など、自力での避難が難しい方が多くいます。また、普段は自力で行動できていても強い恐怖を感じ、パニックに陥ることも。その結果、転倒や思わぬケガをしてしまう方もいます。

    避難所での生活に適応できない

    災害が発生したら、まずは[btp_line]すぐに避難所を目指すことが重要[/btp_line]。しかし、無事に避難所にたどり着けたとしても、安心できる状況とは言えません。高齢者の方の中には、避難所の不便な生活に適応しきれず、体調を崩してしまう方も多いです。ましてや介護を必要とする方であれば、サポート体制の整わない避難所での生活は、余計にストレスを抱えやすくなってしまうこともあります。

    い ざというときに備えて!介護施設の防災マニュアル

    介護施設で定期的に見直すべき防災対策を挙げました。日々の備えとしてぜひ取り入れてみましょう。

    避難経路の確認

    「もし車が使えなくなったら」「もし土砂災害で道が塞がれてしまったら」など、さまざまな“もし”を想定して、複数の避難経路を確保しておきましょう。

    また、同じ避難経路であっても昼間と夜では状況が違うことも。異なる時間帯で避難経路の様子を確認しておくとより安心です。

    備品の定期チェックと備蓄

    避難できずに施設内にとどまることになっても、数日間は生活できるくらいの食料や水分を確保しておきましょう。利用者さんによっては、食物アレルギーがあったり、とろみ剤や流動食が必要だったりと食事に制限がある方も。利用者さん一人ひとりの食事方法に合わせて、必要物品をリスト化しておくといいでしょう。

    施設や家具の耐震対策

    どの程度の地震に耐えられるのか、施設の耐震性能を把握しておきましょう。
    また、地震の揺れで倒れた家具の下敷きになってしまわないように、家具をしっかりと固定化しておくことも大切。避難経路には大きな家具や倒れやすいもの、割れやすいものを置かないようにするとより安心ですね。

    緊急連絡先の把握

    利用者さんのご家族や親戚など緊急連絡先をすぐに確認できるように、リスト化しておきましょう。また、ケアマネジャーやかかりつけの病院の連絡先も把握しておくと安心。もし災害発生時に利用者さんの体調に異変が起きたとしても、迅速に対応できます。

    定期的な介護施設での防災訓練

    定期的な避難訓練は、何よりの備えです。高齢者の方の中には、突然の災害発生に対応しきれず、咄嗟の判断ができない方も多いです。日頃から避難訓練で災害の恐ろしさや対応の仕方を知っておいてもらえれば、いざというときの危機意識にもつながるでしょう。

    突然の災害発生!介護施設がとるべき応急防災対策

    実際に災害が発生したとき、冷静に対応するためには日頃からの心構えが大切。緊急時にとるべき対応についてまとめました。

    利用者さんと介護スタッフの安否確認

    まずすべきは、利用者さんと介護スタッフの[btp_line]安否確認[/btp_line]です。体調に異変がないか、少しでも変わったことがないか細かくチェックしてください。

    医療機器の使用状況を確認

    利用者さんの中には医療機器が必要な方もいます。災害による異常がないか、バッテリーの残量は十分にあるか確認しましょう。

    利用者さんを安全な場所に集める

    介護スタッフの目が行き届く範囲で、安全な場所に利用者さんを集めます。いざというときに避難しやすくなるだけでなく、利用者さんの不安な気持ちや恐怖心を和らげることにもつながるでしょう。

    避難経路の状況確認

    災害によって避難経路が寸断されていないか、危険な状況になっていないか確認します。安全な避難が難しい場合には、すぐに別の避難経路を検討し、判断することも必要です。

    エレベーターの閉じ込み確認

    エレベーターのある施設では、中に閉じ込められている利用者さんがいないか注意が必要。逃げ遅れている可能性もあるため、必ずチェックするようにしましょう。

    備蓄品をまとめる

    もし災害によって停電してしまったら、備蓄品を探すのも一苦労に。周囲が明るいうちに、できるだけ1ヶ所に備蓄品をまとめておくと安心です。

    介護施設の防災マニュアルは定期的に見直しを!

    おそらくすでに多くの介護施設では防災マニュアルを作成して、さまざまな備えをしているところも多いはず。ただ、利用者さんの状況に応じて、備蓄品や避難経路は定期的に見直す必要があります。いつ災害が起きても冷静な対応ができるよう、日頃から防災マニュアルを万全にして、防災の日などに向けて実施する訓練の機会に活用しましょう。

  • 介護職への転職でよくある失敗5選!後悔しないための対策は?

    介護職への転職でよくある失敗5選!後悔しないための対策は?

    近年、介護業界の離職率は低下しており、働きやすい職場も増えてきています。一方で、介護職に転職した方すべてが、思いどおりに働けているとは限りません。中には、「失敗した」「後悔している」と感じている方もいるようです。そこでこの記事では、介護職への転職でよく起こりやすい失敗を紹介。後悔しないための対策をお伝えしていきます。これから介護職へと転職を考えている方は、ぜひご覧くださいね。

    介護職の離職率は低下傾向に!働きやすい職場が増えてきた

    「介護業界は離職率が高い」というイメージはまだまだ強いようですが、年々その状況が改善されていることをご存じでしょうか?公益財団法人 介護労働安定センターが公表した令和2年度(2020年)の「介護労働実態調査」によると、[btp_line]同年の離職率は14.9%[/btp_line]。全産業の平均離職率は15.6%だったため、全体平均よりも離職率が低い結果となりました。この結果から、介護業界の中にも働きやすい職場が増え始めてきたことや、働く環境が改善され始めていることが伺えるでしょう。

    介護職への転職に失敗…!後悔した理由5選

    一方で、介護職に転職した方の中には、「失敗した」「後悔している」と感じている方も。このように感じた理由には、次の5つが多くあげられています。

    人手不足すぎる職場だった

    介護職は、早番・日勤・遅番・夜勤と4交代制のシフト勤務が一般的です。基本的には、夜勤をした翌日が休みとなるようにシフトが組まれます。しかし、介護施設や事業所によっては、人手が足りておらず夜勤後に休みを入れてもらえないケースもあるようです。こういった職場だと、どれだけやる気があったとしても、体力的に仕事が続けられない方も少なくありません。また、人手が足らない施設だと休日でも呼び出される可能性も高く、連休が取れないといったこともあるようです。

    教育してもらえる環境が整っていなかった

    介護施設や事業所によっては、新しく入った方を教育する環境が整っていないところもあります。とくに人手が足りないところだと、利用者さんのケアに忙しく、時間を割いて教育を行えないことがあるようです。こうしたケースでは、施設独自のルールを知らないことで発生するミスもあり、新しく入った方が戸惑ってしまうことも少なくありません。こうした悪循環の末、利用者さんを困らせてしまい、心を痛める方もいるといいます。

    事前に聞いていた雇用条件が守られなかった

    企業が新しく人を雇用するときには、働く条件を記した「労働条件通知書」を作成し、書面でも確認できるようにすることが一般的です。しかし、介護施設を運営する事業所や企業によっては、労働条件通知書を作成せずに、雇用条件は口頭で伝えるだけというところもあります。この場合、事前に聞いていた雇用条件が守られず、「給与や休日などの条件が変わっていた」というケースもあるようです。

    人間関係でのトラブル

    介護業界に限らず、人間関係のトラブルは、仕事を辞めるきっかけとなりやすいものです。年齢や性別、国籍などさまざまな価値観を持つ方が働く介護の現場では、それぞれの考え方や仕事の仕方の違いによって、トラブルとなることもあります。

    また、小規模の介護施設では人間関係も閉鎖的になりやすく、1度トラブルに発展すると働きにくさを感じる方もいるでしょう。介護の仕事自体に適性があっても、職場の働きにくさから、転職を後悔する方もいるようです。

    理想と現実にギャップがあった

    介護職として働く前に抱いていたイメージと、働いてからの現実にギャップがあった方も、転職に失敗や後悔を感じやすいといいます。「こんなに忙しいと思わなかった」「責任が重くて大変」といった声が出ることも少なくありません。

    介護職は、年間をとおして求人数が多く、未経験からでもチャレンジできる業界です。しかし、どの職業でも同じように、向き不向きがあることは否めません。働き始めてから後悔しないために、できるだけ現実的な視点で介護という仕事に向き合うことが大切です。

    介護職への転職で失敗や後悔しないための対策とは?

    介護職への転職に「失敗した」「後悔した」という思いを残さないためには、職場選びが肝心です。ここからは、介護職への転職で、失敗や後悔しないための対策について見ていきましょう。

    求人情報に待遇などが記載されているかチェック

    まず、求人情報を見たときには年間休日数や夜勤の規定、残業代などが明記されているかをチェックしていきましょう。こうした諸条件が記載されていない施設は、管理体制に問題が潜んでいる可能性があります。とくに、手当や残業代の記載が具体的でない場合、勤務時間があいまいで法律を守った職場環境が望めないことも。働く施設を選ぶときは、雇用条件がしっかり明記されているかを基準に比較していきましょう。

    職場を訪れたときのスタッフの表情を見る

    面接などで職場を訪れたときは、働いている介護職の方々の表情を見ることが大切です。明るい表情で働いている方が多いのか、疲れ切った顔の方が多いのかで、[btp_line]職場環境を推し量ることができる[/btp_line]でしょう。事前に職場見学を受け付けている介護施設であれば、応募前に訪れてみることも、転職で失敗や後悔しないための対策です。実際に出向くことで、採用後に長く働ける職場かどうかをイメージしやすくなるでしょう。

    適切な面接が受けられたかを判断する

    面接を受ける際には、その内容が適切であったかを冷静に判断しましょう。一般的な介護施設であれば、面接官から志望動機やこれまでの職歴について質問され、施設側からも理念の説明などが行われます。しかし、人手不足をとにかく解消したい施設では、面接の内容如何にかかわらず「明日からすぐに来て」と即時に内定を伝えるケースもあるのです。短時間でも適切な面接を行う企業もありますが、対応にあまりにも不安が残る場合は、十分に検討した上で勤務の可否を判断しましょう。

    募集期間や人数が適切か判断する

    介護職の定着率があまり高くない施設では、いつでも求人募集を出していたり、施設規模に対して多すぎる人数の募集を行っていたりします。こうした施設は、働く方が定着しにくい何らかの理由を抱えている可能性が高いでしょう。

    たとえば、労働時間が守られず休みが取りにくい、人間関係の風通しがよくないなどの問題が発生していることがあります。もちろん、通年で求人募集している介護施設すべての離職率が高いわけではありません。しかし、判断基準として覚えておくと転職で失敗や後悔をしにくいでしょう。

    高すぎる給与にも注意が必要

    高い給与を設定している介護施設の求人は一見すると魅力的に見えますが、[btp_line]冷静に分析することが転職で失敗や後悔しないコツ[/btp_line]です。なぜなら、同じ地域内の介護施設と比べてあまりに給与が高すぎるところは、そうしなければ人材が確保できない理由を併せ持っていることがあるため。必ずしも働きやすい職場環境であるとは限らないのです。もちろん、働く方の待遇を良くしようと奮起している施設の可能性もありますが、給与が高い理由は冷静に見極めたいところといえるでしょう。

    介護職への転職で失敗や後悔せずに長く働こう!

    介護職の転職を成功させるために、どのような職場で働くかは見極めたいポイントです。一見良い待遇に見えても、必ずしも働きやすい職場であるとは限りません。また介護職への転職で、失敗や後悔せずに長く働くためには、求人情報や募集期間などのチェックが重要です。しっかりと情報を見極めながら、自分に合った職場を探してみてくださいね。

  • 香りでケア【介護アロマセラピスト】の仕事や資格に注目

    香りでケア【介護アロマセラピスト】の仕事や資格に注目

    アロマの香りは心にやすらぎを与え、アロマ精油を取り入れたハンドマッサージなどのトリートメントは、ただパーツをほぐすよりも深く心や体をリラックス状態に導くことができます。介護の現場でもアロマを導入したケアは人気。そこで、介護アロマとはどのようなものか、介護アロマを行うには資格が必要か、といった気になる知識をお届けします。アロマ精油を活用したケアを介護現場に導入したいとお考えの方はぜひご一読ください。

    介護アロマってなに?

    アロマテラピーとは、植物から香りの成分を抽出した精油を使用して美や健康、心身のトラブルをケアする自然療法です。介護アロマは、アロマテラピーの手法を介護に応用し、体の痛みやストレスなどの軽減に役立て、心地よさを感じていただくために行われます。

    介護アロマではどのようなことをするの?

    介護アロマではどのようにアロマが取- り入れられているのでしょうか。例をご紹介しましょう。

    <介護アロマの例>

    • アロマランプを活用した芳香浴
    • フットバスなどにアロマ精油を入れた沐浴
    • アロマ精油を使用したハンドマッサージやフットマッサージなどのトリートメント

    介護アロマでは、アロマ精油をアロマランプに入れて使用することで香りを部屋に広げる芳香浴や、アロマ精油を入れて香りも楽しむフットバス、アロマ精油を使ってトリートメントなどを行います。

    介護アロマはどのような効果が期待できるの?

    介護アロマでは、精油の香りによる効果や、肌が触れあう(タッチケア)ことで得られる効果などが期待できます。

    <介護アロマで期待できる効果>

    • アロマ精油の香りによるストレス解消・リラックス効果
    • タッチケアによるストレス解消・リラックス効果
    • アロマ精油を肌に伸ばすことによる保湿効果

    アロマ精油の香りは、感情や本能に関係する大脳辺縁系や自律神経系に関わる脳の視床下部に働きかけ、[btp_line]ストレスを軽減しリラックスした状態へ[/btp_line]。また、ハンドマッサージやフットマッサージなどで高齢者と施術者の肌が触れあうことで「オキシトシン」が分泌され、安心感や信頼感が増すともいわれています。ハンドマッサージやフットマッサージなどでアロマ精油を活用すると、肌の保湿も叶うといったポイントにも注目です。

    介護アロマセラピストってなに?

    介護アロマを提供する人のことを、「介護アロマセラピスト」と呼びます。

    介護アロマセラピストの活躍場所とは?

    介護アロマセラピストの活躍場所はさまざま。介護施設で利用者さんに対して介護アロマの施術を提供したり、地域や施設などで介護アロマに関する知識を教えたりします。個人的に高齢者の方々のケアをすることも。

    どんな仕事をするの?

    もう少し具体的に介護アロマセラピストの仕事内容をご紹介しましょう。

    <介護アロマセラピストが活躍する場所の例>

    • 介護施設などで、利用者さんへアロマ精油を使用したハンドマッサージやフットマッサージなどのトリートメントを提供する
    • 介護施設のレクリエーションなどで、アロマ石けんや入浴剤、スプレー作りといったワークショップの講師をする
    • 地域や介護施設などで介護アロマについての講演を行う

    介護アロマセラピストの活動例としてハンドマッサージやフットマッサージなどのトリートメントがあります。これは、高齢者の方々の体や心の悩みにアロマ精油とマッサージなどのタッチケアでアプローチするものです。足がむくむ、肩がこるといった体の不調の緩和や、高齢者の心のケアにも役立ちます。

    近年人気のアロマ系のレクリエーションでも、介護アロマセラピストは講師として活躍!アロマ精油を活用したクラフト作り体験など、施設利用者さんに楽しい時間を提供できますよ。

    介護アロマセラピストになると、地域や介護施設、高齢者向け施設などで活躍できるようになります。身内に高齢者がいる場合、親族のケアや介護でも知識や技術を活かせるでしょう。

    介護アロマセラピストにはどんな資格はあるの?

    実は、介護現場でのアロマを活用したケアの提供は資格がなくても可能。[btp_line]「資格が必須」[/btp_line]というわけではありません。とはいえ、介護アロマセラピストとして仕事をするには、介護アロマの資格を取得することが大変重要です。数ある介護アロマに関する資格の中から代表的なものをピックアップしてご紹介しましょう。

    <介護アロマに関わる資格例>

    • 介護リハビリセラピスト(日本介護リハビリセラピスト協会)
    • 介護アロマコーディネーター(日本アロマコーディネーター協会)
    • エンカレッジ介護アロマハンドケアセラピスト(一般社団法人エンカレッジ介護アロマケア協会)
    • エンカレッジ介護アロマフットケアセラピスト(一般社団法人エンカレッジ介護アロマケア協会)

    介護アロマ関係の資格では、高齢者との基本的な接し方や、アロマテラピーを活用した高齢者へのアプローチ方法など、介護現場で働くのに適した知識や技術を習得することができます。介護アロマに資格が必須でないとはいえ、必要なノウハウを不足なく学んだセラピストのほうが、より高い水準のアロマサービスの提供が可能。施設として介護アロマの仕事を外部へ依頼する際は、適した資格を有している方にお願いしたほうが安心でしょう。また、自らが介護でアロマを取り入れたいと考えている方は、介護アロマ関係の資格取得がおすすめです。

    介護分野に特化した介護アロマセラピストになるためには、介護アロマの資格取得はもちろん、介護のノウハウやアロマテラピーの基礎知識も必要。介護系の資格に関しては、介護職員初任者研修程度の知識や技術を有しているとより安心できるでしょう。アロマテラピーに関しては、[btp_line]アロマインストラクターやアロマセラピストといった資格相当の知識が求められる場合も[/btp_line]あります。

    介護アロマで高齢者の方へやすらぎを

    介護アロマは、アロマ精油を用いて高齢者の心身にアプローチする手法。介護施設にアロマケアを導入すれば、利用者さんの不調やストレスを緩和したり、やすらぎを提供したりと幅広く役立ちます。レクリエーションでアロマ石けんや入浴剤作りを取り入れてみるのもおすすめですよ。興味がある方は、介護アロマに関わる資格を取得して、介護アロマセラピストを目指してみてはいかがでしょうか。

  • シニアのメイクセラピーとは?介護施設での取り入れ方

    シニアのメイクセラピーとは?介護施設での取り入れ方

    メイクセラピーを老人ホームや介護施設で取り入れると、利用者さんの生活の質を向上させると言われています。そもそもメイクセラピーがどういうものなのか、なぜ生活の質を向上させるのか、利用者さんへのメリットなどを見ていきましょう。また、どうすればメイクセラピストになれるのか、介護施設でメイクセラピーを行う際の料金相場についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

    メイクセラピーとは?

    メイクセラピーとは、[btp_line]化粧療法[/btp_line]のことを言います。医療行為や治療法ではありませんが、化粧を用いることで、生活の質の向上を目指すケア方法です。

    女性にとってメイクは身近な存在。メイクをすると外出モードにスイッチが入る方も多いはずです。しかし、年齢を重ねたりリハビリや治療に専念したりすると、どうしても身だしなみを整えることを後回しにしがち。また、顔に手術痕や大きなシミなどがあると、気持ちが塞ぎがちになることも…。

    メイクセラピーによって、積極的に周りの方と交流しようと行動したり、どうすればきれいにメイクできるのか考えたりするでしょう。化粧などで身だしなみを整えることで、表情が明るくなり自分らしさを表現しやすくなるメリットもあります。メイクによって気になる部分が薄らぎ、人と顔を合わせるのが楽しくなり、生きることへ前向きに考えられるようになるのです。

    メイクセラピーではメイクをするだけではありません。スキンケアや顔のストレッチを行うこともあります。スキンケアやストレッチであれば、男性の利用者さんにも抵抗なく受けていただきやすいでしょう。

    メイクセラピーによる利用者さんへのメリット

    次に、メイクセラピーが利用者さんに与える具体的なメリットを見ていきましょう。

    気持ちが安定しやすくなる

    メイクすることで鏡に映る自分がきれいに見え、明るい表情に。自己肯定感がアップし幸福感で満たされるだけでなく、安心感やリラックス効果も期待でき、気持ちの安定にも関係します。メイクすると鏡をこまめにチェックする習慣ができ、外見を意識するようになる方も多いでしょう。

    また、化粧品の香りやかわいらしいパッケージ、アイシャドウやチークのカラフルな色合いを視覚的に捉えることで、気分がアップする方もいるはず。気持ちの若返りにもつながり、「次はこの色の口紅を使おう」「今日はこの服を着たからこの色のアイシャドウにしよう」などと、美意識が高まることも期待できます。

    コミュニケーションのきっかけになる

    気持ちが安定すると、周りの方と積極的に会話を楽しむなど、コミュニケーションをとるようになります。また、周りの方も「今日のアイメイクは素敵ね」や「どんな口紅を使っているの?」など、利用者さんに話しかけるきっかけにもなるでしょう。

    口腔機能や認知機能の向上

    メイクセラピーは精神面のケアだけではありません。メイク前後に顔のマッサージをしたりホットタオルで温めたりすることで血行が良くなり、筋肉が緩むため、表情筋のトレーニングにも効果的です

    また、顔のマッサージで唾液の分泌が促され、口腔機能の向上も期待できます。メイクセラピストによる施術で得た知識を、介護施設などで利用者さんが普段にも自ら行うことで、自然と手を使う機会も増えることに。

    手を動かすことで[btp_line]脳の機能が活性化する[/btp_line]と言われているため、認知機能の向上にもつながりやすいでしょう。

    リハビリの要素も

    先ほど紹介したように、顔のマッサージやメイクで手や指を使うため、リハビリの要素も含まれます。定期的に手を使うと手の血行が良くなり筋肉が緩み、手の機能にも効果的でしょう。

    メイクセラピーの流れ

    メイクセラピーの工程を見ていきましょう。

    1. オーダーカウンセリング
    2. メイクセラピストによるメイク
    3. メインカウンセリング
    4. 利用者さんによるメイク
    5. フォローカウンセリング

    オーダーカウンセリングでは、顔の中で気になっている箇所やどんな雰囲気になりたいのかを質問します。その後、顔の半分をメイクセラピストがメイクアップ。メインカウンセリングでは、オーダーカウンセリングとの比較や、その方の魅力の発見を行います。

    残りの半顔は、メイクセラピストがレッスンしながら、介護施設の利用者さんが自身でメイク。メイク道具を持っている利用者さんであれば、普段使っているメイク道具でメイクすることも可能です。これは、普段使っているアイテムでも「こんなにも変化できる」ことをわかってもらうためです。フ

    ォローカウンセリングでは、メイクアドバイスシート(メイク方法などを記載したシート)をプレゼントしたり、利用者さんに似合う色やメイク方法を紹介したりして終了です。

    メイクセラピストになるためには

    メイクセラピストになるためには、一般社団法人メイクセラピストジャパンが行うメイクセラピー検定に合格する必要があります。検定の講座では、メイク理論や色彩学などのメイクの基本から、メイクセラピーに関する知識、心理学やコミュニケーション方法なども学習。

    メイクセラピー検定の勉強方法には、公式テキストで学んだり、eラーニングで講習を受講するほか、協会の認定校に通ったりする方法があります。

    受験レベルは3級・準2級・2級1・級・特級の5つです。2級までは誰でも受験できるため、介護スタッフが受験して資格を取得することも可能。2級からプロ向けの内容となるため、利用者さんにメイクするのであれば、少なくとも2級以上の合格が必要です。

    2級合格により、1級以上の受験ができるようになります。1級より上の特級を受験するには、1級の検定試験に合格し、活動報告書の提出や認定講座の受講が必要です。[btp_line]特級に合格すると晴れて「認定メイクセラピスト」に[/btp_line]なれます。

    メイクセラピーの料金相場

    メイクセラピーの[btp_line]料金相場は1回10,000円から15,000円ほど[/btp_line]です。地域やお店、セラピストによって違います。勤務している介護施設でメイクセラピーを導入する際は、周辺エリアでの相場をチェックしましょう。

    メイクセラピーは介護現場で注目の分野

    介護施設で過ごしている利用者さんにとって、日々の生活はマンネリ化しがちです。レクリエーションのネタが尽きてしまった、女性がの利用者さんが多い介護施設などでは、メイクセラピーを取り入れるのも良いでしょう。顔のマッサージであれば、男性利用者さんも利用しやすいはず。メイクセラピーを介護施設に導入するメリットなどを把握して、ぜひ検討してみてください。

  • 福祉美容師・介護美容師はどんな仕事?仕事内容や資格の取り方とは

    福祉美容師・介護美容師はどんな仕事?仕事内容や資格の取り方とは

    福祉美容師・介護美容師は、介護が必要な方に美容サービスを提供する仕事です。高齢化が高まる日本では、介護や福祉の現場で活躍する美容師のニーズが高まっています。そこでこの記事では、福祉美容師・介護美容師になるための方法やおすすめの資格などを紹介。これから福祉美容師・介護美容師として働きたいと考えている方に向け、その特徴をお伝えしていきます。

    福祉美容師・介護美容師の仕事とは?

    高齢化が急速に進む中、介護や福祉の現場で活躍する「福祉美容師」や「介護美容師」のニーズが高まっています。まずは、福祉美容師・介護美容師の主な仕事について見ていきましょう。

    介護が必要な方にヘアカットなどを行う仕事

    福祉美容師・介護美容師の仕事は、高齢者や障がいのある方など介護が必要な方に、ヘアカットやパーマといった美容サービスを提供すること。美容師としての資格はもちろん、介護や福祉に関する知識やスキルも求められる仕事です。

    介護施設や自宅に訪問して施術を行う

    福祉美容師・介護美容師として活動する方の多くは、介護施設や利用者さんの自宅に訪問して施術を行います。サロンに勤めながら、福祉美容師・介護美容師として働く方もいますが、近年は訪問理美容サービスを専門に行う企業も少なくありません。こうした企業では、サロンワークにとらわれずに働くことも可能です。

    福祉美容師・介護美容師に求められるスキルは?

    福祉美容師・介護美容師は、介護施設や自宅に訪問するため、そこでの準備の仕方や必要な道具の取り扱い方法も理解しておくことが必要です。一般的なサロンワークではほとんど対応することがない、寝たきりの方のヘアカットやシャンプーの技法などを求められることもあるでしょう。このほか、高齢者の方とのコミュニケーションスキルも、備えておきたいスキルです。

    福祉美容師・介護美容師に必須の資格は?

    ここからは、福祉美容師・介護美容師になるために必要な資格について見ていきましょう。

    美容師免許が必須!取得方法は?

    美容サービスを提供するためには、[btp_line]国家資格である、美容師免許の取得が必須[/btp_line]です。この免許を取得するためにはまず、厚生労働大臣または都道府県知事が認めた美容専門学校に入学し、必要な課程を修了しなければなりません。

    全日制であれば2年、通信制であれば3年の中で、必須とされる時間数以上学ぶことで美容師国家資格の受験資格を取得。その後、美容師国家資格の実技・学科試験の2つに合格すると、美容師として働く免許が得られます。将来的に福祉美容師・介護美容師として働きたい方は、まず美容師免許取得を目指しましょう。

    介護や福祉系の資格も役立つ

    福祉美容師・介護美容師になるために必須の資格は、美容師免許だけです。そのため、介護や福祉系の資格は必ずしも取得する必要はありません。しかし、福祉美容師・介護美容師は介護や福祉の現場で働くため、基本的な知識やスキルを身につけておくことはプラスになります。就職においても、介護や福祉の資格があることで、有利に働く可能性も期待できるでしょう。

    福祉美容師・介護美容師におすすめの資格

    すでに美容師免許を取得している方は、介護や福祉系の資格があると、福祉美容師・介護美容師として働きやすくなります。ここからは、福祉美容師・介護美容師を目指す際におすすめの資格について見ていきましょう。

    訪問での理美容サービスにも力を入れる「福祉理美容士」

    「福祉理美容士」は、認証NPO法人日本理美容福祉協会が認定している資格です。美容師または理容師免許を持つ方を対象に、高齢者や障がいのある方への正しい介助知識を備えたスペシャリストの育成を目指しています。将来的に、出張での理美容サービスを行いたい方にもぴったりのカリキュラムであることが特徴。2日間の実技講習以外は、自宅学習で行うプログラムのため、忙しい方でも学びやすいでしょう。資格取得後は、訪問介護や病院、介護施設などで活躍することが可能です。

    資格名福祉理美容士
    受講資格理容師、または美容師の資格を持つ方
    受講料27,000円
    講座内容自宅学習+2日間の実技講習
    会場全国各地で開催
    公式ホームページhttps://www.f-npo.org/academy.html

    講義終了後に即日交付される「訪問福祉理美容師」

    「訪問福祉理美容師」は、一般社団法人日本訪問福祉理美容協会(JVBWA)が認定している資格です。訪問美容に対する正しい知識と、高齢者などへの正しい介助・理美容知識の取得を目指しています。講座は全国各地で行われており、認定証は講義終了後に即日交付されることも特徴。訪問福祉理美容師の資格を取得された方に対し、訪問美容を行う際の準備や手続き、保険などの実務面のサポートも行っています。

    資格名訪問福祉理美容師
    受講資格・美容師または理容師の国家資格を持つ方 ※美容師または理容師試験の受験見込み証明がある方も可能
    受講料25,000円
    講座内容10:00~16:00(休憩1時間) ■訪問美容とは ■福祉・介護・医療等の基礎知識 ■訪問美容の準備・道具の取り扱い・施術時の注意 ■高齢者とのコミュニケーション ■消毒・感染症等 他
    会場全国各地で開催
    公式ホームページhttps://jvbwa.or.jp/qualification/

    クリエイティブなサービスを提供「ヘアメイクセラピスト(訪問福祉理美容師)」

    「ヘアメイクセラピスト(訪問福祉理美容師)」は、一般社団法人日本訪問理美容推進協会が証明する認定資格です。同団体では、ヘアメイクセラピストを「クリエイティブな訪問理美容師」と位置づけ、時代のニーズに合った理美容師の育成を目指しています。訪問理美容サービスの基本的な技術や知識はもちろん、キャリアアップを目指す方のサポートを行っていることも特徴です。1日研修または、オンライン講座でも資格が取得できます。

    資格名ヘアメイクセラピスト(訪問福祉理美容師)
    受講資格美容師または理容師の国家資格をもつ方
    受講料一般:27,500円 再受講:6,600円 JVPA会員:無料
    講座内容<会場講座> 10:00~12:30 オリエンテーション・座学 13:30~16:45 実技・介助基礎 ※時間は会場ごとに異なる <オンライン講座> 9:30~12:30 学科・マインドセット 実技・介助基礎は、動画にて自主学習後、レポート提出 ※希望者は会場講座の受講も可能(無料)
    会場東京都・宮城県・静岡県・オンライン ※会場は公式ホームページより要確認
    公式ホームページhttps://jvpa.club/

    介護職として働く道も「介護職員初任者研修」

    「介護職員初任者研修」は、厚生労働省によってカリキュラムが定められている研修です。この研修を修了すると、利用者さんの「身体介護」に携わることができるようになります。介護職として働き始める新人の方も受けることが多い、より介護や福祉系に特化した資格です。他の資格と比べると時間と費用がかかりますが、取得しておくと介護職として働く道も広がりやすいでしょう。研修は、民間の介護スクールで全国一律で開催されています。

    資格名介護職員初任者研修
    受講資格どなたでも受講可能 ※一部16歳以上のスクールあり
    受講料(目安)20,000~130,000円 ※スクールによって異なる
    講座内容講義+演習(130時間) ※修了試験での合格が必要 ■職務の理解 ■介護における尊厳の保持・自立支援 ■介護の基本 ■介護・福祉サービスの理解と医療との連携 ■介護におけるコミュニケーション技術 他
    会場全国各地で開催

    福祉美容師・介護美容師として活躍しよう!

    介護が必要な方にヘアカットなどを行う福祉美容師・介護美容師は、高齢化に伴い、ニーズが高まっている仕事です。美容師免許を取得している方であれば、介護や福祉の現場で、その力を発揮できる可能性が広がっています。福祉美容師・介護美容師としての活動をサポートする資格もあるため、キャリア選択の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。

  • 福祉ネイリストの資格を取るにはどうしたら良い?どんなお仕事?

    福祉ネイリストの資格を取るにはどうしたら良い?どんなお仕事?

    福祉ネイリストという仕事をご存知ですか?老人ホームや介護施設などで福祉ネイルを導入している施設もあり、注目の資格です。一般のネイリストが福祉ネイリストを取得したり、介護スタッフが取得することも。ただ、一般的なネイリストと何が違うのか疑問に思っている方もいるでしょう。今回は、福祉ネイリストとはどういう資格・仕事であるか、介護施設などで導入するメリットや注意点などについて紹介します。

    そもそも福祉ネイリストとは?

    福祉ネイルとは、[btp_line]高齢者や障害のある方に行うネイルのこと[/btp_line]で、施術者を「福祉ネイリスト」と呼びます。一般的な方に行う際は、UVライトやLEDライトで爪に塗ったジェルネイルを硬化させるジェルネイルの施術が可能です。

    しかし福祉ネイルでは、ジェルネイルは行いません。ネイルを比較的簡単に落とせるよう、低刺激で速乾性に優れたマニキュアを使います。

    爪に1色のマニキュアを塗るだけではなく、利用者さんの要望に応じて、絵や模様を描くアートをすることも。また、ネイルケアやハンドトリートメントなどを行うケースもあります。

    利用者さんがネイルサロンに行き施術を受けるのではなく、福祉ネイリストが老人ホームや介護施設などを訪問して施術するのが一般的です。福祉ネイリストになる際に、高齢者の病気について学び、利用者さんの身体の状態をチェックしながら、利用者さんに合った施術を行います。

    福祉ネイル(介護ネイル)を導入するメリット

    福祉ネイルを導入するメリットについて見ていきましょう。主なメリットは3つ考えられます。

    おしゃれをすることでモチベーションアップ

    爪がきれいになることでおしゃれ心に火がついて、モチベーションアップにつながるでしょう。

    女性は年齢を重ねてもおしゃれを楽しみたい方が多いものです。爪がカラフルになることで気分が上がり、化粧をしたりヘアを整えたりと他の美容にも興味を持ち始めることもあります。

    女性に限らず、男性のネイル施術を行うケースも。男性もネイルケアで爪先がきれいになることで喜ぶ方が数多くいるようです

    スキンシップやコミュニケーションのきっかけになる

    福祉ネイルの施術中は、利用者さんと施術者が1対1で行います。施術中は手を触れてスキンシップしながらネイルするため、[btp_line]利用者さんの気持ちがほぐれ、リラックスしやすくなる[/btp_line]でしょう。

    リラックスできると会話も弾み、コミュニケーションのきっかけにもなります。福祉ネイリストが外部の方であれば、介護スタッフ以外との会話が、利用者さんの刺激にもなるでしょう。

    精神の安定を得られる

    爪がきれいになると他の利用者さんや介護スタッフから「とてもきれいね」や「素敵なネイルね」と言われ、嬉しい気持ちになることも。心が幸せな気持ちで満たされると、精神が安定していくケースもあるでしょう。

    福祉ネイルと認知症ケア

    福祉ネイルは、認知症ケアと通ずるものがあると言われています。フランス発祥の認知症ケアにユマニチュードというものがあります。「見る・話す・触れる・立つ」の4つの動作を行い、認知症の方に「あなたは大切な存在です」と伝えながらケアしていく方法です。

    認知症の方は記憶障害が起こることで、混乱したり感情のコントロールができなくなったりするケースがあります。しかし、ユマニチュードによって安心感を得られるという効果や、感情を動かす効果も期待できるのです。

    このユマニチュードと福祉ネイルを重ねてみましょう。

    • 見る…対面してネイルする
    • 話す…ネイルしながらコミュニケーションをとる
    • 触れる…指先に触れ施術する・ハンドトリートメントの際は腕にも触れる
    • 立つ…施術エリアまで利用者さんに歩いてきてもらう

    すべてが重なっており、これに加えて「好きな色で爪がきれいになった!」という色が持つ効果も期待できるため、認知症の方が明るい表情になるケースも。福祉ネイルによって気持ちが動いて、会話を楽しむこともあるようです。

    福祉ネイルは誰でもできるの?資格を取るには

    ネイルは医療行為ではありません。そのため、資格がなくてもネイリストや福祉ネイリストになることは可能です。

    しかし、ネイルの仕上がりや利用者さんの身体の状態を確認しながら最適な環境で施術を行うには、ネイルや、高齢者の方がかかりやすい病気に関する正しい知識と技術が必要でしょう。

    福祉ネイリストの認定を受けるには、一般社団法人日本保健福祉ネイリスト協会の認定校にてカリキュラムを受講・修了し、卒業試験に合格しなければなりません。さらに合格者は、講師と一緒に実地研修を行う必要があります。

    ただし、必ずしもネイリストの資格を持っていないと受講できないわけではありません。福祉ネイルの認定を受ければ、介護スタッフが福祉ネイリストとして利用者さんに接することも可能です。

    福祉ネイリストのカリキュラムでは、ガイダンスを受けたあと、3時間の講習を7日間受講します。3時間の実地研修も加えて[btp_line]約25時間の講習の受講が必要[/btp_line]です。一般社団法人日本保健福祉ネイリスト協会に所属して福祉ネイリストと名乗るのであれば、1年ごとに年度更新料3,000円を納付します。

    福祉ネイルで注意すること

    福祉ネイルでは、簡単に取り外しできるようにシールタイプのネイルを使うことがありますが、マニキュアを使用することもあります。マニキュアには少しにおいがあるため、換気できる場所や広い部屋で行う必要があるでしょう。

    施術前には、利用者さんの健康状態などのヒアリングを必ずします。例えば、この指には施術できない、ケガをしているなどの状態を確認しましょう。その他に認知症の方の場合、施術中に急に立ち上がる・大きな声を発するなどの可能性があります。

    福祉ネイリストが把握していないと、利用者さんや福祉ネイリストがケガをすることも考えられます。事前にわかっていれば、福祉ネイリストも対処しながら施術できるでしょう。

    事前に利用者さんに、どのくらいの施術時間なのかを伝えておくのも大切です。福利ネイルでは、基本的に短時間で終わる内容となっていますが、利用者さんの中には長く感じる方がいるかもしれません。

    ある程度の時間がわかっていれば、納得して施術を受けてくれるでしょう。

    福祉ネイリストの導入で利用者さんを笑顔に

    介護施設に福祉ネイルを取り入れることで、利用者さんの気分がアップし前向きになれる可能性があります。また福祉ネイリストとの会話で、リフレッシュやリラックスして気持ちが安定する効果も期待できるでしょう。他の施設との差別化にもなるため、まだ導入していない施設は、検討してみてはいかがでしょうか。

  • 9月の介護レクリエーションはお月見仕様!ゲームや制作アイデア10選

    9月の介護レクリエーションはお月見仕様!ゲームや制作アイデア10選

    9月は旧暦では「長月」です。諸説ありますが「夜が長い月」であることが由来だそう。そんな9月の風物詩といえば、中秋の名月を楽しむお月見でしょう!介護施設の9月のレクリエーションは、ぜひこの「お月見」をテーマに企画を練ってみませんか?本記事では、お月見仕様のおすすめ「制作レク」や「ゲームレク」をピックアップしています。2023年の十五夜は9月29日(金)。お月見にあわせて気分を盛り上げていきましょう。

    9月のお月見レクリエーションで人気があるのは制作やゲーム

    9月のお月見に関連したレクリエーションは、「制作系」「ゲーム系」に注目です。

    制作系のレクリエーションは、作る楽しさと愛でる楽しさを味わえる壁画やインテリアに馴染む作品が大人気。季節感があるお月見に関連した飾り物は、施設利用者さんの気持ちを和ませてくれます。身近に置くことで、十五夜が過ぎてもお月見気分を長く満喫していただけるでしょう。

    ゲーム系のレクリエーションは、お手玉やピンポン玉をお月さまやお月見団子に見立てて活用するアクティビティが人気。ハツラツと体を動かして参加できるゲームや、簡単なルールでたっぷり遊べるゲームが多くの施設で採用されています。

    次の項からは、9月のお月見レクリエーションにおすすめの制作レク、ゲームレクをそれぞれご紹介していきましょう。

    お月見【制作】レクリエーションおすすめ5選

    9月におすすめの、数ある制作系お月見レクリエーションから特に注目の企画をピックアップしました。秋冬シーズンに向けて温かみのあるフェルトを使用した作品や、ひと手間加えた吊るし飾り、自由にレイアウトして楽しめる壁画のアイデアをご紹介します。

    ●羊毛フェルトでお月見団子

    羊毛を針でチクチクと刺しながら形を整えて、モチーフを作っていく羊毛フェルト。しっかりと集中できるレクリエーションとして人気です。細かい作業となるので、高齢者向けに企画する場合は、できるだけ大きいサイズの作品を作るよう心がけます。「羊毛フェルトでお月見団子」は白の羊毛と茶色の羊毛でお月見団子を作るレクです。

    【準備物】
    ・羊毛(白、ベージュ、茶色)
    ・専用針
    ・テーブルに敷くマット

    【作り方】
    1.羊毛を針でチクチクと刺して形を整え、白の羊毛でお団子、ベージュと茶色の羊毛で台を形作る
    2.組み合わせて完成

    ●お月見吊るし飾り

    「お月見吊るし飾り」は、お月見団子やうさぎ、もみじなどの秋らしいモチーフを取り入れたおしゃれな一品。モチーフの組み合わせ次第で参加者さんそれぞれの個性を出せる9月おすすめのレクリエーションです。

    【準備物】
    ・色画用紙
    ・紐
    ・ハサミ
    ・テープ

    【作り方】
    1.色画用紙をお月見団子・うさぎ・もみじ・扇といった形に切り取る
    2.準備していた紐に好みの順番でテープを使用して貼っていく
    3.完成したら天井から吊り下げる

    風で揺れてもかわいいですよ。模様がきれいな千代紙でモチーフを作っても雰囲気が出ます。

    引用元:https://www.youtube.com/watch?v=shaXElJ_YRw

    ●お月見壁画

    台紙に画用紙で作ったお月さまやうさぎを貼りつけて、9月のお月見をイメージした壁画を制作するレクリエーションです。参加者さんに、想像力を使って自由に切り貼りを楽しんでいただけます。

    【準備物】
    ・台紙(大きな画用紙)
    ・モチーフを作るための色画用紙
    ・スズランテープ
    ・ハサミ
    ・のり、テープなど

    【作り方】
    1.色画用紙をハサミで切り取り、お月さま・うさぎ・梗の花・すすきの葉などを作る
    2.スズランテープですすきの穂を作る
    *30センチに切り取ったスズランテープを2枚重ねて中心で左右対称に重なるように折り、根元を縛る
    *上部の4枚のスズランテープが重なった部分を手で細かく割けば、すすきの穂の完成
    3.台紙にバランスを考えながらモチーフを貼りつけて、1つの壁画にまとめる

    台紙は夜空をイメージした黒や濃紺を準備するのがおすすめです。

    ●お月見ちぎり絵

    黒画用紙を夜空に見立て、ちぎり絵で秋らしい景色を作ってみるのもいいでしょう。絵やハサミが苦手な利用者さんも、手でちぎる作業なら気軽に楽しめるはず。ちぎりやすいように、紙は柔らかいものを用意しましょう。

    【準備物】
    ・黒画用紙
    ・和紙や折り紙
    ・のり

    【作り方】
    1. 和紙や折り紙をちぎって、月やすすき、うさぎ、お団子など、お月見にまつわる形にする
    2. 黒画用紙に貼り付ける

    ●お月見リース作り

    うさぎや月などをあしらったお月見リースを作るレクリエーションはいかがでしょうか。リースの土台は紙皿を使えば簡単!黒い紙皿を使ったり黒く塗ったりすると、夜空を演出できるのでおすすめです。うさぎや月は、描いたものを切ったり折り紙で作ったものを貼ったりと、利用者さんに合わせましょう。

    【準備物】
    ・紙皿
    ・折り紙
    ・のり
    ・ハサミやカッター
    ・穴あけパンチ
    ・紐やリボン

    【作り方】
    1. 紙皿の中央部分をハサミやカッターで切り取る
    2. 穴あけパンチで紙皿に穴をあけ、紐やリボンを通してリースの形にする
    3. 折り紙で作ったうさぎや月などを、のりで自由に飾り付ける

    お月見【ゲーム】レクリエーションおすすめ5選

    ゲーム系のお月見レクリエーションは「お月見団子」をゲーム内に登場させることがポイント。9月のレクリエーションにぴったりの、中秋の名月を彷彿とさせる季節感あふれるゲームをご紹介します。

    ●お月見団子で狙え!ビンゴ

    「お月見団子で狙え!ビンゴ」は5×5のマス目に、9月ならではのお月見団子をイメージしたピンポン玉を投げ入れて、縦・横・斜めのいずれか一列をそろえてビンゴを狙うレクリエーションです。

    【準備物】
    ・ピンポン玉
    ・業務用の卵パック(5×5個分に切り取る)
    ※業務用の卵パックが手に入らなければ牛乳パックや紙コップ25個分

    【遊び方】
    1.台の上に5×5個分の業務用の卵パックを設置
    2.離れた場所からピンポン玉を投げ入れて、縦・横・斜め、いずれかで一列そろえてビンゴを狙いましょう!

    ビンゴになるまでの球数やタイムを競ってもいいですね。立っていても、座っていても楽しめるゲームです。業務用の卵パックが手に入らない場合は、牛乳パックの底1/3程度を切り取ってつなげたり、紙コップを活用したりして5×5のマス目を作りましょう。

    引用元:https://www.youtube.com/watch?v=UQfdtMhuSD8&t=3s

    ●お月見団子積み上げゲーム

    ジュースの空き缶の上にトレーを置き、崩れないように気をつけながらお手玉をお月見団子のように積み上げていくゲームです。

    【準備物】
    ・お手玉
    ・空き缶
    ・トレーまたはお盆

    【遊び方】
    1.テーブルに空き缶を置き、その上にトレーを乗せる
    2.不安定なトレーの上に、崩れないようにお手玉をたくさん乗せていく
    3.制限時間内で、参加者さんのうち誰が最も多くお手玉を積むことができるか競争する

    トレーにお手玉をたくさん積むと、まるでお月見団子のように見えますよ。9月のレクリエーションにぜひ取り入れてみては?

    引用元:https://www.youtube.com/watch?v=jeLvvjQp3wo&t=2s

    ●お月見団子リレー

    スプーンにお月見団子に見立てたピンポン玉を乗せて、バランスを取りながら一定距離を移動。次の方にスプーンごとピンポン玉をバトンタッチするリレー形式のゲームです。バランス感覚が試されます。

    【準備物】
    ・ピンポン玉
    ・大きなスプーン

    【遊び方】

    1.参加者さんをチーム分けする
    2.大きなスプーンとピンポン玉をチームごとに準備し、先頭の方がスプーンにピンポン玉を乗せスタート
    3.移動して次の方へスプーンごとピンポン玉をバトンタッチしてリレーする
    4.対戦チームよりも早くゴールしたチームが勝利!

    参加人数が多い、補助が必要、といった場合は動画のようにペアでスタートしてもいいですね。円になって椅子に座り、スプーンにのせたピンポン玉をリレー形式で横の方へ回していく、といったルールで楽しむこともできます。

    引用元:https://www.youtube.com/watch?v=w_5Qh6x_vGo

    ●月見団子バランスゲーム

    キャップを外したペットボトルの口に、月見団子に見立てたピンポン玉をのせていくバランスゲームです。単純ですが意外と難しく、利用者さんも思わず集中してくれるはず!

    【準備物】
    ・ペットボトル
    ・ピンポン玉

    【遊び方】
    1. キャップを外したペットボトルをたくさん並べておく
    2. ピンポン玉をペットボトルの口にのせていく
    3. 制限時間内にたくさんピンポン玉をのせた利用者さんの勝利!

    手でピンポン玉をのせるのもいいですが、トングやスプーンなどを使ってもらい難易度を上げるのもいいでしょう。ペットボトルの高さを変えても楽しめますよ。

    ●お月見すくい

    お月様に見立てたピンポン玉をすくうゲームです。水を入れたボウルに白とオレンジのピンポン玉を入れておき、お月様であるオレンジ色のピンポン玉をすくえた数を競います。

    【準備物】
    ・オレンジと白のピンポン玉
    ・ボウル
    ・金魚すくい用のポイ(ティッシュなどで作った網でもOK)

    【遊び方】
    1. 水を入れたボウルに白とオレンジのピンポン玉を入れておく
    2. 利用者さんにポイを渡し、オレンジ色のピンポン玉をすくってもらう
    3. 制限時間内にたくさんオレンジ色のお月様をすくえた利用者さんの勝利!

    個人戦にしたりチーム戦にしたりと、いろいろなルールで楽しめるゲームです。

    9月のレクリエーションはお月見気分を楽しんで!

    中秋の名月を楽しめる9月は、お月見をテーマにレクリエーションを企画してみてはいかがでしょうか。まだまだ残暑が厳しい時期ですが、「お月見」という言葉で秋らしい気分を味わえますよ。ご紹介したアイデアをもとに、難易度を調節しながらぜひあなたの施設に合った内容で実施してみてください。参加者さんの記憶に残る楽しい時間を過ごせますように。

  • 福祉ネイルで利用者さんの笑顔を引き出す!介護施設での取り入れ方

    福祉ネイルで利用者さんの笑顔を引き出す!介護施設での取り入れ方

    「福祉ネイル」という言葉をご存知でしょうか?福祉ネイルとは、介護施設などに訪問して利用者さんにネイルメニューやマッサージをしながら笑顔を引き出す、近年話題の技術です。本記事では福祉ネイルがどのようなものなのか分かりやすく解説し、介護施設で取り入れる方法をご紹介していきます。「働いている介護施設で福祉ネイルを導入したい」「福祉ネイルの資格に興味がある」といった方に読んでいただきたい内容です。

    福祉ネイルとはどのようなもの?

    福祉ネイルでは、高齢者などサロンへ直接足を運べない利用者さんのもとに訪問して、ネイルメニューを提供します。具体的にはどのようなものなのか、まずは福祉ネイルの概要を分かりやすくご紹介していきましょう。

    <福祉ネイルとは>

    • 対象:高齢者や病気、障害を抱えている方
    • 目的:ネイルなどの施術や会話を通して感動を届けること
    • 施術者:一般社団法人日本保健福祉ネイリスト協会認定の「福祉ネイリスト」が多く活躍している

    福祉ネイルの対象は高齢者や、病気・障害を抱えているなど、サロンに足を運ぶことが難しい方々です。そのため、福祉ネイリストは一般のネイリストと仕事スタイルが少々異なり、サロンでお客さんを待つのではなく、自らが利用者さんのもとに訪問します

    福祉ネイルの目的は、利用者さんの指先をネイル技術で美しく飾り、[btp_line]喜びや感動を届けること[/btp_line]。さらにハンドケアやハンドマッサージ、会話、治療的介入技法を通してリラックスしたひとときを提供します。福祉ネイリストは、利用者さんの笑顔や元気を引き出すことができる素敵な仕事です。

    福祉施設や介護施設でネイル技術を提供するだけの場合、特別な資格は必須ではありません。しかし福祉ネイリストとして活動するには、技術のほかに介護や高齢者に関する知識、対応方法を心得ておくことが重要です。実際に高齢者と接することを考慮すると、福祉ネイルに関わる資格を取得したネイリストのほうが、依頼の際は安心感があるでしょう。一般社団法人日本保健福祉ネイリスト協会では、講習や実地研修を実施し、一定の技術を習得したネイリストにディプロマ(認定証)を発行しています。

    福祉ネイルは、現場やケースによっては介護ネイルと呼ばれることもあるので、覚えておくと良いでしょう。

    福祉ネイルはどんなときにおすすめ?

    福祉ネイルは、介護において高齢者の方々に元気をお届けしたいときにぴったり。たとえば、以下のようなケースで活躍します。

    <福祉ネイルが活躍するケース>

    • 美しいネイルで元気になってもらいたいとき
    • 治療的介入技法で心のケアをしたいとき
    • いつもと違うレクリエーションを取り入れたいとき

    日頃から視界に入る手元や指先がきれいになると、ワクワクしたり嬉しい気分になったりするのは、若い方も高齢者も同じです。高齢者の方へ元気をお届けしたいときは、福祉ネイルの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

    福祉ネイルは、治療的介入技法で高齢者の方の[btp_line]心のケアをしたいときにもおすすめ[/btp_line]です。福祉ネイルは利用者さんの体調やコンディションを見ながら、コミュニケーションを大切に行います。マニキュアの色やデザインを考える時間や福祉ネイルストとの会話は、脳への刺激にもなるでしょう。認知症や疾患を抱えている高齢者の方にも受けていただくことができますよ。

    福祉ネイルは、介護施設のレクリエーションとしても人気です。マニキュアに抵抗がある方も、ハンドケアやハンドマッサージなら気軽に受けてくださるはず。福祉ネイルをレクリエーションに導入すれば、男性女性問わず、充実した時間を過ごしていただけるでしょう。

    介護施設で導入するにはどうしたらいい?

    ここからは、介護施設における福祉ネイルの導入方法をご紹介していきます。介護施設に福祉ネイルを導入する方法は大きく分けて2つです。

    <介護施設での福祉ネイル導入方法>

    • 出張サービスを利用する
    • 介護施設で働く介護スタッフが福祉ネイリストの認定資格を取得する

    それぞれ解説していきましょう。

    出張サービスを利用する方法

    介護施設において、簡単に福祉ネイルを導入する方法が、[btp_line]「福祉ネイルの出張サービスを利用する」[/btp_line]です。福祉ネイルに対応している高齢者の訪問美容サービス提供企業へ相談し、福祉ネイリストを派遣してもらうことができます。

    福祉ネイルの出張サービスは、福祉ネイリストが個人単位で行っていることも。出張サービスを行っている福祉ネイリストに直接依頼して施設へ来てもらうことも可能です。

    前項でご紹介したように、高齢者へのネイルは資格がなくてもできます。しかし、高齢者への接し方や治療的介入技法の講習を受け、技術を習得したネイリストへ依頼するほうが安心でしょう。介護施設で福祉ネイルを依頼する際は、福祉ネイルに関する資格を取得したネイリストに依頼することをおすすめします。

    介護施設で働く介護スタッフが福祉ネイリストの認定資格を取得する

    介護施設で福祉ネイルを導入する方法2つめは、「すでに施設で介護スタッフとして働いている方が、福祉ネイリストの資格を取得して福祉ネイルの施術をする」です。実際、介護現場で活躍する福祉ネイリストのなかには、介護系の資格を取得している方も多いようですよ。

    福祉ネイルに関する資格を取得するには、ネイル関係の協会の講習や研修を受講しましょう。たとえば、一般社団法人日本保健福祉ネイリスト協会による福祉ネイリスト認定制度では、21時間の講義と実地研修を受講することでディプロマ(認定証)を取得できます

    福祉ネイリストは、介護スタッフとして働きながらワンランク上を目指す方や、介護スタッフを離職したケースを考慮し、新たな働き方を考えている方たちにもおすすめです。福祉ネイルに興味がある方は、自身のキャリアアップのために資格取得も視野に入れてみてはいかがでしょうか。

    福祉ネイルで高齢者を元気に!介護施設で取り入れてみよう

    福祉ネイルは、利用者さんの指先を美しく彩ることに加え、ハンドマッサージやハンドケア、福祉ネイリストとの会話を通して心のケアも期待できます。介護施設に導入すれば、施設利用者さんに元気をお届けできるチャンスとなりますよ。いつもと違う指先にきっと喜んでいただけることでしょう。まだ福祉ネイルの導入例がないという施設では、出張サービスや、介護スタッフの福祉ネイリスト資格取得について、ぜひ前向きに検討してみてください。

  • 介護施設で知っておきたい方言「広島弁」【備後編】

    介護施設で知っておきたい方言「広島弁」【備後編】

    他県や他エリアから福山市・尾道市周辺の介護施設に来たスタッフにとって、聞き取れない広島弁は多いのではないでしょうか?利用者さんの中には特に方言が強い方もいて、コミュニケーションに困ることもあるでしょう。そこで、この記事では広島弁の中でも特に福山市・尾道市周辺で話されている備後方言を取り上げ、意味や具体例を紹介していきます。介護のときにぜひ広島弁を使ってみてくださいね。

    【1】備後方言「~ばぁ」

    介護施設で耳にしやすい備後地方の広島弁といえば「~ばぁ」。[btp_line]「~ばぁ」は「ばかり(だけ)」[/btp_line]の意味を持つ備後弁です。福山市や尾道市で使われる備後弁は、語尾が言い切りではなく伸びる傾向があります。「ちいとばぁください」と言われたら「ちょっとばかり(だけ)ください」という意味です。

    【2】備後方言「にがる」

    介護現場で働くうえで特に知っておきたい広島弁は体調不良に関する言葉ですよね。そこで紹介する方言は「にがる」です。言葉の響きから「苦い」を想像するかもしれませんが、[btp_line]「にがる」は「きりきりと痛む」[/btp_line]を意味します。「昨日からお腹がにがるんよ」は「昨日からお腹がきりきりと痛みます」と言われているので、症状をくわしく聞き取るのが大切ですね。

    【3】備後方言「まちょおるよ」

    「まちょおるよ」とは「待っているよ」を意味する方言です。「まちょおるけぇあとで来て」は[btp_line]「待っているからあとで来てね」[/btp_line]と表しています。ちなみに「けぇ」は福山市の介護施設だけでなく県全体でよく使われている広島弁です。この機会にぜひ覚えておくといいですよ。

    【4】備後方言「けぇ」「せぇ」

    「来い」のことを広島弁では「けぇ」、「しろ」のことを「せぇ」と言います。よく聞く表現としては「こっちにけぇ」「はよせぇ」などがあります。標準語に直すと「こっちに来い」、「早くしろ」を意味する言葉なので、介護の現場で聞くと「怒らせてしまっただろうか?」と心配になるときもあるかもしれません。しかし[btp_line]「けぇ」や「せぇ」は親しい関係の相手にも使う広島弁なので安心してくださいね[/btp_line]。

    【5】備後方言「ちいとばぁ」

    [btp_line]「ちいとばあ」は「ちょっとだけ」[/btp_line]という意味を表します。量や程度を表す方言で、介護しているときに「ちいとばぁ待ってくれ」と言われたら「ちょっとだけ待ってくれ」と言われているのだと理解しましょう。広島弁が分かればコミュニケーションに困りませんね。

    【6】備後方言「あぎゃんす」

    標準語で「さしあげます」を意味する福山市・尾道市エリアの方言は「あぎゃんす」です。介護スタッフに対し[btp_line]「こちらをあぎゃんす」と物を渡されたら「こちらをさしあげます」[btp_line]を意味する広島弁だと解釈しましょう。

    【7】備後方言「あたりき」

    介護現場で耳にする広島弁の1つに「あたりき」があります。「当たり前」を意味する方言で標準語とも似ているので、話の流れから理解できる方もいるでしょう。[btp_line]「そんなのあたりきよ」とは「そんなの当たり前よ」[/btp_line]という意味を持っています。

    【8】備後方言「がっそぉ」

    介護をしているときに検討もつかない広島弁が出てくると戸惑いますよね。分かりにくい広島弁の1つに「がっそぉ」があります。[btp_line]「がっそぉ」は「髪がぼさぼさ」[/btp_line]を意味する福山市・尾道市エリアの方言です。「起きたばかりでがっそぉじゃ」とは「起きたばかりで髪がぼさぼさだ」と伝えたいときに使われます。介護施設では朝によく聞かれる広島弁と言えますね。

    【9】備後方言「さぼる」

    「さぼる」と聞くと「手を抜く」を意味する単語として使うことが多いので、介護施設で聞くと意味が合わずに戸惑うかもしれません。広島弁で[btp_line]「さぼる」とは「引っ張る」[/btp_line]を意味します。普段使っている「さぼる」の意味とは全く異なるので驚きますよね。「ちょっとこの紐をさぼって(ちょっとこの紐を引っ張って)」のように使われることがあります。

    【10】備後方言「あんやん」

    「あんやん」は「兄さん」を意味するので、男性の介護スタッフがよく耳にする広島弁なのではないでしょうか?[btp_line]「あんやん、こっち来てくれ」は「兄さん、こっちに来てくれ」[/btp_line]という意味です。

    介護現場でよく使われる広島弁をマスターしよう!

    福山市や尾道市は岡山県と隣接しているので、方言も岡山弁に近いのが特徴です。若い世代はあまり使うことのない方言もありますが、高齢者の方の中には日常的に使うものもあります。介護施設で働くときは広島弁をマスターして、利用者さんと円滑にコミュニケーションを取っていきましょう!

  • 介護施設で知っておきたい方言「広島弁」【県北編】

    介護施設で知っておきたい方言「広島弁」【県北編】

    県外や他エリアから来たスタッフが広島の介護施設で働くときにぶつかる壁が「方言」でしょう。広島弁と一口に言ってもエリアごとに特徴があり、うまく聞き取れずに困ることも出てきますよね。そこで、この記事では介護スタッフが知っておきたい広島弁ガイドをお届けします。特に県北エリア(三次市・庄原市・安芸高田市)に特化した方言をメインで取り上げますので、ぜひ参考にしてくださいね。

    【1】方言「~してつかあさい」

    三次市・庄原市・安芸高田市エリアでポピュラーな方言[btp_line]「~してつかあさい」は「~してください」[/btp_line]を意味します。介護施設では利用者さんが希望を伝えるときに使う広島弁です。例えば、「部屋に連れて行ってつかあさい」だと「部屋に連れて行ってください」の意味になりますね。

    【2】方言「~んさい」

    [btp_line]標準語の「~しなさい」は広島弁では「~んさい」[/btp_line]と言います。三次市・庄原市・安芸高田市エリアに限らず県全体でよく使われる方言です。「~んさい」は動作を表す言葉である動詞に付けてよく使われます。例えば「はよ書きんさい(早く書きなさい)」「はよ行きんさい(早く行きなさい)」のような形です。

    【3】方言「おっちゃった」

    「~ちゃった」と聞くと「~してしまった」のように良くない意味にとらえる方もいらっしゃるでしょう。三次市・庄原市・安芸高田市エリアでは[btp_line]尊敬語の「おられた」を「おっちゃった」[/btp_line]と表現します。介護現場では誰かの所在を訪ねるときに使われる広島弁です。「さっきまでここにおっちゃったよ(さっきまでここにおられたよ)」のように使われることがあるでしょう。

    【4】方言「おしまいでがんす」

    [btp_line]「おしまいでがんす」とは挨拶に使う方言で「こんばんは」[/btp_line]を意味します。語尾につく「がんす」とは「ございます(あります)」を表す広島弁です。夜勤のある介護施設で働く方は、ぜひ覚えておきたい広島弁ですね。

    【5】方言「いんだ」

    「いんだ」と聞くと「いやだ」のように聞こえますが、意味は全く違います。方言の[btp_line]「いんだ」は「帰った」[/btp_line]を意味する言葉で、「あの人はいんだや(あの人は帰ったよ)」のように使われます。介護施設で「いんだ」を耳にしたら誰かが帰ったのだと判断しましょう。

    【6】方言「のーなる」

    [btp_line]「のーなる」とは「なくなる」[/btp_line]を意味する方言です。介護施設では「もうすぐ紙がのーなる(もうすぐ紙がなくなる)」のように使うことがあるのではないでしょうか?「のーなる」は不足を意味する広島弁なので、この言葉が聞こえたら急いで補充に回りたいですね。

    【7】方言「いびしょーなる」

    [btp_line]「いびしょーなる」は「怖くなる」[/btp_line]の意味を持つ方言で、三次市・庄原市・安芸高田市エリアでよく使われます。利用者さんに「トイレに1人で行くんはいびしょーなる(トイレに1人で行くのは怖くなる)」と言われたら、ぜひ付き添ってあげてくださいね。

    【8】方言「えかった」

    [btp_line]「えかった」は「よかった」[/btp_line]という肯定の意味を持つ方言です。例えば「お風呂が気持ちえかった(お風呂が気持ちよかった)」といった使い方があります。介護サービスを受ける利用者さんから、広島弁の「えかった」が聞けるとうれしいですね。

    【9】方言「あけな」

    [btp_line]「あけな」は「あけてほしい」[/btp_line]と言われているように感じますが、反対の「あけるな」が正解です。語尾に「~な」が付くと否定を表す意味になります。介護施設では「窓あけな(窓をあけるな)」のように使われることのある広島弁です。

    【10】方言「おーごとでがんした」

    [btp_line]「おーごとでがんした」は「大変でした」[/btp_line]を表す方言です。介護スタッフに対し利用者さんが「遅くまでおーごとでがんしたの(遅くまで大変でしたね)」と言ってきたら、労をねぎらう広島弁だと解釈してもいいですね。

    広島弁を学んでコミュニケーションを円滑に!

    今回は広島方言の中でも三次市・庄原市・安芸高田市のある県北エリアでよく使われているものをご紹介しました!言葉の響きから意味を推測できる方言もあれば、全く見当もつかない方言もありますよね。介護施設で働くことは、利用者さんはもちろん、そのご家族とのコミュニケーションも求められます。広島弁をマスターし、円滑なコミュニケーションに活かしてくださいね。

  • 介護施設で知っておきたい方言「広島弁」

    介護施設で知っておきたい方言「広島弁」

    介護施設にいる利用者さんの中には、バリバリの広島弁を話す方も多くいらっしゃいます。他県や他エリア出身の介護スタッフにとって、ネイティブ広島県民の話す広島弁は、聞き取れなかったり、理解できなかったりということも多々あるでしょう。この記事は、介護の現場で役立つ広島弁ガイドです。「利用者さんの使う広島弁が理解できず、会話が成り立たない」「多くの広島弁を知って使いたい」という方は参考にしてください。

    【1】いたしい

    意味:難しい・わずらわしい・窮屈だ
    使用例:「今回の折り紙はえろーいたしいの。なかなかうもーできんわ。(今回の折り紙はとても難しい。なかなか上手くできない)」
    [btp_line]『いたしい』は、難しい・窮屈[/btp_line]という意味で使われます。広島の介護の現場ではたびたび使われる広島弁のひとつです。『痛い』と勘違いしそうな言葉なので、慌てないよう注意しましょう。

    【2】いらう

    意味: 触る
    使用例:「痛いけぇ、いらわんとって。(痛いから触らないで)」「ええ具合にできたじゃろ?いろうてもええよ。(いい感じでできてるでしょう?触ってもいいよ)」
    [btp_line]『いらう』は触る[/btp_line]という意味で使われます。『いらわん(触らない)』『いろうても(触っても)』など、使い方によって語尾が少し変化するため、介護施設で使われる広島弁の中でも注意が必要な方言のひとつです。

    【3】かもう

    意味: からかう
    使用例:「あの人、いつもかもうてくるんじゃけぇ。わたしのこと好きなんかね?(あの人、いつもからかってくるのよ。わたしのことが好きなのかしら?)」
    [btp_line]『かもう』は、からかう[/btp_line]という意味で使われます。相手にするという意味の『構う』と意味や使い方が似ているため、構うも一緒に覚えておくといいでしょう。

    【4】せらう

    意味: 嫉妬する、うらやむ
    使用例:「そんなせろーて、どうするん。(そんなに人をうらやんでどうするの?)」
    [btp_line]『せらう』は嫉妬する・うらやむ[/btp_line]という意味で使われます。意味と言葉につながりが見当たらないため、覚えにくいかもしれませんね。

    【5】ねき

    意味: そば、近く
    使用例:「もうちょっとねきで話しんさい。(もう少し近くで話してください)」
    [btp_line]『ねき』は、そば・近く[/btp_line]という意味で使われます。耳の遠い利用者さんには、なるべくねきによって話しかけてあげましょう。

    【6】はぐる

    意味: めくる
    使用例:「ちょっと暑いけぇ、布団をはぐってくれんかね?(少し暑いから布団をめくってもらえますか?)」
    [btp_line]『はぐる』は、布団や本のページをめくる[/btp_line]という意味で使われます。介護施設にいる身体がうまく動かせない利用者さんはよく使う広島弁でしょう。

    【7】はしる

    意味: ヒリヒリと痛む
    使用例:「背中がはしるけぇ、薬を塗ってくれんかね?(背中がヒリヒリ痛むから薬を塗ってもらえますか?)」
    [btp_line]『はしる』は、ヒリヒリと痛む[/btp_line]という意味で使われます。虫さされや歯が痛む場合にも使うことが多い方言です。広島だけでなく、島根や岡山など中国地方でよく使用されています。

    【8】みやすい

    意味: 簡単な
    使用例:「今回の折り紙はぶちみやすいのー。わしゃもうできたわ。(今回の折り紙はとても簡単だ。わたしはもうできた)」
    [btp_line]『みやすい』は、簡単[/btp_line]という意味で使われます。『見やすい』と間違えないよう注意しましょう。

    【9】みてる

    意味: なくなる・尽きる
    使用例:「全部みててしもーた。新しいのくれんかね?(全部なくなってしまった。新しいのもらえる?)」
    [btp_line]『みてる』は、なくなる・尽きる[/btp_line]という意味で使われます。介護現場では比較的よく使われれる広島弁のひとつなので、ぜひ覚えておいてください。

    【10】めぐ

    意味: 壊す
    使用例:「うまく折り紙が作れんかったけぇ、めぐことにしたわ。(上手に折り紙が作れなかったから壊すことにした)」「椅子がめげてしもーた。(椅子が壊れてしまった)」
    [btp_line]『めぐ』は、壊す[/btp_line]という意味で使われます。介護施設でたびたび耳にする広島弁のひとつ。覚えておくと利用者さんとのコミュニケーションもうまくいくでしょう。

    方言を理解して利用者さんに寄り添った介護を

    今回ご紹介したのは、介護施設でよく使われる広島弁の一部です。この他にも、高齢者の方がよく使う広島弁はたくさんあります。高齢者の方に寄り添った介護をするためには、意味が分からない言葉も聞き流すのではなく、利用者さんにたずねたり、自分で調べたりして、理解することが重要です。この記事を参考にして、多くに広島弁を理解し使えるようになれるといいですね。

  • 介護職向け・シルバーカー(手押し車)のキホン!種類や選び方まとめ

    介護職向け・シルバーカー(手押し車)のキホン!種類や選び方まとめ

    シルバーカーは、主に高齢者が使用する歩行補助具の一種。いわゆる、手押し車のことです。足腰の筋力が低下し歩行に不安がある方や、少し歩くだけで疲労感を覚える方などの歩行をサポートします。介護施設で働くスタッフであれば、利用者さんやご家族からシルバーカーについての問い合わせを受けたり、使用に際してアドバイスを求められたりすることもあるでしょう。そこで今回は、介護現場で役立つシルバーカーの種類や選び方、使用する際の注意点などの基礎知識をまとめました。

    シルバーカーとは?歩行器との違いは?

    シルバーカーとは、[btp_line]自立歩行が可能な方の外出をサポートするための歩行補助具[/btp_line]のことです。歩行補助具とは、バランスの不安定な方が歩行するときに、体を支える面積を増やし安定性をアップさせるために用いられる器具を指します。

    シルバーカーというと、電動車いすをイメージする方もいるかもしれません。しかし、一般的にシルバーカーとは手押し車のことを指し、前述の電動車いすは「シニアカー」や「電動カート」などと呼ぶことも。

    シルバーカーに似たものに、歩行器があります。どちらも歩行をサポートする手動の福祉用具であることは共通していますが、使用対象者や目的が異なるので、覚えておくとよいでしょう。

    使用対象者目的
    シルバーカー自立歩行が可能な方・歩行時の左右のバランスを取る ・荷物をラクに運ぶ ・歩行途中で休憩をとる
    歩行器自立歩行が困難な方・歩行の安定性の確保 ・足腰への負担を軽減 ・歩行時の姿勢を保持

    この他、シルバーカーはすべての部品が使用者の前部に位置していることも特徴です。また、本体に座って休むための座面が設置されているシルバーカーもあります。

    シルバーカー(手押し車)の種類は主に3つ

    シルバーカーにはいくつかの種類があります。それぞれの特徴やメリット・デメリットをご紹介しましょう。

    【コンパクトタイプ】外出が多い方におすすめ!

    https://www.amazon.co.jp/dp/B01HB5062I/

    小型タイプのシルバーカーです。軽量で高齢者にも取り扱いやすいのが特徴。ちょっとした買い物や散歩など、外出する機会が多い方におすすめです。セカンドシルバーカーとして使用する方もいます。

    メリット デメリット
    ・軽量で持ち運びや取り扱いがしやすい
    ・小型で小回りがきき、狭い道でも使いやすい ・荷物の収納スペースが少ない
    ・軽量なので安定性はやや低め

    【ミドルタイプ】スーパーなどへのお買い物にぴったり!

    https://www.amazon.co.jp/dp/B00HHRD2RW/

    中型のシルバーカーです。コンパクトタイプに比べて収容力が高いため、スーパーでの買い物など、ある程度の量のある荷物も収納できます。座面付きの製品が多いことも特徴です。

    メリット デメリット
    ・ある程度量のある買い物時にもしっかり収納
    ・座面付きなら、座って休憩できる ・荷物を入れ過ぎると重たくなり、扱いにくくなることも…
    ・座面のない製品もある

    【スタンダードタイプ(ボックスタイプ)】安定性バツグン!

    https://www.amazon.co.jp/dp/B001GZBJY4/

    大型で車幅が広く、安定性に優れたシルバーカーです。収納力バツグンで、荷物をたくさん入れることもできます。ほとんどの製品に座面が付いていることも特徴。座面は、座幅が広めでクッション性も高く、座り心地もよいです。また、立ち上がりやすいよう座面両サイドにひじ掛けが付いている製品もあります。

    メリット デメリット
    ・車幅が広く歩行時の安定性バツグン
    ・座面下に大容量の収納スペースあり
    ・座面が広いため、ゆっくり休憩できる ・車体が大きく、小回りがききにくい
    ・重量があるため、持ち上げる機会が多い方には不向き

    シルバーカー(手押し車)の選び方

    シルバーカーを選ぶ際には、種類の違い以外にも注目すべきポイントがあります。

    選び方1:SGマーク

    [btp_line]SGマークを取得した製品であるかどうか[/btp_line]チェックしましょう。SGマークとは、一般財団法人製品安全協会が定めた安全基準を満たした製品に付与されるマークです。SGマークがある製品は、安全基準をクリアしているということ。通販サイトなどで安価に販売されている製品を選ぶ際には、SGマークの有無を確認することをおすすめします。

    選び方2:持ち手の高さ

    持ち手の高さが、[btp_line]体に合っているかも選ぶ際の重要なポイント[/btp_line]です。持ち手の高さが適切でないと、バランスが取りづらくなったり、目線が下がって視野が狭くなったりなど、転倒や事故のリスクが高まります。持ち手の高さは、「身長÷2+5~15センチ」を目安にしましょう。

    選び方3:前輪キャスターのタイプ

    前輪のキャスターには、車輪が1つのシングルキャスターと車輪が2つのダブルキャスターの2種類あります。シングルキャスターは軽量で持ち運びにも便利。[btp_line]比較的、歩行が安定している方におすすめ[/btp_line]です。
    対して、ダブルキャスターは安定性が高く、側溝の隙間などに車輪が挟まりにくいことがメリット。利用者さんの体の状態や歩行する道路の状況などに合わせて選びましょう。

    選び方4:前輪キャスターの可動域

    前輪キャスターは、直進固定・左右〇度可動・360度回転など製品によって可動域が異なります。直進固定キャスターは向きが固定されているため、直進性が良く、路面状態が悪い場合でもまっすぐに進めるのがメリット。左右〇度可動キャスターは、決まった範囲内でキャスターの角度を変えられるものです。方向転換がしやすく、必要以上に曲がりすぎないため、操作しやすいのが特徴となっています。360度回転キャスターは、小回りがきくため狭い場所でも使用できるのがメリット。
    用途や体の状態に合わせて、適したものを選んでください。

    選び方5:ブレーキ操作

    ブレーキ操作は、製品によってさまざまなタイプがあります。レバーを握るタイプや、レバーを下ろすとブレーキがかかるタイプ、足元のペダルでブレーキをかけるタイプなどです。利用者さんがブレーキ操作しやすいものを選びましょう。

    シルバーカー(手押し車)の使い方の注意点

    シルバーカーは使い方を誤ると、転倒や事故の原因になってしまうこともあり、大変危険です。そこで、安全に使用するための注意点を以下にまとめました。

    • 歩道などの段差を無理に乗り越えない
    • エスカレーターは絶対に利用しない
    • 電車のホームや踏切の隙間に注意する
    • 着座時は必ず駐車ブレーキをかける

    段差を無理に乗り越える際にバランスを崩し、転倒する恐れがあります。エスカレーターの場合は、シルバーカーだけが先に乗ってしまい、転倒する可能性があり大変危険です。駅のホームや踏切では、たくさんの隙間があり要注意!シルバーカーを押したまま電車に乗ることは絶対にやめましょう。シルバーカーは、隙間や段差の少ない安定した場所で使用するのがおすすめです。
    また、駐車ブレーキをかけずに着座すると、シルバーカーが後方に移動し転倒してしまうことも…。座る際には必ず駐車ブレーキをかけましょう。

    体の状態や用途に合ったシルバーカーで安全な歩行をサポート

    シルバーカーは製品によってサイズや操作のしやすさ、収容力が異なります。介護施設の利用者さんからシルバーカーの使用や選び方などのアドバイスを求められた際は、使用目的や使用シーン、利用者さんの体の状態に合った製品を提案しましょう。また安全に使用してもらうため、使う際の注意点も合わせてお伝えすることも大切です。

  • シニアカー・電動カートの基礎知識を解説!種類や選び方まで

    シニアカー・電動カートの基礎知識を解説!種類や選び方まで

    高齢者の外出を助けるシニアカー。シニアカーは、身体に不自由があり、あまり外出をしなくなった高齢者や、自動車免許を返納した高齢者におすすめの乗り物です。そこで今回は、シニアカーの基礎知識や種類、選び方まで詳しく解説していきます。介護施設で働いている方は、歩行困難な利用者さんなどに対し、適切なアドバイスができるようぜひ参考にしてみてください。

    シニアカー・電動カートとは?

    シニアカーとは、座りながら移動できる電動車椅子のことです。別名「電動カート」や「自操用ハンドル型車椅子」などとも呼ばれています。高齢者の外出に役立つ乗り物で、身体が思うように動かなくなった方の移動手段のひとつです。操作はアクセルレバーとハンドルで行い、小型バイクのような見た目。操作が簡単で、安定感に優れているのが特徴の乗り物です。

    シニアカー・電動カートの基礎知識

    次に、シニアカー・電動カートの気になる基礎知識についてみていきましょう。

    免許は必要?

    シニアカーは、小型バイクのような見た目をしているので免許が必要だと思われがちです。しかし、シニアカーは道路交通法上では歩行者として扱われているため、自動車免許を取得する必要はありません。速度ダイヤルで速さを設定し、ハンドルで方向を決めてアクセルレバーの操作をするだけで走行できるので、高齢者でも簡単に運転できます。

    走るのは車道?歩道?施設内でも乗っていい?

    シニアカーは歩行者と同じ扱いなので、走行時のルールも歩行者と同じです。つまり、歩道があるときは[btp_line]必ず歩道を走らなければなりません[/btp_line]。歩道がない場合は、路側帯の右側を走行しましょう。歩道も路側帯もない場合は、道路の右側端を走行するのがルールです。また、シニアカー・電動カートのスピードは、6キロメートル毎時までと定められています。
    シニアカーの施設内利用については各施設に対応が任されているため、各施設によって決められているルール従わなければなりません。シニアカーで外出する際は、利用したい施設はシニアカーのまま入れるのか、事前に確認しておく必要があるでしょう。

    自治体によっては購入補助金がでる場合も

    シニアカーを購入する際、自治体によっては[btp_line]補助金が出る場合もあります[/btp_line]。補助金支給の条件や金額、申請方法は各自治体によって異なるので注意が必要です。シニアカーの購入を検討する際は少しでも負担を減らすために、該当の自治体は補助金が出るのかどうか確認しましょう。

    シニアカー・電動カートの種類

    シニアカーにはさまざまな種類があります。主にどんな種類があるのか紹介していきましょう。

    小回りが利く

    小回りが利くシニアカーは、運転のしやすさで人気を集めています。シニアカーには、3輪と4輪のタイプがありますが、小回りが利くのは3輪タイプです。手動を兼ねているシニアカーは、後輪が大きく小回りが利かない場合が多いので注意しましょう。

    安定感がある

    シニアカーの4輪タイプは、安定性に優れているのが特徴です。

    折りたたみができる

    シニアカーには、簡単に折りたたむことができる種類も多くあります。手動で折りたたむものから、ボタンひとつで折りたたみ・復元ができるものまで、種類はさまざまです。

    シニアカー・電動カートの選び方

    次に、たくさんの種類があるシニアカー・電動カートから、どのようにしてその方に合ったものを選べばいいのか、その選び方を解説していきます。

    身体とのサイズ感で選ぶ

    シニアカーを選ぶときは、まず身体に合ったサイズかどうかの確認が重要です。乗り降りはしやすいか・足元は安定するか・座ったまま後方確認ができるか・ハンドルまで遠すぎないかなどを確認しましょう。実際に試乗して確認するのがおすすめです。

    小回りのよさや安定感で選ぶ

    シニアカーを利用するときに、どのような道を走行し、どのような場所に行くのか、あらかじめ想定しておくことも大切です。狭い道や施設内、電車などで利用する方は小回りの利く3輪タイプのシニアカー、坂道やあまり整っていないような道路環境で使用する方は、安定感のある4輪タイプのシニアカーを選ぶとよいでしょう。

    持ち運び可能かどうかで選ぶ

    外出先などさまざまな場所で使用したい方には、持ち運びが可能かどうかも重要なポイント。持ち運びの際に、車に入れられるサイズなのか、軽量やキャスター付きなど簡単に移動できる機能があるのかなどを確認しましょう。

    バッテリーの容量で選ぶ

    シニアカーは、付属のバッテリーを充電して使用します。バッテリーの容量は機種によって異なるので、長距離利用するという方は、バッテリー容量が大きいシニアカーを選びましょう。

    値段で選ぶ

    シニアカーには多くの種類があり、機能もさまざまです。そのことから値段も10万円台から40万円近くするものまで幅広くあります。無理せず購入できる金額で、快適に利用できるものを選びましょう。また、機能性があるものを少しでも安く手に入れたい場合は、中古品の購入を検討するのもひとつの手です。

    シニアカー・電動カートはレンタルもできる

    シニアカーは、購入だけではなく[btp_line]レンタルも可能[/btp_line]です。退院後や旅行などの短期間でしか利用しない方は、レンタルのほうが購入するより安い場合があります。レンタルには補償が付いていることがほとんどなので、故障などのトラブルが起きたときも安心です。また、介護保険サービスを適用できる場合は、レンタル料金が安くなるので、気になる方は一度調べてみるとよいでしょう。

    シニアカー・電動カートでお出かけをラクに楽しく

    高齢になると、思うように身体が動かなくなったり疲れやすくなったりします。そんなときに、シニアカー・電動カートがあれば外出がラクになるでしょう。お出かけに対する意識が高まることにより、楽しみが増えて利用者さんの生活に張り合いがでることが期待できますよ。利用者さんにシニアカーの説明をするときは、正しい情報を分かりやすく伝えましょう。

  • 【リハビリシューズ】高齢者は履いたほうが良い?メリットや選び方を紹介

    【リハビリシューズ】高齢者は履いたほうが良い?メリットや選び方を紹介

    高齢になると、ちょっとした段差でもつまずくことがあります。また、半身麻痺や装具を着用している方のほか、足がむくみやすい方には、一般的な靴は履きづらく足を傷めることも。そこでおすすめなのが、リハビリシューズです。歩行が難しい方だけでなく、高齢の利用者さんが安全に歩行するためにも欠かせないアイテムといえるでしょう。そこで今回は、リハビリシューズの基礎知識や選び方を紹介します。

    リハビリシューズとは?

    リハビリシューズは、「介護靴」や「介護用靴」とも呼ばれることがあります。明確な違いはありません。一般的には、リハビリが必要になった際に履く靴を「リハビリシューズ」、リハビリに関係なく、高齢者が簡単に履ける工夫がある靴を「介護靴」と呼んで分類することも。

    リハビリシューズは、ケガや病気でリハビリが必要な際に履く靴のため、簡単に脱着ができ、伸縮性があるのが特徴です。

    介護用靴は、リハビリシューズと同じように脱着が簡単なのはもちろんのこと、日常生活で高齢者がケガをしないための工夫が施されています。

    半身麻痺や装具を着用している方向けには、足の甲の部分が大きく開いたり、面ファスナーでフィット感を調整できたりする靴も。また、左右で足の大きさが違う場合、左右でサイズ違いを購入することも可能です。

    リハビリシューズを履くメリット

    利用者さんやご家族から「わざわざリハビリシューズを買わなければならないのか?」という質問を受けることがあるかもしれません。ここでは、リハビリシューズ(介護靴)を履くメリットについて紹介します。

    リハビリシューズを履く最大のメリットは、[btp_line]ケガの防止と運動のしやすさ[/btp_line]です。高齢者は、足首がかたくなることで、ちょっとした段差でつまずきやすくなります。つまずいた際に足を傷めたり、頭を打ってケガをしたりすることもあるでしょう。

    高齢者がケガをすると治りにくく、療養期間が長引き、寝たきりとなることも。すると、関節がかたくなり、動かしにくくなる可能性があります。したがって、できるだけケガをしにくい安全な靴が必要になるのです。

    リハビリシューズの中には、つま先が少し反り返っており、つまずきを防いでくれるタイプのものがあります。そのほかには、かかとが少し上がっており、歩く際の蹴り出しを補助してくれたり、着地しやすくなっていたりするデザインのシューズも。転倒防止だけでなく、運動しやすくなることも特徴です。

    運動しやすくなると、リハビリも楽しくなるはず。利用者さんのリハビリに対するモチベーションもアップするでしょう。

    リハビリシューズの選び方とは?

    リハビリシューズを選ぶ際のポイントは3つです。「どこで履くのか」「足にフィットするのか」「病状とマッチしたものか」をポイントに考えましょう。

    室内で履く靴と屋外で履く靴では、やはり履き心地が違います。どちらも安全性が高いことはもちろんですが、[btp_line]室内用は脱着が簡単で通気性が良いものがおすすめ[/btp_line]です。屋外用は、歩行のサポート機能があり、滑りにくい工夫が施された靴が良いでしょう。

    足のサイズだけで選ぶ方もいますが、甲の高さや幅などは人によってさまざまです。また、同じ方でも、日中にむくみが出て、サイズが変わってしまうこともあります。足のサイズだけでなく、[btp_line]履く方の足にフィットする靴[/btp_line]を選びましょう。

    足にフィットする靴は、「病状とマッチしたものか」と通ずるものがあります。例えば、リウマチで足先に痛みがある方に対しては、つま先がせまかったりかたかったりする靴は不向きです。痛みが増す可能性もあるかもしれません。

    この場合は、足先がやわらかい素材でできている靴がおすすめです。このように、リハビリシューズは、病状に合わせて素材や形を選ぶようにしましょう。なかなか判断が難しいケースもあるため、購入する際には理学療法士などの専門家に相談するのがおすすめです。

    リハビリシューズはどこで売ってるの?

    最後に、リハビリシューズの購入先について紹介します。主に、靴屋さんや介護用品ショップなどのほか、Amazonや楽天市場などのネットショップで購入することも可能です。

    ただし、ネットショッピングの場合は、フィッティングしてから購入することはできません。中には、サイズが合わないときは返品できるお店もあるため、事前にチェックしてから購入しましょう。

    [btp_box]Amazon[/btp_box]

    [btp_box]楽天市場[/btp_box]

    利用者さんの安全と健康のためにリハビリシューズ!

    リハビリシューズは、高齢者の方やリハビリ中の方にとって、歩行の不安を取り除く安心アイテムです。

    「この靴を履けば歩きやすい」と思ってもらえれば、リハビリも前向きになってもらえるでしょう。リハビリシューズのメリットを説明し、リハビリシューズの選び方をアドバイスできると良いですね。

  • 高齢者向けの靴選びのポイントとは?最適な靴選びの手助けをしよう

    高齢者向けの靴選びのポイントとは?最適な靴選びの手助けをしよう

    高齢になると、身体機能が低下し足腰の筋力も衰えていきます。足腰の筋力が衰えると、徐々に足を引きずるような歩き方に変わり、つまずきや転倒など思わぬ事故につながる可能性も。転倒のリスクを軽減するには、高齢者の方それぞれに合った靴を選ぶことが重要です。この記事では、高齢者向けの靴選びのポイントをご紹介します。利用者さんが靴を選ぶ際にアドバイスできるよう、靴選びの基礎知識を身に付けておきましょう。

    高齢者向けの靴選びのポイントは「転びにくさ」

    高齢者の転倒を防ぐためには、[btp_line]転びにくい靴を選ぶことが重要[/btp_line]です。

    介護の現場では、高齢者がすり足のように足を引きずって歩く姿を目にすることも多いでしょう。年齢を重ねると、足腰の筋力の低下や、腰が曲がり前かがみの姿勢になりやすいことなどから、すり足のような歩き方になっていくことが多々あります。ご自身では足を上げているつもりなのに、実際にはあまりつま先が上がっていないため、ちょっとした段差につまずいたり転倒したりするリスクも増加。

    靴の選び方の靴のポイントは、『つま先が反り上がっている』『かかとが安定している』『靴底にある程度の硬さと重さがある』などが挙げられます。これらの条件を満たす靴はつまずきにくいため、転倒のリスクを軽減することが可能です。

    自分に合った靴を選ぶコツ

    高齢者の方が足に合っていない靴を履いていると、転倒するリスクが上がるだけでなく、足腰に負担がかかり、痛みや骨格にゆがみが生じる恐れもあります。リスクを避けるためにも、高齢者が自分に合った靴を選ぶコツを紹介しましょう。

    足の状態をよく知ろう

    足の甲が高い方・幅広の方・指の長い方・中には左右の足でサイズが違う方など、足の形は人それぞれです。高齢になると、足に傷ができやすかったり、むくみやすかったり、変形していたりする場合も多々あります。高齢者の靴選びでは、[btp_line]正確に足のサイズを測り、足の状態を確認することが重要[/btp_line]です。なかなか合う靴が見つからない場合には、シューフィッター(靴の専門家)や、店員さんなど靴に詳しい方に相談すると良いでしょう。

    履く目的を明確にしよう

    高齢者が靴を選ぶ際には、何のための靴なのか、[btp_line]履く目的を明確にすることが重要[/btp_line]です。ウォーキング用、リハビリ用、室内用など、履く目的はいろいろあります。目的によって、靴底の硬さや滑り止めの有無などチェックすべきポイントが変わるため、靴選びの際には履く目的をしっかり確認しておきましょう。

    着脱のしやすさもチェックしよう

    靴のサイズをピッタリに合わせることも重要ですが、着脱がしにくい靴や履き心地が悪い靴だと、履くことを避けてしまい、おのずと外出の機会が減ってしまう可能性も…。スリッポンタイプや面ファスナータイプ、ファスナーが付いたタイプなど、その方にとって着脱しやすい靴であるかもチェックしましょう。

    合っていない靴は体に悪影響を及ぼす可能性も

    高齢者が足に合っていない靴を履いていると、体にどのような影響があるのか、見ていきましょう。

    正しい姿勢が保てなくなる

    サイズが合っていない靴を履いていると、歩く際に不自然に力が入り、正しい歩き方ができなくなってしまいます。そのまま履き続けていると、猫背や身体のゆがみを引き起こしてしまう可能性も。猫背や身体のゆがみは、肩こりや腰痛などの原因になることもあります。高齢者の方がご自身に最適な靴選びをしていれば、おのずと正しい姿勢をキープすることにもつながるのです。

    転倒する可能性が上がる

    高齢者の中には、着脱しやすいからという理由で大きめの靴を選ぶ方もいらっしゃいますが、サイズが合っていない大きめの靴は、転倒するリスクを高めてしまいます。転倒を避けるためには、足にあった適切な靴を選ぶことが大切です。

    足のトラブルにつながる

    高齢者は、扁平足や外反母趾、巻き爪など足にさまざまなトラブルを抱えやすい傾向にあります。不適切な靴は、これらの足のトラブルを招いたり、症状を悪化させたりする可能性があるため、注意が必要です。

    血流が悪くなる

    高齢者の方がサイズのきつい靴や大きめの靴を履いていると、足が締め付けられたり、足に不自然な力が入ったりして、血流が悪くなってしまいます。血の巡りを良くするためにも、適切な靴選びが重要です。

    高齢者の靴選びは「転びにくさ」を最優先に!

    次第に足腰が弱くなる高齢者にとって、歩くことは健康を維持するという意味でも、とても大切なことです。履きやすさやおしゃれな見た目など、サイズを無視した靴選びは、骨格のゆがみや転倒などのリスクを引き起こす可能性があります。高齢者向けの靴選びの基礎知識を身に付けておけば、日々の介護やアドバイスを求められたときにも役立つでしょう。

  • 高齢者向けの杖の基礎知識を解説!おすすめの種類や選び方のポイントは?

    高齢者向けの杖の基礎知識を解説!おすすめの種類や選び方のポイントは?

    高齢になると足腰の筋力が低下し、1人で歩行することに不自由を感じる方が増えてきます。足腰が弱くなってきた高齢者にとって、杖はスムーズに歩行するための重要なアイテムの1つ。杖にはさまざまな種類があり、体の状態に合わせて選ぶことが重要です。この記事では、高齢者向けの杖の種類や選び方のポイントをご紹介します。利用者さんにいつでもアドバイスできるよう、杖に関する基礎知識を身に付けておきましょう。

    高齢者が杖を使う目的やメリットとは?

    まずは、高齢者が杖を使う目的やメリットについて、具体的に解説しましょう。

    歩行の補助

    足腰の弱った高齢者にとって杖は、[btp_line]第三の足として歩行の補助[/btp_line]をするという役割を担っています。杖を使えば、体の安定性が高まり、ふらつくのを抑えながらスムーズに歩行できるようになる点も大きなメリットでしょう。

    足腰への負担軽減

    筋力が低下すると、歩行の際に足腰に大きな負担がかかります。負担のかかる状態が続くと、足腰に痛みを感じ、悪化してしまう可能性も。杖を使えば、足腰で支えている体重を杖にも分散できるため、足腰への負担が抑えられ、痛みを感じにくくすることができます。

    安心感がある

    歩行が難しくなると、転倒の不安から外出の機会が減ったという方も。杖を使用すれば、安定してスムーズに歩行できるため、不安感が軽減し、安心して歩くことが可能です。杖があれば1人で外出ができ、自分でできることの範囲も広がるため、QOLの向上にも役立つでしょう。

    高齢者が使う杖の種類

    一言で杖といっても、さまざまな種類があります。高齢者が使うことの多い杖をいくつかピックアップしたので、ご紹介しましょう。

    T字杖

    T字杖は、真っすぐの杖にT字型の握り手が付いたタイプの杖。誰でも扱いやすく、初めて杖を使う方や、杖がなくても歩けるけれど安定した歩行をするために使用したい方などにおすすめです。
    T字杖には、使いやすさに合わせて長さを調節できる伸縮タイプ、折りたたみ式でコンパクトに持ち歩ける折りたたみタイプ、調節不可の長さ固定タイプなどがあります。また、デザインが豊富で、屋内用と外出用に使い分けるなど、おしゃれを楽しむことも可能です。

    多脚杖

    多脚杖は、杖の脚の先が3~4点に分かれた安定性の高い杖。脚先が分かれている多脚杖は、段差があるとバランスを崩し転倒してしまう可能性があります。介護施設や医療施設内など、段差が少ない屋内用として使うことが多いのが特徴です。多点杖や、4点杖などと呼ばれることもあります。

    ロフストランドクラッチ

    ロフストランドクラッチは、杖の上部に腕を通すための輪(カフ)が付いている杖。カフの下に握り手が付いており、カフと握り手の2ヶ所で体重を支えるため、安定性やサポート力が高いことが特徴です。腕力や握力が弱い、体にマヒがある高齢者の方におすすめの杖です。

    肘支持型杖

    肘支持型杖は、杖の上部に肘を乗せる横木とその先端に握り手が取り付けられ、肘全体で体重を支えるタイプの杖。肘や手首が自由に伸ばせない方でも使いやすく、リウマチ杖と呼ばれることもあります。

    松葉杖

    松葉杖は、脇あてとグリップが付いたタイプの杖。一般的に、骨折やねんざなどをしたときによく使われますが、補助として使用されることも。多脚杖やロフストランドクラッチよりもサイズが大きく、上半身で体重を支えるため、足腰の負担軽減に役立ちます。

    杖を選ぶときのポイント

    スムーズに歩行するためには、高齢者の方それぞれに合った杖を選ぶことが重要です。杖を選ぶ際に注目すべきポイントについて解説します。

    身長に合っているか

    高齢者の方が杖を選ぶときのポイントは、[btp_line]身長に合った長さかどうか[/btp_line]です。身長に合っていないと、安定して歩行できなかったり、かえって足腰に負担がかかってしまったりする可能性があります。身長や腕の長さは人それぞれなので、自分に最適な杖を見つけることが重要です。

    使いやすいか

    高齢者の使う杖には、素材や太さなどさまざまな種類があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、重要視したいポイントを明確にしておくことが重要。例えば、軽さを重視すると耐久性に欠ける、頑丈なものは重くて使いにくいなどです。
    握り手に関しても、手の大きさや形、握力によって合う形状が異なります。握り手が手のサイズに合っていないと、手が疲れてしまい長時間使用できなかったり、手が滑ったりして不自由さを感じることも。実際に見て触って、使いやすいものを選ぶことが大切です。

    用途に合っているか

    杖には多くの種類がありますが、[btp_line]体の状態や用途に合わせて選ぶことがポイント[/btp_line]です。屋内用として使うなら多脚杖、外出時に使うならT字杖やロフストランドクラッチなど、用途によって使い分けましょう。

    杖の使い方や注意点

    杖の基礎知識として、使い方や注意点を知っておくことも重要です。ここでは、杖の調整方法や正しい歩き方を解説します。

    杖の高さの調整方法

    杖を握り、足の先から15~20センチメートルのところに杖の先を置きましょう。このとき、肘の角度が30~40度くらいになることが最適な杖の高さと言われています。
    最適な杖の長さは、[btp_line]『身長÷2+2~3センチメートル』[/btp_line]という計算式から、目安の数値を出すことも可能です。この計算式で出た数値はあくまでも目安ですので、実際に見て試すようにしましょう。

    杖を使った正しい歩き方

    杖を持つ際は、利き手で持つほうが安定します。片足に痛みや筋力の低下がある場合は、その足とは反対側の手で杖を持ちましょう。握り手は、人差し指と中指ではさむように握ります。

    1. 杖を前方に出す
    2. 杖に体重をかけながら杖とは反対の足を出す
    3. 杖を持っているほうの足を出し、両足を揃える

    上の流れをくりかえすことが、杖を使った正しい歩き方です。

    杖を使う際の注意点

    杖を正しく使用しないと、足腰への負担が大きくなって症状をさらに悪化させたり、転倒したりする可能性があります。
    高齢者が杖を使う際には、杖先(脚先)のゴムがすり減っていないか、握り手は痛くないかなど、[btp_line]杖の点検を定期的に行う[/btp_line]ことが重要です。
    どの杖がいいのか迷っている場合や実際に購入する際には、理学療法士などの専門家に相談して決定するのがおすすめです。

    杖は介護保険でレンタル可能!

    杖はどこで買うべきか相談されることもあるでしょう。デパートや大手スーパー、ホームセンターなど介護用品の取り扱いがあるお店やネットショッピングでも購入できます。

    楽天でT字杖を購入する場合のおすすめはこちら
    https://search.rakuten.co.jp/search/mall/T%E5%AD%97%E6%9D%96/

    杖は福祉用具として扱われるため、介護保険サービスでレンタルすることが可能です。レンタルするには、ケアマネジャーに相談し、歩行補助杖のレンタルが必要である旨を記載したケアプランを作成する必要があります。要介護認定を受けていれば介護保険が利用できるため、1~3割の自己負担でレンタル可能。要介護認定を受けていない場合は、全額負担すればレンタルできます。

    最適な杖選びのアドバイスをしよう

    介護施設などでは、杖を使用している方が多くいらっしゃいます。足腰の弱った高齢者にとって杖は、安心安全に歩くために欠かせないアイテムの1つ。日々の運動やリハビリを通じて体の状態は常に変化するため、杖に関する知識を身に付け、利用者さんの状態や目的にあった杖を使っているかチェックすることが重要です。